JP2019108244A - 半導体微粒子組成物、量子ドット、それらを含有する塗工液、インキ組成物、およびそれらの用途。 - Google Patents

半導体微粒子組成物、量子ドット、それらを含有する塗工液、インキ組成物、およびそれらの用途。 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体微粒子組成物の諸特性、特に量子ドットの蛍光特性を損なうことなく、塗工液やインキ、特にインクジェット法で印刷可能なインキを提供する。それを使用して、特性や経時安定性に優れた塗工物や印刷物、より具体的には、蛍光特性に優れた波長変換フィルムやカラーフィルター、発光素子を提供する。【解決手段】コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)と、溶剤とを含有する。半導体微粒子(A)と微粒子(B)との質量比が、1:99〜99:1であり、半導体微粒子(A)が量子ドットであり、微粒子(B)がZnS粒子を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体微粒子組成物および量子ドット、およびそれらを含有する塗工液とインキ組成物、インクジェットインキ、およびそれらを使用した塗工物と印刷物、波長変換フィルム、カラーフィルター、発光素子に関する。
本発明の主要構成をなす量子ドットは、量子力学に従う独特な光学特性を発現させるために、電子を微小な空間に閉じ込めるために形成された極小さな粒(ドット)である。1粒の量子ドットの大きさは、直径1ナノメートルから数10ナノメートルであり、約1万個以下の原子で構成されている。発する蛍光の波長が、粒の大きさで連続的に制御できること、蛍光強度の波長分布が対称性の高いシャープな発光が得られることから近年注目を集めている。
量子ドットは、人体を透過しやすい波長に蛍光を調整でき、体内のあらゆる場所に送達できることより発光材料として生体イメージング用途(非特許文献1)、褪色の恐れがない波長変換材料として太陽電池用途(特許文献1)、鮮明な発光材料、波長変換材料としてエレクトロニクス・フォトニクス用途(特許文献2,3)への展開検討が行われている。
これらの用途に展開するときに、微細なパターンを形成することが必要になる。パターン形成のために感光材料を用いて、レジスト液作成し、マスクを介して光照射する方法が提案されている(特許文献4)。しかし、感光材料や光照射時に量子ドットが劣化したり、現像で取り除く部分にも量子ドットが含まれ、量子ドット材料の利用効率が悪いなどの問題があった。
レジスト化しない方法としてインクジェット法が知られている。これまで、インクジェット法に用いることのできる量子ドットインキは作成されていない。
特開2006−216560号公報 特開2008−112154号公報 特開2009−251129号公報 特開2015−127733号公報
神隆、「半導体量子ドット、その合成法と生命科学への応用」、生産と技術、第63巻、第2号、2011年、p58〜p65 Journal of the American chemical society 2007 129 15432-15433
本発明の目的は、半導体微粒子組成物の諸特性、特に量子ドットの蛍光特性を損なうことなく、塗工液やインキ、特にインクジェット法で印刷可能なインキを提供することであり、それを使用して、特性や経時安定性に優れた塗工物や印刷物、より具体的には、蛍光特性に優れた波長変換フィルムやカラーフィルター、発光素子を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定組成の半導体微粒子組成物とすることで、量子ドットなどの諸特性を損なうことなく、前記塗工液やインキ、特にインクジェット法で印刷可能なインキを作製し、それらを使用した前記塗工物、印刷物、特にインキジェット法による印刷物、さらにはそれらを利用した波長変換フィルム、カラーフィルター、発光素子が提供可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)と、溶剤とを含有することを特徴とする半導体微粒子組成物に関する。
また、本発明は、前記コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)との重量比が、1:99〜99:1であることを特徴とする前記の半導体微粒子組成物に関する。
また、本発明は、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)が、ZnS粒子を含有することを特徴とする前記の半導体微粒子組成物に関する。
また、本発明は、前記コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)が、量子ドットであることを特徴とする前記の半導体微粒子組成物に関する。
また、本発明は、さらに樹脂を含有することを特徴とする前記の半導体微粒子組成物に関する。
また、本発明は、前記半導体微粒子組成物を含有することを特徴とする塗工液に関する。
また、本発明は、前記塗工液を使用してなる塗工物に関する。
また、本発明は、前記半導体微粒子組成物を含有することを特徴とするインキ組成物に関する。
また、本発明は、前記インキ組成物を含有することを特徴とするインクジェットインキに関する。
また、本発明は、前記インキ組成物を使用してなる印刷物に関する。
また、本発明は、前記塗工液またはインキ組成物を使用して形成された波長変換フィルムに関する。
また、本発明は、前記塗工液またはインキ組成物を使用して形成されたカラーフィルターに関する。
また、本発明は、発光層が前記塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光素子に関する。
本発明により、半導体微粒子組成物の諸特性、特に量子ドットの蛍光特性を損なうことなく、塗工液やインキ、特にインクジェット法で印刷可能なインキが提供される。また、それを使用して、特性や経時安定性に優れた塗工物や印刷物、より具体的には、蛍光特性に優れた波長変換フィルムやカラーフィルター、発光素子が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
<半導体微粒子組成物と量子ドット>
本発明の主要構成をなす量子ドットは、特定の半導体微粒子からなる組成物であり、半導体微粒子は、無機物を成分とする半導体である。
(半導体微粒子(A))
本発明の半導体微粒子は、コア/シェル構造を有する。
本発明の半導体は、2族元素、10属元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素および16族元素で示される元素の群から選ばれる単体、または2種以上の元素を含む化合物からなる半導体である。具体的には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCOおよび二つまたはそれ以上のそのような材料の適切な組み合わせが挙げられる。
前記のうち好ましくは化合物半導体である。化合物半導体は、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、S,Se,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。
さらに好ましくは、人に対する安全性が懸念される元素を除いた、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、S,Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。可視光を発光する用途では、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、さらに好ましい。
このうち、本発明で好適に用いられるコア/シェル型の半導体微粒子(A)は、コアを形成する半導体成分と異なる半導体成分でコア構造を被覆された構造となる。外部がバントギャップの大きい半導体をすることで、光などのエネルギー励起によって生成された励起子(電子−正孔対)はコア内に閉じ込められる。その結果、半導体微粒子表面での無輻射遷移の確率が減少し、発光の量子収率および半導体量子ドットの蛍光特性の安定性が向上する。量子ドットとして使用される場合に、前記の条件を満たす好適な材料の組合せとしては、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdS/ZnS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、PbSe/PbS、GaP/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSeなどが挙げられる。
また、微粒子(A)のシェル成分としては、ZnS、CdS、ZnSeなどが良く用いられるが、この中でも微粒子(A)のコア成分がInを構成元素として含む半導体微粒子の場合、ZnSが元素毒性がなく、量子ドットとしての励起子閉じ込めなどの特性的にも特に優れており、好適に使用される。
本発明の半導体微粒子(A)の無機材料部分の平均粒径は0.5nm〜100nmであることが好ましく、所望の特性が得られる粒径を選択することができる。コアシェル型の場合、一つの半導体微粒子の中に複数のシェル微粒子を含有してもよい。単一半導体組成である場合の半導体微粒子の平均粒径および、コアシェル型のコアの平均粒径は0.5nm〜10nmであることが好ましい。平均粒径が0.5nm未満となる合成は困難であり、また、量子ドットの場合、10nmを超えると量子閉じ込め効果が得られず、求める蛍光が得られない。量子ドットにおいては同じ材料であってもコア粒径を変えることで蛍光波長を任意に変化出来ることが特徴であり、求める蛍光波長に応じて粒径を設定することになる。シェルの平均厚みは無機材料部分の粒子半径とコア粒子半径の差に相当するが、シェルの厚みが薄いとシェルの強度や閉じ込め効果が十分でなく、厚すぎると全体粒径が大きくなるため塗工液やインキにした場合の分散性に劣ったり、量子ドットの場合、励起方法によってはコアを励起させることが難しくなる。また、被覆材料を含む微粒子全体の平均粒径は2nm〜1μmであることが好ましい。半導体微粒子(A)の形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、そのほかの形状であっても良い。
(微粒子(B))
また、本発明の半導体微粒子組成物は、前記コア/シェル型の半導体微粒子(A)のシェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)を含有することを特徴とする。ここで、半導体微粒子(A)のシェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)の構成物には、後述するリガンドは含まないものとする。リガンドは、吸着しているため、着脱する可能性があるからである。
半導体微粒子組成物は、塗工液やインキの分散安定性、およびそれらを使用した塗工物、印刷物の環境耐性、安定性の向上のために、無機粒子や樹脂を用いた場合がある。しかし、半導体微粒子の特性発揮に悪影響を与えることがあるため、種類が限定されたり、必要最低限の量に抑えたりする必要がある。
ここで、半導体微粒子のシェルを構成する化合物と同様の化合物で構成される微粒子(B)であれば、これらの悪影響は大幅に低減するため、半導体微粒子の特性発揮を維持しつつ、半導体微粒子組成物の塗工液やインキの分散安定性、およびそれらを使用した塗工物、印刷物の環境耐性、安定性の向上が可能となる。
微粒子(B)の成分としては、上述の微粒子(A)のシェル成分と同様に、ZnS、CdS、ZnSeなどが好適に用いられ、さらにこの中でもZnSが元素毒性がなく、好ましい。
本発明の微粒子(B)の無機材料部分の平均粒径は0.5nm〜100nm、であることが好ましく、被覆材料を含む微粒子全体の平均粒径は2nm〜1μmであることが好ましい。微粒子(A)と同様、小さすぎると合成が困難であり、大き過ぎると、分散安定性や使用後の環境耐性を損なう恐れがある。微粒子(B)/微粒子(A)の粒径比は特に規定されるものではないが、球状粒子の細密充填の隙間に入れる半径比が約0.29であることを考慮すると、塗工物や印刷物としての最終形態になった際に、ランダムではあるが全体として均一に充填させるには、粒子の形状や粒子径分布も考慮して概ね0.25〜4の間、微粒子(A)の細密充填の隙間を小径の微粒子(B)で埋めて緻密化したい時は0.25以下、逆に大径の微粒子(B)の細密充填の隙間に微粒子(A)を均等配置して特性向上を狙うには4以上が好ましい。なお、半導体微粒子(A)および/または(B)の形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、そのほかの形状であっても良く、その場合は。前記の粒径比での区分けは異なってくることになり、その意味でもあくまでも目安としての数字である。
本発明でのコア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)との重量比が、1:99〜99:1であることが好ましい。この比率は微粒子(B)を添加することによる微粒子(B)の直接作用による良好な効果と過剰添加で生じる悪影響、および微粒子(B)による微粒子(A)への希釈効果とのバランスで決定される。微粒子(B)の添加量が1以下の場合は実質的な効果が見られないことが多い。また、一般的な量子ドットでは励起光吸収効率が低いことが多いため、波長変換フィルムやカラーフィルターへの使用の場合は、微粒子(A)の重量比を大きく下げることは好ましくない。しかし、発光素子の場合は光励起以外の方法をとるので、いわゆる有機ドーパントと同様に微粒子(A)の重量比を大きく下げた方が好ましい場合が多い。また微粒子(A)の塗工液、インキおよび塗工物、印刷物としての最終形態での半導体微粒子(A)の組成比を調整するために、さらに、微粒子(B)とは異なる組成の無機化合物や、樹脂の添加することを妨げるものではない。
本発明の半導体微粒子(A)および半導体微粒子(B)はさらに有機物で被覆処理されていても良い。これらの有機物は被覆材料または保護材料と称されたり、特に合成時には微粒子表面の処理剤、さらには量子ドットの場合には、リガンドまたは配位子と呼ばれることも多い。一般的に被覆材料として用いることのできる有機物としては、無機半導体微粒子の金属部分に吸着する強い極性、または非共有電子対を有し、さらに、炭素鎖や芳香環が連結した構造、ポリアルキレングリコール構造などを有することで、塗液やインキとして使用する溶剤や樹脂との親和性が高い部分構造を有する有機物である。このような有機物は一般的には、有機および無機顔料や無機化合物材料の分散剤や、洗剤やエマルジョン形成などの際に使用される界面活性剤、乳化剤として良く知られているものであり、本発明でもこれらの化合物を使用することが出来る。また、金属錯体の配位子(リガンド)として使用される部分構造を有する化合物、特に金属への配位座を2個以上有するキレート配位子構造を有する化合物は、半導体微粒子の金属部分へ吸着しやすく、かつ脱離しにくいため、使用することが可能である。
本発明で特に合成時に処理剤として用いることのできる有機物は沸点が高く、アルキル鎖部分の相互作用が期待できる、炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機物が好ましい。また、半導体微粒子への作用を強固にするために極性基を有してもよく、処理できる有機物として、有機酸、有機アミン、硫黄含有有機物、リン含有有機物があげられる。
有機酸としては、末端にカルボン酸を有する化合物を用いることができ、芳香環、エーテル基を含むことができ、分子中にカルボン酸を複数有していても構わない。具体例として、安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ブチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、シクロヘキシル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、エチルヘキサン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、シトロネル酸、スベリン酸、エチレングリコールビス(4-カルボキシフェニル)エーテル、(2-ブトキシエトキシ)酢酸などがあげられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機酸としては、有機酸のうち、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物であり、具体的には、ノナン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、リノレン酸、セバシン酸、(2-オクチルオキシ)酢酸、等があげられる。
有機アミンとしては、末端にアミノ基を有する化合物を用いることができ、芳香環
n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミンがあげられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機アミンとしては、
オクチルアミン、ドデカアミン、ヘプタデカン-9-アミン、N,N-ジメチル-n-オクチルアミンなどがあげられる。
硫黄含有有機物としては、チオール類とジスルフィド類があげられる。
チオール類としては、アリルメルカプタン、1,3-ベンゼンジメタンチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾールブタンチオール、n-ヘキサンチオール、n−ヘプタンチオール、などがあげられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するチオール類の硫黄含有有機物としては、ドデカンチオール、1-ドコサンチオール、tert-ドデシルメルカプタン等があげられる。
ジスルフィド類としては、ビス(4-クロロ-2-ニトロフェニル)ジスルフィド、ヘキシルスルフィド、3,3',5,5'-テトラクロロジフェニルジスルフィド等があげられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するスルフィド類の硫黄含有有機物としては、ドデシルジスルフィド、オクタデシルジスルフィド、ドデシルオクタデシルジスルフィドなどがあげられる。
リン含有有機物としては、リン酸ブチル、リン酸ヘキシル、リン酸ジイソプロピル、(2-エチルヘキシル)ホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル、プロピルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸メチル、イソプロピルホスホン酸ヘキシルなどがあげられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するリン含有有機物としては、リン酸オクチル、リン酸ジドデシル、リン酸ドデシル、ドデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸ドデシル、デシルホスホン酸、デシルホスホン酸イソプロピルなどがあげられる。
本発明の半導体微粒子(A)および/または(B)の合成方法としては、ガラス中で作成する方法、水溶液中で合成する方法、有機溶媒中で合成する方法など、一般的に知られている方法を用いることができる。特に、InP/ZnSコアシェル型量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society.2007,129,15432−15433」、「Journal of American Chemical Society.2016,138,5923−5929」、InCuS2/ZnSコアシェル型量子ドットに関しては技術文献「JournalofAmericanChemicalSociety.2009,131,5691−5697」技術文献「ChemistryofMaterials.2009,21,2422−2429」、Si量子ドットに関しては技術文献「JournalofAmericanChemicalSociety.2010,132,248−253」記載されている方法を参照して合成することができる。
本発明の半導体微粒子(B)の作製方法としては、半導体微粒子(A)のシェル形成過程とは別の方法で合成したり、塊状化合物や粗大粒子を原料として粉砕法によって作製することもできるが、半導体微粒子(A)のシェル形成過程とは同一の方法で合成する方が、不純物混入の種類、量の差異や生成粒子の物性の差異が少なく好ましい。ただし、確実に微粒子(B)を得るためには、シェル形成とは異なった温度、時間などの条件の微調整や、 新たに結晶成長の核となる成分の添加、すなわち作製する粒子と異なる組成の造核剤や 作製する粒子と同組成の微細な種結晶の添加が必要な場合もある。造核剤、種結晶添加により微粒子(A)と(B)を同時に、所望の組成比で生成させることも可能となる。
また、既に被覆材料で表面処理された半導体微粒子組成物と入替えたい別の被覆材料とを溶剤中で撹拌するか、既に被覆材料で表面処理された半導体微粒子組成物を遠心沈降などで溶剤をおおよそ取り除いた後、入替えたい別の被覆材料を含む溶剤に半導体ナノ粒子を再分散させる方法などで、半導体微粒子の被覆材料を交換することができ、これによって塗工液やインキに好適な所望の溶剤や樹脂との親和性の高い被覆材料に表面処理することで、目的とする塗工物や印刷物という最終形態を得ることができる。
本発明の半導体微粒子(A)が量子ドットの場合、塗工液やインキ中の量子ドットは、赤色と緑色のように、複数の発光ピークを得るために、それに対応した粒径の異なる複数種の量子ドットを混合して用いることもでき、その比率は合計でインキ中の含有率の範囲で、自由に選択することができる。
<溶剤と樹脂、添加剤>
本発明で使用される溶剤としては、トルエン、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、P−クロロトルエン、P−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ターシャルターシャルブタノール、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、及び二塩基酸エステル等が挙げられる。
このうちインクジェット法で印刷するためには、吐出ヘッドでの乾燥を防ぐために、常圧における沸点が120℃以上の溶剤である必要がある。常圧における沸点が120℃以上の溶剤の例を挙げる。1,4-ブタンジオール(228℃)、1,3-ブタンジオール(208℃)、2-エチル-1-ヘキサノール(185℃)、ベンジルアルコール(205℃)、ジイソブチルケトン(168℃)、シクロヘキサノン(156℃)、ジアセトンアルコール(168℃)、酢酸ブチル(121℃)、酢酸メトキシブチル(171℃)、酢酸セロソルブ(156℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(146℃)、酢酸アミル(130℃)、乳酸メチル(145℃)乳酸エチル(154℃)、乳酸ブチル(188℃)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(145℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(125℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(134℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(171℃)、エチレングリコール(197℃)、プロピレングリコール(187℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃)、メトキシメチルブタノール(173℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(162℃)、エチレングリコールジエチルエーテル(121℃)、パークロロエチレン(121℃)、ジクロロベンゼン(180℃)、N-メチル-2-ピロリドン(202℃)、ジメチルホルムアミド(153℃)、3-エトキシプロピオン酸エチル(170℃)、γ―ブチロラクトン(203℃)、ジメチルスルホキシシド(189℃)などがあげられる。
溶解性から炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤が好ましく、特に芳香族炭化水素系の常圧における沸点が120℃以上の溶剤は好ましい。
常圧における沸点が120℃以上の炭化水素系溶剤としては、オクタン(125℃)、デカン(174℃)、1−デセン(171℃)、デカヒドロナフタレン(191℃)、ブチルシクロヘキサン(180℃)、2,3,−ジメチルヘプタン(140℃)などがあげられる。
常圧における沸点が120℃以上の芳香族炭化水素系溶剤としては、キシレン(138℃)、メシチレン(164℃)、メチルナフタレン(245℃)、tert−ブチルベンゼン(168℃)、n−ブチルベンゼン(183℃)等があげられる。
また、本発明のインクジェットインキでは、沸点が120℃未満の溶剤も含有することができる。含有する溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、1,4-ジオキサン、メチルターシャリーブチルエーテル、イソプロピルエーテル)、エチレングリコールジメチルエーテル、塩化メチレン、トリクロロエチレン、フルオロカーボン、ブロモプロパン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、1,3-ジオキソランなどを挙げることができる。
沸点が120℃未満の溶剤は、揮発分中0〜60%の範囲内で混合することが好ましい。これ以上の含有率では、インキの乾燥が早くなり、インクジェットの吐出が困難になる。
樹脂としては、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂等があげられ、塗工、印刷方式や基材により適時選択することができる。さらに、含有してもよい樹脂として、直鎖オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂およびシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂などが挙げられる。
本発明の塗工液、インキには、表面張力を調整し印刷基材上でのインキの濡れ性を確保する目的で、界面活性剤を添加してもよい。本発明では、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性の何れの界面活性剤も用いる事が可能である。
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪酸アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩などが挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン二級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコールなどが挙げられる。
界面活性剤のなかでも、印刷基材への濡れ性を向上させるためにも、表面張力調整剤を用いる事が好ましく、具体的には、アセチレンジオール系、シリコン系、アクリル系、フッ素系が好ましい。上記の界面活性剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の塗工液、インキは可塑剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、加水分解防止剤等の種々の添加剤も使用することができる。
<印刷方式>
本発明の塗工物、印刷物は、基材上に本発明の塗工液を成膜、または塗布することで得ることができる。公知の湿式成膜法、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いて作製することができる。
基材としては、ガラス板や樹脂板などが挙げられる。
このうち本発明に用いるインクジェット印刷方式として、記録媒体に対しインクジェットインキを1回だけ吐出して記録するシングルパス方式、及び、記録媒体の最大記録幅の間を、記録媒体の搬送方向と直行する方向に短尺のシャトルヘッドを往復走査させながら記録を行うシリアル型方式の何れを採用しても良い。またインクジェット記録装置としては、インクジェットインキを吐出するインクジェットヘッド(インク吐出手段)と、インクジェットヘッドから吐出されたインキを乾燥させる乾燥工程を備える必要がある。インクジェットヘッドからインキが吐出されると、吐出されたインキは印刷基材上に着弾し画像が記録され、画像は印刷基材が搬送されるに従い、乾燥装置内に搬送され、乾燥処理が行われる。
インクジェット法には特に制限は無く、公知の方法、例えば静電誘引力を利用してインキを吐出させる電荷制御方法、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインキに照射して放射圧を利用しインキを吐出させる音響インクジェット方式、及びインキを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等の何れであっても良い。
またインクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニアス方式でも構わない。さらに吐出法式としては、電気‐機械変換方式(例:シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアモード型、シェアードウォール型等)、電気‐熱変換方式(例:サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例:電解制御型、スリットジェット型等)、及び放電方式(例:スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げる事ができるが、何れの吐出方式を用いても構わない。なお、インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択する事ができる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの液滴量としては、乾燥負荷軽減効果が大きく、画像品質の向上という点でも、0.2〜20ピコリットル(pL)が好ましく、1〜15ピコリットル(pL)がより好ましい。
本発明の最終形態である波長変換フィルムおよびカラーフィルターは、光源からの光を吸収させ、吸収されなかった透過光または光吸収によって生じた蛍光発光によって所望の波長の光を取り出す際に用いられるものである。特に本発明において量子ドットを使用する場合には、優れた量子収率の蛍光発光を利用することになる。本発明の波長変換フィルムは、本発明の塗工液またはインキ組成物を基材に塗布することで得られ、緑色と赤色の蛍光色を発する量子ドットを含有させた塗工または印刷フィルムで、主にディスプレイパネルや照明において光源の青色光を白色光に変換する、あるいは色調の整っていない疑似白色光などを所望の色調に調整する平面状の部材である。
また、本発明のカラーフィルターは、本発明の塗工液またはインキ組成物を用いてフィルターセグメントの少なくとも一つのセグメントを形成することで得られるカラーフィルターであり、特に液晶ディスプレイパネルに使用されるものであり、具体的には、ガラス等の透明な基板の表面に3種以上の異なる色相の微細なストライプ状のフィルターセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なモザイク状のフィルターセグメントを縦横一定の配列に配置したものからなっている。本発明においては、従来の白色光源から青、緑、赤の光を取り出す光吸収型カラーフィルターとは異なり、主に青色LEDなどを光源に、蛍光フィルターによって緑、赤を取り出すものである。量子ドットを使用した場合、光吸収による減光ではなく量子収率の高い蛍光での取出しになるためエネルギーロスが減るとともに、波長分布が狭く純色に近い色が得られるため、高効率のディスプレイを作製可能である。
カラーフィルターの製造は、一般的には、ベタ塗りの薄膜を作製後に、パターニング露光と現像での不要部取り除きというレジスト法によって作製することが多く、本発明における微粒子組成物においても適用することは可能であるが、工程数の違いによる生産性および現像工程での材料ロスがないという低コスト観点から、本発明においてはインクジェット法を適用することが有利である。
また、本発明の最終形態の一つである塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光層を有する発光素子について詳細に説明する。
本発明における発光素子は、一般には電界発光素子と称され、陽極と陰極間に一層または多層の有機層を形成した素子から構成されるが、ここで、一層型電界発光素子とは、陽極と陰極との間に発光層のみからなる素子を指す。一方、多層型電界発光素子とは、発光層の他に、発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子注入層などを積層させたものを指す。また、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ層であるインターレイヤー層を挿入しても良い。したがって、多層型電界発光素子の代表的な素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極(9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/陰極、(10)陽極/正孔注入層/インターレイヤー層/発光層/電子注入層/陰極、(11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/電子注入層/陰極、等の多層構成で積層した素子構成が考えられる。
また、上述した各層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良く、いくつかの層が繰り返し積層されていても良い。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述の多層型電界発光素子の一部の層を多層化する「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が提案されている。これは例えば、ガラス基板/陽極/正孔輸送層/電子輸送性発光層/電子注入層/電荷発生層/発光ユニット/陰極から構成される電界発光素子に於いて、電荷発生層と発光ユニットの部分を複数層積層するといった方法が挙げられる。
正孔注入層には、発光層に対して優れた正孔注入効果を示し、かつ陽極界面との密着性と薄膜形成性に優れた正孔注入層を形成できる正孔注入材料が用いられる。また、このような材料を多層積層させ、正孔注入効果の高い材料と正孔輸送効果の高い材料とを多層積層させた場合、それぞれに用いる材料を正孔注入材料、正孔輸送材料と呼ぶことがある。本発明の電界発光素子用材料は、正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも好適に使用することができる。これら正孔注入材料や正孔輸送材料は、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい必要がある。このような正孔注入層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば10〜10V/cmの電界印加時に、少なくとも10−6cm/V・秒であるものが好ましい。本発明の電界発光素子用材料と混合して使用することができる、他の正孔注入材料および正孔輸送材料としては、上記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、電界発光素子の正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
このような正孔注入材料や正孔輸送材料としては、具体的には、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体(、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等をあげることができる。
このうち、好適なものとして、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物およびスチリルアミン化合物を用いることもできる。例えば、2個の縮合芳香族環を分子内に有する4,4’−ビス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル等や、トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン等をあげることができる。また、正孔注入材料として銅フタロシアニンや水素フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体も挙げられる。さらに、その他、芳香族ジメチリデン系化合物、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入材料や正孔輸送材料として使用することができる。
さらに、正孔注入層に使用できる材料としては、酸化モリブデン(MnO)、酸化バナジウム(VO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化銅(CuO)、酸化タングステン(WO)、酸化イリジウム(IrO)などの無機酸化物もあげられる。
上に説明した正孔注入層を形成するには、上述の化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜化する。正孔注入層の膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。
インターレイヤー層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマーが例示される。また、インターレイヤー層の成膜方法は、高分子量の材料を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からのインターレイヤー層の成膜には、公知の湿式成膜法、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
インターレイヤー層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
一方、電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料や、第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例として挙げられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
上記電子注入材料の中で好ましいものとしては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体が挙げられる。本発明に使用可能な好ましい金属錯体化合物としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体が好適である。8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(5−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5−ジメチル−8−ヒドロキシキノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−フェニル−8−ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−ヒドロキシキノリナート)(4−シアノ−1−ナフトラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物が挙げられる。
また、本発明に使用可能な電子注入材料の内、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体があげられ、具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5 −フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert− ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
さらに、電子注入層に使用できる材料としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)などの無機酸化物もあげられる。
さらに、正孔阻止層には、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた層を形成できる正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)(4−フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。
本発明の電界発光素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極または正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極または電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
本発明の塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光層は好適に用いることが出来る。本発明の塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光層を得るために、本発明の塗工液またはインキ組成物に他の発光性の化合物と組み合わせて発光層を形成することができる。
本発明の塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光層をえるために、本発明の塗工液またはインキ組成物に添加しても良い、青色から緑色の発光を示す化合物としては、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。
前記金属キレート化オキシノイド化合物としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム等の8−ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が好適な化合物としてあげることができる。
また、前記スチリルベンゼン系化合物としては、例えば、ジスチリルピラジン誘導体も、発光層の材料として用いることができる。このほか、ポリフェニル系化合物も、本発明の塗工液またはインキ組成物に加えても良い。
さらに、上述した蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物およびスチリルベンゼン系化合物等以外に、例えば12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、高分子化合物、9,9’,10,10’−テトラフェニル−2,2’−ビアントラセン、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)誘導体、ポリフルオレン誘導体やそれら共重合体等が挙げられる。さらにビス(2−メチル−8−キノリノラート)(パラ−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等のフェノラート配位子と、置換8−キノリノラート配位子を同時に有する金属錯体が挙げられる。
白色の発光を得る場合の発光層としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。電界発光積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。
同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)。二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)。発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)。青色発光体(蛍光ピーク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)。青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)。
さらに、本発明の電界発光素子の陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物またはこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO、ZnO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。さらに、陽極の膜厚は、材料にもよるが通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
また、本発明の電界発光素子の陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、さらに、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
本発明の電界発光素子を作製する方法については、上記の材料および方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、および必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で電界発光素子を作製することもできる。
この電界発光素子は、透光性の基板上に作製する。この透光性基板は電界発光素子を支持する基板であり、その透光性については、400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
これら基板は、機械的、熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではないが、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂などの板が挙げられる。
本発明の電界発光素子の発光層を除く各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、もしくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。また、特表2002−534782や、S.T.Lee, et al., Proceedings of SID’02, p.784(2002)に記載されているLITI(Laser Induced Thermal Imaging、レーザー熱転写)法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。
ポリマー材料を除く有機層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態または液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また特開昭57−51781号公報に開示されているように、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、電界発光素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明の電界発光素子に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
本発明の電界発光素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。また、本発明の電界発光素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「電界発光のすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
本発明の電界発光素子のフルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色変換方式、カラーフィルター方式が挙げられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インクジェット法や印刷法が挙げられる。また、特表2002−534782や、S.T.Lee, et al., Proceedings of SID’02, p.784(2002)に記載されているレーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式では、青色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、青色より長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルター方式では、白色発光の電界発光素子を使って、液晶用カラーフィルターを通して3原色の光を取り出す方法であるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率をあげることもできる。
さらに、本発明の電界発光素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、電界発光素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers,OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている。
以上述べたように、本発明の塗工液またはインキ組成物を使用して形成された発光層を用いた電界発光素子は、低い駆動電圧で長時間の発光を得ることが可能である。故に、本電界発光素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は「重量部」および「重量%」を表す。
<半導体微粒子(量子ドット)の合成>
QD:InP/ZnSコアシェル型量子ドットは技術文献「Inorganic Chemistry 2016,(17)、pp8381−8386」の記載に従い、次のように合成した。また、シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)もこのシェル部分合成過程に準じて合成した。
<量子ドット分散液QD−1の合成・調整>
酢酸インジウム1.35部、オクタン酸亜鉛1.30部 ステアリン酸4.65部、1−オクタデセン92.7部をフラスコに入れ100℃に加熱した。その後、その温度で減圧留去した。フラスコ内をアルゴンガスでみたし、300℃に加熱した。別途、水のないグローボックス中で調製した、トリス(トリメチルシリル)フォスフィン1.16部を添加したヘキサン溶液23部を注入し、280℃9分反応して、急冷した。この溶液15部、1-オクタデセン46部、オレイルアミン11.5部をフラスコ入れ、15分撹拌し、ついで、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛を4.3部加えた。反応フラスコ内をアルゴンで置換して、170℃まで45分で昇温し、170℃にて2時間の間、保温した。冷却し、アセトンを加えて、遠心沈降にて分離した。沈降ペーストをトルエン分散し、処理剤としドデカンチオール3.7部を加えて、室温で24時間撹拌して減圧濃縮後、アセトンを加えて、遠心沈降にて分離した。再び、トルエンに分散して、固形分濃度10%に調製し、ドデカンチオールで表面処理された量子ドット分散液QD−1を得た。
<量子ドット分散液QD−2の調整>
量子ドット分散液QD−1を、トルエンを用いて固形分濃度1%に希釈した。同量の5%ヘキサンチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。トリメチルベンゼンを用いて、固形分濃度10%に調製し、ヘキサンチオールで表面処理された量子ドット分散液QD−2を得た。
<微粒子(B)分散液NP−1の合成・調整>
1-オクタデセン60部、オレイルアミン11.5部をフラスコ入れ、15分撹拌し、ついで、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛を4.3部加えた。反応フラスコ内をアルゴンで置換して、170℃まで45分で昇温し、170℃にて2時間の間、保温した。冷却し、アセトンを加えて、遠心沈降にて分離した。沈降ペーストをトルエン分散し、処理剤としドデカンチオール3.7部を加えて、室温で24時間撹拌して減圧濃縮後、アセトンを加えて、遠心沈降にて分離した。再び、トルエンに分散して、固形分濃度10%に調製し、ドデカンチオールで表面処理された微粒子分散液NP−1を得た。
<微粒子(B)分散液NP−2の調整>
微粒子分散液NP−1を、トルエンを用いて固形分濃度1%に希釈した。同量の5%ヘキサンチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った。トリメチルベンゼンを用いて、固形分濃度10%に調製し、ヘキサンチオールで表面処理された微粒子分散液NP−2を得た。
<樹脂溶液1の調整>
パラフィンワックス155(日本精蝋製)をデカンにNV10%となるように溶解した。
<樹脂溶液2の調整>
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にキシレン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート18.0部、メタクリル酸メチル12.0部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにキシレンを添加して樹脂溶液2を調製した。
<インクジェットインキの作成>
(実施例1〜8、比較例1〜2)
表1に示したインキ組成にて、密閉できる容器に、量子ドット溶液、微粒子(B)溶液(比較例には添加しない)、樹脂溶液、溶剤の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、浸透してインクジェットインキを作成した。
<評価方法>
以下の評価方法で得られた評価結果を表1に示す。
(粘度測定)
25℃にて、振動式粘度計ビスコメイトVM−10A−L(SEKONIC社製)を用いて、測定した。
(外観検査)
インキ外観濁りなく透明な状態を〇、濁りを△、析出物が生じたものを×として、△〜×ではインキを作成することができない。
インクジェット吐出性印刷パターン通りに吐出できたものを〇、ノズルつまり等異常があったものを×とし、×では印刷することができない。
印刷物外観印字パターン通りの画像を〇、かすれが見られる場合を〇△、歪んだ画像を△、印刷パターンの形跡なく付着した状態を×として、△~×は不適である。
(インクジェット吐出試験条件)
印刷機DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン1mm間隔の格子模様
基板丸カバーガラス・松浪ガラス工業製
基板温度30℃
印刷後乾燥40℃20分
(量子収率測定)
測定機絶対PL量子収率測定装置C9920−02
励起波長400nm積分範囲375−425nm
蛍光積分範囲430−800nm
QY(量子収率)維持率は印刷初期のQYを1として、4週間後の比率を示した。
Figure 2019108244
本発明のインクジェットインキを用いると、インクジェット印刷可能であり、量子収率も高く印刷できることが確認された。その他の塗工液、インキを用いて他の塗工法、印刷法で作製した塗工物、印刷物もほぼ同等の特性を有すると想定され、これらを使用した波長変換フィルム、カラーフィルターが所望の性能を発揮できることが示された。
<電界発光素子の作成>
以下に記載のとおり、電界発光素子を作成した。実施例においては、特に断りのない限り、混合比は全て重量比を示す。蒸着(真空蒸着)は10−6Torrの真空中にて、基板の加熱や冷却といった温度制御はしない条件下で行った。
インクジェット吐出試験条件
印刷機DimatixMaterialsPrinter
カートリッジ10DimatixMaterialsCartriges、10pL
印刷パターン ベタ(2mm×2mmの素子が合計6つ形成される1.2cm×1.2cm範囲の面積)
基板温度30℃
印刷後乾燥40℃20分
また、素子の発光特性は、発光素子面積2mm×2mmの電界発光素子を用いて特性を測定した。
(実施例9)
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD−1を1部、微粒子(B)分散液NP−1を1部、樹脂溶液1を2部、次いで、溶剤としてデカンを60部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、浸透してインクジェットインキを作成した。
洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Heraeus社製CLEVIOUS(登録商標) P VP CH8000)をスピンコート法にて製膜し、110℃にて20分間乾燥させて膜厚35nmの正孔注入層を得た。次いで、ポリ(N―ビニルカルバゾール)を、1.0重量%の濃度でモノクロロベンゼンに溶解させ、スピンコート法で製膜し110℃にて20分間乾燥させて、35nmの膜厚の正孔輸送層を形成した。その上に、作成したインクジェットインキを用い、上述の条件でインクジェット吐出性印刷で20nmの膜厚の発光層を形成したその上に、Avantama社製 酸化亜鉛のイソプロパノール分散液 N−10を、スピンコート法で製膜し、80nmの電子輸送層を形成した。最後に、アルミニウム(Al)を200nm蒸着して電極を形成し、電界発光素子を得た。この素子は、8Vにて外部量子効率3.5%、発光輝度15000(cd/m2)の赤色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は653nmであり、半値全幅は55nmであった。この素子を発光輝度1000(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。また、電流密度10(mA/cm)で駆動させた時の発光効率は3.5(cd/A)、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の相対輝度(=(100時間後の輝度)/(初期輝度))は0.85であった。
(実施例10)
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD−2を1部、微粒子(B)分散液NP−2を1部、樹脂溶液2を2部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを60部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、浸透してインクジェットインキを作成した。
これを実施例9のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例9と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。この素子は、8Vにて外部量子効率4.4%、発光輝度25000(cd/m2)の緑色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は545nmであり、半値全幅は45nmであった。この素子を発光輝度1000(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。また、電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の発光効率は6.1(cd/A)、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の相対輝度(=(100時間後の輝度)/(初期輝度))は0.90であった。
(実施例11)
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD−2を0.1部、微粒子(B)分散液NP−2を1.9部、樹脂溶液2を2部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを60部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、浸透してインクジェットインキを作成した。
これを実施例9のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例9と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。この素子は、8Vにて外部量子効率5.5%、発光輝度33000(cd/m2)の緑色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は542nmであり、半値全幅は30nmであった。この素子を発光輝度1000(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。また、電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の発光効率は8.2(cd/A)、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の相対輝度(=(100時間後の輝度)/(初期輝度))は0.92であった。
(比較例3)
密閉できる容器に、量子ドット分散液QD−2を2部、樹脂溶液2を2部、次いで、溶剤としてトリメチルベンゼンを60部の順番で計量し、その後、密閉して、3分間、浸透してインクジェットインキを作成した。
これを実施例9のインクジェットインキに変えて発光層を形成する以外は実施例9と同様に各層を作成し、電界発光素子を得た。この素子は、8Vにて外部量子効率2.9%、発光輝度12000(cd/m2)の緑色発光を示し、その発光スペクトルのピーク波長は546nmであり、半値全幅は60nmであった。この素子を発光輝度1000(cd/m2)で室温にて定電流駆動したときの輝度半減寿命は1000時間以上であった。また、電流密度10(mA/cm2)で駆動させた時の発光効率は3.3(cd/A)、および80℃の環境で100時間連続駆動させた後の相対輝度(=(100時間後の輝度)/(初期輝度))は0.79であった。
本発明の半導体微粒子組成物からなるインクジェットインキを用いてイ発光素子を作成することにより、発光特性および安定性に優れた素子を作成することができた。その他の塗工液、インキを用いて他の塗工法、印刷法で作製した発光素子においても優れた特性を発揮できると想定される。

Claims (13)

  1. コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)と、溶剤とを含有することを特徴とする半導体微粒子組成物。
  2. コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)と、前記シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)との質量比が、1:99〜99:1であることを特徴とする請求項1記載の半導体微粒子組成物。
  3. シェルを構成する化合物のみからなる微粒子(B)が、ZnS粒子を含有することを特徴とする請求項1または2記載の半導体微粒子組成物。
  4. コア/シェル構造を有する半導体微粒子(A)が、量子ドットであることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の半導体微粒子組成物。
  5. さらに樹脂を含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載の半導体微粒子組成物。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の半導体微粒子組成物を含有することを特徴とする塗工液。
  7. 請求項6記載の塗工液を用いて形成された塗工物。
  8. 請求項1ないし5いずれか記載の半導体微粒子組成物を含有することを特徴とするインキ組成物。
  9. 請求項8記載のインキ組成物を含有することを特徴とするインクジェットインキ。
  10. 請求項8記載のインキ組成物を用いて形成された印刷物。
  11. 請求項6記載の塗工液、または請求項8記載のインキ組成物を用いて形成された波長変換フィルム。
  12. 請求項6記載の塗工液、または請求項8記載のインキ組成物を用いて形成されたカラーフィルター。
  13. 発光層が請求項6記載の塗工液、または請求項8記載のインキ組成物を用いて形成された発光素子。
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