JP2023155300A - インキ組成物、発光層及び電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】量子ドットへの電気エネルギー注入を阻害することなく駆動電圧の低減が可能であり、かつ、積層による下層へのダメージが抑制された発光効率や耐久性に優れた電界発光素子と、その発光層、さらに、それらを形成するためのインキ組成物の提供。【解決手段】上記課題は、量子ドット及び溶剤を含み、前記量子ドットが、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するキャリア輸送性リガンドを含み、前記溶剤が、一般式(1)~(4)より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含み、一般式(1)~(4)の溶剤の合計量が、溶剤全量に対して50質量%以上である、インキ組成物によって解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、量子ドット及び溶剤を含むインキ組成物、及び、該インキ組成物を用いてなる発光層及び電界発光素子に関する。
軽量・薄型で消費電力が少なく、且つ形状の自由度に優れた面発光型素子として、電界発光素子(EL、ElectroLuminescence)が注目されている。電界発光素子は、高輝度発光、高速応答、広視野角、薄型軽量、高解像度等の多くの優れた特徴を有し、フラットパネルディスプレイや照明への応用が検討されており、電界発光素子の1つとして量子ドットの利用が注目されている。
量子ドットは、電荷キャリア及び励起子が3次元の全ての方向に閉じ込められナノスケールの半導体粒子であり、半導体ナノ粒子とも呼ばれる。量子ドットは、原子又は分子的な挙動と、バルク形態のような巨視的固体の挙動との中間的な挙動を示し、粒子サイズの減少にともない、有効なバンドギャップが増大する。つまり、量子ドットのサイズが小さくなると、その吸収と発光がより短波長側、即ち赤色方向から青色方向へとシフトする。また、量子ドットの組成と粒子サイズとの組み合わせを制御することにより、赤外領域から紫外領域までの広範囲のスペクトルを得ることができ、更に粒子サイズの分布を制御することにより、半値幅が狭く色純度に優れたスペクトルを得ることができる。
近年、これらの特性を生かして、発光材料として量子ドットを用いた、電界発光素子が提案されている。
一般的に量子ドットは、水や有機溶剤中に分散した量子ドット含有組成物として扱われ、コーティングや印刷等の湿式方法で製膜加工される。そのため、電界発光素子を構成する多層の層の内、量子ドット含有組成物により形成される発光層の下層は、該組成物に含まれる溶剤等によってダメージを受けるため、下層を構成する材料や有機溶剤の選択には制限がある。
特に、電界発光素子では、発光層の下層に正孔輸送層を有していることが多く、芳香族低分子や芳香族高分子を用いた正孔輸送層上に、芳香族系の有機溶剤を含む量子ドット含有組成物を塗布すると、正孔輸送層に大きなダメージが発生する。
上記課題に対し、特許文献1には、量子ドット含有組成物中の溶剤により下層が溶解し、混合層となることを利用して特性を改善する技術が開示されている。また、特許文献2には、トリフェニルアミン骨格を有しフォスフィンオキシドを吸着基としたリガンを有する量子ドットをジエチレングリコールジブチルエーテルに分散させたインキが記載されている。
国際公開第2015/105027号 国際公開第2019/065346号
しかしながら、特許文献1の発明は、下層と有機溶剤との組合せによっては必ずしも改善につながるわけではなく、むしろ悪化する場合が多い。さらに、混合層の再現性が悪く素子特性が安定しないという課題がある。また特許文献2は、吸着基がフォスフィンオキ
シドのリガンドと、ジエチレングリコールジブチルエーテルとを組み合わせており、素子特性及びインキのインクジェット吐出性が低いという課題がある。
即ち、本発明の課題は、量子ドットへの電気エネルギー注入を阻害することなく駆動電圧の低減が可能であり、かつ、積層による下層へのダメージが抑制された発光効率や耐久性に優れた電界発光素子と、その発光層、さらに、それらを形成するためのインキ組成物を提供することである。
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の実施形態は、量子ドット及び溶剤を含むインキ組成物であって、前記量子ドットが、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するキャリア輸送性リガンドを含み、前記溶剤が、下記一般式(1)~(4)で表わされる溶剤を少なくとも1種含み、下記一般式(1)~(4)で表わされる溶剤の合計量が、溶剤全量に対して50質量%以上である、インキ組成物に関する。
一般式(1): R36CO(OR37OR38
一般式(2): R39CO(OR40OCOR41
一般式(3): R42(OR43OR44
一般式(4): R45(OR46OR47
[一般式(1)~(4)中、
36、R38、R39、R41、R42及びR44は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基を表し、R37、R40及びR43は、各々独立して、炭素数2~4のアルキレン基を表し、R45及びR47は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R45及びR47のうち少なくとも1つは水素原子であり、R46は、炭素数1~10のアルキレン基を表し、p、q、r及びsは、各々独立して、1~6の整数を表す。]
本発明の他の実施形態は、前記キャリア輸送性リガンドが、一般式(5)で表わされる基を有する化合物である、上記記載のインキ組成物に関する。
一般式(5)
Figure 2023155300000001
[一般式(5)中、Lは、直接結合又は炭素数1~5のアルキレン基であり、Lは、炭素数1~5のアルキレン基であり、R48は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、0~4の整数である。]
本発明の他の実施形態は、インクジェット方式で用いられる、上記記載のインキ組成物に関する。
本発明の他の実施形態は、上記記載のインキ組成物を用いて形成される発光層に関する
本発明の他の実施形態は、基板上に、陽極、正孔輸送層、上記記載の発光層及び陰極が、この順に積層されている構成を備えた電界発光素子であって、前記正孔輸送層に接して前記発光層が設けられている、電界発光素子に関する。
本発明により、量子ドットへの電気エネルギー注入を阻害することなく駆動電圧の低減が可能であり、かつ、積層による下層へのダメージが抑制された発光効率や耐久性に優れた電界発光素子と、その発光層、さらに、それらを形成するためのインキ組成物を提供することができる。
<インキ組成物>
本発明のインキ組成物は、量子ドット及び溶剤を含み、前記量子ドットが、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するキャリア輸送性リガンドを含み、前記溶剤が、特定の構造に属する溶剤を含み、特定の構造に属する溶剤の合計量が、溶剤全量に対して50質量%以上であることを特徴とする。
このようなインキ組成物を用いることで、該組成物を用いて形成される発光層及び電界発光素子は、量子ドットへの電気エネルギー注入が阻害されることなく駆動電圧の低減が可能となり、かつ積層による下層へのダメージが抑制されるため、優れた発光効率や耐久性を示す。
以下に、本発明について詳細に説明する。
<量子ドット>
本発明における量子ドットは、数nm~十数nm程度の半導体ナノ粒子と、リガンドと呼ばれる材料から構成されている。リガンドは、主として半導体ナノ粒子の表面に物理的又は化学的に吸着しており、溶剤への分散性を付与することに加え、半導体ナノ粒子表面を保護する役割を担っている。
<半導体ナノ粒子>
半導体ナノ粒子の材質としては、炭素(C)(不定形炭素、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ等)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、錫(Sn)等の周期表第IV族元素の単体、リン(P)(黒リン)等の周期表第V族元素の単体、セレン(Se)、テルル(Te)等の周期表第VI族元素の単体、酸化錫(IV)窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、砒化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、砒化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第III族元素と周期表第V族元素との化合物硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe、GaSe)テルル化ガリウム(GaTe、GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In、InS)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等の周期表第III族元素と周期表第VI族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第II族元素と周期表第VI族元素との化合物、酸化銅(I)(CuO)等の周期表第I
族元素と周期表第VI族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第I族元素と周期表第VII族元素との化合物等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を併用してもよい。
これらの半導体には、構成元素以外の元素が含有されていてもよく、例えばIII-V族を例にとれば、INGaP、INGaNの様な合金系であってもよい。また上記材料中に、希土類元素あるいは遷移金属元素がドープされた半導体ナノ粒子も使用でき、例えば、ZnS:Mn、ZnS:Tb、ZnS:Ce、LaPO:Ce等が挙げられる。
この中でも、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、セレン化ガリウム(GaSe、GaSe)、硫化インジウム(In、InS)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、InGaP、InGaN等の合金系が好ましく用いられ、より好ましくは、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)であり、さらに好ましくは、InPをコアに、ZnS、及び/又は、ZnSeをシェルに有するものである。
さらに、半導体ナノ粒子の材質としてペロブスカイト結晶を好適に用いることができる。ペロブスカイト結晶は、下記式(I)で表される組成を有し、3次元結晶構造を持つものである。
式(I): AQX
[式(I)において、Aは、メチルアンモニウム(CHNH)及びホルムアミジニウム(NHCHNH)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるアミン化合物の1価陽イオン、又は、ルビジウム(Rb)、セシウム(Ce)及びフランシウ(Fr)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるアルカリ金属元素の1価陽イオンであり、Qは、鉛(Pb)及び錫(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも1種である金属元素の2価陽イオンであり、Xは、ヨウ素(I)、臭素(Br)及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとも1種のハロゲン元素の1価陰イオンである。]
半導体ナノ粒子は、コアシェル構造を有するものであることが好ましい。コアシェル型の半導体ナノ粒子は、コアを形成する材質と異なる成分からなる材質でコア構造を被覆した構造となる。シェルにバントギャップの大きい半導体を選択することで、光励起によって生成された励起子(電子-正孔対)はコア内に閉じ込められる。その結果、粒子表面での無輻射遷移の確率が減少し、発光の量子収率及び蛍光特性の安定性が向上する。また、シェルは複数層あってもよい。更に、コアとシェル、及び、あるシェルと他のシェルの境界は明確であっても濃度勾配を設けて徐々に接合されたグラージェント構造で合ってもよい。更に、シェルはコアの一部だけを被覆している状態でも、全体を被覆していてもよい。
コアとシェルとを含めた半導体ナノ粒子の平均粒径は、通常0.5nm~100nmであり、好ましくは1~50nmであり、さらに好ましくは1~15nmである。
ここで言う平均粒径とは、半導体ナノ粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、無作為に30個のサイズを計測してその平均値を採用した値を指す。この際、半導体ナノ粒子は後述のリガンドを伴うため、エネルギー分散型X線分析が付帯した走査型透過電子顕微鏡を用いることで、半導体材質部を特定した上で、透過型電子顕微鏡像において電子密度の違いから後述のリガンドに対し半導体ナノ粒子部分は暗く撮像されることを利用し粒径を計測す
る。半導体ナノ粒子の形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、その他形状であっても良い。
<リガンド>
本発明における量子ドットは、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するキャリア輸送性リガンドを含むことを特徴とする。ここでリガンドとは、半導体ナノ粒子の表面処理に用いられ、前記半導体ナノ粒子表面の少なくとも一部を覆うものであり、アルキルチオール等の従来のリガンドは絶縁物質であるために、量子ドットへの電気エネルギー注入を阻害する課題があるところ、本発明では、キャリアである正孔及び電子の輸送性を有するキャリア輸送性リガンドを含むことで、量子ドットへの電気エネルギー注入を阻害することなく駆動電圧を低減し、優れた発光効率や耐久性を発揮することができる。
表面処理の方法としては、例えば、半導体ナノ粒子の合成の際にリガンドを添加することにより、半導体ナノ粒子に予めリガンドを化学吸着させ表面処理する方法;半導体ナノ粒子、又は、別のリガンドで表面処理された半導体ナノ粒子と、リガンドとを溶剤中で撹拌することで、半導体ナノ粒子の表面にリガンドを化学吸着、物理吸着又は化学結合させて表面処理する方法;半導体ナノ粒子、又は、別のリガンドで表面処理された半導体ナノ粒子を、遠心沈降等で溶剤を除去した後、リガンドを含む溶剤に再分散し、化学吸着、物理吸着又は化学結合させて表面処理する方法;が挙げられる。
<キャリア輸送性リガンド>
本発明におけるキャリア輸送性リガンドは、半導体ナノ粒子への吸着部位である、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基と、芳香族骨格部位とを有するものである。芳香族骨格は、σ電子に比べて動きやすいπ電子を共役する形で有しているため、正孔や電子等のキャリアの授受をし易いためキャリア輸送性を有する。キャリア輸送性としては、正孔輸送性及び電子輸送性が挙げられ、キャリア輸送性リガンドは、正孔輸送性を備える正孔輸送性リガンドであってもよく、電子輸送性を備える電子輸送性リガンドであってもよく、正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えるリガンドであってもよい。以下、正孔輸送性と電子輸送性を兼ね備えるリガンドは、正孔輸送性リガンド又は電子輸送性リガンドのいずれにも含まれるものとする。キャリア輸送性が、正孔輸送性又は電子輸送性のいずれかであるかは、芳香族骨格やイオン化ポテンシャルによって決定される。
以下に、正孔輸送性リガンド及び電子輸送性リガンドについて説明する。
[正孔輸送性リガンド]
正孔輸送性リガンドは、前述のとおり、半導体ナノ粒子表面への吸着部位である、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基と、正孔輸送する機能を持つ正孔輸送性部位とを有し、吸着部位と正孔輸送性部位とは完全に分離している必要は無く、例えば、正孔輸送性部位の一部が吸着部位となっていてもよい。
正孔輸送性部位は、有機電界発光素子材料として用いられる公知の正孔輸送性化合物及びその誘導体からなる構造を有する部位が挙げられ、特に限定されないが、例えば、第三級芳香族アミン、チオフェンオリゴマー、チオフェンポリマー、ピロールオリゴマー、ピロールポリマー、フェニレンビニレンオリゴマー、フェニレンビニレンポリマー、ビニルカルバゾールオリゴマー、ビニルカルバゾールポリマー、フルオレンオリゴマー、フルオレンポリマー、フェニレンエチンオリゴマー、フェニレンエチンポリマー、フェニレンオリゴマー、フェニレンポリマー、アセチレンオリゴマー、アセチレンポリマー、フタロシアニン、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン、及びポルフィリン誘導体が挙げられる。また、以下に示す化合物及びその誘導体も、正孔輸送性部位として使用できる。


さらに、正孔輸送リガンドの好ましい構造として下記一般式(6)、一般式(7)又は一般式(8)で表されるものが挙げられる。
一般式(6)
[一般式(6)中、Xは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアシル基であり、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよい(ポリ)オルガノシロキサン基、カルボキシル基又はスルファニル基であり、X及びR~Rの内、少なくとも1つが、カルボキシル基を有する基又はスルファニル基を有する基である。]
一般式(7)
[一般式(7)中、R11~R25は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有
してもよい(ポリ)オルガノシロキサン基、ニトロ基、置換基を有してもよいアミノ基、カルボキシル基又はスルファニル基であり、R11~R25の内、少なくとも1つが、カルボキシル基を有する基又はスルファニル基を有する基である。]
一般式(8)
[一般式(8)中、Xは、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基(ただしフェニル基を除く)、又は置換基を有してもよいアシル基であり、R26~R35は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよい(ポリ)オルガノシロキサン基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいアシル基、カルボキシル基又はスルファニル基であり、X及びR26~R35の内、少なくとも1つが、カルボキシル基を有する基又はスルファニル基を有する基である。]
以下に、上記一般式(6)~(8)における置換基について説明する。
アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、一部の水素原子が脱落し2重結合や3重結合を形成していてもよい。組成物中における半導体微粒子の含有率を高めることが可能となる点から、処理剤の分子量は小さいことが好ましく、アルキル基の炭素数が1~30であることが好ましい。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ヘキシル基、ドデシル基、エイコシル基等の直鎖アルキル基;2-エチルヘキシル基等の分岐アルキル基;シクロヘキシル基、3-シクロヘキシルプロピル基等の環状アルキル基;エテニル基、ドデセン基等のアルケニル基;プロパ-2-イン-1-基、プロパルギル基等のアルキニル基が挙げられる。
アリール基は、芳香環から形式的に水素原子を1つ取り除いた残基であり、より好ましくは、炭素数6から30の芳香環から形式的に水素原子を1つ取り除いた残基である。
芳香環としては例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、キノリン環、フラン環、ピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾフラン環、プリン環、アクリジン環、フェノチアジン環、ビフェニル基、又はターフェニル基等を挙げることができる。
アルコキシ基は、エーテル結合を介してアルキル基が結合した官能基であり、当該アルキル基としては、前述の一般式(6)~(8)におけるアルキル基と同義である。
アリールオキシ基は、エーテル結合を介してアリール基が結合した官能基であり、当該アリール基としては、前述の一般式(6)~(8)におけるアリール基と同義である。
アシル基は、カルボニル基を介してアルキル基又はアリール基が結合した官能基であり、当該アルキル基及びアリール基としては、前述の一般式(6)~(8)におけるアルキル基及びアリール基と同義である。
(ポリ)オルガノシロキサン基は、シロキサン化合物から形式的に水素原子を1つ取り除いた残基であり、シロキサン化合物のケイ素には、アルキル基が置換していてもよい。置換してもよいアルキル基は、前述の一般式(6)~(8)におけるアルキル基と同義である。シロキサン化合物の例としては、例えば、ペンタメチルジシロキサン、ヘプタエチルトリシロキサン、ウンデカメチルテトラシロキサン、トリメチルシロキシジメチルシラノール、1,1,3,3,テトラメチル-1,3-ジヒドロキシジシロキサン又は1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ジヒドロキシ-トリシロキサンが挙げられる。
インキ組成物中における半導体微粒子の含有率を高めることが可能となる点から、リガンドの分子量は小さいことが好ましく、シロキサン結合の繰り返し数は4回以下であることが好ましい。
置換基を有してもよいアミノ基は、アミノ基及び置換アミノ基を含み、置換アミノ基の置換基としては、アルキル基、アリール基又はアシル基が挙げられる。上記アルキル基、アリール基及びアシル基は、前述の一般式(6)~(8)におけるアルキル基、アリール基又はアシル基と同義である。
また、一般式(6)~(8)におけるアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、アリールオキシ基及びアシル基は、置換基を有していてもよい。
有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、スルファニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、又はシロキサン結合を含む基等が挙げられる。
本発明における有してもよい置換基は、上述の1価の置換基と、必要に応じてアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、エーテル結合、エステル結合、スルフィド結合、カルボニル基、イミノ基又はそれらを組み合わせた2価の連結基と、を組み合わせた1価の基であってもよい。
また、カルボキシル基又はスルファニル基を有する基とは、カルボキシル基及びスルファニル基のほか、置換基としてカルボキシル基又はスルファニル基を有する、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、(ポリ)オルガノシロキサン基又はアシル基を含む。ここで、カルボキシル基及びスルファニル基のほか、置換基としてカルボキシル基又はスルファニル基を有する、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、(ポリ)オルガノシロキサン基、アシル基又はニトロ基は、前述の一般式(6)~(8)における基と同義である。
カルボキシル基を有するアルキル基、又はカルボキシル基を有するアリール基の例としては、例えば、2-カルボシキシルエチル基、2,2-ジカルボキシルエチル基、2-カルボシキシルエテニル基、2-シアノ-2-カルボシキシルエテニル基、2-トリフルオロメチル-2-カルボシキシルエテニル基、2-フルオロ-2-カルボシキシルエテニル基が挙げられる。
スルファニル基を有するアルキル基、スルファニル基を有するアリール基、又はスルファニル基を有するアシル基としては、例えば、[(3-スルファニルプロパノイル)オキシ]エチル基、[(2-スルファニルアセチル)オキシ]エチル基、4-(スルファニルメチル)フェニル基、[(3-スルファニルプロパノイル)オキシ]プロピル基、3-スルファニル[(3-スルファニルプロパノイル)オキシ]エチル基、又は{[(2-スルファニルエトキシ)プロパノイル]オキシ}エチル基が挙げられる。
以下に、一般式(6)~(8)で表されるリガンドの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、下記構造式において、シス型及びトランス型の幾何異性体が存在する場合は、シス型であってもよく、トランス型であってもよく、シス型及びトランス型の異性体混合物であってもよい。シン-アンチの幾何異性についても同様である。
[電子輸送性リガンド]
電子輸送性リガンドは、前述のとおり、半導体ナノ粒子表面への吸着部位である、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基と、電子輸送する機能を持つ電子輸送性部位とを有し、吸着部位と電子輸送性部位とは完全に分離している必要は無く、例えば、電子輸送性部位の一部が吸着部位となっていてもよい。
電子輸送性部位は、有機電界発光素子材料として用いられる公知の電子輸送性化合物及びその誘導体からなる構造を有する部位が挙げられ、特に限定されないが、例えば、オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール、オキサゾール誘導体、イソオキサゾール、イソオキサゾール誘導体、チアゾール、チアゾール誘導体、イソチアゾール、イソチアゾール誘導体、チアジアゾール、チアジアゾール誘導体、1,2,3-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール誘導体、1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリアジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピロールオリゴマー、ピロールポリマー、フェニレンビニレンオリゴマー、フェニレンビニレンポリマー、ビニルカルバゾールオリゴマー、ビニルカルバゾールポリマー、フルオレンオリゴマー、フルオレンポリマー、フェニレンエチンオリゴマー、フェニレンエチンポリマー、フェニレンオリゴマー、フェニレンポリマー、チオフェンオリゴマー、チオフェンポリマー、アセチレンポリマー、及びアセチレンオリゴマー誘導体が挙げられる。また、以下に示す化合物及びその誘導体も電子輸送性部位として使用できる。
なお、上述の正孔輸送性部位及び電子輸送性部位に、同一の構造が含まれているが、これは、電子輸送性部位と正孔輸送性部位のどちらにもなりえるためである。リガンドが正孔輸送性又は電子輸送性のどちらとして振る舞うかは、正孔輸送性リガンドと電子輸送性リガンドの相対的なHOMO-LUMOの関係、及び電界発光素子で用いられる他の化合物との相対的なHOMO-LUMOの関係によって決まり、さらに、特定の構造であっても、電子吸引性や電子供与性の置換基の存在によりHOMOやLUMOは変化する。上記理由により、一部の構造は、正孔輸送性部位及び電子輸送性部位のどちらにもなりえるため、双方に記載している。
正孔輸送性リガンド及び電子輸送性リガンドは、上述の正孔輸送性部位と吸着部位、又は、電子輸送性部位と吸着部位が、直接結合していてもよいし、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。この場合のアルキレン基としては、分岐又は直鎖のアルキレン基が挙げられ、好ましくは直鎖状アルキレン基である。また、アルキレン基の炭素数は1~5程度が好適であり、具体例としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、又はn-ペンチレン基等が挙げられる。
本発明のキャリア輸送性リガンドは、下記一般式(5)に示す置換基を有することが好ましい。
一般式(5)
[一般式(5)中、Lは、直接結合又は炭素数1~5のアルキレン基であり、Lは、炭素数1~5のアルキレン基であり、R48は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、0~4の整数である。]
一般式(5)のL~Lにおける、炭素数1~5のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基が挙げられる。中でも好ましくは炭素数1~3のアルキレン基である。
繰り返し単位に含まれるLは、繰り返し構造中において、同一であってもよいし、異なるものであってもよい。
一般式(5)のR48における、炭素数1~5のアルキル基としては、例えば、メチル
基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基が挙げられる。中でも、好ましくは炭素数1~3のアルキル基である。
<溶剤>
本発明のインキ組成物は、下記一般式(1)~(4)より選ばれる少なくとも1種の溶剤を含み、一般式(1)~(4)の溶剤の合計量が、溶剤全量に対して50質量%以上であることを特徴とする。
一般式(1): R36CO(OR37OR38
一般式(2): R39CO(OR40OCOR41
一般式(3): R42(OR43OR44
一般式(4): R45(OR46OR47
[一般式(1)~(4)中、
36、R38、R39、R41、R42及びR44は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基を表し、R37、R40及びR43は、各々独立して、炭素数2~4のアルキレン基を表し、R45及びR47は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R45及びR47のうち少なくとも1つは水素原子であり、R46は、炭素数1~10のアルキレン基を表し、p~sは、各々独立して、1~6の整数を表す。]
上記特定の構造に属する溶剤を所定量以上含有することで、インクジェット印刷性が優れたものとなり、平滑で欠陥の無い発光層が得られる。加えてこれらの溶剤は、芳香族系の低分子化合物や高分子化合物をほとんど溶解せず、さらに、芳香族化合物を含む下層への濡れ性に優れることから、芳香族化合物を含む下層上に発光層を積層する場合においても、下層と発光層との界面が乱されることがなく、下層と密着した発光層を形成することができる。そのため、本発明のインキ組成物を用いて形成される発光層及び電界発光素子は、量子ドットへの電気エネルギー注入が阻害されることなく駆動電圧の低減が可能とな
り、かつ積層による下層へのダメージが抑制されるため、優れた発光効率や耐久性を示す。
一般式(1)に該当する溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルブチレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルブチレート、プロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルブチレート、メトキシブチルアセテート等のグリコールモノアセテート類が挙げられる。
一般式(2)に該当する溶剤の具体例としては、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールアセテートプロピオネート、エチレングリコールアセテートブチレート、エチレングリコールプロピオネートブチレート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールアセテートジブチレート、ジエチレングリコールアセテートプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートブチレート、ジエチレングリコールプロピオネートブチレート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールアセテートジブチレート、プロピレングリコールアセテートプロピオネート、プロピレングリコールアセテートブチレート、プロピレングリコールプロピオネートブチレート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールアセテートジブチレート、ジプロピレングリコールアセテートプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートブチレート、ジプロピレングリコールプロピオネートブチレート、ジプロピレングリコールジプロピオネート、ジプロピレングリコールアセテートジブチレート等のグリコールジアセテート類が挙げられる。
一般式(3)に該当する溶剤の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、等のグリコールジアルキルエーテル類が挙げられる。
一般式(4)に該当する溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(1-メトキシ-2-プロパノール)、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-3メチルブタノール、3-メトキシブタノール等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチルヘキサンジオール等のアルカンジオール類;が挙げられる。
本発明では、一般式(1)~(4)で示したもの以外の従来公知の溶剤を含んでもよい。このような溶剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n-ブチル等の芳香族エステル;シクロヘキサノン、シクロオクタノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル等の脂肪族エステル;n-ヘキサン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、n-ヘプタン、n-デカン、2,2,4-トリメチルペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素;が挙げられる。
これら溶剤は、1種を単独で使用してもよく、複数種を混合して用いてもよい。
本発明のインキ組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、後述する他の公知の発光材料や公知の添加剤を添加してもよい。公知の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、消泡剤、レベリング剤、及び、増粘剤が挙げられる。
また本発明のインキ組成物は、インクジェットインクとして特にインクジェット方式に好適に用いることができる。
本発明のインキ組成物がインクジェットインキとして用いられる場合、インクジェットインキの25℃での粘度は、好ましくは2~100mPa・s、より好ましくは2~40mPa・s、さらに好ましくは4~20mPa・sである。この粘度領域であれば、通常の4~10KHzの周波数を有するヘッドから10~50KHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示すことができる。粘度が2mPa・s以上であると、高周波数のヘッドにおいて吐出の追随性の低下が認められず好ましい。100mPa・s以下であると、吐出性が良好であり吐出安定性に優れるため好ましい。
インキ組成物がインクジェット方式で用いられる場合、インクジェットインクの表面張力は、好ましくは20~40mN/m、より好ましくは24~35mN/mである。20mN/m以上であるとインクが液滴を形成することができ、40mN/m以下であるとヘッドからインクが安定して吐出することができる。
またインキ組成物は、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電気伝導率とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインキとすることが好ましい。またコンティニュアスタイプにおいては、電解質による電気伝導率の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電気伝導率に調整することが好ましい。
<発光層>
本発明の発光層は、上述の本発明のインキ組成物を用いて形成することができる。
発光層の形成方法として好ましくは湿式成膜法であり、例えば、塗布法、インクジェット法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコーター法、湿漬塗布法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷、スクリーン印刷法、LB法が挙げられる。
発光層の厚みは、好ましくは1~500nm、より好ましくは5~100nm、さらに好ましくは5~50nmである。500nm以上であると通電が困難となり、1nm以下である場合、量子ドットがほとんど無い疎な状態となり、発光層として機能しない。
発光層は、平滑性が高い方が、発光ムラが無く耐久性に優れた電界発光素子が得られるため好ましく、例えば、量子ドットの凝集物等が膜中に無い方が好ましい。平滑性を示すパラメータとしては、表面粗さの指標でもある算術平均粗さRaが挙げられる。本発明の発光層のRaは、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは10nm以下である。Raを計測する装置としては、触針式の表面形状測定装置であるDECTAC6M(Veeco社製)等が挙げられる。
また、発光層を形成する量子ドットの粒子は、自己組織化して配列していてもよく、そのような膜はキャリア輸送に優れるために好ましい。
さらに、発光層のイオン化ポテンシャルは、5.0~6.5eVであることが好ましい。この範囲外であると、発光層内で効率よくキャリアを留めて再結合をさせることが難しくなり、発光効率が低下しやすい。イオン化ポテンシャルは、光電子収量分光法などで測定することが可能であり、例えば、住友重機械メカトロニクス社製のPYS-202で測定することができる。
<電界発光素子>
本発明の電界発光素子は、基板上に、陽極、上述の本発明の発光層及び陰極が、この順に積層されている構成を備えるものであるが、
発光層への正孔や電子の注入を容易にしたり、発光層内での正孔と電子との再結合を円滑に行わせたりすることを目的として、正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、又は電子注入層等をさらに有していることが好ましい。また、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ層であるインターレイヤー層を挿入してもよい。
したがって、代表的な好ましい素子構成としては、(1)陽極/正孔注入層/発光層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極、(4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極、(5)陽極/正孔注入層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(7)陽極/発光層/正孔阻止層/電子注入層/陰極、(8)陽極/発光層/電子注入層/陰極(9)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/陰極、(10)陽極/正孔注入層/インターレイヤー層/発光層/電子注入層/陰極、(11)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/電子注入層/陰極、等が挙げられる。
上述した、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子注入層、及びインター
レイヤー層等の各層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されてもよく、いくつかの層が繰り返し積層されていてもよい。そのような例として、近年、光取り出し効率の向上を目的に、上述の多層型電界発光の一部の層を多層化した「マルチ・フォトン・エミッション」と呼ばれる素子構成が挙げられ、例えば、電荷発生層用いて複数の電界発光素子を直列に積層して形成する方法が含まれる。
本発明の電界発光素子として好ましくは、陽極、正孔輸送層、上述の本発明の発光層及び陰極が、この順に積層されている構成を備え、前記正孔輸送層に接して前記発光層が設けられているものである。
[正孔輸送層、及び正孔注入層]
正孔輸送層には、発光層に対する優れた正孔注入効果と正孔輸送効果とを示し、かつ薄膜形成性に優れた材料が用いられ、該材料として、正孔移動度が大きくイオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さいものが好適に用いられる。
正孔輸送層は、陽極と発光層との間に設けられ、複数の正孔輸送材料が積層された多層構造であってもよい。多層構造である場合、陽極に接している正孔輸送層を、特に正孔注入層と呼ぶことがあり、各々の材料を、正孔注入材料や正孔輸送材料と呼ぶことがある。正孔注入層には、特に陽極界面との密着性とに優れた材料が用いられる。
正孔輸送層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、更に正孔の移動度が、例えば10~10V/cmの電界印加時に、少なくとも10-6cm/V・秒であるものが好ましい。正孔注入材料及び正孔輸送材料としては、上記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔輸送層又は正孔注入層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
このような正孔注入材料や正孔輸送材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、芳香族ジメチリデン系化合物、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーが挙げられる。
正孔注入材料や正孔輸送材料として好ましくは、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物等であり、例えば、2個の縮合芳香族環を分子内に有する4,4’-ビス(N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ)ビフェニルや、トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4”-トリス(N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミンをあげることができる。また、好ましい正孔注入材料として、銅フタロシアニンや水素フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体が挙げられる。
正孔輸送層又は正孔注入層に使用できる材料としては、p型Si、p型SiC等の無機半導体化合物や、酸化モリブデン(MnO)、酸化バナジウム(VO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化銅(CuO)、酸化タングステン(WO)、酸化イリジウム(IrO)等の無機酸化物及びそれらのドープ体が挙げられる。
芳香族三級アミン誘導体の具体例としては、例えば、N,N’-ジフェニル-N,N’-(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N,N,N’,N’-(4-メチルフェニル)-1,1’-フェニル-4,4’-ジアミン、N,N,N’,N’-(4-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N
,N’-ジフェニル-N,N’-ジナフチル-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン、N,N’-(メチルフェニル)-N,N’-(4-n-ブチルフェニル)-フェナントレン-9,10-ジアミン、N,N-ビス(4-ジ-4-トリルアミノフェニル)-4-フェニル-シクロヘキサン、N,N’-ビス(4’-ジフェニルアミノ-4-ビフェニリル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、N,N’-ビス(4’-ジフェニルアミノ-4-フェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、N,N’-ビス(4’-ジフェニルアミノ-4-フェニル)-N,N’-ジ(1-ナフチル)ベンジジン、N,N’-ビス(4’-フェニル(1-ナフチル)アミノ-4-フェニル)-N,N’-ジフェニルベンジジン、N,N’-ビス(4’-フェニル(1-ナフチル)アミノ-4-フェニル)-N,N’-ジ(1-ナフチル)ベンジジン等が挙げられ、これらは正孔注入材料、正孔輸送材料いずれにも使用することができる。
正孔注入材料や正孔輸送材料として、特に好ましい例を表1~2に示す。
正孔輸送層又は正孔注入層を形成するには、上述の化合物を、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ラングミュア-ブロジェット法(LB法)等の公知の方法により薄膜化することで形成することができる。正孔輸送層及び正孔注入層の合計の厚みは、特に制限はないが、通常は5nm~5μmである。
インターレイヤー層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマーが例示される。また、インターレイヤー層の成膜方法は、高分子量の材料を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
溶液からのインターレイヤー層の成膜には、公知の湿式成膜法、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリ
ーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ-コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
インターレイヤー層の厚みは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよく、通常1nm~1μmであり、好ましくは2~500nmであり、より好ましくは5~200nmである。
[電子注入層]
電子注入層には、発光層に対して優れた電子注入効果を示し、かつ陰極界面との密着性と薄膜形成性に優れた電子注入層を形成できる電子注入材料が用いられる。そのような電子注入材料の例としては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、カルシウムアセチルアセトナート、酢酸ナトリウム等が挙げられる。また、セシウム等の金属をバソフェナントロリンにドープした無機/有機複合材料(高分子学会予稿集,第50巻,4号,660頁,2001年発行)や、第50回応用物理学関連連合講演会講演予稿集、No.3、1402頁、2003年発行記載のBCP、TPP、T5MPyTZ等も電子注入材料の例として挙げられるが、素子作成に必要な薄膜を形成し、陰極からの電子を注入できて、電子を輸送できる材料であれば、特にこれらに限定されるものではない。
上記電子注入材料の中で好ましいものとしては、金属錯体化合物、含窒素五員環誘導体、シロール誘導体、トリアリールホスフィンオキシド誘導体が挙げられる。好ましい金属錯体化合物としては、8-ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体が好適である。8-ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例としては、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(4-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(5-フェニル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(4-シアノ-1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(4-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(5-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(2-ナフトラート)アルミニウム、ビス(5-フェニル-8-ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(5-シアノ-8-ヒドロキシキノリナート)(4-シアノ-1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)クロロアルミニウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(o-クレゾラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(4-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(5-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、トリス(2-メチル-5-フェニル-8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(1-ナフトラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(2-ナフトラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(4-シアノ-1-ナフトラート)ガリウム、ビス(2、4-ジメチル-8-ヒドロキシキノリナート)(1-ナフトラート)ガリウム、ビス(2、5-ジメチル-8-ヒドロキシキノリナート)(2-ナフトラート)ガリウム、ビス(2-メチル-5-フェニル-8-ヒドロキシキノリナート)(フェノラート)ガリウム、ビス(2-メチル-5-シ
アノ-8-ヒドロキシキノリナート)(4-シアノ-1-ナフトラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物の他、8-ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物が挙げられる。
また、好ましい含窒素五員環誘導体としては、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体が挙げられ、具体的には、2,5-ビス(1-フェニル)-1,3,4-オキサゾール、2,5-ビス(1-フェニル)-1,3,4-チアゾール、2,5-ビス(1-フェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-(4’-tert-ブチルフェニル)-5-(4”-ビフェニ
ル)1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-オキ
サジアゾール、1,4-ビス[2-(5 -フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,
4-ビス[2-(5-フェニルオキサジアゾリル)-4-tert-ブチルベンゼン]、2-(4’-tert- ブチルフェニル)-5-(4”-ビフェニル)-1,3,4-チア
ジアゾーvル、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-チアジアゾール、1,4-ビス[2-(5-フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2-(4’-tert-ブチルフェニル)-5-(4”-ビフェニル)-1,3,4-トリアゾール、2,5-ビス(1-ナフチル)-1,3,4-トリアゾール、1,4-ビス[2-(5-フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
更に、電子注入層に使用できる材料としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)、等の無機酸化物及びそれらのドープ体も挙げられる。
特に好ましいオキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体及びシロール誘導体の具体例を表3~5に示す。尚、表中のPhはフェニル基を表わす。
(オキサジアゾール誘導体)
(トリアゾール誘導体)
(シロール誘導体)
更に、電子注入層の1種として、発光層を経由した正孔が電子注入層に達するのを防ぎ、薄膜形成性に優れた正孔阻止層がある。これには、電子輸送性に比べて正孔輸送性が著しく劣る正孔阻止材料が用いられる。そのような正孔阻止材料の例としては、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)(4-フェニルフェノラート)アルミニウム等のアルミニウム錯体化合物や、ビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)(4-フェニルフェノラート)ガリウム等のガリウム錯体化合物、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)等の含窒素縮合芳香族化合物が挙げられる。
電界発光素子の発光層としては、以下の機能を併せ持つものが好適である。
注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰極又は電子注入層より電子を注入することができる機能
輸送機能;注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能
ただし、正孔の注入されやすさと電子の注入されやすさには、違いがあってもよく、また
正孔と電子の移動度で表される輸送能に大小があってもよい。
本発明の電界発光素子を構成する発光層は、発光材料として量子ドットを含む本発明のインキ組成物から形成されるものであるが、さらに、公知の発光材料を含有してもよい。公知の発光材料として、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキシノイド化合物、スチリルベンゼン系化合物を用いることができる。
前記金属キレート化オキシノイド化合物としては、例えば、トリス(8-キノリノール)アルミニウム等の8-ヒドロキシキノリン系金属錯体や、ジリチウムエピントリジオン等が挙げられる。
本発明の発光層に公知の発光材料を更に加える、あるいは、本発明の発光層に加えて、さらに公知の発光材料を用いた発光層を追加することで、白色の発光が可能な電界発光素子を得る場合の素子の構成としては特に制限はないが、下記のものを用いることができる。電界発光素子の積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)。同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3-230584号公報)。二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2-220390号公報及び特開平2-216790号公報)。発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4-51491号公報)。青色発光体(蛍光ピーク380~480nm)と緑色発光体(480~580nm)とを積層させ、更に赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6-207170号公報)。青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、更に緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7-142169号公報)。
[陽極]
陽極に使用される材料は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、ITO、SnO、ZnO等の導電性材料が挙げられる。この陽極を形成するには、これらの電極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させることができる。この陽極は、上記発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率が10%より大きくなるような特性を有していることが望ましい。また、陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下としてあるものが好ましい。陽極の厚みは、材料にもよるが通常10nm~1μm、好ましくは10~200nmの範囲で選択される。
[陰極]
陰極に使用される材料は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属等が挙げられる。この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。ここで、発光層からの発光を陰極から取り出す場合、陰極の発光に対する透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、陰極の厚みは通常10nm~1μm、好ましくは50~200nmである。
電界発光素子を作製する方法については、上記の材料及び方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、及び必要に応じて電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で電界発光素子を作製することもできる。
電界発光素子は、透光性の基板上に作製する。透光性基板は電界発光素子を支持する基板であり、その透光性については、400~700nmの可視領域の光の透過率が50%以上、好ましくは90%以上であるものが望ましく、更に平滑な基板を用いるのが好ましい。
これら基材は、機械的・熱的強度を有し、透明であれば特に限定されるものではなく、屈曲性を有するフィルム又はシート状の基材であってもよい。基材としては、例えば、ガラス板、合成樹脂板が好適に用いられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等で成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリサルフォン樹脂等の板が挙げられる。
電界発光素子の各層の形成方法としては、真空蒸着、電子線ビーム照射、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、若しくはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかの方法を適用することができる。また、LITI(Laser Induced Thermal Imaging、レーザー熱転写)法や、印刷(オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)、インクジェット等の方法を適用することもできる。ただし、発光層は湿式成膜法での成膜が好ましい。
また、正孔注入層、正孔輸送層又は電子注入層といった、陽極、陰極及び発光層以外の有機化合物により形成される有機層は、分子堆積法で形成された膜であることが好ましい。ここで分子堆積法で形成された膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通常この分子堆積膜は、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。また、樹脂等の結着剤と材料化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜化することによっても、有機層を形成することができる。各層の膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚すぎると一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要となり効率が悪くなり、逆に膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生し、電界を印加しても充分な発光輝度が得にくくなる。したがって、各層の膜厚は、1nmから1μmの範囲が適しているが、10nmから0.2μmの範囲がより好ましい。
また、電界発光素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしてもよい。特に素子全体を被覆や封止する際には、光によって硬化する光硬化性樹脂が好適に使用される。
本発明の電界発光素子に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
本発明の電界発光素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法も可能である。また、本発明の電界発光素子から光を取り出す方法としては、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという方法のみならず、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという方法にも適用可能である。
本発明の電界発光素子のフルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色
変換方式、カラーフィルター方式が挙げられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インクジェット法や印刷法が挙げられる。レーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式では、青色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、青色より長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルター方式では、白色発光の有機EL素子を使って、液晶用カラーフィルターを通して3原色の光を取り出す方法であるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率をあげることもできる。
更に、電界発光素子は、マイクロキャビティ構造を採用してもよい。これは、電界発光素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透過率等の光学的な特性と、これらに挟持された有機層及び又は無機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。
<量子ドット分散液の製造>
(量子ドット分散液:QD-1)
酢酸インジウム1.35部、オクタン酸亜鉛1.30部、ステアリン酸4.65部、1-オクタデセン92.7部をフラスコに入れ100℃に加熱した。その後、その温度で減圧留去した。
次いで、フラスコ内をアルゴンガスで満たし、300℃に加熱した。別途、水のないグローボックス中で調製した、トリス(トリメチルシリル)フォスフィン1.16部を添加したヘキサン溶液23部を注入し、280℃で9分間反応した後、急冷して溶液を得た。
得られた溶液15部、1-オクタデセン46部、オレイルアミン11.5部をフラスコに入れ、15分間撹拌した後、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛を4.3部加えた。フラスコ内をアルゴンで置換した後、170℃まで45分間かけて昇温し、170℃にて2時間保温した。その後冷却し、アセトンを加えて遠心分離法にて沈降ペーストを得た。
得られた沈降ペーストをトルエンで分散し、ドデカンチオール3.7部を加えて、室温で24時間撹拌し、減圧濃縮した後アセトンを加え、遠心分離法にて沈降ペーストを得た。
次いで、沈降ペーストをトルエンに分散して、固形分濃度10%に調製し、ドデカンチオールで表面処理された量子ドット分散液QD-1を得た。量子ドットに含まれる半導体粒子はコアがInPでシェルがZnSである。
(量子ドット乾固物:QDS-1)
量子ドット分散液QD-1を、トルエンを用いて固形分濃度0.5%に希釈した。次いで、正孔輸送性リガンドである表6記載の化合物(a)の1.0%トルエン溶液を、量子ドット分散液QD-1に5倍量を加え、12時間撹拌した。ヘキサンとエタノールを用いて再沈殿法で精製を行った後、減圧乾固して、正孔輸送性リガンドである化合物(a)で表面処理された量子ドットの乾固物QDS-1を得た。
(量子ドット乾固物:QDS-2~8)
化合物(a)の代わりに、表6記載の化合物(b)~(h)を使用した以外は、QDS-1と同様にして、量子ドット乾固物QDS-2~8を得た。
<インキ組成物の製造>
[実施例1]:インキ組成物1
量子ドット乾固物QDS-1を、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、BGAc)中に固形分濃度0.1%となるように分散し、1μmのフィルタで濾過して、インキ組成物1を得た。
[実施例2~7]:インキ組成物2~7
量子ドット乾固物QDS-1の代わりに、量子ドット乾固物QDS-2~7を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物2~7を得た。
[実施例8]:インキ組成物8
BGAcの代わりに、ジエチレングリコールジエチルエーテル(以下、DEDG)を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物8を得た。
[実施例9]:インキ組成物9
BGAcの代わりに、DEDGとトリエチレングリコールモノエチルエーテル(以下、ETG)との質量比9:1の混合溶剤を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物9を得た。
[実施例10]:インキ組成物10
BGAcの代わりに、BGAcとプロピレングリコールジアセテート(以下、PGDA)との質量比8:2の混合溶剤を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成10を得た。
[実施例11]:インキ組成物11
BGAcの代わりに、BGAcとトルエンとの質量比5:5の混合溶剤を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物11を得た。
[比較例1]:インキ組成物12
量子ドット分散液QD-1をトルエンで固形分濃度0.1%に希釈して、インキ組成物12を得た。
[比較例2]:インキ組成物13
BGAcの代わりに、トルエンを使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物12を得た。
[比較例3]:インキ組成物14
量子ドット乾固物QDS-1の代わりに、量子ドット乾固物QDS-8を使用した以外はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物14を得た。
[比較例4]:インキ組成物15
BGAcの代わりに、BGAcとトルエンとの質量比4:6の混合溶剤を使用した以外
はインキ組成物1と同様にして、インキ組成物15を得た。
<インキ組成物の評価>
得られたインキ組成物について以下の評価を行った。結果を表7に示す。
(電界発光素子性能評価)
以下に電界発光素子の作製と評価について説明する。蒸着は、10-6Torrの真空中にて基板の加熱や冷却等の温度制御は行わない条件下で行った。素子の評価は、発光素子面積2mm×2mmの電界発光素子を用いて測定した。
まず、洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4-エ
チレンジオキシ)-2,5-チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Heraeus社製
CLEVIOUS(登録商標) P VP CH8000)をスピンコート法にて塗工し、110℃にて20分間乾燥させて、厚み35nmの正孔注入層を得た。正孔注入層上に、下記化合物(i)の固形分濃度0.5%のクロロホルム溶液をスピンコート法で塗工し、減圧乾燥して、厚み50nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層上に、得られたインキ組成物を用いて下記印刷条件でベタパターンのインクジェット印刷を行い、厚み20nmの発光層を形成した。
次いで、発光層上に、下記化合物(j)を蒸着して、厚み30nmの電子輸送層を形成した。電子輸送層上に、厚み0.5nmでフッ化リチウムを、厚み200nmでアルミニウム(以下、Al)を蒸着して電極を形成し、電界発光素子を得た。
得られた電界発光素子について、電流密度10(mA/cm)で駆動させた時の駆動電圧(V)及び外部量子効率(%)を測定した。また、初期輝度500(cd/m)の条件で10時間連続駆動した後の輝度を測定し、相対輝度(10時間後の輝度/初期輝度)を算出した。
なお、実施例1のインキ組成物を用いた電界発光素子は、その発光スペクトルのピーク波長は605nmであり、半値全幅は30nmであった。また、同様の手順にて発光層まで作成したサンプルに関し、Veeco社製DECTAC6Mを用いて算術平均粗さRaを測定した結果、Raは10nm以下であった。さらに、ITO基板上に発光層のみを形成したサンプルを作成し、住友重機械メカトロニクス社製PYS-202でイオン化ポテンシャルを測定した結果5.9eVであった。
≪インクジェット印刷条件≫
印刷機: Dimatix MaterialsPrinter
カートリッジ: 10DimatixMaterialsCartriges、10pL基板温度: 30℃
印刷後乾燥: 40℃20分間
表7中の略称を以下に示す。
BGAc:エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(一般式(1)に該当)
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル(一般式(3)に該当)
ETG:トリエチレングリコールモノエチルエーテル(一般式(4)に該当)
PGDA:プロピレングリコールジアセテート(一般式(2)に該当)
以上に説明したように、比較例1~4に対し実施例1~11は優れた電界発光素子特性を示した。比較例2では本発明の溶剤ではくトルエンを使用していたため、正孔輸送層へのダメージが発生したと想定され、電界発光素子の発光面にムラや明点が存在していた。正孔輸送層へのダメージに依るとみられる素子特性の悪化は、比較例4でも確認されていることから、溶剤の比率も重要であることが確認できる。また、比較例3では、インクジェットの吐出性に劣っていたために電界素子特性に影響が生じたとみられる。実際、発光面には無数の明点や暗点が発生していた。これは、本発明のリガンドの吸着基であるカルボキシル基やスルファニル基と比べて、フォスフィンオキシド部位の半導体ナノ粒子に対する吸着が不安定であるために、量子ドットの一部が凝集しているためであると仮説立てている。以上述べたように、本発明の電界発光素子は、駆動電圧の低減が可能であり、かつ優れた発光効率、駆動電流密度で安定した発光効率、及び、高い耐久性を有する。故に
、本有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、更には、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。

Claims (5)

  1. 量子ドット及び溶剤を含むインキ組成物であって、
    前記量子ドットが、スルファニル基及びカルボキシル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有するキャリア輸送性リガンドを含み、
    前記溶剤が、下記一般式(1)~(4)で表わされる溶剤を少なくとも1種含み、下記一般式(1)~(4)で表わされる溶剤の合計量が、溶剤全量に対して50質量%以上である、インキ組成物。
    一般式(1): R36CO(OR37OR38
    一般式(2): R39CO(OR40OCOR41
    一般式(3): R42(OR43OR44
    一般式(4): R45(OR46OR47
    [一般式(1)~(4)中、
    36、R38、R39、R41、R42及びR44は、各々独立して、炭素数1~4のアルキル基を表し、R37、R40及びR43は、各々独立して、炭素数2~4のアルキレン基を表し、R45及びR47は、各々独立して、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R45及びR47のうち少なくとも1つは水素原子であり、R46は、炭素数1~10のアルキレン基を表し、p、q、r及びsは、各々独立して、1~6の整数を表す。]
  2. 前記キャリア輸送性リガンドが、一般式(5)で表わされる基を有する化合物である、請求項1に記載のインキ組成物。
    一般式(5)
    [一般式(5)中、Lは、直接結合又は炭素数1~5のアルキレン基であり、Lは、炭素数1~5のアルキレン基であり、R48は、炭素数1~5のアルキル基であり、nは、0~4の整数である。]
  3. インクジェット方式で用いられる、請求項1又は2に記載のインキ組成物。
  4. 請求項1~3いずれか1項に記載のインキ組成物を用いて形成される発光層。
  5. 基板上に、陽極、正孔輸送層、請求項4に記載の発光層及び陰極が、この順に積層されている構成を備えた電界発光素子であって、
    前記正孔輸送層に接して前記発光層が設けられている、電界発光素子。
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