JP2004359671A - アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 - Google Patents

アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2004359671A
JP2004359671A JP2004138830A JP2004138830A JP2004359671A JP 2004359671 A JP2004359671 A JP 2004359671A JP 2004138830 A JP2004138830 A JP 2004138830A JP 2004138830 A JP2004138830 A JP 2004138830A JP 2004359671 A JP2004359671 A JP 2004359671A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
organic electroluminescent
layer
light emitting
emitting layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004138830A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4734849B2 (ja
Inventor
Masako Takeuchi
昌子 竹内
Masayo Fugono
真代 畚野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2004138830A priority Critical patent/JP4734849B2/ja
Publication of JP2004359671A publication Critical patent/JP2004359671A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4734849B2 publication Critical patent/JP4734849B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】 電荷輸送性、非晶質性に優れ、ガラス転移温度の高い化合物と、これを用いた電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】 下記一般式(I)で表されるアルミニウム混合配位子錯体化合物、該化合物を含む電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子。
Figure 2004359671

(式中、キノリノール骨格を構成する炭素原子は、いずれも任意の基で置換されていても良い。Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素環を表し、Arは置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素環を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電荷輸送性に優れた新規化合物、およびこれを用いた有機電界発光素子に関するものであり、詳しくは、有機化合物からなる発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスに関するものである。
従来、薄膜型の電界発光(EL)素子としては、無機材料のIII−V族化合物半導体であるZnS、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子は、
1)交流駆動が必要(50〜1000Hz)、
2)駆動電圧が高い(〜200V)、
3)フルカラー化が困難(特に青色)、
4)周辺駆動回路のコストが高い、という問題点を有している。
近年、上記問題点を改良するため、有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになった。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリアー注入効率の向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンからなる正孔輸送層と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体からなる発光層とを設けた有機電界発光素子の開発(非特許文献1)により、従来のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなされている。また、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(非特許文献2)で、発光効率の向上や発光波長の変換等も行われており、実用特性に近づいている。
上記の様な低分子材料を用いた電界発光素子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移動材料を混合した素子の開発も行われている。
素子の発光効率を上げる試みとして、蛍光ではなく燐光を用いることも検討されている。燐光を用いる、すなわち、三重項励起状態からの発光を利用すれば、従来の蛍光(一重項)を用いた素子と比べて、最大で4倍の効率向上が期待される。この目的のためにクマリン誘導体やベンゾフェノン誘導体を発光層とすることが検討されたが、極めて低い輝度しか得られなかった。その後、三重項状態を利用する試みとして、ユーロピウム錯体を用いることが検討されてきたが、これも高効率の発光には至らなかった。
最近、以下に示す白金錯体(T−1)を用いることで、高効率の赤色発光が可能なことが報告された(非特許文献3)。その後、以下に示すイリジウム錯体(T−2)を発光層にドープすることで、さらに緑色発光で効率が大きく改善されている(非特許文献4)。
Figure 2004359671
有機電界発光素子をフラットパネル・ディスプレイの分野に応用する際の大きな課題の一つとして、駆動安定性の向上が挙げられる。特に低分子材料を積層させてなる有機電界発光素子において、燐光発光を利用した素子の寿命が蛍光発光を利用した素子と比較して短く問題となっている。燐光発光素子は高効率で発光するため、デバイスの低消費電力化が期待され、また照明用途としても有望であるが、その長寿命化は実用化において必須となっている。
これまでに報告されている有機電界発光素子では、基本的には正孔輸送層と電子輸送層の組み合わせにより発光を得ている。陽極から注入された正孔は正孔輸送層を移動し、陰極から注入されて電子輸送層を移動してくる電子と、両層の界面近傍で再結合をし、正孔輸送層および/または電子輸送層を励起させて発光させるのが原理である。近年は正孔輸送層と電子輸送層の間に発光層を設けることにより、発光効率を向上させている素子が一般的である。
さらに、発光層中での励起子生成を促進させ、発光の高効率化・発光色の高純度化を目的に、発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層を設けることが提案されている。特に、青色(蛍光)発光素子や燐光発光素子の場合には、発光層と陰極との間に用いる正孔阻止層の材料選択が非常に重要となる。
正孔阻止層が無い場合、再結合領域が電子輸送層まで及び、発光効率が蛍光素子に比べて大幅に低下すること(特許文献1)や、電子輸送層に用いている材料の発光による、発光色の色純度が低下するといった問題が発生する。また、正孔阻止層を用いた場合でも、用いられる正孔阻止材料の種類によっては発光効率や駆動寿命に大きな影響を及ぼすことが知られている(非特許文献5)。このため、燐光発光素子においては、特に有効な正孔阻止層が必要とされている。
正孔阻止層の材料としては、例えば、特許文献2には、トリス(5,7−ジクロル−8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウムの使用について記載されており、また特許文献3で
は、シラシクロペンタジエンの使用も提案されているが、いずれも駆動安定性は十分ではなかった。
この駆動劣化の要因としては、材料のガラス転移温度(Tg)が低いことに由来して素子駆動時の発熱により結晶化が起き、薄膜形状が一様でなくなり発光特性が低下してしまうという熱劣化や、電子や正孔の注入により材料が還元・酸化されてしまう電気化学的要因などが考えられている。
さらに、有機電界発光素子の大きな課題の一つとして、駆動電圧の低下も挙げられる。駆動電圧が高いとそれを使用した機器の消費電力が高くなる。特に携帯電話やモバイルPCなどの携帯用途では、駆動電圧の高低は機器の使用可能時間の長短に直接影響する。また、駆動電圧の高い素子を駆動するためのドライバーICは一般に高価になる傾向があり、製品の低価格化を妨げる一因となっている。
特開2002−8860号公報 特開平2−195683号公報 特開平9−87616号公報 Appl.Phys.Lett.,51巻,913頁,1987年 J.Appl.Phys.,65巻,3610頁,1989年 Nature,395巻,151頁,1998年 Appl.Phys.Lett.,75巻,4頁,1999年 Appl.Phys.Lett.,81巻,162頁,2002年
上述の理由から、陰極から注入された電子を効率よく発光層に輸送すること、および発光層を通過する正孔を阻止することが必要であり、高発光効率かつ安定な素子を作製するための素子構造および材料に対して、更なる改良検討が望まれていた。
本発明者は上記実情に鑑み、駆動安定性に優れた有機電界発光素子を提供することを目的として鋭意検討した結果、正孔阻止層に特定の化合物を用いることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、請求項1に記載するように、一般式(I)
Figure 2004359671
(式中、キノリノール骨格を構成する炭素原子は、いずれも任意の基で置換されていても良い。Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を表し、Arは置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素環を表す。)で表される化合物、該化合物を含有する電荷輸送材料、該化合物を含有する有機電界発光素子材料、および該化合物を用いた有機電界発光素子を提供するものである。
有機電界発光素子において、発光層の陰極側界面に接して設けられる正孔阻止層を構成する材料は、発光層中の発光に寄与する物質のイオン化ポテンシャル(後述するように、発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャルをいう。)よりも0.1eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有することが好ましい。また、安定な薄膜形状を与え、高いガラス転移温度(Tg)を有し、電子を効率よく輸送できる化合物であることが必要である。さらに、電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなったり発光を消光したりする不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
上記一般式(I)で表されるアルミニウム混合配位子錯体化合物は、これらの要求特性をすべて満たすことができるため、目的とする発光色を高い純度で高効率に発光することが可能であり、更には駆動安定性にも優れた有機電界発光素子を実現することができる。
本発明の有機電界発光素子によれば、任意に選定された発光材料からの発光のみを得ることが可能であり、さらには駆動安定性に優れた発光が得ることができる。特にこれまで困難であった青色発光素子や燐光発光素子の駆動安定性の改善、および駆動電圧の低下が顕著である。
従って、本発明による有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
以下、一般式(I)で表される化合物、該化合物を含有することを特徴とする電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子について詳細に説明する。
[1]一般式(I)で表される化合物
本発明のアルミニウム混合配位子錯体化合物は、下記一般式(I)
Figure 2004359671
(式中、キノリノール骨格を構成する炭素原子は、いずれも任意の基で置換されていても良い。Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を表し、Arは置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素環を表す。)で表される。
一般式(I)で表される化合物は、置換基Arとして多環式芳香族炭化水素環を持つことにより、単環の芳香族炭化水素環を有する場合に比べて十分に高いガラス転移温度(Tg)を有しつつ、アルミキノリノール錯体化合物特有の高い電子輸送能を実現することができる。その効果により、本発明の化合物は優れた電荷輸送材料、優れた有機電界発光
素子材料となり、また該化合物を用いてなる有機電界発光素子は、発光効率が高く、かつ駆動安定性にすぐれた素子となるのである。
以下、一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(I)において、Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を表す。
該芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられ、アルミキノリノール錯体の配位を安定にする点で、下記一般式(II)で表されるようにベンゼン環が好ましい。なお、Arにおける芳香族炭化水素環は、Arが有しうる置換基として後述する基に代表される、任意の基で置換されていてもよい。
Figure 2004359671
(式中、R〜Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、置換基を有していても良いアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を有す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基を表し、mは1から4の整数を表す。Arは置換基を有していても良い多環式芳香族炭化水素基を有す。)
一般式(II)においてArは置換基を有していても良い多環式芳香族炭化水素環を表す。該多環式芳香族炭化水素としては、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ピレン環、アセナフテン環、フルオレン環等の2〜4縮合環が挙げられる。
Tgが高く、アモルファス性が得られる点では3環以上が縮合してなる縮合環が好ましく、中でもフェナントレン環が特に好ましい。
上記芳香族炭化水素環が有する置換基としては、炭素数1〜6程度のアルキル基、炭素数6〜30程度の芳香族炭化水素基、5または6員環の単環または2〜4縮合環程度の芳香族複素環基、炭素数1〜6程度のハロアルキル基、炭素数7〜30程度のアラルキル基等が挙げられ、個々の基に関する具体例としては、一般式(II)におけるR1〜R6として後述するものと同様の基が挙げられる。
1〜R6としてはそれぞれ独立に水素原子;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基などの炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基などの炭素数7〜30のアラルキル基;ビニル基などの炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アセチル基、ベンゾイルなどの炭素数2〜9程度のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素数2〜6程度のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜6程度のアルコキシ基;メタンスルホニル基、エタンスルホニル基などの炭素数1〜6程度のアルキルスルホニル基;トリフルオロメチル基などの、炭素数1〜6程度のハロアルキル基;水酸基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルア
ミノ基などの、炭素数1〜6程度のアルキル鎖を有するジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基などの、炭素数6〜30程度の芳香族炭化水素基を有するジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基などの、炭素数7〜30程度のアラルキル基を有するアラルキルアミノ基;アセトアミド基、ベンズアミド基などの、炭素数2〜8程度のアミド基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜30程度の芳香族炭化水素基;チエニル基、ピリジル基、カルバゾリル基などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環である芳香族複素環基等が挙げられる。
これらの内、水素原子、アルキル基および芳香族炭化水素基が好ましく、最も好ましいのは水素原子、メチル基およびフェニル基等である。
これらの内、水素原子、アルキル基および芳香族炭化水素基が好ましく、最も好ましいのは水素原子、メチル基およびフェニル基等である。
は水素原子;フッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6程度のアルキル基;ベンジル基等の炭素数7〜30程度のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6程度のアルケニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6程度のアルコキシ基等が挙げられる。中でも水素原子およびアルキル基が好ましく、特に水素原子およびメチル基が好ましい。
mは1〜4の整数を表すが、アルミノキノリノール錯体の配位を妨げ難いという点からは、1または2が好ましい。
以下に一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明の化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
このような本発明の化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、一般式(III)で表される置換キノリノール誘導体とアルミニウムイソプロポキシドのような
アルミニウムアルコキシドと、一般式(IV)で表される置換フェノール誘導体を反応させることにより得ることができるが、この製法に限定されるものではない。
Figure 2004359671
(上記式中、R〜RおよびArは一般式(II)におけると同義である。

一般式(I)で表される化合物の分子量は、通常、下限が500程度、好ましくは600程度であり、上限は通常2000程度、好ましくは1100程度である。下限値を下回ると、Tgの低下により熱安定性が低下したり、アモルファス性の低下により結晶性が向上し、膜安定性が低下する場合がある。一方、上限を超えると蒸着による成膜が困難となる場合がある。
本発明のアルミニウム混合配位子錯体化合物は、このような一般式(I)で表されることを特徴とするものであり、一般式(I)で表される化合物としては上記一般式(II)で表される化合物が好ましく挙げられる。
特に一般式(I)もしくは(II)において、Arとして多環式芳香族炭化水素基を用いると、嵩高い置換基が導入されることにより、Tgが上昇し、熱安定性が向上することにより、長時間電荷輸送材料として使用した場合に安定化が可能となる。また熱による結晶化も起こりにくい薄膜性良好なものとなり得る。
更に、一般式(I)で表される化合物は、広い光学的バンドギャップと、適度な電子輸送能を実現するものであり、以下に記す各種用途に好適に用いることができる。
[2]電荷輸送材料
本発明の電荷輸送材料は、上記一般式(I)で表される化合物(一般式(II)で表される化合物を含む。以下、同様である。)を含有することを特徴とする。
一般式(I)で表される化合物は、高い電荷輸送能を有することから、電荷輸送材料として電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等に好適に使用できる。特に電子輸送能に優れることから、電子輸送材料として有効である。
[3]有機電界発光素子材料
本発明の有機電界発光素子材料は、上記一般式(I)で表される化合物を含有することを特徴としている。
一般式(I)で表される化合物を用いることにより、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子が得られることから、有機電界発光素子材料として好適である。
[4]有機電界発光素子
次に、本発明の有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極、発光層および陰極が順次積層されてなる有機電界発光素子において、上記一般式(I)で表される化合物を含有する層を有することを特徴としている。
該化合物は光学的バンドギャップが広く、また適度な電子輸送能を有するため、発光層と陰極との間に、該化合物を含有する層を有していることが好ましい。
特に発光層の陰極側に接して設ける層(本明細書においては、これを「正孔阻止層」と称す。)に使用すると有効である。
なお、上記一般式(I)で表される化合物は、正孔阻止層以外の層に使用することもできる。例えば発光層と陰極との間に設けられる電子輸送性の層に使用することが好ましい。この場合、発光層には必ずしも接している必要はないが、前述した該化合物の特性を最も有効に活かすには、正孔阻止層の材料とすることが好ましい。また、上記一般式(I)で表される化合物は、発光層に(特に後述するホスト材料として)使用することも可能である。
本発明の有機電界発光素子においては、同一の層内に2種以上の上記一般式(I)で表される化合物が含有されていてもよい。また、2以上の層に一般式(I)で表される化合物が含有されている場合、これらの層に含有される該化合物は同一のものであっても異なるものであってもよい。
なお、本発明の有機電界発光素子において、陰極−発光層間に設けられた層を「電子輸送層」と称し、該層が2つ以上の場合には、陰極に接している層を「電子注入層」、それ以外の層を総称して「電子輸送層」と称す。また陰極−発光層間に設けられた層のうち、発光層の陰極側界面に接して設けられた層を、特に正孔阻止層と称する場合がある。
以下に、添付図面を参照して、上記一般式(I)で表される化合物を正孔阻止層に含有する場合を例に、本発明の有機電界発光素子の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明に用いられる一般的な有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表す。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は異なる材料からなる層を積層して形成された積層構造であってもよい。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましく、この場
合厚みは、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2は基板1と同一でもよい。
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。
正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層5に接するために発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4´,4´´−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J.Lumin.,72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem.Commun.,2175頁、1996年)、2,2´,7,7´−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9'−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.Met
als,91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym.Adv.Tech.,7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種または2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
図1に示す素子において、正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰
極から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す発光性化合物より形成される。
発光層5に用いられる発光性化合物としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光または燐光)量子収率を示し、正孔および/または電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。さらに電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
このような条件を満たし、蛍光を発する発光層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等が挙げられる。
これらの発光層材料は、通常は真空蒸着法により正孔輸送層上に積層される。また、前述の正孔輸送層材料のうち、発光性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用いることができる。
なお、前記一般式(I)で表される本発明のアルミニウム混合配位子錯体化合物は、この発光層材料として使用することも可能である。その場合には、正孔阻止層6または電子輸送層7に使用できる材料として前述した公知材料に代表される、その他の電子輸送性材料や正孔阻止材料の中から、前記一般式(I)で表される化合物よりも0.1eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有する材料を選択して使用することが好ましい。
更に本発明の有機電界発光素子において、発光層とこれに接して設けられる正孔阻止層の両方に、前記一般式(I)で表される化合物を使用しても良い。この場合、前記一般式(I)で表される化合物よりなる群から、イオン化ポテンシャルの差が0.1eV以上である化合物を選択し、発光層と正孔阻止層に各々使用すればよい。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J.Appl.Phys.,65巻,3610頁, 1989年)等が行われている。このドーピング手法は、発光層5にも適用でき、ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10-3重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
一方、燐光発光を示す発光層は、通常、燐光性ドーパントとホスト材料を含んで形成される。燐光性ドーパントとしては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む
有機金属錯体が挙げられ、該金属錯体のT1(最低励起三重項準位)より高いT1を有する電荷輸送性有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における、該金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(V)または一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2004359671
(式中、Mは金属、zは該金属の価数を表す。LおよびL´は二座配位子を表す。jは0または1または2を表す。)
Figure 2004359671
(式中、M7は金属、Tは炭素または窒素を表す。Tが窒素の場合はR14、R15は無く、
Tが炭素の場合はR14、R15は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。
12、R13は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、互いに連結して環を形成してもよい。)
一般式(V)中の二座配位子LおよびL´は各々以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2004359671
(環A1および環A1´は各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよい。環A2および環A2´は含窒素芳香族複素環基を表し、置換基を有していてもよい。R´、R´´およびR´´´は各々ハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;メトキシ基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基またはシアノ基を表す。)
一般式(V)で表される化合物として、さらに好ましくは下記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2004359671
(式中、M4は金属、zは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳香
族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2004359671
(式中、M5は金属、zは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳香
族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2004359671
(式中、M6は金属、zは該金属の価数を表し、jは0または1または2を表す。環A1
および環A1´は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表し、環A2および環A2´は各々独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物の環A1および環A1´として、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
環A2および環A2´として、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、またはフェナントリジル基が挙げられる。
一般式(Va)、(Vb)および(Vc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジ
アリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられ、これらは互いに連結して環を形成してもよい。
なお、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基が結合、または環A1´が有する置換基と環A2´が有する置換基が結合して、一つの縮合環を形成してもよく、このような縮合環としては7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
環A1、環A1´、環A2および環A2´の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
式(Va)、(Vb)におけるM4ないしM5として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
式(VI)におけるM7として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、
レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
上記一般式(V)、(Va)、(Vb)および(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 2004359671
Figure 2004359671
上記一般式(VI)で表される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 2004359671
燐光発光を示す発光層に使用されるホスト材料としては、蛍光発光を示す発光層に使用されるホスト材料として前述した材料の他に、4,4´−N,N´−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2´,2´´−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl.Phys.Lett.,78巻,1622頁,2001年)、ポリビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等が挙げられる。
さらに本発明の有機電界発光素子における発光層は、ホスト材料および燐光性ドーパントと共に、前述の蛍光色素を含有していてもよい。
発光層中にドーパントとして含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。0.1重量%を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、30重量%を越えると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光を示す発光層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい
。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素および/または燐光色素(燐光性ドーパント)を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-6Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
なお発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
本発明の素子において、この正孔阻止層は一般式(I)で表される化合物を用いる。一般式(I)で表される化合物は正孔阻止層中に、単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。さらに、本発明の化合物の性能を損なわない範囲で、公知の正孔阻止機能を有する化合物を併用してもよい。
本発明において、一般式(I)で表わされる化合物を含有する層のイオン化ポテンシャルは、発光層のイオン化ポテンシャルより0.1eV以上大きいことが好ましいことから、本発明で用いられる正孔阻止層のイオン化ポテンシャルは発光層のイオン化ポテンシャル(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
イオン化ポテンシャル=酸化電位(vs.SCE)+4.3eVで定義される。("
Molecular Semiconductors",Springer−Verla
g,1985年、98頁)。
さらに、本発明で用いられる正孔阻止層の電子親和力(EA)は、発光層の電子親和力(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
電子親和力=還元電位(vs.SCE)+4.3eV
従って、本発明で用いられる正孔阻止層は、酸化電位と還元電位を用いて、(正孔阻止層材料の酸化電位)−(発光層材料の酸化電位)≧0.1V(正孔阻止層材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)と表現することもできる。
さらに後述の電子輸送層を有する素子の場合には、正孔阻止層の電子親和力は電子輸送層の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
(電子輸送層材料の還元電位)≧(正孔阻止層材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。正孔阻止層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面にLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans.
Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。
陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられていてもよい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N´−ジシアノ
アントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
また、上記一般式(I)で表される本発明の化合物を、この電子輸送層7に使用してもよい。その場合、本発明の化合物のみを使用して電子輸送層7を形成してもよいし、前述した各種公知の材料と併用してもよい。
電子輸送層7に本発明の化合物を使用した場合、前述の正孔阻止層6にも本発明の化合物を使用してもよいし、また電子輸送層7のみに本発明の化合物を使用し、正孔阻止層6には、それ以外の、公知の正孔阻止材料を使用してもよい。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔輸送層4と陽極2との間に陽極バッファ層3を挿入することも行われている(図3参照)。陽極バッファ層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点およびガラス転移温度が高く、融点としては300℃以上、ガラス転移温度としては100℃以上であることが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、これまでに銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、ポリアニリン(Appl.Phys.Lett., 64巻,1245頁,1994年)、ポリチオフェン(Optical Materials,9巻,125頁,1998年)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth.Met.,91巻,73頁,1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(J.Phys.D, 29巻,2750頁,1996年)が報告されている。
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記陽極バッファ層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。また高分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の
、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2または図3に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明の有機電界発光素子によれば、正孔阻止層に特定の骨格を有する化合物を含有させることにより、色純度の良好で駆動安定性においても大きく改善された素子が得られる。特に、従来困難であった青色発光素子で安定性に優れた素子が得られることから、フルカラーあるいはマルチカラーのパネルへの応用において優れた性能を発揮できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)例示化合物(3)の合成
Figure 2004359671
9−ブロモフェナントレン3.2g、4(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール3.0g、ジメチルホルムアミド30mLを、90℃まで加熱したところにポリリン酸カリウム7.1gを加え、さらにテトラトリフェニルホスフィンパラジウム0.7gを添加し、内温85〜90℃で5時間半加熱撹拌した。
冷却後、水に添加、系内を中和後、トルエンにて抽出し濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで生成し、中間体フェノール誘導体を固体で2.6g得た。(収率77%)
Figure 2004359671
次に2−メチルー8−ヒドロキシキノリン 0.9g、アルミニウムトリイソプロポキシド 0.6gをトルエン 20ml中、室温で攪拌した後、先に合成した中間体フェノール誘導体 0.8gをトルエン25mlに溶解したものを滴下した。滴下後、加熱還流下5時間反応した。冷却後、得られた結晶を濾別し、アセトン等で懸洗し、組成物1.36g(収率76%)を得た。さらに昇華精製を実施し、0.8gを回収した。この化合物の質量分析を行ったところ、分子量が612で目的物であることを確認した。
またセイコー電子社製DSC−20により示差熱分析測定をしたところ、Tgは123℃と高い値を示した。
(実施例2)素子の作製
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を 150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
陽極バッファ層3の材料として、下記に示す構造式の芳香族アミノ基を有する非共役系高分子化合物(PB−1)
Figure 2004359671
重量平均分子量 :29400
数平均分子量 :12600
を電子受容性化合物(A−1)
Figure 2004359671
と共に以下の条件でスピンコートした。
溶媒 安息香酸エチル
塗布液濃度 2[wt%]
PB−1:A−1 10:1
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 100℃1時間
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に陽極バッファー層を成膜した基板を真空蒸着装置内に設置した。上記装置の粗排気
を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が1.0×10-6Torr(約1.3×10-4Pa)以下になるまで油拡散ポンプを用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、下記に示すアリールアミン化合物(PPD)
Figure 2004359671
をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、319〜325℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度2.5×10-5Pa、蒸着速度は0.15nm/秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
引続き、発光層5の主成分(ホスト材料)として下記に示すカルバゾール誘導体(E−1)を、副成分(ドーパント)として有機イリジウム錯体(D−1)を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 2004359671
化合物(E−1)のるつぼ温度は 208〜210℃、蒸着速度は 0.1nm/秒に、化合物(D−1)のるつぼ温度は 287〜 289℃にそれぞれ制御し、膜厚30nmで化合物(D−1)が5
重量%含有された発光層5を正孔輸送層4の上に積層した。蒸着時の真空度は3.0×10-5Paであった。
さらに、正孔阻止層6として実施例1で合成された以下の例示化合物(3)
Figure 2004359671
をるつぼ温度を 226〜228℃として、蒸着速度0.1nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時
の真空度は3.0×10-5Paであった。
正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)
Figure 2004359671
を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温
度は 245〜 247℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は2.9×10-5Pa、蒸着速度は0.15nm/秒で膜厚は35nmとした。
上記の正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が3.3×10-4Pa以下になるまで排気した。陰極8と
して、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.01nm/秒
、真空度5.7×10-4Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.47nm/秒、真空度1.2×10-3Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極8を完成させた。以上の2層型陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得ら
れた。この素子の発光特性を表−1に示す。表−1において、最大発光輝度は電流密度0.25A/cm2での値、発光効率・輝度/電流・電圧は 輝度100cd/m2での値を各々示す。素子の発光スペクトルの極大波長は512nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)からのものと
同定された。色度はCIE(x,y)=(0.29,0.61)であった。
また、駆動寿命は室温で、通電開始時の発光輝度が1000cd/m2となる一定電流値で直流
定電流連続通電し、発光輝度が500cd/m2となったときの通電時間であり、電圧上昇は通電開始時と発光輝度が500cd/m2になったときの電圧の差である。
また、110℃保存電圧上昇は、保存開始時の電流密度が10mA/cm2となる電圧と、110℃の高温で300時間保存後の電流密度が10mA/cm2となる電圧との差であり、この値を表−3に
示す。
(実施例3)
発光層の副成分(ドーパント)(D−1)の代わりに下記に示す化合物(D−2)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は625nmであり、有機イリジウム錯体(D−2)からのも
のと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.66,0.33)であった。
Figure 2004359671
(比較例1)
正孔阻止層の例示化合物(3)の代わりに下記に示す混合配位子錯体(HB−4)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−1に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は510nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)からのも
のと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.29,0.61)であった。電気光学特性と色純度は実施例2と同等であるが、駆動寿命は実施例2と比較して短く、電圧上昇も大きかった。
Figure 2004359671
(比較例2)
正孔阻止層の例示化合物(3)の代わりに上記に示す混合配位子錯体(HB−4)を用いた他は実施例3と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−2に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は626nmであり、有機イリジウム錯体(D−2)からのも
のと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.67,0.33)であった。電気光学特性と色純度は実施例3と同等であるが、実施例3と比較して駆動寿命が短く、電圧上昇も大きかった。
(比較例3)
正孔阻止層の例示化合物(3)の代わりに下記に示す混合配位子錯体(HB−5)を用いた他は実施例2と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−1に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は510nmであり、有機イリジウム錯体(D−1)からのも
のと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.29,0.61)であった。電気光学特性と色純度は実施例2と同等であるが、駆動寿命は実施例2と比較して短く、電圧上昇も大きかった。また、表−3に示す様に、110℃で300時間保存を行った際の電圧上昇も大きかった。
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
Figure 2004359671
有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表されるアルミニウム混合配位子錯体化合物。
    Figure 2004359671
    (式中、キノリノール骨格を構成する炭素原子は、いずれも任意の基で置換されていても良い。Arは置換基を有していても良い芳香族炭化水素環を表し、Arは置換基を有していてもよい多環式芳香族炭化水素環を表す。)
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)
    Figure 2004359671
    (式中、R〜Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、ジアラルキルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基、ハロアルキル基、水酸基、アミド基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を有す。Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基を表し、mは1から4の整数を表す。Arは置換基を有していても良い、多環式芳香族炭化水素基を有す。)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のアルミニウム混合配位子錯体化合物。
  3. 請求項1または2に記載の化合物を含有する、電荷輸送材料。
  4. 請求項1または2に記載の化合物を含有する、有機電界発光素子材料。
  5. 基板上に、陽極、発光層および陰極が順次積層されてなる有機電界発光素子において、請求項1または2に記載の化合物を含有する層を有する、有機電界発光素子。
  6. 請求項1または2に記載の化合物を含有する層を、発光層として有する、請求項5に記載の有機電界発光素子。
  7. 請求項1または2に記載の化合物を含有する層を、発光層と陰極との間に有する、請求項5または6に記載の有機電界発光素子。
  8. 請求項1または2に記載の化合物を含有する層のイオン化ポテンシャルが、発光層のイオン化ポテンシャルより0.1eV以上大きい、請求項7に記載の有機電界発光素子。
  9. 発光層に、周期表7ないし11族から選ばれる少なくとも一つの金属を含む有機金属錯体を含有する、請求項5ないし8のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  10. 請求項1または2に記載の化合物を含む層が、発光層の陰極側界面に接して設けられた正孔阻止層であり、該正孔阻止層と陰極との間に電子輸送層を有し、かつ正孔阻止層材料、電子輸送層材料および発光層材料の間に、以下の関係が成立する、請求項6ないし9のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
    (電子輸送層材料の還元電位)≧(正孔阻止層材料の還元電位)≧(発光層材料の還元電位)
JP2004138830A 2003-05-14 2004-05-07 アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 Expired - Lifetime JP4734849B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004138830A JP4734849B2 (ja) 2003-05-14 2004-05-07 アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003136323 2003-05-14
JP2003136323 2003-05-14
JP2004138830A JP4734849B2 (ja) 2003-05-14 2004-05-07 アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004359671A true JP2004359671A (ja) 2004-12-24
JP4734849B2 JP4734849B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=34067234

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004138830A Expired - Lifetime JP4734849B2 (ja) 2003-05-14 2004-05-07 アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4734849B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006072002A2 (en) 2004-12-30 2006-07-06 E.I. Dupont De Nemours And Company Organometallic complexes
WO2006112225A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. 有機el材料、それを使用した有機el素子及び有機el素子の製造方法
WO2007087223A2 (en) 2006-01-24 2007-08-02 E. I. Du Pont De Nemours And Company Organometallic complexes
JP2008526768A (ja) * 2004-12-30 2008-07-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 有機金属錯体
JPWO2007052444A1 (ja) * 2005-10-31 2009-04-30 新日鐵化学株式会社 有機電界発光素子
JP2010171363A (ja) * 2008-12-24 2010-08-05 Idemitsu Kosan Co Ltd 有機el素子
US8617720B2 (en) 2009-12-21 2013-12-31 E I Du Pont De Nemours And Company Electroactive composition and electronic device made with the composition
US9735373B2 (en) 2013-06-10 2017-08-15 Universal Display Corporation Organic electroluminescent materials and devices
CN110828681A (zh) * 2018-08-14 2020-02-21 乐金显示有限公司 量子点发光器件及包括其的显示设备

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11312586A (ja) * 1998-02-26 1999-11-09 Mitsubishi Chemical Corp 有機電界発光素子
JP2000188184A (ja) * 1998-12-22 2000-07-04 Nec Corp 有機薄膜el素子とその製造方法
JP2001143869A (ja) * 1998-12-25 2001-05-25 Konica Corp エレクトロルミネッセンス材料、エレクトロルミネッセンス素子及び色変換フィルター
JP2003026688A (ja) * 2001-07-10 2003-01-29 Nippon Steel Chem Co Ltd アルミキレート錯体及び有機電界発光素子

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11312586A (ja) * 1998-02-26 1999-11-09 Mitsubishi Chemical Corp 有機電界発光素子
JP2000188184A (ja) * 1998-12-22 2000-07-04 Nec Corp 有機薄膜el素子とその製造方法
JP2001143869A (ja) * 1998-12-25 2001-05-25 Konica Corp エレクトロルミネッセンス材料、エレクトロルミネッセンス素子及び色変換フィルター
JP2003026688A (ja) * 2001-07-10 2003-01-29 Nippon Steel Chem Co Ltd アルミキレート錯体及び有機電界発光素子

Cited By (21)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006072002A2 (en) 2004-12-30 2006-07-06 E.I. Dupont De Nemours And Company Organometallic complexes
EP1859656A2 (en) * 2004-12-30 2007-11-28 E.I. du Pont de Nemours and Company Organometallic complexes
JP2008526766A (ja) * 2004-12-30 2008-07-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 有機金属錯体
JP2008526768A (ja) * 2004-12-30 2008-07-24 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 有機金属錯体
US8362463B2 (en) 2004-12-30 2013-01-29 E. I. Du Pont De Nemours And Company Organometallic complexes
EP1859656A4 (en) * 2004-12-30 2010-06-30 Du Pont ORGANOMETALLIC COMPLEXES
JP4943326B2 (ja) * 2005-03-31 2012-05-30 新日鐵化学株式会社 有機el材料、それを使用した有機el素子及び有機el素子の製造方法
WO2006112225A1 (ja) * 2005-03-31 2006-10-26 Nippon Steel Chemical Co., Ltd. 有機el材料、それを使用した有機el素子及び有機el素子の製造方法
JPWO2007052444A1 (ja) * 2005-10-31 2009-04-30 新日鐵化学株式会社 有機電界発光素子
JP5031575B2 (ja) * 2005-10-31 2012-09-19 新日鐵化学株式会社 有機電界発光素子
US8470208B2 (en) 2006-01-24 2013-06-25 E I Du Pont De Nemours And Company Organometallic complexes
EP1979437A4 (en) * 2006-01-24 2011-04-13 Du Pont ORGANOMETALLIC COMPLEXES
JP2009524661A (ja) * 2006-01-24 2009-07-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 有機金属錯体
EP1979437A2 (en) * 2006-01-24 2008-10-15 E.I. Du Pont De Nemours And Company Organometallic complexes
WO2007087223A2 (en) 2006-01-24 2007-08-02 E. I. Du Pont De Nemours And Company Organometallic complexes
JP2010171363A (ja) * 2008-12-24 2010-08-05 Idemitsu Kosan Co Ltd 有機el素子
US8617720B2 (en) 2009-12-21 2013-12-31 E I Du Pont De Nemours And Company Electroactive composition and electronic device made with the composition
US9735373B2 (en) 2013-06-10 2017-08-15 Universal Display Corporation Organic electroluminescent materials and devices
CN110828681A (zh) * 2018-08-14 2020-02-21 乐金显示有限公司 量子点发光器件及包括其的显示设备
CN110828681B (zh) * 2018-08-14 2022-06-28 乐金显示有限公司 量子点发光器件及包括其的显示设备
US11393990B2 (en) 2018-08-14 2022-07-19 Lg Display Co., Ltd. Quantum dot light emitting device and display apparatus including the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4734849B2 (ja) 2011-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4325197B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4992183B2 (ja) 発光層形成材料及び有機電界発光素子
JP4407102B2 (ja) アントラセン系化合物、その製造方法および有機電界発光素子
JP4039023B2 (ja) 有機電界発光素子
JP4003299B2 (ja) 有機電界発光素子
JP2001313179A (ja) 有機電界発光素子
JPH11242996A (ja) 有機電界発光素子
JP2004277377A (ja) フルオレン系化合物、およびこれを用いた有機電界発光素子
JP2004217557A (ja) カルバゾール系化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子
JP4082297B2 (ja) 有機化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP2005213188A (ja) 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP2004103467A (ja) 有機電界発光素子
JP5109236B2 (ja) 正孔阻止材料及び有機電界発光素子
JP4734849B2 (ja) アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP4424026B2 (ja) 2,7−ジアミノナフタレン化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子
JP2004307380A (ja) 新規化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP2004362930A (ja) 有機電界発光素子、電荷輸送材料、及び有機電界発光素子材料
JPH11273867A (ja) 有機電界発光素子
JP2000003790A (ja) 有機電界発光素子
JP5057633B2 (ja) 芳香族6員環がm−連結している有機化合物
JP2004335415A (ja) 電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JPH11302639A (ja) 有機電界発光素子
JPH11312587A (ja) 有機電界発光素子
JP2004158216A (ja) 有機電界発光素子
JP2005243266A (ja) 電子輸送材料及びそれを用いた有機電界発光素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061208

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090616

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110329

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110411

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4734849

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350