JP5057633B2 - 芳香族6員環がm−連結している有機化合物 - Google Patents

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本発明は新規な有機化合物に関するものであり、詳しくは高耐熱性で、製膜性に優れ、かつ電気的な酸化や還元を受けても安定な有機化合物に関するものである。
電界発光素子は、自己発光性を有するため視認性が高く、かつ完全固体であるため耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表示装置における発光素子としての利用が注目されている。中でも、有機化合物を用いた有機電界発光素子は、印加電圧を大幅に低くすることができる上、(1)小型化が容易であること、(2)消費電力が小さいこと、(3)面発光が可能であること、さらには(4)三原色発光が容易であることから、次世代の発光素子として実用化に向けた研究が積極的になされている。
これまでに報告されている有機電界発光素子は、基本的には正孔輸送層と電子輸送層の組み合わせにより発光を行っている。すなわち、陽極から注入された正孔は正孔輸送層を移動し、陰極から注入されて電子輸送層を移動してくる電子と、両層の界面近傍で再結合し、正孔輸送層および電子輸送層の少なくとも一方を励起させることにより発光を行うことを原理とする。
このような有機電界発光素子をフラットパネル・ディスプレイの分野に応用する際の大きな課題の一つとして、発光効率の向上が挙げられる。特に、携帯機器の表示素子への応用においては、低消費電力がポイントとなる。また、小型文字表示素子への応用においては、主として単純マトリクス駆動法が採用されるが、この方法では、高デューティ比で素子を極めて短時間に高輝度で光らせる必要があり、そのために電圧が高くなり、電力発光効率が低下するという問題がある。
最近は、素子の発光効率を上げる試みの一つとして、従来の蛍光を利用する素子に代わって燐光を用いる素子が検討されている。燐光を用いる、即ち、三重項励起状態からの発光を利用すれば、従来の蛍光(一重項)を用いた素子と比べて、3倍程度の効率向上が期待される。この目的のためにクマリン誘導体やベンゾフェノン誘導体を発光層とすることが検討されたが(非特許文献1参照)、極めて低い輝度しか得られなかった。その後、三重項状態を利用する試みとして、ユーロピウム錯体を用いることが検討されてきたが、これも高効率の発光には至らなかった。
最近、以下に示す白金錯体(T−1)を用いることで、高効率の赤色発光が可能なことが報告された(非特許文献2参照)。その後、以下に示すイリジウム錯体(T−2)を発光層にドープすることで、さらに緑色発光で効率が大きく改善されている(非特許文献3参照)。
Figure 0005057633
有機電界発光素子をフラットパネル・ディスプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。
しかしながら、前述の文献に記載の燐光分子(T−2)を用いた有機電界発光素子は、高効率発光ではあるが、駆動安定性が実用には不十分であり(非特許文献4参照)、高効率な表示素子の実現は困難な状況である。
上記の駆動劣化の主原因は、発光層の劣化によると推定される。
電極から注入された電荷はある確率で電子−正孔対(励起子)となる。また、一般に三重項励起子による発光(燐光)は一重項励起子による発光(蛍光)に比べその寿命が長く、逆に、熱的な安定性は一重項励起子の方が三重項励起子よりも高い。ここで素子に印加する電流が増えると発光層に注入される電荷は増え、それに伴い励起子とならない電荷の量も増加する。また励起子となったものの中でも発光層中で発光に寄与せず熱失活するものが増加する。そのため発光層の温度が上昇し、特に三重項励起子は一重項励起子と比較して熱的安定性に劣ることから、素子が劣化すると考えられる。このことは燐光分子(T−2)を用いた有機電界発光素子の発光効率が注入電流の上昇とともに大きく低下する事からも推定される(非特許文献3参照)。
これまでに開発された燐光分子を用いた有機電界発光素子の多くは、発光層のホストとして カルバゾリル基を含む材料を用いることを特徴としている。例えば、非特許文献3ではホスト材料として以下に示すビフェニル誘導体を用いている。
Figure 0005057633

しかし、上記(H−1)は非常に結晶化しやすく、Tgも低いため、膜の安定性が悪いことが知られている。また、素子としての発光効率も十分満足のいくものではなかった。
また、特許文献1には、ホスト材料として以下に示す化合物(H−2)が開示されている。
Figure 0005057633
この化合物は、製膜性には優れているものの、耐熱性に重大な課題を有する。
上述の理由から、燐光分子を用いた有機電界発光素子においては、実用化に向けて素子の耐熱性、製膜性、発光効率の両立に大きな問題を抱えているのが実状である。
特表2003−515897号公報 第51回応用物理学会連合講演会、28a-PB-7、1990年 Nature, 395巻,151頁,1998年 Appl. Phys. Lett., 75巻,4頁,1999 Jpn. J. Appl. Phys., 38巻,L1502頁,1999年
本発明者は上記実状に鑑み、高効率かつ高い駆動安定性を有する有機電界発光素子を提供することを目的として鋭意検討した結果、発光層に特定の化合物を用いることで、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち本発明の要旨は、a個(aは3以上8以下の整数)の芳香族6員環がm−連結している、以下に示す基本骨格を有し、かつこの骨格上に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールオキシ基、炭素数1〜6のアルキル鎖を少なくとも1つ有するアルキルアミノ基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールアミノ基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールチオ基、または炭素数2〜20のアシル基を、置換基として有していてもよいアルキル基、またはこれらの置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を置換基として有していてもよい、以下に示す環状−NR12 基をb個
(bは(a/2)以上で(a+2)以下の整数)有し、該環状−NR12基がいずれも、芳香族6員環におけるm−連結部位に対して、m−位に結合していることを特徴とする有機化合物(但し、芳香族6員環は環状−NR12基以外にも、環状−NR12 基が有し
ていてもよいとして挙げた前記置換基を有していてもよいアルキル基、または前記置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を置換基として有していてもよく、1分子中に含まれる複数の芳香族6員環は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、1分子中に含まれる複数の環状−NR12 基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)。
Figure 0005057633
(上記式中、R101〜R105 は環状−NR12基が結合しうる位置を表す。)
Figure 0005057633
(上記各環状−NR基中、L及び 、水素原子、あるいは環状−NR 基が有していてもよいとして挙げた前記置換基を表す。)
化合物によっては、m−連結部位を有することによりガラス転移温度Tgが低下する傾向があるが、本発明の有機化合物はa≧3とすることにより、比較的高いTgを確保した。また、Tgを上げるべく分子量を高くすると、化合物によってはバンドギャップが狭くなる傾向があり、有機電界発光素子などに使用する場合に用途が制限されるおそれがあった。しかし本発明の化合物であれば、分子量が高くても広いバンドギャップを確保できるため、適用できる用途範囲が広い。
さらに、本発明の化合物は高いアモルファス性を示すため、薄膜形成時の成膜性に優れ
る点でも、各種用途への応用がしやすく、優れた材料であると言える。
本発明の有機化合物を用いた有機電界発光素子の発光層によれば、低電圧において高輝度・高効率で発光させることが可能となり、さらには素子の安定性が向上する。
また、優れた耐熱性、製膜性、電荷輸送性、発光特性から、素子の層構成に合わせて、発光材料、正孔注入材、正孔輸送材、電子注入材、電子輸送材、正孔阻止材、電子阻止材などとしても適用可能である。
従って、本発明による有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
また、本発明の有機化合物は、本質的に優れた酸化還元安定性を有することから、電子写真感光体に利用することも有用である。
本発明の有機化合物は、a個(aは3以上の整数)の芳香族6員環がm−連結している基本骨格上に、b個(bは1以上(a+2)以下の整数)の−NR12基(R1およびR2は、各々独立に任意の置換基)を有し、該−NR12基がいずれも、芳香族6員環におけるm−連結部位に対して、m−位に置換されていることを特徴とする。
但し、芳香族6員環は−NR12基以外にも置換基を有していてもよく、1分子中に含まれる複数の芳香族6員環は、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、1分子中に含まれる複数の−NR12基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。以下、本発明の有機化合物における芳香族6員環を、「環A」と称すことがある。
本発明におけるのm−連結とは、1つの環Aが、他の2個または3個(4個以上は本発明では許容されない)の環Aと結合している場合、環A同士の結合位置が、互いにm−位の関係にあることを意味する。つまり、
Figure 0005057633
で表される結合位置から選ばれる2以上(分子の末端に位置する環では1カ所)で、他の環Aと結合していることを表す。
環Aに特に制限はなく、1分子中に含まれる複数の環Aは、互いに同一であっても異なっていてもよい。以下に、環Aとして好ましい例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005057633
上記環構造ではm−連結部位の記載を省略したが、前述した関係を満たす位置で、各々複数の環Aが結合し、本発明の有機化合物を構成する。
環Aとしては、前記例示したものの中でも、適度な酸化還元電位差を有する観点および電気的酸化還元に対する安定性の観点からA−1、A−2およびA−3がより好ましく、A−1およびA−2が更に好ましく、A−1が最も好ましい。
前記環Aは、同一または異なる環A同士の3個以上がm−連結によって略直線状に、または分岐状に連結されていることが重要である。これにより、[1,1';3',1'']ターフェ
ニルユニットの持つ適度に広い酸化還元電位差と電気化学的安定性を維持しつつ、ガラス転移温度が高く、製膜性に優れた大型分子を構築することが可能となるのである。
例えば、[1,1';4',1'']ターフェニルユニットが存在してしまうと、共役構造が延び
すぎて著しく酸化還元電位差が小さくなる。
また[1,1';2',1'']ターフェニルユニットがあると、共役構造がその部分で完全に分
断されてしまい、酸化還元電位差が大きくはなるものの、電気化学的安定性が低下する。
本発明の有機化合物において、a個の環Aがm−連結して形成する基本骨格の例として、具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005057633
Figure 0005057633
Figure 0005057633
Figure 0005057633
Figure 0005057633
Figure 0005057633
なお上記式中、R101〜R116は−NR12基が結合しうる位置を表し、本発明の有機化合物の場合、R101〜R116から選択された、1分子あたりb個(但し、bは1以上(a+2)以下の整数)が−NR12基となる。
上記例示した基本骨格の中でも、
・薄膜を形成したときの製膜性がとりわけ優れていること、
・溶解性に優れているため、湿式製膜法にも適していること、
・分子骨格を出来る限り単純なユニットによって形成することにより、電気的な酸化や還元を受けた際、分子内での電子や正孔の局在化現象、即ち、電気的応力集中を生じにくくし、繰返し電気化学的酸化還元に対する耐久性を飛躍的に向上させることができること、・ベンゼン環を環Aとしたことにより、適度に広い酸化還元電位差を持たせることができること
などの理由から、AS−1〜5,14〜17,19,20がより好ましく、AS−1〜5,7が更に好ましい。
本発明の有機化合物において、−NR12基は該化合物の電気的な酸化還元特性を主として特徴付けるユニットであり、1分子中の数はb個(但し、bは1以上(a+2)以下の整数)である。好ましくはb≧(a/2)の整数であり、より好ましくはb≧(2a/3)の整数である。また好ましくはb≦aの整数である。
環A一個当たりの−NR12基の数は、1個または0個が好ましい。−NR12基が2個(3個以上は本発明中では許容されないが)結合した環Aを有すると、電子や正孔がその部分(環Aと環A上の2つの−NR12基)に集中しやすくなる。環A一個あたりの−NR12基の数を、1個または0個とすることにより、耐久性が高く、酸化還元電位差が大きな化合物が得られるため好ましい。
−NR12基は、環Aにおける前記m−連結部位の何れに対しても、m−位に結合していることが重要である。
−NR12基がm−連結部位に対してp−位にあると、共役構造が延びすぎて著しく酸化還元電位差が小さくなる。また、−NR12基がm−連結部位に対してo−位にあると、共役構造がその部分で完全に分断されてしまい、酸化還元電位差が大きくはなるものの、電気化学的安定性が低下する。
本発明の有機化合物において基本骨格を成す芳香族6員環は、該化合物の性能を損なわない範囲で、−NR12基以外にも任意の置換基を有していても良い。該置換基としては、例えば後述する一般式(I)において環A0が有しうる任意の置換基として挙げる基と
同様の基が挙げられ、これらのうち好ましい基も、環A0が有しうる基におけると同様で
ある。
本発明の有機化合物の分子量は、通常4000以下であり、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。また通常200以上であり、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量が上限値を超えると昇華性が低下して、後述するように、例えば有機電界発光素子を作製する場合の蒸着操作において支障をきたす可能性があり、また分子量が下限値を下回ると、ガラス転移点や融点、機化温度などが低下し、各種用途に応用した場合の耐熱性が低下するおそれがある。
本発明の有機化合物として、特に好ましくは下記一般式(I)で表されるものである。
Figure 0005057633
(式中、環A0は−NR12基以外にも置換基を有していてもよい芳香族6員環を表し、
1およびR2は任意の置換基を表し、nは1〜6の整数を表す。但し、1分子中に含まれる複数の環A0、R1およびR2は、各々同じものを表す。)
前記一般式(I)において、環A0としては、環Aとして前述したものと同様の構造が
挙げられ、好ましい構造も同様である。
1およびR2は任意の置換基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。例示するならば、
置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1-ブテニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7から15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが含まれる。)、
ハロゲン原子(特に、フッ素原子または塩素原子)
カルボキシル基、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が含まれる)
または置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が含まれる)などが挙げられる。
上述した各基が有しうる置換基としては、例えば炭素数1〜6程度のアルキル基;炭素数1〜6程度のアルコキシ基;炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を含むアリールオキシ基;炭素数1〜6程度のアルキル基を少なくとも1つ有するアルキルアミノ基:炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールアミノ基;炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基;炭素数1〜6程度のアルキルチオ基;炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を有するアリールチオ基;炭素数2〜20程度のアシル基、などが挙げられる。
1およびR2としては、電荷輸送性、電気化学的安定性、耐熱性等の観点から、より好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられ、最も好ましくは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。
−NR12の具体例として、電荷輸送性と電気的酸化還元耐久性の向上、あるいは適度に広い酸化還元電位差が得られるため好ましいものとして、例えば以下に示したものが挙げられる。
Figure 0005057633
(上記各構造中、L0は、水素原子あるいは、R1およびR2が有しうる基として後述する
基に代表される、任意の置換基を表す。好ましくは、後述の基に代表される任意の置換基である。なお、R1およびR2基は、L0以外にも後述する基に代表される任意の置換基を
有していても良い。)
中でも、より好ましくはR−1、R−2、R−3、およびR−8であり、R−1、R−3、およびR−8が更に好ましい。
一方、本発明の有機化合物は、不必要な分子運動による励起子の無放射失活(熱失活)を抑制して発光量子効率を向上させる観点から、R1およびR2が互いに結合して環を形成している化合物が好ましい。R1およびR2基が結合して環をけいせいしている−NR12基(以下、「環状−NR12基」と称す)は、自らに含まれるN原子上の非共有電子対と共役可能なπ電子を有している場合が好ましく、基全体としては芳香族基(芳香族炭化水素基および芳香族複素環基)である場合が好ましい。特に好ましくは、N−アゾリル基で
ある。
環状−NR12基としてより好ましい基を以下に具体的に示すが、これらに制限される者ではない。
Figure 0005057633
Figure 0005057633
Figure 0005057633
(上記各構造中、L1およびL2は、水素原子あるいは、環状−NR12基が有しうる基として後述する基に代表される、任意の置換基を表す。好ましくは、後述の基に代表される任意の置換基である。なお環状−NR12基は、L1およびL2以外にも、後述する基に代表される任意の置換基を有していても良い。)
中でも、前述の観点から、R−14,R−15,R−16,R−21,R−22,R−24,R−27,R−32,R−39,R−40がより好ましく、R−14,R−16,R−21,R−22,R−27,R−39,R−40が更に好ましく、R−14,R−27が一層好ましく、R−27が最も好ましい。
環状−NR12基は、任意の置換基を有していてもよく、例えば、
置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルケニル基
であり、例えばビニル、アリル、1-ブテニル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2から9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7から15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよいアミノ基
[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1から8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)、
置換基を有していてもよい、5または6員環の芳香族複素環を有するヘテロアリールアミノ基(例えばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアシル基を有するアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが含まれる。)]、
置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基(好ましくは5または6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが含まれる。)、
ハロゲン原子(特に、フッ素原子または塩素原子)
カルボキシル基、
シアノ基、
水酸基、
メルカプト基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8までのアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは炭素数6〜12までのアリールチオ基であり、例えば、フェニルチオ基、1―ナフチルチオ基などが含まれる。)、
置換基を有していてもよいスルホニル基(例えばメシル基、トシル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいシリル基(例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいボリル基(例えばジメシチルボリル基などが含まれる)、
置換基を有していてもよいホスフィノ基(例えばジフェニルホスフィノ基などが含まれる)、
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5または6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が含まれる)
または置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が含まれる)などが挙げられる。
上述した各基が有しうる置換基としては、例えば炭素数1〜6程度のアルキル基、炭素数1〜6程度のアルコキシ基、炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールオキシ基、炭素数1〜6程度のアルキル鎖を少なくとも1つ有するアルキルアミノ基、炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールアミノ基、炭素数6〜20程度の芳香族炭化水素基、炭素数1〜6程度のアルキルチオ基、炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有するアリールチオ基、炭素数2〜20程度のアシル基、などが挙げられる。
化合物における分子振動を制限する観点からは、環状−NR12基は、無置換であるか、置換基を有していてもよいアルキル基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(中でも炭素数6〜12程度の芳香族炭化水素基)を有する場合が好ましく、無置換であるか、メチル基またはフェニル基で置換されている場合が特に好ましい。
環Aには、前記−NR12基とは異なる基が置換していてもよい。このような置換基としては、環状−NR12基が有しうる基として前述した基と同様の基が挙げられ、好ましい基も同様である。環Aにおける、これら任意の基の結合位置に特に制限はないが、−NR12基と同様m−連結部位に対してm−位である場合が好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物の、分子量は通常4000以下であり、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下である。また、通常200以上であり、好ましくは300以上、より好ましくは400以上である。分子量が上限値を越えると、昇華性が著しく低下して電界発光素子を制作する際の蒸着操作において支障を来す可能性があり、分子量が下限値を下回ると、ガラス転移温度や融点、気化温度等が低すぎ、耐熱性が不十分となるおそれがある。
以下に、一般式(I)で表される化合物の好ましい具体的な例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005057633
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本発明の有機化合物は、公知の手法の組み合わせにより合成することができる。具体的には、1)芳香族性6員環がm−連結している基本骨格をまず形成し、その後に−NR1
2基を導入する方法と、2)−NH2基を有する芳香族6員環ユニットを出発物質として、−NR12基や−NH2基を有する芳香族6員環ユニットをカップリングさせる方法が
挙げられる。
1)芳香族性6員環がm−連結している基本骨格をまず形成し、その後に−NR12基を導入する方法としては、例えば、以下(a)、(b)の方法が挙げられ、目的化合物の構造に応じて適した方を採用すればよい。
(a)3−フルオロフェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、3−フルオロ−4−フェニルフェニルボロン酸などのハロゲン化芳香族ボロン酸の小過剰(後述されるハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.1〜1.5倍当量程度)と、1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,3,5−トリブロモベンゼン、トリクロロトリアジン、3,3‘−ジヨードビフェニルなどの芳香族2または3置換ハロゲン化物とを、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒触媒(1〜5モル%程度)、炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.5〜5倍当量程度)存在下、トルエン−エタノール、トルエン−水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、あるいはそれらの混合溶媒系中(前記ボロン酸濃度で1〜100ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で5〜24時間程度、加熱還流させることにより、フッ素原子を置換基に有する基本骨格を形成する。
次に、カルバゾール、インドール、ピロール、イミダゾールなどのアゾール化合物(前記フッ素原子を置換基に有する基本骨格上のフッ素原子に対して1.1〜10当量程度)を、乾燥ガス雰囲気下および/または不活性ガス雰囲気下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中、−78〜+60℃の温度範囲で水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、n−ブチルリチウムなどの強塩基(後述するアゾール化合物のN上水素に対して0.9〜2当量程度)と0.1〜5時間撹拌して反応させる。
得られた化合物と、先に得られたフッ素原子を置換基に有する基本骨格のテトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶液とを混合し、加熱還流下、1〜60時間撹拌することにより、本発明の有機化合物のうち、−NR12基としてN−アゾリル基を有する有機化合物を得ることが出来る。
(b)3−ブロモフェニルボロン酸、3,5−ジブロモフェニルボロン酸、3,5−ジクロロフェニルボロン酸などのハロゲン化芳香族ボロン酸の小過剰(後述されるハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.1〜1.5倍当量程度)と、1,3−ジヨードベンゼン、1−ブロモ−3,5−ジヨードベンゼン、1,3,5−トリヨードベンゼン、トリクロロトリアジン、3,3‘−ジヨードビフェニルなどの芳香族2または3置換ハロゲン化物とを、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して0.01〜1当量程度)、炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.5〜5当量程度)存在下、トルエン、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、あるいはそれらの混合溶媒系中(前記ハロゲン化物濃度で1〜100ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で5〜24時間程度、加熱還流させることにより、臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格を形成する。
更に、必要に応じて、得られた臭素基を有する基本骨格を、ヨウ化カリウム(前記基本骨格上の臭素原子に対して1.5〜10当量)、ヨウ化銅(1〜10当量)存在下、N,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒(前記ハロゲン化物濃度で0.1〜10モル%程度)中、100〜300℃で5〜24時間撹拌することにより、臭素基がヨウ素基に変換された基本骨格を得ることができる。
次に、臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格と、ジフェニルアミン、1−ナフタレニルフェニルアミン、2−ナフタレニルフェニルアミン、9−フェナン
トレニルフェニルアミン、9−フェナントレニル−p−トリルアミンなどのジアリールアミン化合物(前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子に対して1.0〜100当量程度)とを、下記(i)または(ii)の方法で反応させることにより、本発明の有機化合物を得ることができる。
(i)銅粉末、銅線、ハロゲン化銅(CuX(X=Cl、Br、I))、酸化銅(CuO)などの銅触媒(前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子に対して1〜5当量程度)存在下、不活性ガス気流下、無溶媒またはテトラグライム、ポリエチレングリコールなどの溶媒(前記基本骨格1モルに対して0.1〜2リットル程度)中、20〜300℃の温度範囲で、1〜60時間撹拌混合する。
(ii)Pd2(dba)3(Pd=パラジウム、dba=ジベンジリデンアセトン)、Pd(dba)2、酢酸パラジウムなどの2価のパラジウム触媒と、BINAP(=2,2'-ビス(ジフェニルフォスフィノ-1,1'-ビナフチル)、トリ(tert−ブチル)フォスフィン、トリフェニルフォスフィン、1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、dppf(=1,1'-ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセン)などのリガ
ンド類の組合せ、あるいはPd(PPh)などの0価のパラジウム錯体、あるいはPdCl2(dppf)2などのパラジウム塩化物錯体などの触媒(通常、前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格上の臭素原子または/および塩素原子1当量に対して0.01〜1当量程度)と、必要に応じてtert-ブトキシカリウム、tert-ブトキシナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミンなどの強塩基類(通常、反応で生成し得るハロゲン化水素1当量に対して、1.1〜10当量)存在下、必要に応じてヨウ化銅などの銅触媒(通常、反応で生成し得るハロゲン化水素1当量に対して、1〜10当量)共存下、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン、トリエチルアミンなどの溶媒(通常、前記臭素原子または/および塩素原子を置換基に有する基本骨格の濃度で0.1〜100ミリモル%程度)中、30〜200℃で1〜60時間かけて撹拌する。
2)−NH2基を有する芳香族6員環ユニットを出発物質として、−NR12基や−N
2基を有する芳香族6員環ユニットをカップリングさせる方法としては、例えば、
まず、3−アミノフェニルボロン酸などのアミノアリールボロン酸類の小過剰(後述されるハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.1〜1.5倍当量程度)と、1,3−ジヨードベンゼン、1−アミノ−3,5−ジヨードベンゼン、1,3,5−トリヨードベンゼン、トリクロロトリアジン、3,3‘−ジヨードビフェニルなどの芳香族2または3置換ハロゲン化物とを、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウムなどのパラジウム触媒(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して0.01〜1当量程度)、炭酸セシウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの塩基(前記ハロゲン化物のハロゲン原子に対して1.5〜5当量程度)存在下、トルエン、エタノール、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミドなど、あるいはそれらの混合溶媒系中(前記ハロゲン化物濃度で1〜100ミリモル%程度)、不活性ガス雰囲気下で5〜24時間程度、加熱還流させることにより、アミノ基を置換基に有する基本骨格を形成する。
これを先述したアリールアミンとハロゲン化アリールとの反応と同様の条件(但し、この場合はハロゲン化アリールの方を過剰に使用する)で、ヨウ化アリールや臭化アリールなどのハロゲン化アリールと反応させることなどにより、合成する事が出来る。
上記1)および2)で記載した以外にも、芳香族6員環同士のカップリングには、グリニヤ反応、亜鉛を用いた方法、スズを用いた方法など、公知の手法を適用可能であり、ア
ミノ基の導入には、「第4版実験化学講座20」(日本化学会編、丸善)、第6章(アミン)の項に記載の方法などが適用可能である。
本発明の有機化合物は、適度な電荷輸送性を有するため、電荷輸送材料として電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等に好適に使用できる。
また、結晶化し難く、ガラス転移温度が高いため薄膜形成性に優れるため、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子を提供することが可能であり、有機電界発光素子材料として好適である。
続いて、本発明の化合物を用いた有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有し、該発光層として、または該発光層と陽極又は陰極との間に有する層として、本発明の有機化合物を含有する層を有することを特徴とする。
本発明の有機化合物は、発光層と陽極との間に設けられた正孔輸送性の層に含有される場合、適度に低い酸化電位と適度に高い還元電位を有していることが望ましく、特に繰返し電気的酸化にも安定している必要があるため、前記−NR12基におけるR1とR2が連結されていないもの(例えばジアリールアミノ基など)が望ましい。より好ましい例としては、具体例として前掲した構造のうち、R−1,R−2,R−3,R−8が挙げられ、R−1,R−2,R−8が更に好ましい。
また、発光層と陰極との間に設けられた電子輸送性の層に含有される場合、適度に高い酸化電位と適度に低い還元電位を有していることが望ましく、特に繰返し電気的還元にも安定している必要がある。従って、前記−NR12基におけるR1とR2は、直接または連結基を介して連結されてなる環状−NR12基が望ましく、中でもN原子や縮合環基を多く含んだ構造であるのがより好ましい。好ましい例としては、例えば具体例として前掲した構造のうち、R−14,R−15,R−20,R−21,R−24,R−25,R−26,R−27,R−28,R−29,R−30,R−31,R−32,R−33,R−34,R−35,R−36,R−37,R−40,R−41,R−42,R−43,R−44,R−45,R−46等があげられ、R−14,R−15,R−20,R−21,R−24,R−27,R−28,R−32,R−34,R−40が更に好ましい。
さらに、発光層中に、特にホスト材料として含まれる場合には、適度に高い酸化電位と適度に高い還元電位を有していることが望ましく、特に電気的酸化還元を繰返しても変質しにくい安定性が必要である。従って、前記−NR12基におけるR1とR2は、直接または連結基を介して連結されてなる環状−NR12基が望ましく、更に、芳香族複素環を含み、縮合環基を適度に多く含んだ構造である場合がより好ましい。好ましい例としては、例えば具体例として前掲した構造のうち、R−14,R−15,R−16,R−21,R−22,R−24,R−27,R−32,R−39,R−40等が挙げられ、R−14,R−16,R−21,R−22,R−27,R−39,R−40が更に好ましく、R−14,R−27が一層好ましく、R−27が最も好ましい。
本発明において、本発明の有機化合物は、−NR12基を多く有し、正孔輸送性に優れている点、および広い酸化還元電位差を有している点から、発光層材料、中でもホスト材料として使用した場合に、その長所が最も生かされるため好ましい。
本発明の有機電界発光素子において、同一の層内に2種以上の本発明の有機化合物が含有されていても良い。また、2以上の層に本発明の有機化合物が含有されている場合、これらの層に含有される該化合物は同一のものであっても異なるものであってもよい。
なお、本発明の有機電界発光素子において、陰極−発光層間を「電子輸送層」と称し、
2つ以上の場合は陰極に接している層を「電子注入層」、それ以外の層を総称して「電子輸送層」と称す。また、陰極−発光層間に設けられた層のうち、発光層に接している層を、特に「正孔阻止層」と称する場合がある。
以下に、添付図面を参照して、本発明の有機化合物を、発光層に含有する場合を例に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に用いられる一般的な有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表わす。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板またはフイルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布することにより形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねてもよい。
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層5に接するために発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、Tgとして85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−
N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4′,4′−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun., 2175頁、1996年)、2,2′,7,7′−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9′−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.
Metals, 91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種または2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
図1に示す素子において、正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す化合物より形成される。
発光層5に用いられる該化合物としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光または燐光)量子収率を示し、正孔および/または電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。さらに電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
本発明の有機化合物は、このような条件を満たすため、有機電界発光素子における発光層材料として用いることが好ましい。発光層5は、該化合物のみからなる層であってもよいが、以下に述べる様々な目的で、発光材料(ドーパント)をも含有する層であることが好ましい。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われており、本発明の有機電界発光素子における発光層に対しても、蛍光色素を
ドープすることは好ましい。
ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10-3重量%以上が好ましく、0.1重量%がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。下限値を下回ると、素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
一方、燐光発光を示す発光層は、通常、燐光性ドーパントとホスト材料を含んで形成される。燐光性ドーパントとしては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられ、該金属錯体のT1(最低励起三重項準位)より高いT1を有する電荷輸送性有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。本発明の有機化合物は、この燐光発光を示す発光層におけるホスト材料としても、好適に使用できる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における、該金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(i)または一般式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005057633
(式中、Mは金属、nは該金属の価数を表す。LおよびL’は二座配位子を表す。jは0または1または2を表す。)
Figure 0005057633
(式中、M7は金属、Tは炭素または窒素を表わす。Tが窒素の場合はR14、R15は無く
、Tが炭素の場合はR14、R15は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。
12、R13は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、互いに連結して環を形成しても良い。)
一般式(i)中の二座配位子LおよびL’はそれぞれ以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0005057633
(環A1および環A1’は各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。環A2および環A2’は含窒素芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。R’、R’’およびR’’’はそれぞれハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;メトキシ基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基またはシアノ基を表す。)
一般式(i)で表される化合物として、さらに好ましくは下記一般式(ia)、(ib)(ic)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005057633
(式中、M4は金属、nは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わ
す。)
Figure 0005057633
(式中、M5は金属、nは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素
芳香族複素環基を表わす。)
Figure 0005057633
(式中、M6は金属、nは該金属の価数を表し、jは0または1または2を表す。環Aお
よび環A1’は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複
素環基を表わし、環A2および環A2’は各々独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
一般式(ia)、(ib)、(ic)で表される化合物の環A1および環A1として、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
環A2および環A2’として、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、またはフェナントリジル基が挙げられる。
一般式(ia)、(ib)および(ic)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられ、これらは互いに連結して環を形成しても良い。
なお、環A1が有する置換基と環A2有する置換基が結合、または環A1’が有する置換
基と環A2’が有する置換基が結合して、一つの縮合環を形成してもよく、このような縮
合環としては7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
式(ia)、(ib)におけるM4ないしM5として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
式(ii)におけるM7として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レ
ニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
前記一般式(i)、(ia)、(ib)および(ic)で示される有機金属錯体の具体
例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 0005057633
Figure 0005057633
前記一般式(ii)で表わされる有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。なお、式中のMeはメチル基、Etはエチル基を表す。
Figure 0005057633
さらに、本発明の有機化合物を含む発光層は、燐光性ドーパントと共に、前述の蛍光色素をも含有していてもよい。
発光層中にドーパントとして含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光を示す発光層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
なお、発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等の蛍光発光を生じる発光層材料、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2',2''−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベ
ンズイミダゾール](Appl. Phys. Lett., 78巻, 1622項, 2001)、ポリビニルカルバゾ
ール(特開2001−257076号公報)等の燐光発光を生じる発光層材料などを含有していても良い。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素および/または燐光色素(燐光性ドーパント)を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで1.0×10-4Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
本発明で用いられる正孔阻止層のイオン化ポテンシャルは発光層のイオン化ポテンシャル(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
Figure 0005057633
で定義される。(“Molecular Semiconductors”,Springer−Verlag,1985年、98頁)。
さらに、本発明で用いられる正孔阻止層の電子親和力(EA)は、発光層の電子親和力(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
Figure 0005057633
従って、本発明で用いられる正孔阻止層は、酸化電位と還元電位をもちいて、(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光材料の酸化電位)≧0.1V(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)と表現することも出来る。
さらに後述の電子輸送層を有する素子の場合には、正孔阻止層の電子親和力は電子輸送層の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
このような条件を満たす正孔阻止材料として、好ましくは、下記一般式(VII)で表わ
される混合配位子錯体が挙げられる。
Figure 0005057633
(式中、R16〜R21は、水素原子または任意の置換基を表す。M8はアルミニウム、ガリ
ウム、インジウムから選ばれる金属原子を表す。L5は以下に示す一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)のいずれかで表される。
Figure 0005057633
(式中、Ar11〜Ar15は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Z3はシリコンまたはゲルマニウムを表す。)
前記一般式(VII) において、R16〜R21は水素原子または任意の置換基を表すが、好ましくは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。R16ないしR21としてより好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基が挙げられる。またR19としては、シアノ基が特に好ましい。
上記式(VII)中、Ar11〜Ar15として、具体的には、置換基を有していてもよいフェ
ニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基またはチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記一般式(VII) で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 0005057633
Figure 0005057633
なお、これらの化合物は正孔阻止層中に、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々混合して用いてもよい。
Figure 0005057633
正孔阻止材料としては、前記一般式(VII) の混合配位子錯体の他に、以下の構造式で示される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物を用いることができる。
前記構造式で表わされる1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0005057633
正孔阻止材料として、さらに、以下の構造式で示されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。
Figure 0005057633
前記構造式で表わされるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0005057633
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。正孔阻止層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面にLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett., 70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられていてもよい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N′−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔輸送層4と陽極2との間に陽極バッファ層3を挿入することも行われている(図3参照)。陽極バッファ層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。陽極バッファ層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上であることが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、これまでに銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(Optical Materials, 9巻、125頁、1998年)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth. Met., 91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(J. Phys. D, 29巻、2750頁、1996年)が報告されている。
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記陽極バッファ層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される陽極バッファ層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。また高分子化合物を用いて形成される陽極バッファ層3の、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2または図3に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。また、図1〜3のいずれの層構成においても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述以外の任意の層を有していてもよく、また上記複数の層の機能を併有する層を設けることにより、層構成を簡略化する等、適宜変形を加えることが可能である。
以上、本発明の有機化合物を、発光層に含有する層構成を例に、本発明の有機電界発光素子について説明したが、前述したように、本発明の有機化合物は、発光層と陰極または陽極との間に設けられた任意の層に含有されていても良く、その場合の発光層は、本発明の有機化合物から選択されたものであっても、それ以外の材料からなるものであっても良い。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明によれば、本発明の有機化合物を用いることにより、駆動安定性に優れ、駆動寿命が長く、さらに高発光効率および低駆動電圧である有機電界発光素子を得ることができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
Figure 0005057633
窒素雰囲気下、3−フルオロフェニルボロン酸(1.2g)、1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン(0.8g)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(0.4g)、2Mリン酸カリウム水溶液(6.4ml)、トルエン(50ml)を、加熱還流下、6.3時間撹拌した。トルエン(100ml)を加えた後、水(2×100ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。これをカラムクロマトグラフィーにて精製し、3,5',3''-トリフルオロ-[1,1';3',1'']ターフェニル(1.0g)を得た
窒素雰囲気下、無水DMF(50ml)中で水素化ナトリウム(55%,0.5g)をカルバゾール(2.0g)に作用させた後、3,5',3''-トリフルオロ-[1,1';3',1'']ター
フェニル(0.9g)を滴下し、加熱還流下で24時間撹拌した。得られた溶液に水(30ml)、メタノール(30ml)を加えて、濾過し、メタノールで洗浄した。得られた固体をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物1(1.2g)を得た。このもののガラス転移温度は147℃、気化温度は528℃であった。
1H-NMR(270MHz, CDCl3), 8.17-8.13(m, 6H), 7.96-7.88(m, 5H), 7.80-7.68(m, 4H), 7.62-7.52(m, 4H), 7.46-7.28(m, 16H)
DEI-MS m/z = 725(M+)
(実施例2)
実施例1で得られた化合物の薄膜を真空蒸着法によりガラス基板上に作成した。真空蒸着装置内に設置されたセラミック製るつぼに、該化合物を入れて、るつぼの周囲をタンタル線ヒーターで加熱して、蒸着を行った。この時、るつぼの温度は260〜273℃に制御し、蒸着時の真空度は2.4×10-4Pa、蒸着速度は1.4nm/秒であり、膜厚は50nmであった。
得られた薄膜は透明なアモルファス膜であり、室温、窒素雰囲気下で1か月保存後も結晶化は見られなかった。このことから、本発明の化合物は、安定性・耐熱性に優れた有機電界発光素子の層材料として好適に用いられる。
(比較例1)
実施例2と同様にしてCBP(本文中に(H−1)として記載した化合物)の薄膜を作成した。この薄膜は24時間後に結晶化・白濁が観測された。
(実施例3)
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜2を 150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、陽極バッファ層3として下記構造の芳香族ジアミン含有ポリエーテル(P-1)
(重量平均分子量25,300;ガラス転移温度171℃)およびこの(P-1)に対し10重量%の下記化合物(P-2)を下記の条件で、上記ガラス基板上にスピンコートした。
Figure 0005057633
溶媒 安息香酸エチル
P−1濃度 20[mg/ml]
P−2濃度 2[mg/ml]
スピナ回転数 1500[rpm]
スピナ回転時間 30[秒]
乾燥条件 100℃1時間

上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
次に、陽極バッファ層3を塗布成膜した基板1を真空蒸着装置内に設置した。この装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度3.0×10-5Pa以下になるまでク
ライオポンプを用いて排気した。
上記装置内に配置されたセラミックるつぼに入れた、以下に示す、4,4'-ビス[N-(1-
フェナンチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル
Figure 0005057633
をるつぼの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、301〜311℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度3.0x10-5Pa、蒸着速度は0.2nm/秒で膜厚60nmの正孔輸送層4を得た。
引続き、発光層5として、実施例1で得られた本発明化合物および本文中に(T−2)で示したイリジウム錯体を別々のセラミックるつぼに設置し、2元同時蒸着法により成膜を行った。
Figure 0005057633
実施例1で得られた本発明化合物のるつぼ温度は 254℃に、蒸着速度は 0.10nm/秒に
制御し、イリジウム錯体(T−2)は307〜308℃の温度範囲に制御し、膜厚30nmでイリジウム錯体(T−2)が本発明化合物に5重量%含有された発光層5を正孔輸送層4の上に積層した。蒸着時の真空度は5.0x10-5Paであった。
さらに、正孔阻止層6として本文中に(HB−12)で示した化合物をるつぼ温度を 192℃として、蒸着速度0.1nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は3.7x10-5Paであった。
正孔阻止層6の上に、電子輸送層7として以下の構造式(ET−1)に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体、Al(C9H6NO)3
Figure 0005057633
を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は 240〜 241℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は3.7x10-5Pa、蒸着速度は0.2nm/秒で膜厚は35nmとした。
上記の正孔輸送層、発光層、正孔阻止層及び電子輸送層を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層7までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が1x10-4Pa以下になるまで排気した。陰極8として、先ず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて、蒸着速度0.01nm/秒、真
空度1x10-4Paで、0.5nmの膜厚で電子輸送層7の上に成膜した。次に、アルミニウムを同
様にモリブデンボートにより加熱して、蒸着速度0.5nm/秒、真空度5x10-4Paで膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極8を完成させた。以上の2層型陰極8の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mmx2mm のサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表−1に示す。表−1において、発光効率は100cd/m2での値
、輝度/電流は輝度−電流密度特性の傾きを、電圧は 100cd/m2での値を各々示す。素子の発光スペクトルの極大波長は 512nmであり、イリジウム錯体(T−2)からのものと同定された。
(比較例2)
発光層のホスト材料である、実施例1で得られた化合物をCBP(比較例1で使用した化合物)に代えた他は、実施例3と同様にして素子を作製した。この素子の発光特性を表−1に示す。素子の発光スペクトルの極大波長は実施例3とほぼ同じ 512nmであり、イリジウム錯体(T−2)からのものと同定された。実施例3と比較して発光効率が低い。
Figure 0005057633
有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 陽極バッファ層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (2)

  1. 基本骨格が、3個の芳香族6員環がm−連結している、以下の(AS−1)に示されるターフェニル骨格を有し、且つこの骨格上に、
    以下の(R−27)に示される9−カルバゾリル基を2〜5個有し、該9−カルバゾリル基がいずれも、芳香族6員環におけるm−連結部位に対して、m−位に結合していることを特徴とする、
    有機化合物。
    (尚、以下の(A7)、(A13)、及び(A14)の有機化合物を除く。)。
    Figure 0005057633
    (上記式中、R101〜R105は9−カルバゾリル基が結合しうる位置を表す。)
    Figure 0005057633
    Figure 0005057633
  2. 下記式で表される請求項1に記載の有機化合物。
    Figure 0005057633
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