JP2005170809A - 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 - Google Patents

化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2005170809A
JP2005170809A JP2003409830A JP2003409830A JP2005170809A JP 2005170809 A JP2005170809 A JP 2005170809A JP 2003409830 A JP2003409830 A JP 2003409830A JP 2003409830 A JP2003409830 A JP 2003409830A JP 2005170809 A JP2005170809 A JP 2005170809A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituent
ring
aromatic hydrocarbon
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003409830A
Other languages
English (en)
Inventor
Kouichiro Iida
宏一朗 飯田
Masayo Fugono
真代 畚野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003409830A priority Critical patent/JP2005170809A/ja
Publication of JP2005170809A publication Critical patent/JP2005170809A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 優れた電荷輸送性を有する化合物、及び耐熱性が高く、かつ発光効率の高い有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる化合物。
Figure 2005170809

(一般式(1)中、Ar1、Ar2は各々独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。但し、Ar1、Ar2はそれぞれ置換基を含めた合計炭素数が7〜27の芳香族炭化水素基を表す。Ar3は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族
複素環基を表す。R1,R2は、各々独立に、ハロゲン原子、芳香族複素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基或いは芳香族炭化水素基の中から選ばれる。n1及びn2は、それぞれ0〜3の整数であり、n1及び/またはn2が2以上の場合には、R1どうし、R2どうしは、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高耐熱性で電気的な酸化や還元を受けても安定な化合物に関するもので、特に、電界発光素子材料として有用な化合物に関するものである。
近年、薄膜型の電界発光(EL)素子としては、無機材料を使用したものに代わり、有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっている。また、EL素子の発光効率を上げる試みとして、蛍光(一重項励起子による発光)ではなく燐光(三重項励起子による発光)を用いることが検討されている。
有機電界発光素子をフラットパネル・ディスプレイ等の表示素子に応用するためには、素子の発光効率を改善すると同時に駆動時の安定性を十分に確保する必要がある。駆動時の安定性が保てない駆動劣化の主原因は、発光層の劣化によると推定されている。発光層の劣化は、発光層の温度上昇により起こる。発光層の温度上昇は、次の(i)〜(ii)の要因
により起こるものと考えられる。(i)素子に引加する電流が増えると、発光層に注入され
る電荷が増え、それに伴い励起子とならない電荷の量が増加する。(ii)励起子となったものの中でも、発光層中で発光に寄与せず熱失活するものが増加する。
特に、三重項励起子は、一重項励起子に比較して熱的安定性に劣るため、三重項励起子を使用した素子は発光層の劣化、駆動劣化が起こりやすいと考えられる。非特許文献1では、以下に示す燐光分子(T−1)を発光層にドープすることで、緑色発光での効率が大きく改善されることが提案されている。しかしながら、(T−1)を使用した有機電界発光素子は、その発光効率が注入電流の上昇とともに大きく低下しており、発光層の劣化、駆動劣化が起こることが知られている。
Figure 2005170809
これまでに開発された燐光分子を用いた有機電界発光素子の多くは、発光層のホストとして カルバゾリル基を含む材料を用いることを特徴としており、非特許文献1ではホスト材料として以下に示すビフェニル誘導体を用いている。しかしながら、上記(H−1)は非常に結晶化しやすく、また耐熱性に乏しいため、膜の安定性が悪いことが知られている。非特許文献2では、(H−1)が電気的な酸化還元に弱く、特に、一電子酸化された後、3位または6位の水素原子が水素イオンとして脱離することを示している。
Figure 2005170809
また、特許文献1では、上記(H−1)に比べ、高い耐熱性を有し、膜の安定性も良いと考えられる、以下に示すカルバゾール化合物(H−2)が有機電界発光素子の電荷輸送/発光材料として報告されている。
Figure 2005170809
しかし、上記(H−2)は(H−1)に比べ、π共役系が大きく広がっているため、HOMO(最高被占分子軌道)とLUMO(最低空分子軌道)との間のバンドギャップが小さく、一重項励起子のエネルギー準位が低い。三重項励起子は一重項励起子に比べエネルギー準位が低いので、燐光分子を用いた有機電界発光素子において、上記(H−2)のような化合物を発光層のホストとして用いた場合、黄〜緑色より短波長の発光効率がよく得られないと考えられる。さらに、電気的な酸化還元安定性も求められる。
また、特許文献2では、有機電界発光素子の発光層、正孔輸送層の材料として、以下に示すアミン化合物(H−3)が例示されている。しかしながら、下記(H−3)のようなアミン化合物はイオン化ポテンシャルが小さく、HOMO(最高被占分子軌道)レベルは、一般に燐光分子のHOMO(最高被占分子軌道)レベルよりも高い。このため、(H−3)のような化合物を発光層のホストとして用いた場合、燐光分子において励起子が形成されず、燐光分子からの高効率発光は得られない。
Figure 2005170809
特許文献3には、以下に示すアミン化合物(H−4)および(H−5)が有機電界発光素子の正孔輸送/発光材料として報告されている。(H−4)および(H−5)は、アミン化合物として、(H−3)と同様の問題があるだけでなく、更に問題点を有している。
Figure 2005170809
すなわち、上記(H−4)のように4環以上が縮合してなる基を含む化合物は、4環以上が縮合してなる基のπ共役系が大きく広がっているため、HOMO(最高被占分子軌道)とLUMO(最低空分子軌道)との間のバンドギャップが小さく、発光層のホストとして高発光効率が得られず好ましくない。
また、上記(H−5)のようにカルバゾール環の3−および/または6−位に芳香族複素環が置換した化合物は、一般に芳香族炭化水素環が置換した化合物に比べ、イオン化ポテンシャルが大きく、または、電子親和力が小さくなるため、HOMO(最高被占分子軌道)とLUMO(最低空分子軌道)との間のバンドギャップが小さく、発光層のホストとして好ましくない。
従って、発光層のホストとしてカルバゾール化合物を使用する場合、その置換基、更にはその置換基が有する置換基の選択は非常に重要な問題となる。
米国特許第6562982号明細書 特開平9−310066号公報 米国特許出願公開第2002/107405号明細書 Appl. Phys. Lett., 75巻,4頁,1999 J. Electrochem. Soc., 122巻,876頁,1975年
本発明は、優れた電荷輸送性を有する化合物、及び、耐熱性が高く、かつ発光効率の高い発光層を有する有機電界発光素子を提供することを目的とする。耐熱性が高い発光層を提供することにより、発光層が劣化しにくくなるため、高い駆動安定性を有する有機電界発光素子を提供できる。
本発明者が鋭意検討した結果、下記一般式(1)で表される化合物が上記課題を解決できることを見いだし、本発明に至った。下記一般式(1)で表される化合物は、中心のカルバゾール環から3方向に芳香族基が置換しているため、非晶質性、すなわち、膜の安定性が良好である。また、3−および6−位が芳香族炭化水素基(Ar1,Ar2)で置換されているため、一電子酸化された後の水素イオンの脱離が大幅に抑制され、電気的な酸化還元に対し安定である。さらに、該芳香族炭化水素基が、置換基を有さないか、或いは極性および電子供与性の比較的小さく、酸化されやすい部位を含まない性質の置換基を有するものを選択し、かつ該芳香族炭化水素基及びその置換基の有する合計炭素数を7〜27とすることにより、高い正孔輸送性および高い電子輸送性を保つことができる。従って、本発明の化合物は、有機電界発光素子のホスト材料として有用であり、高い発光効率を有する発光層を提供する。
また、カルバゾール環のNの置換基(Ar3)が、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環
基であって、更に該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が、置換基を有さないか或いは極性および電子供与性の比較的小さい性質の置換基を有することにより、カルバゾリル基のような電子供与性の大きな置換基を有するものに比べて、バンドギャップが大きいため、有機電界素子のホスト材料として有用であると考えられ、発光効率の高い発光層を提供する。
本発明は、Ar1〜Ar3を上記の様に規定することにより、本発明の化合物は、耐熱性が高く、かつ発光効率の高い発光層を提供することができる。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表わされる化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および該化合物を含む層を有する有機電界発光素子に存する。
Figure 2005170809
(一般式(1)中、
Ar1及びAr2は、各々独立に芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、シアノ基、及び以下の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基の、1種又は2種以上で置換されていてもよい。また、[置換基群Y]に記載の置換基は、置換基を有していてもよい。但し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を含めた合計炭素数が7〜27の芳香族炭化水素基を表す。
[置換基群Y]アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び芳香族炭化水素基
Ar3は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。該芳香族炭化水素基或いは芳
香族複素環基は、以下の[置換基群Z]の中から選ばれる1種または2種以上の置換基で置換されていても良い。また、[置換基群Z]に記載の置換基は、[置換基群Z2]の中
から選ばれる置換基の、1種または2種以上で置換されていてもよい。
[置換基群Z]シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基[置換基群Z2]ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基
1,R2は、各々独立に、ハロゲン原子、芳香族複素環基、或いは上記の[置換基群Y]の中から選ばれる。n1及びn2は、それぞれ0〜3の整数であり、n1及び/またはn2が2以上の場合には、R1どうし、R2どうしは、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。また、該芳香族複素環基及び[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。)
耐熱性が高く、かつ発光効率の高い発光層を有する有機電界発光素子を提供できる。また、高い駆動安定性を有する有機電界発光素子を提供できる。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される。下記一般式(1)で表される有機化合物は、中心のカルバゾール環から3方向に芳香族基が置換しているため、非晶質性、すなわち、有機電界発光素子用に製膜した場合、膜の安定性が良好である。
Figure 2005170809
一般式(1)中、Ar1及びAr2は、各々独立に芳香族炭化水素基を表す。カルバゾール環の3−および6−位が芳香族炭化水素基で置換されているため、一電子酸化された後の水素イオンの脱離が大幅に抑制され、電気的な酸化還元に対し安定である。例えば、カルバゾール環の3−および6−位がアミノ基で置換されたアミン化合物の場合、イオン化ポテンシャルが小さくなり、HOMOレベルが燐光分子のHOMOレベルよりも高くなる。従って、該アミン化合物を発光層のホストとして用いた場合、燐光分子において励起子が形成されず、燐光分子からの高効率発光は得られなくなってしまうため、好ましくない。
また、カルバゾール環の3−および6−位が芳香族複素環基で置換された場合、芳香族炭化水素環が置換した化合物に比べ、イオン化ポテンシャルが小さく、または、電子親和力が大きくなるため、HOMOとLUMOとの間のバンドギャップが小さく、発光層のホストとして好ましくない。
該芳香族炭化水素基を例示するならば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環などの、電子供与性および電子受容性がともに比較
的小さい性質をもつ5〜6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。
Ar1及びAr2は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、同一である方が、合成が容易という点で好ましいが、異なる一般式で表される構造の方が、非晶質性が大きいと言う点で好ましい。
Ar1およびAr2が、下記一般式(2)〜(4)で表される場合、カルバゾール環とAr1との間、および、カルバゾール環とAr2との間の立体障害のため、二面角が大きく、π共役系の広がりが抑えられる。よって、HOMOとLUMOとの間のバンドギャップが大きくなり好ましい。特に、大きなバンドギャップが必要とされる青色発光の燐光分子を用いた有機電界発光素子のホスト材料として好ましい。Ar1およびAr2のうちどちらか一方が、一般式(2)〜(4)で表されていてもよいが、HOMOとLUMOとのバンドギャップの点では、Ar1およびAr2のどちらもが、一般式(2)〜(4)で表される構造が好ましい。また、Ar1およびAr2は、一般式(2)〜(4)のうち、同一の一般式で表される構造の方が、合成が容易という点で好ましいが、異なる一般式で表される構造の方が、非晶質性が大きいと言う点で好ましい。
Figure 2005170809
但し、Ar1及びAr2は、それぞれその置換基を含めた合計炭素数が7〜27の芳香族炭化水素基である。前記合計炭素数が7〜27であることにより、高い正孔輸送性および高い電子輸送性がともに保たれ、かつ、耐熱性、非晶質性に優れるため、有機電界素子のホスト材料として有用である。好ましくは、前記合成炭素数が8〜20であり、更に好ましくは10〜14である。
該Ar1及びAr2は、ハロゲン原子、シアノ基、或いは以下の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基の、1種又は2種以上で置換されていてもよい。
[置換基群Y]アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び芳香族炭化水素基
前記ハロゲン原子、シアノ基、及び以下の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基は、極性および電子供与性の比較的小さく、酸化されやすい部位を含まない性質を有する。Ar1及びAr2は、無置換、または、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基で置換されていることが電荷輸送性の点で好ましく、無置換、または、アルキル基、芳香族炭化水素基で置換されていることが更に好ましい。また、[置換基群Y]に記載の置換基は、後述する通り、置換基を有していてもよい。
前記一般式(2)中、R3は、ハロゲン原子、シアノ基、及び上記の[置換基群Y]の
中から選ばれる置換基を表す。ハロゲン原子、シアノ基、或いは上記の[置換基群Y]は、電子供与性の比較的小さい性質を有する。中でも、極性が小さく電荷輸送を阻害しない点で、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基、芳香族炭化水素基が更に好ましい。[置換基群Y]に記載の置換基
は、さらに、後述する通り、置換基を有していてもよい。
前記一般式中、R4〜R6は、ハロゲン原子、シアノ基、及び上記の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基を表す。ハロゲン原子、シアノ基、及び上記の[置換基群Y]は、電子供与性の比較的小さい性質を有するものである。また、式(2)中、n3は、0〜4の
整数であり、n3が2以上の場合には、R4どうしは互いに同一であっても異なっていてもよい。式(3)中、n4は、0〜7の整数であり、n4が2以上の場合には、R5どうしは
互いに同一であっても異なっていてもよい。式(4)中、n5は、0〜9の整数であり、
5が2以上の場合には、R6どうしは互いに同一であっても異なっていてもよい。
中でも、電荷輸送性の点で、無置換(n=0)、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基が好ましく、無置換(n=0)、アルキル基、芳香族炭化水素基が更に好ましい。[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに、後述する通り、置換基を有していてもよい。
3がハロゲン原子である時は、耐熱性の点からR4は芳香族炭化水素基であることが好ましい。
4は、無置換(n=0)、または、n=1または2であることが好ましい。R4の置換位置としては、耐熱性の点では、カルバゾール環に結合する位置に対して、p−位が好ましく、非晶質性の点ではm−位が好ましく、バンドギャップの点ではo−位が好ましい。
5は、無置換(n=0)、または、n=1または2であることが好ましい。R5の置換位置としては、カルバゾール環に結合する位置に対して、耐熱性の点では4−位、5−位が好ましく、非晶質性の点では3−位、6−位、7−位が好ましく、バンドギャップの点では2−位、8−位が好ましい。
6は、無置換(n=0)、または、n=1〜3のいずれかであることが好ましい。R6の置換位置としては、カルバゾール環に結合する位置を9−位とすると、耐熱性の点では4−位、6−位が好ましく、非晶質性の点では2−位、7−位、8−位が好ましく、バンドギャップの点では1−位、10−位が好ましい。
Ar3は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。芳香族炭化水素基としては
、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環などの、5〜6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基であり、電子供与性および電子受容性がともに比較的小さい性質有する点で共通する。
芳香族複素環基としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基であり、高い電荷輸送性を有する点で共通する。
Ar3として、HOMOとLUMOとの間のバンドギャップが大きいという点からは、
芳香族炭化水素環が好ましく、電荷輸送性が大きいという点からは、芳香族複素環が好ましい。
中でも、Ar3としては非晶質性、酸化還元安定性の点でベンゼン環、ナフタレン環、
フェナントレン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環が好ましい。
Ar3は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。該芳香族炭化水素基或いは
芳香族複素環基は、以下の[置換基群Z]の中から選ばれる1種または2種以上の置換基で置換されていても良い。また、[置換基群Z]に記載の置換基は、[置換基群Z2]の
中から選ばれる置換基の、1種または2種以上で置換されていてもよい。
[置換基群Z]シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基[置換基群Z2]ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基
[置換基群Z]は、酸化または還元を受けたときに副反応を起しにくい置換基である。Ar3の置換基としては、耐熱性、酸化還元安定性の点で、アルキル基、アルケニル基、
アラルキル基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基、芳香族炭化水素基が更に好ましい。
また、該Ar3の置換基の置換基、すなわち、[置換基群Z2]に記載の置換基の置換基は、耐熱性、酸化還元安定性の点で、アルキル基、アルケニル基、芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基、芳香族炭化水素基が更に好ましい。
該Ar3の置換基の置換基に、カルバゾリル基を有した場合は、例えば、前記(H−1
)、(H−2)の様に、膜の安定性が悪いため、耐熱性に乏しく、バンドギャップが小さいため、発光効率が良くない。従って、Ar3の置換基の置換基においても、カルバゾリ
ル基は有さないことが好ましい。
1,R2は、各々独立に、ハロゲン原子、芳香族複素環基、及び上記の[置換基群Y]の中から選ばれる。n1及びn2は、それぞれ0〜3の整数であり、n1及び/またはn2が2以上の場合には、R1どうし、R2どうしは、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。また、R1,R2は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ハロゲン原子、芳香族複素環基、及び上記の[置換基群Y]は、極性および電子供与性の比較的小さく、酸化されやすい部位を含まない性質を有するものである。中でも、電荷輸送性の点で、無置換(n=0)、または、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基が好ましく、無置換(n=0)、または、アルキル基、芳香族炭化水素基基が更に好ましい。[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。R1,R2の置換位置としては、耐熱性の点で、2−位、7−位が好ましく、酸化還元安定性の点で、1−位、8−位が好ましい。
上記Ar1、Ar2及びAr3の置換基、Ar3の置換基の置換基、及び、R1〜R6の具体例としては以下の様なものが挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基として、好ましくは炭素数1から8の直鎖または分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。
アルケニル基として、好ましくは、炭素数2から9、更に好ましくは炭素数2から5のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。
アルキニル基として、好ましくは、炭素数2から9、更に好ましくは炭素数2から5のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。
アラルキル基として、好ましくは、炭素数7から15、更に好ましくは炭素数7から1
1のアラルキル基であり、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルコキシ基として、好ましくは炭素数1から6、更に好ましくは炭素数1から4のアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
アリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基などが挙げられる。
アシル基として、好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2から10、更に好ましくは炭素数2から7のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが含まれる。
アルコキシカルボニル基として、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2から10、更に好ましくは炭素数2から7のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基として、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数7〜13、更に好ましくは炭素数7から11のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが含まれる。
アルキルチオ基としては、好ましくは炭素数1から6、更に好ましくは炭素数1から4のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環などの、6員環の単環または2〜5縮合環由来の1価の基が含まれる。
芳香族複素環基としては、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環由来の1価の基が含まれる。
上述した各基が有しうる置換基としては、例えば炭素数1〜6程度のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子または塩素原子)、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基およびフェニル基などが挙げられる。
以下に、本発明の有機化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005170809
Figure 2005170809
Figure 2005170809
上記表3中、R11〜R13、R21〜R23は、以下の一般式(5)に対応する。
Figure 2005170809
上記具体例のうち、耐熱性、非晶質性、電荷輸送性の点で、好ましくはNo.1〜6、
11〜14、16〜18、20、23、26、28、31〜33、34、35、38の化合物である。更に好ましくは、1〜5、11、12、16〜18、26、31、32、34、最も好ましくは、1〜3、11、12、16〜18である。
本発明の前記一般式(1)で表される有機化合物の分子量としては、通常、400以上、2000以下であり、耐熱性、昇華性の点で好ましくは、500以上、1200以下である。また、ガラス転移温度は、通常、60℃以上、有機電界発光素子の耐熱性を含めた駆動安定性の点で好ましくは100℃以上である。融点は、通常、100℃以上、有機電界発光素子の耐熱性を含めた駆動安定性の点で好ましくは200℃以上である。ただし、非晶質性の高い化合物は明確な融点をもたないことがある。また、酸化還元電位としては、酸化される電位が、通常、+0.9〜+1.6V vs.SCE、電荷輸送性の点で、好ましくは、+1.0〜+1.4V vs.SCE、還元される電位が、通常、−2.7〜−1.7V vs.SCE、電荷輸送性の点で、好ましくは、−2.5〜−1.8Vvs.SCEであ
る。
本発明の前記一般式(1)で表される化合物は例えば、次のような手法を用いて合成することができる。
Figure 2005170809
合成例1
上記一般式(A)(B)(C)中、Xはヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン原子、または、−OSO2CF3、−OSO264CH3などのエステル化されたヒドロキシル基を表し、Ar1、Ar2、Ar3、R1,R2は前記一般式(1)におけると同義である。Ar1−MおよびAr2−Mは有機マグネシウム試薬、有機ホウ素試薬、有機スズ試薬、有機ケイ
素試薬などの有機金属試薬を表し、Ar3−Xは芳香族ハロゲン化物またはエステル化さ
れたヒドロキシル基を有する芳香族化合物を表す。
まず、一般式(A)で表されるカルバゾール誘導体と有機金属試薬とを、触媒、および、塩基性物質の存在下で反応させることにより、一般式(C)で表される3−位および6−位が芳香族炭化水素基で置換された中間体が得られる。この際、段階的に反応させ、一般式(B)で表される中間体を経ることにより、3−位と6−位にそれぞれ異なる芳香族炭化水素基を入れることができる。
次に一般式(C)で表される中間体と、芳香族ハロゲン化物またはエステル化されたヒドロキシル基を有する芳香族化合物とを触媒、および、塩基性物質の存在下で反応させることにより、本発明の一般式(1)で表される有機化合物が得られる。
合成例2
本発明の前記一般式(1)で表される有機化合物は、次のような手法を用いても合成することができる。
Figure 2005170809
上記一般式(D)(E)(F)中、Xはヨウ素、臭素、塩素などのハロゲン原子を表し、Ar1、Ar2、Ar3、R1,R2は前記一般式(1)におけると同義である。Ar1−M、Ar2−Mは有機マグネシウム試薬、有機ホウ素試薬、有機スズ試薬、有機ケイ素試薬
などの有機金属試薬を表す。
まず、一般式(D)で表される9−位を芳香族基によって置換されたカルバゾール誘導体をNBS(N−ブロモスクシンイミド)、臭素分子などを用いて、一般式(E)で表されるジハロゲン化物に誘導する。
次に、一般式(E)で表されるジハロゲン化物と有機金属試薬とを触媒、および、塩基性物質の存在下で反応させることにより、本発明の一般式(1)で表される有機化合物が得られる。この手法においても、段階的に反応させ、一般式(F)で表される中間体を経ることにより、3−位と6−位にそれぞれ異なる芳香族炭化水素基を入れることができる。
また、別法として、一般式(E)で表される中間体を有機マグネシウム試薬、有機ホウ素試薬、有機スズ試薬、有機ケイ素試薬などの有機金属試薬に誘導した後、芳香族ハロゲ
ン化物またはエステル化されたヒドロキシル基を有する芳香族化合物と反応させることによっても、本発明の一般式(1)で表される有機化合物が得られる。
前記使用される触媒としては、パラジウム、ニッケル、銅など遷移金属系の触媒が挙げられる。通常、触媒はカルバゾール環を含有する中間体に対して、0.1モル%以上、200モル%以下程度使用される。
また、塩基性物質としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム、tert−ブトキシナトリウムなどが挙げられる。通常、塩基性物質はカルバゾール環を含有する中間体に対して、50モル%以上、1000モル%以下程度使用される。
反応温度としては、通常、20℃以上、好ましくは50℃以上、300℃以下、好ましくは200℃以下である。反応に使用できる溶媒としては、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、エトレングリコールジメチルエーテル、テトラグライム等のエーテル系溶媒が挙げられる。
本発明は、有機電界発光素子の材料として提案されるものであるが、前記一般式(1)で表される化合物は、適度な電荷輸送性を有するため、電荷輸送材料として電子写真感光体、有機電界発光素子、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子等にも好適に使用できる。
また、結晶化し難く、ガラス転移温度が高いため薄膜形成性に優れるため、耐熱性に優れ、長期間安定に駆動(発光)する有機電界発光素子を提供することが可能であり、有機電界発光素子材料として好適である。本発明の化合物は、本発明の化合物を含む層として、有機電界発光素子中にあればよく、特に該層が発光層であることが好ましい。
本発明の化合物を用いた有機電界発光素子の発光層によれば、低電圧において高輝度・高効率で発光させることが可能となり、さらには素子の安定性が向上する。
また、本発明の化合物は、優れた耐熱性、製膜性、電荷輸送性、発光特性から、素子の層構成に合わせて、発光材料、正孔注入材、正孔輸送材、電子注入材、電子輸送材、正孔阻止材、電子阻止材などとしても適用可能である。
従って、本発明による有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
続いて、本発明の化合物を用いた有機電界発光素子について説明する。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた発光層を有し、該発光層として、または該発光層と陽極又は陰極との間に有する層として、前記一般式(1)で表される化合物を含有する層を有することを特徴とする。
本発明において、前記一般式(1)で表される化合物は、非晶質性および耐熱性に優れ、かつ、正孔輸送性と電子輸送性が共に優れており、また両者のバランスがよく、さらに三重項励起子のエネルギー準位が高いとの理由から、発光層材料、中でもホスト材料として使用した場合に、その長所が最も生かされ、耐熱性を含めた駆動安定性に優れ、発光効率の高い有機発光電界素子が得られるため好ましい。
本発明の有機電界発光素子において、同一の層内に2種以上の前記一般式(1)で表される化合物が含有されていても良い。また、2以上の層に前記一般式(1)で表される化合物が含有されている場合、これらの層に含有される該化合物は同一のものであっても異なるものであってもよい。
なお、本発明の有機電界発光素子において、陰極−発光層間を「電子輸送層」と称し、
2つ以上の場合は陰極に接している層を「電子注入層」、それ以外の層を総称して「電子輸送層」と称す。また、陰極−発光層間に設けられた層のうち、発光層に接している層を、特に「正孔阻止層」と称する場合がある。
以下に、添付図面を参照して、前記一般式(1)で表される化合物を、発光層に含有する場合を例に、本発明の有機電界発光素子の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に用いられる一般的な有機電界発光素子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2は陽極、4は正孔輸送層、5は発光層、6は正孔阻止層、8は陰極を各々表わす。
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板またはフイルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
基板1上には陽極2が設けられるが、陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。陽極2は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布することにより形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねてもよい。
図1に示す構成の素子において、陽極2の上には正孔輸送層4が設けられる。正孔輸送層の材料に要求される条件としては、陽極からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層5に接するために発光層からの発光を消光したり、発光層との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させないことが求められる。上記の一般的要求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさらに耐熱性が要求される。従って、ガラス転移温度Tgとして85℃以上の値を有する材料が望ましい。
このような正孔輸送材料としては、例えば、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4′,4′−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(J. Lumin., 72−74巻、985頁、1997年)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chem. Commun., 2175頁、1996年)、2,2′,7,7′−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9′−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synth.
Metals, 91巻、209頁、1997年)等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、必要に応じて、複数種混合して用いてもよい。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
正孔輸送層4は、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの通常の塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法や、真空蒸着法などの乾式成膜法で形成することができる。
塗布法の場合は、正孔輸送材料を1種または2種以上を、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤を添加し、適当な溶剤に溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10-4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた、陽極2が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成させる。
正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。この様に薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
図1に示す素子において、正孔輸送層4の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極から注入されて正孔輸送層を移動する正孔と、陰極から注入されて正孔阻止層6を移動する電子との再結合により励起されて強い発光を示す化合物より形成される。
発光層5に用いられる該化合物としては、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い発光(蛍光または燐光)量子収率を示し、正孔および/または電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。さらに電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
前記一般式(1)で表される化合物は、このような条件を満たすため、有機電界発光素子における発光層材料として用いることが好ましい。発光層5は、該化合物のみからなる層であってもよいが、以下に述べる様々な目的で、発光材料(ドーパント)をも含有する層であることが好ましい。発光材料(ドーパント)をも含有する層である場合、前記一般式(1)で表される化合物はホスト材料として使用される。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われており、本発明の有機電界発光素子における発光層に対しても、蛍光色素をドープすることは好ましい。
ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素などが発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10-3重量%以上が好ましく、0.1重量%がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。下限値を下回ると、素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を越えると濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
一方、燐光発光を示す発光層は、通常、燐光性ドーパントとホスト材料を含んで形成される。燐光性ドーパントとしては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられ、該金属錯体のT1(最低励起三重項準位)より高いT1を有する電荷輸送性有機化合物をホスト材料として使用することが好ましい。前記一般式(1)で表される化合物は、この燐光発光を示す発光層におけるホスト材料としても、好適に使用できる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における、該金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、および金が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記一般式(i)または一般式(ii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005170809
(式中、Mは金属、nは該金属の価数を表す。LおよびL’は二座配位子を表す。jは0または1または2を表す。)
Figure 2005170809
(式中、M7は金属、Tは炭素または窒素を表わす。Tが窒素の場合はR14、R15は無く
、Tが炭素の場合はR14、R15は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わす。
12、R13は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、互いに連結して環を形成しても良い。)
一般式(i)中の二座配位子LおよびL’はそれぞれ以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 2005170809
(環A1および環A1’は各々独立に、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。環A2および環A2’は含窒素芳香族複素環基を表わし、置換基を有していてもよい。R’、R’’およびR’’’はそれぞれハロゲン原子;アルキル基;アルケニル基;アルコキシカルボニル基;メトキシ基;アルコキシ基;アリールオキシ基;ジアルキルアミノ基;ジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アシル基;ハロアルキル基またはシアノ基を表す。)
一般式(i)で表される化合物として、さらに好ましくは下記一般式(ia)、(ib)(ic)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005170809
(式中、M4は金属、nは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳
香族炭化水素基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 2005170809
(式中、M5は金属、nは該金属の価数を表す。環A1は置換基を有していてもよい芳
香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
Figure 2005170809
(式中、M6は金属、nは該金属の価数を表し、jは0または1または2を表す。環A
1および環A1’は各々独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表わし、環A2および環A2’は各々独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表わす。)
一般式(ia)、(ib)、(ic)で表される化合物の環A1および環A1として、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
環A2および環A2’として、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、またはフェナントリジル基が挙げられる。
一般式(ia)、(ib)および(ic)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられ、これらは互いに連結して環を形成しても良い。
なお、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基が結合、または環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基が結合して、一つの縮合環を形成してもよく、このよう
な縮合環としては7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
環A1、環A1’、環A2および環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、またはカルバゾリル基が挙げられる。
式(ia)、(ib)におけるM4ないしM5として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられる。
式(ii)におけるM7として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レ
ニウム、オスミウム、イリジウム、白金または金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
前記一般式(i)、(ia)、(ib)および(ic)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。
Figure 2005170809
Figure 2005170809
前記一般式(ii)で表わされる有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるわけではない。なお、式中のMeはメチル基、Etはエチル基を表す。
Figure 2005170809
さらに、前記一般式(1)で表される化合物を含む発光層は、燐光性ドーパントと共に、前述の蛍光色素をも含有していてもよい。
発光層中にドーパントとして含有される有機金属錯体の量は、0.1重量%以上が好ましく、また30重量%以下が好ましい。下限値を下回ると素子の発光効率向上に寄与できない場合があり、上限値を上回ると有機金属錯体同士が2量体を形成する等の理由で濃度消光が起き、発光効率の低下に至る可能性がある。
燐光発光を示す発光層における燐光性ドーパントの量は、従来の蛍光(1重項)を用いた素子において、発光層に含有される蛍光性色素(ドーパント)の量より、若干多い方が好ましい傾向がある。また燐光性ドーパントと共に蛍光色素が発光層中に含有される場合、該蛍光色素の量は、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
発光層5の膜厚は、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
なお、発光層5は、本発明の性能を損なわない範囲で上記以外の成分を含んでいてもよ
い。
例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの金属錯体(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体、等の蛍光発光を生じる発光層材料、4,4'−N,N'−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2',2''−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベ
ンズイミダゾール](Appl. Phys. Lett., 78巻, 1622項, 2001)、ポリビニルカルバゾ
ール(特開2001−257076号公報)等の燐光発光を生じる発光層材料などを含有していても良い。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができる。上述の蛍光色素および/または燐光色素(燐光性ドーパント)を発光層のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層ホスト材料と、ドープ用色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整し、スピンコート法などの方法により正孔輸送層4上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、50重量%以下が好ましい。
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、ドープする色素を別のるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで1.0×10-4Torr程度にまで排気した後、各々のるつぼを同時に加熱して蒸発させ、るつぼと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のるつぼを用いて蒸発させてもよい。
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界面近傍にのみドープしたり、逆に、正孔阻止層界面近傍にドープしてもよい。
発光層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
図1に示す素子において、正孔阻止層6は発光層5の上に、発光層5の陰極側の界面に接するように積層される。本発明の有機電界発光素子においては、発光層の陰極側界面に接する正孔素子層を有することが好ましい。
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成されることが好ましい。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いことが必要とされる。正孔阻止層6は正孔と電子を発光層内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。
本発明で用いられる正孔阻止層のイオン化ポテンシャルは発光層のイオン化ポテンシャル(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料のイオン化ポテンシャル)より0.1eV以上大きいことが好ましい。イオン化ポテンシャルは物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に
測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
Figure 2005170809
さらに、本発明で用いられる正孔阻止層の電子親和力(EA)は、発光層の電子親和力(発光層がホスト材料とドーパントを含んでいる場合にはホスト材料の電子親和力)と比較して同等以上であることが好ましい。電子親和力もイオン化ポテンシャルと同様に真空準位を基準として、真空準位にある電子が物質のLUMO(最低空分子軌道)レベルに落ちて安定化するエネルギーで定義される。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から下記の式で同様に求められる。
Figure 2005170809
従って、本発明で用いられる正孔阻止層は、酸化電位と還元電位をもちいて、(正孔阻止材料の酸化電位)−(発光材料の酸化電位)≧0.1V
(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
と表現することも出来る。
さらに後述の電子輸送層を有する素子の場合には、正孔阻止層の電子親和力は電子輸送層の電子親和力と比較して同等以下であることが好ましい。
(電子輸送材料の還元電位)≧(正孔阻止材料の還元電位)≧(発光材料の還元電位)
このような条件を満たす正孔阻止材料として、好ましくは、下記一般式(VII)で表わ
される混合配位子錯体が挙げられる。
Figure 2005170809
(式中、R16〜R21は、水素原子または任意の置換基を表す。M8はアルミニウム、ガリ
ウム、インジウムから選ばれる金属原子を表す。L5は以下に示す一般式(VIIa)、(VIIb)、(VIIc)のいずれかで表される。
Figure 2005170809
(式中、Ar11〜Ar15は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、Z3はシリコンまたはゲルマニウムを表す。)
前記一般式(VII) において、R16〜R21は水素原子または任意の置換基を表すが、好ましくは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;シアノ基;アミノ基;アシル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;カルボキシル基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基などのジアラルキルアミノ基;トリフルオロメチル基等のα−ハロアルキル基;水酸基;置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよいチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。R16ないしR21としてより好ましくは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子またはシアノ基が挙げられる。またR19としては、シアノ基が特に好ましい。
上記式(VII)中、Ar11〜Ar15として、具体的には、置換基を有していてもよいフェ
ニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素環基またはチエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表わす。
前記一般式(VII) で表わされる化合物の好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
Figure 2005170809
Figure 2005170809
なお、これらの化合物は正孔阻止層中に、単独で用いてもよいし、必要に応じて、各々混合して用いてもよい。
Figure 2005170809
正孔阻止材料としては、前記一般式(VII) の混合配位子錯体の他に、以下の構造式で示される1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合物を用いることができる。
前記構造式で表わされる1,2,4−トリアゾール環残基を少なくとも1個有する化合
物の具体例を以下に示す。
Figure 2005170809
正孔阻止材料として、さらに、以下の構造式で示されるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物が挙げられる。
Figure 2005170809
前記構造式で表わされるフェナントロリン環を少なくとも1個有する化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2005170809
正孔阻止層6の膜厚は、通常0.3以上、好ましくは0.5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。正孔阻止層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極8は、正孔阻止層6を介して発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極8として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。さらに、陰極と発光層または電子輸送層の界面にLiF、MgF2、Li2O等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett., 70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。陰極8の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2および図3に示すように、正孔阻止層6と陰極8の間に電子輸送層7が設けられていてもよい。電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく正孔阻止層6の方向に輸送することができる化合物より形成される。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第 5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N′−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層6の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層7は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により正孔阻止層6上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極への付着力を改善させる目的で、正孔輸送層4と陽極2との間に正孔注入層3を挿入することも行われている(図3参照)。正孔注入層3を挿入することで、初期の素子の駆動電圧が下がると同時に、素子を定電流で連続駆動した時の電圧上昇も抑制される効果がある。正孔注入層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては 100℃以上であることが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
この目的のために、これまでに銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物(特開昭63−295695号公報)、ポリアニリン(Appl. Phys. Lett., 64巻、1245頁,1994年)、ポリチオフェン(Optical Materials, 9巻、125頁、1998年)等の有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(Synth. Met., 91巻、73頁、1997年)や、バナジウム酸化物、ルテニウム
酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物(J. Phys. D, 29巻、2750頁、1996年)が報告されている。
また、正孔注入・輸送性の低分子有機化合物と電子受容性化合物を含有する層(特開平11−251067号公報、特開2000−159221号公報等に記載)や、芳香族アミノ基等を含有する非共役系高分子化合物に、必要に応じて電子受容性化合物をドープしてなる層(特開平11−135262号公報、特開平11−283750号公報、特開2000−36390号公報、特開2000−150168号公報、特開平2001−223084号公報、およびWO97/33193号公報など)、またはポリチオフェン等の導電性ポリマーを含む層(特開平10−92584号公報)なども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記正孔注入層材料としては、低分子・高分子いずれの化合物を用いることも可能である。
正孔注入層の場合も、正孔輸送層と同様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さらに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法が用いられる。
以上の様にして形成される正孔注入層3の膜厚は、低分子化合物を用いて形成される場合、下限は通常3nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常100nm、好ましくは50nm程度である。また高分子化合物を用いて形成される正孔注入層3の、膜厚の下限は通常5nm、好ましくは10nm程度であり、上限は通常1000nm、好ましくは500nm程度である。
本発明の有機電界発光素子は、図1とは逆の構造、すなわち、基板上に陰極8、正孔阻止層6、発光層5、正孔輸送層4、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2または図3に示した前記各層構成とは逆の順に積層することも可能である。また、図1〜3のいずれの層構成においても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述以外の任意の層を有していてもよく、また上記複数の層の機能を併有する層を設けることにより、層構成を簡略化する等、適宜変形を加えることが可能である。
以上、前記一般式(1)で表される化合物を、発光層に含有する層構成を例に、本発明の有機電界発光素子について説明したが、前述したように、一般式(1)で表される化合物は、発光層と陰極または陽極との間に設けられた任意の層に含有されていても良く、その場合の発光層は、一般式(1)で表される化合物から選択されたものであっても、それ以外の材料からなるものであっても良い。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
本発明によれば、一般式(1)で表される化合物を用いることにより、耐熱性、駆動安定性に優れ、駆動寿命が長く、さらに高発光効率および低駆動電圧である有機電界発光素子を得ることができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
(例示化合物1の合成)
1)3,6−ジ(9−フェナントリル)カルバゾールの合成
Figure 2005170809
3,6−ジブロモカルバゾール3.85g(11.8mmol)、(9−フェナントリル)ボロン酸ピ
ナコールエステル9.00g (29.6mmol)、炭酸カリウム6.52g (47.2mmol)にジメトキシエタン50mL、水17mLを加え、窒素下、78℃で4.5時間反応させた。反応終了後、エバポレーター
によりジメトキシエタンを留去し、水200mLを加えた後、塩化メチレン500mLで抽出した。該塩化メチレン溶液の水分を硫酸マグネシウムで除き、エバポレーターにより濃縮した。得られた褐色のオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1)によって精製し、メタノールで洗浄することにより白色粉末3.83g (7.4mmol,収率62%)が得られた。
2)3,6,9−トリ(9−フェナントリル)カルバゾールの合成
Figure 2005170809
3,6−ジ(9−フェナントリル)カルバゾール1.83g (3.52mmol)、9−ヨードフェナントレン2.22g (7.29mmol)、銅0.35g (5.49mmol)、炭酸カリウム1.52g (11.0mmol)にテトラエチレングリコールジメチルエーテル2mLを加え、窒素下、180℃で4時間反応させた。
反応終了後、反応液にクロロホルム100mLを加え不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロ
ロホルムをエバポレーターで留去した後、メタノールに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収した。得られた沈殿物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=1/1)によって精製し、塩化メチレンで再結晶することにより白色固体1.23g (1.76mmol, 収率50%)が得られた。
この白色固体1.05gを昇華精製したところ、無色ガラス状固体0.91g(収率87%)が回収
された。回収物の質量分析を行ったところ、分子量が690であったことから、該無色ガラ
ス状固体が例示化合物1であることを確認した。該無色ガラス状固体の1H−NMR(CDCl3, 270MHz)データを以下に示す。
8.90(dd, 2H), 8.80(d, 2H), 8.74(d, 2H), 8.22(s, 2H), 8.14(s, 1H), 8.10(d, 2H), 8.02(d, 1H), 7.93(d, 1H), 7.92(d, 1H), 7.87-7.52(m, 17H), 7.27(d, 2H)
また、セイコー電子社製DSC−20により示差熱分析測定したところ、Tgは206℃と高い値を示した。融点は高い非晶質性のために検出できなかった。
(例示化合物1の電気化学的測定)
例示化合物1の電気化学的測定を行った。
BAS社製エレクトロケミカルアナライザー650Aにより、過塩素酸テトラブチルアンモニウム0.1Mの塩化メチレン溶液中で、作用電極としてBAS製GCE、対電極と
してPt線、参照電極としてAg線を用いてサイリックボルタンメトリーを測定したところ、酸化側の電位は+1.31V vs. SCEであり、水素イオンが脱離することに由来する2段階の還元波は観測されなかった。還元側の電位は-2.37V vs. SCEであり、酸化側、還元側ともに有機電界発光素子のホスト材料として適度な値を示した。なお、電位は内標物質としてフェロセン/フェロセニウムを用いて換算した。
(比較例1)
燐光分子を用いた有機電界発光素子のホスト材料として広く用いられている下記化合物(H−1)の電気化学的測定を行った。
Figure 2005170809
BAS社製エレクトロケミカルアナライザー650Aにより、過塩素酸テトラブチルアンモニウム0.1Mの塩化メチレン溶液中で、作用電極としてBAS製GCE、対電極としてPt線、参照電極としてAg線を用いてサイリックボルタンメトリーを測定したところ、酸化側の電位は+1.27V vs. SCEであり、水素イオンが脱離することに由来する2段階の還元波が観測された。還元側の電位は-2.40V vs. SCEであった。なお、電位は内標物質としてフェロセン/フェロセニウムを用いて換算した。
上記の測定から、化合物(H−1)は、駆動時に水素イオンの脱離が起き、水素イオンの脱離は、励起子を熱失活させる原因となると考えられるため、化合物(H−1)を用いた有機電界発光素子は駆動安定性が悪く、発光効率が悪い。
有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。 有機電界発光素子の別の例を示した模式断面図。
符号の説明
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 陰極

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表わされる化合物。
    Figure 2005170809
    (一般式(1)中、Ar1及びAr2は、各々独立に芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、シアノ基、及び以下の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基の、1種又は2種以上で置換されていてもよい。また、[置換基群Y]に記載の置換基は、置換基を有していてもよい。但し、Ar1およびAr2は、それぞれ置換基を含めた合計炭素数が7〜27の芳香族炭化水素基を表す。
    [置換基群Y]アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び芳香族炭化水素基
    Ar3は、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す。該芳香族炭化水素基或いは
    芳香族複素環基は、以下の[置換基群Z]の中から選ばれる1種または2種以上の置換基で置換されていても良い。また、[置換基群Z]に記載の置換基は、[置換基群Z2]の
    中から選ばれる置換基の、1種または2種以上で置換されていてもよい。
    [置換基群Z]シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基
    [置換基群Z2]ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基
    、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フリル基、及び芳香族炭化水素基
    1,R2は、各々独立に、ハロゲン原子、芳香族複素環基、或いは上記の[置換基群Y]の中から選ばれる。n1及びn2は、それぞれ0〜3の整数であり、n1及び/またはn2が2以上の場合には、R1どうし、R2どうしは、各々互いに同一であっても異なっていてもよい。また、該芳香族複素環基及び[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。)
  2. Ar1およびAr2が、それぞれ独立に下記一般式(2)〜(4)から選ばれるものである請求項1に記載の化合物。
    Figure 2005170809
    (式中(2)〜(4)中、R3は、ハロゲン原子、シアノ基、及び上記の[置換基群Y]
    の中から選ばれる置換基を表す。[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに置換基を有し
    ていてもよい。
    4〜R6は、各々独立に、ハロゲン原子、シアノ基、及び上記の[置換基群Y]の中から選ばれる置換基を表す。[置換基群Y]に記載の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。
    式(2)中、n3は、0〜4の整数であり、n3が2以上の場合には、R4どうしは互い
    に同一であっても異なっていてもよい。
    式(3)中、n4は、0〜7の整数であり、n4が2以上の場合には、R5どうしは互い
    に同一であっても異なっていてもよい。
    式(4)中、n5は、0〜9の整数であり、n5が2以上の場合には、R6どうしは互い
    に同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 請求項1または2に記載の化合物を含有してなる、電荷輸送材料。
  4. 請求項1または2に記載の化合物を含有してなる、有機電界発光素子材料。
  5. 基板上に、陽極、陰極、およびこれら両極間に設けられた中間層を有する有機電界発光素子において、中間層に、請求項1または2に記載の化合物を含む層を有する、有機電界発光素子。
  6. 請求項1または2記載の化合物を含む層が発光層である、請求項5に記載の有機電界発光素子。
  7. 該発光層が、請求項1または2記載の化合物をホスト材料として含み、該ホスト材料に対してドープされる材料として有機金属錯体を含む、請求項6に記載の有機電界発光素子。
  8. 更に、発光層の陰極側界面に接する正孔阻止層を有する、請求項6または7に記載の有機電界発光素子。
JP2003409830A 2003-12-09 2003-12-09 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子 Pending JP2005170809A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409830A JP2005170809A (ja) 2003-12-09 2003-12-09 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409830A JP2005170809A (ja) 2003-12-09 2003-12-09 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005170809A true JP2005170809A (ja) 2005-06-30

Family

ID=34731056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003409830A Pending JP2005170809A (ja) 2003-12-09 2003-12-09 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005170809A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005183345A (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2008088083A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd カルバゾール誘導体、およびカルバゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP2008106051A (ja) * 2006-09-29 2008-05-08 Semiconductor Energy Lab Co Ltd キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
WO2009069442A1 (ja) * 2007-11-26 2009-06-04 Konica Minolta Holdings, Inc. 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
US7732065B2 (en) * 2006-11-10 2010-06-08 Samsung Electronics Co., Ltd. Anthracene derivative compound and organic light-emitting device including the same
WO2010128745A1 (ko) * 2009-05-08 2010-11-11 제일모직 주식회사 유기 광전 소자용 화합물 및 이를 포함하는 유기 광전 소자
JP2012169325A (ja) * 2011-02-10 2012-09-06 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2013091646A (ja) * 2010-09-27 2013-05-16 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 化合物
JP2013194053A (ja) * 2012-03-15 2013-09-30 Universal Display Corp ジアリールアミノフェニルカルバゾール化合物を用いた第二正孔輸送層
JP2013537519A (ja) * 2010-07-15 2013-10-03 メルク パテント ゲーエムベーハー 有機配位子を有する金属錯体およびoledにおけるそれらの使用
CN110903235A (zh) * 2019-12-05 2020-03-24 吉林奥来德光电材料股份有限公司 一种有机电致发光化合物及其制备方法与应用

Cited By (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4552436B2 (ja) * 2003-12-24 2010-09-29 コニカミノルタホールディングス株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2005183345A (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2008088083A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Semiconductor Energy Lab Co Ltd カルバゾール誘導体、およびカルバゾール誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
JP2008106051A (ja) * 2006-09-29 2008-05-08 Semiconductor Energy Lab Co Ltd キノキサリン誘導体、およびキノキサリン誘導体を用いた発光素子、発光装置、電子機器
US7732065B2 (en) * 2006-11-10 2010-06-08 Samsung Electronics Co., Ltd. Anthracene derivative compound and organic light-emitting device including the same
KR101359631B1 (ko) * 2006-11-10 2014-02-10 삼성디스플레이 주식회사 안트라센 유도체 화합물 및 이를 이용한 유기 발광 소자
WO2009069442A1 (ja) * 2007-11-26 2009-06-04 Konica Minolta Holdings, Inc. 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
WO2010128745A1 (ko) * 2009-05-08 2010-11-11 제일모직 주식회사 유기 광전 소자용 화합물 및 이를 포함하는 유기 광전 소자
JP2013537519A (ja) * 2010-07-15 2013-10-03 メルク パテント ゲーエムベーハー 有機配位子を有する金属錯体およびoledにおけるそれらの使用
JP2017019814A (ja) * 2010-07-15 2017-01-26 メルク パテント ゲーエムベーハー 有機配位子を有する金属錯体およびoledにおけるそれらの使用
US9252369B2 (en) 2010-07-15 2016-02-02 Merck Patent Gmbh Metal complexes with organic ligands and use thereof in OLEDs
US8614334B2 (en) 2010-09-27 2013-12-24 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
KR101296193B1 (ko) 2010-09-27 2013-08-13 가부시키가이샤 한도오따이 에네루기 켄큐쇼 화합물
US9040720B2 (en) 2010-09-27 2015-05-26 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
JP2013091646A (ja) * 2010-09-27 2013-05-16 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 化合物
US9614164B2 (en) 2010-09-27 2017-04-04 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
US20170162798A1 (en) 2010-09-27 2017-06-08 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
US10263195B2 (en) 2010-09-27 2019-04-16 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
US10497880B2 (en) 2010-09-27 2019-12-03 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Organic compound, light-emitting element, light-emitting device, electronic device, and lighting device
JP2012169325A (ja) * 2011-02-10 2012-09-06 Konica Minolta Holdings Inc 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2013194053A (ja) * 2012-03-15 2013-09-30 Universal Display Corp ジアリールアミノフェニルカルバゾール化合物を用いた第二正孔輸送層
JP2017165769A (ja) * 2012-03-15 2017-09-21 ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション ジアリールアミノフェニルカルバゾール化合物を用いた第二正孔輸送層
CN110903235A (zh) * 2019-12-05 2020-03-24 吉林奥来德光电材料股份有限公司 一种有机电致发光化合物及其制备方法与应用
CN110903235B (zh) * 2019-12-05 2022-12-27 吉林奥来德光电材料股份有限公司 一种有机电致发光化合物及其制备方法与应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4325197B2 (ja) 有機電界発光素子
KR101388472B1 (ko) 유기 화합물, 전하 수송 재료 및 유기 전계 발광 소자
KR101199276B1 (ko) 유기 화합물, 전하 수송 재료, 및 유기 전계 발광 소자
JP4810805B2 (ja) 有機化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP5098177B2 (ja) 有機化合物、電荷輸送材料及び有機電界発光素子
KR101338343B1 (ko) 유기 전계발광 소자 재료 및 유기 전계발광 소자
JP5167747B2 (ja) 低分子塗布型有機電界発光素子用の電荷輸送材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子用薄膜および有機電界発光素子
JP2006352088A (ja) モノアミン化合物、電荷輸送材料および有機電界発光素子
KR20110010099A (ko) 유기 전계 발광 소자
KR101309502B1 (ko) 탄화수소 화합물, 전하 수송 재료, 전하 수송 재료 조성물및 유기 전계 발광 소자
JP2004277377A (ja) フルオレン系化合物、およびこれを用いた有機電界発光素子
WO2018101331A1 (ja) 置換トリアリールアミン構造単位を含む高分子量化合物
JP2005213188A (ja) 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP2004217557A (ja) カルバゾール系化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子
JP4082297B2 (ja) 有機化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP5040070B2 (ja) 電荷輸送材料、積層体及び有機電界発光素子
JP2009057304A (ja) 金属錯体及び有機電界発光素子
JP2005170809A (ja) 化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP4424026B2 (ja) 2,7−ジアミノナフタレン化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料、および有機電界発光素子
CN111902412A (zh) 具有苯并咪唑环结构的化合物及有机电致发光元件
JP2008001621A (ja) トリチル化合物、トリチル化合物の製造方法、電荷輸送材料、発光材料及び有機電界発光素子
CN113227085A (zh) 新型化合物及包含其的有机发光器件
JP4734849B2 (ja) アルミニウム混合配位子錯体化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP2004307380A (ja) 新規化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子材料および有機電界発光素子
JP5057633B2 (ja) 芳香族6員環がm−連結している有機化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060811

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090909

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100119