JP2020173937A - 量子ドット発光素子及び表示装置 - Google Patents

量子ドット発光素子及び表示装置 Download PDF

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準基 長久保
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Abstract

【課題】低毒性とすることが可能で、発光効率の高い量子ドット発光素子を提供する。【解決手段】陰極20と、発光層50と、正孔輸送層60と、陽極80と、をこの順に具え、前記発光層50が、量子ドットを含む、量子ドット発光素子100であって、前記量子ドットが、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含む化合物半導体からなるコアと、該コアの周りを覆い、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含む化合物半導体の層からなるシェルと、を具え、前記正孔輸送層60は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含むことを特徴とする、量子ドット発光素子100である。【選択図】図1

Description

本発明は、量子ドット発光素子及び表示装置に関するものである。
超高精細な表示装置において、その広い色域を再現するためには、高色純度の3原色が必要となる。量子ドットは、数ナノメートルサイズの無機半導体微粒子であり、粒径を制御することで、離散化した準位間の遷移に起因する高色純度の発光が得られる。そして、これを発光層に用いた量子ドット発光素子(量子ドット電界発光素子)は、広色域表示装置への応用が期待されている。
従来、量子ドット発光素子の量子ドットとしては、Cd系の量子ドットの研究が盛んに進められており、これを発光層に用いた量子ドット発光素子においては、高い発光効率を実現できることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、量子ドット発光素子を表示装置に応用する場合、環境や人体への影響を考慮して、毒性の低い材料を用いることが求められる。これに対して、低毒性の量子ドットを用いた量子ドット発光素子が提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。
Xingliang Daiら,ネイチャー(Nature),515(2014)96 Wenyu Jiら,Appl.Phys.Lett.,103,053106(2013) Qingli Linら,Organic Electronics,25(2015)178−183
上述のCd系の量子ドットでは、発光素子化の際に、正孔輸送層に4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−9,9’−スピロビフルオレン(CFL)、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)等のカルバゾール系材料が用いられており、上記非特許文献2及び3においても、それぞれ正孔輸送層には、CFL、CBP、PVKが用いられている。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、これら従来の材料構成では、陰極から注入された電子が、量子ドットを含む発光層に到達した後、発光に寄与しないまま陽極側に抜けてしまい、発光効率が低下することが分かった。ここで、発光効率の改善(発光の高効率化)には、注入された電子と正孔を適切に発光層内に閉じ込め、再結合させることが求められる。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、低毒性とすることが可能で、発光効率の高い量子ドット発光素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、かかる量子ドット発光素子を具え、低毒性とすることが可能で、発光効率の高い表示装置を提供することを更なる課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、インジウムとリンをベースとし、これに亜鉛及び/又はガリウムを組み合わせた低毒性の量子ドットを合成し、該量子ドットと、電子ブロック性の高い正孔輸送材料とを組み合わせて発光素子化することで、発光効率の高い発光素子を実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の量子ドット発光素子は、陰極と、発光層と、正孔輸送層と、陽極と、をこの順に具え、前記発光層が、量子ドットを含む、量子ドット発光素子であって、
前記量子ドットが、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含む化合物半導体からなるコアと、該コアの周りを覆い、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含む化合物半導体の層からなるシェルと、を具え、
前記正孔輸送層は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含むことを特徴とする。
かかる本発明の量子ドット発光素子は、低毒性とすることが可能で、発光効率が高い。
本発明の量子ドット発光素子の好適例においては、前記量子ドットのコアを構成する化合物半導体が、インジウムと、リンと、亜鉛と、ガリウムと、を含む。この場合、発光効率を更に向上させることができる。
本発明の量子ドット発光素子の他の好適例においては、前記量子ドットのシェルを構成する化合物半導体が、亜鉛と、硫黄と、を含む。この場合、発光効率を更に向上させることができる。
本発明の量子ドット発光素子の他の好適例においては、前記量子ドットが、カドミウムフリーである。この場合、量子ドットの毒性を確実に低減できる。
本発明の量子ドット発光素子の他の好適例においては、前記正孔輸送層が、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)を含む。この場合も、発光効率を更に向上させることができる。
また、本発明の表示装置は、上記の量子ドット発光素子を具えることを特徴とする。かかる本発明の表示装置は、低毒性とすることが可能で、発光効率が高い。
本発明によれば、低毒性とすることが可能で、発光効率の高い量子ドット発光素子を提供することができる。
また、本発明によれば、かかる量子ドット発光素子を具え、低毒性とすることが可能で、発光効率の高い表示装置を提供することができる。
本発明の量子ドット発光素子の構造の一例を示した概略図である。 量子ドットの構造の一例を示した模式図である。 実施例1の量子ドット発光素子の電界発光スペクトルを示す図である。 比較例1の量子ドット発光素子の電界発光スペクトルを示す図である。 比較例2の量子ドット発光素子の電界発光スペクトルを示す図である。 実施例1及び比較例1−2の量子ドット発光素子の電流密度−外部量子効率特性を示すグラフである。 実施例1及び比較例1−2における、量子ドット及び正孔輸送材料のエネルギー関係を示す図である。 比較例3の量子ドット発光素子の電界発光スペクトルを示す図である。 比較例3の量子ドット発光素子の電流密度−外部量子効率特性を示すグラフである。
以下に、本発明の量子ドット発光素子及び表示装置を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<<量子ドット発光素子>>
本発明の量子ドット発光素子は、陰極と、発光層と、正孔輸送層と、陽極と、をこの順に具え、前記発光層が、量子ドットを含む、量子ドット発光素子であって、
前記量子ドットが、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含む化合物半導体からなるコアと、該コアの周りを覆い、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含む化合物半導体の層からなるシェルと、を具え、
前記正孔輸送層は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含むことを特徴とする。
本発明の量子ドット発光素子は、コアが、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含み、また、シェルが、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含み、コア及びシェルのいずれも、カドミウムを含むことを要しないため、従来のCd系の量子ドットに比べて、低毒性とすることが可能である。
また、本発明の量子ドットは、コアの周りに、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含むシェルを有し、コアの励起エネルギーが、シェルによって効率よくコア内に閉じ込められるため、発光効率が高い。
更に、本発明の量子ドット発光素子は、発光層よりも、陽極側に位置する正孔輸送層が、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含み、該正孔輸送材料は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上と、発光層に含まれる上記量子ドットに対して、エネルギー的に高く、即ち、電子ブロック性が高いため、陰極から注入された電子を、発光層内に効率的に閉じ込めることができる。また、該正孔輸送材料は、最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下であるため、正孔が入り易く、正孔輸送性にも優れる。
従って、本発明の量子ドット発光素子は、陰極から注入された電子を、発光層内に効率的に閉じ込め、陽極から注入された正孔と、効率的に再結合させることができるため、発光効率が高い。
次に、本発明の量子ドット発光素子の一態様を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の量子ドット発光素子の構造の一例を示した概略図である。図1に示す量子ドット発光素子100は、基板10上に、陰極20、電子注入層30、電子輸送層40、発光層50、正孔輸送層60、正孔注入層70及び陽極80を、この順に積層した構成を有する。なお、図1に示す量子ドット発光素子100は、下部に配置した陰極20側より電子を注入し、上部に配置した陽極80より正孔を注入する構成となっているが、本発明の量子ドット発光素子は、これに限定されるものではなく、上下を逆転した構造であってもよい。
<基板>
前記基板10は、当該基板10側より光を取り出すボトムエミッション型素子の場合は、透明な材料からなることが好ましい。かかる透明な材料としては、ガラス、石英、プラスチックフィルム等を例示することができる。ここで、プラスチックフィルムの材質としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。
一方、上部電極側から光を取り出すトップエミッション型素子の場合には、基板10の材料は、必ずしも透明な材料である必要はない。基板10として、不透明基板を用いる場合、該不透明基板としては、例えば、着色したプラスチックフィルム基板、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板等が挙げられる。
また、基板10として、例えば、プラスチックフィルム等の可撓性基板を用い、その上に量子ドット発光素子を形成した場合には、画像表示部を容易に変形することのできるフレキシブル量子ドット発光素子とすることができる。
前記基板10の平均厚さは、特に限定されるものではないが、0.001〜30mmが好ましく、0.01〜3mmがより好ましい。
<陰極>
前記陰極20は、基板10側より光を取り出すボトムエミッション型素子の場合は、透明で導電性の高い材料からなることが好ましい。この場合、陰極20としては、例えば、インジウム−錫−酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛−酸化物(IZO)等の導電性透明酸化物を用いることができる。
一方、上部電極側から光を取り出すトップエミッション型素子の場合には、陰極20の材料は、必ずしも透明な材料である必要はないため、陰極20として、金属電極を用いてもよい。ここで、陰極20の材料としては、仕事関数が比較的小さい金属が好ましい。仕事関数の小さい金属を用いることにより、陰極20から有機層への電子注入障壁を低くすることができ、電子を注入させ易くすることができる。陰極20に用いる金属としては、例えば、Al、Mg、Ca、Ba、Li、Na等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記陰極20の平均厚さは、特に限定されるものではないが、10〜500nmが好ましく、50〜200nmが更に好ましい。
<電子注入層>
前記電子注入層30は、陰極20からの電子注入を容易にするために形成する。該電子注入層30の材料としては、有機材料、無機材料のいずれも用いることができる。電子注入層30の材料として、より具体的には、酸化亜鉛(ZnO)、フッ化リチウム(LiF)、酸化リチウム(LiO)、酸化チタン(TiO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)が挙げられる。これらの中でも、電子注入性の観点から、酸化亜鉛が特に好ましい。
電子注入層30の形成には、ナノ粒子を用いることが好ましい。該ナノ粒子の粒径は、1nm〜100nmが好ましく、1nm〜10nmが更に好ましく、1nm〜5nmがより一層好ましい。好ましくは、酸化亜鉛ナノ粒子等の金属酸化物のナノ粒子をスピンコート法によって成膜した薄膜を、電子注入層30として用いることができる。
前記電子注入層30の平均厚さは、特に限定されるものではないが、5〜200nmが好ましく、10〜100nmが更に好ましい。
<電子輸送層>
前記電子輸送層40は、陰極20から注入した電子を発光層50まで輸送するために用いる。電子輸送層40を構成する材料として、含窒素複素環を含む低分子材料あるいは高分子材料を用いると、陰極20から注入された電子が効率よく電子輸送層40中を移動し、発光層50の量子ドットに電子が効率よく注入されるため、高効率の発光素子を得ることができる。前記含窒素複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、トリアゾール環、フェナントロリン環等が挙げられる。
前記電子輸送層40を構成する材料として、例えば、ピリジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の含窒素複素環式化合物が挙げられる。ここで、ピリジン誘導体としては、トリス[3−(3−ピリジル)メシチル]ボラン等が挙げられ、オキサジアゾール誘導体としては、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン等が挙げられ、トリアゾール誘導体としては、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール等が挙げられ、フェナントロリン誘導体としては、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等が挙げられる。これらの中でも、発光効率を向上させる観点から、オキサジアゾール誘導体が好ましい。
前記電子輸送層40の平均厚さは、特に限定されるものではないが、5〜200nmが好ましく、10〜100nmが更に好ましい。
<発光層>
前記発光層50は、インジウム(In)と、リン(P)と、亜鉛(Zn)及び/又はガリウム(Ga)と、を含む化合物半導体からなるコアと、該コアの周りを覆い、亜鉛(Zn)と、硫黄(S)及び/又はセレン(Se)と、を含む化合物半導体の層からなるシェルと、を具える量子ドットを含み、好ましくは、該量子ドットの薄膜からなる。該発光層50では、陽極80から注入された正孔と陰極20から注入された電子とが再結合し、量子ドットが励起状態となり、基底状態に戻るときに放出されるエネルギーにより発光が得られる。発光層50の発光色は、発光層50に含まれる量子ドットの結晶粒径や種類(材質)によって変化させることができる。ここで、量子ドットの結晶粒径は、所望の発光色に応じて選択でき、例えば、1〜20nmが好ましく、1〜10nmが更に好ましい。
発光層50は、量子ドットのみからなる構成としてもよいし、量子ドットと無機材料や有機材料とを混合した構成としてもよい。有機材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも用いることができる。
前記量子ドットのコアは、化合物半導体微粒子からなり、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含む。量子ドットを発光材料として用いる場合、コアの半導体微粒子が発光の役目を担う。ここで、亜鉛及びガリウムは、コアとシェルとの界面の格子整合と、大気中での安定性の向上に寄与する。
前記コアは、必須元素としての、インジウム及びリンに加えて、亜鉛又はガリウム、或いは、亜鉛及びガリウムの両方を含むが、亜鉛及びガリウムの両方を含むことが好ましい。コアが、インジウムと、リンと、亜鉛と、ガリウムと、の全てを含む場合、発光効率を更に向上させることができる。なお、コアを構成する化合物半導体において、各元素の比率は、化学量論的であってもよいし、化学量論的でなくてもよい。
前記量子ドットのシェルは、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含む化合物半導体の層からなる。量子ドットがコアのみで構成される場合、コア表面に存在する結晶欠陥(以降、欠陥)によって、量子ドットの発光効率が低下したり、材料本来の発光とは異なる低エネルギー(長波長)の発光成分が生じたりする。これに対して、コアの表面を別の化合物半導体からなるシェルによって覆うことで、コア表面の欠陥を解消することができる。
また、シェルの材料として、コアのバンドギャップ(以下、「Eg」と略記する。)よりも大きなEgを有する半導体材料を選定することで、コアの励起エネルギーが、シェルによって効率よくコア内に閉じ込められ、効果的に発光効率を向上させることができる。通常、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含むコアのEgよりも、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含むシェルのEgの方が大きいため、本発明においては、効果的に発光効率を向上させることができる。また、シェルが、亜鉛と、硫黄と、を含む場合、シェルによって、コアの励起エネルギーをより効率良くコア内に閉じ込めて、発光効率を更に向上させることができる。
本発明において、シェルの材料として、具体的には、Zn−S、Zn−Se、Zn−Se−Sが挙げられ、これらの中でも、Zn−Sが好ましい。なお、シェルを構成する化合物半導体において、各元素の比率は、化学量論的であってもよいし、化学量論的でなくてもよい。
前記コアは、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含み、カドミウムを含むことを要しないため、従来のCd系の化合物半導体を含むコアに比べて、低毒性とすることが可能である。また、前記シェルは、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含み、カドミウムを含むことを要しないため、従来のCd系の化合物半導体を含むシェルに比べて、低毒性とすることが可能である。
ここで、前記コアと前記シェルとを具える量子ドットは、カドミウムフリーであることが好ましい。量子ドットが、カドミウムフリーである場合、量子ドットの毒性を確実に低減できる。
なお、本発明において、「カドミウムフリー」とは、量子ドットの合成(特には、コア及びシェルの合成)に、カドミウムを含有する原材料を使用しないことを指し、この場合、通常、量子ドットは、カドミウムを含まないこととなる。但し、不可避的な外部からのコンタミネーションにより、量子ドットにおけるカドミウムの含有量が0質量%でない場合もあり得る。
前記コアの粒径(直径)は、所望の発光色に応じて選択でき、例えば、1〜20nmが好ましく、1〜10nmが更に好ましい。また、シェルの厚さは、例えば、0.1〜10nmが好ましく、0.1〜5nmが更に好ましい。
前記量子ドットにおいては、半導体微粒子表面(シェル表面)を安定化すると共に、半導体微粒子の凝集を抑制するため、半導体微粒子表面をリガンドと呼ばれる有機配位子によりキャッピングを行うことが好ましい。該リガンドは、シェル表面の未結合手をキャップすると共に、量子ドットを溶媒に分散させる際の溶解性向上と凝集抑制の役割を担う。
また、キャッピングするためのリガンド部分に親油性の長鎖アルキル基等が含まれると有機溶剤に対しての溶解性が向上し、量子ドットを有機溶媒に溶解させた量子ドット溶液を調製することができる。前記リガンド(有機配位子)としては、炭化水素基の結合したアミン、炭化水素基の結合したカルボン酸、炭化水素基の結合したホスフィン、炭化水素基の結合した酸化ホスフィン、炭化水素基の結合したチオール等が挙げられる。前記炭化水素基は、親油性の鎖状炭化水素基であることが好ましい。親油性の鎖状炭化水素基の結合したアミンとしては、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。親油性の鎖状炭化水素基の結合したカルボン酸としては、オレイン酸等が挙げられる。親油性の鎖状炭化水素基の結合したホスフィンとしては、トリオクチルホスフィン等が挙げられる。親油性の鎖状炭化水素基の結合した酸化ホスフィンとしては、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド等が挙げられる。親油性の鎖状炭化水素基の結合したチオールとしては、ドデカンチオール等が挙げられる。
図2に、本発明の量子ドット発光素子に好適に用いることができる量子ドットの構造の一例を示す。図2に示す量子ドット1は、コア2と、コア2の周りを取り囲むシェル3と、シェル3の表面を覆うリガンド4と、を具える。該量子ドット1は、化学的安定性が高く、凝集が生じ難い。また、該量子ドット1は、溶液として調製し易く、スピンコート法等によって成膜し易いという利点がある。
発光層50の成膜方法としては、特に限定されないが、量子ドットを有機溶媒や水に溶解させた溶液を調製し、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等によって成膜することができる。このとき、赤、緑、青に発光する材料を微細に塗分けすることで、カラー表示が可能な表示装置の画素とすることができる。
前記発光層50の平均厚さは、特に限定されるものではないが、5〜200nmが好ましく、7〜100nmが更に好ましい。
<正孔輸送層>
前記正孔輸送層60は、陽極80から注入した正孔を発光層50まで輸送するために用いる。正孔輸送層60を構成する材料としては、正孔輸送性の無機材料あるいは有機材料を用いることができる。正孔輸送層60を構成する材料は、好ましくは正孔輸送性の有機材料である。正孔輸送性の有機材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも用いることができる。
本発明においては、発光層50内に適切に電子及び正孔を閉じ込めて発光させるために、陰極20から注入された電子が発光層50を通過してしまうことで発光効率が低下することを防ぐために、正孔輸送層60には、電子ブロック性の高い正孔輸送材料を用いる。具体的には、本発明において、正孔輸送層60は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含む。正孔輸送層60に用いる正孔輸送材料の最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位が−2.4eV以上であると、上述した量子ドットに対して、エネルギー的に高くなり、即ち、電子ブロック性が高くなるため、陰極20から注入された電子を、発光層50内に効率的に閉じ込めることができる。また、正孔輸送層60に用いる正孔輸送材料の最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が−5.5eV以下であると、正孔が入り易くなり、正孔輸送層60の正孔輸送性が向上する。
ここで、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料としては、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA、LUMO準位:−2.3eV、HOMO準位:−5.6eV)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD、LUMO準位:−2.3eV、HOMO準位:−5.5eV)等が挙げられる。これらの中でも、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)が好ましい。正孔輸送層が、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)を含む場合、正孔輸送層60の正孔輸送性が向上し、量子ドット発光素子の発光効率を更に向上させることができる。
なお、正孔輸送材料の最高被占軌道(HOMO)準位は、正孔輸送材料のイオン化ポテンシャルの値を光電子分光法で測定し、得られたイオン化ポテンシャルの値を、負の値に換算して求めることができる。更に、正孔輸送材料の吸収スペクトルを測定し、直接遷移を仮定したTaucプロットから吸収端を求めることで、正孔輸送材料のバンドギャップを求めることができ、最高被占軌道(HOMO)準位と、バンドギャップから、正孔輸送材料の最低空軌道(LUMO)準位を算出できる。具体的には、最高被占軌道(HOMO)準位及び最低空軌道(LUMO)準位の測定・算出には、理研計器株式会社製の大気中光電子分光装置(AC−3)を用いることができる。
前記正孔輸送層60の平均厚さは、特に限定されるものではないが、10〜200nmが好ましく、20〜100nmが更に好ましい。
<正孔注入層>
前記正孔注入層70は、陽極80からの正孔注入を容易にする目的で用いる。正孔注入層70の材料としては、無機材料、有機材料のいずれも用いることができる。無機材料としては、酸化モリブデン(MoO)、酸化バナジウム(V)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化レニウム、酸化タングステン、酸化マンガン等が挙げられる。また、有機材料としては、低分子材料、高分子材料のいずれも用いることができるが、高分子材料の例としては、PEDOT:PSS等が挙げられる。なお、PEDOTは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を示し、PSSは、ポリ(スチレンスルホン酸)を示す。正孔注入層70には、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、正孔注入層70に用いる材料としては、正孔注入性の観点から、酸化モリブデンが好ましい。
前記正孔注入層70の平均厚さは、特に限定されるものではないが、1〜200nmが好ましく、3〜50nmが更に好ましい。
<陽極>
前記陽極80は、前記基板10側より光を取り出すボトムエミッション型素子の場合は、金属の薄膜を用いることができる。陽極80に用いる金属材料としては、特に限定されないが、Al、Au、Pt、Ni、W、Cr、Mo、Fe、Co、Cu等が挙げられ、Alを用いることが好ましい。
前記基板10や下部の陰極20が透明でない場合には、上部電極となる陽極80は、透明電極とする。ここで、該透明電極の材料としては、特に限定されないが、例えば、インジウム−錫−酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛−酸化物(IZO)等の導電性透明酸化物を用いることができる。
前記陽極80の平均厚さは、特に限定されるものではないが、10〜500nmが好ましく、30〜150nmが更に好ましい。
上述した電子注入層30、電子輸送層40、正孔注入層70は、省略することも可能であり、また、それぞれの層が複数の役割を受け持つ構造となっていてもよい。例えば、一つの層で、電子注入層と電子輸送層を兼用したり、上述の正孔輸送層が正孔注入層の役割を担っていてもよい。
<各層の形成方法>
前記陰極20、電子注入層30、電子輸送層40、発光層50、正孔輸送層60、正孔注入層70、陽極80の形成方法は、特に限定されるものではなく、真空蒸着法、電子ビーム法、スパッタリング、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の方法を用いることができる。また、これらの方法を用いて、陰極20、電子注入層30、電子輸送層40、発光層50、正孔輸送層60、正孔注入層70、陽極80の厚さを、目的に応じて適宜調整することができる。また、これらの方法は、各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作製方法が異なっていてもよい。
<用途>
本発明の量子ドット発光素子は、後述する表示装置を始め、照明機器、バックライト、電子写真、照明光源、露出光源、標識、看板、インテリア等にも利用できる。本発明の量子ドット発光素子は、特には、超高精細大画面ローラブルディスプレイの実現に利用できる。
<<表示装置>>
本発明の表示装置は、上述の量子ドット発光素子を具えることを特徴とする。本発明の表示装置は、上述した低毒性とすることが可能で、発光効率の高い量子ドット発光素子を具えるため、低毒性とすることが可能で、発光効率が高い。本発明の表示装置は、上述した量子ドット発光素子の他に、表示装置に一般に用いられる他の部品を具えることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<量子ドット(Zn−In−Ga−P/Zn−S)の合成>
有機溶媒としての20mLのオクタデセンと、インジウム原料としての酢酸インジウム(2mmol)と、亜鉛原料としての酢酸亜鉛(1mmol)と、リガンドとしてのパルミチン酸(10mmol)とを真空中で100℃、30分の条件で加熱し、溶液中の蒸発分を除去した。この蒸発分除去後の溶液に、ガリウム原料としての塩化ガリウム(1mmol)と、リン原料としてのトリストリメチルシリルホスフィン(2.5mmol)とを加えて、反応溶液を調製した。該反応溶液を、230℃で、30分加熱し、コアを合成した。
コア合成後の反応溶液を室温まで冷却した後、亜鉛原料としてのオレイン酸亜鉛(20mmol)と、硫黄原料としてのドデカンチオール(20mmol)とを加え、300℃で、30分加熱し、シェルを形成した。
シェル形成後の反応溶液を室温まで冷却した後、アセトンを加え、遠心分離によって余剰の分散剤を除去し、量子ドットを沈降させた。量子ドットを含んだ沈降物にシクロヘキサンを加え再分散させ分散液を得た。
<量子ドット発光素子の作製>
図1に示す構造の量子ドット発光素子を次のようにして作製した。
まず、ガラス基板10にITOからなる陰極20(厚さ:100nm)を形成し、これを複数のライン状にパターニングした。
次に、電子注入層30として、酸化亜鉛(ZnO)ナノ粒子をスピンコートにより成膜(厚さ:40nm)した。
次に、オキサジアゾール誘導体である電子輸送材料と、本発明に従う量子ドット(Zn−In−Ga−P/Zn−S)との混合トルエン溶液をスピンコートすることにより、電子輸送材料からなる電子輸送層40(厚さ:30nm)と、量子ドット(Zn−In−Ga−P/Zn−S)からなる発光層50(厚さ:10nm)の積層膜を形成した。なお、前記電子輸送材料と量子ドットとは、膜厚方向に相分離しながら成膜され、電子輸送材料が下層、量子ドットが上層の積層構造が形成される。
次に、基板を真空蒸着装置に入れ、真空蒸着法により、正孔輸送層60として、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA、LUMO準位:−2.3eV、HOMO準位:−5.6eV)を30nm、正孔注入層70として酸化モリブデン(MoO)を10nm、陽極80としてAlを70nm、順次成膜した。
なお、図1には示していないが、量子ドット発光素子は、窒素ガスで満たされたグローブボックス中で、封止用ガラスの周縁部に紫外線硬化樹脂を塗布した後、量子ドット発光素子を形成した前記基板の周縁部に貼り合せて、封止を行った。
<量子ドット発光素子の特性評価>
上記の量子ドット発光素子のITO陰極20側に負、Al陽極80側に正となるように電圧を印加して、電界発光(EL)スペクトル及び外部量子効率を測定した。その結果、図3に示す電界発光スペクトルが得られ、また、外部量子効率は、図6に示すように3.4%であった。これは、TCTAが、浅いLUMOレベルにより高い電子ブロック性を有し、電子の正孔輸送層60側への通過を抑えることができ、結果として、発光層50内での再結合確率を上げることにつながり、高効率な素子が作製できたためである。
(比較例1)
<量子ドット発光素子の作製>
正孔輸送層60として、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)−9,9’−スピロビフルオレン(CFL、LUMO準位:−2.5eV、HOMO準位:−5.9eV)を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、量子ドット発光素子を作製した。
<量子ドットEL素子の特性評価>
上記の量子ドット発光素子のITO陰極20側に負、Al陽極80側に正となるように電圧を印加して、電界発光(EL)スペクトル及び外部量子効率を測定した。その結果、図4に示す電界発光スペクトルが得られ、また、外部量子効率は、図6に示すように0.9%であった。CFLは、HOMOレベルが深いため、正孔注入性が上がり、発光層50内での発光が得られる。但し、CFLは、電子ブロック性が不十分であるため、電子が正孔輸送層60側へ通過し、低効率となる。
(比較例2)
<量子ドット発光素子の作製>
正孔輸送層60として、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD、LUMO準位:−2.5eV、HOMO準位:−5.4eV)を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、量子ドット発光素子を作製した。
<量子ドット発光素子の特性評価>
上記の量子ドット発光素子のITO陰極20側に負、Al陽極80側に正となるように電圧を印加して、電界発光(EL)スペクトル及び外部量子効率を測定した。その結果、図5に示す電界発光スペクトルが得られ、量子ドット由来のピークに加え、α−NPD由来のピークも観測された。また、外部量子効率は、図6に示すように0.7%であった。これは、α−NPDが、浅いHOMOレベルを有し、また、電子ブロック性も低いため、陰極20より注入された電子が正孔輸送層60側へ通過し、正孔輸送層60内で発光したためである。
図7に、上述の実施例1及び比較例1−2に用いた、量子ドット(Zn−In−Ga−P/Zn−S)、α−NPD、CFL、TCTA、MoO、Alのエネルギーレベルを示す。
図7からも分かるように、実施例1の量子ドット発光素子においては、正孔輸送層60に用いたTCTA(正孔輸送材料)の最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上であるため、陰極20から注入された電子を、発光層50内に効率的に閉じ込めることができ、また、最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下であるため、正孔が入り易く、陰極20から注入された電子と陽極80から注入された正孔とを発光層50内で効率的に再結合させることができる。
(比較例3)
<量子ドット(In−P/Zn−Se−S)の合成>
30mmolの酢酸亜鉛と19mlのオレイン酸を減圧下で反応させ、41mlの1−オクタデセンで希釈することにより、オレイン酸亜鉛(Zn(OA))を得た。0.4mmolの硫黄を、0.5mlのトリブチルフォスフィンと0.5mlの1−オクタデセンの混合溶媒に溶解させて、STBP(トリブチルホスフィンスルフィド)を得た。0.2mmolのセレンを、0.5mlのn−トリオクチルフォスフィンと0.5mlの1−オクタデセンの混合溶媒に溶解させて、SeTOP(トリオクチルホスフィンセレニド)を得た。
1mlのテトラヒドロフランに溶解させた0.1mmolのInCl、2mlのZn(OA)、8mlの1−オクタデセンを、凝集器を取り付けた100mlフラスコに入れ、30分脱気した。容器内を窒素ガスで置換した後、280℃に昇温し、0.1mmolのトリス(トリメチルシリル)フォスフィン(P(TMS))と0.4mmolのSTBPを素早く注入した。20秒後、0.2mlのSeTOPを20秒かけてゆっくり加え、280℃で10分加熱した。次に、4mlのZn(OA)と1.8mlの1−ドデカンチオールを加え、300℃で90分間加熱して反応させた。最後に、6mlのZn(OA)と0.72mlの1−ドデカンチオールを加え、120分反応させ、In−P/Zn−Se−Sの粗生成物を得た。反応液を室温まで冷却して反応を終了させた。合成したIn−P/Zn−Se−S粗生成物のトルエン分散液に過剰なエタノールを加えて生成物を沈殿させ、沈殿物を回収してトルエンに再分散させることで精製した。
<量子ドット発光素子の作製>
発光層50として、In−P/Zn−Se−Sからなる量子ドットを用いたこと以外は、実施例1と同じ方法で量子ドット発光素子を作製した。
<量子ドット発光素子の特性評価>
上記の量子ドット発光素子のITO陰極20側に負、Al陽極80側に正となるように電圧を印加して、電界発光(EL)スペクトル及び外部量子効率を測定した。その結果、図8及び図9に示す結果が得られ、In−P/Zn−Se−Sからなる量子ドットを発光層に用いた場合では、発光層50内での適切な発光が得られないことが示された。In−P/Zn−Se−Sからなる量子ドットを発光層50に用いると、電子と正孔の発光層50内での再結合確率が下がり、結果として外部量子効率は低く留まった。
本発明の量子ドット発光素子は、高色純度な発光を必要とする様々なデバイス、製品に応用することが可能であり、表示装置、照明機器、バックライト、電子写真、照明光源、露出光源、標識、看板、インテリア等に好適に使用できる。
1:量子ドット
2:コア
3:シェル
4:リガンド
10:基板
20:陰極
30:電子注入層
40:電子輸送層
50:発光層
60:正孔輸送層
70:正孔注入層
80:陽極
100:量子ドット発光素子

Claims (6)

  1. 陰極と、発光層と、正孔輸送層と、陽極と、をこの順に具え、
    前記発光層が、量子ドットを含む、量子ドット発光素子であって、
    前記量子ドットが、インジウムと、リンと、亜鉛及び/又はガリウムと、を含む化合物半導体からなるコアと、該コアの周りを覆い、亜鉛と、硫黄及び/又はセレンと、を含む化合物半導体の層からなるシェルと、を具え、
    前記正孔輸送層は、最低空軌道(LUMO)準位が−2.4eV以上で且つ最高被占軌道(HOMO)準位が−5.5eV以下である正孔輸送材料を含むことを特徴とする、量子ドット発光素子。
  2. 前記量子ドットのコアを構成する化合物半導体が、インジウムと、リンと、亜鉛と、ガリウムと、を含む、請求項1に記載の量子ドット発光素子。
  3. 前記量子ドットのシェルを構成する化合物半導体が、亜鉛と、硫黄と、を含む、請求項1又は2に記載の量子ドット発光素子。
  4. 前記量子ドットが、カドミウムフリーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の量子ドット発光素子。
  5. 前記正孔輸送層が、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の量子ドット発光素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の量子ドット発光素子を具えることを特徴とする、表示装置。
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