JP6357877B2 - 水分捕獲体形成組成物、水分捕獲体および電子デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、水分捕獲体形成組成物、水分捕獲体および電子デバイスに関する。
近年、盛んに開発が進められている電子デバイスの一つとして、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が知られている。有機EL素子は、陽極/有機発光層/陰極からなる積層構造を基本の構造とする簡素なデバイスであるが、有機発光層が水分の影響を受けやすいという課題を有している。
すなわち、有機EL素子は、駆動期間の長期化に伴って、素子に侵入した水分の影響により、所謂ダークスポットの形成が懸念されるほか、輝度や発光効率等の発光特性が徐々に低下する懸念を有している。そのため、有機EL素子は、素子内の水分を除去し、さらに密閉した状態で使用する必要があるが、このような電子デバイスを封止により完全に密閉することは困難である。
そこで、あらかじめ素子内に特定の有機金属化合物からなる水分捕獲剤を配置し、この水分捕獲剤に水分を捕獲させることで素子内を低湿度環境に保つ有機EL素子が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特許第3936151号公報
しかしながら、例えば、特許文献1等において水分捕獲剤として例示された有機アルミニウム化合物は、非常に反応性が高く、空気中の水分と反応する懸念がある。そのため、空気中での取り扱いが難しく、従来の水分捕獲剤を使用する場合には、十分に低い湿度に管理された空気や窒素下での取り扱いが必須とされていた。したがって、従来の水分捕獲剤を用いて有機EL素子を製造する場合、低湿度雰囲気下での作業が必要とされる等、製造工程が煩雑なものになっていた。
そのため、通常の空気下での取り扱いが可能で、有機EL素子および液晶表示素子等の電子デバイスの製造に使用できる水分捕獲用部材が求められている。
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、有機EL素子および液晶表示素子等の電子デバイスにおいて、素子内の水分を除去するとともに素子内への水分の侵入を低減し、空気下で取り扱うことができる水分捕獲体を形成する水分捕獲体形成組成物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、上記の水分捕獲体形成組成物から形成された水分捕獲体を有する電子デバイスを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する水分捕獲体形成組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
例えば、本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1](A)オルトエステル化合物と、
(B)酸発生剤と
を含む水分捕獲体形成組成物。
[2]前記(A)オルトエステル化合物が、式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物および式(A1−2)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[1]の水分捕獲体形成組成物。
Figure 0006357877
[式(A1−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基であり、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基または炭素数1〜18の有機基であり、R、RおよびRは、これらが直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよく、nは0または1〜18の整数であり、*は結合位を示し;式(A1−2)中、Rは水素原子または炭素数1〜18の有機基であり;Rはそれぞれ独立に炭素数3〜20の有機基である。]
[3]硬化性化合物をさらに含有する前記[1]または[2]の水分捕獲体形成組成物。
[4]ラジカル重合開始剤をさらに含有する前記[1]〜[3]のいずれか1項の水分捕獲体形成組成物。
[5]微粒子をさらに含有する前記[1]〜[4]のいずれか1項の水分捕獲体形成組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項の水分捕獲体形成組成物から形成される水分捕獲体。
[7]前記[6]に記載の水分捕獲体を備える電子デバイス。
本発明によれば、有機EL素子および液晶表示素子等の電子デバイスにおいて、素子内の水分を除去するとともに素子内への水分の侵入を低減し、空気下で取り扱うことができる水分捕獲体を形成する水分捕獲体形成組成物を提供することができる。このため、本発明の水分捕獲体形成組成物は、長時間駆動されてもダークスポットの発生を抑制できる有機EL照明や有機EL表示素子等の有機EL素子や、高い信頼性が求められるTVや携帯情報機器等が有する液晶表示素子の構成要素として好適に使用することができる。
本発明の実施形態の有機EL素子の第一例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の有機EL素子の第二例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の有機EL素子の第三例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の有機EL素子の第四例を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態の有機EL素子の第五例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物、および、その水分捕獲体形成組成物を用いて形成された水分捕獲体について説明する。そして、その水分捕獲体を備える本発明の実施形態の電子デバイスの例として、本発明の実施形態の有機EL素子について説明する。
〔水分捕獲体形成組成物〕
本発明の水分捕獲体形成組成物は、(A)オルトエステル化合物と、(B)酸発生剤とを含む。本発明の水分捕獲体形成組成物は、さらに、(C)硬化性化合物を含有することが好ましい。
以下、各成分について詳述する。
尚、以下の説明において、(A)オルトエステル化合物、(B)酸発生剤および(C)硬化性化合物をそれぞれ、(A)成分、(B)成分および(C)成分ということがある。
<(A)オルトエステル化合物>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物の(A)成分である(A)オルトエステル化合物は、同一の炭素の上に3個のアルコキシ基を持つ一群の有機化合物である。
本実施形態の(A)成分である(A)オルトエステル化合物としては、例えば、下記式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物および下記式(A1−2)で表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。これらの(A)オルトエステル化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。以下の説明において、式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物をオルトエステル化合物(A1−1)と言うことがあり、式(A1−2)で表される化合物をオルトエステル化合物(A1−2)と言うことがある。
(A)オルトエステル化合物は、中性および塩基性条件下においては水との反応性が低く安定であるが、酸の存在下では加水分解反応を容易に起こす。(A)オルトエステル化合物は水分捕獲剤として機能することが可能である。
Figure 0006357877
式(A1−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基であり;RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基または炭素数1〜18の有機基であり;R、RおよびRは、これらが直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよく;nは0または1〜18の整数であり;*は結合位を示す。式(A1−2)中、Rは水素原子または炭素数1〜18の有機基であり;Rはそれぞれ独立に炭素数3〜20の有機基である。
尚、(A)オルトエステル化合物の例に係る各式の説明において、特に言及しない限り、
「炭素数1〜18の有機基」としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、オクタデシル等の直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基;シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等の炭素数3〜12のシクロアルキル基;シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等の炭素数4〜18のシクロアルキル基置換アルキル基;フェニル基;フェニル置換されたアルキル基(例:ベンジル基、フェネチル基)等の炭素数7〜18のアラルキル基;これらの基の一部が酸素原子で置換されてなる基(以下「酸素原子置換基」ともいう);ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基;カルボキシル基が挙げられ、また、下記式g1〜g7で表される基を挙げることもでき;
「炭素数3〜20の有機基」としては、例えば、“ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基およびグリシジル基”から選ばれる少なくとも1種の基を有する炭素数3〜20の有機基が挙げられ、また、下記式g1〜g7で表される基を挙げることもできる。下記式g1〜g7中、*は結合位を示す。
Figure 0006357877
上述した、酸素原子置換基としては、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、ブトキシメチル等のアルコキシアルキル基;アセトキシメチル、アセトキシエチル等のアルカノイルオキシアルキル基;フェノキシメチル、フェノキシエチル等のアリールオキシアルキル基;メトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;ヒドロキシメチル等のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
上記式(A1−1)中、R、R、R、R、RおよびRで表される基の炭素数の合計(nが0である場合、R〜Rで表される基の炭素数の合計)は、吸水能力と溶解性の観点から、好ましくは0〜18、より好ましくは0〜12である。
また、上記式(A1−1)のR、RおよびR(n=0の場合は、RおよびR)は、これらが直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。環状構造としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロペンタン環が挙げられる。
上記式(A1−1)中、Rは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記式(A1−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、上述した、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基置換アルキル基、フェニル基、炭素数7〜18のアラルキル基、酸素原子置換基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることがより好ましい。
上記式(A1−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子、水酸基、上述した、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基置換アルキル基、フェニル基、炭素数7〜18のアラルキル基、酸素原子置換基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、グリシジル基、カルボキシル基、上記式g1〜g7で表される基であることが好ましく、水素原子、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基または上記式g1〜g2で表される基であることがより好ましい。
上記式(A1−1)のR〜Rは、(A)オルトエステル化合物の水分捕獲剤としての吸水能力および他の成分との相溶性の観点から、上記原子または基が好ましい。
上記式(A1−1)中、nは0または1〜18の整数であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。nが2以上の整数である場合、RおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記式(A1−2)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、Rはそれぞれ独立に上記式g1〜g7で表される基であることが好ましい。
[オルトエステル化合物(A1−1)]
オルトエステル化合物(A1−1)は、上述したように、上記式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物であり、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。より具体的には、後述するように、オルトエステル(a1)と多価アルコール(a2)と水酸基含有化合物(a3)とを反応させて得られる化合物を挙げることができ、その具体例としては、後述する式(A1−i)、式(A1−ii)、式(A1−iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006357877
上記式中、Aは、式(A1−1)で表される構造部位であり;Yは、1分子中にp個(p≧2)の水酸基を有する、後述する水酸基含有化合物(a3)から、m個(2≦m≦p)の水酸基を除いた残基であり;mは2〜pの整数である。
オルトエステル化合物(A1−1)としては、上述したように、例えば、以下に説明するオルトエステル(a1)と多価アルコール(a2)と水酸基含有化合物(a3)とを反応させて得られる化合物が挙げられる。
(オルトエステル(a1))
オルトエステル(a1)は、下記の式(a1)で表される化合物である。
Figure 0006357877
式(a1)中、Rは水素原子または炭素数1〜18の有機基であり;3個のRaはそれぞれ独立に炭素数1〜18の有機基である。前記有機基としては、上述した、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基置換アルキル基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
オルトエステル(a1)としては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸プロピル、オルトギ酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル、オルト酪酸メチル、オルト酪酸エチルが挙げられる。これらの中でも、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチルが好ましい。
オルトエステル(a1)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(多価アルコール(a2))
多価アルコール(a2)としては、例えば、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物が挙げられ、式(a2−1)で表される化合物が好ましい。具体的には、1分子中に水酸基を2個有するα−グリコール、α−グリコール以外の1分子中に水酸基を2個以上有する化合物が挙げられる。
Figure 0006357877
式(a2−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基である。RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、水酸基または炭素数1〜18の有機基である。R、RおよびRは、これらが直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよい。式(a2−1)中のR〜Rは、式(A1−1)中の同一記号と同義であり、好適例も式(A1−1)での説明と同様である。
式(a2−1)中、nは0または1〜18の整数であり、好ましくは0または1であり、より好ましくは1である。nが2以上の整数である場合、RおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
nが0であるα−グリコールが好ましい。α−グリコールは、隣接した2つの水酸基を有する。したがって、オルトエステルとα−グリコールとの反応が効率良く進行して、水分捕獲剤の製造に好適となる。
α−グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、ピナコール、長鎖アルキルモノエポキシドの加水分解物;グリセリンモノアセテート(α体)、グリセリンモノステアレート(α体)等の脂肪酸モノグリセリド(α体);3−エトキシプロパン−1,2−ジオール、3−フェノキシプロパン−1,2−ジオールが挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。
nが1である化合物が特に好ましい。前記化合物は、上述したα−グリコールと同様に近接した2つまたは3つ以上の水酸基を有する。したがって、オルトエステルと前記化合物との反応が効率良く進行して、オルトエステル化合物(A1−1)の合成に好適となる。
nが1である化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、(2−アリルオキシメチル)−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2−(ヒドロキシメチル)−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、グリセリン、2−フェノキシプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−フェニルプロパン−1,3−ジオール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2−エチル−1,3−オクタンジオール、1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン;グリセリンモノアセテート(β体)、グリセリンモノステアレート(β体)等の脂肪酸モノグリセリド(β体)が挙げられる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、(2−アリルオキシメチル)−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、2−(ヒドロキシメチル)−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、グリセリンが特に好ましい。
(水酸基含有化合物(a3))
水酸基含有化合物(a3)は、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である。
水酸基含有化合物(a3)が1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物である場合、例えば、式(a2−1)で表される化合物等のように、多価アルコール(a2)の中から水酸基含有化合物(a3)を選択して使用することもできる。その場合、水酸基含有化合物(a3)として選択される化合物は、多価アルコール(a2)として選択された化合物以外の化合物が選択されることが好ましい。
水酸基含有化合物(a3)としては、例えば、1分子中に2個の水酸基を有する化合物、および1分子中に3個以上、好ましくは3個〜40個の水酸基を有する化合物が挙げられる。
2個の水酸基を有する化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、トリシクロデカンジメタノール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート[このものはヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールとのエステルに相当する]、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシヘキシル)メタン、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ以上のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラ以上のポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを共重合してなる両末端に水酸基を有する共重合体、ポリカプロラクトンジオール等の両末端に水酸基を有する直鎖状ポリエステル、ポリカーボネートジオール、ジエポオキシドのカルボン酸付加物が挙げられる。
3個以上の水酸基を有する化合物としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニット、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グルコン酸、3個以上の水酸基を含有するポリマー(3個以上の水酸基を含有するポリエステル、ポリエーテル、アクリルポリマー、ケトン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニルのケン化物であるポリビニルアルコール、グルコース等の天然糖類等)が挙げられる。
水酸基含有化合物(a3)としては、分子量が90〜100000、特に90〜5000の範囲内にある化合物が好ましい。また、水酸基含有化合物(a3)としては、水酸基価が20mgKOH/g〜1850mgKOH/g、特に40mgKOH/g〜1650mgKOH/gの範囲内にある化合物が好ましい。
(反応比率)
上述したオルトエステル(a1)と多価アルコール(a2)と水酸基含有化合物(a3)とを反応させて、オルトエステル化合物(A1−1)を製造する場合において、オルトエステル(a1)と多価アルコール(a2)と水酸基含有化合物(a3)との配合比率は、特に限定されるものではない。
例えば、水酸基含有化合物(a3)中の水酸基1モル当量に対して、オルトエステル(a1)の量が0.01モル〜10モル、好ましくは0.05モル〜5モル、より好ましくは0.1モル〜2モルの範囲内にあり、かつ、多価アルコール(a2)の量が0.01モル〜10モル、好ましくは0.05モル〜5モル、より好ましくは0.1モル〜2モルの範囲内にある割合で用いることが、分子量制御のし易さなどの面から適当である。尚、多価アルコール(a2)の中から水酸基含有化合物(a3)を選択する場合、水酸基含有化合物(a3)として選択される化合物は、多価アルコール(a2)として選択された化合物以外の化合物が選択される。
オルトエステル化合物(A1−1)は、オルトエステル(a1)、多価アルコール(a2)および水酸基含有化合物(a3)の3成分を縮合反応させることによって得ることができる。例えば、上述の3成分を、必要に応じて有機溶剤およびギ酸等の酸触媒の存在下で、通常は室温〜250℃、好ましくは70℃〜200℃の範囲内の温度で、1時間〜20時間程度、加熱して縮合反応させることによって好適に製造することができる。また、以上の方法で得られた化合物が有する基を、公知の方法により他の基に変換してもよい。合成方法については、例えば、国際公開第01/021611号パンフレットを参考にすることができる。
このようにして、水酸基含有化合物(a3)中の水酸基が、オルトエステル(a1)と多価アルコール(a2)とから形成される5員環や6員環等によってブロックされた構造のオルトエステル化合物(A1−1)を得ることができる。
(オルトエステル化合物(A1−1)の具体例)
オルトエステル化合物(A1−1)の具体例としては、例えば、式(A1−i)、式(A1−ii)、式(A1−iii)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006357877
式(A1−i)中、Yは、1分子中にp個(p=2〜6)の水酸基を有する化合物からm個(2≦m≦p)の水酸基を除いたm価の残基である。R〜Rおよびnは、上記式(A1−1)中のR〜Rおよびnと同義である。式(A1−i)で表される化合物は、例えば、上記式(a1)のオルトエステル、上記式(a2−1)の多価アルコール、および上述した1分子中に2個〜6個の水酸基を有する化合物を原料として用いることで、合成することができる。
Figure 0006357877
式(A1−ii)中、Yは、1分子中に2個の水酸基を有する化合物からその2個の水酸基を除いた2価の残基である。R〜Rおよびnは、式(A1−1)中のR〜Rおよびnと同義である。上記化合物は、例えば、式(a1)のオルトエステル、式(a2−1)の多価アルコール、および1分子中に2個の水酸基を有する水酸基含有化合物(a3)を原料として用いることで、合成することができる。
Figure 0006357877
式(A1−iii)中、Yは、1分子中に4個の水酸基を有する化合物からその4個の水酸基を除いた4価の残基である。R〜Rおよびnは、上記式(A1−1)中のR〜Rおよびnと同義である。上記化合物は、例えば、上記式(a1)のオルトエステル、上記式(a2−1)の多価アルコール、および上述した1分子中に4個の水酸基を有する水酸基含有化合物(a3)化合物を原料として用いることで、合成することができる。
[オルトエステル化合物(A1−2)]
オルトエステル化合物(A1−2)は、上記式(A1−2)で表される化合物であり、その具体例として、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 0006357877
<作用効果の説明>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物の作用効果について、以下に説明する。
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、(A)オルトエステル化合物および(B)酸発生剤を含有し、加熱および光照射の少なくとも一方を受けると、(B)酸発生剤から酸が形成される。この酸により、本実施形態の水分捕獲体形成組成物が使用される系内に存在する水に基づき、(A)オルトエステル化合物の加水分解反応が促進されることで系内に存在する水を高効率に消費することができる。本明細書において、「水分の捕獲」とは、このような意味で用いられる。(A)成分の加水分解生成物は、後述するように有機EL素子および液晶表示素子等の電子デバイスの性能を劣化させる懸念が少ない。
このため、本発明では、上記水分捕獲体形成組成物を用いて上記電子デバイスの水分捕獲体を形成する時に、素子内の水分を高効率に除去することができる。また、本発明の実施形態の水分捕獲形成用組成物から形成された封止材等の水分捕獲体には、(A)成分またはこれに由来する構造部分が一部、分解されずに残留していると考えられる。このため、その形成の後も長期間に亘って素子内の水分を吸収することができ、水分に起因する電子デバイスの特性低下を抑制することができる。
尚、一般的に分解生成物は、例えば、揮発等をして有機EL素子内に分散し、有機EL素子の発光層となる有機EL層に達して汚染し、ダークスポットを発生させる等、有機EL素子の性能を劣化させる懸念がある。しかしながら、本発明では、(A)成分から生成する加水分解生成物は、適度な分子量を備えていることから揮発等が抑制されており、封止材等の水分捕獲体中に留まることができる。加水分解生成物は分子サイズが大きいほど、水分捕獲体に留まりやすいため、(A)成分としては、分子量が比較的大きい化合物が好ましい。
本発明の実施形態で用いられる(A)成分は、水分を捕獲した状態であっても、低分子アルコール等のような揮発性の高い加水分解生成物を生じ難く、例えば、加水分解生成物の付着によりダークスポットを生じ易い有機EL素子に用いられた場合でも、有機EL層への上記分解生成物の付着によるダークスポットの発生を抑制することができる。そして、本発明の実施形態の水分捕獲体は、形成された後も水分捕獲体形成組成物の(A)成分またはそれに由来する構造部分が一部、分解されずに残留している。したがって、本発明の実施形態の水分捕獲体は、水分捕獲体形成組成物の(A)成分またはそれに由来する構造部分を用いることにより、長期間に亘って、有機EL素子内等、それが配置される系内の水分を消費することができる。
(A)成分である(A)オルトエステル化合物の加水分解反応の例を以下に示す。
例えば、(A)オルトエステル化合物の一例である、式(i−1)の構造部位を有する水分捕獲剤および式(i−2)の構造部位を有する水分捕獲剤の加水分解反応について、以下の化学反応式を示すことができる。尚、下記式において、*は結合位を示す。加水分解生成物として、アルコール化合物が生成すると考えられる。これらのアルコール化合物は揮発しにくく、また適度な分子量を有する。
Figure 0006357877
<(B)酸発生剤>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、(B)成分として、(B)酸発生剤を含有する。
(B)酸発生剤としては、感放射線性酸発生剤および熱酸発生剤が挙げられ、感放射線性酸発生剤が好ましい。感放射線性酸発生剤は、これに放射線を照射することにより、酸性活性物を放出することができる化合物と定義することができる。放出される酸性活性物質は、例えば、上述の(A)オルトエステル化合物を加水分解反応させる際の触媒として作用する。
上述の感放射線性酸発生剤を分解し、酸性活性物質のカチオンを発生するために照射する放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線が挙げられる。これらの放射線の中でも、一定のエネルギーレベルを有し、大きな硬化速度を達成可能であり、しかも照射装置が比較的安価かつ小型であることから、紫外線を使用することが好ましい。
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物において、(B)酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、(B)酸発生剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.001質量部〜20質量部、より好ましくは0.01質量部〜10質量部である。(B)成分の含有量を前記範囲とすることで、例えば、放射線感度の優れた水分捕獲体形成組成物を得ることができる。
以下で、本実施形態の水分捕獲体形成組成物の(B)酸発生剤について、より詳しく説明する。
(B)酸発生剤としては、例えば、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩等の光または熱カチオン硬化触媒、イミダゾール類、酸無水物等のアニオン硬化触媒を使用することができる。これらの中ではカチオン硬化触媒が好ましく、光カチオン硬化触媒がより好ましい。硬化速度が速いこと、また光を当てない限り重合反応が開始しないので、保存安定性が良好なためである。
具体的なカチオン硬化触媒としては、例えば、アルキル基またはアリール基で置換されたヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等のカチオンと、SbF 、BF 、B(C 、PF 、P(Rf)(6−n) (Rfは、例えば、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基;nは1〜3の整数)、C2n+1SO (nは、例えば、1〜8の整数)、N(SOCF 、C(SOCF 等のアニオンとからなる塩が使用される。具体的には、CPI−100P、CPI101A、CPI−200K、CPI−210S等(以上、サンアプロ製)、サンエイド(登録商標)SI−150L、サンエイド(登録商標)SI−110L、サンエイド(登録商標)SI−60L、サンエイド(登録商標)SI−80L、サンエイド(登録商標)SI−100L等(以上、三新化学工業製)、ローディア製PI−2074、日本曹達製CI2920等のCIシリーズ、アデカ製オプトマー(登録商標)SP−150等のオプトマー(登録商標)SPシリーズ、CP−66等のオプトンCPシリーズ、和光純薬製WPAGシリーズおよびWPIシリーズ等が挙げられる。
これらの(B)酸発生剤の中でも、カチオン硬化触媒において、アニオンとしては反応性の点からB(C 、P(Rf)(6−n) 、N(SOCF 、C(SOCF が好ましく、カチオンとしては貯蔵安定性の点でアルキル基またはアリール基で置換されたスルホニウムカチオンが好ましい。
<(C)硬化性化合物>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、さらに(C)成分として、(C)硬化性化合物を含有することが好ましい。本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物が(C)硬化性化合物を含有することで架橋反応性を高めることができる。そして、この水分捕獲体形成組成物から形成される本発明の実施形態の水分捕獲体の膜強度および基板との密着性を向上させることができる。
(C)硬化性化合物は、重合性基を有する化合物である。
尚、(C)硬化性化合物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(C)硬化性化合物としては、例えば、環状エーテル基を有する化合物および重合性二重結合を有する化合物等が挙げられる。
上述の環状エーテル基を有する化合物としては、例えば、エポキシ基を有する化合物、オキセタニル基を有する化合物等が挙げられる。
上述のエポキシ基を有する化合物としては、例えば、
単官能エポキシ化合物として、
グリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル、フェノールポリエチレングリコールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−メチルフェニルグリシジルエーテル、p−エチルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジル等、
多官能エポキシ化合物として、
ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル類;
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールの脂肪族ポリグリシジルエーテル類;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物等が挙げられる。
上述のオキセタニル基を有する化合物としては、例えば、
単官能オキセタン化合物として、
3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(オキセタンアルコール)、2−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ドデシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(オクタデシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等、
多官能オキセタン化合物として、
キシリレンビスオキセタン、1−ブトキシ−2,2−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕ブタン、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、1,1,1−トリス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル〕プロパン等が挙げられる。
上述の環状エーテル基を有する化合物としては、架橋反応性を高める観点から、これらの中で、エポキシ基を有する化合物が好ましく、多官能エポキシ化合物がより好ましく、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類がさらに好ましく、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが特に好ましい。
上述の重合性二重結合を有する化合物としては、酸素原子を有する化合物が好ましく、(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
上記(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート化合物、多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上述の単官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3−(2−フェニルフェニル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを反応させたp−クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,6−ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述の多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、1,3−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)−2−プロパノール、9,9−ビス[4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]フェニル]−9H−フルオレン等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレート化合物としては、これらの中で、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
上述の多官能(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、例えば、ビスコート#195、同#230、同#260、同#335HP、同#540、同#700(以上、大阪有機化学工業製)、TMPT、9G、9PG、701、BPE−500、DCP、DOD−N、HD−N、NOD−N、NPG(以上、新中村化学工業製)等が挙げられる。
上述の重合性二重結合を有する化合物としては、架橋反応性を高める観点から、これらの中で、多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましく、多官能メタクリレート化合物がより好ましく、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートがさらに好ましく、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレートが特に好ましい。
(C)硬化性化合物の含有量としては、(A)成分100質量部に対して、10質量部〜3000質量部が好ましく、50質量部〜2000質量部がより好ましい。(C)硬化性化合物の含有量を上記範囲とすることで、本実施形態の水分捕獲体形成組成物から形成される、本発明の実施形態の水分捕獲体の基板への密着性を効果的に高めることができる。
<その他の任意成分>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、(D)ラジカル重合開始剤、(E)微粒子および添加剤から選択される少なくとも1種の他の成分を含有してもよい。その他の任意成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。尚、(D)ラジカル重合開始剤および(E)微粒子をそれぞれ、(D)成分および(E)成分ということがある。
[(D)ラジカル重合開始剤]
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、さらに(D)ラジカル重合開始剤を含有することができる。(D)ラジカル重合開始剤としては、活性光線、熱、酸または塩基によりラジカルを発生する化合物を意味し、例えば、熱ラジカル重合開始剤および光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。(D)ラジカル重合開始剤を含有することで、例えば、上述の化学反応式に示す加水分解反応によって形成されたアルコール化合物および金属アルコキシド化合物が、前記組成物から形成される水分捕獲体中に効率良く固定化され、留まることが容易となる。
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物において、(D)ラジカル重合開始剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上述の熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)2−メチルプロピオンアミド]、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等の過酸化物等が挙げられる。これらの中で、熱ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物が好ましく、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)がより好ましい。
上述のアゾ化合物の市販品としては、例えば、V−70、V−65、V−601、V−59、V−40、VF−096、V−30、VAm−110、VAm−111(以上、和光純薬工業製)等が挙げられる。
上述の過酸化物の市販品としては、例えば、パーブチル(登録商標)Z、パーヘキサ(登録商標)25B(以上、日油製)等が挙げられる。
上述の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、イミドスルホナート系化合物等が挙げられる。これらの中で、光ラジカル重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド系化合物、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物およびO−アシルオキシム系化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
上述のアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が好ましい。
上述のチオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
上述のアセトフェノン系化合物としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等が挙げられる。
上述のビイミダゾール系化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。尚、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。水素供与体とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体;4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体が挙げられる。本実施形態において、水素供与体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、より感度を改良することができる点で好ましい。
上述のトリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
上述のO−アシルオキシム系化合物としては、例えば、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
以上、例示した中で、光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
上述の光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア(登録商標)184、同369、同OX01,同OX02,同819、同651、同500、同819、同907、同784、同2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア(登録商標)1116、同1173、同4265、同TPO、ルシリン(登録商標)TPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)、エザキュアー(登録商標)KIP150、同KIP65LT、同KIP100F、同KT37、同KT55、同KTO46、同KIP75/B(以上、フラテツリ・ランベルティ製)等が挙げられる。
(D)ラジカル重合開始剤の含有量としては、(A)成分100質量部に対して、0.05質量部〜15質量部が好ましく、0.1質量部〜10質量部がより好ましい。(D)ラジカル重合開始剤の含有量を上記の範囲とすることで、所望とするラジカル重合反応を速やかに進行させることができる。
[(E)微粒子]
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、さらに(E)微粒子を含有することができる。(E)微粒子は、本実施形態の水分捕獲体形成組成物を用いて形成される本発明の実施形態の水分捕獲体に光散乱性を付与するための成分である。したがって、(E)微粒子は、光散乱粒子であることが好ましい。本実施形態の水分捕獲体形成組成物がこのような微粒子を含有することで、耐熱性向上および光取り出し効率を向上させることができる。
(E)微粒子は、例えば、有機EL素子により形成される光を散乱し、取り出す効果を有するものであれば特に限定されず、有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、およびベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド縮合物ビーズ等が用いられる。無機粒子としては、SiO、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、およびSb等が用いられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
また、(E)微粒子の市販品としては、例えば、チタニア粒子として、シーアイ化成社製RTTCHN15WT%−E06、テイカ社製TS−149、シーアイ化成社製TIPA15WT%−X480、NanoGram社製N−SOL−101−20PM等を用いることができる。ジルコニア粒子として、日揮触媒化成社製オプトレイク(登録商標)6320Z、日産化学社製ナノユース(登録商標)OZ−S30K−AC、堺化学社製ジルコニアSZR−K、ソーラー社製nanon5 ZR−010等を用いることができる。
本実施形態の水分捕獲体形成組成物において、(E)微粒子は、水分捕獲体形成組成物中の平均粒子径が50nm〜500nmであり、かつ、(E)微粒子の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%以下である。
(E)微粒子の平均粒子径が50nm未満であると、充分な散乱効果が現れない上に、形成される水分捕獲体の屈折率に影響を与えてしまうため、好ましくない場合がある。また、500nmより大きいと、散乱強度(ヘイズ値)が高くても散乱角度が狭くなるため、有効な散乱が得られず、取り出し効率が低くなったり、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり色調が変化しやすく、好ましくない場合がある。より好ましくは、50nm〜300nmである。
(E)微粒子の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%より多いと、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり、色調が変化しやすいため、好ましくない場合がある。また、形成される水分捕獲体の表面粗さが大きくなるため、水分捕獲体の膜厚ムラあるいは突起等が生じるおそれがある。600nm以上の粒子の含有量は、より好ましくは15体積%以下である。
尚、本発明において、(E)微粒子の「平均粒子径」および「粒子径」とは、後述の平均1次粒子径とは異なり、凝集による2次粒子の粒子径を加味した、水分捕獲体形成組成物中での分散粒径のことである。これらは光学顕微鏡にて実測あるいは動的光散乱法によって求めることができる。ここで、平均1次粒子径と区別する理由は、同じ平均1次粒子径の散乱粒子を用いた場合であっても、水分捕獲体形成組成物中での上記微粒子の分散状態により、平均粒子径および粒度分布は異なる場合があるためである。また、「平均粒子径」は測定サンプルの50体積%における分散粒径の値であり、粒子径が600nm以上の粒子の含有量は、測定サンプルの分散粒径のうち、600nm以上の粒子径の体積%である。これらは動的光散乱法では日機装(株)社製「ナノトラック(登録商標)UPA」で測定することができる。
(E)微粒子の粒度分布としては、変動係数が30%以下であることが好ましい。「変動係数」とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値の百分率で表されるものであり、平均粒子径に対するばらつきの大きさの指標となる。変動係数が30%より大きいと、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり、色調が変化しやすいため、好ましくない場合がある。より好ましくは変動係数が20%以下である。
(E)微粒子は、その使用方法として、予め溶剤に分散した分散液を用いることが好ましい。
(E)微粒子の分散方法としては、上記微粒子の表面状態に合わせた分散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。
上述の分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス(登録商標)」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナス(登録商標)PY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー(登録商標)」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」および「ウルトラアペックミル」)等が使用できる。
ここで、上述の分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、およびポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。分散に関しては、2種類以上の分散機、または大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用い、段階的に実施しても差し支えない。
(E)微粒子の平均粒子径および粒度分布は、無機粒子の場合は分散条件、例えば、分散機、分散媒、分散時間、および分散剤等を適宜調整することによって好適な範囲に調整することが可能である。また、有機粒子の場合は、重合温度、および重合組成等の合成条件、あるいは、分散機、分散媒、分散時間、および分散剤等の分散条件によって調整できる。
(E)微粒子の使用量は、水分捕獲体形成組成物中、1質量%〜25質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。1質量%未満では充分な散乱効果が現れないおそれがあり、25質量%を超えると粒子同士が凝集しやすく、形成される水分捕獲体の表面粗さが大きくなるおそれがある。
[添加剤]
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。具体的には、増感剤、硬化促進剤、光増感剤、分散助剤、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が例示される。
<水分捕獲体形成組成物の調製方法>
本発明の水分捕獲体形成組成物は、(A)オルトエステル化合物および(B)酸発生剤を混合し、必要に応じて(C)硬化性化合物、(D)ラジカル重合開始剤、(E)微粒子および安定剤等を所定の割合で混合することにより調製することができる。
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、水分が特性を低下させる懸念のある電子デバイスに用いられる水分捕獲体の形成用として、特に有機EL素子を構成する水分捕獲体の形成用として、好適に用いることができる。例えば、本実施形態の水分捕獲体形成組成物を用いて水分捕獲体を形成し、それを含む有機EL素子を作成(例えば、封止)した後、放射線照射および加熱の少なくとも一方を行うことで、本実施形態の水分捕獲体の水分捕獲能力を発現させることができる。
〔水分捕獲体〕
本発明の実施形態の水分捕獲体は、上述した本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物から形成される。
本実施形態の水分捕獲体の形成方法としては、上述した本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物を用い、例えば、ガラス等の基板上に塗膜を形成した後、この塗膜を放射線照射する方法、または、加熱する方法、または、放射線照射および加熱をする方法により硬化させて形成する形成方法等が挙げられる。
上述の放射線としては、水分捕獲体形成組成物の塗膜を硬化できれば特に限定されないが、UV(紫外)光が好ましい。例えば、高圧水銀ランプを用い、紫外線照射(例:500〜15000mJ/cm)によって水分捕獲体形成組成物の塗膜を硬化を行うことができる。
また、上述した加熱する方法の、加熱温度としては、30℃〜200℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましい。加熱時間としては、1分間〜24時間が好ましく、10分間〜5時間がより好ましい。
本実施形態の水分捕獲体は、本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物から形成されるため、その形成時において、適用される有機EL素子等の電子デバイス内の水分を効率良く除去するとともに、形成の後も、電子デバイス内の水分を消費することができる。
そして、本実施形態の水分捕獲体は、水分を捕獲した状態であっても、低分子アルコール等のような揮発性の高い分解生成物を生じ難く、例えば、有機EL素子等に用いられた場合、有機EL層への上記分解生成物の付着によるダークスポットの発生を抑制することができる。すなわち、本発明の実施形態の水分捕獲体は、特に有機EL素子用として、好適に用いることができる。
〔電子デバイス〕
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物は、水分捕獲体の形成し、水分が特性を低下させる懸念のある本発明の実施形態の電子デバイスの構成に用いられる。本発明の実施形態の電子デバイスとしては、水分が特性を低下させる懸念のある電子デバイスであれば、いかなる電子デバイスであってもよい。そのような電子デバイスとしては、例えば、有機EL素子および液晶表示素子が挙げられる。有機EL素子である場合、例えば、高信頼の有機EL照明装置や有機EL表示素子を構成することができる。
本発明の実施形態の電子デバイスが、本発明の実施形態の水分捕獲体を備えることで、本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物からその水分捕獲体が形成される時に、電子デバイス内の水分を効率良く除去することができる。そして、本発明の実施形態の水分捕獲体は、その形成の後も長期間に亘って電子デバイス内の水分を吸収することができるため、水分に起因する電子デバイスの劣化を抑制することができる。
次に、本発明の実施形態の電子デバイスの例である、本発明の実施形態の有機EL素子について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態の有機EL素子の第一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す、本発明の実施形態の有機EL素子の第一例である有機EL素子100は、有機EL層10と、有機EL層10を収納して外気から遮断するための構造体20と、構造体20内に形成された水分捕獲体30とを備えている。水分捕獲体30は、上述した本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物を用いて形成されたものである。また、構造体20は、有機EL層10を支持する素子用の基板である基板22や封止用基板24やシール材26を含んで構成される。
有機EL素子100の有機EL層10は、構造の詳細を省略するが、有機材料からなる有機発光層が互いに対向する一対の電極の間に挟持されてなる構造であればよく、例えば、陽極/有機発光層/陰極等からなる公知の構造をとることができる。そして、必要に応じ、陽極と有機発光層との間には、電荷(正孔)注入層や電荷(正孔)輸送層を設けることができ、陰極と有機発光層との間には、電子注入層や電子輸送層を設けることができる。有機EL層10は、図1に示すように、構造体20の基板22上に配置される。
有機EL素子100は、ボトムエミッション構造またはトップエミッション構造とすることができるが、有機EL素子100がトップエミッション構造の場合、有機EL層10は、陽極となる背面電極と、有機発光層と、陰極となる透光性または半透光性の前面電極とが、基板22上でこの順となるように配置されて構成される。
その場合、有機EL層10の背面電極は光反射性を有することが好ましい。この背面電極の材料としては、金属、合金、導電性金属酸化物、他の導電性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。
有機EL層10の背面電極の材料の具体例としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびその混合金属等を挙げることができる。
有機EL層10の背面電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、100nm〜1μmが好ましい。背面電極の作製には、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法等の方法を用いることができる。このとき、金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。また、複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
また、有機EL層10の有機発光層の材料は、電界印加時に、陽極等から正孔を注入することができると共に、陰極等から電子を注入することができる機能、注入された電荷を移動させる機能、および、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができる材料であれば特に限定されない。
有機EL層10の有機発光層の材料は、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、および8−キノリノール誘導体の金属錯体または希土類錯体に代表される各種金属錯体;
および、
ポリチオフェン、ポリフェニレン、およびポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等が挙げられる。
有機EL層10の有機発光層となる発光材料の具体例を下記に挙げるが、以下の具体的に例示したものに限定されるわけではない。
青色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(TBP)、および9,10−ジフェニルアントラセン誘導体等をゲスト材料として用いることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等のスチリルアリーレン誘導体、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(DNA)、および9,10−ビス(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(t−BuDNA)等のアントラセン誘導体から得ることもできる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いてもよい。
緑色の発光は、クマリン30、クマリン6等のクマリン系色素、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(FIrpic)、およびビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(ppy)(acac))等をゲスト材料として用いることによって得られる。また、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、BAlq、Zn(BTZ)、およびビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(Ga(mq)Cl)等の金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
橙色から赤色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(BisDCM)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(Ir(thp)(acac))、およびビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(Ir(pq)(acac))等をゲスト材料として用いることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(Znq)、ビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(Znsq)等の金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
白色の発光は、有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)、同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)、二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)、発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)、青色発光体(蛍光ピ−ク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)、青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)等が挙げられる。
有機EL層10の有機発光層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常10nm〜500nmが好ましい。各層は単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複層構造であってもよい。
有機EL層10の有機発光層の形成方法は特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、およびディップコート法等)、およびLB(Langmuir Blodgett)法などの方法が用いられる。好ましくは抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法である。
また、有機EL層10の前面電極は、上述したように、有機EL素子100がトップエミッション構造である場合、透光性または半透光性を有することが好ましい。
そのような有機EL層10の透光性または半透光性の前面電極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物等を用いることができる。
有機EL層10の透光性または半透光性の前面電極の材料の具体例としては、
酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、および酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物;
金、銀、クロム、およびニッケル等の金属;
ヨウ化銅および硫化銅などの他の無機導電性物質;
ポリアニリン、ポリチオフェン、PEDOT/PSS、およびポリピロール等の有機導電性物質;
およびこれらの混合物または積層物等が挙げられる。
上述した有機EL層10の前面電極の中で、好ましくは導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、および透光性等の点からITOが好ましい。
また、有機EL層10の前面電極は、透光性を保ちながら有機発光層への電子の注入性を制御するために、金属類とITOを積層して透光性電極とすることも可能である。ここで、極薄の金属の厚さとしては0.1nm〜20nmが透光性を保つ観点で好ましい。また、ここでいう金属類としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
以上の例示の中で、上述の金属類として、好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびその混合金属等である。
前面電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常50nm 〜300nm程度が好ましい。
前面電極の形成方法としては、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、および溶解物や分散物の塗布などの方法が用いられる。形成した前面電極は、所望に応じて、エッチング処理を行い、パターンを形成する。さらに、洗浄その他の処理により、有機EL素子の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えば、前面電極にITOを用いた場合、UV−オゾン処理等が効果的である。
さらに、有機EL層10が陽極と有機発光層との間に正孔注入層や正孔輸送層を有する場合、それらの材料は、陽極から正孔を注入する機能、注入された正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ( N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、およびポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。
また、有機EL層10が陰極と有機発光層との間に電子注入層や電子輸送層を有する場合、電子注入層および電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、または陽極から注入された正孔を障壁する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、シロール誘導体、フタロシアニン誘導体、および8−キノリノール誘導体の金属錯体;メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾール、およびベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。
有機EL層10の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層および電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常10nm〜500nmが好ましい。各層は単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複層構造であってもよい。
有機EL層10のこれらの層の形成方法は特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、およびディップコート法等)、およびLB(Langmuir Blodgett)法等の方法が用いられる。好ましくは抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法である。
以上の構造の有機EL層10を備えた有機EL素子100では、構造体20内に形成された水分捕獲体30が、図1に示すように、有機EL層10と離間して配置されている。
有機EL素子100の構造体20は、基板22と、基板22において有機EL層10の周辺部上に形成されたシール材26と、シール材26により基板22に固定された封止用基板24とを備えている。有機EL層10は、基板22、封止用基板24およびシール材26によって封止されている。有機EL素子100内部は中空構造であり、有機EL層10を劣化させないために不活性ガスで満たされていてもよい。
シール材26は、接着剤組成物から形成されるシール材である。有機EL素子100の基板22としてはガラス基板等が挙げられ、封止用基板24としてはガラス等からなる構造体が挙げられる。シール材26は、封止用基板24を基板22に固定するとともに、封止用基板24と基板22との間で、有機EL層10を密封する。尚、構造体20の構造は、有機EL層10を収納するとともにシール材26を用いてそれを密封できればよく、特に限定されない。
例えば、有機EL素子100を作成する際、接着剤組成物からなる塗膜により基板22と封止用基板24とを接着させた後、放射線照射および/または加熱することで、その塗膜を硬化させてシール材26を形成し、封止空間内に有機EL層10を密封することができる。
構造体20内に形成された水分捕獲体30は、有機EL層10が密封された封止空間内の水分を捕獲して、効率良く除去することができる。水分捕獲体30の構造および配置は特に限定されるものではないが、例えば、図1の有機EL素子100のように、有機EL層10と離間するように、封止用基板24上に配置される。また、水分捕獲体30は、封止空間内において、有機EL層10またはシール材26の側面に配置されてもよい。また、水分捕獲体30は、有機EL層10に密着するように有機EL層上に積層されていてもよく、後述するように、構造体20内の封止空間全体を隙間なく埋めるように配置されていてもよい。
以上の構造の有機EL素子100は、水分捕獲体30を備えることで、素子内の水分が除去される。そして、有機EL素子100は、水分に起因する、輝度や発光効率等の発光特性の低下を抑制することができる。有機EL素子100は、例えば、高信頼の有機EL照明装置を構成することができる。
また、有機EL素子100は、有機EL表示装置を構成することも可能である。有機EL素子100は、例えば、基板22として、マトリクス状に配列された画素毎にスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたTFT基板を使用し、異なる複数の色を発光する複数の有機EL層10を、画素に対応してマトリクス状に設けることにより、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置を構成することができる。
以下で、本発明の実施形態の有機EL素子の別の例について説明する。
図2は、本発明の実施形態の有機EL素子の第二例を模式的に示す断面図である。
図2に示す、本発明の実施形態の有機EL素子の第二例である有機EL素子200は、構造体20内に水分捕獲体130を形成して有する。水分捕獲体130は、上述した本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物を用いて形成されたものである。
有機EL素子200は、構造体20内に形成された水分捕獲体130が有機EL層10に密着させるように形成されている点で、図1の有機EL素子100とは異なる。図2に示す有機EL素子200において、有機EL層10等、上述した図1の有機EL素子100と共通する構成要素については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
有機EL素子200において、水分捕獲体130は、形成時に水分の除去を行うとともに、形成の後もその吸湿性により有機EL層10へ水分が侵入することを防止することができる。そしてさらに、水分捕獲体130は有機EL層10に密着させるように形成されていることから、有機EL層10を保護することもできる。有機EL素子200は、例えば、高信頼の有機EL照明装置を構成することができる。
図3は、本発明の実施形態の有機EL素子の第三例を模式的に示す断面図である。
図3に示す有機EL素子300では、図1に示す有機EL素子100に対して、有機EL層10の全面を覆うガスバリヤフィルム40が設けられている点で異なり、その他の点で同一である。
ガスバリヤフィルム40は、水分および酸素が有機EL層10と接触することを防止するために設けられている。ガスバリヤフィルム40としては、特に限定されず従来公知のものを使用することができ、例えば、有機膜と無機膜とが交互に積層されてなるフィルムが挙げられる。
また、ガスバリヤフィルム40としては、米国特許出願公開第2005/202646号明細書、米国特許出願公開第2005/176181号明細書、米国特許出願公開第2003/203210号明細書、米国特許出願公開第2009/208754号明細書、国際公開第2003/028903号パンフレット、国際公開第2008/094352号パンフレット、国際公開第2009/009306号パンフレット、国際公開第2010/077544号パンフレットなどに記載されたフィルムを挙げることもできる。
有機EL素子300は、水分捕獲体30とともにガスバリヤフィルム40を備えることで、素子内の水分が除去されるとともに、有機EL層10に水分が接触することをより低減することができる。有機EL素子300は、例えば、高信頼の有機EL照明装置を構成することができる。
図4は、本発明の実施形態の有機EL素子の第四例を模式的に示す断面図である。
図4に示す有機EL素子400では、図2に示す有機EL素子200に対して、有機EL層10の全面を覆うガスバリヤフィルム40が設けられている点で異なり、その他の点で同一である。ガスバリヤフィルム40は、図3に示す有機EL素子300が備えるのと同様のものである。
有機EL素子400は、水分捕獲体130とともにガスバリヤフィルム40を備えることで、素子内の水分が除去されるとともに、有機EL層10に水分が接触することをより低減することができる。有機EL素子400は、例えば、高信頼の有機EL照明装置を構成することができる。
図5は、本発明の実施形態の有機EL素子の第五例を模式的に示す断面図である。
図5に示す有機EL素子500では、図4に示す有機EL素子400に対して、有機EL層10上に、本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物から形成された水分捕獲体30をさらに設けて有しており、水分捕獲体30の全面および有機EL層10の側面を覆うガスバリヤフィルム40が設けられている点で異なり、その他の点で同一である。
ガスバリヤフィルム40は、図3および図4に示す有機EL素子300,400が備えるのと同様のものである。
有機EL素子500は、水分捕獲体30,130とともにガスバリヤフィルム40を備えることで、素子内の水分が除去されるとともに、有機EL層10に水分が接触することをより低減することができる。有機EL素子500は、例えば、高信頼の有機EL照明装置を構成することができる。
以下、実施例に基づき本発明の実施形態を詳述するが、この実施例によって本発明が限
定的に解釈されるものではない。
H−NMRの測定>
H−NMRは、核磁気共鳴装置(日本電子社の「JNM−ECS400」(400MHz))を用いて25℃で測定した。
<(A)オルトエステル化合物の合成>
本発明の実施形態の水分捕獲体形成組成物に含有される(A)オルトエステル化合物として、上記式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物または上記式(A1−2)で表される化合物の例である(AO−1)化合物〜(AO−9)化合物についてその合成方法を説明する。それら合成方法については、特許文献である国際公開(WO)01/021611号パンフレットを参考にすることができる。尚、以下においては、(AO−1)化合物〜(AO−9)化合物をそれぞれ、水分捕獲剤(AO−1)〜水分捕獲剤(AO−9)という。
[合成例1]水分捕獲剤(AO−1)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル53.0部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール80.0部、ペンタエリスリトール17.0部および90wt%ギ酸水溶液0.5部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃に1時間保持した。その後、2時間かけて175℃まで昇温して46.5部のメタノールを回収し、無色透明で粘調のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−1)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−1)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.76〜0.96(24H,m),δ1.20〜1.40(24H,m),δ1.10−1.60(32H,m),δ3.34〜4.10(24H,m),δ5.24(4H,s).
[合成例2]水分捕獲剤(AO−2)の合成
上述の水分捕獲剤(AO−1)と同様に、オルトギ酸メチル、1,2−ドデカンジオール、ペンタエリスリトールおよび90%ギ酸水溶液から、下記の水分捕獲剤(AO−2)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−2)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl); δ0.88(12H,s),δ1.25〜1.35(64H,m),δ1.35−1.45(8H,m),δ3.90(4H,m),δ3.95〜4.05(8H,m),δ5.80(8H,s),δ6.30(4H,s).
[合成例3]水分捕獲剤(AO−3)の合成
水分捕獲剤(AO−1)と同様に、オルトギ酸メチル、バチルアルコール、ペンタエリスリトールおよび90%ギ酸水溶液から、下記の水分捕獲剤(AO−3)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−3)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl); δ0.88(12H,s),δ1.25〜1.30(104H,m),δ1.30−1.45(24H,m),δ3.40(12H,m),δ3.60〜3.80(8H,m),δ3.95〜4.00(8H,m),δ4.20〜4.30(4H,m),δ5.80(8H,s),δ6.25(4H,s).
[合成例4]水分捕獲剤(AO−4)の合成
水分捕獲剤(AO−1)と同様に、オルトギ酸メチル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンおよび90%ギ酸水溶液から、下記の水分捕獲剤(AO−4)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−4)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.90(6H,t),δ1.20〜1.40(6H,m),δ1.55(2H,q),δ1.60〜1.75(8H,m),δ3.80(4H,d),δ3.85(8H,q),δ5.80(2H,s),δ6.05(3H,s).
[合成例5]水分捕獲剤(AO−5)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル53.0部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール80.0部、メタクリル酸ヒドロキシエステル65.0部および90%ギ酸水溶液0.5部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃ に1時間保持した。その後、2時間かけて175℃まで昇温してメタノールを除去し、粘調なメタクリル基を有する水分捕獲剤(AO−5)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−5)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.90(2H,t),δ1.20〜1.40(6H,m),δ1.70(2H,q),δ2.05(3H,s),δ3.65(2H,q),δ3.85(4H,d),δ4.25(2H,d),δ6.05(1H,s),δ6.40(1H,s),δ6.50(1H,s).
次いで、冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200質量部を仕込んだ。引き続きメタクリル基を有する水分捕獲剤(AO−5)70質量部、スチレン30質量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合体を形成し、重合体である水分捕獲剤(AO−5−1)を含む溶液を得た。重合体である水分捕獲剤(AO−5−1)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は8000であった。得られた溶液の固形分濃度は34.1質量%であった。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−5−1)のH−NMRを測定したところ、水分捕獲剤(AO−5)の2重結合によるδ6.40付近のピークが消失したことを確認した。
[合成例6]水分捕獲剤(AO−6)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル53.0部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール80.0部、ノボラック樹脂(群栄化学株式会社製 HAIHYAKU)100.0部および90%ギ酸水溶液0.5部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃に2時間保持した。その後、2時間かけて175℃まで昇温してメタノールを除去し、粘調なオルトエステルを有するノボラック樹脂として水分捕獲剤(AO−6)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−6)のH−NMRを測定したところ、原料であるノボラック樹脂の水酸基のδ5.30付近のピークが消失したことを確認した。
[合成例7]水分捕獲剤(AO−7)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル53.0部、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル80.0部、ペンタエリスリトール17.0部および90wt%ギ酸水溶液0.5部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃に1時間保持した。その後、2時間かけて175℃まで昇温して46.5部のメタノールを回収し、無色透明で粘調のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−7)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−7)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.83(12H,m),δ1.24〜1.56(8H,m),δ3.20〜4.10(40H,d),δ5.10〜5.36(12H,m),δ5.88(4H,m).
[合成例8]水分捕獲剤(AO−8)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、水分捕獲剤(AO−1)50.0部、t−ブトキシカリウム3.0部を仕込み、窒素雰囲気下160℃で6時間撹拌した。その後、アルカリ吸着材としてキョーワード(登録商標)600S(協和化学工業製)を0.6部加え120℃で1時間処理後、反応液を室温まで冷却し、吸着材をろ別して、無色透明で粘調のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−8)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−8)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.87(12H,m),δ1.40(8H,m),δ1.55(12H,d),δ3.20〜4.20(24H,d),δ3.25〜4.10(32H,m),δ4.25〜4.45(4H,m),δ5.10〜5.40(4H,m),δ5.80〜6.15(4H,m).
[合成例9]水分捕獲剤(AO−9)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル63.0部、グリセリン55.0部、ペンタエリスリトール20.0部および90wt%ギ酸水溶液0.5部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃に1時間保持した。その後、2時間かけて175℃まで昇温して57.0部のメタノールを回収し、さらに175℃、300Paの条件で濃縮し、揮発成分を除去した。無色透明粘調のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−9)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−9)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ3.20〜4.20(24H,m),δ4.20〜4.70(4H,m),δ5.60〜6.10(4H,m).
[合成例10]水分捕獲剤(AO−10)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル42.5部、グリセリン55.3部および90wt%ギ酸水溶液0.4部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約85℃に2時間保持した。その後、4時間かけて150℃まで昇温し、300Paの条件で濃縮し、揮発成分を除去した。無色透明粘調のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−10)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−10)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ3.46〜4.54(18H,m),δ5.82〜6.06(2H,m).
[合成例11]水分捕獲剤(AO−11)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル12.7部、OXT−101, 50.2部および90wt%ギ酸水溶液0.6部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら約95℃に16時間保持した。その後、140℃まで昇温し、300Paの条件で濃縮し、揮発成分を除去した。白色固体のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−11)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−11)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.91(9H,t),δ1.77(6H,q),δ3.77(6H,s),δ4.28(6H,d),δ4.41(6H,d),δ5.42(1H,s).
[合成例12]水分捕獲剤(AO−12)の合成
撹拌機、冷却器、温度制御装置および溶剤回収装置を備えた反応装置に、オルトギ酸メチル21.2部、グリセリン18.4部、および90wt%ギ酸水溶液1部を仕込み、アルコール交換反応により生成するメタノールを留去しながら85℃で1.5時間、90℃で1時間反応した。その後、OXT−101, 25.6部を加え、約140℃まで6時間かけて昇温しながら生成するメタノールを留去後、140℃、300Paの条件で濃縮し、揮発成分を除去した。無色透明油状物のポリオルトエステルとして水分捕獲剤(AO−12)を得た。
Figure 0006357877
水分捕獲剤(AO−12)のH−NMRを測定したところ、以下の通りであった。
H−NMR (CDCl);δ0.88(3H,t),δ1.72(2H,q),δ3.44〜4.42(12H,m),δ5.87(1H,s)
<水分捕獲体形成組成物の調製>
本実施例の各水分捕獲体形成組成物の調製に用いた(A)成分((A)オルトエステル化合物および従来の水分捕獲剤)、(B)成分((B)酸発生剤)、(C)成分((C)硬化性化合物)、(D)成分((D)ラジカル重合開始剤)および(E)成分((E)微粒子を以下に示す。
[(A)成分]
AO−1:水分捕獲剤(AO−1)
AO−2:水分捕獲剤(AO−2)
AO−3:水分捕獲剤(AO−3)
AO−4:水分捕獲剤(AO−4)
AO−5−1:水分捕獲剤(AO−5−1)
AO−6:水分捕獲剤(AO−6)
AO−7:水分捕獲剤(AO−7)
AO−8:水分捕獲剤(AO−8)
AO−9:水分捕獲剤(AO−9)
AO−10:水分捕獲剤(AO−10)
AO−11:水分捕獲剤(AO−11)
AO−12:水分捕獲剤(AO−12)
AO−13:アルミニウムトリイソプロポキシド(Al(i−PrO))(東京化成工業(株)製)
AO−14:酸化カルシウム(東京化成工業(株)製)
[(B)成分]
B−1:CPI−200K(サンアプロ製)
B−2:サンエイド(登録商標)SI−80L(三新化学工業製)
[(C)成分]
C−1:エピコート(登録商標)828(三菱化学製)
C−2:デナコール(登録商標)EX−212(ナガセ製)
C−3:NKエステル9PG(新中村化学製)
[(D)成分]
D−1:ルシリン(登録商標)TPO(BASF社製)
D−2:V−601(和光純薬社製)
[(E)成分]
D−1:日産化学社製ナノユース(登録商標)OZ−S30K−AC(酸化ジルコニウムの一次粒径20nm、動的光散乱による平均粒径80nm、固形分濃度20質量%)、
D−2:シーアイ化成社製RTTCHN15WT%−E06(酸化チタニウムの一次粒径25nm、動的光散乱による平均粒径100nm、固形分濃度15質量%)
[実施例1](水分捕獲体形成組成物(JO−1)の調製)
大気環境下で、(C)成分である(C−1)80質量部に、(A)成分である水分捕獲剤(AO−1)20質量部を添加して均一な溶液とした後、この溶液に(B)成分である(B−1)1質量部を加えて水分捕獲体形成組成物(JO−1)を調製した。使用した各成分および配合量は、後述する他の実施例とともに、表1にまとめて示す。
[実施例2〜19および比較例1〜4]
(水分捕獲体形成組成物(JO−2)〜(JO−23)の調製)
下記表1に示す種類および配合量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、各水分捕獲体形成組成物を調製した。
尚、実施例17〜実施例19では、(E)成分を表1に記載の固形分に相当する量を用いた。
<有機EL素子の製造>
縦横25mm、厚さ0.7mmのガラス板に膜厚15nmのITO膜が幅2mmのパターンで形成されたガラス基板(旭硝子(株)製)上に、正孔注入材料としてポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)を含有する正孔注入層形成用塗液を3000rpmで50秒間スピンコートを行い、膜厚50nmの正孔注入層を形成した後、高純度窒素中、200℃で10分間加熱・乾燥を行った。ここで、正孔注入層形成用塗液としては、PEDOT/PSSを純水に固形分0.1質量%で溶解したものを用いた。正孔注入層上に、発光材料ポリフルオレン誘導体の1.0質量%溶液を2000rpmで50秒間スピンコートを行い、膜厚70nmの有機発光層を形成した後、60℃で10分間焼成した。有機発光層上に、10−5Paの圧力条件下、0.1nm/secの蒸着速度でLiFを10nm、0.1nm/secの蒸着速度でCaを20nm積層し、その上に20nm/secの蒸着速度でAlを100nm積層して陰極を形成した。
次いで、ガラス基板上に形成された有機EL層上に、上記各水分捕獲形成組成物を、スピンコートにて塗布し、120℃、5分間の加熱により、膜厚50μmの塗膜を形成した。塗膜の膜厚は、デプスゲージ547−251((株)ミツトヨ製)で測定した。次いで、得られた成膜済みガラス基板の周縁部に、比較例1で得られた水分捕獲形成組成物と同組成の組成物を、ディスペンサーを用いて塗布し、厚さ100μmの塗膜を形成した。
次いで、真空張り合わせ装置を用いて、成膜済みガラス基板へ縦横25mm、厚さ0.7mmの対向ガラス基板を前記塗膜を介して貼り合わせ、水分捕獲体(硬化)条件として、超高圧水銀灯(365nmにおける強度が100mW)を用いて1J/cmの紫外光(UV)を照射した後、80℃で30分間加熱することにより、前記塗膜を硬化させ、水分捕獲体およびシール材を形成した。実施例3および実施例5のみ、真空張り合わせ装置を用いて、成膜済みガラス基板へ縦横25mm、厚さ0.7mmの対向ガラス基板を前記塗膜を介して貼り合わせ、100℃で30分間加熱した後、80℃で30分間加熱することにより、前記塗膜を硬化させ、水分捕獲体およびシール材を形成した。
以上のようにして、有機EL素子を製造した。
<評価>
上記調製した実施例1〜実施例19および比較例1〜4の各水分捕獲体形成組成物の製膜性、各水分捕獲体の耐熱性、ガラス密着性、発光外観および光取出し効率を下記方法に従い評価した。その評価結果を表1に合わせて示す。
[製膜性]
上記調製した各水分捕獲体形成組成物を用い、長辺66mm、短辺24mm、厚さ1.1mmのガラス基板に、長辺58mm、短辺13mm、深さ0.3mmの掘込みを設け、この堀込みに水分捕獲体形成組成物200μLを塗布した後、高圧水銀ランプを用いてUV照射(照射エネルギー:1J/cm)により硬化させて水分捕獲体を形成し、目視により外観観察を行った。このとき、クラックおよび凹凸が認められない場合、製膜性は良好「○」と、クラックまたは凹凸の少なくともいずれかが認められた場合、不良「×」と評価した。
[耐熱性]
サンプル管中に、上記調製した各水分捕獲体形成組成物を適量入れ、上述の[製膜性]の硬化条件と同じ条件で、膜厚2mmの水分捕獲体をサンプル管底部に形成した。次いで、形成した水分捕獲体を大気に暴露して十分吸湿させた後、サンプル管の蓋を閉めてシールし、サンプル管の底部が上(製膜面が上)となるように固定した状態で85℃の環境下に静置した。その後、336時間経過した時点の水分捕獲体の状態を観察した。このとき、水分捕獲体に全く変化が認められなかった場合、耐熱性は極良好「○」と評価し、極軽微な変化のみが認められた場合、良好「△」と評価し、水分捕獲体が下方へ垂れて変形が認められた場合、不良「×」と評価した。
[ガラス密着性]
上記調製した各水分捕獲体形成組成物を用い、長辺66mm、短辺24mm、厚さ1.1mmのガラス基板に、上述の[製膜性]の硬化条件と同じ条件で、膜厚2mmの水分捕獲体を形成した。大気中における、上記ガラス基板からの各水分捕獲体の剥離の有無を観察した。このとき、剥離が認められない場合、密着性は良好「○」と、剥離した場合、不良「×」と評価した。
[有機EL素子の評価](光取り出し効率、発光外観(ダークスポット、ムラ)の評価)
上記[有機EL素子の製造]で得られたそれぞれの有機EL素子について、室温において順方向電流を10mA/cm通電し、発光外観(ダークスポット、ムラ)を観察した。また、コニカミノルタセンシング(株)社製分光放射輝度計「CS−2000」により正面輝度を測定し、光散乱層を形成していない基板で作製した有機EL素子の正面輝度を基準とし、白色発光素子の正面輝度の向上率を算出した。
評価は、下記基準に基づき行った。
・発光外観(ダークスポット、ムラ)
ダークスポット、ムラが観察されない:良(○)、
ダークスポット、ムラが観察される:不可(×)
・光取り出し効率
正面輝度向上率1.2倍以上:優(◎)、
正面輝度向上率1.0倍以上〜1.2倍未満:良(○)、
正面輝度向上率1.0倍未満:不良(×)
Figure 0006357877
表1の評価結果から明らかなように、本実施例の水分捕獲体形成組成物および本実施例の水分捕獲体形成組成物から形成された水分捕獲体では、製膜性、耐熱性および密着性のいずれにおいても良好または極良好であった。それに対し、比較例の水分捕獲体形成組成物から形成された水分捕獲体では、耐熱性が不良であった。
本発明は、空気下での取り扱いが可能で、かつ揮発性の分解生成物を生じ難い水分捕獲体を形成可能な水分捕獲体形成組成物を提供することができる。そのため、本発明は、この水分捕獲体形成組成物から形成される水分捕獲体、および、その水分捕獲体を備える電子デバイスを高い生産性で提供することができる。そして、特に、ダークスポットの発生を抑制する有機EL素子や、水分の影響を抑制する液晶表示素子等の電子デバイスに好適に使用することができる。
10 有機EL層
20 構造体
22 基板
24 封止用基板
26 シール材
30,130 水分捕獲体
40 ガスバリヤフィルム
100,200,300,400,500 有機EL素子

Claims (1)

  1. (A)オルトエステル化合物と、
    (B)酸発生剤と
    を含む水分捕獲体形成組成物であって、
    該(A)オルトエステル化合物が、式(A1−1)で表される構造部位を有する化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする水分捕獲体形成組成物。
    Figure 0006357877
    [式(A1−1)中、R1〜R5は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基であり、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子、水酸基または炭素数1〜18の有機基であり、R3、R4およびR7は、これらが直接結合する炭素原子と一緒になって環状構造を形成していてもよく、nは0または1〜18の整数であり、*は結合位を示す。
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