JP2020012100A - インク組成物、インクジェットインキ及び印刷物 - Google Patents

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嘉孝 寺島
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、優れた色純度と高い色変換効率を達成し、さらに、沈降安定性に優れた樹脂組成物、該樹脂組成物を含むインクジェットインキ、及び印刷物を提供することにある。【解決手段】 上記課題は、量子ドット(A)、バインダー成分(B)及び光散乱粒子(C)を含み、前記バインダー成分(B)が、樹脂又は重合性化合物を含有し、前記光散乱粒子(C)がフッ素を含有するインク組成物、該インク組成物を含むインクジェットインキ、及び印刷物によって解決される。【選択図】 なし

Description

本発明は、沈降安定性に優れ、かつ高い光効率特性を有することで、高品質な画質を提供することが可能なインク組成物に関する。
LCDやOLEDを用いた表示装置には、それぞれのバックライトのスペクトル形状が異なることからカラーフィルタとして最適な色相や透過率特性をもつ、顔料や染料を選択する必要がある。顔料は、溶剤に溶解せずに微細な粒子状態で存在するため、顔料分散法によって処理された着色剤として用いられるが、多様な色相を表現するためには処理剤の量を減らす、あるいは顔料の設計が必要になってくるが、限界点に達してきているのが現状である。また、染料は光や熱に対する耐久性が顔料より劣るため、これを改善することや、カラーフィルタへの生産に使用する溶剤への溶解性確保等が必要になる。さらに、色純度を高めるために、顔料や染料の濃度を濃くすると、透過率が低下してしまい、十分な輝度が確保できない。
そこで、高い色純度かつ高輝度を両立する材料として自発光する半導体量子ドットが注目されている。量子ドットは、量子力学に従う独特な光学特性を発現させるために、電子を微小な空間に閉じ込めるために形成された微小な粒(ドット)である。1粒の量子ドットの大きさは、直径1ナノメートルから数10ナノメートルであり、約1万個以下の原子で構成されている。発する蛍光波長が、粒の大きさで連続的に制御できること、蛍光強度の波長分布の対称性が高いシャ−プな発光が得られる。
量子ドットをそのままカラーフィルタとして利用すると、量子ドットは非散乱粒子であるため、バックライトの光が透過してしまい、十分に光が変換されない問題が発生する。上記課題の解決のために、特許文献1では量子ドットが含まれる色変換層とは別に、散乱粒子を有する光拡散層を有することが記載されている。
また、特許文献2では、量子ドットと数百ナノメートルレベルの無機散乱粒子を含む樹脂組成物を用いることで、優れた色再現性と高い発光効率を実現できることが記載されている。
特開2017−161938号公報 特開2016−098375号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、追加層によって表示装置自体の工程性に問題が発生する。また、特許文献2に記載の方法では、無機散乱粒子は有機物と比較して比重が大きいため、組成物としての沈降安定性に問題があり、カラーフィルタ形成工程において凝集異物が発生する。また、インクジェットインキとして用いる場合、インクジェットヘッドのノズル詰まりを起こし、吐出できなくなることや、カ−トリッジ内に沈降してしまい、吐出後の塗膜が均一性に優れない等の問題が発生する。
そこで、本発明の目的は、高い発光効率を達成し、さらに、沈降安定性に優れたインク組成物、該インク組成物を含むインクジェットインキ、及び印刷物を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために、鋭意検討した結果、量子ドットと、フッ素を含有する光散乱粒子とを併用することで、光散乱粒子の沈降を抑制しつつ、当該インク組成物によって印刷された印刷物は優れた光効率を示すことを見出した。
すなわち本発明は下記〔1〕〜〔9〕に関する。
〔1〕 量子ドット(A)、バインダー成分(B)及び光散乱粒子(C)を含むインク組成物であって、
前記バインダー成分(B)が、樹脂又は重合性化合物を含有し、
前記光散乱粒子(C)がフッ素を含有する、インク組成物。
〔2〕 前記量子ドット(A)及び前記バインダー成分(B)を含み、光散乱粒子(C)を含まない組成物と、前記光散乱粒子(C)との屈折率差が0.1以上である、〔1〕に記載のインク組成物。
〔3〕 前記光散乱粒子(C)の平均粒子径が200nm以上600nm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載のインク組成物。
〔4〕 前記バインダー成分(B)が重合性化合物を含む、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔5〕 さらに溶剤(D)を含み、かつ前記バインダー成分(B)が樹脂を含む、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔6〕 前記樹脂の質量平均分子量が1,000〜50,000である、〔5〕に記載のインク組成物。
〔7〕 前記量子ドット(A)が、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物半導体である、〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載のインク組成物。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載のインク組成物を含むインクジェットインキ。
〔9〕 〔8〕に記載のインクジェットインキより形成される印刷物。
本発明により、高い発光効率を達成し、さらに、沈降安定性に優れたインク組成物、該インク組成物を含むインクジェットインキ、及び印刷物を提供することができる。なお、本発明において、発光効率は外部量子効率(EQE)と同意義とする。
本発明のインク組成物は、量子ドット(A)、バインダー成分(B)及び光散乱粒子(C)を含み、前記バインダー成分(B)が、樹脂又は重合性化合物を含有し、前記光散乱粒子(C)がフッ素を含有することを特徴とする。光散乱粒子(C)がフッ素を含むことで、光散乱粒子間の凝集が抑制され、量子ドット(A)及びバインダー成分(B)中に均一に存在することができるため、沈降安定性に優れ、且つ高い発光効率を有するインク組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<量子ドット(A)>
本発明に用いられる量子ドット(A)は、ナノサイズの半導体である。本発明に用いられる量子ドット(A)は、光による刺激で発光できる量子ドットであれば、特に限定されない。
量子ドット(A)は、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物半導体であることが好ましく、2種以上の元素を含んでいてもよい。
具体的には、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdSeZn、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、AgInSe、CuGaSe、CuInS、CuGaS、CuInSe、AgGaSe、AgGaS、CsPbBr及び二つ又はそれ以上のそのような材料の適切な組み合わせが挙げられる。
前記のうち、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、As、Sb、Pb、S、Se、Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体が好ましい。さらに好ましくは、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、S、Teで示される元素群から選ばれる少なくとも2種の元素を含む化合物からなる半導体である。さらに好ましくは、バンドギャップの狭さからInを構成元素として含む半導体が、可視光を発光する用途では好ましい。
量子ドット(A)の構造は、前記記載の元素を含む構造であれば、均一な単一構造、コア・シェル型構造、グラジエント構造等のような複層構造又はこれらの混合構造であってもよい。
量子ドット(A)は、コア・シェル型構造をとる化合物半導体が好ましい。コアを形成する化合物半導体成分と異なる化合物半導体成分でコア構造を被覆し、外部がバントギャップの大きい化合物半導体であることにより、光等のエネルギー励起によって生成された励起子(電子−正孔対)はコア内に閉じ込められる。その結果、化合物半導体表面での無輻射遷移の確率が減少し、発光の量子収率及び量子ドットの蛍光特性の安定性が向上する。量子ドットとして使用される場合に、前記の条件を満たす好適な材料の組合せとしては、CdSe/ZnS、CdSe/ZnSe、CdS/ZnS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、InP/ZnS、PbSe/PbS、GaP/ZnS、Si/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、Si/AlP、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
また、本発明に用いられる量子ドット(A)を形成する化合物半導体のシェル成分としては、ZnS、CdS、ZnSe等が良く用いられるが、この中でものコア成分がInを構成元素として含む場合、ZnSは、量子ドットとしての励起子閉じ込め等の特性的にも特に優れており、好適に使用される。
量子ドット(A)を形成する化合物半導体の無機材料部分の平均粒径は0.5nm〜100nmであることが好ましく、所望の特性が得られる粒径を選択することができる。単一半導体組成である場合の半導体微粒子の平均粒径、及び、コア・シェル型のコア平均粒径は0.5nm〜25nmであることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜15nmである。平均粒径が0.5nm以上であると合成面で好ましく、100nm以下であると量子閉じ込め効果が向上し求める蛍光が得られやすいため好ましい。
量子ドットにおいては、同じ材料であってもコア粒径を変えることで蛍光波長を任意に変更可能なことが特徴であり、求める蛍光波長に応じて粒径を設定することになる。コア・シェル型の場合、一つの化合物半導体の中に複数のシェル微粒子を含有してもよい。シェルの平均厚みは無機材料部分の粒子半径とコア粒子半径の差に相当するが、シェルの厚みが薄いとシェルの強度や閉じ込め効果が十分でなく、厚すぎると全体粒径が大きくなるため、塗工液やインキにした場合の分散性に劣り、量子ドットの場合、励起方法によってはコアを励起させることが難しくなる場合がある。量子ドット(A)の形状は、球状に限らず、棒状、円盤状、そのほかの形状であっても良い。
ここで言う平均粒径とは、半導体微粒子を透過型電子顕微鏡で観察し、無作為に30個のサイズを計測してその平均値を採用した値を指す。この際、半導体微粒子は後述のリガンドを伴うため、エネルギー分散型X線分析が付帯した走査型透過電子顕微鏡を用いることで、半導体材質部を特定した上で、透過型電子顕微鏡像において電子密度の違いから後述のリガンドに対し半導体微粒子部分は暗く撮像されることを利用し粒径を計測する。
量子ドット(A)は、さらに有機物で被覆処理されていても良い。これらの有機物は被覆材料又は保護材料と称され、特に合成時には微粒子表面の処理剤、さらには量子ドットの場合にはリガンド又は配位子と呼ばれることも多い。一般的に被覆材料として用いることのできる有機物としては、無機半導体微粒子の金属部分に吸着する強い極性、又は非共有電子対を有し、さらに、炭素鎖や芳香環が連結した構造、ポリアルキレングリコール構造等を有することで、塗液やインキとして使用する溶剤や樹脂との親和性が高い部分構造を有する有機物である。このような有機物は一般的には、有機及び無機顔料や無機化合物材料の分散剤や、洗剤やエマルジョン形成等の際に使用される界面活性剤、乳化剤として良く知られているものであり、本発明でもこれらの化合物を使用することが出来る。また、金属錯体の配位子(リガンド)として使用される部分構造を有する化合物、特に金属への配位座を2個以上有するキレート配位子構造を有する化合物は、化合物半導体の金属部分へ吸着しやすく、かつ脱離しにくいため、使用することが可能である。
本発明において、特に合成時に処理剤として用いることのできる有機物は沸点が高く、アルキル鎖部分の相互作用が期待できる、炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機物が好ましい。また、化合物半導体への作用を強固にするために極性基を有してもよく、処理できる有機物として、有機酸、有機アミン、硫黄含有有機物、リン含有有機物が挙げられる。
有機酸としては、末端にカルボン酸を有する化合物を用いることができ、芳香環、エーテル基を含むことができ、分子中にカルボン酸を複数有していても構わない。具体例として、安息香酸、ビフェニルカルボン酸、ブチル安息香酸、ヘキシル安息香酸、シクロヘキシル安息香酸、ナフタレンカルボン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、エチルヘキサン酸、ヘキセン酸、オクテン酸、シトロネル酸、スベリン酸、エチレングリコールビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、(2−ブトキシエトキシ)酢酸等が挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機酸としては、有機酸のうち、炭素数8以上のアルキル基を有する化合物であり、具体的には、ノナン酸、デカン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、トリコサン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エイコサジエン酸、リノレン酸、セバシン酸、(2−オクチルオキシ)酢酸、等が挙げられる。
有機アミンとしては、末端にアミノ基を有する化合物を用いることができ、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有する有機アミンとしては、オクチルアミン、ドデカアミン、ヘプタデカン−9−アミン、N,N−ジメチル−n−オクチルアミン等が挙げられる。
硫黄含有有機物としては、チオール類とジスルフィド類が挙げられる。
チオール類としては、アリルメルカプタン、1,3−ベンゼンジメタンチオール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾールブタンチオール、n−ヘキサンチオール、n−ヘプタンチオール、等が挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するチオール類の硫黄含有有機物としては、ドデカンチオール、1−ドコサンチオール、tert−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。
ジスルフィド類としては、ビス(4−クロロ−2−ニトロフェニル)ジスルフィド、ヘキシルスルフィド、3,3',5,5'−テトラクロロジフェニルジスルフィド等が挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するスルフィド類の硫黄含有有機物としては、ドデシルジスルフィド、オクタデシルジスルフィド、ドデシルオクタデシルジスルフィド等が挙げられる。
リン含有有機物としては、リン酸ブチル、リン酸ヘキシル、リン酸ジイソプロピル、(2−エチルヘキシル)ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、プロピルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸メチル、イソプロピルホスホン酸ヘキシル等が挙げられる。
炭素数8以上のアルキル基を部分構造として有するリン含有有機物としては、リン酸オクチル、リン酸ジドデシル、リン酸ドデシル、ドデシルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸ドデシル、デシルホスホン酸、デシルホスホン酸イソプロピル等が挙げられる。
量子ドット(A)の合成方法としては、ガラス中で作成する方法、水溶液中で合成する方法、有機溶媒中で合成する方法等、一般的に知られている方法を用いることができる。特に、InP/ZnSコア・シェル型量子ドットに関しては、技術文献「Journal of American Chemical Society,2007,129,15432−15433」、「Journal of American Chemical Society,2016,138,5923−5929」、InCuS/ZnSコア・シェル型量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society,2009,131,5691−5697」 技術文献 「Chemistry of Materials,2009,21,2422−2429」、Si量子ドットに関しては技術文献「Journal of American Chemical Society,2010,132,248−253」等に記載されている方法を参照
して合成することができる。
本発明に用いられる量子ドット(A)の表面の少なくとも一部は、合成時とは異なる被覆材料で被覆されていてもよい。被覆材料を変更する方法としては、例えば、第1の被覆材料で表面処理された化合物半導体と、入れ替えたい第2の被覆材料とを溶剤中で撹拌する方法や、第1の被覆材料で表面処理された化合物半導体を遠心沈降等で溶剤をおおよそ取り除いた後、入れ替えたい第2の被覆材料を含む溶剤に化合物半導体を再分散させる方法等が挙げられる。
上記手法を用いることで、用途や要求性能に適した被覆材料を選択とすることができ、塗工液やインキに好適に用いられる溶剤や樹脂との親和性を向上させることができる。
本発明のインク組成物中、量子ドット(A)の含有量はインク組成物全量に対し、3〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜25質量%である。
含有量が3%以上であると、印刷物の光効率が十分となるため好ましく、含有量が30質量%以下であると、インク組成物の粘度がインクジェットインキ用途に適した範囲となり吐出性が向上するため好ましい。
<バインダー成分(B)>
本発明のインク組成物は、バインダー成分(B)として、樹脂又は重合性化合物を含有する。
[樹脂]
樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂いずれも用いることができ、例えば、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂等があげられ、塗工、印刷方式や基材により適時選択することができる。さらに、含有してもよい樹脂として、直鎖オレフィン系樹脂、芳香族ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、フルオレンポリカーボネート系樹脂、フルオレンポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(アラミド)系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリパラフェニレン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂、フッ素化芳香族ポリマー系樹脂、(変性)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アリルエステル系硬化型樹脂及びシルセスキオキサン系紫外線硬化樹脂等が挙げられる。
具体的には、三菱レイヨン社製のBR−50、BR−52、MB−2539、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、MB−2389、BR−80、BR−82、BR−83、BR−84、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−95、BR−96、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−110、BR−113、MB−2660、MB−2952、MB−3012、MB−3015、MB−7033、BR−115、MB−2478、BR−116、BR−117、BR−118、BR−122、ER−502、ウィルバ−・エリス社製のA−11、A−12、A−14、A−21、B−38、B−60、B−64、B−66、B−72、B−82、B−44、B−48N、B−67、B−99N、DM−55、BASF社製のJONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL683、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL JDX−C3000、JONCRYL JDX−C3080、日信化学工業製のソルバイン樹脂CL、CNL、C5R、TA3、TA5R、ワッカー社製のビニル樹脂E15/45、H14/36、H40/43、E15/45M、E15/40M、荒川化学社製のスーパーエステル75、エステルガムHP、マルキッド33、安原社製のYSポリスタ− T80、三井化学社製のHiretts HRT200X、サートマー社製SMA2625Pが挙げられる。
以上の樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
前記の樹脂を使用する場合、その質量平均分子量(Mw)は1,000〜50,000であることが好ましく、インクジェットヘッドからインク組成物を安定に吐出するために3,000〜45,000であることが特に好ましい。
質量平均分子量Mwが1,000以上であると、印刷物の塗膜耐性が十分となり、質量平均分子量Mwが50,000以下であると、インクジェットヘッド詰まりが起こり難く吐出性が良好となる。なお、質量平均分子量Mwはゲルパーミッションクロマトグラフィーによりスチレン換算分子量として求めることができる。
[重合性化合物]
重合性化合物としては、光の照射又は熱によって重合する重合性モノマーを用いることができ、好ましくは光重合性モノマーである。使用できる光重合性モノマーとしては特に制限されず、光ラジカル重合性モノマー又は光カチオン重合性モノマーであってもよく、単官能モノマー、多官能モノマーを各々単独で用いてもよいし、併用してもよい。
(光ラジカル重合性モノマー)
光ラジカル重合性モノマーの具体例としては、単官能モノマーとしてベンジル(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、β−カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしては、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(エトキシ(又はプロポキシ)化)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(又はテトラ) (メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(又はテトラ) (メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(又はテトラ) (メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(光カチオン重合性モノマー)
光カチオン重合性モノマーの具体例としては、単官能モノマーとして、グリシジルメタクリレート、2−エチルヘキシルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ノルマルブチルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシメチル−3−ベンジルオキセタン、3−ヒドロキシエチルー3−メチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシエチル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−エチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−プロピルオキセタン、3−ヒドロキシプロピル−3−フェニルオキセタン、3−ヒドロキシブチル−3−メチルオキセタン等が挙げられる。
また、多官能モノマーとしてビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、トリメチロールプロパングリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、1−メチル−4−(2−メチルオキシラニル)−7−オキサビシクロ[4.1.0]へプタン、キシリレンビスオキセタン、3−エチル−3{[(3 −エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
本発明に含有する重合性化合物の含有量は、インク組成物の硬化性の観点から、インク組成物の固形分全量に対し、好ましくは5〜80質量%である。
[光重合開始剤]
バインダー成分(B)が光重合性化合物を含む場合、光重合開始剤を併用することが好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であっても光カチオン重合開始剤であってもよく、その種類は制限されない。光重合開始剤を含むことでインク組成物から形成されるインク層を紫外線照射により硬化させることができる。
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、又は2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
アセトフェノン系化合物としては、IGM Resins B.V.社製の「Omnirad 907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、「Omnirad 369」(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン)、「Omnirad 379」2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ホスフィン系化合物としては、IGM Resins B.V.社製の「Omnirad 819」(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO H」(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)等が挙げられる。
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、4−イソプロピル−4'−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート等のヨードニウム塩、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等のスルフォニウム塩が挙げられる。
ヨードニウム塩系化合物としては、富士フィルム和光純薬社製の「WPI−113」(ビス[4−(アルキルC10〜C13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)、「WPI−116」(ビス[4−(アルキルC10〜C13)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート)、「WPI−169」(ビス[4−ターシャリーブチルフェニル]ヨードニウムビスペルフルオロブタンスルフォニルイミド)、「WPI−170」ビス[4−ターシャリーブチルフェニル]ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート)、「WPI−124」(ビス[4−(アルキルC10〜C13)フェニル]ヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)、スルフォニウム塩系化合物としては、サンアプロ株式会社製のCPI−100P(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスファート)、CPI−101A(トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)、CPI−310BP(トリアリールスルホニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)、BASF株式会社製の「Irgacure290」(テトラキスペンタフルオロフェニルボレート)等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いてもよい。
<光散乱粒子(C)>
光散乱粒子(C)は、フッ素を含有することを特徴とする。フッ素を含有することで粒子間の凝集を防ぎ、光散乱粒子(C)が、量子ドット(A)を含むバインダー成分(B)中に均一に存在することができる。
光散乱粒子(C)と、量子ドット(A)及びバインダー成分(B)を含む組成物(但し、光散乱粒子(C)を含まない)との屈折率差は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.15以上である。光散乱粒子(C)の屈折率が、量子ドット(A)とバインダー成分(B)とを含む組成物との屈折率より低いことが好ましい。上記範囲にあることで、インクジェット法で形成されたインク層を有する印刷物は、良好な外部量子効率と画質との両立を達成することができる。
本発明のインク組成物に用いられる光散乱粒子(C)の種類としては、フッ素を含有するものであれば特に限定されず、有機粒子であっても無機粒子であってもよい。有機粒子としては、フッ素基含有ポリメチルメタクリレートビーズ、フッ素基含有アクリル−スチレン共重合体ビーズ、フッ素基含有ポリカーボネートビーズ、ポリフッ化ビニルビーズ、等が用いられる。無機粒子としては、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等が用いられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。好ましくは、バインダー中の分散性が良く、且つバインダー成分との屈折率差を大きくすることができるトリフルオロエチルメタクリレート共重合体ビーズである。トリフルオロエチルメタクリレート共重合体中におけるフッ素の含有量が多いほど低屈折率化が可能であり、好ましくは共重合体を構成する単量体100質量%中、トリフルオロエチルメタクリレートの含有量が50質量%〜100質量%、より好ましくは60質量%〜100質量%である。
また、光散乱粒子(C)の平均粒子径は、200nm以上600nm以下であることが好ましい。上記範囲にあることで、充分な散乱効果を発現することができ、バインダー成分の屈折率に影響を与えない。さらに、散乱強度(ヘイズ値)が小さくても散乱角度が広くなるため全反射に有効な散乱が得られ、インク層内部(塗膜内部ともいう)での散乱効果が高くなり、光効率が向上するため好ましい。光散乱粒子(C)の平均粒子径は、より好ましくは200nm以上500nm以下であり、特に好ましくは200nm以上400nm以下である。
光散乱粒子(C)の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%未満であると、塗膜内部での散乱効果が高くなり、量子ドット(A)が効果的に発光可能となるため好ましい。粒子径600nm以上の粒子の含有量は、より好ましくは15体積%以下である。600nm以上の粒子の含有量が20体積%以上の場合、インクジェットノズルから吐出不良が発生し、印刷物を形成することが困難となる場合がある。なお、光散乱粒子(C)の平均粒子径や、粒子径600nm以上の粒子の含有量については、光散乱粒子(C)を予め分散体としておき、前記分散体を用いて本発明のインク組成物を得る場合、前記分散体における光散乱粒子(C)の平均粒子径及び600nm以上の粒子の含有量等をもって、インク組成物における光散乱粒子(C)の平均粒子径及び600nm以上の粒子の含有量等とすることができる。
本明細書において、光散乱粒子(C)の「平均粒子径」及び「粒子径」とは、後述の平均1次粒子径とは異なり、凝集による2次粒子の粒子径を加味した、インク組成物中での分散粒径のことである。これらは光学顕微鏡にて実測あるいは動的光散乱法によって求めることが出来る。ここで、平均1次粒子径と区別する理由は、同じ平均1次粒子径の散乱粒子を用いた場合であっても、インク組成物中での光散乱粒子(C)の分散状態により、平均粒子径及び粒度分布は異なる場合があるためである。「平均粒子径」は測定サンプルの50体積%における分散粒径の値であり、粒子径が600nm以上の粒子の含有量は、測定サンプルの分散粒径のうち、600nm以上の粒子径の体積%である。これらは動的光散乱法では日機装(株)社製「ナノトラックUPA」で測定することができる。
光散乱粒子(C)の粒度分布としては、変動係数が30%以下であることが好ましい。「変動係数」とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値の百分率で表されるものであり、平均粒子径に対するばらつきの大きさの指標となる。変動係数が30%より大きいと、光源波長による変化が大きくなり、色調が変化しやすいため、好ましくない場合がある。より好ましくは変動係数が20%以下である。
光散乱粒子(C)は、予め溶剤に分散した分散液を用いることが好ましい。光散乱粒子(C)を分散する方法としては、光散乱粒子(C)の表面状態に合わせた分散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製) 、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等) 、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等) 、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等) 、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」) 、微小ビーズミル(寿工業( 株)社製「スーパーアペックミル」及び「ウルトラアペックミル」) 等が使用できる。分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、及びポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。分散に関しては、2種類以上の分散機、又は大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用い、段階的に実施しても差し支えない。
光散乱粒子(C)の平均粒子径及び粒度分布は、無機粒子の場合は分散条件、例えば分散機、分散媒、分散時間、及び分散剤等を適宜調整することによって好適な範囲に調整することが可能である。また、有機粒子の場合は、重合温度、及び重合組成等の合成条件、あるいは、分散機、分散媒、分散時間、及び分散剤等の分散条件によって調整できる。
光散乱粒子(C)の含有量は、本発明のインク組成物全量に対し、1.5〜15質量%が好ましく、2.5〜12.5質量%がより好ましい。2.5質量%以上である場合、充分な散乱効果が発現し量子ドット(A)が発光しやすくなる。12.5質量%以下である場合、粒子同士の凝集が抑制されて塗膜表面のヘイズ(濁度)が上がらず、高い発光効率を達成することができる。
<溶剤(D)>
本発明のインク組成物は、溶剤(D)を含むことができる。バインダー成分(B)が樹脂を含む場合、インク組成物はさらに溶剤(D)を含むことが好ましい。
溶剤(D)は、量子ドット(A)及びバインダー成分(B)を分散又は溶解させられるものであれば、特に限定されない。代表的には、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、低級及び高級アルコール類、環状エステル類等が挙げられる。より具体的には、前記溶剤として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレンクリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等のトリエチレングリコールモノアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル類;テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等のテトラエチレングリコールモノアルキルエーテル類;テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のテトラエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、及びメトキシペンチルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル類;γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル類等が挙げられる。
溶剤(D)は、用途によって選択することができ、インクジェットインキとして用いる場合には、量子ドット、樹脂又は重合性化合物を含むバインダー成分に対する溶解性、装置部材に対する膨潤作用、粘度及びノズルにおける乾燥性等の点から選択され、好ましくは沸点が100℃以上であり、より好ましくは130℃以上である。これら溶剤は、それぞれ単独又は2種類以上を混合して使用できる。
また、溶剤(D)の含有量は、インク組成物の分散安定性及び製造工程における工程容易性(塗布性等)を考慮して選定され、限定されるものではない。
<重合禁止剤>
本発明のインク組成物には、保存安定性を高めるため、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩等が挙げられる。重合禁止剤は、硬化性を維持しつつ安定性を高める点から、インク組成物の固形分全量に対して0.01〜0.1質量部の割合で配合することが好ましい。
<その他成分>
本発明のインク組成物は、印刷適性や印刷物耐性を高めるため、表面調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を必要に応じて使用することができる。
<ろ過>
本発明のインク組成物は、形成される塗工膜中での粒子の凝集による異物発生の抑制や平滑性を維持するために、分散後及び/また全成分配合後に、孔径5μm以下好ましくは3μm以下のフィルターでろ過することが好ましい。
<インクジェットインキ及び印刷物>
本発明のインク組成物をインクジェットインキとして使用する場合、25℃での粘度を5〜100mPa・sに調整することが好ましい。この粘度領域であれば、通常の4〜10KHzの周波数を有するヘッドから10〜50KHzの高周波数のヘッドにおいても安定した吐出特性を示すことが可能となる。粘度が5mPa・s以上である場合、高周波数のヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められず好ましい。100mPa・s以下である場合、吐出性が良好であり、吐出安定性に優れることから好ましい。
またインク組成物は、ピエゾヘッドにおいては10μS/cm以下の電気伝導率とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインキとすることが好ましい。またコンティニュアスタイプにおいては、電解質による電気伝導率の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電気伝導率に調整することが好ましい。
本発明のインク組成物をインクジェットインキとして使用する場合、まず、インクジェットインキをインクジェット記録方式用プリンタのプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドからインクジェットインキを基材上に吐出する。その後、インクジェットインキに含まれる溶剤を乾燥する工程、或いは、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射してインクジェットインキに含まれる重合性化合物を重合させる工程を経ることにより、基材上に、インク層(印刷層)を形成することができる。
溶剤を乾燥する工程は、溶剤を除去できれば限定されず風乾でもよい。乾燥温度は、好ましくは100℃以上180℃以下であり、乾燥時間は1分以上であってもよく、10分以上であってもよく、120分以下でもよい。
上記温度範囲あるいは乾燥時間にすることで十分に溶剤を乾燥させた強度のある塗工膜を得ることができる。
また、活性エネルギー線の光源として紫外線を照射する場合、例えば高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、LED、又は太陽光を使用することができる。露光量は100mJ/cm以上であってよく2000mJcm以下であってもよい。上記光源で露光範囲にすることで十分に強度のあるインク層を得ることができる。
[基材]
本発明のインク組成物によって形成されるインク層を有する印刷物の印刷基材は特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等のプラスチック基材やこれら混合又は変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材等が挙げられる。
<カラーフィルタ>
本発明のインク組成物は、入射光を波長選択的に吸収し、一部の波長の光を透過又は反射させるカラーフィルタを形成するために用いることができ、本発明のインク組成物を用いて得られるカラーフィルタは、カラー液晶表示装置以外にカラー固体撮像素子、有機EL表示装置、量子ドット表示装置、及び電子ペーパー等の製造にも使用することができる。特にインクジェット方式を選択すると、必要な個所に必要な量を印刷することができ、量子ドット等の消費を抑制することができるため好ましい。
また、本発明のインク組成物から形成されるインク層を有するカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント及び青色フィルタセグメントを備えており、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント及び黄色フィルタセグメントを備えてもよく、少なくとも1つのフィルタセグメントが、本発明のインク組成物から形成されていればよい。
本発明のインク組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、透明基板又は反射基板上にフィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成してもよい。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウム等の無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板又は反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後にフィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜等を形成してもよい。
<光波長変換層>
本発明のインク組成物を用いて塗工・印刷後に有機溶剤を乾燥して形成された層又は、紫外線照射によって形成された硬化膜からなる層は、光波長変換層として用いることができる。光波長変換層は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出することが可能であり、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持できれば特に制限はなく、例として、青色や紫外光を励起光として用いて緑色や赤色の蛍光を得ることや、紫外光や可視光を励起光として近赤外領域の蛍光を得る事等を挙げることができる。
光波長変換層の厚みは、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜10μmである。厚みが1μm以上であると、高い波長変換効果が得られるため、好ましい。また、厚みが500μm以下であると、光源ユニットに組み込んだ場合に、光源ユニットを薄くすることができるため、好ましい。
<光波長変換部材>
前述の光波長変換層を用いて、光波長変換部材とすることもできる。
光波長変換部材は、特定基材の少なくとも片面に、前述の光波長変換層が形成された部材である。基材は特に限定はないが、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質塩ビ、ポリスチレン、発砲スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET等のプラスチック基材やこれら混合又は変性品、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙等の紙基材、ガラス、ステンレス等の金属基材等が挙げられる。
用途によって使用される基材は選択されるが、プリペイドカードや通行カード等であれば、耐久性の観点から、プラスチック基材やこれらの混合又は変性品が好ましい。情報記録媒体としての1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)(マトリックス型2次元コード)であれば、プラスチック基材の他にも紙基材が好ましい。波長変換用カラーフィルタであれば、透明基板が好ましい。
<発光素子>
本発明のインク組成物を用いて形成された層は、発光素子における発光層として用いることができる。発光素子は、基板と、基板上に設けられた陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を備え、陰極及び陽極の少なくとも一方に電荷輸送層を備えている。さらに、発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明である。
発光素子の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。また、発光層としては一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層、第三発光層等に発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
<基板>
基板としては、例えば、公知の有機EL素子に用いられる基板を用いることができる。基板は樹脂フィルムであってもよく、ガスバリアフィルムであってもよく、特開2004−136466号公報、特開2004−148566号公報、特開2005−246716号公報、特開2005−262529号公報等に記載のガスバリアフィルムも好ましく用いることができる。
基板の厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは50μm〜150μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
<陽極>
陽極は、通常、有機化合物あるいは無機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。上述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述がある。基板として耐熱性の低いプラスチック基材を用いる場合は、ITO、IZO又はIGZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
<陰極>
陰極は、通常、有機化合物あるいは無機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等が挙げられる。具体例としては2属金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、リチウム− アルミニウム合金、マグネシウム− 銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜100質量% のアルカリ金属又は2属金属との合金(例えば、リチウム− アルミニウム合金、マグネシウム− アルミニウム合金等)をいう。なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。また、陰極と前記有機化合物又は無機化合物層との間に、アルカリ金属又は2属金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚さに薄く成膜し、さらにITO、IZOやIGZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
<発光層>
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子との再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。発光層は、量子ドットのみで構成されていてもよく、量子ドットとホスト材料との混合層の構成でもよい。発光材料は、さらに、蛍光発光材料でも燐光発光材料を含有してもよく、ドーパントは1種であっても2種以上であってもよい。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料とを混合した構成が挙げられる。さらに、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
前記蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体等の化合物等が挙げられる。
前記燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。
前記遷移金属原子としては、特に限定されないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金である。
前記ランタノイド原子としては、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著, Comprehensive Coordination Chemistry, PergamonPress社1987年発行、H. Yersin著, 「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用− 」裳華房社1982年発行等に記載の配位子等が挙げられる。
また、発光層に含有されるホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するものや、後述の正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層の項で例示されている材料が挙げられる。
<正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。前述する機能を有すれば有機化合物であっても無機化合物であってもよく、低分子化合物でも高分子化合物でも金属酸化物であってもよい。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、有機シラン誘導体等の低分子化合物、カーボン、フラーレン等の炭素化合物、五酸化バナジウムや三酸化モリブデン等の金属酸化物からなる無機化合物、ポリビニルカルバゾール、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT−PSS)等の高分子化合物等を含有する層であることが好ましい。
<電子注入層、電子輸送層>
電子注入層及び電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体等の低分子化合物、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物やアルカリ金属ドーピングされた有機あるいは無機化合物を含有する層であることが好ましい。
<正孔ブロック層>
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、正孔ブロック層を設けることができる。また、電子輸送層・電子注入層が正孔ブロック層の機能を兼ねていてもよい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。また、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層を、発光層と陽極側で隣接する位置に設けることもできる。正孔輸送層・正孔注入層がこの機能を兼ねていてもよい。
<発光デバイス>
また、光波長変換部材と発光素子とを組み合わせて、発光デバイスとして用いることができる。前記発光デバイスは、少なくとも、光波長変換部材の光波長変換層又は発光素子の発光層のいずれか一方が、本発明のインク組成物を用いて形成されていればよい。
光波長変換部材は、励起光を長波長側の蛍光に変換して放出するものであり、例えば、青色や紫外光を緑色や赤色の蛍光に変換することや、紫外光や可視光を近赤外領域の蛍光に変換することができる。光波長変換部材は、励起光波長と放出蛍光波長の関係を維持するものであれば特に制限はなく、適宜最適なものを選択することができる。
また、従来公知の発光素子の光源としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)等の半導体発光素子、;有機エレクトロルミネッセンス(有機EL);又は量子ドット(quantum dot)を用いることができる。
以下に、実施例より本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を制限するものではない。特に明記しない限り、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。
まず、光散乱粒子の平均粒子径、樹脂の質量平均分子量(Mw)、屈折率、発光効率(外部量子効率)の測定方法の測定方法について説明する。
<光散乱粒子(C)の平均粒子径>
光散乱粒子(C)の平均粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定した。固形分濃度を20質量%に調節した光散乱粒子分散液を、分散液と同じ溶媒で満たしたセル内へ数滴たらし、信号レベルが最適値になった濃度で測定を行った。
<樹脂の質量平均分子量(Mw)>
質量平均分子量(Mw)は、昭和電工(株)社製のゲル浸透クロマトグラフィーGPC−101を用いて測定した。溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、ポリスチレン換算分子量を求めた。
<屈折率>
屈折率は、(株)アタゴ社製のアッベ屈折率計を用いて25℃で測定した。
<外部量子効率(EQE)の測定>
外部量子効率(EQE)は、大塚電子(株)社製のQE−2000を用いて測定した。
<量子ドット(コア・シェル型)のコアの平均粒子径測定>
量子ドット分散液を、メトキシプロピルアセテート(以下、PGMEAともいう)で約100倍に希釈し、希釈液を電子顕微鏡用グリット(製品名:支持膜付きグリッドCu150メッシュ)にキャストして室温で15時間以上乾燥させた。走査透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JEM2800)を用いて加速電圧200kV、観察倍率200万倍で測定し、得られた画像からコアの粒子径を求めた。量子ドット粒子10点の平均値を平均粒子径とした。
<量子ドット(A)の製造>
(量子ドット分散液(A−1))
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解し添加液を作成した。塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、200℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジメチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間200℃に制御した。その後、急冷し、40度に冷却した。上記添加液を注入し、240℃2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行い、InP(コア)/ZnS(シェル)の量子ドット(0−1)を得た。
続いて、得られた量子ドット(0−1)をトルエン中固形分濃度1%に希釈し、同量の5%6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行い、メトキシプロピルアセテートを用いて固形分濃度20%に調整し、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散液(A−1)を得た。
量子ドット分散液(A−1)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は10nmであった。
(量子ドット分散液(A−2))
量子ドット(0−1)をトルエン中、固形分濃度1%に希釈し、同量の2.5%6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行い、メトキシプロピルアセテートを用いて固形分濃度20%に調整し、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散液(A−2)を得た。
量子ドット分散液(A−2)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は10nmであった。
(量子ドット分散液(A−3))
無水酢酸亜鉛0.55部、ドデカンチオール7.0部、オレイルアミン5.0部を加熱溶解し添加液を作成した。塩化インジウム0.22部、オクチルアミン8.25部を反応容器に入れ、窒素バブリングを行いながら、165℃に加熱した。塩化インジウムが溶解した後、ジメチルアミノホスフィン0.86部を短時間で注入し、20分間165℃に制御した。その後、急冷し、40度に冷却した。上記添加液を注入し、240℃2時間加熱した後に、室温まで放冷した。放冷後、ヘキサンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行い、InP(コア)/ZnS(シェル)の量子ドット(0−2)を得た。
続いて、得られた量子ドット(0−2)をトルエン中固形分濃度1%に希釈し、同量の5%6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールのトルエン溶液を添加し、12時間撹拌した。トルエンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行い、メトキシプロピルアセテートを用いて固形分濃度20%に調整し、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散液(A−3)を得た。
量子ドット分散液(A−3)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は7nmであった。
(量子ドット分散液(A−4))
量子ドット(0−2)を用いた以外は、量子ドット分散液(A−2)と同様にして、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散液(A−4)を得た。
量子ドット分散液(A−4)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は7nmであった。
(量子ドット分散液(A−5))
トルエンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行った後に、メトキシプロピルアセテートの代わりにジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製「APG−100」)を用いて固形分濃度20%に調整した以外は、量子ドット分散液(A−1)と同様にして、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散液(A−5)を得た。
量子ドット分散液(A−5)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は10nmであった。
(量子ドット分散液(A−6))
トルエンとエタノールを用いて再沈澱法で精製を行った後に、メトキシプロピルアセテートの代わりにジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製「APG−100」)を用いて固形分濃度20%に調整した以外は、量子ドット分散液(A−3)と同様にして、6−(ジエチルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオールで表面処理された量子ドット分散体(A−6)を得た。
量子ドット分散液(A−6)における量子ドットはInP(コア)/ZnS(シェル)であり、量子ドットのコアの平均粒子径は7nmであった。
<バインダー成分(B)の製造>
(樹脂溶液(Bp−1))
セバブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にメトキシプロピルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、メチルメタクリレート15部、エチレングリコールメタクリレート10部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製「M−110」)30部、ベンジルメタクリレート25部、ブチルメタクレート20部、2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を継続し、質量平均分子量(Mw)32,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が30質量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して、樹脂溶液(Bp−1)を調整した。
(樹脂溶液(Bp−2))
三菱レイヨン社製アクリル樹脂「BR113」(質量平均分子量(Mw)=30,000)を30質量%になるようにメトキシプロピルアセテートで調整し、樹脂溶液(Bp−2)とした。
(樹脂溶液(Bp−3))
BASF社製アクリル系樹脂「J586」(質量平均分子量(Mw)=4,600)を30質量%になるようにメトキシプロピルアセテートで調整し、樹脂溶液(Bp−3)とした。
<光散乱粒子(C)の製造>
(光散乱粒子分散液(C−1))
窒素雰囲気下、水560gの中に、トリフルオロエチルメタクレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、及びイソボルニルメタクリレート5gを添加、撹拌し、80℃に昇温し、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、80℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングにより水を除去し、固形分20質量%に調整した光散乱粒子分散液(C−1)を得た。得られた光散乱粒子分散液(C−1)中の光散乱粒子の平均粒子径は280nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は11%、変動係数は4%、屈折率は1.46であった。
(光散乱粒子分散液(C−2〜4))
溶剤組成とモノマー組成を、表1に示す組成及び配合量(g)に変更した以外は、光散乱粒子分散液(C−1)と同様の方法で光散乱粒子分散液(C−2〜4)を得た。得られた光散乱粒子分散液の平均粒子径、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率、変動係数、屈折率を表1に示した。
Figure 2020012100
(光散乱粒子分散液(C−5))
メトキシプロピルアセテート80g中に、テクノケミカル(株)社製「Microdispers−200(平均粒子径200−300nm、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子)」を20g分散させて固形分20質量%に調整し、フッ素を含有する光散乱粒子分散液(C−5)とした。
(光散乱粒子分散液(C−6))
メトキシプロピルアセテート80g中に、AGCセイミケミカル(株)社製Fluon(R)PTFEL173JE(平均粒子径300nm、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子)20g分散させて固形分20質量%に調整し、フッ素を含有する光散乱粒子分散液(C−6)とした。
(光散乱粒子分散液(C−7))
メトキシプロピルアセテート80g中に、ダイキン工業(株)社製「ポリフロンMPAFA−500H(平均粒子径500nm、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子)」を20g分散させて固形分20質量%に調整し、フッ素を含有する光散乱粒子分散液(C−7)とした。
(光散乱粒子分散液(C−8))
テイカ(株)社製酸化チタン「JR603」10.0g、ビックケミ−社製「BYK−2155」10.0g、及びメトキシプロピルアセテート80gをハイスピ−ドミキサ−で均一になるまで撹拌した後、得られたミルベ−スを横型サンドミルで30分間分散して、フッ素を含有しない光散乱粒子分散液(C−8)を得た。
(光散乱粒子分散液(C−9))
窒素雰囲気下、水560部の中に、トリフルオロエチルメタクレ−ト50部、メチルメタクリレ−ト40部、アリルメタクリレ−ト5部、及びイソボルニルメタクリレ−ト5部を添加、撹拌し、80℃に昇温した。昇温後、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド0.167部をごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、80℃で8時間重合した。重合後、昇温することで水を除去し、光散乱粒子(C−9P)を90部得た。続いて、得られた光散乱粒子(C−9P)7.5部、BYK−2155(ビッグケミー株式会社製)を0.75部、ジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製「APG−100」)4.25部を混合し、ジルコニアビーズ(粒径1.25mm)75部を加え、ペイントシェーカーで80分間撹拌した。撹拌後、ジルコニアビーズを除去して、固形分質量60%のフッ素を含有する光散乱粒子分散液(C−9)を得た。得られた光散乱粒子の平均粒子径は280nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は11%、変動係数は4%、屈折率は1.46であった。
(光散乱粒子分散液(C−10))
テクノケミカル(株)社製「Microdispers−200(平均粒子径200−300nm、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子)」を7.5部、BYK−2155(ビッグケミー株式会社製)を0.75部、ジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、APG−100)を4.25部混合し、ジルコニアビーズ(粒径1.25mm)を75部加え、ペイントシェーカーで80分間撹拌した。撹拌後、ジルコニアビーズを除去し、固形分60質量%のフッ素を含有する光散乱粒子分散液(C−10)とした。
(光散乱粒子分散液(C−11))
テイカ(株)社製酸化チタン「JR603」7.5部、BYK−2155(ビッグケミー株式会社製)を0.75部、ジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学社製、APG−100)を4.25部混合し、ジルコニアビーズ(粒径1.25mm)を75部加え、ペイントシェーカーで80分撹拌した。撹拌後、ジルコニアビーズを除去し、フッ素を含有しない光散乱粒子分散液(C−11)とした。
<インク組成物の製造>
[実施例1]
(インク組成物(I−1))
量子ドット分散液(A−1)39.7部、樹脂溶液(B−1)を20.4部、光散乱粒子分散液(C−1)を19.9部、メトキシプロピルアセテートを20.0部計量し、その後、密閉して撹拌し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いてろ過を行い、インク組成物(I−1)を得た。
[実施例2〜34、比較例1〜4]
(インク組成物(I−2〜38))
表2に示す組成及び配合量に変更した以外はインク組成物(I−1)と同様にして、インク組成物(I−2〜38)を得た。
<樹脂及び溶剤を含むインク組成物の評価>
インク組成物(I−1〜28、35〜37)について、以下の評価を実施した。結果を表2に示す。
(量子ドットとバインダー成分とを含む組成物と光散乱粒子との屈折率差)
光散乱粒子分散液(C−1〜8)を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工した。その後、塗工フィルムを100℃のオーブン中で3分間乾燥させた。得られた膜(インク層ともいう)の屈折率(R)を、アッベ屈折率系を用いて測定した。
次に、表2に示すインク組成物(I−1〜28、35〜37)の組成から光散乱粒子分散液を除いた組成としたインク組成物(I−1〜28、35〜37)を製造した。得られたインク組成物(I−1〜28、35〜37)を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように、透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工した。その後、塗工フィルムを100℃のオーブン中で3分間乾燥させた。得られた膜の屈折率(R)を、アッベ屈折率系を用いて測定した。
得られた屈折率(R)及び屈折率(R)から、屈折率差を算出した。
(沈降安定性の評価)
インク組成物を、側面が透明であるスクリュ−管瓶(容量約20mL)に20mL取り分けたのち、25℃環境下に静置した後のインク組成物を目視観察し、下記基準で沈降安定性を評価した。
◎:相分離するまでの時間が、15時間以上である(良好)
○:相分離するまでの時間が、12時間以上、15時間未満である(使用可能)
△:相分離するまでの時間が、10時間以上、12時間未満である(使用不可)
×:相分離するまでの時間が、10時間未満である(不良)
(インクジェット吐出評価)
インク組成物を、カートリッジに充填し、下記条件でインクジェット印刷を行い、下記基準で評価を行った。
≪インクジェット吐出試験条件≫
印刷機:DymatixMaterialsPrinter
カ−トリッジ:DymatixMaterialsCartriges 10pL
ヘッド駆動電圧:25V
ヘッド駆動温度:30℃
基材:ガラス基板(コーニング社製ガラス「イーグル2000」0.7mm厚)
○:連続吐出可能時間が、30分間以上である(良好)
△:連続吐出可能時間が、10分間以上、30分間未満である(使用可能)
×:連続吐出可能時間が、10分間未満である(使用不可)
(外部量子効率の測定)
インク組成物を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、100℃環境下で乾燥させた。得られた膜の外部量子効率(EQE)を、大塚電子株式会社製QE−2000を用いて測定した。なお、励起波長は450nmとし、蛍光波長の積分範囲は500nm〜800nmとした。
<重合性化合物を含むインク組成物の評価>
インク組成物(I−29〜34、38)について、以下の評価を実施した。結果を表2に示す。
(量子ドットとバインダー成分とを含む組成物と光散乱粒子との屈折率差)
光散乱粒子分散液(C−9〜11)を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工した。その後、塗工フィルムを窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm(UVA換算)照射し、得られた膜の屈折率(R)を、アッベ屈折率系を用いて測定した。
次に、表2に示すインク組成物(I−29〜34、38)の組成から光散乱粒子分散液を除いた組成としたインク組成物(I−29〜34、38)を製造した。得られたインク組成物(I−29〜34、38)を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように、透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工した。その後、塗工フィルムを窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm(UVA換算)照射し、得られた膜の屈折率(R)を、アッベ屈折率系を用いて測定した。
得られた屈折率(R)及び屈折率(R)から、屈折率差を算出した
(沈降安定性の評価)
インク組成物を、側面が透明であるスクリュ−管瓶(容量約20mL)に20mL取り分けたのち、25℃環境下でエローランプ下に静置した後のインク組成物を目視観察し、下記基準で沈降安定性を評価した。
◎:相分離するまでの時間が、15時間以上である(良好)
○:相分離するまでの時間が、12時間以上、15時間未満である(使用可能)
△:相分離するまでの時間が、10時間以上、15時間未満である(使用不可)
×:相分離するまでの時間が、10時間未満である(不良)
(インクジェット吐出評価)
インク組成物を、カートリッジに充填し、インク組成物(I−1〜28、35〜37)のインクジェット吐出評価と同様にして、評価を行った。
(外部量子効率の測定)
インク組成物を、バーコータ−を用いて乾燥後膜厚6.0μmになるように透明フィルム(東レ(株)社製ポリエステルフィルム ルミラー75S10)に塗工し、塗工フィルムを窒素置換したグローブボックス内に設置したLED照射器を用いて、積算光量500mJ/cm(UVA換算)照射し、硬化させた。得られた膜の外部量子効率(EQE)を、大塚電子株式会社製QE−2000を用いて測定した。なお、励起波長は450nmとし、蛍光波長の積分範囲は500nm〜800nmとした。
Figure 2020012100
表2中の略称を以下に示す。
・Bm−1:ジエチルアクリルアミド
・Bm−2:ジプロピレングリコールジアクリレート
・PGMEA:メトキシプロピルアセテート
・BGAc:エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
・EDG:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
・EDGAc:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
・1,4−BDDA:1,4−ブタンジオールジアセテート
・DMTeg:テトラエチレングリコールジメチルエーテル
・ε−CL:イプシロンカプロラクトン
・MMPG:プロピレングリコールモノメチルエーテル
表2より、本発明のインク組成物は、沈降安定性と高い発光効率とを両立することが示された。また、インクジェット吐出が可能であり、インクジェットインキとして利用できることが示された。これにより、得られた印刷物は、高い発光効率を有するカラーフィルタ等に適用することができる。
<印刷物の読み込み評価1>
インク組成物I−1を用いてQRコード(登録商標)を白色のインクジェット記録用紙(富士フイルム社製画彩 写真仕上げPro)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を、可視光下でコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
<印刷物の読み込み評価2>
インク組成物I−1を用いてQRコード(登録商標)を黒色のカーボン用紙(ゼネラル社製ハイタッチカーボン紙 クロ)に印刷した。印刷されたQRコード(登録商標)を可視光下でコードリーダーを用いて読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができなかった。次に、印刷されたQRコード(登録商標)に波長365nmのブラックライトを照射したところ、照射部にQRコード(登録商標)のパターンが可視化された。可視化された状態のQRコード(登録商標)をコードリーダーで読み込もうとしたところ、QRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができた。
本発明のインク組成物を用いて特定の記録紙上に印刷されたQRコード(登録商標)は、可視光下ではQRコード(登録商標)に記録されている情報を読み取ることができないが、特定波長の光源で照射されている状態では情報を読み込むことができるため、高いセキュリティを有する印刷物の提供を可能にする。
本発明のインク組成物を用いて印刷された印刷物は、カラーフィルタ、光波長変換層、太陽電池、レーザー、蛍光標識、センサー等に好適に用いることができる。さらに、特定波長による蛍光応答を利用することによって、ブランドラベル、1次元バーコード、2次元バーコード、QRコード(登録商標)、シンボルマーク等にセキュリティ性を持たせることができ、光源の波長を切り替えることで多重化情報を読みこむことができる印刷物の提供が可能になる。また、本発明のインク組成物は、従来の蛍光体含有インキよりも発色性が高く、色域が広いという顕著な効果が期待できる。本発明のインク組成物を単体又は既存のCMYKのインキと組み合わせて用いることで、特定波長の光線照射によって絵柄を浮き出させたり、絵柄を変えたりすることも可能となる。

Claims (9)

  1. 量子ドット(A)、バインダー成分(B)及び光散乱粒子(C)を含むインク組成物であって、
    前記バインダー成分(B)が、樹脂又は重合性化合物を含有し、
    前記光散乱粒子(C)がフッ素を含有する、インク組成物。
  2. 前記量子ドット(A)及び前記バインダー成分(B)を含み、光散乱粒子(C)を含まない組成物と、前記光散乱粒子(C)との屈折率差が0.1以上である、請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記光散乱粒子(C)の平均粒子径が200nm以上600nm以下である、請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記バインダー成分(B)が重合性化合物を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載のインク組成物。
  5. さらに溶剤(D)を含み、かつ前記バインダー成分(B)が樹脂を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載のインク組成物。
  6. 前記樹脂の質量平均分子量が1,000〜50,000である、請求項5に記載のインク組成物。
  7. 前記量子ドット(A)が、2族元素、10族元素、11族元素、12族元素、13族元素、14族元素、15族元素及び16族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物半導体である、請求項1〜6いずれか1項に記載のインク組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載のインク組成物を含むインクジェットインキ。
  9. 請求項8に記載のインクジェットインキより形成される印刷物。
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