JP6221442B2 - 光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELともいう)装置の発光効率を高め
るために用いられる光散乱層用樹脂組成物、該光散乱層用樹脂組成物から形成された光散
乱層、並びに該光散乱層を具備する有機EL装置に関する。
有機EL素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入
された電子との再結合エネルギーにより蛍光性物質などが発光する原理を利用した自発光
素子である。有機EL素子は、照明装置あるいは表示装置の用途等において、近年活発な
研究開発が行われている。
本明細書において、「有機EL装置」とは、有機EL照明装置および有機EL表示装置等
の有機EL素子を用いた装置全般を指す。
例えば、有機EL表示装置は、従来のCRTやLCDと比較して、視認性および視野角
の面で利点を有すると共に、軽量化、薄層化およびフレキシブル性といった優れた特徴を
有している。しかしながら、一般に、発光層を含む有機層の屈折率が1.6〜2.1と空
気より高い。そのため、発光した光の界面での全反射あるいは干渉が起こり易く、光取り
出し効率は20%に満たず、大部分の光を損失している。
有機EL装置の基本構造は、透光性基板上に、透光性電極、発光層を含む少なくとも1
つの有機層、および背面電極を順次積層した構造である。
アクティブマトリクス型の有機EL装置では、例えば、上記有機層上に、上記背面電極を
なす複数の画素電極とそのスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)とがマト
リクス状に形成されたTFT基板が積層される。
有機層から発光した光は、直接、またはアルミニウムなどで形成される背面電極で反射
され、透光性基板から出射する。その際、発生した光は、透光性基板側に効率的に取り出
されることが好ましい。しかしながら、屈折率の異なる隣接層界面に入射する角度によっ
ては、光は全反射を起こし、素子内部を面方向に全反射しながら進む導波光となり、内部
で吸収されて減衰してしまい外部に取り出すことができない。この導波する光の割合は隣
接層の相対屈折率で決まる。一般的な有機EL装置の場合、屈折率nの関係は例えば、空
気(n=1.0)/透光性基板(n=1.5)/透光性電極(n=2.0)/有機層(n
=1.7)/背面電極である。この場合、大気(空気)に放出されず素子内部を導波する
光の割合は約81%となり、発光量全体の約19%しか有効に利用できないこととなる。
光の取り出し効率を向上させる手法として、透光性基板/透光性電極界面に光散乱層を設けることが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2004−296429 号公報 特開2005−190931 号公報 特開2009−110930 号公報 特開2012−069920 号公報
しかし、光散乱層は粒径が比較的大きい散乱粒子を含むため、散乱層表面の凹凸度合い(表面荒さ)が悪化することが多い。それにより散乱層上に形成する透光性電極の表面もそれに追従して表面が凹凸となり、ダークスポットや短絡の原因となる。このことを解決するためには、散乱層上に平坦層を形成することや層構成を工夫することによる改善が提案されている。(特許文献4参照)
しかし、複雑な工程を必要とすることや層構成が限定されてしまうことから、有機EL装置の形成においてデメリットが発生する。
そこで本発明では、散乱層自身の表面荒さを低減することで、散乱層上に形成される各層への影響を最小限に抑え、ダークスポットや短絡の発生をなくし、有機EL装置の寿命を長くすることを目的とする。
本発明の光散乱膜用感光性樹脂組成物は、平均一次粒子径が200〜800nmである光散乱粒子(B)と、一次粒子の短軸径が60nm以下である無機酸化物微粒子(C)と、特定の樹脂(A1)とを含むことにより、有機EL装置の光取出し効率向上のために透光性電極と透光性基板との間に設置する光散乱層として用いることが出来、光取り出し効率向上、透過率、現像性に優れた光散乱層用樹脂組成物、これを用いて形成された光散乱層、並びに、この光散乱層を具備する有機EL装置を提供することができる。
すなわち本発明は、樹脂(A)、光散乱粒子(B)、無機酸化物微粒子(C)、多官能モノマー(D)、および光重合開始剤(F)を含む光散乱膜用感光性樹脂組成物であって、
光散乱粒子(B)の平均一次粒子径が200〜800nmであり、
無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径が60nm以下であり、
樹脂(A)が、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)(但し(A2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂(a1)を含むことを特徴とする光散乱膜用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、多塩基酸無水物(A5)が、テトラヒドロ無水フタル酸または無水マレイン酸であることを特徴とする前記光散乱膜用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、樹脂(a1)が、350g/mol以上1000g/mol以下の二重結合当量を有することを特徴とする前記光散乱膜用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、光散乱粒子(B)が、樹脂粒子であることを特徴とする前記光散乱膜用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、金属酸化物微粒子(C)が酸化ジルコニアまたは酸化チタンであることを特徴とする前記光散乱膜用感光性樹脂組成物に関する。
また、本発明は、前記光散乱層用樹脂組成物を用いて形成された光散乱層に関する。
また、本発明は、光性基板上に、前記光散乱層と、透光性を有する第1の電極と、発光層を含む少なくとも1つの有機層と、光反射性を有する第2の電極とが順次積層された有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
また、本発明は、照明装置または表示装置である請求項6記載の有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
本発明によれば、有機EL装置の光取出し効率向上のために透光性電極と透光性基板との間に設置する光散乱層として用いることが出来、平坦性、ダークスポット低減、透過率、現像性に優れた光散乱層用樹脂組成物、これを用いて形成された光散乱層、並びに、この光散乱層を具備する有機EL装置を提供することができる。
ボトム・エミッション構造のEL素子の模式断面図 薄膜印刷装置の模式断面図
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容
に特定されない。
「光散乱膜用感光性樹脂組成物」
本発明の光散乱膜用感光性樹脂組成物は、樹脂(A)、光散乱粒子(B)、無機酸化物微粒子(C)、多官能モノマー(D)、および光重合開始剤(F)を含む光散乱膜用感光性樹脂組成物であって、
光散乱粒子(B)の平均一次粒子径が200〜800nmであり、
無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径が60nm以下であり、
樹脂(A)が、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)(但し(A2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂(a1)である。
<樹脂(A)>
本発明の樹脂(A)は少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)(但し(A2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂(a1)を含む。樹脂(a1)を含むことにより、平坦性に優れ、ダークスポット発生が少なく、かつ現像性に優れた感光性樹脂組成物を得ることが出来る。
《樹脂(a1)》
樹脂(a1)は、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)(但し(A2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂である。
樹脂(a1)の含有量は、成膜性の観点から、感光性樹脂組成物中、5〜70重量%であることが好ましく、10〜60重量%がより好ましい。
<少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)>
少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)としては、下記(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)が挙げられ、1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(A2)以外のものである。
(イ) 一般式(11)または一般式(12)に示す芳香族環基を有する化合物:
一般式(11):


一般式(12):


[一般式(11)及び(12)中、R1は、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
(ロ) 化学式(14)または化学式(15)に示す脂肪族環基を有する化合物:
化学式(14):

化学式(15):
(ハ) 下記一般式(40)で示される化合物(f1):
一般式(40):


[一般式(40)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。]
(ニ)その他の化合物(f2)
以下に、化合物(イ)、化合物(ロ)、化合物(ハ)及び化合物(ニ)について、順に説明する。本明細書においては、各化合物の含有重量%は各化合物を樹脂(A1)にもたらす前駆体の重量%である。
[化合物(イ)]
化合物(イ)は、一般式(11)及び一般式(12)に示す芳香族環基による環状構造を有し、硬度向上に寄与する。樹脂(a1)の全構成単位の重量を基準として、構成単位(イ)は、現像性の観点から、2〜80重量%であることが好ましい。2重量%未満では、現像性が低下する。また、80重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く生産性が悪化する。
一般式(11):



一般式(12):


[一般式(11)及び(12)中、R1は、水素原子、またはベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基である。]
化合物(イ)の前駆体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、インデン、アセチルナフテン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー・オリゴマー、または一般式(13)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
一般式(13):


(一般式(13)中、R6は、水素原子、またはメチル基であり、R7は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、R8は、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であり、nは、1〜15の整数である。)
一般式(13)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
第一工業製薬社製ニューフロンティア CEA〔EO変性クレゾールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:メチル基、n=1または2、〕、NP−2〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n=2〕、N−177E〔n−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n=16〜17〕、若しくはPHE〔フェノキシエチルアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、
ダイセル社製、IRR169〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 1mol)、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、またはEbecryl110〔エトキシ化フェニルアクリレート(EO 2mol)、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=2〕、
東亞合成社製アロニックス M−101A〔フェノールEO変性(n≒2)アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒2〕、M−102〔フェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒4〕、M−110〔パラクミルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:パラクミル、n≒1〕、M−111〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒1)アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n≒1〕、M−113〔n−ノニルフェノールEO変性(n≒4)アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはM−117〔n−ノニルフェノールPO変性(n≒2.5)アクリレート、R6:水素原子、R7:プロピレン基、R8:n−ノニル基、n≒2.5〕、
共栄社製ライトアクリレート PO−A〔フェノキシエチルアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、P−200A〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒2〕、NP−4EA〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n≒4〕、若しくはNP−8EA〔〔ノニルフェノールEO付加物アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基、n≒8〕、またはライトエステル PO〔フェノキシエチルメタクリレート、R6:メチル基、R7:プロピレン基、R8:水素原子、n=1〕、
日油社製ブレンマー ANE−300〔ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:−ノニル基、n≒5〕、ANP−300〔ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:プロピレン基、R8:n−ノニル基、n≒5〕、43ANEP−500〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基及びプロピレン基、R8:−ノニル基、n≒5+5〕、70ANEP−550〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基及びプロピレン基、R8:n−ノニル基、n≒9+3〕、75ANEP−600〔ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−アクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基及びプロピレン基、R8:n−ノニル基、n≒5+2〕、AAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、AAE−300〔フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒5.5〕、PAE−50〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R6:メチル基、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、PAE−100〔フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、R6:メチル基、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=2〕、若しくは43PAPE−600B〔フェノキシ−ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−メタクリレート、R6:メチル基、R7:エチレン基及びプロピレン基、R8:水素原子、n≒6+6〕、
新中村化学社製NK ESTER AMP−10G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO1mol)、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、AMP−20G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO2mol)、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒2〕、AMP−60G〔フェノキシエチレングリコールアクリレート(EO6mol)、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n≒6〕、PHE−1G〔フェノキシエチレングリコールメタクリレート(EO1mol)、R6:メチル基、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、
大阪有機化学社製ビスコート #192〔フェノキシエチルアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕、あるいは、
日本化薬製SR−339A〔2−フェノキシエチレングリコールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:水素原子、n=1〕,若しくはSR−504(エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、R6:水素原子、R7:エチレン基、R8:n−ノニル基〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(13)で示されるエチレン性不飽和単量体において、R8のアルキル基の炭素数は1〜20であるが、より好ましくは1〜10である。アルキル基は、直鎖状アルキル基だけでなく、分岐状アルキル基及び置換基としてベンゼン環を有するアルキル基も含まれる。R8のアルキル基の炭素数が1〜10のときは基材への密着性が高まるが、炭素数が10を超えると、長いアルキル基が、基材との密着を妨げる傾向を示す。この傾向は、R8のアルキル基の炭素鎖長が長くなるに従い顕著となり、炭素数が20を超えると、基材との密着が極端に低下する。R8で表されるベンゼン環を有するアルキル基としては、ベンジル基、2−フェニル(イソ)プロピル基等を挙げることができる。側鎖ベンゼン環が一つ増えることによって、現像性が向上する。
一般式(13)で示されるエチレン性不飽和単量体において、nは、1〜15の整数が好ましい。nが15を越えると、親水性が増して溶媒和の効果が小さくなると共に、樹脂(A1)の粘度が高くなり、これを用いた感光性組成物の粘度も高くなり、流動性に影響を与える場合がある。溶媒和の観点から、nは、1〜4が特に好ましい。
化合物(イ)の前駆体としては、他の前駆体との共重合性の観点、及び耐薬品性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、または一般式(7)で示されるエチレン性不飽和単量体が好ましい。これらは、樹脂(A)の側鎖にベンゼン環を導入できるので特に好ましい。樹脂(A)の側鎖にベンゼン環を導入することよって、側鎖ベンゼン環が現像性改善に効果がある。更に、ベンジルアクリレート及び/またはベンジルメタクリレートは、現像残渣の観点から、最も好ましい。
[化合物(ロ)]
化合物(ロ)は、化学式(14)及び化学式(15)に示す脂肪族環基による環状構造を有し、硬度を付与する、及び、アルカリ現像液に対する疎水性部位として機能する。樹脂(A)の全構成化合物の重量を基準として、化合物(ロ)は、現像性と硬度付与の観点から、2〜40重量%であることが好ましい。2重量%未満では、現像性と硬度が不足し、高品質なタッチパネル用塗膜が得られないといった問題が生じる場合がある。また、現像時の疎水性が不足するために画素部のパターン剥れや欠けの問題が生じる。40重量%を越えると、アルカリ現像液への溶解速度が遅くなり、現像時間が長く塗膜の生産性が悪くなる。
化学式(14):

化学式(15):

化合物(ロ)の前駆体としては、一般式(16)に示すエチレン性不飽和単量体、または一般式(17)に示すエチレン性不飽和単量体等が挙げられる。
一般式(16):

一般式(17):


[一般式(16)、一般式(17)中、R9は、水素原子、またはメチル基であり、R10は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、mは、1〜15の整数である。]
一般式(16)に示されるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−513A〔ジシクロペンタニルアクリレート、R9:水素原子、R10:なし、m=0〕、またはFA−513M〔ジシクロペンタニルメタクリレート、R9:メチル、R10:なし、m=0〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
一般式(17)に示される不飽和エチレン製単量体としては、例えば、
日立化成社製ファンクリル FA−511A〔ジシクロペンテニルアクリレート、R9:水素原子、R10:なし、m=0〕、FA−512A〔ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、R9:水素原子、R10:エチレン基、m=1〕、FA−512M〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R9:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕、またはFA−512MT〔ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、R9:メチル基、R10:エチレン基、m=1〕等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
[化合物(ハ)]
化合物(ハ)は、下記一般式(40)で表わされる化合物である。
一般式(40):


[一般式(40)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。]
一般式(40)中、R21およびR22で表される、置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。なお、R21およびR22は、同種の炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。
化合物(ハ)の具体例としては、例えば、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましく、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
樹脂(a1)を得る際の単量体成分中における化合物(ハ)の割合は、特に制限されないが、全単量体成分中2〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、さらに好ましくは5〜50重量%であるのがよい。化合物(ハ)の量が多すぎると共重合の際、低分子量のものを得ることが困難になったり、あるいはゲル化し易くなったりするおそれがあり、一方、少なすぎると、透明性や耐熱性などの塗膜性能が不充分となるおそれがある。
[化合物(ニ)]
化合物(ニ)は、化合物(イ)、(ロ)、(ハ)以外のその他のエチレン性不飽和単量体であって、化合物(イ)、(ロ)、(ハ)の前駆体であるエチレン性不飽和単量体と共重合可能であればとくに制限は無い。なかでも、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、側鎖型環状エーテル含有単量体が好ましい。
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
側鎖型環状エーテル含有単量体としては、たとえば、テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格、ラクトン骨格の郡から選ばれる少なくとも1つの骨格を含有する不飽和化合物である。
テトラヒドロフラン骨格としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフラン−3−イルエステルなど;
フラン骨格としては、2−メチル−5−(3−フリル)−1−ペンテン−3−オン、フルフリル(メタ)アクリレート、1−フラン−2−ブチル−3−エン−2−オン、1−フラン−2−ブチル−3−メトキシ−3−エン−2−オン、6−(2−フリル)−2−メチル−1−ヘキセン−3−オン、6−フラン−2−イル−ヘキシ−1−エン−3−オン、アクリル酸2−フラン−2−イル−1−メチル−エチルエステル、6−(2−フリル)−6−メチル−1−ヘプテン−3−オンなど;
テトラヒドロピラン骨格としては、(テトラヒドロピラン−2−イル)メチルメタクリレート、2,6−ジメチル−8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−オクト−1−エン−3−オン、2−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルエステル、1−(テトラヒドロピラン−2−オキシ)−ブチル−3−エン−2−オンなど;
ピラン骨格としては、4−(1,4−ジオキサ−5−オキソ−6−ヘプテニル)−6−メチル−2−ピロン、4−(1,5−ジオキサ−6−オキソ−7−オクテニル)−6−メチル−2−ピロンなど;
ラクトン骨格としては、2−プロペン酸2−メチル−テトラヒドロ−2−オキソ−3−フラニルエステル、2−プロペン酸2−メチル−7−オキソ−6−オクサビシクロ[3.2.1]オクト−2−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−7−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−テトラヒドロ−2−オキソ−2H−ピラン−3−イルエステル、2−プロペン酸(テトラヒドロ−5−オキソ−2−フラニル)メチルエステル、2−プロペン酸ヘキサヒドロ−2−オキソ−2,6−メタノフロ[3,2−b]−6−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−(テトラヒドロ−5−オキソ−3−フラニル)エチルエステル、2−プロペン酸2−メチル−デカヒドロ−8−オキソ−5,9−メタノ−2H−フロ[3,4−g]−1−ベンゾピラン−2−イルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−[(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イル)オキシ]エチルエステル、2−プロペン酸3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2−オキソ−3−フラニル)オキシ]プロピルエステル、2−プロペン酸2−メチル−2−オキシ−1−オクサスピロ[4.5]デク−8−イルエステルなどが挙げられる。
これらのうちテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが着色、入手性の点から好ましい。これら側鎖型環状エーテル含有単量体は単独で用いても2種以上を複合して用いても構わない。
樹脂(a1)を得る際の単量体成分中における前記側鎖型環状エーテル含有単量体(f2−3)の割合は、特に制限されないが、全単量体成分中10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%であるのがよい。側鎖型環状エーテル含有単量体の量が多すぎると、親水性が強くなりすぎてアルカリ現像時に表面が白化したり、パターンが欠けたり、基材への密着性が低下し易くなったりするおそれがあり、一方、少なすぎると、耐熱性などの性能が不充分となる恐れがある。
その他の共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレンが、透明性が良好で、耐熱性を損ないにくい点で好ましい。これら共重合可能な他の単量体は、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
前記単量体成分の重合反応の方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。なお、重合温度や重合濃度(重合濃度=[単量体成分の全重量/(単量体成分の全重量+溶媒重量)]×100とする)は、使用する単量体成分の種類や比率、目標とするポリマーの分子量によって異なるが、好ましくは、重合温度40〜150℃、重合濃度5〜50%とするのがよく、さらに好ましくは、重合温度60〜130℃、重合濃度10〜40%とするのがよい。
樹脂(A)は、前記化合物(イ)〜(ニ)の中のような少なくとも1種以上の不飽和結合を有する化合物(A1)、後述する(A1)以外の1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(A2)を共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる
<1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(A2)>
1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(A2)としては、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体が挙げられ、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
<不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)>
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
<多塩基酸無水物(A5)>
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、ラジカル重合性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にラジカル重合性二重結合を増やすことができる。
樹脂(a1)の二重結合当量は、350g/mol以上1300g/mol以下であることが好ましく、350g/mol以上1000g/mol以下であることが最も好ましい。
樹脂(a1)の二重結合当量が1300g/molより大きいと現像速度が遅くなり、仮にパターニングが出来たとしても残渣が多い塗膜となってしまう。二重結合当量が350g/mol未満であると、架橋成分が多すぎて安定性が悪かったり、塗膜が脆くなったりしてしまう。
また、樹脂(a1)の平均分子量Mwは、5000以上20000以下であることが好ましく、5000以上15000以下であることが最も好ましい。樹脂(a1)の平均分子量Mwが20000より大きい時は現像速度が遅くなり塗膜に残渣が残るために好ましくなく、5000未満の時は耐薬品性が悪くなるため好ましくない。
《その他の樹脂(A2)》
本発明の感光性組成物は、さらにその他の樹脂を含んでも良い。その他の樹脂(A2)が共重合体である場合は、前記化合物を共重合成分として含まないものや、前記合成方法によらない方法により合成される樹脂が相当する。例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させて得られる樹脂などである。
その他の樹脂(A2)としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂が好ましい。その他の樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム
系樹脂、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、石油樹脂、カゼイン、セラック、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
熱硬化性樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、乾性油、合成乾性油、等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。前記熱可塑性樹脂の熱架橋剤として、組み合わせても使用できる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。しかし、必ずしもこれらに限定されるものではない。
<光散乱粒子(B)>
本発明の光散乱膜用感光性樹脂組成物において、光散乱粒子(B)は平均一次粒子径が200nm以上800nm以下である。
光散乱粒子(B)の平均一次粒子径が200nm未満であると、充分な散乱効果が現れない上に、バインダー組成物の屈折率に影響を与えてしまうため、好ましくない場合がある。また、800nmより大きいと、散乱強度(ヘイズ値)が高くても散乱角度が狭くなるため、全反射に有効な散乱が得られず、取り出し効率が低くなったり、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり色調が変化しやすく、好ましくない場合がある。より好ましくは、250nm〜500nmである。
(光散乱粒子(B)平均一次粒子径測定)
本発明において、光散乱粒子(B)の「平均一次粒子径」とは、TEM(透過型電子顕微鏡)を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定することができる。測定方法として具体的には、個々の光散乱粒子(B)の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその一次粒子の平均一次粒子径とした。
なお、樹脂粒子の場合には合成時に溶剤を含むため、100℃の真空乾燥機にて1時間乾燥し、溶剤を飛ばしてから粒子径を観測した。
光散乱粒子(B)は、有機EL装置内で全反射により導波している光を散乱し、取り出す効果を有するものであれば特に限定されず、有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、およびベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド縮合物ビーズ等が用いられる。無機粒子としては、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、および酸化アンチモン(Sb23)等が用いられる。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
光散乱粒子(B)は、予め溶剤に分散した分散液を用いることが好ましい。
分散方法としては、光散乱粒子(B)の表面状態に合わせた分散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。
分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスP Y 」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」および「ウルトラアペックミル」)等が使用できる。
分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、およびポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。
分散に関しては、2種類以上の分散機、または大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用い、段階的に実施しても差し支えない。
また、光散乱粒子(B)の分散液の分散粒子径は、200nm以上800nm以下であることが好ましい。
分散粒子径が200nm未満であると、充分な散乱効果が現れない上に、バインダー組成物の屈折率に影響を与えてしまうため、好ましくない場合がある。また、800nmより大きいと、散乱強度(ヘイズ値)が高くても散乱角度が狭くなるため、全反射に有効な散乱が得られず、取り出し効率が低くなったり、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり色調が変化しやすく、好ましくない場合がある。より好ましくは、250nm以上500nm以下である。
(光散乱粒子(B)分散液の分散粒子径測定)
光散乱粒子(B)分散液の平均粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定することができる。具体的には、固形分重量%濃度を20%に調節した光散乱粒子分散液を、分散液と同じ溶媒で満たしたセル内へ数滴たらし、信号レベルが最適値になった濃度で測定することができる。
光散乱粒子(B)分散液の粒度分布としては、変動係数が30%以下であることが好ましい。「変動係数」とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値の百分率で表されるものであり、平均粒子径に対するばらつきの大きさの指標となる。
変動係数が30%より大きいと、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり、色調
が変化しやすいため、好ましくない場合がある。より好ましくは変動係数が20%以下で
ある。
光散乱粒子(B)分散液の平均粒子径および粒度分布は、無機粒子の場合は分散条件、例えば分散機、分散媒、分散時間、および分散剤等を適宜調整することによって好適な範囲に調整することが可能である。また、有機粒子の場合は、重合温度、および重合組成等の合成条件、あるいは、分散機、分散媒、分散時間、および分散剤等の分散条件によって調整できる。
光散乱粒子(B)の使用量は、光散乱層用樹脂組成物の固形分中、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。1重量%未満では充分な散乱効果が現れないおそれがあり、30重量%を超えると粒子同士が凝集しやすく、光散乱層の表面粗さが大きくなるおそれがある。
光散乱粒子(B)の屈折率としては例えば、メタクリル酸エステル共重合体ビーズ:1.45〜1.60、アクリル−スチレン共重合体ビーズ:1.5〜1.6、メラミン樹脂ビーズ:1.65、SiO2:1.45、ZrO2:2.2、およびTiO2:2.5である。好ましくはバインダー組成物との屈折率差が大きく出来るトリフルオロエチルメタクリレート共重合体ビーズ:1.46、およびTiO2:2.5である。
本明細書において、「バインダー組成物の屈折率」は、アッベ屈折計により実測した値
である。
<金属酸化物微粒子(C)>
本発明の感光性樹脂組成物は、金属酸化物微粒子(C)を含む。これにより、感光性樹脂組成物を任意の屈折率に調整することが出来る。
本発明で用いられる金属酸化物微粒子(C)は、可視光域において1.8〜2.8の屈折率を有することが望ましい。
本明細書において、「金属酸化物微粒子(C)の屈折率」とは、金属酸化物微粒子を構成する材料のバルクの屈折率を意味する。バルク材料の屈折率は、アッベ屈折率計あるいはV ブロック方式の屈折率計を用いて測定することができる。
金属酸化物微粒子(C)としては、具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウムスズ(ITO)、および酸化亜鉛(ZnO)から成る群から選択された少なくとも1種の材料から成る粒子が挙げられる。
(無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の粒子径測定)
本発明でいう無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径は、凝集を加味しない個々の粒子径のことを示し、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定することができる。測定方法として具体的には、個々の酸化チタン粒子(C)の一次粒子の短軸径を計測し、平均をその一次粒子の短軸径とした。
同様にして無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の長軸径も計測することができる。
なお、アスペクト比が0.9〜1.1の範囲内であり、形状がほぼ球状である場合には、個々の無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径と長軸径の平均値をその一次粒子の短軸径とした。
本発明における無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径は、60nm以下である。一次粒子の短軸径が60nmを超えると、塗膜としたときの透明性が低下したり、表面粗さが悪化する場合がある。一次粒子の短軸径が5nm未満の場合には入手性の観点から好ましくなく、また凝集力が高いために安定な分散体を得ることが難しい。
無機酸化物微粒子(C)の短軸径と長軸径のアスペクト比は、1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。アスペクト比が10を超えると、酸化チタン分散液の粒径分布が広くなり、透過率が下がりやすいため好ましくない場合がある。
金属酸化物微粒子(C)は、粉体をそのまま用いることができる他、予め溶剤に分散した分散液を用いても構わない。中でも、平均粒子径が200nm以下の分散状態を保つた
めに、分散液を用いることが好ましい。
分散方法は、光散乱粒子(B)と同様、金属酸化物微粒子(C)の表面状態に合わせた分
散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。
金属酸化物微粒子(C)としては、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(Zr
2)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化スズ(SnO2)が好ましい。酸化チタン(T
iO2)、および酸化ジルコニウム(ZrO2)が、透光性、分散性、耐候性、および耐
光性等の観点から特に好ましい。
樹脂(A)と金属酸化物微粒子(C)とを含有するバインダー組成物は、可視光波長領
域、光路長1mmにおける光透過率が80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上
である。この光透過率は、感光性樹脂組成物における金属酸化物微粒子(C)の含有率に
より異なる。
金属酸化物微粒子(C)の屈折率は通常1.8〜2.5であるから、金属酸化物微粒子
(C)をバインダー組成物中に分散させることにより、樹脂(A)の屈折率1.4〜1.
5程度と比べて、光散乱層全体の屈折率を向上させることが可能である。
本発明の光散乱層用樹脂組成物で用いられる金属酸化物微粒子(C)の使用量は、光散乱層用樹脂組成物中、80重量%以下であるのが好ましく、60重量%以下がより好ましい。60重量%を超えると、粒子同士が凝集したり、樹脂(A)量が少なくなるため塗膜が脆くなったりするおそれがある
本発明の金属酸化物微粒子(C)が酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)である場合は、表面被膜処理がされた粒子であり、平均一次粒子径が5nm〜60nmであることが好ましい。このような粒子を用いることで、優れた光学特性(透明性、屈折率)、光取り出し効率を有する塗膜を形成することができる。
酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)は、有機化合物や有機金属化合物などで表面被膜処理されていることが好ましい。表面被膜処理の方法としては、前処理法とインテグラルブレンド法があげられるが、本発明では前処理法が好ましい。前処理法には湿式法、乾式法があり、湿式法には水処理法と溶媒処理法がある。
水処理法には、直接溶解法、エマルジョン法およびアミンアダクト法などがある。湿式法は、有機溶剤や水に対して表面処理剤を溶解または懸濁させ、これに酸化チタン、酸化ジルコニウムを添加し、このような溶液を数分から1時間程度撹拌して混合し、場合によっては加熱処理を施した後に、濾過などの工程を経て乾燥し、このようにして酸化チタン、酸化ジルコニウム表面を被覆する方法である。なお、有機溶剤や水に対して酸化チタン、酸化ジルコニウムを分散した懸濁液に表面処理剤を添加しても構わない。表面処理剤としては、直接溶解法では水に溶解する品種、エマルジョン法では水中乳化可能型の品種、アミンアダクト法ではリン酸残基を有する品種が適用できる。アミンアダクト法では、トリアルキルアミンやトリアルキロールアミンなどの3級アミン
を少量添加することによって調整液をpH=7〜10にし、かつ中和発熱反応による液温の上昇を抑えるために冷却しながら処理することが好ましく、その他の工程は他の湿式法と同様に処理することで表面被覆が可能である。湿式法において使用可能な表面処理剤としては、使用する有機溶剤や水に溶解したり懸濁可能なものに限られる。
分散溶媒としては水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコールなどの多価アルコール類およびその誘導体;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルジメチルアセトアミドなどのケトン類;ジメチルエーテル、THF、等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;トルエン、キシレンなどの非極性溶媒;2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどのアクリレート類その他一般の有機溶媒が使用できる。分散溶媒の量は通常粒子100重量部に対して100〜2000重量部である。
乾式法は、酸化チタン、酸化ジルコニウムに直接表面処理剤を添加し、ミキサで撹拌し混合することによって表面を被覆する方法である。一般的に、酸化チタン、酸化ジルコニウム表面の水分を除去するために予備乾燥を行うことが好ましい。たとえば、ヘンシェルミキサなどの混合機を用いて数十rpm(1分間当たりの回転数)で100℃前後の温度にて予備乾燥を行った後、表面処理剤を直接もしくは有機溶剤や水に溶解もしくは分散し混合した溶液を添加する。その際、乾燥空気や窒素ガスで噴霧処理することによって、より均一に混合することができる。
インテグラルブレンド法は、塗料の分野で一般的に使用される方法であり、酸化チタンと樹脂、または酸化ジルコニウムと樹脂とを混練する際に表面処理剤を添加して表面を被覆する。
本発明の酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の表面被膜処理に使用できる表面処理剤としては、有機化合物及び有機金属化合物の少なくとも1つが用いられる。これら化合物の具体例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの各種のシリコーンオイル、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライドなどの各種のアルキルシラン、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロアルキルシラン、特にビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤に代表される、シラン系、チタン系、アルミ系、アルミナ−ジルコニア系などの各金属系カップリング剤の有機金属化合物、イソステアリン酸、ステアリン酸などの脂肪酸やそれらの金属塩、さらに界面活性剤などの有機化合物いずれの処理剤も使用可能であり、これらを単独、または二種以上を混合して用いることができる。特にこれを含むコーティング組成物から得る塗膜に硬度、密着性、耐擦傷性を発現させる場合、表面処理はアルミニウム、ケイ素、ジルコニウムを含む無機化合物による処理を含むことが好ましく、特に水酸化アルミニウムで被覆されているものが特に好ましい。
表面被膜処理後の酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)中の当該表面処理剤の含有量は、5〜20重量%であることが好ましい。表面処理剤の含有量が5重量%未満である場合には、酸化チタン粒子の凝集を防ぐための効果が得られにくく、また酸化チタンの触媒効果を低減することなく含まれる樹脂が分解されることとなる。一方、表面処理剤の含有量が20重量%より多い場合には、表面被膜処理後の酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子に含まれる高屈折率成分が相対的に少なくなり、感光性樹脂組成物の屈折率を充分に上がることが出来ない。
一般に、これら微細な粉体粒子は凝集力が非常に強く、一次粒子がクラスター状に凝集
し二次凝集体を形成している。従って、これら表面被膜処理されている凝集粉体をそのまま分散媒に添加し、撹拌混合するだけでは分散液にはならない。酸化チタンまたは酸化ジルコニウムの分散液をなすには、それらの粉体に機械的にエネルギーを加え、粒子間の凝集を解きほぐし、粒子本来の一次粒径に近いところまで細かく粉砕することによって、コーティング塗膜とした時の可視光透明性を発現することができるものである。その際には後述するように、分散剤を添加することが分散安定化のために好ましい。本発明では、機械的エネルギーを加えて凝集をときほぐす際に使用する分散剤は、当該表面処理剤には含まないこととする。
機械的な粉砕分散装置としては、ビーズミル、ジェットミル、アトライター、サンドミル等公知なものが使用可能であるが、特に、ビーズを用いたビーズミルを使用した場合、酸化チタン、酸化ジルコニウムの分散液が短時間で得られやすく、好ましい。ビーズミルの具体例としては、アシザワファインテック(株)製ミニゼータ、ラボスター、スターミルLMZ、スターミルZRS、寿工業(株)製ウルトラアペックスミル、アイメックス(株)製 マックスビスコミル等が使用可能である。分散時間は、使用されるビーズ径、ビーズ材質、ビーズミルの周速などにより変わるが、一般に0.03〜0.5mm程度のビーズ径で、アルミナ、ジルコニア等のセラミックビーズの使用が適する。ビーズミルでの粉砕時間は20分〜5時間程度、より好ましくは30分〜3時間程度が好ましい。
分散媒は、水、有機溶剤問わず使用可能であるが、より好ましくは水、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ダ
イアセトンアルコール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの極性溶剤、
及びそれらの混合溶剤が好ましい。
粉砕分散時には、分散安定性の観点から分散剤を添加する場合がある。
分散剤には樹脂型分散剤やシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、変性シリコーンオイル等のシリコーン系分散剤などの公知のものを使用することが可能である
分散剤は、無機粉体表面に吸着配向するような有機官能基を有しており、粉砕にて微細化した微粒子を保護する役割を担うため、分散安定性の高い分散液を調製する際には必須である。有機官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、イミノ基、及びこれらの塩、アミド基、アセチルアセトナート基が挙げられる。特にカルボキシル基、リン酸基、及びこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩基が好ましい。
このような官能基を有する化合物でも、より分散性向上に貢献するものとして、これら官能基を側鎖に有する樹脂型分散剤であることが好ましい。具体的な商品名としては、Disperbyk182、2155(ビックケミー社製)、などが使用可能である。
さらには、(メタ)アクリル酸、リン酸基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、スルホン酸基含有スチレン等の官能性モノマーを少なくとも1種以上含有するような、酸性基を含む樹脂型分散剤が好ましい。酸性基を含む樹脂型分散剤を使用することで、酸化チタン、酸化ジルコニウムの表面が比較的塩基性寄りであることから分散時に吸着しやすく安定性が良好となり、また感光性樹脂組成物に現像性を付与することが出来る。
具体的な商品名としては、ポイス520、521、532A、2100(花王(株)製)、Disperbyk102、111、180、190(ビックケミー社製)、アロンT−40(東亞合成(株)製)などが使用可能である。
これら分散剤は、粉体と分散媒をビーズミルで機械的に粉砕分散する際に共存させるのが好ましい。粉体と分散媒だけで機械的粉砕分散したのち、分散剤を添加した場合、目標とする分散液の平均粒径まで凝集が解けないことがある。
分散液中の酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の固形分濃度としては、1〜80重量%、より好ましくは2〜65重量%が好ましい。1重量%より少ない量では感光性樹脂組成物の全固形分濃度は小さすぎて、適当な膜厚の塗膜が得られないため不適である。80重量%を超えると、高粘度化するなどのハンドリング上の不便が生じやすいため不適である。なお、上記分散剤の使用量は、酸化チタン、酸化ジルコニウム固形分100重量部に対して、分散剤有効成分で0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部が好ましい。0.5重量部より少ないと、分散剤添加効果が現れないため適さない。30重量部よりも多いと過剰な分散剤が塗膜の耐擦傷性、耐候性の低下をもたらす上に、感光性樹脂組成物が十分な屈折率を得ることが出来ず不適である。
酸化チタンの場合、結晶形として、ルチル、アナターゼ、ブルッカイトの3種類が存在するが、本発明では、屈折率の観点からルチル型が好ましい。
酸化チタン粒子(C)は、表面処理前の酸化チタンを前述した方法にて表面処理して用いるのでもよく、平均一次粒子径が5nm〜60nmである市販品の表面被膜処理後の酸化チタン粒子を用いても良い。
以下に、本発明の短軸径が5nm〜60nmである酸化チタン粒子の市販品について例示する。
テイカ株式会社製
「MT−500SA」(平均一次粒子径:35nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−500T」(平均一次粒子径:35nm、Al(OH)3表面処理など)、
「SMT−500SAS」(平均一次粒子径:35nm、Al(OH)3表面処理など)、
「SMT−500SAM」(平均一次粒子径:35nm、Al(OH)3表面処理など)、
「SMT−100SAS」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MTY−100SAS」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−100SA」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−100AQ」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−100TV」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−100Z」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−150EX」(平均一次粒子径:15nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−100WP」(平均一次粒子径:15nm、シリカ表面処理など)、
「MT−05」(平均一次粒子径:10nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MTY−02」(平均一次粒子径:10nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MTY−110M3S」(平均一次粒子径:10nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−01」(平均一次粒子径:10nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MT−10EX」(平均一次粒子径:10nm、Al(OH)3表面処理など)、
「JMT−150IB」(平均一次粒子径:15nm、アルキルシラン表面処理など)、
「JMT−150AQ」(平均一次粒子径:15nm、アルキルシラン表面処理など)、
「JMT−150FI」(平均一次粒子径:15nm、アルキルシラン表面処理など)、
「JMT−150ANO」(平均一次粒子径:15nm、アルキルシラン表面処理など)、
石原産業株式会社製
「TTO−51A」(短軸径:10nm、長軸径:30nm、Al(OH)3表面処理)、
「TTO−51C」(短軸径:10nm、長軸径:30nm、Al(OH)3表面処理など)、
「TTO−55A」(短軸径:30nm、長軸径:50nm、Al(OH)3表面処理)、
「TTO−55C」(短軸径:30nm、長軸径:50nm、Al(OH)3表面処理など)、
「TTO−S−2」(短軸径:15nm、長軸径:75nm、Al(OH)3表面処理など)、
「MPT−136」(短軸径:15nm、長軸径:75nm、Al(OH)3表面処理など)、
「TTO−V−3」(短軸径:10nm、長軸径:60nm、Al(OH)3表面処理など)、
チタン工業株式会社製
「ST−455」(短軸径:20nm、長軸径:120nm、Al(OH)3表面処理など)、
「ST−455WS」(短軸径:20nm、長軸径:120nm、シリカ表面処理)、
「ST−485SA15」(短軸径:8nm、長軸径:100nm、Al(OH)3表面処理など)、
日本アエロジル株式会社製
「二酸化チタン P25」(平均一次粒子径:21nm)、
「二酸化チタン T805」(平均一次粒子径:21nm)
が挙げられる
この中でも、Al(OH)3表面処理が施されている酸化チタンが好ましい。
ジルコニアの酸化物微粒子分散体として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製ZR−40BL、ZR−30BS、ZR−30AL、ZR−30AH等、住友大阪セメント(株)製HXU−110JCを挙げることができる。その他、ジルコニアの酸化物微粒子分散液は特許4692630号公報記載の方法等で得ることができる。
また、本発明の酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の他に、その他の無機酸化物微粒子を併用してもよい。
その他の無機酸化物微粒子としては、下記のものが挙げられる。
ケイ素の酸化物微粒子分散体として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、IPA−ST−UP、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−L、MIBK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等、触媒化成工業(株)製中空シリカCS60−IPA等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
アルミニウムの酸化物微粒子分散体として市販されている商品としては、日産化学工業(株)製アルミナゾル−100、アルミナゾル−200、アルミナゾル−520、住友大阪セメント(株)製AS−150I、AS−150Tが挙げられる。
その他、亜鉛等の酸化物微粒子分散体の市販品としては、シーアイ化成(株)製ナノテック等を挙げることができる。
(無機酸化物微粒子(C)の分散粒径)
無機酸化物微粒子(C)分散液の分散粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定することができる。固形分重量%濃度を20%に調節した光散乱粒子分散液を、分散液と同じ溶媒で満たしたセル内へ数滴たらし、信号レベルが最適値になった濃度で測定することができる。
本発明における無機酸化物微粒子(C)の分散粒径は10nm以上70nm以下であることが好ましい。平均一次粒子径が70nmを超えると、塗膜としたときの透明性が低下したり、表面粗さが悪化する場合がある。分散粒径が10nm未満の場合には安定性の観点から好ましくない。
無機酸化物微粒子(C)の含有量は、感光性樹脂組成物における固形分合計100重量%中45〜80重量%であることが好ましく、45〜70重量%がさらに好ましい。添加量が45重量%以上であれば、屈折率向上などの効果が高く、一方で80重量%以下である場合、現像性、透過率にも優れたものとすることができる。
<多官能モノマー(D)>
本発明の感光性樹脂組成物は、多官能モノマー(D)を含む。多官能モノマー(D)には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
多官能モノマー(D)の中でも、酸性基を有する多官能モノマー、または1分子中に7個以上のエチレン性二重不飽和結合を有する多官能モノマー(D1)が現像性に優れるために好ましい。
多官能モノマー(D)として例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
市販品では、M−350( HYPERLINK "http://www.toagosei.co.jp/business/acryl/products/aronix/index02#1b.html" \t "st" トリメチロールプロパンエチレンオキサイド 変性トリアクリレート)、M−450( HYPERLINK "http://www.toagosei.co.jp/business/acryl/products/aronix/index02#1b.html" \t "st" ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート)、M−402( HYPERLINK "http://www.toagosei.co.jp/business/acryl/products/aronix/index02#1b.html" \t "st" ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート)(以上東亜合成社製)、カヤラッドDPCA30(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ−ト)(以上日本化薬社製)などが挙げられる。
《酸性基を有する多官能モノマー》
また、酸性基を有する多官能モノマーを含むことが好ましく、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
また、下記一般式(18)により表わされる化合物も好ましく使用できる。
一般式(18):
(H2C=C(R51)COO)h−X−(OCOCH(R9)CH2S(R50)COOH)i
[一般式(18)中、R51は水素原子またはメチル基、R50は炭素数1〜12の炭化水素基、Xは(h+i)価の炭素数3〜60の有機基、hは2〜18の整数、iは1〜3の整数を示す。]
ここで、一般式(18)で表される化合物は、例えば、以下の方法により容易に得ることができる。
(1)Xで表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法
(2)Xで表される有機基を与える化合物をポリイソシアネート化合物で変性させた後、得られた化合物に水酸基を有するアクリレート化合物でアクリル化させた後、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法
(3)Xで表される有機基を与える化合物をアクリル酸とエステル化してアクリル化させた後、ポリイソシアネート化合物で変性させ、得られた化合物にメルカプト化合物を付加させる方法。
Xで表される有機基を与える化合物としては、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物、及びジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン変性物、ジペンタエリスリトールのポリイソシアネート変性物を挙げることができる。
メルカプト化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2-メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、o−メルカプト安息香酸、2−メルカプトニコチン酸、メルカプトコハク酸などが挙げられる。
《1分子中に7個以上のエチレン性二重不飽和結合を有する多官能モノマー(D1)》
1分子中に7個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーを含むことで、より現像性に優れるものとなるために好ましい。
7個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能単量体として例えば、下記一般式(2)で表される多官能単量体であることが好ましい。
なかでも、7〜16個のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーであることが好ましく、さらに7〜12個である場合がより好ましい。
7個以上のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマー(D1)としては、例えば、下記一般式(5)で表される多官能モノマーであることが好ましい。
一般式(5):

[一般式(5)において、nは0〜4の整数であり、R2はエーテル基、アルキレン基、トリレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、エステル基、および一般式(6)で表される構造を有する2価の基からなる群より選ばれるいずれかであり、R3は水素原子またはメチル基であり、R4はヒドロキシル基、カルボキシル基、および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかである。]
一般式(6):

[一般式(6)において、R5は脂肪族、脂環式または芳香族の構造を表す。]
一般式(5)で表される化合物の中でも、R2はエーテル基、または一般式(6)で表される構造を有する2価の基であることが、表面硬度と密着性において好ましい。
2がエーテル基であるものとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと四塩基酸二無水物を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと多官能エポキシ化合物を反応させて得られる化合物等を挙げることができる。
多官能イソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
また、四塩基酸二無水物の具体例としては、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテートモノアセテート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキシセンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
また、多官能エポキシ化合物の具体例としては、トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
一般式(5)においてR2がエーテル基である多官能性モノマーの中でも、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、またはペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらのなかでも、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、またはペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレートが最も好ましく、これらを混合して含むものであっても良い。
このような多官能モノマー(D1)として市販品では、例えば、ビスコート#802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、およびペンタペンタエリスリトールドデカアクリレートの混合物、大阪有機化学工業株式会社製)を挙げることができる。
5が、一般式(6)で表される構造を有する2価の基である場合、さらにn=1でかつR4が(メタ)アクリロイル基であれば、表面硬度の面でより好ましい。
このような多官能モノマー(D1)として市販品では、例えば、TO−2323、TO−2324、TO−2325、TO−2326、TO−2327及びTO−2328(東亜合成株式会社製)を挙げることができる。
多官能モノマー(D1)の含有量としては感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、5〜20重量%の量で用いることが好ましい。この場合、5重量%より多官能モノマー(D1)が少ないと、表面硬度アップや耐溶剤性付与という効果が得られず、20重量%より多いと、相対的に酸化チタン粒子や散乱粒子の添加量が減少し、高い屈折率を得ることが出来ない。より好ましくは、5〜15重量%である。
<光重合開始剤(F)>
本発明の感光性樹脂組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させて硬化膜を形成するため、またはフォトリソグラフィー法による塗膜を形成するために、光重合開始剤(F)を加えて調製することができる。
光重合開始剤(F)としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、またはイミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。 これらの光重合性化合物は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
なかでもアセトフェノン系光重合開始剤、およびオキシムエステル系光重合開始剤は、加熱工程時に黄変が少なく透過率が高くなることから、好ましい。アセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的にはイルガキュア907(BASF社製)、イルガキュア379(BASF社製)、イルガキュア379EG(BASF社製)などがある。
さらにそのなかでも、オキシムエステル系光重合開始剤は、感度が高く、添加量を少なくすることが出来ることがら、その分金属酸化物微粒子添加量を増やし屈折率を高くすることが出来ることから、特に好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。
オキシムエステル系光重合開始剤のなかでも、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9-エチル−6−(2−メチルベンゾイル) −9H−カルバゾール−3−イル] −,1−(o−アセチルオキシム))は、加熱工程時に黄変がより小さく、塗膜としての透過率が高く、特に波長400nm付近の透過率が高い感光性組成物を提供することができるため、より好ましい。これらはそれぞれを単独で用いても良く、ともに含んでいても良い。具体的には、イルガキュアOXE01(BASF社製)、イルガキュアOXE02(BASF社製)などである。
光重合開始剤(F)は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、0.5〜10重量%の量で用いることが好ましく、透過率の観点から0.5〜5重量%の量で用いることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
増感剤は、光重合開始剤(F)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量で用いることができる。
<酸化防止剤>
本発明の感光性樹脂組成物には酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、加熱工程を経ることによる黄変等による透過率の低下を抑制することができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の黄変を防止し、透過率の高い塗膜を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤が好ましい。フェノール系のなかでも特に、立体障害性の高いヒンダードフェノール系酸化防止剤がより好ましい。
[フェノール系酸化防止剤]
例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンなどが挙げられ、単独又は2種以上を使用してもよい。
なかでも、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナ
ミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートからなる群から選ばれるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、光硬化性の面から好ましい。
[リン系酸化防止剤]
リン系酸化防止剤としては、市販されているものを使用できるが、トリス[2,4−ジ−(tert)−ブチルフェニル]ホスフィントリス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2−[(4,6,9,11−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−2−イル)オキシ]エチル]アミン、亜りん酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
[イオウ系酸化防止剤]
イオウ系酸化防止剤は分子中にイオウを含む酸化防止剤である。このような含イオウ系酸化防止剤としては市販されているものを使用できるが、3,3'−チオジプロパン酸
ジオクタデシル、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジパルミチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、4,4’−チオビス−3−メチル−6−tert−ブチルフェノール、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられ、これらからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、これらは1種又は2種以上を使用することができる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
酸化防止剤の含有量は、感光性組成物の固形分合計100重量%中、0.1重量%以上4重量%未満であることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は、酸化防止剤が不足するため黄変防止効果が得られにくく、4重量%より多い場合には紫外線露光時に発生するラジカルを補足してしまうため、感光性樹脂組成物の硬化が不十分となることがある。
<有機溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物には有機溶剤を含有することができる。当該有機溶剤は、感光性樹脂組成物作製時に添加しても良いし、酸化チタン粒子(C)の分散体を作製する際に使用しても良い。
有機溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、n−オクタノール、n−ヘキサノール等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
これらの有機溶剤のなかでも溶解性、乾燥性の観点からプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含むことで、乾燥後の透明性に優れる塗膜を得ることができる。
さらに溶剤の乾燥性を考慮し、ダイコートや印刷法などにおいては160℃以上の高沸点溶剤を含むことが好ましく、たとえば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(bp213℃)、ジイソブチルケトン(bp168.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171.2℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(bp208.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(bp191.5℃)、エチレングリコールジブチルエーテル(bp203.3℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194.0℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp202.0℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(bp188.4℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(bp207.3℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(bp170.2℃)、プロピレングリコールジアセテート(bp190.0℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp187.2℃)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(bp197.8℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(bp212.0℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp175℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp206.3℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(bp169.7℃)、3−メトキシブチルアセテート(bp172.5℃)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(bp188℃)、γ−ブチロラクトン(bp204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp166.1℃)、N−メチルピロリドン(bp202℃)、p−クロロトルエン(bp162.0℃)、o−ジエチルベンゼン(bp183.4℃)、m−ジエチルベンゼン(bp181.1℃)、p−ジエチルベンゼン(bp183.8℃)、o−ジクロロベンゼン(bp180.5℃)、m−ジクロロベンゼン(bp173.0℃)、n−ブチルベンゼン(bp183.3℃)、sec−ブチルベンゼン(bp178.3℃)、tert−ブチルベンゼン(bp169.1℃)、シクロヘキサノール(bp161.1℃)、シクロヘキシルアセテート(bp173℃)、メチルシクロヘキサノール(bp174℃)等が挙げられる。
160℃以上の高沸点溶剤は溶剤の全量を基準として5〜50重量%が好ましい。
溶剤は、本発明の無機酸化物微粒子分散体の固形分合計100重量部に対して、100〜5000重量部の量で用いることができる。
<その他の成分>
本発明の感光性組成物には、その他必要に応じて、密着促進添加剤、単官能モノマー、界面活性剤、貯蔵安定剤、レベリング剤、光安定剤などを使用することもできる。
<密着促進添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに密着促進添加剤を含むことでガラス基材、ITOなどとの密着性が向上するために好ましい。
密着促進添加剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
中でもシラン系の添加剤を含むとガラス基材、ITOなどとの密着性が向上するため好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
密着促進添加剤は、感光性樹脂組成物の固形分の合計100重量%中、0.1〜10重量%の量で用いることが好ましい。密着性の観点から0.1重量%未満では密着促進添加剤量が少ないために密着性改善効果が得られにくく、10重量%を超える場合は感光性樹脂組成物中の樹脂や多官能単量体、光重合開始剤などが相対的に減少するため、密着性や表面硬度などの特性が悪化する傾向がある。
[貯蔵安定剤]
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性樹脂組成物の合計100重量%中、0.1〜5重量%の量で用いることができる。
[レベリング剤]
本発明の感光性樹脂組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、感光性樹脂組成物の合計100重量%中、0.003〜0.5重量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<金属酸化物微粒子分散体、および感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の金属酸化物微粒子(C)の分散体は、平均一次粒子径が100nm以下である金属酸化物微粒子(C)を、分散剤、樹脂などの無機酸化物微粒子担体および/または溶剤中に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、またはアトライター等の各種分散手段を用い、微細に分散したものである。
また、分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散等の処理を行ってもよい。また、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が金属酸化物微粒子(C)分散体を製造するために利用できる。
このとき、その他の分散剤を加えてともに分散してもよい。
また、感光性樹脂組成物は、当該金属酸化物微粒子(C)の分散体に、光重合開始剤(F)と、必要に応じて、樹脂(A)、溶剤、添加剤、多官能モノマー(D)、着色剤、連鎖移動剤、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、粘度調整剤、ワックス、界面活性剤、レベリング剤等、その他成分を混合攪拌して製造することができる。製造方法は特に限定されるものではなく、粒子と上記材料を均一に混合するのに用いられる方法であれば良く、通常用いられる従来公知の方法で何ら構わない。
例えば、本発明の光散乱層用樹脂組成物を構成する各成分をそれぞれ独立して作製し、その後に混合あるいは混練する方法、予め作成した光散乱粒子(B)および必要に応じて
金属酸化物微粒子(C)が存在する条件で樹脂(A)を重合し、その他の成分を混合する方法などが挙げられる。
分散安定性の観点からは、光散乱粒子(B)と、必要に応じて金属酸化物微粒子(C)分散液と、樹脂(A)が溶解した溶液と、その他の成分とを均一に混合する方法が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵、異物の除去を行うことが好ましい。
「光散乱層」
本発明の光散乱層は、上記の本発明の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成されたもので
ある。
本発明の光散乱層は、例えば、ガラスなどの透光性基板上に光散乱層用樹脂組成物を塗布
、および乾燥し、得られた塗膜を加熱、あるいは紫外線や電子線等の照射を施し硬化させ
ることによって得られる。塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばロッドまたはワイヤーバーなどを用いた方法;および、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング、リップコーティング、スロットコーティングまたはスピンコーティングなどの各種コーティング方法を用いることができる。
光散乱層用樹脂組成物を用いて、光散乱層を透光性基板上にパターニングする場合は、1
)印刷方式により透光性基板上に直接パターニングを行う方法 と、2)フォトリソグラ
フィー方式によりパターニングを行う方法を用いることが出来る。
1)印刷方式では、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセッ
ト印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷等の通常
の印刷方式で行うことができる。
2)フォトリソグラフィー方式では、感光性樹脂組成物の形態で使用する。その場合、
2−1)本発明の光散乱層用樹脂組成物を透光性基板に直接塗布、乾燥させた後、もしくは
2−2)フィルム基材(以下セパレートフィルムと称す)上に溶剤に溶解させた上記樹
脂組成物を塗工後、溶剤を乾燥させることにより得られる感光性ドライフィルムを、透光
性基板に張り合わせたのち、ラミネートや真空ラミネートによって、透光性基板への密着
および気泡等の除去を行う事により光散乱層を形成した後に、溶液現像またはアルカリ現
像工程によってパターン形成を行う。現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が使用され、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記感光性樹脂組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
光散乱層の厚みは特に限定されないが、通常、0.5〜20μmであることが好ましい
。また、本発明の感光性樹脂組成物は、光散乱膜用途として使用することが出来る。特に有機EL装置の光散乱膜用途として使用されることが好ましいが、とくにこの用途に限定されるものではない。
また、本発明の光散乱層を、有機EL装置に適用した場合、光散乱層の屈折率の波長依存性が大きいと、各色画素で輝度が変わりホワイトバランスが崩れるという問題が生じるため、当該光散乱層は、各波長での屈折率の差が少ないことが好ましい。具体的には、プリズムカプラーにより測定した波長473nm、594nm、633nmでの屈折率をそれぞれn(473)、n(594)、n(633)とするとき、n(473)/n(594)、n(633)/n(594)の値が0.2〜2.0であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.5であることが好ましく、更に好ましくは0.95〜1.05であることが好ましい。
「有機EL装置」
本発明の有機EL装置は、光散乱層用樹脂組成物から形成される光散乱層を具備する有機
EL素子を含むものである。有機EL素子の構造は特に限定されないが、基本構造の例と
して、透光性基板上に、透光性電極、発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層
)、背面電極、TFT基板を順次積層し、陽極側から光を取り出すボトム・エミッション
という構造が挙げられる。また、もう一つの例として、TFT基板上に、背面電極、発光
層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)、透光性電極、封止層を順次積層し、陰
極側から光を取り出すトップ・エミッションという構造が挙げられる。これらの方法や技
術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載さ
れている。
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の有機EL装置の構造について説明する。図1
は、本実施形態の1つの例であるボトム・エミッション構造の模式断面図である。
本実施形態の有機EL装置1は、透光性基板11上に、光散乱層12と、透光性を有する
第1の電極(陽極、透光性電極)13と、発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機E
L層)14と、光反射性を有する第2の電極(陰極、背面電極)15とが順次積層された
ものである。
光散乱層12が、上記の本発明の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成された層である。
有機EL装置は、有機EL照明装置または有機EL表示装置等に利用できる。
アクティブマトリクス型の有機EL表示装置では、異なる複数の色を発光する複数の発光
層がマトリクス状にアレイ形成される。また、ドットごとに第2の電極(陰極、背面電極
)15からなる画素電極とそのスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)が形
成されたTFT基板が備えられる。
本発明の光散乱層が具備される部位として、例えば以下のような場合が考えられる。
ボトム・エミッション構造の場合、例えば以下のような場合が考えられる。
(1)透光性基板/光散乱層/透光性電極/有機EL層/背面電極
(2)光散乱層/透光性基板/透光性電極/有機EL層/背面電極
(3)光散乱層/透光性基板/光散乱層/透光性電極/有機EL層/背面電極
トップ・エミッション構造の場合、例えば以下のような場合が考えられる。
(4)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/光散乱層/保護基板
(5)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/封止層/光散乱層/
保護基板
(6)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/封止層/保護基板/
光散乱層
(7)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/光散乱層/保護基板
/光散乱層
このとき透光性基板と透光性電極との間に光散乱層を具備した有機EL素子を含むものが
、光取り出し効率の観点からより好ましい。
ボトム・エミッション構造の製造方法としては、上記のように透光性基板上に光散乱層を
設けた後、光散乱層の上に透光性電極を形成する。透光性電極の材料としては、金属、合
金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好
ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。
具体例としては、
酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、および酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性
金属酸化物;
金、銀、クロム、およびニッケル等の金属;
ヨウ化銅および硫化銅などの他の無機導電性物質;
ポリアニリン、ポリチオフェン、PEDOT/PSS、およびポリピロールなどの有機導
電性物質;
およびこれらの混合物または積層物などが挙げられる。
好ましくは導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、および透光性等の点から
ITOが好ましい。
また、透光性を保ちながら有機EL層への電子あるいは正孔の注入性を制御するために、
金属類とITOを積層して透光性電極とすることも可能である。ここで、極薄の金属の厚
さとしては0.1nm〜20nmが透光性を保つ観点で好ましい。また、ここで言う金属
類としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
この中で、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム
、リチウム−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびそ
の混合金属等である。
透光性電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常50nm 〜300nm程度
が好ましい。
透光性電極の形成方法としては、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化
学反応法(ゾル−ゲル法など)、および溶解物や分散物の塗布などの方法が用いられる。
形成した透光性電極は、所望に応じて、エッチング処理を行い、パターンを形成する。さ
らに、洗浄その他の処理により、装置の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可
能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理などが効果的である。
次に、上記のように光散乱層の表面に透光性電極を設けた後、透光性電極の表面に有機
EL層を形成する。
有機EL層は発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、または電子輸送層な
どを含んでいてもよい。これらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。
正孔注入層、および正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する
機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい
。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体
、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾ
リン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ア
ミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾ
ン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルア
ミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合
物、ポリ( N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴ
マー、およびポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。
発光層の材料は、電界印加時に、陽極、正孔注入層または正孔輸送層から正孔を注入する
ことができると共に、陰極、電子注入層、または電子輸送層から電子を注入することがで
きる機能、注入された電荷を移動させる機能、および、正孔と電子の再結合の場を提供し
て発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。
例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導
体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テト
ラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体
、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シ
クロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロ
ロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリル
アミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、および8 − キノリノール誘導体の金属錯
体または希土類錯体に代表される各種金属錯体;
および、
ポリチオフェン、ポリフェニレン、およびポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等
が挙げられる。
発光層となる発光材料の具体例を下記に挙げるが、以下の具体的に例示したものに限定
されるものではない。
青色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(
略:TBP)、および9,10−ジフェニルアントラセン誘導体などをゲスト材料として
用いることによって得られる。また、4,4'−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフ
ェニル(略:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体、9,10−ジ−2−ナフチ
ルアントラセン(略:DNA)、および9,10−ビス(2−ナフチル)−2−tert
−ブチルアントラセン(略:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることも
できる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いてもよい。
緑色の発光は、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素、ビス[2−(2,4
−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略:FIrpic)、およ
びビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(ppy)
(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、トリス(8
−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略:Alq3)、BAlq、Zn(BTZ)、お
よびビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(略:Ga(mq)2Cl)
などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポ
リマーを用いてもよい。
橙色から赤色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチル
アミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略:DCM1)、4−(ジシアノメチ
レン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略:DCM2
)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4
H−ピラン(略:BisDCM)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルア
セトナトイリジウム(略:Ir(thp)2(acac))、およびビス(2−フェニル
キノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(pq)(acac))などをゲ
スト材料として用いることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略:Z
nq2)、ビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略:Znsq2)などの
金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニ
レンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
白色の発光は、有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を
利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)、同じくトンネル注入を利
用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584
号公報)、二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報およ
び特開平2−216790号公報)、発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる
材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)、青色発光体(蛍光ピ−ク380
〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を
含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)、青色発光層が青色蛍光色素を
含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する
構成のもの(特開平7−142169号公報)等が挙げられる。
電子注入層および電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する
機能、または陽極から注入された正孔を障壁する機能を有しているものであればよい。
具体例としては、
トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導
体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピ
ランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチ
リルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、シロール
誘導体、フタロシアニン誘導体、および8−キノリノール誘導体の金属錯体;
メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾール、およびベンゾチアゾールを配位子とする金
属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層および電子輸送層の膜厚は特に限定される
ものではないが、通常10nm〜500nmが好ましい。各層は単層構造であってもよい
し、同一組成または異種組成の複層構造であってもよい。
これらの層の形成方法は特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム
蒸着法、スパッタリング法、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法
、およびディップコート法など)、およびLB(Langmuir Blodgett)法などの方法が用
いられる。好ましくは抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法である。
最後に、有機EL層の表面に背面電極を形成する。
負極である背面電極は、電子注入層、電子輸送層、または発光層などに電子を供給するも
のであり、隣接する層との密着性、イオン化ポテンシャル、および安定性等を考慮して選
ばれる。
背面電極は光反射性を有することが好ましい。
背面電極の材料としては、金属、合金、導電性金属酸化物、他の導電性化合物、およびこ
れらの混合物を用いることができる。
具体例としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム
−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびその混合金属
等である。
また、光反射性を保ちながら有機層への電子あるいは正孔の注入性を制御するために、上
記の背面電極の材料とITOを積層して背面電極とすることも可能である。
背面電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常100nm〜1μmが好ましい
。背面電極の作製には、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、および
コーティング法などの方法が用いられる。金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同
時に蒸着することもできる。複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能
であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
トップ・エミッション構造の製造方法としては、TFT等の基板上に背面電極、有機EL
層、透光性電極、光散乱層を順次積層する方法が挙げられる。ここで記載する背面電極、
有機EL層、透光性電極、光散乱層の材料、積層法等はボトム・エミッションの製造方法
で述べたものと同じものを使用することができる。
また、上記有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表
面や層間に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い
。特に素子全体を被覆や封止する際には、溶融ガラスや光によって硬化する光硬化性樹脂
等が好適に使用される。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子に印加する電流は通常、直流であるが、パル
ス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制
限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率
良く発光させることが望ましい。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみなら
ず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二
著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
上記のように形成される有機EL装置の透光性電極と背面電極との間に電圧を印加する
ことによって有機EL層で発光した光は、透光性電極から、光散乱層を透過し、さらに透
光性基板を透過して取り出される。有機EL層で発光した光が光散乱層を通過する際に、
光が散乱されて指向性が変化し、全反射された光が導波することが抑制される。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は種々の形態においても適用可能である。
例えば、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、フルカラー表示素子としても利用
可能である。
フルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色変換方式、カラーフィルタ
ー方式が挙げられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インク
ジェット法や印刷法が挙げられる。また、特表2002−534782や、S.T.Le
e, et al., Proceedings of SID'02, p.784(
2002)に記載されているレーザー熱転写法(Laser Induced Ther
mal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式
では、色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、色よ
り長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルター方式では、白色発光の有
機EL発光素子を使って、液晶用カラーフィルターを通して3原色の光を取り出す方法で
あるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで
、素子全体の発光効率をあげることもできる。
さらに、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用し
ても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造で
あり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透
過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより
、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術
である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニ
ズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Tec
hnical Papers,OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、マルチフォトンエミッション素子構造を採
用しても良い。マルチフォトンエミッションとは、少なくとも一層の発光層を含む複数個
の発光ユニットを、電荷発生層を介して直列に接続するように積層させた素子構造である
(例えば、特許第3933591号公報参照)。このような素子構造によれば、1ユニッ
ト素子と同じ電流量で、複数の各発光層からの発光が同時に得られるため、発光ユニット
の個数倍相当の電流効率および外部量子効率を得ることができる。
以上述べたように、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフ
ラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等
の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権
利範囲を何ら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」は「重量部」を表し、
「%」は重量%を示す。
先ず、樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、樹脂(A)の二重結合当量、樹脂(A)の酸価、および、樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)、樹脂(A)の二重結合当量、樹脂(A)の酸価、光散乱粒子(B)の平均一次粒子径光散乱粒子(B)の平均一次粒子径、光散乱粒子(B)分散液の分散粒子径、無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の粒子径、酸無機酸化物微粒子(C)分散液の分散粒子径の測定方法について説明する。
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量(Mw)は、昭和電工(株)社製のゲル浸透クロマトグラフィーGPC
−101を用いて測定した。溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、ポリスチ
レン換算分子量を求めた。
(二重結合当量)
二重結合当量とは、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、同じ分子量
の化合物であれば、二重結合当量の数値が小さいほど二重結合の導入量が多くなる。
二重結合当量は下記式により算出した。
[二重結合当量]=[二重結合を持つモノマー成分の分子量]/[二重結合を持つモノマー成
分の分子中の全モノマーに対する重量比]
(光散乱粒子(B)の平均一次粒子径)
光散乱粒子(B)の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測し、100個の酸化チタン粒子の短軸径を計測し、その平均を一次粒子径とした。
なお、樹脂粒子の場合には合成時に溶剤を含むため、100℃の真空乾燥機にて1時間乾燥し、溶剤を飛ばしてから粒子径を観測した。
(光散乱粒子(B)分散液の分散粒子径)
光散乱粒子(B)の平均粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定した。固形分重量%濃度を20%に調節した光散乱粒子分散液を、分散液と同じ溶媒で満たしたセル内へ数滴たらし、信号レベルが最適値になった濃度で測定を行った。
(酸化チタン粒子(C1)の一次粒子の粒子径)
透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測し、100個の酸化チタン粒子の短軸径を計測した。
(酸化チタン粒子(C1)分散液の分散粒子径)
酸化チタン粒子(C1)の分散粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定した。固形分重量%濃度を20%に調節した光散乱粒子分散液を、分散液と同じ溶媒で満たしたセル内へ数滴たらし、信号レベルが最適値になった濃度で測定を行った。
続いて、樹脂(A)溶液、光散乱粒子(B)分散液、および無機酸化物微粒子(C1)分散液の製造方法について説明する。
<樹脂(A)溶液の製造方法>
(樹脂溶液(A―1))
(段階1:樹脂主鎖の重合)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりM110(パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート)17.2部、メチルメタクリレート25.0部、ベンジルメタクリレート7.2部、グリシジルメタクリレート18.2部、およびこの段階における前駆体の化合に要する触媒としてアゾビスイソブチロニトリル1.0部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
(段階2:エポキシ基への化合)
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸11.0部およびこの段階における前駆体の化合に要する触媒としてトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.1部を投入し、120℃で5時間反応を行い、重量平均分子量が約19000(GPCによる測定)の樹脂溶液を得た。投入したアクリル酸はグリシジルメタクリレート構成単位のエポキシ基末端にエステル結合するので樹脂構造中にカルボキシル基を生じさせない。
(段階3:水酸基への化合)
さらに無水フタル酸21.4部およびこの段階における前駆体の化合に要する触媒として、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応させた。加えた無水フタル酸は無水カルボン酸部位が開裂して生じた2個のカルボキシル基の一方が樹脂構造中の水酸基にエステル結合し、他方がカルボキシル基末端を生じさせる。
(段階4:不揮発分の調整)
不揮発分が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して樹脂溶液(B1−1)を得た。
(樹脂溶液(A―2)〜(A―14))
樹脂溶液(A−1)の各原料の配合比を表1の様に変えた以外は樹脂溶液(A−1)と同様の方法にて合成反応を行い、樹脂溶液(A−2)〜(A−14)を調製した。
表1中の各略号は以下のとおりである。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
M110:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート、
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、
St:スチレン、
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート、
MAA:メタクリル酸、
GMA:グリシジルメタクリレート、
MMA:メチルメタクリレート。
AA:アクリル酸
BzMA:ベンジルメタクリレート
表1中の配合量の単位は、「部」である。
<光散乱粒子(B)分散液の製造方法>
(光散乱粒子分散液(B−1))
工程1:分散剤(T−1)の製造
撹拌機、還流冷却管、ドライエアー導入管、および温度計を備えた4口フラスコに、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学(株)社製)80.0部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬(株)社製、商品名:KAYARAD PET−30)250.0部、ヒドロキノン(和光純薬工業(株)社製)0.16部、およびシクロヘキサノン141.2部を仕込み、85℃まで昇温した。次いで触媒として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業(株)社製)1.65部を加え、85℃で8時間撹拌した。その後、グリシジルメタクリレート(ダウ・ケミカル日本(株)社製)77.3部、およびシクロヘキサノン33.9部を加え、次いで触媒として、ジメチルベンジルアミン(和光純薬工業(株)社製)2.65部を加え、85℃で6時間撹拌し、室温まで冷却して反応を終了した。
得られた反応溶液は、淡黄色透明で固形分70重量%であった。反応生成物の重量平均分子量(Mw)は約3130であった。
工程2:分散液の製造
平均一次粒子径が250nmの酸化チタン(TiO2)粒子15部に、分散媒としてメチルイソブチルケトン77.9部、および上記分散剤(T−1)7.1部を加えた。ジルコニアビーズ(1.25mm)をメディアとして用い、ダイノミルで1時間分散処理を行い、光散乱粒子分散液(B−1)(酸化チタン粒子分散液)を作製した。
光散乱粒子分散液(B−1)の組成と、分散機、粒子の平均一次粒子径、分散液中の分散粒子径、分散液中の粒子全量に対する粒子径600nm以上の粒子含有量、および分散液中の粒子の変動係数を表2に示す。
(光散乱粒子分散液(B―2)、(B―3)、および(B−5))
表2記載の配合組成(仕込み組成、および配合量(重量部))および分散機にそれぞれ変更した以外は、光散乱粒子分散液(B−1)の製造における工程2と同様の方法で、光散乱粒子分散液(B―2)、(B―3)、および(B−5)を作製した。
(光散乱粒子分散液(B−4))
2雰囲気下、メタノール58gおよび水32gの混合溶剤中で、メチルメタクリレート
(和光純薬社製)4.5g、トリフルオロエチルメタクリレート(和光純薬社製)5g、
およびアリルメタクリレート(和光純薬社製)0.5gを、2,2'−アゾビス(2−ア
ミジノプロパン)ジヒドロクロリド(和光純薬社製、V−50)0.025gを用いて6
0℃で8時間重合した。その後、PGMEA123gを加え、ストリッピングによりメタ
ノールおよび水を除去し、光散乱粒子分散液(B−4)(アクリル樹脂粒子分散液)を作
製した。
表2中の各略号は以下の通りである。
酸化チタン1:石原産業社製タイペークCR−97、
シリカ1:日本触媒社製シーホスターKE−S30
シリカ2:日本触媒社製シーホスターKE−E150、
メラミン:日本触媒社製エポスターS6(メラミン樹脂)。
<金属酸化物微粒子(C)分散液の製造方法>
(金属酸化物微粒子分散液(C―1))
一次粒子の短軸径が15nmのアルミナ微粒子(日産化学工業(株)製、アルミナゾル−200)15gに、分散媒としてPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)77.9g、分散剤として製造例12の工程1で得られた分散剤(T−1)7.1gを加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(C-1)(アルミナ粒子分散液)を作製した。
(金属酸化物微粒子分散液(C―2)〜(C-3))
表3記載の配合組成および分散機にそれぞれ変更した以外は、金属酸化物微粒子分散液(C-1)と同様の方法で、光散乱粒子分散液(C-2)〜(C-3)を作製した。
表3中の各略号は以下の通りである。
アルミナ: 日産化学工業(株)製、アルミナゾル−200
酸化チタン2: MPT−136(石原産業株式会社製) Al(OH)3、ステアリン酸処理(24%含有)
酸化チタン3: MTY−700BS(テイカ株式会社製) シリコーン処理品 粒径80nm
[実施例1]
(光散乱層用樹脂組成物1)
下記の材料を加え、均一になるように撹拌および混合し、メッシュ径5μmのフィルタで濾過し、光散乱層用樹脂組成物1を作製した。
詳細配合組成を表4に示す。

・樹脂(A−1) 10.6部
・光散乱粒子分散液(B―1) 13.3部
・酸化チタン粒子分散液(C−1) 53.3部
・アロニックスM402 3.0部
・イルガキュア907 0.6部
・BYK330 0.02部
・PGMEA 15.1部
・シクロヘキサノン 4.0部
[実施例2〜19、比較例1〜3]
(光散乱層用樹脂組成物2〜27)
表4に示した配合組成とした以外は実施例1の光散乱層用樹脂組成物1と同様にして、光散乱層用樹脂組成物2〜22を得た。
表3中の各略号は以下の通りである。
V#802:大阪有機化学工業社製ビスコート#802、
M402:東亞合成社製アロニックスM402、
Irg907:BASF社製イルガキュア907、
OXE-01:BASF社製イルガキュアOXE01、
BYK330:ビックケミー社製BYK330。
1,3−BGDA:1,3−ブチレングリコールジアセテート。
<光散乱層用樹脂組成物の評価>
得られた光散乱層用樹脂組成物は下記の装置または方法により評価を行った。
(光散乱層の可視光透過率)
光散乱層用樹脂組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニ
ング社製ガラス「イーグル2000」)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱
後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した。次に、得られた塗布基板を110
℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度2
0mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で
20分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を
用い、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。下記基準に基づき、評価
した。
透過率85%以上:優良(◎)
透過率80%以上85%未満:良(○)、
透過率80%未満:不可(×)
(ボトム・エミッション構造のEL素子の評価(光取り出し効率))
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板上に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90:10(重量比))を用い、DCスパッタリング法にて厚さ150nmのITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。
フォトレジストを用いて上記ITO膜をエッチングして、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行った後、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄した。ついで、ITO面上に、真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。
まず、正孔注入層として、CuPcを15nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層として、α−NPDを、50nmの厚さに形成した。次に、表5に示す赤色の発光層を40nmの厚さに形成し、表5に示す電子注入層を30nmの厚さに形成した。
その後、MgとAgを共蒸着し、厚さ100nmのMgAgを形成後、MgAgの酸化防止の観点から、さらに、その上にAgを50nm形成し、背面電極(陰極)とした。
真空蒸着装置から取り出したのち、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。
上記と同様にして、表5に示す発光層と電子注入層を使用し、青色、緑色、および白色の発光素子をそれぞれ作製した。
別途、評価用に、基材として光散乱層を形成していないガラス基板を用いた以外は、上記と同様の方法にてEL素子を得た。
表5の発光体を用いて得られたそれぞれの発光素子について、室温において順方向電流を10mA/cm2通電し、発光外観(ダークスポット、ムラ)を観察した。また、コニカミノルタセンシング(株)社製分光放射輝度計「CS−2000」により正面輝度を測定し、光散乱層を形成していない基板で作製したEL素子の正面輝度を基準とし、白色発光素子の正面輝度の向上率を算出した。また、光散乱層の波長依存性は、表5の赤・青・緑の発光層を用いた発光装置における正面輝度の違い、および、白色発光層を用いた発光装置における発光スペクトルの形状変化の有無により評価した。発光スペクトルの測定は、大塚電子(株)社製MCPD−9800を用いて行なった。下記基準に基づき、評価した。
(光取り出し効率)
正面輝度向上率1.5倍以上:優(◎)、
正面輝度向上率1.2倍以上〜1.5倍未満:良(○)、
正面輝度向上率1.05倍以上〜1.2倍未満:可(△)
正面輝度向上率1.05倍未満:不可(×)
(平坦性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板について、アルバック社製の触針式膜厚計DECTAC−3で、塗膜の表面粗さを測定した。
下記基準に基づき、評価した。
表面粗さ100Å未満:優(◎)、
表面粗さ100Å以上200Å未満:良(○)、
表面粗さ200Å以上:不可(×)
(現像速度)
光散乱層用樹脂組成物を、乾燥膜厚が2.0μmとなるようにガラス基板にスピンコート法により塗布し、乾燥した。この塗布基板に対し高圧水銀灯によりマスクパターンを通して60mJ/cm2で露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液(現像液温度26℃)を使用して圧力0.25MPaのスプレー現像を行い、塗膜が溶解し基板面が露出するまでの時間(現像溶解時間)を測定した。
下記基準に基づき、評価した。
現像時間20秒未満 :優(◎)、
現像時間20秒以上、60秒未満:良(○)、
現像時間60秒以上:可(△)
評価結果を表6に示す。
実施例1〜13では、樹脂(A)が、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)、(A1)以外の1分子中にエポキシ基と不飽和結合とを有する化合物(A2)を共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂である場合には、現像速度、平坦性に優れた散乱膜を得ることが出来ること、また樹脂(A)が、不飽和1塩基酸や多塩基酸無水物を特定のものを使用すること、一定の二重結合当量を有することでさらに特性が良化することを示している。
実施例14〜19では、金属酸化物微粒子(C)が酸化チタン粒子であることでさらに取り出し効率も向上させることが出来ることを示しており、また樹脂散乱粒子との組み合わせが最も良好であることも示している。
一方、比較例1〜3に示すように、本発明の範囲外の材料を使用する場合には、各特性いずれかにおいて、悪い値を示すこととなることが分かる。
<トップ・エミッション構造及び塗布型構造の有機EL素子の評価(光取り出し効率)>
(トップ・エミッション構造A)
イソプロピルアルコールで超音波洗浄した後乾燥窒素ガスで乾燥したガラス基板の上に、厚さ100nmとなる条件でアルミニウムを真空蒸着法で成膜し、その後、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90重量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが20nmのITO膜を形成し、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターニングして、アルミニウムとITOの積層体から成る背面電極(陽極)を形成した。
次いで、真空から取り出すことなく、ITO面上に真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。まず、正孔注入/正孔輸送層として、α−NPDを、40nmの厚さに形成した。次に表7記載のH1とIr−1を蒸着速度が100:6になるように調節し、30nmの厚さに形成した。次いで、正孔ブロック層として、BAlqを、10nmの厚さに形成した。更に、電子輸送層として、Alq3を、20nmの厚さに形成した。次に、マグネシウムを真空蒸着法で2nmの厚さに形成し、更に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90重量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが100nmのITO膜を形成して、アルミニウムとITOの積層体による透光性電極(陰極)とした。最後に、ガラス基板及び透過率の測定用に作製した実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物塗布基板を封止用基板として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を適用し、これを前記基板の散乱膜側と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止した。
光取り出し効率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった。
(トップ・エミッション構造B)
イソプロピルアルコールで超音波洗浄した後乾燥窒素ガスで乾燥したガラス基板の上に、厚さ100nmとなる条件でアルミニウムを真空蒸着法で成膜し、その後、フッ化リチウムを真空蒸着法で成膜し、厚さが0.5nmのフッ化リチウム膜を形成し、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターニングして、アルミニウムとフッ化リチウムの積層体から成る背面電極(陰極)を形成した。次いで、真空から取り出すことなく、フッ化リチウム面上に真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。まず、電子輸送層として、Alq3を、20nmの厚さに形成した。次いで、正孔ブロック層として、BAlqを、10nmの厚さに形成した。次に表7記載のH1とIr−1を蒸着速度が100:6になるように調節し、30nmの厚さに形成した。次に正孔注入/正孔輸送層として、α−NPDを、40nmの厚さに形成した。次いでITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90重量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが150nmのITO膜を形成して、ITOの透光性電極(陽極)とした。最後に、ガラス基板及び透過率の測定用に作製した実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物塗布基板を封止用基板として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を適用し、これを前記基板の散乱膜側と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止した。
光取り出し効率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった。
(塗布型構造)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た実施例1〜19、比較例1〜5の光散乱層用樹脂組成物塗布基板上に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10重量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが150nmのITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。これとは別に、光散乱層を形成せず、ガラス基板上に、直接、上記と同様にITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。その後、この両透光性電極に対し、フォトレジストを用いてITO膜をエッチングして、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行ったのち、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄した。洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Bayer社製BAYTRON P VP CH8000)をスピンコート法にて製膜し、膜厚40nmの正孔注入層を得た。次いで、PVK(Poly(9−vinylcarbazole)、シグマアルドリッチ社製)を60%および、表8記載のIr−2を3%およびETM−1の37%の重量比で全体で2.0wt%の濃度となるようにトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により70nmの膜厚の発光層を得た。さらにその上に、Caを20nm蒸着した後、Alを200nm蒸着して電極を形成して有機EL素子を得た。最後に、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。
光取り出し効率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった。
<感光性ドライフィルムとしての評価>
実施例1〜19、比較例1〜5で用いられた光散乱層用樹脂組成物を12μPETフィルム(東レ・デュポン株式会社製S−12)上に乾燥膜厚が2μmとなるように均一塗工して100℃で5分乾燥させた後、室温まで冷却し、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)を光散乱層用樹脂組成物側にラミネートして感光性ドライフィルムを得た。感光性ドライフィルムからOPPフィルムを剥がし、ガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に真空ラミネートした。真空ラミネート条件は加熱温度60℃、真空時間60秒、真空到達圧2hPa、圧力0.4MPa、加圧時間60秒でおこなった。
次に、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。更に、得られた基板を230℃で20分加熱、放冷し光散乱層を得た。得られた光散乱層について、前記同様に素子作成及び評価を行い、光散乱層の、ボトム・エミッション型EL素子の評価(光取り出し効率)、平坦性、現像性、透過率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった。
<各種印刷プロセスによる光散乱層用樹脂組成物の評価>
(a)反転オフセット印刷
(反転オフセット印刷性)
図2に示す薄膜印刷装置を用いて、ガラス基板上に、実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物を乾燥塗膜厚が2μmとなるように適宜アニロックスロールを交換しながら線幅100μmの直線の連続印刷を行い、直線形状の観察を行った。
どれも連続印刷30版以上が連続して直線パターンを印刷することが出来た。
(平坦性、透過率、屈折率)
図2に示す薄膜印刷装置を用いて、ガラス基板上に、実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物を230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2μmとなるように適宜アニロックスロールを交換しながら印刷し、ガラス基板上に100mm×100mmのスクエアの光散乱層を形成した。次に、110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した。その後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱して光散乱層を得た。得られた光散乱層について、前記同様にボトム・エミッション型有機EL素子の作成及び評価を行った。
光散乱層の、ボトム・エミッション型EL素子の評価(光取り出し効率)、平坦性、現像性、透過率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった。
(b)フレキソ印刷
(フレキソ印刷性)
CI型6色フレキソ印刷機(Windmoeller&HoelscherKG社製「SOLOFLEX」(CI型6色機)の第二ユニットに100ミクロンのラインアンドスペースパターンを有するフレキソ版(D SF版)を装着し、165線のアニロックスロール(セル容量26.5cm2/m3) を用いてガラス基板上に乾燥塗膜厚が2μmとなるように実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物を順次印刷し、アニロックスロールから連続して版へ光散乱層用樹脂組成物が転移するか否かを目視判定した。
全て転移性は良好であった。
(平坦性、透過率、屈折率)
CI型6色フレキソ印刷機(Windmoeller&HoelscherKG社製「SOLOFLEX」(CI型6色機)の第二ユニットに100mm×100mmのスクエアパターンを有するフレキソ版(D SF版)を装着し、165線のアニロックスロール(セル容量26.5cm2/m3) を用いてガラス基板上に230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物を順次印刷した。次に、110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した。その後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱して光散乱層を得た。得られた光散乱層について、前記同様にボトム・エミッション型有機EL素子の作成及び評価を行った。
光散乱層の、ボトム・エミッション型EL素子の評価(光取り出し効率)、平坦性、現像性、透過率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった
(c)グラビア印刷
(グラビア印刷性)
実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物をグラビア校正機を利用して版深30ミクロンの腐蝕版を用い、ガラス基板上に、乾燥塗膜厚が2μmとなるように線幅100μmの直線の連続印刷を行い、直線形状の観察を行った。
全て、連続印刷30版以上が連続して直線パターンを印刷できた。
(平坦性、透過率、屈折率)
実施例1〜19、比較例1〜3の光散乱層用樹脂組成物をグラビア校正機を利用して版深30ミクロンの腐蝕版を用い、ガラス基板上に230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように順次印刷した。次に、110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した。その後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱して光散乱層を得た。得られた光散乱層について、前記同様にボトム・エミッション型有機EL素子の作成及び評価を行った。
光散乱層の、ボトム・エミッション型EL素子の評価(光取り出し効率)、平坦性、現像性、透過率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった
(d)インクジェット(IJ)印刷
(IJ印刷性)
実施例1〜19、比較例1〜3で得られたインキを、4〜10KHzの周波数変化が可能なピエゾヘッドを有するインクジェットプリンターでPET基板に吐出し、印字状態を目視で観察し、下記の基準で吐出安定性を評価した。
全てにおいて、所定位置に正確に連続印字、間欠印字ができた。
(平坦性、透過率、屈折率)
実施例1〜19、比較例1〜3で得られた光散乱層用樹脂組成物を、4〜10KHzの周波数変化が可能なピエゾヘッドを有するインクジェットプリンターでガラス基板上に100mm×100mmのスクエアパターンを230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように順次印刷した。次に、110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した。その後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱して光散乱層を得た。得られた光散乱層について、前記同様にボトム・エミッション型有機EL素子の作成及び評価を行った。
光散乱層の、ボトム・エミッション型EL素子の評価(光取り出し効率)、平坦性、現像性、透過率を評価したところ、実施例1〜19、比較例1〜3で得られた結果と同様であった
以上の結果から、本発明の光散乱層用樹脂組成物で形成される光散乱層は、反転オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などの各種印刷法により形成可能であり、スピンコーターで途工、現像した場合と同様の結果が得られた。
また、透光性基板上に、光散乱膜用感光性樹脂組成物を用いて形成された光散乱層と、透光性を有する第1の電極と、発光層を含む少なくとも1つの有機層と、光反射性を有する第2の電極とが順次積層された有機エレクトロルミネッセンス装置は、照明装置または表示装置として優れた性能を有することが確認できた。
1 有機EL装置
11 透光性基板
12 光散乱層
13 透光性電極
14 発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)
15 背面電極
21 ディスペンサ
22 ドクター
23 アニロックスロール
24 版胴
25 凸版
26 シリコーンゴムブランケット胴

Claims (7)

  1. 樹脂(A)、光散乱粒子(B)、無機酸化物微粒子(C)、多官能モノマー(D)、および光重合開始剤(F)を含む光散乱膜用感光性樹脂組成物であって、
    光散乱粒子(B)の平均一次粒子径が200〜800nmであり、
    無機酸化物微粒子(C)の一次粒子の短軸径が60nm以下であり、
    樹脂(A)が、少なくとも1種の不飽和結合を有する化合物(A1)(但し(A2)を除く)と、1分子中にエポキシ基および不飽和結合を有する化合物(A2)とを共重合させて共重合体(A6)を得て、得られた共重合体(A6)と不飽和1塩基酸を有する化合物(A4)とを反応させて共重合体(A7)を得て、更に得られた共重合体(A7)と多塩基酸無水物(A5)とを反応させて得られる樹脂(a1)を含み、
    かつ、樹脂(a1)が、350g/mol以上1300g/mol以下の二重結合当量を有することを特徴とする光散乱膜用感光性樹脂組成物。
  2. 多塩基酸無水物(A5)が、テトラヒドロ無水フタル酸または無水マレイン酸であることを特徴とする請求項1に記載の光散乱膜用感光性樹脂組成物。
  3. 光散乱粒子(B)が、樹脂粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の光散乱膜用感光性樹脂組成物。
  4. 無機酸化物微粒子(C)が酸化ジルコニアまたは酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の光散乱膜用感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜いずれか1項に記載の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成された光散乱層。
  6. 透光性基板上に、請求項記載の光散乱層と、透光性を有する第1の電極と、発光層を含む少なくとも1つの有機層と、光反射性を有する第2の電極とが順次積層された有機エレクトロルミネッセンス装置。
  7. 照明装置または表示装置である請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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