JP6435870B2 - 光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

光散乱層用樹脂組成物、光散乱層、および有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)装置、発光ダイオード(LED)装置、量子ドット型表示装置、各種照明装置、各種発光素子装置、太陽電池用部材、感光性樹脂用基材等に用いられる光散乱層用樹脂組成物に関する。
光散乱層は、光を拡散、散乱させる機能を有し、有機EL装置、LED装置、量子ドットディスプレイ、液晶ディスプレイ、発光素子装置、太陽電池用反射膜、太陽電池用封止材、感光性樹脂用基材等の光学分野で開発されている。中でも、有機EL装置の光取り出し効率を向上させる光散乱層用樹脂組成物は活発に研究が行われている。
有機EL素子は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子との再結合エネルギーにより蛍光性物質などが発光する原理を利用した自発光素子である。有機EL素子は、照明装置あるいは表示装置の用途等において、近年活発な研究開発が行われている。
本明細書において、「有機EL装置」とは、有機EL照明装置および有機EL表示装置等の有機EL素子を用いた装置全般を指す。
例えば、有機EL表示装置は、従来のCRTやLCDと比較して、視認性および視野角の面で利点を有すると共に、軽量化、薄層化およびフレキシブル性といった優れた特徴を有している。しかしながら、一般に、発光層を含む有機層の屈折率が1.6〜2.1と空気より高い。そのため、発光した光の界面での全反射あるいは干渉が起こり易く、光取り出し効率は20%に満たず、大部分の光を損失している。
有機EL装置の基本構造は、透光性基板上に、透光性電極、発光層を含む少なくとも1つの有機層、および背面電極を順次積層した構造である。
アクティブマトリクス型の有機EL装置では、例えば、上記有機層上に、上記背面電極をなす複数の画素電極とそのスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)とがマトリクス状に形成されたTFT基板が積層される。
有機層から発光した光は、直接、またはアルミニウムなどで形成される背面電極で反射され、透光性基板から出射する。その際、発生した光は、透光性基板側に効率的に取り出されることが好ましい。しかしながら、屈折率の異なる隣接層界面に入射する角度によっては、光は全反射を起こし、素子内部を面方向に全反射しながら進む導波光となり、内部で吸収されて減衰してしまい外部に取り出すことができない。この導波する光の割合は隣接層の相対屈折率で決まる。一般的な有機EL装置の場合、屈折率nの関係は例えば、空気(n=1.0)/透光性基板(n=1.5)/透光性電極(n=2.0)/有機層(n=1.7)/背面電極である。この場合、大気(空気)に放出されず素子内部を導波する光の割合は約81%となり、発光量全体の約19%しか有効に利用できないこととなる。
光の取り出し効率を向上させる手法として、光散乱層を設けることが提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。特許文献1には、透光性電極の光取出し面側に屈折率が発光層と同等またはそれ以上の透光性層を設け、かつこの透光性層の光取り出し面側に隣接してあるいは透光性層の内部に実質的に光散乱層を形成したEL素子が記載されている。また、特許文献2、3には、光散乱層の光散乱粒子の特性、光散乱粒子とバインダーとの屈折率差、およびバインダーの屈折率などの特徴に関して、数多くの提案がなされている。
特開2004−296429号公報 特開2005−190931号公報 特開2009−110930号公報 特開平11−329742号公報 特開2007−109575号公報 特開2014−17233号公報
有機EL装置は、照明装置あるいは表示装置等の用途に応じ、白色を発光する発光層を用いたもの、青色等の特定の色光を発光する1種の発光層を用いたもの、および三原色等の異なる色光を発光する複数種の発光層を用いたものなどが使用されている。しかしながら、一般に光散乱層による光の取り出しの向上率は波長に依存するため、上記特許文献1〜3に記載の方法では、広い波長領域で用いる場合、色調が変化してしまうという問題がある。
特に、有機EL素子を用いたカラー表示装置では、視野角特性および色純度を高めるために光散乱層等が設けられるが(例えば特許文献4)、この方法では各色画素で輝度が変わるためホワイトバランスが崩れるという問題が生じる。特許文献5には、EL素子の色毎に光散乱層の厚みを変えることで取り出し効率を調整する方法が開示されているが、この方法では煩雑な工程を要するため実用的なものではない。
光散乱層には散乱効果を有する散乱粒子を添加する場合があるが(例えば特許文献6)、散乱粒子同士、あるいは散乱粒子とバインダー、あるいはバインダー同士による凝集が起こり、平坦性が低下するという問題がある。また、凝集が起きることによって、光散乱粒子とバインダーの屈折率差が小さくなってしまうことや、光散乱粒子の散乱効果が十分に発揮されないという問題が生じる。
有機EL装置においては、各層間の密着性は素子性能を左右する重要なポイントである。中でも、基材と透光性電極間の密着性は特に重要である。透光性基板上に光散乱層を設ける場合、ここで言う「基材」は光散乱層を設けた透光性基板である。
例えば、透光性電極を形成する工程では、電極の抵抗値を下げるための高温処理、および電極パターン形成のためのエッチング処理を行い、さらに形成した透光性電極上に有機層を積層する前に、不純物除去のための溶剤等による洗浄を行う。この際、基材と透光性電極の密着性が低い場合、透光性電極に微細な亀裂あるいは剥離が生じ、結果、有機EL素子を発光させた際、ダークスポット、輝度ムラ、あるいは寿命低下を引き起こしてしまう。
また、基材の平坦性も重要なポイントである。基材表面の凹凸が大きいと、その上に形成される透光性電極に膜厚ムラあるいは微細な突起形成が起こり、局所的に電流が大きい部分が生じ、結果、ショートあるいは寿命低下を引き起こす場合がある。
透光性基板上に従来の光散乱層を形成したものを基材とする場合、基材と透光性電極の密着性、および基材の平坦性が充分ではなく、上記課題が生じる場合がある。
本発明は、有機EL装置、LED装置、量子ドットディスプレイ、各種照明装置、各種発光素子装置、太陽電池用部材、感光性樹脂用基材等において、凝集物が少なく平坦性が良好であって、光取り出し効率向上率の波長依存性が小さく、広い波長領域で用いることができる光散乱層用樹脂組成物の提供することを目的とする。
本発明者らは、前記問題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に達した。
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、光散乱粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを含み、下記(i)〜(v)を満たすことを特徴とする光散乱層用樹脂組成物である。
(i)光散乱粒子(A)が、多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ、アクリレートもしくはメタクリレートを用いてなる共重合体である。
(ii)前記光散乱粒子(A)の平均粒子径が100nm以上600nm未満である。
(iii)前記光散乱粒子(A)の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%以下である。
(iv)分散剤(C)がエチレン性不飽和二重結合を持たない樹脂型分散剤である。
(v)金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)を含む組成物と、前記光散乱粒子(A)との屈折率差が0.1以上である。
本発明の光散乱層用樹脂組成物において、前記多環状構造が橋頭構造であることが好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物において、前記橋頭構造を持つ、アクリレートもしくはメタクリレートが、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−イソプロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物において、前記光散乱粒子(A)の変動係数が30%以下であることが好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物において、前記金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径が100nm以下であることが好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物において、前記金属酸化物微粒子(B)が、ZrO2およびTiO2からなる群より選択される、少なくとも1種の金属酸化物微粒子であることが好ましい。
本発明の光散乱層は、上記の本発明の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置は、透光性基板上に、上記の本発明の光散乱層と、透光性を有する第1の電極と、発光層を含む少なくとも1つの有機層と、光反射性を有する第2の電極とが順次積層されたものである。
本発明の有機EL装置は、照明装置または表示装置等に適用できる。
本発明によれば、凝集物が少なく分散性が良好であり、平坦性に優れ、発光装置の光取出し効率向上のための光拡散層、散乱層として用いられ、光取り出し効率向上率の波長依存性が小さく、広い波長領域で用いることが出来る光散乱層用樹脂組成物を提供することができる。
本発明によればまた、光取出し効率向上のために透光性電極と透光性基板との間に設置する光散乱層として用いられ、積層構造を製造する際、透光性電極に微細な亀裂、突起、あるいは剥離を誘引することがなく、光取出し効率が高い発光装置を実現し得る光散乱層用樹脂組成物、これを用いて形成された光散乱層、並びに、この光散乱層を具備する発光ディスプレイ、発光装置を提供することができる。
ボトム・エミッション構造のEL素子の模式断面図
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に特定されない。
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、上述の通り、光散乱粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを含有することを特徴とする光散乱層用樹脂組成物である。
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、以下のような第1〜4の態様とすることができる。
<第1の態様>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、質量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)および質量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含まない態様とすることができる。
<第2の態様>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、質量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)を含み、質量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含まない態様とすることができる。
<第3の態様>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、質量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含み、質量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)を含まない態様とすることができる。
<第4の態様>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、質量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)および質量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含む態様とすることができる。
各態様については後述する。
<光散乱粒子(A)>
まず、光散乱粒子(A)について説明する。
有機粒子としては、ポリアクリレートビーズ、ポリメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミン樹脂ビーズ、ポリカーボネートビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、およびベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド縮合物ビーズ等が用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
光散乱粒子(A)は、多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ、アクリレートもしくはメタクリレートを用いてなる共重合体である。本発明では、アクリレートもしくはメタクリレートを(メタ)アクリレートと略記する。
多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートを用いることにより、得られる光散乱粒子(A)同士が立体反発し易くなると推測される。その結果後述する金属酸化微粒子(B)の凝集を抑制し、平坦性良好な塗膜形成が可能になったものと考察している。
多環状構造の中でも、橋頭構造を有するアクリレートもしくはメタクリレートを用いることが好ましい。
多環状構造を持つ(メタ)アクリレートとしては、橋頭構造を有する(メタ)アクリレート、同一平面に連続するように連なる複数の環状構造を有する(メタ)アクリレート、独立した複数の環状構造を有する(メタ)アクリレートが挙げられ、橋頭構造を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
橋頭構造を持つ(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸2−ノルボルニル、メタクリル酸2−ノルボルニル、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、ボロニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−[(1‘,1
−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ)プロピル]−
3−ノルボルニル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロノポキシ−1−プロピル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、2−イソプロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、2−[(1',1’,1’−トリフルオロ−2‘−(トリフルオロメチル)−2’−ヒドロキシ)プロピル]−3−ノルボルニル(メタ)アクリレ−ト、(1R,2S,4S)−1,7,7−トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3,2(3H)−[1H]インデン]−2−オ−ル(メタ)
アクリレ−ト、1,3,3aα,4,7,7aα−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−4β,7β−エポキシイソベンゾフラン−4−メタノ−ル(メタ)アクリレ−ト、(1S,4S)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2β−イル(メタ)アクリレート、1−メチル−1−(1−アダマンチル)エチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−(ノルボルナ−2−エン−5−イルメチル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノ−ル(メタ)アクリレ−ト、2−(ノルボルナ−2−エン−5−イル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノ−ル(メタ)アクリレ−ト、4α,7α−メタノ−3a,4,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−インデン−6−オ−ル(メタ)アクリレ−ト、等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用することができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートにおけるアルキル鎖は環状や分岐鎖を有していても構わない。アルキル鎖の炭素数は4以上16以下であることが好ましい。
炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートとしては、
n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、1−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、6−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、4−(1,1−ジメチルプロピル)シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、スピロ[ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6,1‘−シクロヘキサン]−7−イル(メタ)アクリレート、7−ブチル−7−エチルビシクロ[3.2.0]ヘプタ−6−イル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、2−5−ジペンチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−シクロヘキシルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、[4−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]メチル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキサデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
光散乱粒子(A)は、多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートと、共重合可能な他のモノマーを重合しれなるものであり、共重合に供されるモノマー100質量%中、多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートは合計で1〜50質量%とすることが好ましく、より好ましくは3〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜15質量%である。多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートの量を上記範囲とすることで分散効果をより効果的に発揮するため好ましい。
光散乱粒子(A)は、種々の方法で得ることができ、分散体の状態で得ることができる。例えば乳化重合(この中の一態様にソープフリー乳化重合がある)、分散重合、懸濁重合、シード重合などが挙げられる。中でも、乳化重合、分散重合は粒度分布が比較的狭いものとなり、本発明における波長依存性の低減に寄与するため好ましい。また、種々の(メタ)アクリレートを含有させた重合体とすることで、立体反発による分散性を付与することが出来る。
上記のようにして得られる光散乱粒子(A)の平均粒子径は、100nm以上600nm未満であることが重要である。平均粒子径が100nm以上である光散乱粒子(A)を用いることにより、充分な散乱効果を発現でき、バインダーの屈折率に影響を与えない。また、平均粒子径が600nm未満の光散乱粒子(A)を用いることにより、散乱強度(ヘイズ値)が小さくても散乱角度が広くなるため、全反射に有効な散乱が得られ、取り出し効率が高くなったり、光取り出し効率の波長による変化が小さくなったりし色調が変化し難い。光散乱粒子(A)の平均粒子径は、好ましくは、200nm〜500nmであり、さらに好ましくは250nm〜400nmである。
光散乱粒子(A)の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%以下であることにより、光取り出し効率の波長による変化が小さくなり、色調が変化し難くなる。また、光散乱層の表面粗さが小さくなるため透光性電極の膜厚ムラあるいは突起等が生じ難く、輝度ムラが生じ難くなり寿命が延びる。600nm以上の粒子の含有量は、より好ましくは15体積%以下である。
なお、光散乱粒子(A)の平均粒子径や粒子径600nm以上の粒子の含有量については、光散乱粒子(A)を予め分散体としておき、前記分散体を用いて光散乱層用樹脂組成物を得る場合、前記分散体における光散乱粒子(A)の平均粒子径等をもって、光散乱層用樹脂組成物における光散乱粒子(A)の含有量とする。
本明細書において、光散乱粒子(A)の「平均粒子径」および「粒子径」とは、後述の平均1次粒子径とは異なり、凝集による2次粒子の粒子径を加味した、光散乱層用組成物中での分散粒径のことである。これらは光学顕微鏡にて実測あるいは動的光散乱法によって求めることが出来る。ここで、平均1次粒子径と区別する理由は、同じ平均1次粒子径の散乱粒子を用いた場合であっても、光散乱層用組成物中での光散乱粒子(A)の分散状態により、平均粒子径および粒度分布は異なる場合があるためである。
「平均粒子径」は測定サンプルの50体積%における分散粒径の値であり、粒子径が600nm以上の粒子の含有量は、測定サンプルの分散粒径のうち、600nm以上の粒子径の体積%である。これらは動的光散乱法では日機装(株)社製「ナノトラックUPA」で測定することができる。
光散乱粒子(A)の粒度分布としては、変動係数が30%以下であることが好ましい。「変動係数」とは、粒子径の標準偏差を平均粒子径で除した値の百分率で表されるものであり、平均粒子径に対するばらつきの大きさの指標となる。
変動係数が30%より大きいと、光取り出し効率の波長による変化が大きくなり、色調が変化しやすいため、好ましくない場合がある。より好ましくは変動係数が20%以下である。
光散乱粒子(A)の平均粒子径、粒子径600nm以上の粒子の含有量、および粒度分布は、重合温度、モノマー組成、分散媒体、撹拌条件、重合開始剤の種類・量・添加方法、乳化剤の種類・量等の条件によって調整できる。
光散乱粒子(A)は、予め溶剤に分散した分散液を用いることが好ましい。また、その際、界面活性剤など分散を安定化させる添加剤を加えてもよい。
<金属酸化物微粒子(B)>
光散乱層用組成物は、金属酸化物微粒子(B)を含む。金属酸化物微粒子(B)と後述する分散剤(C)とを含む組成物と、前述の光散乱粒子(A)との屈折率の差は0.1以上であることが重要である。金属酸化物微粒子(B)を含むことにより、屈折率の差を容易に0.1以上にすることができる。
本発明で用いられる金属酸化物微粒子(B)は、可視光域において1.8〜2.8の屈折率を有することが望ましい。後述する分散剤(C)、エチレン性不飽和単量体(D)、樹脂(E)の屈折率は1.4〜1.6程度なので、このような金属酸化物微粒子(B)を用いることによって、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを必須とし、後述するエチレン性不飽和単量体(D)や樹脂(E)を含むバインダーの屈折率を大きくできるので好ましい。
本明細書において、「金属酸化物微粒子(B)の屈折率」とは、金属酸化物微粒子を構成する材料のバルクの屈折率を意味する。バルク材料の屈折率は、アッベ屈折率計あるいはV ブロック方式の屈折率計を用いて測定することができる。
金属酸化物微粒子(B)としては、具体的には、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、五酸化ニオブ(Nb25)、五酸化タンタル(Ta25)、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)から成る群から選択された少なくとも1種の材料から成る粒子が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
光散乱層の透光性を維持するため、粒子間に強い凝集がないことが好ましい。そのため、金属酸化物微粒子(B)の平均1次粒子径は100nm以下が好ましい。平均1次粒子径を100nm以下に規定することで、可視光域において透明なバインダー組成物を得ることができる。
本明細書における「平均1次粒子径」とは凝集を加味しない個々の粒子径のことを示し、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)などを用いて実測した50個の粒子直径の平均値である。
金属酸化物微粒子(B)は、粉体をそのまま用いることができる他、予め溶剤に分散した分散液を用いても構わない。中でも、平均粒子径が200nm以下の分散状態を保つために、分散液を用いることが好ましい。
分散方法は、金属酸化物微粒子(Bの表面状態に合わせた分散剤を用い、分散機を用いる方法が好ましい。分散機としては、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノーミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル、ホモミキサー、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」等)、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスP Y 」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、微小ビーズミル(寿工業(株)社製「スーパーアペックミル」および「ウルトラアペックミル」)、超音波分散機等が使用できる。
分散機にメディアを使う場合には、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、磁性ビーズ、およびポリスチレンビーズ等を用いることが好ましい。
分散に関しては、2種類以上の分散機、または大きさの異なる2種類以上のメディアをそれぞれ用い、段階的に実施しても差し支えない。
金属酸化物微粒子(B)としては、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、および酸化スズ(SnO2)が好ましい。酸化チタン(TiO2)、および酸化ジルコニウム(ZrO2)が、透光性、分散性、耐候性、および耐光性等の観点から特に好ましい。
<分散剤(C)>
分散剤(C)は、液状の分散媒中で金属酸化物微粒子(B)に吸着して分散を安定化する働きを有する。本発明に用いる分散剤(C)は、金属酸化物微粒子(B)と相溶性のある部位を持つことで金属酸化物微粒子(B)の分散安定化に寄与することが好ましい。分散剤(C)としては、種々の分子量のものを用いることができるが、ある範囲の質量平均分子量を持つ樹脂型分散剤であることが好ましい。質量平均分子量(Mw)が4000以上であれば、分散剤(C)の金属酸化物微粒子(B)への脱着が起こりにくくなり好適である。また、質量平均分子量(Mw)が50000未満であれば、良好な分散性および光学特性を維持できるため好適である。好ましい質量平均分子量(Mw)としては、4000以上50000未満であり、より好ましくは、2000以上40000未満であり、さらに好ましくは4000以上30000未満である。
また、分散剤(C)は、エチレン性不飽和二重結合を持たない樹脂型分散剤であることを特徴とする。なお、後述するエチレン性不飽和単量体(D)や樹脂(E)と、分散剤(C)とは以下のような観点で分類する。即ち、分子量等によらず、金属酸化物微粒子(B)に対し分散剤として機能するものは分散剤(C)とする。具体的には、金属酸化物微粒子(B)100質量部に対し、50質量部の成分「X」、600質量部の液状分散媒を混合・分散してなる分散体から形成した膜厚1μmの乾燥膜が、波長400nmにて透過率70%以上であれば、前記成分「X」は分散剤として機能する、と定義する。
分散剤(C)は主鎖にエステル骨格を有していても良い。エステル骨格を有することで金属酸化物微粒子(B)に親和基として作用し、分散性を良好にすることができる。エステル骨格を有する樹脂型分散剤としては(C1)、(C2)が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されない。
[ポリエステル分散剤(C1)]
好ましい樹脂型分散剤としては、特開2007−140487号公報等に記載の下記式で示されるポリエステル分散剤(C1)が挙げられる。
(HOOC―)m―R1―(―COO―[―R3―COO―]n―R2t 式(1)
上記式中、R1は4価のテトラカルボン酸化合物残基、R2はモノアルコ―ル残基、R3はラクトン残基、mは2または3、nは1〜50の整数、tは(4―m)を表す。
上記式で示される分散剤は、4価のテトラカルボン酸化合物残基とラクトン残基とを併せ有することが特徴であり、これにより優れた分散性を示し、凝集物が少なく、平坦性良好な塗膜を作成することができる。
本発明に使用する分散剤(C1)は、上記式(1)で示した構造を有すればどのような製造方法を用いて合成しても構わないが、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合して片末端に水酸基を有するポリエステルを製造する第一の工程と、該片末端に水酸基を有するポリエステルと、テトラカルボン酸二無水物を反応させる第二の工程とから製造することが好ましい。
分散剤(C1)の製造に使用されるモノアルコールは、水酸基を一つ有する化合物である。例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、イソペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、1−ノナノール、イソノナノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−ミリスチルアルコール、セチルアルコール、1−ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族モノアルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族モノアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノエチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノプロピルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、テトラジエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。
上記例示した脂肪族モノアルコール、芳香族モノアルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、およびエチレン性不飽和二重結合を有するモノアルコールの水酸基を開始基としてアルキレンオキサイドを付加重合して得られる片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールも、上記のモノアルコールの範囲に入る。
また、フェノール性水酸基を有する化合物、例えばフェノール、クミルフェノールなどにアルキレンオキサイドを付加重合して得られる片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールも上記のモノアルコールの範囲に入る。
付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。アルキレンオキサイドの付加数は、一分子中、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは5〜100である。
アルキレンオキサイドの付加は、公知方法、例えばアルカリ触媒の存在下、100〜200℃の温度で行うことができる。市販品としては、日本油脂社製ユニオックスシリーズ、日本油脂社製ブレンマーシリーズなどがある。具体的に例示すると、ユニオックスM−400、M−550、M−2000、ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、AE−90、AE−200、AE−400、PP−1000、PP−500、PP−800、AP−150、AP−400、AP−550、AP−800、50PEP−300、70PEP−350B、AEPシリーズ、55PET−400、30PET−800、55PET−800、AETシリーズ、30PPT−800、50PPT−800、70PPT−800、APTシリーズ、10PPB−500B、10APB−500Bなど
がある。
分散剤(C1)の製造に使用されるモノアルコールは、上記例示に限定されることなく、水酸基を一つ有する化合物であればいかなる化合物も用いることができ、また単独で用いても、2種類以上を併用して用いても構わない。
上記のモノアルコールのうち、たとえば4−メチル−2−ペンタノール、イソペンタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキサノール、イソノナノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ヘキシルデカノールなどの分岐脂肪族モノアルコール、または片末端に水酸基を有するポリアルキレングリコールを用いると、結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
片末端に水酸基を有するポリエステルは、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合することによって得ることができる。本発明で使用されるラクトンとしては、具体的にはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトンが挙げられ、このうちδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、アルキル置換されたε−カプロラクトンを使用するのが開環重合性の点で好ましい。
本発明の分散剤(C1)の製造に使用されるラクトンは、上記例示の化合物に限定されることはなく、また単独で用いても、2種類以上を併用しても構わない。2種類以上を併用すると、結晶性が低下し室温で液状になる場合があるので、作業性の点と、他の樹脂との相溶性の点で好ましい。
[ポリエステル分散剤(C2)]
ポリエステル分散剤(C2)は、光散乱粒子、または金属酸化物微粒子分散体の安定性がより良い点から、ポリオール(f)の水酸基と、ポリカルボン酸無水物(g)の酸無水物基を反応させてなる、ポリオール部位(F)とポリカルボン酸部位(G)を交互に有するポリエステル分散剤であって、ポリオール部位(F)の一部又は全部が、S原子を介して、エチレン性不飽和単量体(K)をラジカル重合してなるビニル重合体部位を有するポリエステル分散剤(C2)であることがより好ましい。
このとき、主鎖のポリカルボン酸部位(G)が、光散乱粒子、または無機微粒子吸着基として、側鎖のビニル重合体部位が金属酸化物微粒子に担体親和基として作用する。
このようなポリエステル分散剤は、国際公開2008/007776号パンフレット等に記載されている。
ポリエステル分散剤(C2)は、エチレン性不飽和単量体(K)を、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(f1)の存在下、ラジカル重合してなる片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体(f2)を少なくとも含むポリオール(f)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(g1)を少なくとも含むポリカルボン酸無水物(g)中の酸無水物基とを、反応させてなることによって得られる。
また、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(f1)を少なくとも含むポリオール(f)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(g1)を少なくとも含むポリカルボン酸化合物(g)中の酸無水物基とを反応させてなるポリエステルの存在下、ビニル重合体部位を形成するエチレン性不飽和単量体(K)をラジカル重合することによっても得られる。
ポリエステル分散剤(C2)の各構成要素について説明する。
エチレン性不飽和単量体(K)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、及びこれらの混合物があげられる。
また、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等、およびこれらの混合物を併用して用いてもよい。
また、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などから1種または2種以上を選択することができる。
また、本発明においては、エチレン性不飽和単量体(K)の中でも、分散性の観点から、下記一般式(2)で表わされる単量体が好ましい。下記一般式(2)で表される単量体の使用量は、ビニル重合体(f2)を構成する単量体全体に対して5重量%以上含まれることが好ましい。5重量%以上であれば、溶剤に対する親和性の効果がより優れ、金属酸化物微粒子(B)の分散性の観点から、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%が最も好ましい。
[一般式(2)中、R5は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は、下記一般式(3)で表される化合物であり、R4は、水素原子、又はメチル基である。]
[一般式(3)中、R6は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R7は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基であり、nは、1〜30の整数である。]
一般式(2)中、R5の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基(ドデシル基)、パルミチル基(ヘキサデシル基)、ステアリル基(オクタデシル基)、イソステアリル基、ウンデセニル基、オレイル基、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、ジシクロヘキセニル基、フェニル基、ノニルフェニル基、又はパラクミルフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(2)中、R4の具体例としては、水素原子、又はメチル基が挙げられる。
一般式(3)中、R6の具体例としては、エチレン基、エチレン基とプロピレン基、プロピレン基、エチレン基とテトラメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、又はオクタメチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(3)中、R7の具体例としては、前記一般式(2)中のR5と同様の置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
<ポリオール(f)>
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(f1)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等が挙げられる。
片末端に2つの水酸基を有し、かつビニル重合体部位のビニル重合体(f2)は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(f1)を、目的とするビニル重合体(f2)の分子量にあわせて、1種類以上のエチレン性不飽和単量体(K)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。
2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(f1)は、エチレン性不飽和単量体(K)100重量部に対して、0.5以上〜30未満重量部を用い、塊状重合または溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは3以上〜12未満重量部、さらに好ましくは4以上〜12未満重量部、特に好ましくは5以上〜9未満重量部である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(K)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部のラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらのラジカル重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
<ポリカルボン酸無水物(g)>
ポリカルボン酸無水物(g)は、少なくともテトラカルボン酸二無水物(g1)を含んでいることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物(g1)の二つの無水物基は、ポリオール(f)の水酸基と反応することによって、ポリエステル分散剤の主鎖に無機微粒子吸着基となるカルボキシル基を規則的に並べることができ、無機微粒子分散に有利である。
テトラカルボン酸二無水物(g1)としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物、などの芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。テトラカルボン酸二無水物は、ポリオールとの反応により、ポリエステルの一単位に二個のカルボキシル基を有する分散剤を形成するため、無機微粒子吸着性の観点から、本発明のポリエステル分散剤の構成要素として好ましい。
さらに、好ましく使用されるものは、無機微粒子に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、さらに好ましくは、芳香族環を二つ以上有するテトラカルボン酸二無水物である。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて無機微粒子吸着能が高く、さらに、芳香族環を二つ以上有するカルボン酸は、無機微粒子吸着に適した骨格であり、耐熱性も高い。
具体的には、下記一般式(4)または一般式(5)で表される芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。

[一般式(4)中、kは1または2である。]

[一般式(5)中、Q1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、一般式(6):で表される基、または一般式(7):で表される基である。]
また、分子中にカルボン酸無水物基を1つ持つ化合物や3つ以上持つ化合物を併用、すなわち、本発明に使用するポリカルボン酸無水物(g)中に含まれるテトラカルボン酸二無水物(g1)以外のポリカルボン酸無水物も使用することができる。
ポリカルボン酸無水物(g)中に含まれるテトラカルボン酸二無水物(g1)以外のポリカルボン酸無水物は、ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、5個以上カルボン酸を有する化合物の無水物が挙げられるが、金属酸化物微粒子(B)に対する吸着性の観点から、ポリエステル分散剤の設計上、ポリオールとの反応によりポリエステル分散剤の一単位に二つのカルボキシル基が生成するトリカルボン酸無水物(g2)が好ましい。トリカルボン酸無水物(g2)も、ポリオールの水酸基1個としか反応しないので、ポリエステル分散剤の分子量設計等の観点から最小限に止めるべきである。配合量に関しては、後述する。
トリカルボン酸無水物(g2)としては、まず、脂肪族トリカルボン酸無水物、または芳香族トリカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物などが挙げられる。本発明に好ましく使用されるものは、金属酸化物微粒子(B)に対する吸着性の観点から、上記のうち芳香族トリカルボン酸無水物である。
エチレン性不飽和二重結合を持たない市販の樹脂型分散剤(C)としては、Disperbyk182、2155、2022(ビックケミー社製)、またはポイス520、521、532A、2100(花王(株)製)、Disperbyk102、111、180、190(ビックケミー社製)、アロンT−40(東亞合成(株)製)、JONCRYL(ジョンクリル;登録商標)シリーズ(BASFジャパン社製)が挙げられ、具体的には、JONCRYL 67、JONCRYL 678、JONCRYL 586、JONCRYL 680、JONCRYL 682、JONCRYL 683、JONCRYL 690、JONCRYL 819、JONCRYL JDX−C3000、JONCRYL JDX−C3080などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
分散剤(C)は、分散対象である金属酸化物微粒子(B)に吸着し、安定した分散状態を保つことができる。分散機を用いて、分散させた金属酸化物微粒子(B)の粒子径は、200nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下である。これにより、透過率の高い光散乱層用樹脂組成物を得ることができ、透過率の高い光散乱層を形成できる。
<第1の態様>
先に述べたように本発明の光散乱層用樹脂組成物は、第1〜4の態様とすることができる。第1の態様について説明する。なお、第2〜4の態様については後述する。
第1の態様の光散乱層用樹脂組成物は、後述する質量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)および質量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含まない。分散剤(C)として、高分子量のものを用いればエチレン性不飽和二重結合を有しなくても成膜性に優れる光散乱層用樹脂組成物を得ることができる。
第1の態様において、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを含む組成物(以下、「第1の態様におけるバインダー」ともいう)の屈折率は1.65以上であることが好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物では、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)を含む各態様のバインダーと、光散乱粒子(A)との屈折率差は0.1以上である。前記屈折率差が0.1以上であると、発光装置の中で全反射により導波している光がバインダーと光散乱粒子(A)の界面で散乱し、光取り出し効率が向上する。屈折率差は大きくなるほど光取り出し効率は向上する。
透光性基板の屈折率が1.5程度であり、透光性電極の屈折率が1.8〜2程度であることから、バインダーの屈折率は1.5〜2であることが望ましい。透光性電極との屈折率が近くより多くの光が導入でき、光取り出し効率の波長依存性を小さくできるという点でバインダーの屈折率は1.65以上であることが特に望ましい。
前述の通り、光散乱粒子(A)の屈折率は通常1.4〜1.8程度なので、バインダーに含まれる屈折率が1.8〜2.8程度の金属酸化物微粒子(B)の種類と含有量を適宜選択することによりバインダーの屈折率を1.5〜2とし、光散乱粒子(A)とのを屈折率差を0.1以上にすることが可能である。
また、第1の態様の光散乱層用樹脂組成物は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜35質量%含むことが好ましく、光散乱粒子(A)を10〜25質量%、金属酸化物微粒子(B)を20〜75質量%、分散剤(C)を5〜30質量%含むことがより好ましく、光散乱粒子(A)を15〜25質量%、金属酸化物微粒子(B)を30〜70質量%、分散剤(C)を10〜25質量%含むことがさらに好ましい。
光散乱粒子(A)の量は光散乱効果の発現と光散乱層の平坦性確保の点で重要である。金属酸化物微粒子(B)の量は粒子同士の凝集抑制や形成される光散乱層の強度確保の点で重要である。分散剤(C)の量は金属酸化物微粒子(B)の分散安定化の点で重要である。
<エチレン性不飽和単量体(D)>
第2〜4の態様の光散乱層用樹脂組成物に用いるエチレン性不飽和単量体(D)について説明する。
エチレン性不飽和単量体(D)は、エチレン性不飽和二重結合を有するものであり、質量平均分子量(Mw)が5000未満であり、200以上5000未満であることが好ましい。エッチャント耐性、架橋密度及び密着性を向上させるため、エチレン性不飽和単量体(D)の二重結合当量が80g/mol以上140g/mol以下であることが特に好ましい。
なお、エチレン性不飽和二重結合を有するものであって、質量平均分子量(Mw)が5000以上のものは後述する樹脂(E)とする。
二重結合当量が80g/mol以上140g/mol以下であるエチレン性不飽和単量体(D)としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.4−ブタンジオールジ(メタ) アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、およびジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレート等の脂肪族多官能(メタ)アクリレート;
ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート等の多官能型脂環式(メタ)アクリレート;
その他、二重結合当量が80g/mol以上140g/mol以下で2官能以上のポリウレタンエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらは1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
市販品としては、M−350(トリメチロールプロパンエチレンオキサイド 変性トリアクリレート)、M−450(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート)、M−402(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート)(東亜合成社製)、ビスコート#802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレート(大阪有機化学工業社製)、カヤラッドDPCA30、カヤラッドDPCA60(カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ−ト)(日本化薬社製)などが挙げられるが、かならずしもこれらに限定されるものではない。
<樹脂(E)>
第2〜4の態様の光散乱層用樹脂組成物に用いる、樹脂(E)について説明する。
樹脂(E)は、質量平均分子量(Mw)が5000以上であって、発光層から放出される光、例えば、可視光線、近赤外線あるいは近紫外線等の所定の波長帯域の光に対して透光性を有する樹脂であれば特に制限されない。質量平均分子量(Mw)は20000未満であることが好ましい。
例えば、有機EL装置においては、透光性基板上に、透光性電極、発光層を含む有機層、および背面電極を順次積層して製造する。この際、各層間の密着性は、有機EL装置の性能を左右する重要なポイントである。中でも、基材と透光性電極間の密着性は特に重要である。例えば、透光性電極を形成する工程では、電極の抵抗値を下げるための高温処理、および電極パターン形成のためのエッチング処理を行い、さらに形成した透光性電極上に有機層を積層する前に、不純物除去のための溶剤等による洗浄を行う。この際、基材と透光性電極の密着性が低い場合、透光性電極に微細な亀裂あるいは剥離が生じ、結果、有機EL装置を発光させた際、ダークスポット、輝度ムラ、あるいは寿命低下を引き起こしてしまう。
樹脂(E)の質量平均分子量(Mw)が5000以上であることにより、光散乱層の耐薬品性を向上し、有機層を積層する前の溶剤洗浄工程で光散乱層あるいは透光性電極の剥離を効果的に抑制・防止できる。また、質量平均分子量(Mw)が20000以下の樹脂(E)を用いることにより、光散乱層用樹脂組成物を低粘度にでき、光散乱粒子(A)あるいは金属酸化物微粒子(B)の凝集を抑制・防止し、光散乱層の表面をより平滑にでき、透光性電極を形成する際のショートを抑制・防止し、寿命を延ばすことができる。
本明細書における「質量平均分子量(Mw)」は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した値であり、例えば、昭和電工(株)社製のゲル浸透クロマトグラフィーGPC−101で測定できる。
樹脂(E)としては、熱可塑性、熱硬化性、可視光線または紫外線または赤外線等による光(電磁波)硬化性、電子線照射による電子線硬化性等の硬化性樹脂が好適に用いられる。
このような樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミド、フェノール− ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、メチルメタクレート・スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリ−4−メチルペンテン、ノルボルネン系ポリマー、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびシリコーン樹脂等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。これらは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
樹脂(E)の5%熱分解温度は200℃以上が好ましい。
本明細書における「5%熱分解温度」とは、加熱により5%の質量が減少したときの温度を示し、熱質量測定で測定した値である。例えば、セイコーインスツルメンツ(株)社製の示差熱熱質量同時測定装置EXSTER TG/DTA6300で測定できる。樹脂(E)の5%熱分解温度が200℃未満であると、耐熱性が低く、透光性電極の積層工程で充分に加熱できず、電極の抵抗値が下げられないおそれがある。
樹脂(E)は、透光性、およびエッチャント耐性の観点から、主鎖または側鎖に環状骨格を含むことが好ましい。ここで言う「環状骨格」とは、脂肪族環、芳香族環、および、O原子および/またはN原子を含む複素環である。
具体的には、
水添ビスフェノールA骨格、シクロヘキシル骨格、ノルボルネン骨格、およびアダマンタン骨格等の脂肪族環;
フェニル基、フェニレン基、インデン、ビスフェノールA骨格、およびフルオレン骨格等の芳香族環;
テトラヒドロフラン骨格、フラン骨格、テトラヒドロピラン骨格、ピラン骨格、イソシアヌレート骨格、およびオキサゾリドン骨格等のO原子および/またはN原子を含む複素環から選ばれる1種または2種以上の環状骨格を有する、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、およびアクリル樹脂等が挙げられる。
中でも、アクリル樹脂が耐熱性、耐光性の点から好適に使用される。
樹脂(E)は、エチレン性不飽和二重結合および/または架橋性基を有していることが好ましく、これにより、耐熱性、および耐薬品性が向上する。また、樹脂(E)はアルカリ可用性基を含むことができ、これにより現像性を付与することが出来る。
エチレン性不飽和二重結合としては、(メタ)アクリレート基、およびマレイミド基のような不飽和基が挙げられる。
また、架橋性基としては、熱架橋性基あるいは紫外線または電子線架橋性基を有することが好ましい。熱架橋性部位としては、水酸基、エポキシ基、オキセタニル基、酸(カルボキシル)基、およびイソシアネート基が挙げられる。紫外線または電子線架橋性部位としては、エポキシ基、およびオキセタニル基などが挙げられる。これらは、1種または2種以上用いることができる。
樹脂(E)は、(メタ)アクリレート基、およびマレイミド基のような不飽和基を含有することが好ましく、その二重結合当量は400(g/mol)以上1600(g/mol)以下が好ましい。樹脂(E)の二重結合当量が400(g/mol)以上であると、樹脂の硬化収縮が抑制でき、透光性電極に微細な亀裂あるいは剥離が生じ難くなる。一方、二重結合当量が1600(g/mol)以下であると架橋密度が大きくなり、エッチング耐性が向上し、有機層積層前の溶剤洗浄工程での光散乱層あるいは透光性電極の剥離が抑制・防止できる。
本発明の光散乱層用樹脂組成物における樹脂(E)として好適なエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂を得る方法としては、特に制限はない。
例えば、水酸基、エポキシ基、酸(カルボキシル)基、およびイソシアネート基の中から選ばれる1種または2種以上の官能基を有するエチレン性不飽和単量体を含む不飽和単量体成分を重合させてなる共重合体中の官能基を、この官能基と反応可能な官能基およびエチレン性不飽和二重結合を有するエチレン性不飽和単量体で変性する方法が挙げられる。
共重合体の官能基と、変性に使用するエチレン性不飽和単量体の官能基の組み合わせは特に制限は無いが、例えば、水酸基とイソシアネート基、水酸基とエポキシ基、およびエポキシ基と酸(カルボキシル)基等が挙げられる。
(水酸基を有するエチレン性不飽和単量体)
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、およびシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
(エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体)
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル−α−エチルアクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、およびグリシジルビニルエーテルなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。中でも、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
(酸(カルボキシル)基を有するエチレン性不飽和単量体)
酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、またはシアノ置換体等のモノカルボン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(不飽和一塩基酸);
テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、および無水マレイン酸等の多塩基酸無水物等が挙げられる。
これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
(イソシアネート基を有する不飽和単量体)
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、および1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂(E)を構成するその他のエチレン性不飽和単量体成分としては、エチレン性不飽和基を有するものであれば特に制限は無いが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、N−ビニルピロリドン、スチレン類、アクリルアミド類、その他のビニル化合物、およびマクロモノマー類が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
中でも、前述したように、樹脂(E)の主鎖または側鎖に環状骨格を導入するエチレン性不飽和単量体を共重合することが好ましい。
主鎖に環状骨格を導入するエチレン性不飽和単量体としては、
インデン、ベンゾフラン、ノルボルネン、およびシクロヘキセン等の環状ジエン類;
および、
ビニルシクロプロパン等のメタクリル酸エステル類との共重合時に分子内環化反応が進行し、主鎖に五または六員環が形成される単量体等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
側鎖に環状骨格を導入するエチレン性不飽和単量体としては、
イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、および1−アダマンダン(メタ)アクリレート等の脂肪族環含有(メタ)アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、およびパラクミルEO変性(メタ)アクリレート等の芳香族環含有(メタ)アクリレート;
スチレンおよびその誘導体、メチルスチレン等のスチレン類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)(メタ)アクリレート、(2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)(メタ)アクリレート、(1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカ−2−イル)(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、およびオキサゾリドン(メタ)アクリレート等のO原子および/またはN原子を含む複素環含有(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
主鎖または側鎖に環状骨格を導入するエチレン性不飽和単量体の割合は、特に制限されないが、樹脂(E)を構成する単量体の合計100質量%に対して、5〜50質量%が好ましい。主鎖または側鎖に環状骨格を導入するエチレン性不飽和単量体の量が上記範囲にあることにより、重合の制御および分子量の制御がし易くなり、エッチャント耐性も確保できる。
主鎖または側鎖に環状骨格を含むエチレン性不飽和単量体以外の共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、および2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;
(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、および酢酸ビニル等のビニル化合物;
等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
樹脂(E)の5%熱分解温度、二重結合当量は、共重合および変性に使用するエチレン性不飽和単量体の種類と配合によって制御できる。質量平均分子量(Mw)は、重合開始剤の種類とその量などの重合条件によって制御することが可能である。
樹脂(E)は、使用するエチレン性不飽和単量体の種類と配合により、任意の物性を付与することが可能である。
例えば、樹脂(E)に、現像性を付与する場合、アルカリ可溶性を発現するために、カルボキシル基などの酸基を導入する。酸基の導入方法としては、特に制限されないが、上述した酸基を有するエチレン性不飽和単量体を含む共重合体を、酸基が残存するように変性を行う方法、あるいは、上述した水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を含む共重合体を、上述した多塩基酸無水物で変性する方法等が挙げられる。
現像性を付与する場合、樹脂(E)の酸価は、30mgKOH/g以上200mgKOH/g未満が好ましい。酸価が30mgKOH/g未満であると充分な現像性を確保できず、200mgKOH/g以上であると後述するシラン化合物の加水分解を促進し、光散乱層の密着性が経時と共に低下するおそれがある。
本明細書で言う「光散乱層の密着性」(以下、単に「密着性」という場合もある。)とは、透光性基板および透光性電極に対する光散乱層の密着性である。
樹脂(E)の合成では、重合開始剤の存在下、不活性ガス気流下、一般的には50〜150℃で2〜10時間かけて、前記エチレン性不飽和単量体の共重合および変性を行う。重合反応の方法としては、特に制限はなく、従来公知の各種重合方法を採用することができるが、特に、溶液重合法によることが好ましい。
重合温度および下記式で定義される重合濃度は、使用する単量体成分の種類、比率、および目標とするポリマーの分子量によって異なるが、好ましくは、重合温度40〜150℃、重合濃度5〜50%であり、さらに好ましくは、重合温度60〜130℃、重合濃度10〜40%である。
重合濃度(%)=[単量体成分の全質量/(単量体成分の全質量+溶媒質量)]×100
樹脂(E)の合成に用いる重合開始剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物等が使用できる。
有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、およびt−ブチルパーオキシベンゾエート等が例示できる。
また、アゾ化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
重合開始剤は、上記エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部の範囲で使用される。
樹脂(E)の合成に用いる溶剤としては、水、水混和性有機溶剤、酢酸エステル、ケトン類、キシレン、およびエチルベンゼンなどが挙げられる。
水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびn−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤、および、エチレングリコールまたはジエチレングリコールのモノまたはジアルキルエーテル等が挙げられる。
酢酸エステルとしては、エチルセルソルブアセテート、およびメトキシプロピルアセテートなどが例示できる。
ケトン類としては、シクロヘキサノン、およびメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
次に、第2〜4の態様の光散乱層用樹脂組成物について説明する。
<第2の態様>
第2の態様の光散乱層用樹脂組成物は、エチレン性不飽和単量体(D)を含み、樹脂(E)を含まない。
第2の態様において、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とエチレン性不飽和単量体(D)とを含む組成物(以下、「第2の態様におけるバインダー」ともいう)の屈折率は1.65以上であることが好ましい。
バインダーの屈折率、および光散乱粒子(A)との屈折率差については、第1の態様の場合と同様である。
また、第2の態様の光散乱層用樹脂組成物は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、エチレン性不飽和単量体(D)を1〜30質量%含むことが好ましく、(A):10〜25質量%、(B):20〜75質量%、(C):5〜20質量%、(D):1〜20質量%を含むことがより好ましく、(A):15〜25質量%、(B):30〜70質量%、(C):10〜20質量%、(D):3〜15質量%を含むことがさらに好ましい。
光散乱粒子(A)の量は光散乱効果の発現と光散乱層の平坦性確保の点で重要である。金属酸化物微粒子(B)の量は粒子同士の凝集抑制や形成される光散乱層の強度確保の点で重要である。分散剤(C)の量は金属酸化物微粒子(B)の分散安定化の点で重要である。エチレン性不飽和単量体(D)の量は、投光性電極と光散乱層との密着性向上と、エッチャント耐性向上の点で重要である。
<第3の態様>
また、第3の態様の光散乱層用樹脂組成物は、樹脂(E)をさらに含み、エチレン性不飽和単量体(D)を含まない。
第3の態様において、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)と樹脂(E)とを含む組成物(以下、「第3の態様におけるバインダー」ともいう)の屈折率は、1.65以上であることが好ましい。
バインダーの屈折率、および光散乱粒子(A)との屈折率差については、第1、第2の態様の場合と同様である。
また、第3の態様の光散乱層用樹脂組成物は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、樹脂(E)を1〜20質量%含むことが好ましく、(A):10〜25質量%、(B):20〜75質量%、(C):5〜20質量%、(E):1〜15質量%を含むことがより好ましく、(A):15〜25質量%、(B):30〜70質量%、(C):10〜20質量%、(E):2〜10質量%を含むことがさらに好ましい。
光散乱粒子(A)の量は光散乱効果の発現と光散乱層の平坦性確保の点で重要である。金属酸化物微粒子(B)の量は粒子同士の凝集抑制や形成される光散乱層の強度確保の点で重要である。分散剤(C)の量は金属酸化物微粒子(B)の分散安定化の点で重要である。樹脂(E)の量は、光散乱層の硬化収縮の抑制、透光性電極の微細な亀裂や剥離の抑制、およびエッチャント耐性の向上という点で重要である。
また、第4の態様の光散乱層用樹脂組成物は、エチレン性不飽和単量体(D)および樹脂(E)をさらに含む。
第4の態様は、金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とエチレン性不飽和単量体(D)と樹脂(E)とを含む組成物(以下、「第4の態様におけるバインダー」ともいう)の屈折率は1.65以上であることが好ましい。
バインダーの屈折率、および光散乱粒子(A)との屈折率差については、第1〜第3の態様の場合と同様である。
また、第4の態様の光散乱層用樹脂組成物は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、エチレン性不飽和単量体(D)を1〜30質量%、樹脂(E)を1〜20質量%含むことが好ましく、(A):10〜25質量%、(B):20〜75質量%、(C):5〜20質量%、(D):1〜20質量%、(E):1〜15質量%を含むことがより好ましく、(A):15〜25質量%、(B):30〜70質量%、(C):10〜20質量%、(D):3〜15質量%、(E):2〜10質量%を含むことがさらに好ましい。
光散乱粒子(A)の量は光散乱効果の発現と光散乱層の平坦性確保の点で重要である。金属酸化物微粒子(B)の量は粒子同士の凝集抑制や形成される光散乱層の強度確保の点で重要である。分散剤(C)の量は金属酸化物微粒子(B)の分散安定化の点で重要である。エチレン性不飽和単量体(D)の量は、投光性電極と光散乱層との密着性向上と、エッチャント耐性向上の点で重要である。樹脂(E)の量は、光散乱層の硬化収縮の抑制し、透光性電極の微細な亀裂や剥離の抑制、およびエッチャント耐性の向上という点で重要である。
なお、各態様におけるバインダーを区別することなく単にバインダーということもある。
<シラン化合物>
バインダー組成物は、シラン化合物を含むことが出来る。本発明に用いられるシラン化合物を含むことにより、透光性基板あるいは透光性電極と光散乱層との密着性が向上する。
本発明で用いられるシラン化合物の質量平均分子量(Mw)は、100以上5000未満が好ましい。シラン化合物の質量平均分子量(Mw)が100未満の場合、充分な密着性が得られない場合があり、5000以上の場合、エッチャント耐性が悪化するため好ましくない場合がある。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)ブチルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルメチルジエトキシシラン、(3−カルバメートペンチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートオクチル)ペンチルトリブトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルシリルトリクロライド、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルジメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリブチルシラン、(3−カルバメートエチル)エチル-p-キシレントリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)-p-フェニレントリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートプロピル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリメトキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)ブチルトリプロパキシシラン、(3−カルバメートブチル)プロピルメチルジエトキシシラン、(3−カルバメートペンチル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3−カルバメートオクチル)ペンチルトリブトキシシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルシリルトリクロライド、(3−カルバメートエチル)プロピルトリメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルジメチルシラン、(3−カルバメートエチル)プロピルトリブチルシラン、(3−カルバメートエチル)エチル-p-キシレントリエトキシシラン、(3−カルバメートエチル)-p-フェニレントリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、
3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらのシランカップリング剤は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
またシランカップリング剤は、上記化合物の加水分解により生じたシラノール化合物であっても、それらが縮合したポリオルガノシロキサン化合物でも良い。
バインダー組成物中に含まれる樹脂との反応性の観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン「KBM−403」)、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン「KBM−503」)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン「KBM−573)、(3−カルバメートエチル)プロピルトリエトキシシラン、または(3−カルバメートエチル)プロピルトリメトキシシランが好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
本発明の光散乱層用樹脂組成物で用いられるシラン化合物の使用量は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、3質量%以上50質量%未満であるのが好ましく、10〜40質量%がより好ましい。3質量%未満では充分な密着性が得られず、50質量%を超えると透過率が低下する場合がある。
<光重合開始剤>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、重合開始剤を配合しなくても熱重合させることができる。しかし、UV光で短時間に硬化させたい場合、または、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型の感光性光散乱層用樹脂組成物としてフォトリソグラフィー法により光散乱層を形成したい場合などには、バインダー組成物に光重合開始剤を添加することができる。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、および2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤;
1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)、および、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、および4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤;
チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、および2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤;
2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、および2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤;
ボレート系光重合開始剤;
カルバゾール系光重合開始剤:
およびイミダゾール系光重合開始剤等が用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
これらを単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
光重合開始剤の市販品の具体例としては、BASF社製イルガキュア907、イルガキュアOXE01、イルガキュアOXE02等が挙げられる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
中でも、オキシムエステル系の光重合開始剤は感度が高いため添加量が少なくてよく、光散乱層の透過率が高くなることから好ましい。さらには、1,2−オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(o−ベンゾイルオキシム)が、加熱工程時に黄変しないため、透過率が高い光散乱層を提供することができるため、より好ましい。
光重合開始剤は、光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、1〜30質量%の量で用いることが好ましく、透過率の観点から1〜10質量%の量で用いることがより好ましい。
バインダー組成物は、さらに増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、および4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等を含むことができる。
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1〜150質量部の量で用いることができる。
バインダー組成物は、その他必要に応じて、単官能単量体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、レベリング剤、および光安定剤などを含むこともできる。
<熱反応性化合物>
本発明の光散乱層用樹脂組成物は、塗膜耐久性を更に付与すべく、更に熱反応性化合物を添加する事が出来る。前記熱反応性化合物は、常温下では非反応性であるが、例えば、100℃以上(好ましくは150℃以上)の温度で、架橋反応、重合反応、重縮合反応、又は重付加反応性を示す化合物である。熱反応性化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜2000、より好ましくは100〜1000である。
熱反応性化合物としては、例えば、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上を用いることができる。特に好ましくは、少なくともメラミン化合物もしくはベンゾグアナミン化合物を含む熱反応性化合物である。
メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基を有するものが挙げられる。その中でも、アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物が好ましい。アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物を用いた場合、本発明の光散乱層用樹脂組成物の保存安定性が著しく向上する。
アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン、テトラメトキシメチロールベンゾグアナミン、テトラブトキシメチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
メラミン化合物の市販品の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MS−001、MX−002、MX−730、MX750、MX−708、MX−706、MX−042、MX−035、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−417、MX−410、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、207、マイコート506、508、212、715などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のメラミン化合物である、三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、238、マイコート506、508である。
ベンゾグアナミン化合物の市販品の具体例としては、例えば、三和ケミカル社製ニカラックBX−4000、SB−401、BX−37、SB−355、SB−303、SB301、BL−60、SB−255、SB−203、SB−201、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123、マイコート105、106、1128などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のベンゾグアナミン化合物である、三和ケミカル社製ニカラックBX−4000、SB−401、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123である。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルo−フタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオールのグリシジルエーテル、ポリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
フェノール化合物としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させたノボラック型フェノール化合物、塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール化合物どちらも用いることができる。フェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等を挙げることができる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを挙げることができる。フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
ブロック化イソシアネート化合物のイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト型、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)及びイソシアネート残基を有するウレトジオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
ブロック化イソシアネート化合物のブロック剤としては、例えば、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、又は活性メチレン(100〜120℃)等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
<レベリング剤>
本発明の光散乱用樹脂組成物は、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、BYK−323、BYK−330、BYK−348などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は通常、無機微粒子分散体の合計100質量%中、0.003〜0.5質量%用いることが好ましい。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
<製造方法>
本発明の光散乱層用樹脂組成物の製造方法は特に限定されるものではなく、粒子と樹脂を均一に混合するのに用いられる方法であれば良く、通常用いられる従来公知の方法で何ら構わない。
例えば、本発明の光散乱層用樹脂組成物を構成する各成分をそれぞれ独立して作製し、その後に混合あるいは混練する方法、予め作成した光散乱粒子(A)、金属酸化物微粒子(B)、分散剤(C)を一度に混合し、必要に応じてその他の成分を加える方法などが挙げられる。
分散安定性の観点からは、光散乱粒子(A)分散液単体と、分散剤(C)によって金属酸化物微粒子(B)を分散させた金属酸化物微粒子分散体とを予め得ておき、これらを混合した後、必要に応じてその他の成分とを均一に混合する方法が好ましい。または、光散乱粒子(A)分散液を分散剤(C)によって分散させたものと、分散剤(C)によって金属酸化物微粒子(B)を分散させた金属酸化物微粒子分散体とを予め得ておき、これらを混合した後、必要に応じてその他の成分とを均一に混合する方法が好ましい。
「光散乱層」
本発明の光散乱層は、上記の本発明の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成されたものである。
本発明の光散乱層は、例えば、ガラスなどの透光性基板上に光散乱層用樹脂組成物を塗布、および乾燥し、得られた塗膜を加熱、あるいは紫外線や電子線等の照射を施し硬化させることによって得られる。
塗工方法としては、公知の方法を用いることができ、
例えばロットまたはワイヤーバーなどを用いた方法;
および、マイクログラビアコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティング、カーテンコーティング、リップコーティング、スロットコーティングまたはスピンコーティングなどの各種コーティング方法を用いることができる。
光散乱層用樹脂組成物を用いて、光散乱層を透光性基板上にパターニングする場合は、1)印刷方式により透光性基板上に直接パターニングを行う方法 と、2)フォトリソグラフィー方式によりパターニングを行う方法を用いることが出来る。
1)印刷方式では、フレキソ印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、オフセット印刷、反転オフセット印刷、スクリーン印刷、凸版印刷、インクジェット印刷等の通常の印刷方式で行うことができる。
2)フォトリソグラフィー方式では、感光性の光散乱層用樹脂組成物を使用する。その場合、2−1)本発明の光散乱層用樹脂組成物を透光性基板に直接塗布、乾燥させた後、もしくは 2−2)フィルム基材(以下セパレートフィルムと称す)上に溶剤に溶解させた上記樹脂組成物を塗工後、溶剤を乾燥させることにより得られる感光性ドライフィルムを、透光性基板に張り合わせたのち、ラミネートや真空ラミネートによって、透光性基板への密着および気泡等の除去を行う事により光散乱層を形成した後に、溶液現像またはアルカリ現像工程によってパターン形成を行う。
光散乱層の厚みは特に限定されないが、通常、0.5〜20μmであることが好ましい。
また、本発明の光散乱層を、有機EL装置に適用した場合、光散乱層の屈折率の波長依存性が大きいと、各色画素で輝度が変わりホワイトバランスが崩れるという問題が生じるため、当該光散乱層は、各波長での屈折率の差が少ないことが好ましい。具体的には、
プリズムカプラー(Metricon社製 Prism Coupler 2010/M)により測定した波長473nm、594nm、633nmでの屈折率をそれぞれn(473)、n(594)、n(633)とするとき、n(473)/n(594)、n(633)/n(594)の値が0.2〜2.0であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜1.5であることが好ましく、更に好ましくは0.95〜1.05であることが好ましい。
「有機EL装置」
本発明の有機EL装置は、光散乱層用樹脂組成物から形成される光散乱層を具備する有機EL素子を含むものである。有機EL素子の構造は特に限定されないが、基本構造の例として、透光性基板上に、透光性電極、発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)、背面電極、TFT基板を順次積層し、陽極側から光を取り出すボトム・エミッションという構造が挙げられる。また、もう一つの例として、TFT基板上に、背面電極、発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)、透光性電極、封止層を順次積層し、陰極側から光を取り出すトップ・エミッションという構造が挙げられる。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の有機EL装置の構造について説明する。図1は、本実施形態の1つの例であるボトム・エミッション構造の模式断面図である。
本実施形態の有機EL装置1は、透光性基板11上に、光散乱層12と、透光性を有する第1の電極(陽極、透光性電極)13と、発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)14と、光反射性を有する第2の電極(陰極、背面電極)15とが順次積層されたものである。
光散乱層12が、上記の本発明の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成された層である。
有機EL装置は、有機EL照明装置または有機EL表示装置等に利用できる。
アクティブマトリクス型の有機EL表示装置では、異なる複数の色を発光する複数の発光層がマトリクス状にアレイ形成される。また、ドットごとに第2の電極(陰極、背面電極)15からなる画素電極とそのスイッチング素子であるTFT(薄膜トランジスタ)が形成されたTFT基板が備えられる。
本発明の光散乱層が具備される部位として、例えば以下のような場合が考えられる。
ボトム・エミッション構造の場合、例えば以下のような場合が考えられる。
(1)透光性基板/光散乱層/透光性電極/有機EL層/背面電極
(2)光散乱層/透光性基板/透光性電極/有機EL層/背面電極
(3)光散乱層/透光性基板/光散乱層/透光性電極/有機EL層/背面電極
トップ・エミッション構造の場合、例えば以下のような場合が考えられる。
(4)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/光散乱層/保護基板
(5)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/封止層/光散乱層/保護基板
(6)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/封止層/保護基板/光散乱層
(7)基板/背面電極/有機EL層/透光性または半透光性電極/光散乱層/保護基板/光散乱層
このとき透光性基板と透光性電極との間に光散乱層を具備した有機EL素子を含むものが、光取り出し効率の観点からより好ましい。
ボトム・エミッション構造の製造方法としては、上記のように透光性基板上に光散乱層を設けた後、光散乱層の上に透光性電極を形成する。透光性電極の材料としては、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、またはこれらの混合物などを用いることができ、好ましくは仕事関数が4eV以上の材料である。
具体例としては、
酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、および酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物;
金、銀、クロム、およびニッケル等の金属;
ヨウ化銅および硫化銅などの他の無機導電性物質;
ポリアニリン、ポリチオフェン、PEDOT/PSS、およびポリピロールなどの有機導電性物質;
およびこれらの混合物または積層物などが挙げられる。
好ましくは導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、および透光性等の点からITOが好ましい。
また、透光性を保ちながら有機EL層への電子あるいは正孔の注入性を制御するために、金属類とITOを積層して透光性電極とすることも可能である。ここで、極薄の金属の厚さとしては0.1nm〜20nmが透光性を保つ観点で好ましい。また、ここで言う金属類としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
この中で、好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびその混合金属等である。
透光性電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常50nm 〜300nm程度が好ましい。
透光性電極の形成方法としては、電子ビーム法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法など)、および溶解物や分散物の塗布などの方法が用いられる。
形成した透光性電極は、所望に応じて、エッチング処理を行い、パターンを形成する。さらに、洗浄その他の処理により、装置の駆動電圧を下げたり、発光効率を高めることも可能である。例えばITOの場合、UV−オゾン処理などが効果的である。
次に、上記のように光散乱層の表面に透光性電極を設けた後、透光性電極の表面に有機EL層を形成する。
有機EL層は発光層を含み、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、または電子輸送層などを含んでいてもよい。これらの各層はそれぞれ他の機能を備えたものであってもよい。
正孔注入層、および正孔輸送層の材料は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであればよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ( N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、およびポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー等が挙げられる。
発光層の材料は、電界印加時に、陽極、正孔注入層または正孔輸送層から正孔を注入することができると共に、陰極、電子注入層、または電子輸送層から電子を注入することができる機能、注入された電荷を移動させる機能、および、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層を形成することができるものであれば何でもよい。
例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、および8 − キノリノール誘導体の金属錯体または希土類錯体に代表される各種金属錯体;
および、
ポリチオフェン、ポリフェニレン、およびポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物等が挙げられる。
発光層となる発光材料の具体例を下記に挙げるが、以下の具体的に例示したものに限定されるものではない。
青色の発光は、例えば、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略:TBP)、および9,10−ジフェニルアントラセン誘導体などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略:DPVBi)などのスチリルアリーレン誘導体、9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略:DNA)、および9,10−ビス(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略:t−BuDNA)などのアントラセン誘導体から得ることもできる。また、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)等のポリマーを用いてもよい。
緑色の発光は、クマリン30、クマリン6などのクマリン系色素、ビス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジナト]ピコリナトイリジウム(略:FIrpic)、およびビス(2−フェニルピリジナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(ppy)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。また、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略:Alq3)、BAlq、Zn(BTZ)、およびビス(2−メチル−8−キノリノラト)クロロガリウム(略:Ga(mq)2Cl)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
橙色から赤色の発光は、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン(略:DCM1)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(9−ジュロリジル)エチニル−4H−ピラン(略:DCM2)、4−(ジシアノメチレン)−2,6−ビス[p−(ジメチルアミノ)スチリル]−4H−ピラン(略:BisDCM)、ビス[2−(2−チエニル)ピリジナト]アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(thp)2(acac))、およびビス(2−フェニルキノリナト)アセチルアセトナトイリジウム(略:Ir(pq)(acac))などをゲスト材料として用いることによって得られる。ビス(8−キノキリノラト)亜鉛(略:Znq2)、ビス[2−シンナモイル−8−キノリノラト]亜鉛(略:Znsq2)などの金属錯体からも得ることができる。また、ポリ(2,5−ジアルコキシ−1,4−フェニレンビニレン)等のポリマーを用いてもよい。
白色の発光は、有機EL積層構造体の各層のエネルギー準位を規定し、トンネル注入を利用して発光させるもの(欧州特許第0390551号公報)、同じくトンネル注入を利用する素子で実施例として白色発光素子が記載されているもの(特開平3−230584号公報)、二層構造の発光層が記載されているもの(特開平2−220390号公報および特開平2−216790号公報)、発光層を複数に分割してそれぞれ発光波長の異なる材料で構成されたもの(特開平4−51491号公報)、青色発光体(蛍光ピ−ク380〜480nm)と緑色発光体(480〜580nm)とを積層させ、さらに赤色蛍光体を含有させた構成のもの(特開平6−207170号公報)、青色発光層が青色蛍光色素を含有し、緑色発光層が赤色蛍光色素を含有した領域を有し、さらに緑色蛍光体を含有する構成のもの(特開平7−142169号公報)等が挙げられる。
電子注入層および電子輸送層の材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、または陽極から注入された正孔を障壁する機能を有しているものであればよい。
具体例としては、
トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、シロール誘導体、フタロシアニン誘導体、および8−キノリノール誘導体の金属錯体;
メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾール、およびベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等が挙げられる。
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層および電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常10nm〜500nmが好ましい。各層は単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複層構造であってもよい。
これらの層の形成方法は特に限定されるものではないが、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、分子積層法、コーティング法(スピンコート法、キャスト法、およびディップコート法など)、およびLB(Langmuir Blodgett)法などの方法が用いられる。好ましくは抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法である。
最後に、有機EL層の表面に背面電極を形成する。
負極である背面電極は、電子注入層、電子輸送層、または発光層などに電子を供給するものであり、隣接する層との密着性、イオン化ポテンシャル、および安定性等を考慮して選ばれる。
背面電極は光反射性を有することが好ましい。
背面電極の材料としては、金属、合金、導電性金属酸化物、他の導電性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。
具体例としては、
アルカリ金属(例えばLi、Na、およびK等)およびそのフッ化物;
アルカリ土類金属(例えばMg、およびCa等)およびそのフッ化物;
金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、およびこれらを含む混合金属;
リチウム−アルミニウム合金およびこれを含む混合金属;
LiF/Al合金およびこれを含む混合金属;
マグネシウム−銀合金およびこれを含む混合金属;
インジウム、およびイッテリビウム等の希土類金属等が挙げられる。
好ましくは仕事関数が4eV以下の材料であり、より好ましくはアルミニウム、リチウム−アルミニウム合金およびそれらの混合金属、マグネシウム−銀合金およびその混合金属等である。
また、光反射性を保ちながら有機層への電子あるいは正孔の注入性を制御するために、上記の背面電極の材料とITOを積層して背面電極とすることも可能である。
背面電極の膜厚は材料により適宜選択可能であるが、通常100nm〜1μmが好ましい。背面電極の作製には、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、およびコーティング法などの方法が用いられる。金属を単体で蒸着することも、二成分以上を同時に蒸着することもできる。複数の金属を同時に蒸着して合金電極を形成することも可能であり、またあらかじめ調整した合金を蒸着させてもよい。
トップ・エミッション構造の製造方法としては、TFT等の基板上に背面電極、有機EL層、透光性電極、光散乱層を順次積層する方法が挙げられる。ここで記載する背面電極、有機EL層、透光性電極、光散乱層の材料、積層法等はボトム・エミッションの製造方法で述べたものと同じものを使用することができる。
また、上記有機EL素子の温度、湿度、雰囲気等に対する安定性向上のために、素子の表面や層間に保護層を設けたり、樹脂等により素子全体を被覆や封止を施したりしても良い。特に素子全体を被覆や封止する際には、溶融ガラスや光によって硬化する光硬化性樹脂等が好適に使用される。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子に印加する電流は通常、直流であるが、パルス電流や交流を用いてもよい。電流値、電圧値は、素子破壊しない範囲内であれば特に制限はないが、素子の消費電力や寿命を考慮すると、なるべく小さい電気エネルギーで効率良く発光させることが望ましい。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子の駆動方法は、パッシブマトリクス法のみならず、アクティブマトリックス法での駆動も可能である。これらの方法や技術は、城戸淳二著、「有機ELのすべて」、日本実業出版社(2003年発行)に記載されている。
上記のように形成される有機EL装置の透光性電極と背面電極との間に電圧を印加することによって有機EL層で発光した光は、透光性電極から、光散乱層を透過し、さらに透光性基板を透過して取り出される。有機EL層で発光した光が光散乱層を通過する際に、光が散乱されて指向性が変化し、全反射された光が導波することが抑制される。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は種々の形態においても適用可能である。
例えば、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、フルカラー表示素子としても利用可能である。
フルカラー化方式の主な方式としては、3色塗り分け方式、色変換方式、カラーフィルター方式が挙げられる。3色塗り分け方式では、シャドウマスクを使った蒸着法や、インクジェット法や印刷法が挙げられる。また、特表2002−534782や、S.T.Lee, et al., Proceedings of SID’02, p.784(2002)に記載されているレーザー熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI法ともいわれる)も用いることができる。色変換方式では、色発光の発光層を使って、蛍光色素を分散した色変換(CCM)層を通して、色より長波長の緑色と赤色に変換する方法である。カラーフィルター方式では、白色発光の有機EL発光素子を使って、液晶用カラーフィルターを通して3原色の光を取り出す方法であるが、これら3原色に加えて、一部白色光をそのまま取り出して発光に利用することで、素子全体の発光効率をあげることもできる。
さらに、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、マイクロキャビティ構造を採用しても構わない。これは、有機EL素子は、発光層が陽極と陰極との間に挟持された構造であり、発光した光は陽極と陰極との間で多重干渉を生じるが、陽極及び陰極の反射率、透過率などの光学的な特性と、これらに挟持された有機層の膜厚とを適当に選ぶことにより、多重干渉効果を積極的に利用し、素子より取り出される発光波長を制御するという技術である。これにより、発光色度を改善することも可能となる。この多重干渉効果のメカニズムについては、J.Yamada等によるAM−LCD Digest of Technical Papers,OD−2,p.77〜80(2002)に記載されている。
本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、マルチフォトンエミッション素子構造を採用しても良い。マルチフォトンエミッションとは、少なくとも一層の発光層を含む複数個の発光ユニットを、電荷発生層を介して直列に接続するように積層させた素子構造である(例えば、特許第3933591号公報参照)。このような素子構造によれば、1ユニット素子と同じ電流量で、複数の各発光層からの発光が同時に得られるため、発光ユニットの個数倍相当の電流効率および外部量子効率を得ることができる。
以上述べたように、本発明の光散乱層を具備する有機EL素子は、壁掛けテレビ等のフラットパネルディスプレイや各種の平面発光体として、さらには、複写機やプリンター等の光源、液晶ディスプレイや計器類等の光源、表示板、標識灯等への応用が考えられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。特に明記しない限り、「部」は「質量部」を表し、「%」は質量%を示す。
先ず、光散乱粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)の分散粒子径、エチレン性不飽和単量体(D)と樹脂(E)の二重結合当量、樹脂(E)の5%熱分解温度、樹脂(E)の質量平均分子量(Mw)、樹脂(E)の酸価の測定方法について説明する。
(分散粒子径)
分散粒子径は、日機装(株)社製「ナノトラックUPA」を用いて測定した。
サンプルセル内に光散乱粒子(A)または金属酸化物微粒子(B)に使用する分散媒を充填し、ブランクを測定した。次に、光散乱粒子分散液または金属酸化物微粒子(B)をこれに加え、測定可能な濃度範囲まで希釈した。動的光散乱法による測定を行い、測定サンプルの50体積%における分散粒径の値を粒子径とした。また、分散粒径のうち、600nm以上の粒子径の体積%を、粒子径600nm以上の粒子の含有量とした。
(二重結合当量)
二重結合当量とは、分子中に含まれる二重結合量の尺度となるものであり、同じ分子量の化合物であれば、二重結合当量の数値が小さいほど二重結合の導入量が多くなる。
二重結合当量は下記式により算出した。
[二重結合当量]=[二重結合を持つモノマー成分の分子量]/[二重結合を持つモノマー成分の分子中の全モノマーに対する質量比]
(5%熱分解温度)
5%熱分解温度として、セイコーインスツルメンツ(株)社製の示差熱熱質量同時測定装置EXSTER TG/DTA6300を用い、200ml/分の空気気流下、10℃/分の昇温速度にて測定し、樹脂サンプルの質量が昇温前の95%となる温度を求めた。
(質量平均分子量(Mw))
質量平均分子量(Mw)は、昭和電工(株)社製のゲル浸透クロマトグラフィーGPC−101を用いて測定した。溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、ポリスチレン換算分子量を求めた。
(酸価)
酸価(JIS酸価)は、以下の方法により求めた。
試料1gをキシレンとジメチルホルムアミドとを質量比1:1で混合した滴定溶剤に溶かした。電位差滴定法により0.1mol/Lの水酸化カリウム溶液(溶媒はエタノール)を用いて滴定した。滴定曲線上の変曲点を終点とし、水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から、下記式から酸価を算出した。
A=(B−C)×f×D/S
(式中の符号は以下の通りである。
A:酸価(mgKOH/g)、B:本試験の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、C:空試験(測定試料を用いないで測定)の水酸化カリウム溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、D:濃度換算値=5.611mg/mL(0.1mol/Lの水酸化カリウム溶液1mLの水酸化カリウム相当量)、S:試料(g))
(1)光散乱粒子(A)分散液の作製
(製造例101)
2雰囲気下、水566.7gの中に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、およびイソボルニルアクリレート5gを添加・強撹拌し、80℃に昇温し、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(以下「V−50」という)0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、80℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングにより水を除去し、固形分20質量%に調整した光散乱粒子分散液(A−1)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−1)中の光散乱粒子の平均粒子径は290nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は10%、変動係数は5%、屈折率は1.45だった。
(製造例102〜108)
仕込み組成を表1に示すものに変更した以外は、製造例101と同様の方法で光散乱粒子分散液(A−2)〜(A−8)を得た。得られた光散乱粒子分散液の平均粒子径、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率、変動係数、屈折率は表1に示した。
(製造例109)
水の量を900gとした以外は製造例102と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の光散乱粒子分散液(A−9)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−9)中の光散乱粒子の平均粒子径は120nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は4%、変動係数は5%、屈折率は1.46だった。
(製造例110)
水の量を400gとした以外は製造例2と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の光散乱粒子分散液(A−10)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−10)中の光散乱粒子の平均粒子径は305nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は12%、変動係数は6%、屈折率は1.46だった。
(製造例111)
2雰囲気下、メタノール365gおよび水201.7gの混合溶剤に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、およびイソボルニルメタリレート5gを添加・強撹拌し、60℃に昇温し、「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、60℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングによりメタノールおよび水を除去し、固形分20質量%に調整した光散乱粒子分散液(A−11)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−11)中の光散乱粒子の平均粒子径は420nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は12%、変動係数は11%、屈折率は1.46だった。
(製造例112〜120)
仕込み組成を表1に示すものに変更した以外は、製造例101と同様の方法で光散乱粒子分散液(A−12)〜(A−20)を得た。得られた光散乱粒子分散液の平均粒子径、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率、変動係数、屈折率は表1に示した。
(製造例121)
「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を1時間掛けて徐々に滴下した以外は、製造例115と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の光散乱粒子分散液(A−18)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−21)中の光散乱粒子の平均粒子径は380nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は15%、変動係数は40%、屈折率は1.46だった。
(製造例122)
メチルメタクリレートの量を45gとし、イソボルニルアクリレートを用いなかった以外は製造例1と同様の組成にて、重合およびストリッピングし、固形分20質量%の光散乱粒子分散液(A−22)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−22)中の光散乱粒子の平均粒子径は310nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は6%、変動係数は10%、屈折率は1.45だった。
(製造例123)
2雰囲気下、メタノール409.2gおよび水157.5gの混合溶剤に、トリフルオロエチルメタクリレート50g、メチルメタクリレート40g、アリルメタクリレート5g、およびアダマンチルアクリレート5gを添加・強撹拌し、40℃に昇温し、「V−50」0.167gをごく少量の水に溶解した水溶液を一気に加え、40℃で8時間重合した。重合後、メトキシプロピルアセテートを加え、ストリッピングによりメタノールおよび水を除去し、固形分20質量%に調整した光散乱粒子分散液(A−20)(アクリル樹脂粒子分散液)を作製した。
得られた光散乱粒子分散液(A−23)中の光散乱粒子の平均粒子径は620nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は15%、変動係数は15%、屈折率は1.46だった。
(製造例124)
仕込み組成を表1に示すものに変更した以外は、製造例123と同様の方法で光散乱粒子分散液(A−24)を得た。得られた光散乱粒子分散液(A−24)中の光散乱粒子の平均粒子径は632nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は18%、変動係数は12%、屈折率は1.46だった。
(製造例125)
共に、トリフルオロエチルメタクリレート:メチルメタクリレート:アリルメタクリレート:アダマンチルアクリレート=50:40:5:5(質量比)のモノマーを重合した、光散乱粒子分散液(A−4)100質量部に対し、光散乱粒子分散液(A―23)を30体積部加え、光散乱粒子分散液(A−25)を得た。得られた光散乱粒子分散液(A−25)中の光散乱粒子の平均粒子径は310nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は31%、変動係数は25%、屈折率は1.46だった。
(製造例126)
共に、トリフルオロエチルメタクリレート:メチルメタクリレート:アリルメタクリレート:シクロヘキシルアクリレート=50:40:5:5(質量比)のモノマーを重合した、光散乱粒子分散液(A−15)100質量部に対し、光散乱粒子分散液(A―24)を30体積部加え、光散乱粒子分散液(A−26)を得た。得られた光散乱粒子分散液(A−26)中の光散乱粒子の平均粒子径は390nm、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率は31%、変動係数は27%、屈折率は1.46だった。
(製造例127,128)
表1に示すように、イソボルニルアクリレート5gの代わりに、炭素数が3のアルキル鎖を有するプロピルアクリレートを5部(製造例127)、炭素数が26のアルキル鎖を有するヘキサコシルアクリレートを5部(製造例128)用いた以外は、製造例101と同様の方法で光散乱粒子分散液(A−27)、(A−28)を得た。得られた光散乱粒子分散液の平均粒子径、光散乱粒子の全量に対する600nm以上の粒子の含有率、変動係数、屈折率は表1に示した。
(2)分散剤(C)溶液の作製
(製造例201)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール1.5部、ε−カプロラクトン29.0部、触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.05部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認した後、ここにピロメリット酸無水物3.0部を加え、100℃で5時間反応させ、分散剤を得た。このようにして固形分当たりの重量平均分子量(Mn)5000の分散剤(C−1)を得た。ここにシクロヘキサノン26.0部、メトキシプロピルアセテート52.0部を添加して不揮発分30%の芳香族カルボキシル基を有する樹脂型分散剤(C−1)溶液を得た。
(製造例202)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート15.0部、2−メトキシエチルアクリレート60.0部、メタクリル酸5.0部、t−ブチルアクリレート20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をメトキシプロピルアセテート45.4部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4000であった。次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)を9.7部、メトキシプロピルアセテート31.7部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が60重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して調製し、酸価71mgKOH/g、重量平均分子量9500の分散剤(C−2)の溶液を得た。
(製造例203)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート30部、2−メトキシエチルアクリレート116部、メタクリル酸10部、t−ブチルアクリレート4.0部、n−ブチルアクリレート4.0部、t−ブチルメタクリレート36部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール3.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物7.0部、メトキシプロピルアセテート200.0部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上
の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が60重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して調製し、酸価45、重量平均分子量23000の分散剤(C−3)を得た。
(製造例204)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート15.0部、2−メトキシエチルアクリレート60.0部、メタクリル酸5.0部、t−ブチルアクリレート20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール1.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をメトキシプロピルアセテート45.4部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が25000であった。次に、ピロメリット酸二無水物(ダイセル化学工業株式会社製)を2.0部、PGMAc31.7部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が60重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加して調製し、酸価40.5mgKOH/g、重量平均分子量61000の分散剤(C−4)の溶液を得た。
(3)金属酸化物微粒子分散液(BC−1)の製造
(製造例301)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート76.6g、製造例201で得られた分散剤溶液(C−1)13.4g(約4.02gの分散剤を含む)を加えた。
得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−1)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は80nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.3%、分散剤は約28.7%である。
(製造例302)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート83.3g、製造例202で得られた分散剤溶液(C−2)6.7g(約4.02gの分散剤を含む)を加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−2)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は60nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.3%、分散剤は約28.7%である。
(製造例303)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート83.3g、製造例203で得られた分散剤溶液(C−3)6.7g(約4.02gの分散剤を含む)を加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−3)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は70nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.3%、分散剤は約28.7%である。
(製造例304)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート83.3g、製造例204で得られた分散剤溶液(C−4)6.7g(約4.02gの分散剤を含む)を加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−4)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は50nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.3%、分散剤は約28.7%である。
(製造例305)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート83.3g、市販品のJONCRYL 682(重量平均分子量1,700、酸価238mgKOH/g)を4g加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−5)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は80nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.4%、分散剤は約28.6%である。
(製造例306)
平均1次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO2)微粒子10gに、分散媒としてメトキシプロピルアセテート83.3g、市販品のJONCRYL 586(重量平均分子量4,600、酸価108mgKOH/g)を4g加えた。得られた液に対して、2段階の分散処理を行った。前分散として、ジルコニアビーズ(平均径:1.25mm)をメディアとして用い、ペイントシェイカーで1時間分散した。本分散として、ジルコニアビーズ(平均径:0.1mm)をメディアとして用い、寿工業(株)社製分散機UAM−015で7時間分散した。以上のようにして、金属酸化物微粒子分散液(BC−6)(酸化チタン微粒子分散液)を作製した。分散液中の酸化チタン微粒子の平均粒子径は80nmであった。分散液は50%の不揮発成分を含み、不揮発成分100%中に含まれる酸化チタンは約71.4%、分散剤は約28.6%である。
(4)樹脂(E)溶液の作製
(製造例401)
工程1:
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、およびガス導入管を備えた反応容器に、溶剤としてメトキシプロピルアセテート100部を入れた。この容器内に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱した。この温度を保持し、スチレン(St)5部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)15.9部、メタクリル酸(MAA)31.7部、および2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに70℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.5部をメトキシプロピルアセテート40部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続けて、共重合体を得た。
工程2:
次いで、反応容器内に乾燥空気を導入し、グリシジルメタクリレート(GMA)50部、メトキシプロピルアセテート37部、ジメチルベンジルアミン0.6部、およびメトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分35質量%の樹脂溶液(E―1)を得た。
主な反応条件(仕込み組成と反応温度)と、得られた樹脂の評価結果を表2に示す。
(製造例402〜410)
反応条件(仕込み組成と反応温度)を表2に示すものに変更した以外は、製造例401と同様の方法で樹脂溶液(E−2)〜(E−10)を得た。
表2中の各略号は以下のとおりである。
PGMEA:メトキシプロピルアセテート
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
St:スチレン
M−110:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
表2中の配合量の単位は、「部」である。
(5)光散乱層用樹脂組成物の作製
(実施例1)
光散乱粒子を2g含む光散乱粒子分散液(A−1)10gに対して、金属酸化物微粒子分散体(BC−1)16g(酸化チタンを約5.72g、および分散剤を約2.28g含む)、メトキシプロピルアセテート40.67gを加え、均一になるように撹拌および混合した。メッシュ径5μmのフィルタで濾過し、光散乱層用樹脂組成物を作製した。この組成物中の固形分の質量比は、光散乱粒子(A−1):金属酸化物微粒子分散体(BC−1)=20.0:80.0であった。このとき、金属酸化物微粒子分散体(BC−1)中の質量比は、金属酸化物微粒子(B):分散体(C)=57.2:22.8であった。
(実施例2〜63、比較例1〜8)
表3〜5に示した配合組成とした以外は実施例1と同様にして、光散乱層用樹脂組成物を得た。但し、実施例7〜10、実施例28〜39、実施例45、及び実施例59は参考例である。
表3〜5中の各略号は以下の通りである。
<分散剤(C)>
JONCRYL682:BASF社製ジョンクリル 682
JONCRYL586:BASF社製ジョンクリル 586
<エチレン性不飽和単量体(D)>
・V#802:大阪有機化学工業社製ビスコート#802
・DPCA30:サートマー社製カヤラッドDPCA30
・DPCA60:サートマー社製カヤラッドDPCA60
<シラン化合物>
・KBM−403:信越シリコーン社製KBM−403
・KBM−573:信越シリコーン社製KBM−573
<光重合開始剤>
・Irg907:BASF社製イルガキュア907
・OXE01:BASF社製イルガキュアOXE01
・OXE02:BASF社製イルガキュアOXE02
<レベリング剤>
・BYK330:ビックケミー社製BYK330。
(6)評価
得られた光散乱層用樹脂組成物は下記の装置または方法により評価を行った。評価結果を表7〜9に示す。
(バインダー組成物の屈折率、およびバインダー組成物と光散乱粒子(A)との屈折率差)
バインダー組成物をPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムにスピンコーターを用い、仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した。次に、得られた塗布基板を110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を200℃で30分加熱、放冷後、日本工業規格:JISK7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計によりバインダー組成物の屈折率(n1)を測定した。また、バインダー組成物の屈折率(n1)と光散乱粒子の屈折率(n2)との差を求めた。下記基準に基づき、評価した。
・バインダー組成物の屈折率
1.65以上:良(○)、
1.65未満:可(△)
・バインダー組成物と光散乱粒子(A)との屈折率差
0.1≦|n1−n2|:「良(○)」、
0.1>|n1−n2|:「不可(×)」
(光散乱層の可視光透過率)
光散乱層用樹脂組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス「イーグル2000」)に、スピンコーターを用いて230℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した。次に、得られた塗布基板を110℃に加熱したホットプレート上で2分間保持した後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を230℃で20分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用い、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。下記基準に基づき、評価した。
透過率70%以上:良(○)、
透過率70%未満:可(△)
(耐熱性;追加ベーク後の透過率の測定)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板を300℃20分加熱、放冷後、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、得られた塗膜の波長400nmにおける透過率を求めた。下記基準に基づき、評価した。
透過率70%以上:良(○)、
透過率70%未満:可(△)
(分散性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板において、塗布面から見た目視での凝集物の数を下記基準に基づき評価した。
凝集物0個:優(◎)
凝集物1〜3個:良(○)
凝集物4〜9個:可(△)
凝集物10個以上:不可(×)
(波長依存性I)
光散乱層の波長依存性は、光散乱層用樹脂組成物を塗布していない基板と、塗布した基板における、透過スペクトルの形状変化の有無により評価した。透過スペクトルは、(株)日立ハイテクノロジーズ社製U−4100を用いて行った。下記基準に基づき、評価した。
・波長依存性I
赤・青・緑のそれぞれの透過スペクトルの値の差が10%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:良(○)、
赤・青・緑のそれぞれの透過スペクトルの値の差が10%以上20%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:可(△)、
赤・青・緑のそれぞれの透過スペクトルの値の差が20%以上かつ白色のスペクトル形状が変化している:不可(×)
(光取り出し効率I)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90:10(質量比))を用い、DCスパッタリング法にて厚さ150nmのITO膜を形成した。ついで、ITO面上に、真空蒸着法により表6.に示すAlq3を150nmの厚さに形成した。真空蒸着基から取出し、波長365nmのUV照射器に基板を乗せ、コニカミノルタ(株)社製輝度計「LS−100」により正面輝度を測定した。光散乱層を形成していない基板で作成した正面輝度を基準とし、正面輝度の向上率(取り出し効率I)を算出した
・光取り出し効率
正面輝度向上率2.4倍以上:優(◎)、
正面輝度向上率1.5倍以上〜2.4倍未満:良(○)、
正面輝度向上率1.5倍未満:可(△)
(ボトム・エミッション構造のEL素子の評価(光取り出し効率II、発光外観(ダークスポット、ムラ)、波長依存性))
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板上に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90:10(質量比))を用い、DCスパッタリング法にて厚さ150nmのITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。
フォトレジストを用いて上記ITO膜をエッチングして、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行った後、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄した。ついで、ITO面上に、真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。
まず、正孔注入層として、CuPcを15nmの厚さに形成した。次に、正孔輸送層として、α−NPDを、50nmの厚さに形成した。次に、表6に示す赤色の発光層を40nmの厚さに形成し、表6に示す電子注入層を30nmの厚さに形成した。
その後、MgとAgを共蒸着し、厚さ100nmのMgAgを形成後、MgAgの酸化防止の観点から、さらに、その上にAgを50nm形成し、背面電極(陰極)とした。
真空蒸着装置から取り出したのち、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。
上記と同様にして、表6に示す発光層と電子注入層を使用し、青色、緑色、および白色の発光素子をそれぞれ作製した。
別途、評価用に、基材として光散乱層を形成していないガラス基板を用いた以外は、上記と同様の方法にて有機EL素子を得た。
表6の発光体を用いて得られたそれぞれの発光素子について、室温において順方向電流を10mA/cm2通電し、発光外観(ダークスポット、ムラ)を観察した。また、コニカミノルタセンシング(株)社製分光放射輝度計「CS−2000」により正面輝度を測定し、光散乱層を形成していない基板で作製した有機EL素子の正面輝度を基準とし、白色発光素子の正面輝度の向上率(取り出し効率II)を算出した。また、光散乱層の波長依存性IIは、表6の赤・青・緑の発光層を用いた発光装置における正面輝度の違い、および、白色発光層を用いた発光装置における発光スペクトルの形状変化の有無により評価した。発光スペクトルの測定は、大塚電子(株)社製MCPD−9800を用いて行なった。下記基準に基づき、評価した。
・発光外観(ダークスポット、ムラ)
ダークスポット、ムラが観察されない:良(○)、
ダークスポット、ムラが僅かに観察される:可(△)、
ダークスポット、ムラが観察される:不可(×)
・光取り出し効率II
正面輝度向上率1.5倍以上:優(◎)、
正面輝度向上率1.2倍以上〜1.5倍未満:良(○)、
正面輝度向上率1.2倍未満:可(△)
・波長依存性II
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が10%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:良(○)、
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が10%以上20%未満かつ白色のスペクトル形状が変化していない:可(△)、
赤・青・緑のそれぞれの正面輝度向上率の値の差が20%以上かつ白色のスペクトル形状が変化している:不可(×)
以下に、その他物性の評価方法を示す。
(ガラスおよびITOに対する密着性の測定)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板について、JISK5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。
基材としては、コーニング社製ガラス「イーグル2000」およびジオマテック社製のITO膜を使用した。下記基準に基づき、評価した。
碁盤目の剥離個数0個:優(◎)、
碁盤目の剥離個数1個未満(フチハガレ:碁盤目のフチが剥がれるレベル):良(○)、
碁盤目の剥離個数1個以上3個以下:可(△)、
碁盤目の剥離個数3個より多い:不可(×)
(ITOエッチャント耐性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法でITO基材上に塗膜を形成した。得られた光散乱層用樹脂組成物塗布基板を硝酸/塩酸/水=0.1/1/1(質量比)の溶液に40℃で5分間浸漬し、純水にて洗浄後、24時間放置した。得られた基板をJIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。基材としては、ジオマテック社製のITO膜を使用した。下記基準に基づき、評価した。
碁盤目の剥離個数0個:優(◎)、
碁盤目の剥離個数1個未満(フチハガレ:碁盤目のフチが剥がれるレベル):良(○)、
碁盤目の剥離個数1個以上3個以下:可(△)、
碁盤目の剥離個数3個より多い:不可(×)
(耐薬品性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板を、アセトンまたはイソプロピルアルコールに浸漬し、それぞれ25℃で10分間、超音波洗浄した。得られた基板をJIS K5600−5−6に準じた付着性(クロスカット法)試験により塗膜の密着性を評価し、碁盤目25個中の剥離個数を数えた。下記基準に基づき、評価した。
碁盤目の剥離個数0個:優(◎)、
碁盤目の剥離個数1個未満(フチハガレ:碁盤目のフチが剥がれるレベル):良(○)、
碁盤目の剥離個数1個以上3個以下:可(△)、
碁盤目の剥離個数3個より多い:不可(×)
(平坦性)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た光散乱層用樹脂組成物塗布基板について、アルバック社製の触針式膜厚計DECTAC−3で、塗膜の表面粗さを測定した。下記基準に基づき、評価した。
表面粗さ100Å未満:優(◎)、
表面粗さ100Å以上150Å未満:良(○)、
表面粗さ150Å以上250Å以下:可(△)、
表面粗さ250Åより大きい:不可(×)
光散乱層用樹脂組成物中に多環状構造もしくは炭素数4以上24以下のアルキル鎖をもつ(メタ)アクリレートを含まない光散乱粒子(A−22)を用いた比較例1では、分散性が悪く、平坦性が悪化していた。一方、これらの(メタ)アクリレートを使用した実施例1〜63では凝集物はみられず分散性良好、かつ、波長依存性良好であり、平坦性も良好であった。一方、光散乱粒子(A)として、炭素数4未満または24以上のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリレートを含む光散乱粒子を用いた比較例2,3では、光散乱粒子同士の十分な立体反発が起きず、分散性は良化しなかった。光散乱層用樹脂組成物中の平均粒子径が100nm以上600nm未満であり、かつ、光散乱粒子の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が20体積%以下であるという条件を満たしていない光散乱粒子を用いた比較例4〜7では、波長依存性が大きく、取り出し効率の低下がみられた。金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)を含む組成物と、前記光散乱粒子(A)との屈折率差が0.1未満である比較例8では、光散乱層で十分な散乱が起きず、取り出し効率は改善されなかった。
エチレン性不飽和単量体(D)を用いた実施例40〜45では、ガラス、ITO密着性、エッチャント耐性良好な塗膜が得られた。また、樹脂(E)を用いた実施例46〜57
では耐薬品性良好な結果が得られた。両者を併用した実施例58〜63では密着性、エッチャント耐性、耐薬品性良好な結果が得られた。
<トップ・エミッション構造及び塗布型構造の有機EL素子の評価(光取り出し効率、発光外観(ダークスポット、ムラ))>
(トップ・エミッション構造A)
イソプロピルアルコールで超音波洗浄した後乾燥窒素ガスで乾燥したガラス基板の上に、厚さ100nmとなる条件でアルミニウムを真空蒸着法で成膜し、その後、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10質量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが20nmのITO膜を形成し、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターニングして、アルミニウムとITOの積層体から成る背面電極(陽極)を形成した。次いで、真空から取り出すことなく、ITO面上に真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。まず、正孔注入/正孔輸送層として、α−NPDを、40nmの厚さに形成した。次に表10記載のH1とIr−1を蒸着速度が100:6になるように調節し、30nmの厚さに形成した。次いで、正孔ブロック層として、BAlqを、10nmの厚さに形成した。更に、電子輸送層として、Alq3を、20nmの厚さに形成した。次に、マグネシウムを真空蒸着法で2nmの厚さに形成し、更に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10質量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが100nmのITO膜を形成して、マグネシウムとITOの積層体による透光性電極(陰極)とした。
最後に、ガラス基板及び透過率の測定用に作製した実施例1〜63、比較例1の光散乱層用樹脂組成物塗布基板を封止用基板として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を適用し、これを前記基板の散乱膜側と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止した。ガラス基板のみで封止したものを比較例9とする。
得られた発光素子の発光外観及び発光効率をボトム・エミッション構造の場合と同様に上記の方法で測定した。結果を表12〜13に記載する。
(トップ・エミッション構造B)
イソプロピルアルコールで超音波洗浄した後乾燥窒素ガスで乾燥したガラス基板の上に、厚さ100nmとなる条件でアルミニウムを真空蒸着法で成膜し、その後、フッ化リチウムを真空蒸着法で成膜し、厚さが0.5nmのフッ化リチウム膜を形成し、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターニングして、アルミニウムとフッ化リチウムの積層体から成る背面電極(陰極)を形成した。次いで、真空から取り出すことなく、フッ化リチウム面上に真空蒸着法により、下記のように有機EL層を順次形成した。まず、電子輸送層として、Alq3を、20nmの厚さに形成した。次いで、正孔ブロック層として、BAlqを、10nmの厚さに形成した。次に表10記載のH1とIr−1を蒸着速度が100:6になるように調節し、30nmの厚さに形成した。次に正孔注入/正孔輸送層として、α−NPDを、40nmの厚さに形成した。次いでITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10質量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが150nmのITO膜を形成して、ITOの透光性電極(陽極)とした。
最後に、ガラス基板及び透過率の測定用に作製した実施例1〜63、比較例1の光散乱層用樹脂組成物塗布基板を封止用基板として用い、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤を適用し、これを前記基板の散乱膜側と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化・封止した。ガラス基板のみで封止したものを比較例10とする。
得られた発光素子の発光外観及び発光効率をボトム・エミッション構造の場合と同様に上記の方法で測定した。結果を表12〜13に記載する。
(塗布型構造)
透過率の測定用に作製したものと同じ方法で得た実施例1〜63、比較例1の光散乱層用樹脂組成物塗布基板上に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10質量%)から、DCスパッタリング法にて厚さが150nmのITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。これとは別に、光散乱層を形成せず、ガラス基板上に、直接、上記と同様にITO膜を形成し、透光性電極(陽極)とした。
その後、この両透光性電極に対し、フォトレジストを用いてITO膜をエッチングして、発光面積が5mm×5mmとなるようにパターンを形成した。超音波洗浄を行ったのち、低圧紫外線ランプを用いてオゾン洗浄した。洗浄したITO電極付きガラス板上に、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシ)−2,5−チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Bayer社製BAYTRON PVP CH8000)をスピンコート法にて製膜し、膜厚40nmの正孔注入層を得た。
次いで、PVK(Poly(9−vinylcarbazole)、シグマアルドリッチ社製)を60%および、表11記載のIr−2を3%およびETM−1の37%の質量比で全体で2.0wt%の濃度となるようにトルエンに溶解させ、スピンコーティング法により70nmの膜厚の発光層を得た。さらにその上に、Caを20nm蒸着した後、Alを200nm蒸着して電極を形成して有機EL素子を得た。
最後に、陰極電極側に紫外線硬化性エポキシ樹脂を滴下し、その上にスライドガラスを被せ、高圧紫外線ランプを用いてエポキシ樹脂を硬化させ、素子を封止した。ガラス基板を使用したものを比較例11とする。
得られた発光素子の発光外観及び発光効率をボトム・エミッション構造の場合と同様に上記の方法で測定した。結果を表12〜13に記載する。
表12〜13に記載されるように、トップ・エミッション構造、塗布型構造の両者において、ボトム・エミッション型と同様の結果が得られた。
1 有機EL装置
11 透光性基板
12 光散乱層
13 透光性電極
14 発光層を含む少なくとも1つの有機層(有機EL層)
15 背面電極

Claims (19)

  1. 光散乱粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを含み、下記(i)〜(v)を満たすことを特徴とする光散乱層用樹脂組成物であって、
    光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜35質量%を含む、光散乱層用樹脂組成物
    (i)光散乱粒子(A)が、橋頭構造を持つ、アクリレートもしくはメタクリレートを用いてなる共重合体である。
    (ii)前記光散乱粒子(A)の平均粒子径が100nm以上600nm未満である。
    (iii)前記光散乱粒子(A)の全量に対する粒子径600nm以上の粒子の含有量が2
    0体積%以下である。
    (iv)分散剤(C)がエチレン性不飽和二重結合を持たない樹脂型分散剤である。
    (v)金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)を含む組成物と、前記光散乱粒子(A)との屈折率差が0.1以上である。
  2. 橋頭構造を持つ、アクリレートもしくはメタクリレートが、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−イソプロピル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項記載の光散乱用樹脂組成物。
  3. 光散乱粒子(A)の粒度分布の変動係数が30%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光散乱用樹脂組成物。
  4. 金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径が100nm以下である請求項1〜いずれか1項に記載の光散乱層用樹脂組成物。
  5. 金属酸化物微粒子(B)が、ZrO2およびTiO2からなる群より選択される、少なくとも1種の金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載の光散乱層用樹脂組成物。
  6. 光散乱層用樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)および重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含まないことを特徴とする請求項1〜記載の光散乱層用樹脂組成物。
  7. 金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)とを含む組成物の屈折率が1.65以上である請求項記載の光散乱層用樹脂組成物。
  8. 光散乱層用樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)を含み、重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含まないことを特徴とする請求項1〜記載の光散乱層用樹脂組成物。
  9. 金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)と重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)とを含む組成物の屈折率が1.65以上である請求項記載の光散乱層用樹脂組成物。
  10. 光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)を1〜30質量%含む、請求項または記載の光散乱用樹脂組成物。
  11. 光散乱層用樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含み、重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)を含まないことを特徴とする請求項1〜記載の光散乱層用樹脂組成物。
  12. 金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)と重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)とを含む組成物の屈折率が1.65以上である請求項11記載の光散乱層用樹脂組成物。
  13. 光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を1〜20質量%含む、請求項11または12記載の光散乱用樹脂組成物。
  14. 光散乱層用樹脂組成物が、重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)および重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)を含むことを特徴とする請求項1〜記載の光散乱層用樹脂組成物。
  15. 金属酸化物微粒子(B)と分散剤(C)と重量平均分子量(Mw)5000未満のエチレン性不飽和単量体(D)と重量平均分子量(Mw)5000以上の樹脂(E)とを含む組成物の屈折率が1.65以上である請求項14記載の光散乱層用樹脂組成物。
  16. 光散乱層用樹脂組成物の固形分100質量%中、光散乱粒子(A)を1〜30質量%、金属酸化物微粒子(B)を1〜75質量%、分散剤(C)を1〜20質量%、エチレン性不飽和単量体(D)を1〜30質量%、樹脂(E)を1〜20質量%含む、請求項14または15記載の光散乱用樹脂組成物。
  17. 請求項1〜16いずれか1項記載の光散乱層用樹脂組成物を用いて形成された光散乱層。
  18. 透光性基板上に、請求項17記載の光散乱層と、透光性を有する第1の電極と、発光層を含む少なくとも1つの有機層と、光反射性を有する第2の電極とが順次積層された有機エレクトロルミネッセンス装置。
  19. 照明装置または表示装置である請求項18記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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