本開示は、多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体を提供する。多重特異性抗体は、複数の抗原又はエピトープを認識する抗体である。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性抗体の少なくとも1つの抗原-又はエピトープ結合ドメインに連結される少なくとも1つのマスキング部分(MM)を含む多重特異性抗体であり、ここでMMのカップリングが、抗原-又はエピトープ-結合ドメインのその標的を結合する能力を低める。いくつかの実施形態によれば、MMは、プロテアーゼのための基質として機能する切断可能部分(CM)を介して、多重特異性抗体の抗原-又はエピトープ-結合ドメインにカップリングされる。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体は、循環において安定し、治療及び/又は診断の意図される部位で活性化されるが、しかし正常な、すなわち健康な組織においては活性化されず、そして活性化される場合、その対応する、修飾されていない多重特異性抗体に、少なくとも匹敵する標的への結合を示す。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、また本明細書において免疫エフェクター動員多重特異性抗体及び/又は免疫エフェクター動員多重特異性活性化可能抗体としても言及される免疫エフェクター細胞を動員するよう企画される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、また白血病動員多重特異性抗体及び/又は白血病動員多重特異性活性化可能抗体として本明細書において言及される、白血球を動員するよう企画される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、またT-細胞動員多重特異性抗体及び/又はT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体として本明細書において言及される、T-細胞を動員するよう企画される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、白血球、例えばT細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ、及び/又は別の免疫エフェクター細胞上の表面抗原を動員する。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、白血球である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、単核細胞、例えば骨髄単核細胞である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、多抗原標的化抗体及び/又は多抗原標的化、活性化可能抗体としても本明細書において言及される、複数の標的及び/又は複数のエピトープを結合するか、又は他方では、それと反応するよう企画される。本明細書において使用される場合、用語「標的(target)」及び「抗原(antigen)」とは、交換可能的に使用される。
いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員多重特異性抗体は、標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び免疫エフェクター細胞動員抗体又は抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員多重特異性抗体は、癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び免疫エフェクター細胞動員抗体又は抗原結合部分を含む。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員多重特異性抗体は、癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメント、及び免疫エフェクター細胞動員scFvを含む。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、白血球である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、骨髄単核細胞である。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、標的化抗原又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、癌標的化抗原又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員scFvを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、抗-CD3イプシロン(CD3ε、又は、本明細書においては、CD3e及びCD3とも呼ばれる)scFv、及び標的化抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、抗―CD3ε scFv、及び癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性抗体は、抗―CD3ε scFv、及び癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、T-細胞結合多重特異性抗体は、OKT3由来の抗-CD3イプシロン(CD3ε)scFvを含む。いくつかの実施形態によれば、T細胞動員多重特異性抗体は、抗-CTLA-4 scFvを含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の免疫エフェクター細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び免疫エフェクター細胞動員抗体又はその抗原結合部分を含み、ここで標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又は免疫エフェクター細胞動員抗体又はその抗原結合部分の少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1免疫エフェクター細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、前記MM1のカップリングは、前記第1標的を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1免疫エフェクター細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的にMM1のカップリングは、第1標的を結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又は抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2は、マスキング成分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、非免疫エフェクター細胞動員抗体は、癌標的化抗体である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞動員抗体は、scFvである。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体(例えば、非免疫細胞エフェクター抗体)は、IgGであり、そして免疫エフェクター細胞動員抗体はscFvである。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は白血球である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの実施形態によれば、免疫エフェクター細胞は骨髄単核細胞である。
いくつかの実施形態によれば、本開示のT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分を含み、ここで標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又はT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分の少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、前記MM1のカップリングは、前記第1標的を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的にMM1のカップリングは、第1標的を結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又は抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2は、マスキング成分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分を含み、ここで癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又はT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分の少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、前記MM1のカップリングは、前記第1標的を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的にMM1のカップリングは、第1標的を結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又は抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2は、マスキング成分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメント、及びT-細胞動員scFvを含み、ここで癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメント、及び/又はT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分の少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、前記MM1のカップリングは、前記第1標的を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1T-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的にMM1のカップリングは、第1標的を結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又は抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここで前記AB2は、マスキング成分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングは、第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
免疫エフェクター動員多重特異性活性化可能抗体のいくつかの実施形態によれば、1つの抗原は典型的には、腫瘍細胞、又は疾患に関連する他の細胞型の表面上に存在する抗原、例えば、表1に列挙されるに任意の標的、例えばEGGR、erbB2、EpCAM、Jagged、PD-L1、B7H3又はCD71(トランスフェリン受容体)であるが、但しそれらだけには限定されず、そして別の抗原は典型的には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ、及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面上に存在する刺激又は阻害受容体、例えばB7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3、又は VISTAであるが、但しそれらだけには限定されない。いくつかの実施形態によれば、抗原は、T細胞又はNK細胞の表面上に存在する刺激受容体であり;そのような刺激受容体の例は、CD3、CD27、CD28、CD137 (又は4-1BBとしても言及される)、GITR、HVEM、ICOS、NKG2D、及び OX40を包含するが、但しそれらだけには制限されない。いくつかの実施形態によれば、抗原は、T-細胞の表面上に存在する阻害受容体であり;そのような阻害受容体の例は、BTLA、CTLA-4、LAG3、PD-1、TIGIT、TIM3及びNK-発現KIRを包含するが、但しそれらだけには限定されない。T-細胞表面抗原に対して特異性を与える抗体エフェクター細胞受容体、例えばB7-1、B7-2、B7H3、PD-L1、PD-L2又はTNFSF9(但し、それらだけには限定されない)に結合する、リガンド又はリガンドドメインにより置換され得る。
本開示の1つの実施形態は、癌微小環境において活性化でき、そして抗体、例えば腫瘍標的及びアゴニスト抗体に向けられるIgG又はscFv、例えば活性化されたT細胞又はNK細胞の表面上で発現される共刺激受容体に向けられるIgG又はscFvを含む多重特異性活性化可能抗体であり、ここで前記癌標的抗体及び/又はアゴニスト抗体の少なくとも1つはマスキングされている。共刺激受容体の例は、CD27、 CD137、 GITR、 HVEM、 NKG2D及びOX40を包含するが、但しそれらだけには限定されない。この実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、腫瘍関連プロテーゼにより活性化されると、任意の腫瘍抗原に応答するT細胞の活性を、それらの内因性T細胞抗原又はNK-活性化受容体を介して増強するために、腫瘍依存性態様でT細胞又はNK細胞発現共刺激受容体を効果的に架橋し、そして活性化するであろう。それらのT細胞又はNK細胞共刺激受容体の活性化-依存性質は、それらの抗原特異性に関係なく、すべてのT細胞を活性化しないで、腫瘍特異的T細胞に、活性化された多重特異性活性化可能抗体の活性の焦点を当てている。1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも共刺激受容体抗体、多重特異性活性化可能抗体において腫瘍標的指向抗体により認識される抗原をまた発現する組織に存在することができる自己反応性T細胞の活性化を防止するために、マスキングされているが、しかしそれらの活性は、共受容体の動員の欠如により制限されている。
本開示の1つの実施形態は、T細胞過剰刺激により特徴づけられる疾患、例えば自己免疫疾患又は炎症性疾患の微小環境(但し、それらだけには限定されない)において活性化できる多重特異性活性化可能抗体である。そのような多重特異性活性化可能抗体は、抗体、例えば自己免疫炎症性疾患においてT細胞により標的化される組織において発現される表面抗原を含む標的に向けられたIgG又はscFv、及び抗体、例えばT細胞又はNK細胞の表面上に発現される阻害受容体に向けられるIgG又はscFvを含み、ここで疾患組織標的抗体及び/又はT細胞受容体抗体の少なくとも1つはマスキングされている。阻害受容体の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:BTLA、CTLA-4、LAG3、PD-1、TIGIT、TIM3及びNK-発現KIR。自己免疫疾患におけるT細胞により標的化される組織抗原の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには制限されない:多発生硬化症におけるミエリン又は神経細胞上に発現される表面抗原、又は1型糖尿病における膵島細胞上に発現される表面抗原。この実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、自己免疫攻撃又は炎症下で組織に局在化される場合、活性化され、そして任意の疾患組織-標的化抗原に応答する自己反応性T細胞の活性を抑制するために、T細胞又はNK細胞阻害受容体を、それらの内因性TCR又は活性化受容体を介して共同動員する。1つの実施形態によれば、少なくとも1つの又は複数の抗体が、標的抗原がまた発現され得る非疾患組織における所望のT細胞応答の抑制を防ぐために、マスキングされる。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、抗-CD3イプシロン(CD3ε、またCD3e及びCD3としても本明細書において言及される)scFv及び標的化抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここで抗-CD3εscFv及び/又は標的化抗体又はその抗原結合フラグメントの少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、抗-CD3ε scFv及び癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここで抗-CD3εscFv及び/又は癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントの少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、抗-CD3ε scFv及び癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここで抗-CD3εscFv及び/又は癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントの少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記CD3ε scFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によればT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、OKT3由来の抗-CD3イプシロン(CD3ε)scFvを含み、ここで標的抗体又はその抗原結合フラグメント及び/又はOKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvの少なくとも1つがマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFv及び癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここでOKT3 scFv又はOKT3-由来のscFv及び/又は癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントの少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFv及び癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここでOKT3 scFv又はOKT3-由来のscFv及び/又は癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントの少なくとも1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2の癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記OKT3 scFv又はOKT3-由来のscFvは、CD3εを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CD3εを結合するAB1の能力を低め、そして前記癌標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2癌関連標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2癌関連標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によればT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、抗-CTLA-4 scFvを含み、ここで標的抗体又はその抗原結合フラグメント及び/又は抗-CTLA-4 scFvの少なくとも1つがマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記抗-CTLA-4 scFvは、CTLA-4を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CTLA-4を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記抗-CTLA-4 scFvは、CTLA-4を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CTLA-4を結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体は、抗-CTLA-4 scFv、及び標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントを含み、ここで抗-CTLA-4 scFv及び/又は標的IgG抗体又はその抗原結合部分の少なく1つはマスキングされている。いくつかの実施形態によれば、前記抗-CTLA-4 scFvは、CTLA-4を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CTLA-4を結合するAB1の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。いくつかの実施形態によれば、前記抗-CTLA-4 scFvは、CTLA-4を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここで前記AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1のカップリングは、CTLA-4を結合するAB1の能力を低め、そして前記標的化IgG抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを含み、ここで前記AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが前記第2標的を結合するAB2の能力を低める。
いくつかの実施形態によれば、多重抗原標的化抗体及び/又は多重抗原標的化活性化可能抗体は、第1標的及び/又は第1エピトープを結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント、及び第2標的及び/又は第2エピトープを結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメントを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、多重抗原標的化抗体及び/又は多重抗原標的化活性化可能抗体は、複数の異なった標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、多重抗原標的化抗体及び/又は多重抗原標的化活性化可能抗体は、同じ標的上の複数の異なったエピトープを結合する。いくつかの実施形態によれば、多重抗原標的化抗体及び/又は多重抗原標的化活性化可能抗体は、複数の異なった標的及び同じ標的上の複数の異なったエピトープの組合せを結合する。
本開示の多重特異性活性化可能抗体の種々の実施形態が、図3A、及び5-9に示されている。いくつかの実施形態によれば、IgGを含む多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたIgG可能ドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、scFvを含む多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたscFvドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つは、マスキングのブ部にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでscFvドメインの少なくとも1つはマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つは、マスキング部分にカップリングされ、そしてscFvドメインの少なくとも1つはマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメイン及びscFvドメインの個々は、それ自体のマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、T-細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、別の標的抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原のエピトープに対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
多重特異性活性化可能抗体においては、scFvは、IgG活性可能抗体のH鎖のカルボキシル末端に、IgG活性化可能抗体のL鎖のカルボキシル末端、又はIgG活性化可能抗体のH鎖及びL鎖の両鎖のカルボキシル末端に融合され得る。多重特異性活性化可能抗体においては、scFvは、IgG活性化可能抗体のH鎖のアミノ末端に、IgG活性化可能抗体のL鎖のアミノ末端に、又はIgG活性化可能抗体のH鎖及びL鎖の両鎖のアミノ末端に融合され得る。多重特異性活性化可能抗体においては、scFvは、IgG活性可能性抗体の1又は2以上のカルボキシル末端及び1又は2以上のアミノ末端の何れかの組合せに融合され得る。いくつかの実施形態によれば、切断可能胃部分(CM)に連結されるマスキング部分(MM)は、IgGの抗原結合ドメインに結合され、そしてそのドメインをマスキングする。いくつかの実施形態によれば、切断可能部分(CM)に連結されるマスキング部分(MM)は、少なくとも1つのscFvの抗原結合ドメインに結合され、そしてそのドメインをマスキングする。いくつかの実施形態によれば、切断可能部分(CM)に連結されるマスキング部分(MM)は、IgGの抗原結合ドメインに連結され、そしてそのドメインをマスキングし、そして切断可能部分(CM)に連結されるマスキング部分(MM)は、少なくとも1つのscFvの抗原結合ドメインに結合され、そしてそのドメインをマスキングする。
本開示は、以下のもの(但し、それらだけには限定されない)を含む多重特異性活性化可能抗体構造の例を提供し:
(VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2; (VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VH*-L3-VL*)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VL*-L3-VH*)2; (VL-CL)2:(MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL)2:(MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2;又は (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2、ここでVL及びVHは、IgGに含まれる、第1特異性のL及びH可変ドメインを表し;VL*及びVH*は、scFvに含まれる、第2特異性の可変ドメインを表し;L1は、マスキング部分(MM)及び切断可能部分(CM)を連結するリンカーペプチドであり;L2は、切断可能部分(CM)及び抗体を連結するリンカーペプチドであり;L3は、scFvの可変ドメインを連結するリンカーペプチドであり;L4は、第2特異性の抗体に、第1特異性の抗体を有するリンカーペプチドであり;CLは、L鎖不変ドメインであり;そしてCH1、CH2、CH3は、H鎖不変ドメインである。前記第1及び第2特異性は、何れかの抗原又はエピトープに対して存在することができる。
T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体のいくつかの実施形態によれば、1つの抗原は典型的には、腫瘍細胞又は疾患に関連する他の細胞型の表面上に存在する抗原、例えば表1に列挙される何れかの標的(但し、それらだけには限定されない)、例えばEGFR、erbB2、EpCAM、Jagged、PD-L1、B7H3又は CD71(トランスフェリン受容体)(但し、それらだけには制限されない)であり、そして別の抗原は典型的には、T-細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面上に存在する刺激(また、本明細書においては、活性化として言及される)又は阻害受容体、たとえばB7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137(または、TNFRSF9としても言及される)、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3、又は VISTA(但し、それらだけには制限されない)である。T-細胞表面抗原に対して特異性を提供する抗体ドメインはまた、T-細胞受容体、NK-細胞受容体、マクロファージ受容体及び/又は他の免疫エフェクター細胞受容体、例えばB7-1、 B7-2、B7H3、PD-L1、PD-L2又はTNFSF9(但し、それらだけには制限されない)に結合するリガンド又はリガンドドメインにより置換され得る。多重抗原標的化活性化可能抗原のいくつかの実施形態によれば、1つの抗原は、表1に列挙される標的群から選択され、そして別の抗原は、表1に列挙される標的群から選択される。
いくつかの実施形態によれば、標的化抗原は、抗-EGFR抗体である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v5である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v4である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v6である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、抗-Jagged抗体である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、ヒト及びマウスJagged1及びJagged2への結合に対して特異的である4D11である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、ヒト及びマウスJagged1及びJagged2への結合に対して特異的である4D11v2である。
いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、活性化可能抗体の形で存在することができる。いくつかの実施形態によれば、scFvは、プロ-scFvの形で存在することができる(例えば、国際公開第2009/025846号、国際公開第2010/081173号を参照のこと)。
いくつかの実施形態によれば、scFvは、CD3εの結合に対して特異的であり、そしてCD3ε、例えばCH2527、FN18、H2C、OKT3、2C11、UCHT1又はV9を結合する、抗体又はそのフラグメントであるか、又はそれに由来する。いくつかの実施形態によれば、scFvは、CTLA-4(また、本明細書においては、CTLA及びCTLA4としても言及される)の結合に対して特異的である。
いくつかの実施形態によれば、抗-CD3ε scFvは、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択される配列を含む。いくつかの実施形態によれば、抗-CD3ε scFvは、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%、又はそれ以上、同一であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、scFvは、1又は2以上のT-細胞、1又は2以上のNK細胞及び/又は1又は2以上のマクロファージを結合することに対して特異的である。いくつかの実施形態によれば、scFvは、B7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3、又は VISTAから成る群から選択された標的を結合することに対して特異的である。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列及びVH CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列の少なくとも1つは、少なくともアミノ酸配列SYAMS (配列番号 6)を含むVH CDR1配列;少なくともアミノ酸配列SIDPEGRQTYYADSVKG (配列番号7)を含むVH CD2配列;少なくともアミノ酸配列DIGGRSAFDY (配列番号8)を含むVH CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の少なくとも1つは、少なくともアミノ酸配列RASQSISSY (配列番号 9)を含むVL CDR1配列;少なくともアミノ酸配列AASSLQS (配列番号10)を含むVL CD2配列;少なくともアミノ酸配列QQTVVAPPL (配列番号11)を含むVL CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列及びVH CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列の少なくとも1つは、アミノ酸配列SYAMS (配列番号 6)に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列;アミノ酸配列SIDPEGRQTYYADSVKG (配列番号7) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CD2配列;アミノ酸配列DIGGRSAFDY (配列番号8) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の少なくとも1つは、アミノ酸配列RASQSISSY (配列番号 9) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列;アミノ酸配列AASSLQS (配列番号10) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CD2配列;アミノ酸配列QQTVVAPPL (配列番号11) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列は、少なくともアミノ酸配列SYAMS (配列番号 6)を含み;VH CDR2配列は、少なくともアミノ酸配列SIDPEGRQTYYADSVKG (配列番号7)を含み;VH CDR3配列は、少なくともアミノ酸配列DIGGRSAFDY (配列番号8)を含み;VL CDR1配列は、少なくともアミノ酸配列RASQSISSY (配列番号 9)を含み;VL CD2配列は、少なくともアミノ酸配列AASSLQS (配列番号10)を含み;そしてVL CDR3配列は、少なくともアミノ酸配列QQTVVAPPL (配列番号11)を含む。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列は、アミノ酸配列SYAMS (配列番号 6)に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VH CDR2配列は、アミノ酸配列SIDPEGRQTYYADSVKG (配列番号7) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VH CDR3配列は、アミノ酸配列DIGGRSAFDY (配列番号8) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VL CDR1配列は、アミノ酸配列RASQSISSY (配列番号 9) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VL CD2配列は、アミノ酸配列AASSLQS (配列番号10) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;そしてVL CDR3配列は、アミノ酸配列QQTVVAPPL (配列番号11) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、上皮成長因子受容体(EGFR)を特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列及びVH CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列の少なくとも1つは、少なくともアミノ酸配列NYGVH (配列番号 12)を含むVH CDR1配列;少なくともアミノ酸配列VIWSGGNTDYNTPFTS (配列番号13)を含むVH CD2配列;少なくともアミノ酸配列ALTYYDYEFAY (配列番号14)を含むVH CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、EGFRを特異的に結合し、そしてVL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の少なくとも1つは、少なくともアミノ酸配列RASQSIGTNIH (配列番号 15)を含むVL CDR1配列;少なくともアミノ酸配列KYASESIS (配列番号16)を含むVL CD2配列;少なくともアミノ酸配列QQNNNWPTT (配列番号17)を含むVL CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、EGFRを特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列及びVH CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列、VH CDR2配列、及びVH CDR3配列の少なくとも1つは、アミノ酸配列NYGVH (配列番号 12)に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CDR1配列;アミノ酸配列VIWSGGNTDYNTPFTS (配列番号13) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CD2配列;アミノ酸配列ALTYYDYEFAY (配列番号14) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVH CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、EGFRを特異的に結合し、そしてVL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の少なくとも1つは、アミノ酸配列RASQSIGTNIH (配列番号 15) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CDR1配列;アミノ酸配列KYASESIS (配列番号16) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CD2配列;アミノ酸配列QQNNNWPTT (配列番号17) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含むVL CDR3配列;及びそれらの組合せから選択される。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、EGFRを特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列は、少なくともアミノ酸配列NYGVH (配列番号 12)を含み;VH CDR2配列は、少なくともアミノ酸配列VIWSGGNTDYNTPFTS (配列番号13)を含み;VH CDR3配列は、少なくともアミノ酸配列ALTYYDYEFAY (配列番号14)を含み;VL CDR1配列は、少なくともアミノ酸配列RASQSIGTNIH (配列番号 15)を含み;VL CD2配列は、少なくともアミノ酸配列KYASESIS (配列番号16)を含み;そしてVL CDR3配列は、少なくともアミノ酸配列QQNNNWPTT (配列番号17)を含む。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、EGFRを特異的に結合し、そしてVH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列、及びVL CDR3配列の組合せを含む、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を少なくとも含み、ここでVH CDR1配列は、アミノ酸配列NYGVH (配列番号12)に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VH CDR2配列は、アミノ酸配列VIWSGGNTDYNTPFTS (配列番号13) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VH CDR3配列は、アミノ酸配列ALTYYDYEFAY (配列番号14) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VL CDR1配列は、アミノ酸配列RASQSIGTNIH (配列番号 15) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;VL CD2配列は、アミノ酸配列KYASESIS (配列番号16) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み;そしてVL CDR3配列は、アミノ酸配列QQNNNWPTT (配列番号17) に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一である配列を含み。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるH鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるL鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるH鎖アミノ酸配列、及び本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるL鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。
いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一であるH鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一であるL鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本明細書において提供される、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、接合された多重特異性抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体は、本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一であるH鎖アミノ酸配列、及び本明細書における表11を包含する、表7及び/又は実施例5に示されるそれらの配列から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%、91%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99%又はそれ以上同一であるL鎖アミノ酸配列を少なくとも含む。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、ABに接合される剤も含む。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、抗腫瘍である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、トキシン又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、リンカーを介して多重特異性抗体に接合される。いくつかの実施形態によれば、前記リンカーは、非切断性リンカーである。いくつかの実施形態によれば、前記剤は微小管阻害剤である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、核酸損傷剤、例えばDNAアルキル化剤、又はDNAインターカレーター、又は他のDNA損傷剤である。いくつかの実施形態によれば、前記リンカーは、切断可能リンカーである。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、表4に列挙される群から選択される剤である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、トラスタチンである。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、アウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、メイタンシノイド又はマイタンシノイド誘導体である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、DM1又はDM4である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、デュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、カリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば前記剤は、ピロロベンゾジアゼピンである。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含むことができる。いくつかの実施形態によれば、前記検出可能部分は、診断剤である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、天然において、1又は2以上のジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、1又は2以上のジスルフィド結合を含むよう操作され得る。
本開示はまた、本明細書に記載される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体をコードする単離核酸分子、及びそれらの単離核酸配列を含むベクターを提供する。本開示は、抗体の発現を導く条件下で、そのような核酸分子を含む細胞を培養することによる、多重特異性抗体の生成方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、前記細胞は、そのようなベクターを含む。
本開示はまた、第1標的又は第1エピトープを特異的に結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)、及び第2標的又は第2エピトープを結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を少なくとも含む多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体組成物も提供し、ここで少なくともAB1がマスキング部分(MM1)にカップリングされるか、又は他方では、結合され、結果的に、MM1のカップリングが、AB1のその標的を結合する能力を低める。いくつかの実施形態によれば、MM1は、プロテアーゼ、例えば対象における治療部位又は診断部位でAB1の標的と共局在されるプロテアーゼのための基質を含む第1切断可能部分(CM1)配列を介してAB1にカップリングされる。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体は、循環において安定し、治療及び/又は診断の意図される部位で活性化されるが、しかし正常、すなわち健康組織において活性化されず、そして活性化される場合、その対応する修飾されていない多重特異性抗体に少なくとも匹敵するAB1の標的への結合を示す。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、MM1とCM1との間に連結ペプチドを含む。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、CM1とAB1との間に連結ペプチドを含む。
いくつかの実施形態によれば、活性化可能抗体は、第1連結ペプチド(LP1)及び第2連結ペプチド(LP2)を含み、そして多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部が、切断されていない状態で次のようなN-末端からC-末端への構造配置を有する:MM1-LP1-CM1-LP2-AB1又はAB1-LP2-CM1-LP1-MM1。いくつかの実施形態によれば、前記2つの連結ぺプチドはお互い同一である必要はない。
いくつかの実施形態によれば、LP1又はLP2の少なくとも1つは、(GS)n、(GGS)n、(GSGGS)n (配列番号18) 及び(GGGS)n (配列番号19)(nは少なくとも1つの整数である)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態によれば、LP1又はLP2の少なくとも1つは、GGSG (配列番号20)、GGSGG (配列番号21)、GSGSG (配列番号22)、GSGGG (配列番号23)、GGGSG (配列番号24)、 及び GSSSG (配列番号25)から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、第1標的又は第1エピトープを特異的に結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)、及び第2標的又は第2エピトープを特異的に結合する、第2抗体又はその抗体結合フラグメント(AB2)を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各ABは、モノクローナル抗体、ドメイン、抗体、一本鎖、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv、scAb,dAb、単一ドメインH鎖抗体、及び単一ドメインL鎖抗体から成る群から独立して選択される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各ABは、齧歯類(例えば、マウス又はラット)、キメラ性、ヒト化又は完全ヒトモノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各ABは、その対応する標的又はエピトープに結合するために、約100nM又はそれ以下の平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、ABのその対応する標的又はエピトープへの結合のための平衡解離定数よりも高い、その対応するABへの結合のための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、ABのその対応する標的又はエピトープへの結合のための平衡解離定数に過ぎない、その対応するABへの結合のための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、多重特異性活性化可能抗体が切断された状態で存在する場合、その対応する標的又はエピトープに結合するために、その対応するABを阻止しないか、又はそれと競争しない。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、約2-40個の長さのアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、40個以下の長さのアミノ酸のポリペプチドである。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、その対応するABの標的の配列とは異なるポリペプチド配列を有する。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、その対応するABの任意の天然結合パートナーに対して50%以下、同一であるポリペプチド配列を有する。いくつかの実施形態によれば、MM1は、その対応するABの任意の天然結合パートナーに対して25%以下、同一であるポリペプチド配列を有する。いくつかの実施形態によれば、MM1は、その対応するABの任意の天然結合パートナーに対して10%以下、同一であるポリペプチド配列を有する。
いくつかの実施形態によれば、MM1のカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープへの結合の能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされない場合のABのKdよりも少なくとも20倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、MM1のカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープへの結合の能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされない場合のABのKdよりも少なくとも40倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、MM1のカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープへの結合の能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされない場合のABのKdよりも少なくとも100倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、MM1のカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープへの結合の能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされない場合のABのKdよりも少なくとも1000倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、MM1のカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープへの結合の能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMM1にカップリングされない場合のABのKdよりも少なくとも10,000倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、MM1は、本明細書に提供される実施例に示されるMMから選択されるアミノ酸配列である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、その多重特異性活性化可能抗体が切断されていない状態にある場合、AB2のその標的への結合を阻害する、第2マスキング部分(MM2)、及び第2プロテアーゼのための基質として機能する、AB2にカップリングされる第2切断可能部分(CM2)を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、CM2は、15個以下の長さのアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、前記第2プロテアーゼは、組織において第2標的又はエピトープと共局在化され、そして第2プロテアーゼは、多重特異性活性化可能抗体が第2プロテアーゼに暴露される場合、多重特異性活性化可能抗体におけるCM2を切断する。いくつかの実施形態によれば、第1プロテアーゼ及び第2プロテアーゼは、組織において、第1標的又はエピトープ及び第2標的又はエピトープと共局在化される。いくつかの実施形態によれば、第1プロテアーゼ及び第2プロテアーゼは、同じプロテアーゼである。いくつかの実施形態によれば、CM1及びCM2は、同じプロテアーゼのための異なった基質である。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される。いくつかの実施形態によれば、第1プロテアーゼ及び第2プロテアーゼは、異なったプロテアーゼである。いくつかの実施形態によれば、第1プロテアーゼ及び第2プロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される異なったプロテアーゼである。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MM、例えばMM1及び少なくともMM2は、ABのその対応する標的又はエピトープに結合するための平衡解離定数よりも高い、その対応するABに結合するための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MM、例えばMM1及び少なくともMM2は、ABのその対応する標的又はエピトープに結合するための平衡解離定数以下である、その対応するABに結合するための平衡解離定数を有する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、多重特異性活性化可能抗体が切断された状態にある場合、対応する標的又はエピトープに結合するためにその対応するABを妨げないか、又はそれと競争しない。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、約2-40個の長さのアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは40個以下の長さのアミノ酸のポリペプチドである。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、対応するABの標的の配列とは異なるポリペプチド配列を有する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、その対応するABの任意の天然の結合パートナーに対して50%同一に過ぎないポリペプチド配列を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、その対応するABの任意の天然の結合パートナーに対して25%同一に過ぎないポリペプチド配列を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各MMは、その対応するABの任意の天然の結合パートナーに対して10%同一に過ぎないポリペプチド配列を有する。
いくつかの実施形態によれば、各MMのカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープを結合する能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップされない場合のABのKdよりも少なくとも20倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、各MMのカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープを結合する能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップされない場合のABのKdよりも少なくとも40倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、各MMのカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープを結合する能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップされない場合のABのKdよりも少なくとも100倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、各MMのカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープを結合する能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップされない場合のABのKdよりも少なくとも1000倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、各MMのカップリングは、その対応するABのその標的又はエピトープを結合する能力を低め、結果的に、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップリングされる場合、ABの解離定数(Kd)は、その対応する標的又はエピトープに向かってMMにカップされない場合のABのKdよりも少なくとも10,000倍、高い。
いくつかの実施形態によれば、各MMは、本明細書に提供される実施例に示されるMMから選択されるアミノ酸配列である。
いくつかの実施形態によれば、第1切断可能部分(CM1)配列を切断するプロテアーゼは、組織において多重特異性活性化可能抗体におけるAB1の標的と共局在し、そしてプロテアーゼは、多重特異性活性化可能抗体がそのプロテアーゼに暴露される場合、多重特異性活性化可能抗体におけるCM1を切断する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、複数の切断可能部分配列を含み、そして少なくとも1つの切断可能部分配列を切断するプロテアーゼは、組織において多重特異性活性化可能抗体におけるAB領域の少なくとも1つの領域の標的と共局在され、そしてプロテアーゼは、多重特異性活性化可能抗体がプロテアーゼに暴露される場合、多重特異性活性化可能抗体におけるCMを切断する。
いくつかの実施形態によれば、各CM、例えばCM1及び少なくともCM2は、多重特異性活性化可能抗体に位置し、結果的に、切断されていない状態下で、AB領域中の1つの領域の標的への多重特異性活性化可能抗体の結合が、その標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数よりも少なくとも20倍、高い平衡解離定数を伴って生じるよう低められ、そしてところが、切断された状態下で、ABはその標的を結合する。
いくつかの実施形態によれば、各CM、例えばCM1及び少なくともCM2は、多重特異性活性化可能抗体に位置し、結果的に、切断されていない状態下で、AB領域中の1つの領域の標的への多重特異性活性化可能抗体の結合が、その標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数よりも少なくとも40倍、高い平衡解離定数を伴って生じるよう低められ、そしてところが、切断された状態下で、ABはその標的を結合する。
いくつかの実施形態によれば、各CM、例えばCM1及び少なくともCM2は、多重特異性活性化可能抗体に位置し、結果的に、切断されていない状態下で、AB領域中の1つの領域の標的への多重特異性活性化可能抗体の結合が、その標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数よりも少なくとも50倍、高い平衡解離定数を伴って生じるよう低められ、そしてところが、切断された状態下で、ABはその標的を結合する。
いくつかの実施形態によれば、各CM、例えばCM1及び少なくともCM2は、多重特異性活性化可能抗体に位置し、結果的に、切断されていない状態下で、AB領域中の1つの領域の標的への多重特異性活性化可能抗体の結合が、その標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数よりも少なくとも100倍、高い平衡解離定数を伴って生じるよう低められ、そしてところが、切断された状態下で、ABはその標的を結合する。
いくつかの実施形態によれば、各CM、例えばCM1及び少なくともCM2は、多重特異性活性化可能抗体に位置し、結果的に、切断されていない状態下で、AB領域中の1つの領域の標的への多重特異性活性化可能抗体の結合が、その標的に結合する修飾されていないABの平衡解離定数よりも少なくとも200倍、高い平衡解離定数を伴って生じるよう低められ、そしてところが、切断された状態下で、ABはその標的を結合する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各CMは、15個までの長さのアミノ酸のポリペプチドである。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における少なくとも1つのCMは、アミノ酸配列LSGRSDNH (配列番号26)を含む。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの切断可能部分が、特定のプロテアーゼ、例えば多重特異性活性化可能抗体の少なくとも1つの標的と共局在化されることが知られているプロテアーゼとの使用のために選択される。例えば、本開示の多重特異性活性化可能抗体に使用するための適切な切断可能部分は、少なくともプロテアーゼ、例えばウロキナーゼ、レグマイン及び/又はマトリプターゼ(また、MT-SP1又はMTSSP1として本明細書において言及される)により切断される。いくつかの実施形態によれば、適切な切断可能部分は、次の配列の少なくとも1つを含む:TGRGPSWV (配列番号27); SARGPSRW (配列番号28); TARGPSFK (配列番号29); LSGRSDNH (配列番号26); GGWHTGRN (配列番号30); HTGRSGAL (配列番号31); PLTGRSGG (配列番号32); AARGPAIH (配列番号33); RGPAFNPM (配列番号34); SSRGPAYL (配列番号35); RGPATPIM (配列番号36); RGPA (配列番号37); GGQPSGMWGW (配列番号38); FPRPLGITGL (配列番号39); VHMPLGFLGP (配列番号40); SPLTGRSG (配列番号41); SAGFSLPA (配列番号42); LAPLGLQRR (配列番号43); SGGPLGVR (配列番号44); 及び/又は PLGL (配列番号45)。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各CMは、表3に示されるそれらから成る群から選択されるプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、uPA、レグマイン、MT-SP1、ADAM17、BMP-1、TMPRSS3、TMPRSS4、好中球エラスターゼ、MMP-7、MMP-9、MMP-12、MMP-13及びMMP-14から成る群から選択される。プロテアーゼは、カテプシン、例えば、カテプシンSであるが、但しそれだけには限定されない。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各CMは、uPA(ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子)、レグマイン及びMT-SP1(マトリプターゼ)から成る群から選択されるプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、uPAを包含する。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼはレグマインを包含する。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、MT-SP1を包含する。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を包含する。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体中の少なくとも1つのCMは、少なくとも2つのプロテアーゼのための基質である。いくつかの実施形態によれば、各プロテアーゼは、表3に示されるそれらからなる群から選択される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体中の少なくとも1つのCMは、少なくとも2つのプロテアーゼのための基質であり、ここでプロテアーゼの1つは、uPA、レグマイン及びMT-SP1から成る群から選択され、そして他のプロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体中の少なくとも1つのCMは、uPA、レグマイン及びMT-SP1から成る群から選択され少なくとも2種のプロテアーゼのための基質である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、第1CM(CM1)及び第2CM(CM2)を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、CM1及びCM2は、MMをABに連結する単一の切断可能リンカーの一部である。いくつかの実施形態によれば、CM1は、MM1をAB1に連結する切断可能リンカーの一部であり、そしてCM2は、MM2をAB2に連結する別の切断可能リンカーの一部である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、2以上のCMを含む。いくつかの実施形態によれば、そのような多重特異性活性化可能抗体は、2つ以上のCM及び2つ以上のMMを含む。いくつかの実施形態によれば、CM1及びCM2は、それぞれ、15個以下の長さのアミノ酸のポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、第1CM及び第2CMの少なくとも1つは、表3に列挙されるそれらから成る群から選択されるプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、第1CM及び第2CMの少なくとも1つは、uPA、レグマイン及びMT-SP1から成る群から選択されるプロテアーゼのための基質としても機能するポリペプチドである。いくつかの実施形態によれば、第1CMは、標的組織において、uPA、レグマイン及びMT-SP1から成る群から選択される第1切断剤により切断され、そして第2CMは、標的組織において、第2切断剤により切断される。いくつかの実施形態によれば、他のプロテアーゼは、表3に示されるそれらから成る群から選択される。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、表3に列挙されるそれらから成る群から選択される同じプロテアーゼであり、そして第1CM及び第2CMは、酵素のための異なった基質である。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、uPA、レグマイン及びMT-SP1から成る群から選択される同じプロテアーゼであり、そして第1CM及び第2CMは、酵素のための異なった基質である。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、表3に列挙される群から選択される同じプロテアーゼであり、そして第1CM及び第2CMは同じ基質である。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、異なったプロテアーゼである。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、表3に示されるそれらから成る群から選択される異なったプロテアーゼである。いくつかの実施形態によれば、第1切断剤及び第2切断剤は、標的組織において共局在される。いくつかの実施形態によれば、第1CM及び第2CMは、標的組織において少なくとも1つの切断剤により切断される。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、プロテアーゼに暴露され、そして切断され、結果的に、活性化されたか又は切断された状態下で、活性化された多重特異性活性化可能抗体は、プロテアーゼがCMを切断した後、LP2及び/又はCM配列の少なくとも1部を含むL鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、シグナルペプチドも含む。いくつかの実施形態によれば、シグナルペプチドは、スペーサーを介して多重特異性活性化可能抗体に接合される。いくつかの実施形態によれば、スペーサーは、シグナルペプチドの不在下で多重特異性活性化可能抗体に接合される。いくつかの実施形態によれば、スペーサーは、多重特異性活性化可能抗体のMMの少なくとも1つに直接的に結合される。
いくつかの実施形態によれば、切断されていない状態下での多重特異性活性化可能抗体は、第1MMに直接、結合され、そしてN末端からC末端側にスペーサー-MM1-CM-AB1の構造配置を有するスペーサーを含む。いくつかの実施形態によれば、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQ (配列番号46)を含む。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、その対応する多重特異性抗体の半減期よりも長く;例えば、多重特異性活性化可能抗体のpKは、その対応する多重特異性抗体のpKよりも長い。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、その対応する多重特異性抗体の半減期に類似する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも15日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも11日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも10日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも9日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも7日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも5日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも2日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも24時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも20時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも18時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも16時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも14時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも10時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3時間である。
本開示はまた、標的を特異的に結合する第1抗体又はフラグメント(AB1)、及び第2抗体又はフラグメント(AB2)を少なくとも含む多重特異性活性化可能抗体を包含する組成物及び方法も提供し、ここで少なくとも多重特異性活性化可能抗体における第1ABは、AB1のその標的を結合する能力を低めるマスキング部分(MM1)にカップリングされている。いくつかの実施形態によれば、各ABは、その対応するABの各標的を結合する能力を低めるMMにカップリングされる。例えば多重特異性活性化可能抗体の実施形態によれば、AB1は、AB1のその標的を結合する能力を低める第1マスキング部分(MM1)にカップリングされ、そしてAB2は、AB2のその標的を結合する能力を低める第2マスキング部分(MM2)にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、2つ以上のAB領域を含み;そのような実施形態によれば、AB1は、AB1のその標的を結合する能力を低める第1マスキング部分(MM1)にカップリングされ、AB2は、AB2のその標的を結合する能力を低める第2マスキング部分(MM2)にカップリングされ、AB3は、AB3のその標的を結合する能力を低める第3マスキング部分(MM3)にカップリングされそして多重特異性活性化可能抗体における各ABについても同様である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、プロテアーゼのための基質である少なくとも1つの切断可能部分(CM)をさらに含み、ここでCMはMMをABに連結する。例えば、いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、標的を特異的に結合する第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)及び第2抗体又は抗体フラグメント(AB2)を少なくとも含み、多重特異性活性化可能抗体における少なくとも第1ABは、AB1のその標的を結合する能力を低めるマスキング部分(MM1)に、切断可能部分(CM1)を介してカップリングされる。いくつかの多重特異性活性化可能抗体の実施形態によれば、AB1はCM1を介してMM1にカップリングされ、そしてAB2は、AB2のその標的を結合する能力を低める第2マスキング部分(MM2)に、第2切断可能部分(CM2)を介してカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、2以上のAB領域を含み;それらの実施形態のいくつかによれば、AB1はCM1を介してMM1にカップリングされ、AB2はCM2を介してMM2にカップリングされ、そしてAB3は第3切断可能部分(CM3)を介して、AB3のその標的を結合する能力を低める第3マスキング部分(MM3)にカップリングされ、そして多重特異性活性化可能抗体における各ABについても同様である。
本明細書に提供される組成物及び方法は、多重特異性活性化可能抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合活性)を損なわないで、AB領域の何れかにおける1又は2以上のシステイン残基への1又は2以上の剤の結合を可能にする。いくつかの実施形態によれば、本明細書に提供される組成物及び方法は、MMのいずれか内の1又は2以上のジスルフィド結合を減じるか又は他方では、妨害しないで、AB領域の何れかにおける1又は2以上のシステインへの1又は2以上の剤の結合を可能にする。本明細書に提供される組成物及び方法は、1又は2以上の剤、例えば種々の治療、診断及び/又は予防剤の何れかに接合される多重特異性活性化可能抗体を生成し、好ましくは、前記剤の何れも多重特異性活性化可能抗体のMMの何れにも接合されていない。本明細書に提供される組成物及び方法は、各MMが切断されていない状態下で多重特異性活性化可能抗体のその対応するABを効果的且つ効率的にマスキングする能力を保持している、接合された多重特異性活性化可能抗体を生成する。本明細書に提供される組成物及び方法は、活性可能抗体が、CMを切断できるプロテアーゼの存在下で、まだ活性化されている、すなわち切断されている、接合された多重特異性活性化可能抗体を生成する。
多重特異性活性化可能抗体は、剤のための少なくとも1つの接合点を有するが、本明細書に提供される方法及び組成物においては、すべて未満の可能な接合点が剤への接合のために利用できる。いくつかの実施形態によれば、1又は2以上の接合点は、ジスルフィド接合に含まれる硫黄原子である。いくつかの実施形態によれば、1又は2以上の接合点は、鎖間ジスルフィド結合に含まれる硫黄原子である。いくつかの実施形態によれば、1又は2以上の接合点は、鎖間スルフィド結合に含まれる硫黄原子であるが、しかし鎖内ジスルフィド結合に含まれる硫黄原子ではない。いくつかの実施形態によれば、1又は2以上の接合点は、システイン、又は硫黄原子を含む他のアミノ酸残基の硫黄原子である。そのような残基は、抗体構造で天然において存在することができるか、又は部位特異的突然変異誘発、化学的変換、又は非天然アミノ酸の誤取り込みにより抗体中に組込まれ得る。
1又は2以上のABに、1又は2以上の鎖間ジスルフィド結合及び対応するMMに1又は2以上の鎖内ジスルフィド結合を有する多重特異性活性化可能抗体の接合体の調製方法がまた提供され、そして遊離チオールと反応性の薬剤が提供される。前記方法は一般的に、活性化可能抗体における鎖間ジスルフィド結合を、還元剤、例えばTCEPにより部分的に還元し;そしてその部分的に還元された活性化可能抗体に、遊離チオールと反応性の薬物を接合することを包含する。本明細書において使用される場合、用語「部分的還元」とは、多重特異性活性化可能抗体が、還元剤と接触され、そしてすべて未満ジスルフィド結合、例えばすべて未満の可能な接合部位が還元される状況を意味する。いくつかの実施形態によれば、99%、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、 55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10% 又は5%未満のすべての可能な接合部位が還元される。
さらなる他の実施形態によれば、剤、例えば薬剤を還元し、そして前記剤の置換下で選択をもたらす多重特異性活性化可能抗体に接合する方法が提供される。前記方法は、還元剤により多重特異性活性化可能抗体を還元し、結果的に、活性化可能抗体のマスキング部分又は他の非-AB部分の何れかにおける任意の接合部位が還元されず、そして多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のAB領域における鎖間チオールに剤を接合することを包含する。接合部位は、所望する部位での接合の発生を可能にする剤の所望する置換を可能にするよう選択される。例えば、還元剤は、TCEPである。還元反応条件、例えば還元剤:多重特異性活性化可能抗体の比、インキュベーションの長さ、インキュベーションの間の温度、還元反応溶液のpH、等が、MMが切断されていない状態下で活性化可能抗体のABを抗体を効果的且つ効率的にマスキングする能力を保持している、接合された活性化可能抗体を生成する条件を同定することにより決定される。還元剤:多重特異性活性化可能抗体の比は、活性化可能抗体に依存して変化するであろう。いくつかの実施形態によれば、還元剤:多重特異性活性化可能抗体の比は、約 20:1-1:1、約 10:1-1:1、約 9:1-1:1、約 8:1-1:1、約 7:1-1:1、約 6:1-1:1、約5:1-1:1、約4:1-1:1、約3:1-1:1、約2:1-1:1、約 20:1-1:1.5、約10:1-1:1.5、約 9:1-1:1.5、約 8:1-1:1.5、約7:1-1:1.5、約 6:1-1:1.5、 約5:1-1:1.5、約 4:1-1:1.5、約 3:1-1:1.5、約 2:1-1:1.5、約 1.5:1-1:1.5又は 約 1:1-1:1.5の範囲下にあるであろう。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約5:1-1.5:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記化は、約4:1-1:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記化は、約4:1-1.4:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約8:1-約1:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約2.5:1-1:1の範囲にある。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のAB領域中の鎖間ジスルフィド結合を還元し、そして得られる鎖間チオールに、剤、例えばチオール含有剤、例えば薬剤を接合し、前記AB上に剤を選択的に位置決定する方法が提供される。前記方法は、活性化可能抗体中のすべての可能な鎖間チオールを形成しないで、少なくとも2つの鎖間チオールを形成するために、1又は2以上のAB領域を還元剤により部分的に還元し;そして前記部分的に還元されたABの鎖間チオールに、前記剤を接合することを一般的に包含する。例えば、多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のAB領域は、還元剤:活性化可能抗体の所望する比で、約37℃で約1時間、部分的に還元される。いくつかの実施形態によれば、還元剤:活性化可能抗体の比は、約 20:1-1:1、約 10:1-1:1、約 9:1-1:1、約 8:1-1:1、約 7:1-1:1、約 6:1-1:1、約5:1-1:1、約4:1-1:1、約3:1-1:1、約2:1-1:1、約 20:1-1:1.5、約10:1-1:1.5、約 9:1-1:1.5、約 8:1-1:1.5、約7:1-1:1.5、約 6:1-1:1.5、 約5:1-1:1.5、約 4:1-1:1.5、約 3:1-1:1.5、約 2:1-1:1.5、約 1.5:1-1:1.5又は 約 1:1-1:1.5の範囲下にあるであろう。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約5:1-1.5:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記化は、約4:1-1:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記化は、約4:1-1.4:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約8:1-約1:1の範囲にある。いくつかの実施形態によれば、前記比は、約2.5:1-1:1の範囲にある。
チオール含有試薬は、例えばシステイン又はN-アセチルシステインであり得る。還元剤は、例えばTCEPであり得る。いくつかの実施形態によれば、還元された活性化可能抗体は、接合の前、例えばカラムクロマトグラフィー、透析又はダイアフィルトレーションを用いて精製され得る。他方では、還元された抗体は、部分的還元の後、及び接合の前、精製されない。
前記開示はまた、多重特異性活性化可能抗体における何れかの鎖内ジスルフィド結合も妨害しないで、多重特異性活性化可能抗体における少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が還元剤により還元されている、部分的に還元された多重特異性活性化可能抗体も提供し、ここで前記多重特異性活性化可能抗体は、標準に対して特異的に結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)、切断されていない状態下で、多重特異性活性化可能抗体のABの前記標的への結合を阻害する第1マスキング成分(MM1)、AB1にカップリングされる第1切断可能成分(CM1)(前記CM1はプロテアーゼのための基質として機能するポリペプチドである)、及び第2標的に対して特異的に結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、前記MM1は、CM1を介してAB1にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体中の1又は2以上の鎖間ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体内のMM1の1又は2以上の鎖間ジスルフィド結合は、還元剤により妨害されない。いくつかの実施形態によれば、還元剤は、TCEPである。
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、1又は2以上の追加の剤又は追加の剤の組合せと共に使用される。適切な追加の剤は、意図される用途、例えば癌のための現医薬品及び/又は外科的治療剤を包含する。例えば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、追加の化学療法又は抗腫瘍剤と共に使用され得る。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は、単一の治療組成物に製剤化され、そして多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は、同時に投与される。他方では、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は、お互い別々であり、例えば個々は、別々の治療組成物に製剤化され、そして多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は同時に投与されるか、又は多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は、治療計画の間、異なった時点で投与される。例えば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、追加の剤の投与の前、投与され、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、追加の剤の投与に続いて投与されるか、又は多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、交互に投与される。本明細書において記載される場合、抗-多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び追加の剤は、単回用量又は複数回用量で投与される。
本開示はまた、本明細書に記載される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体をコードする単離核酸分子、及びそれらの単離核酸配列を含むベクターも提供する。本開示は、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で、そのような核酸分子を含む細胞を培養することによる、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の生成方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、前記細胞は、そのようなベクターを含む。
本開示はまた、(a)多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体をコードする核酸コンストラクトを含む細胞を、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で培養し、そして(b)多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を回収することによる、本開示の多重特異性抗体及び/又は本開示の多重特異性活性化可能抗体の製造方法も提供する。
本開示はまた、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を、治療又は予防が所望される対象に投与することにより、1又は2以上の病状の症状を治療するか、予防するか、その進行を遅延するか、又は他方では、軽減するか、又はその病状に関連する症状を改善する方法も提供する。治療されるべき対象は、例えばヒト又は他の哺乳類である。いくつかの実施形態によれば、対象は、非ヒト哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、農業用動物、作業用動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態によれば、対象は齧歯動物である。
本開示はまた、標的依存性T-細胞活性化及び標的細胞の死滅の誘発が所望される対象に、本開示の多重特異性活性化可能抗体を投与することによる、そのような誘発方法も提供し、ここで多重特異性活性化可能抗体が切断された状態下にある場合、例えば多重特異性活性化可能抗体中の各マスキング部分がもはや結合されていないか、又は他方では、その対応するABドメインに会合されていない場合、標的細胞の標的依存性T-細胞活性化及び死滅が生じ、そして多重特異性活性化可能抗体が切断されていない状態下にある場合、例えば多重特異性活性化可能抗体中の少なくとも1つのマスキング部分が結合されているか、又は他方では、その対応するABドメインに会合されている場合、標的細胞の標的依存性T-細胞活性化及び死滅が低められるか、又は他方では、阻害される。本明細書に記載される多重特異性活性化可能抗体の何れでも、そのような方法への使用のために適切である。治療されるべき対象は、例えばヒト又は他の哺乳類である。いくつかの実施形態によれば、対象は、非ヒト哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、農業用動物、作業用動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態によれば、対象は齧歯動物である。
それらの方法及び使用の実施形態の何れかに使用される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、疾患の何れの段階でも及び/又はT-細胞活性化及び標的細胞の死滅が所望される何れの段階でも投与され得る。例えば、そのような多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、初期から転移性の何れの段階の癌を有する患者にも投与され得る。用語、対象及び患者は本明細書においては、交換可能的に使用され得る。それらの方法及び使用の実施形態の何れかに使用される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、ネオアジュバント療法を含む治療計画に使用され得る。それらの方法及び使用の実施形態の何れかに使用される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、単独で、又は1又は2以上の追加の剤、例えば小分子阻害剤、他の抗体に基づく治療、ポリペプチドに基づく治療、核酸に基づく治療及び/又は他の生物製剤と組合して投与され得る。
本開示はまた、種々の診断及び/又は予防徴候への多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の使用のための方法及びキットも提供する。例えば、本開示は、(i)第1マスキング部分(MM1)、節断剤により切断される第1切断部分(CM1)、及び目的の標的を特異的に結合する第1抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(AB1)、及び第2標的及び/又は第2エピトープを特異的に結合する第2抗原結合ドメイン又はそのフラグメント(AB2)を含む多重特異性活性化可能抗体と、対象又はサンプルとを接触し、(a)ここで前記MM1は標的へのAB1の結合を阻害するペプチドであり、そしてMM2はAB1の天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、AB1の天然の結合パートナーの修飾形ではなく;そして(b)ここで、切断されていない、非活性化状態下で、MM1は標的へのAB1の特異的結合を干渉し、そして切断された、活性化状態下で、MM1は標的へのAB1の特異的結合を干渉しないか、又はそれと競争せず;そして(ii)対象又はサンプルにおける活性化された多重特異性活性化可能抗体のレベルを測定することにより、対象又はサンプルにおける切断剤及び目的の標的の存在又は不在を検出するための方法及びキットを提供し、ここで、前記(ii)において、対象又はサンプルにおける活性化された多重特異性活性化可能抗体の検出できるレベルは、切断剤及び標的が対象又はサンプルに存在することを示唆し、そして対象又はサンプルにおける活性化された多重特異性活性化可能抗体の検出レベルの不在は、切断剤、標的、又は切断剤及び標的の両者が対象又はサンプルにおいて不在であり、そして/又は十分には存在しないことを示唆する。
いくつかの実施形態によれば、活性化できる多重特異性活性化可能抗体は、治療剤が接合される活性化できる多重特異性活性化可能抗体である。いくつかの実施形態によれば、活性化できる多重特異性活性化可能抗体は、剤に接合されない。いくつかの実施形態によれば、活性化できる多重特異性活性化可能抗体は、検出できる標識を含む。いくつかの実施形態によれば、検出できる標識は、AB1上に位置決定される。いくつかの実施形態によれば、対象又はサンプル中の活性化できる多重特異性活性化可能抗体のレベルの測定は、活性化された多重特異性活性化可能抗体に対して特異的に結合する、検出可能標識を含む二次試薬を用いて達成される。いくつかの実施形態によれば、前記二次試薬は、検出できる標識を含む抗体である。
それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、活性化できる多重特異性活性化可能抗体は、検出できる標識を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、検出できる標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1又は2以上の金属イオン、又はリガンドベースの標識を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、イメージング剤は、放射性同位体を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、放射性同位体は、インジウム又はテクネチウムである。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ-ガラクトシダーゼを含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、修飾された赤色蛍光タンパク質(MRFP)、赤色蛍光タンパク質tダイマー2(RFP tダイマー2)、HCRED、又はユーロピウム誘導体を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、発光標識は、N-メチルアクリジウム誘導体を含む。それらの方法のいくつかの実施形態によれば、標識は、Alexa Fluor(登録商標)標識, 例えばAlex Fluor(登録商標)680 又はAlexa Fluor(登録商標)750を含む。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、リガンドベースの標識は、ビオチン、アビジン、ストレプタビジン又は1又は2以上のハプテンを含む。
それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、対象は哺乳類である。それらの方法及びキットのいくつかの実施形態によれば、対象はヒトである。いくつかの実施形態によれば、対象は、非ヒト哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、農業用動物、作業用動物又は動物園の動物である。いくつかの実施形態によれば、対象は齧歯動物である。
それらの方法のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、インビボ方法である。それらの方法のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、現場方法である。それらの方法のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、エキソビボ方法である。それらの方法のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、インビトロ方法である。
それらの方法のいくつかの実施形態によれば、前記方法又はキットは、本開示の多重特異性活性化可能抗体による治療のために適切な患者集団を同定するか又は他方では、さらに絞り込むために使用される。例えば、それらの方法において試験される、標的、及び多重特異性活性化可能抗体中の第1の切断可能部分(CM1)において基質を切断するプロテアーゼの両者について陽性である患者は、そのようなCM1を含む多重特異性活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定される。同様に、それらの方法を用いて試験される、標的、及び多重特異性活性化可能抗体中のCM1において基質を切断するプロテアーゼの両者について陰性である患者は、別の形の治療のための適切な候補体として同定され得る。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体(例えば、治療剤が接合されている多重特異性活性化可能抗体)による治療、続く、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体を、その必要な対象に投与することによる治療のために適切な患者集団を同定するか又は他方では、絞り込むために使用される方法又はキットが使用される。例えば、それらの方法において試験される、標的、及び多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体中の第1の切断可能部分(CM1)において基質を切断するプロテアーゼの両者について陽性である患者は、そのようなCM1を含む多重特異性活性化可能抗体及び/又はそのようなCM1を含む世知ゴウされた多重特異性活性化可能抗体による治療のための適切な候補体として同定され、そして次に、患者は、治療的有効量の試験された多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体を投与される。同様に、それらの方法を用いて試験される、標的、及び多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体中のCM1において基質を切断するプロテアーゼの何れか又は両者について陰性である患者は、別の形の治療のための適切な候補体として同定され得る。
いくつかの実施形態によれば、そのような患者は、治療のための適切な多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体、例えば、疾患の部位で患者により切断されるCMを含む、多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体が同定されるまで、他の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体により試験され得る。いくつかの実施形態によれば、次に、患者は、治療的有効量の陽性であることが試験されている患者のための多重特異性活性化可能抗体及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体を投与される。
本開示の医薬組成物は、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体及び担体を含むことができる。それらの医薬組成物は、キット、例えば診断キットに含まれ得る。
当業者は、本開示の抗体が種々の用途を有することを認識するであろう。例えば、本開示のタンパク質は、種々の障害のための治療剤として使用される。本開示の抗体はまた、診断キットにおける試薬として、又は診断ツールとしても使用されるか、又はそれらの抗体は、治療用試薬を生成するために、競争アッセイに使用され得る。
本開示は、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を提供する。本明細書において使用される場合、多重特異性抗体は、複数の異なった抗原又はエピトープを認識する抗体であり、そして多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性抗体の少なくとも1つの抗原-又はエピトープ-結合ドメインに結合される少なくとも1つのマスキング部分(MM)を含む多重特異性抗体であり、結果的に、前記MMのカップリングが抗原-又はエピトープ-結合ドメインのその標的を結合する能力を低める。本明細書において提供される活性化可能多重特異性抗体は、循環において安定し、治療及び/又は診断の意図される部位で活性化されるが、しかし正常、すなわち健康組織においては活性化されず、そして活性化される場合、その対応する、修飾されていない多重特異性抗体と少なくとも同等である標的への結合を示す。
多重特異性抗体の非制限的例は、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、及び他の多重特異性抗体を包含する。本明細書に提供される多重特異性抗体は、また、多価であり;本明細書において使用される場合、多価とは、結合部位が同じか又は異なった抗原又はエピトープを認識するかどうかにかかわらず、抗体上の結合部位の総数を意味する。多重特異性活性化可能抗体の非制限的例は、二重特異性活性化可能抗体、三重特異性活性化可能抗体、四重特異性活性化可能抗体、及び他の多重特異性活性化可能抗体を包含する。本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体はまた、多価である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメント及び/又は多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、T細胞及び/又は他の免疫エフェクター細胞と動員するよう企画される。T細胞と動員する多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントはまた、T細胞動員多重特異性抗体又はそのフラグメント及び/又はT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントとして、本明細書において言及される。免疫得エフェクター細胞と動員する多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、免疫エフェクター細胞動員多重特異性抗体又はそのフラグメント及び/又は免疫エフェクター細胞動員多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントとして本明細書において言及される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメント及び/又は多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、複数の標的及び/又は複数のエピトープを結合するか、又は他方では、それと相互作用するよう企画され、また、多抗原標的化抗体又はそのフラグメント及び/又は多抗原標的化活性化可能抗体又はそのフラグメントとして、本明細書において言及される。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントは、IgGドメイン及びscFvドメインを含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントは、IgG可能ドメイン及びcsFvドメインを含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、T-細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは別の標的抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントの種々の実施形態が、図3A及び5-9に示されている。いくつかの実施形態によれば、IgGを含む多重特異性活性化可能抗体又はフラグメントは、マスキングされたIgG可変ドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、scFvを含む多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、マスキングされたscFvドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つはマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでscFvドメインの少なくとも1つは、マスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つはマスキング部分にカップリングされ、そしてscFvドメインの少なくとも1つはマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメイン及びscFvドメインの個々は、それ自体のマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、T-細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、別の標的抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントの1つの抗体ドメインは標的抗原のエピトープに対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、同じ標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、(i)T細胞上の表面抗原である第1のT-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含む、T-細胞動員抗体又はそのフラグメント、及び(ii)第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体は、多重特異性抗体の1又は2以上のN-末端及び/又は1又は2以上のC-末端の組合せに結合されるT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。本開示はまた、別の免疫エフェクター細胞動員抗体又はそのフラグメント、例えばナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、例えば骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面抗原を結合するそれらの抗体を含む多重特異性抗体も含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう、1つの標的-結合抗体の追加の組合せを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、(i)第1のT-細胞動員標的を結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含むT-細胞動員抗体の抗原結合フラグメントを含む第1アーム、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む標的結合抗体の抗原結合フラグメントを含む第2アームを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体又はそのフラグメントは、(iii)第3標的を結合する第3抗体又はその抗原結合フラグメント(AB3)を含む標的結合抗体の第3抗原結合フラグメントを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第2及び第3標的又はそれ以上の標的は、同じ抗原である。いくつかの実施形態によれば、第2及び第3標的又はそれ以上の標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第2及び第3標的又はそれ以上の標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)T細胞上の表面抗原である第1のT-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含む、T-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、AB1はマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMは、AB1の第1標的を結合する能力を低め、及び(ii)第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメントを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のN-末端及び/又は1又は2以上のC-末端の組合せに結合されるT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。本開示はまた、別の免疫エフェクター細胞動員抗体又はそのフラグメント、例えばナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、例えば骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面抗原を結合するそれらの抗体を含む多重特異性活性化可能抗体も含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、T-細胞動員抗体フラグメントの1つのAB1がマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB1のそのそれぞれのT-細胞結合標的を結合する能力を低める、及び(ii)T-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう、1つの標的-結合抗体を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、T-細胞動員抗体フラグメントの各AB1がそれ自体のマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、そのそれぞれのAB1への各MMのカップリングが、AB1のそのそれぞれのT-細胞結合標的を結合する能力を低める、及び(ii)T-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう、1つの標的-結合抗体を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)第1のT-細胞動員標的を結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含むT-細胞動員抗体の抗原結合フラグメントを含む第1アーム、ここで、AB1がマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB1の第1標的を結合する能力を低める、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む標的結合抗体の抗原結合フラグメントを含む第2アームを少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)T細胞上の表面抗原である第1のT-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含む、T-細胞動員抗体又はそのフラグメント、及び(ii)第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメント、ここで、AB2はマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMは、AB2の第2標的を結合する能力を低める、を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のN-末端及び/又は1又は2以上のC-末端の組合せに結合されるT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。本開示はまた、別の免疫エフェクター細胞動員抗体又はそのフラグメント、例えばナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、例えば骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面抗原を結合するそれらの抗体を含む多重特異性活性化可能抗体も含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を少なくとも含み、ここで、AB2はマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB2の第2標的を結合する能力を低め、ここで前記T-細胞scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結される。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)T-細胞動員抗体の抗原結合フラグメントを含む第1アーム、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む標的結合抗体の抗原結合フラグメントを含む第2アームを少なくとも含み、ここで、AB2がマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB2の第2標的を結合する能力を低める。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)T細胞上の表面抗原である第1のT-細胞動員標的を結合する、第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含む、T-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、AB1はマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MM1は、AB1の第1標的を結合する能力を低める、及び(ii)第2標的を結合する、第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む、第2抗体又はそのフラグメント、ここで、AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2は、AB2の第2標的を結合する能力を低める、を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のH鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のN-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、標的-特異性抗体のL鎖のC-末端に結合される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体の1又は2以上のN-末端及び/又は1又は2以上のC-末端の組合せに結合されるT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。本開示はまた、別の免疫エフェクター細胞動員抗体又はそのフラグメント、例えばナチュラルキラー(NK)細胞、単核細胞、例えば骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞の表面抗原を結合するそれらの抗体を含む多重特異性活性化可能抗体も含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、T-細胞動員抗体フラグメントの1つのAB1がマスキング部分(MM)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB1のそのそれぞれのT-細胞結合標的を結合する能力を低める、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を少なくとも含み、ここで、AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが、AB2の第2標的を結合する能力を低め、ここで前記T-細胞scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結される。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)1又は2以上のT細胞活性化受容体、例えばT-細胞動員scFvフラグメント、例えばOX40/GITR、CD137/ GITR、CD137/OX40、CD27/NKG2D(但し、それらだけには限定されない)、及び活性化受容体の追加の組合せを動員する2種のT-細胞動員抗体又はそのフラグメント、ここで、T-細胞動員抗体フラグメントの各AB1がマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、各MM1のそのそれぞれのAB1へのカップリングが、AB1のそのそれぞれのT-細胞結合標的を結合する能力を低める、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を少なくとも含み、ここで、AB2はマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MM2のカップリングが、AB2の第2標的を結合する能力を低め、ここで前記T-細胞scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結される。いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞阻害受容体、及びT-細胞動員scFvフラグメントが標的結合抗体の両アームに連結されるよう1つの標的-結合抗体を動員する2つのT-細胞動員抗体又はそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、異なったT-細胞動員標的を結合する。いくつかの実施形態によれば、前記2つのT-細胞動員抗体フラグメントは、同じT-細胞動員標的上の異なったエピトープを結合する。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性活性化可能抗体又はそのフラグメントは、(i)第1のT-細胞動員標的を結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含むT-細胞動員抗体の抗原結合フラグメントを含む第1アーム、ここで、AB1がマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB1の第1標的を結合する能力を低める、及び(ii)第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含む標的結合抗体の抗原結合フラグメントを含む第2アーム、ここで、AB2がマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MMのカップリングが、AB2の第1標的を結合する能力を低める、を少なくとも含む。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、異なった抗原である。いくつかの実施形態によれば、第1及び第2標的は、同じ抗原上の異なったエピトープである。いくつかの実施形態によれば、T-細胞動員抗体又はそのフラグメントは、1又は2以上のT細胞活性化受容体の代わりに、1又は2以上のT細胞阻害受容体を動員する。
いくつかの実施形態によれば、標的抗原は、正常な、健康組織及び疾患組織の両者上で高度に発現される抗原である。いくつかの実施形態によれば、標的抗原は、正常な健康組織及び疾患組織の両者上で高度に発現される、表1からの抗原である。
いくつかの実施形態によれば、標的抗原は、疾患組織上で高度に発現されるが、しかし正常な健康組織上では高度に発現されない抗原である。いくつかの実施形態によれば、標的抗原は、疾患組織上で高度に発現されるが、しかし正常な健康組織上では高度に発現されない、表1からの抗原である。標的抗原は、正常な健康組織上で発現され得るが、しかしそれは、正常な健康組織上では、高度に発現されないか、又は他方では、過剰発現される。
いくつかの実施形態によれば、マスキング部分(MM)は、プロテアーゼのための基質として機能する切断可能部分(CM)を介して、抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)にカップリングされる。本開示の多重特異性活性化可能抗体への使用のための適切なプロテアーゼは、治療及び/又は診断の意図される部位でのプロテアーゼ発現に基づいて決定される。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、u-タイププラスミノーゲン活性化因子(uPA、またウロキナーゼともよべれる)、レグマイン及び/又はマトリプターゼ(また、MT-SP1又はMTSP1とも呼ばれる)である。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非切断可能リンカーを介して抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)にカップリングされるマスキング部分(MM)を含むよう構築される。例えば、いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、標的化抗体又はその抗原結合フラグメント及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分を含むT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体であり、ここでT-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1のT-細胞動員標的を結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここでAB1は非切断可能リンカーを介してマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MMのカップリングがAB1の第1標的を結合する能力を低め、そして標的化抗体又はその抗原結合フラグメントはマスキングされない。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、標的化抗体又はその抗原結合フラグメント及びT-細胞動員抗体又はその抗原結合部分を含むT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体であり、ここでT-細胞動員抗体又はその抗原結合フラグメントは、第1のT-細胞動員標的を結合する第1抗体又はその抗原結合フラグメント(AB1)を含み、ここでAB1は非切断可能リンカーを介してマスキング部分(MM1)に結合され、結果的に、MMのカップリングがAB1の第1標的を結合する能力を低め、そして標的化抗体又はその抗原結合フラグメントは、第2標的を結合する第2抗体又はその抗原結合フラグメント(AB2)を含み、ここでAB2は切断可能リンカーを介してマスキング部分(MM2)に結合され、結果的に、MMのカップリングがAB2の第2標的を結合する能力を低める。
二重特異性抗体の一般的概念は、最初に、少なくとも50年前、紹介されている(Chan, A.C. and Carter, P.J., Nature Reviews Immunol. 10, 301-316 (2010)に引用されるような、Nisonoff, A. and Mandy, W.J., Nature 194, 355-359 (1962))。
種々の二重特異性プラットホームが記載されて来た(例えば、Figure 1; Liu, M.A., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 8648-8652 (1985);Kroesen, B.J., et al. Adv. Drug Delivery Rev. 31, 105-129 (1998) により再考される; Marvin, J.S. and Zhu, Z., Acta Pharm. Sinica 26, 649-658 (2005); Chan and Carter, Nat. Rev. Immunol. 2010; Fitzgerald and Lugovsky, MAbs. 3(3):299-309 (2011); Riethmuller, G., Cancer Immunity 12, 12-18 (2012) を参照のこと)。二重特異性抗体の構成のための一般的概念は、複数の標的抗原に結合できる分子を構成し、そしてIgG様生理学的分布、薬物動態及びエフェクター機能を示すために、通常、複数の免疫グロブリンドメインに基づいて、タンパク質結合ドメインを一緒に連結することである。後者は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)、T-細胞リクルートメント(BiTEs(登録商標))(例えば、Baeuerle, P.A. and Reinhardt, C., Cancer Res. 69, 4941-4944 (2009)を参照のこと)及びTandAbs(登録商標)(Cochlovius et al., Cancer Res. 60, 4336-4341 (2000)を参照のこと)、及び/又は化学的に接合された部分の形での細胞素性ペイロード、例えば微小管阻害剤、DNAアルキル化剤、又は抗体-薬剤接合体(ADC)の形での他の毒素の送達を包含する。多くの二重特異性抗体形式が、それらの準最適な生成及び薬理学的性質にかかわらず、最も臨床学的に進歩した性質を表わす従来のヘテロダイマーIgG及びBiTEs(登録商標)を用いて研究されている(Chan and Carter, Nat. Rev. Immunol. 2010を参照のこと)。二重特異性抗体は、特定の形式及び選択される標的抗原の特定の特性に基づいて、多くの可能な用途を有し;必ずしもすべての二重特異性形式がすべての適用のために適切ではない。例えば、Two-in-one Fab 形式(Bostrom, J., et al., Science 323, 1610-1614 (2009))は、何れかの様式で抗原A及びBに結合するための単一結合ドメインから成り;従って、このタイプの二重特異性抗体は、抗原Aの2つのコピー、抗原Bの2つのコピー、又は各抗原の1つのコピーを動員することができる。他方では、DVD形式(Wu, C., et al., Nature Biotechnol. 25, 1290-1297 (2007))は、抗原Bの2つのコピーの他に、抗原Aのコピーの動員を提供する。各結合ドメインの間隔及び相対的配向がまた、意図される活性を付与するような手段で複数の抗原の動員のためにも重要であり、例えば架橋受容体(Jackman, J., et al., J. Biol. Chem. 285, 20850-20859 (2010))は、各受容体の1つのコピーの動員が必要とされる場合、2種の異なった抗原の個々との一価の相互作用を必要とする。
二重特異性抗体適用の機構的に異なった領域は、細胞毒性のために標的化された細胞(例えば、腫瘍の細胞)の表面上の抗原及び細胞毒性免疫細胞(例えば、T-細胞)の表面上の抗原の両者を動員する二重特異性抗体を構成することにより、腫瘍細胞を、攻撃する免疫エフェクター細胞(例えば、細胞毒性T-リンパ球、NK細胞及び/又は骨髄性エフェクター細胞)のリクルーティングを包含する。Catumaxomabは、癌細胞上の腫瘍抗原EpCAMを標的化し、そしてT-細胞表面上のCD3への結合を介して、細胞毒性T-細胞をリクルートする臨床学的に検証された二重特異性抗体の例であり(Linke, R., Klein, A., and Seimetz, D., mAbs 2, 129-136 (2010));しかしながら、その使用は、制限されており、そしてそれは腹腔内投与を必要とする。BiTE(登録商標)抗体は、異なった薬理学的性質を伴って、異なった形式でT-細胞リクルートメントを達成する二重特異性抗体であり(Baeuerle, P.A. and Reinhardt, C., Anti-Cancer Res. 69, 4941-4944 (2009))、特にBiTE抗体は、2つの一本鎖可変フラグメント(scFv)から構成され、そしてインビボで非常に短い薬理学的半減期を有し;従って、それらは持続した注入を通しての送達を必要とする。TandAb(登録商標)と呼ばれる類似する形式は、四価の二重特異性ダイアボディコンストラクトであり、ここで2つの可変ドメインが標的抗原に結合し、そして2つの可変ドメインがT-細胞の表面上のCD3に結合する(Cochlovius et al., Cancer Res. 60, 4336-4341 (2000))。この形式は、標的抗原及びT-細胞表面抗原の両者の二価動員が、T-細胞動員及び抗原指向性細胞毒性のために使用され得ることを示す。しかしながら、TandAb形式はまた、インビボで非常に短い半減期を有する。
T-細胞動員二重特異性抗体の一般的な制限は、T-細胞の細胞毒性が非常に強力であり、そして細胞の表面上の相対的に低いレベルの標的抗原により活性化され得る事実に関連する。健康組織上の適度なレベルの標的抗原、例えばEGFRの発現さえ、有意な毒性を導き、臨床学的治療用途を制限するか、又は妨げる(Lutterbuese, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 107, 12605-12610 (2010))。従って、改善された安全性、例えば低められた毒性を示す効果的な抗体ベースの治療法についての必要性が残っている。
本開示の多重特異性活性化可能抗体は、その抗体の活性が局在化された疾患の環境に制限されないので、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体よりも安全である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、免疫エフェクター細胞動員多重特異性活性化可能抗体である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、T-細胞動員多重特異性活性化可能抗体である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、複数の標的を認識する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgGの長期半減期性質を付与するIgG-scFv形式を包含する。いくつかの実施形態によれば、そのような多重特異性活性化可能抗体はさらに、FcRn結合部位におけるFc突然変異の使用を通してモジュレートされる(Petkova, S. B. et al., Intl. Immunol. 18, 1759-1769 (2006); Deng, R. et al., mAbs 4, 101-109 (2012); Olafson, T Methods Mol. Biol. 907, 537-556 (2012))。いくつかの実施形態によれば、そのような多重特異性活性化可能抗体は、Fcドメインにおける突然変異、例えば標的外毒性を減じるために、IgGエフェクター機能(ADCC及びCDC)を低めるN297A突然変異(Lund, J. et al., Mol. Immunol. 29, 53-39 (1992))を包含する。
多重特異性活性化可能抗体は、そのような治療の疾患-組織特異的標的化を達成するために、複数の疾患状態の特徴として広く認識されるプロテアーゼ活性のアップレギュレーションを活用する。活性化可能抗体は、切断可能部分(CM)、例えばプロテアーゼ-切断可能部分を介して抗体に連結されるマスキング部分(MM)を含むよう修飾されている、IgG抗体又はそのフラグメント、例えばscFv領域、Fab領域、単一VH又はVLドメインの使用に基づかれる(例えば、2009年2月26日に公開されたPCT国際公開番号2009/025846号;2010年7月15日に公開されたPCT国際公開番号2010/081173号を参照のこと)。他方では、非抗体タンパク質ドメイン(例えば、2010年8月26日に公開されたPCT国際公開番号2010/096838号;Boersma, Y.L. et al., J. Biol. Chem. 286, 41273-41285 (2011)を参照のこと)が、1又は2以上の結合特異性を達成するために使用され得る。従来のIgGのような多重特異性抗体は、多重特異性活性化可能抗体を生成するために、出発点として使用され得る。そのような多重特異性活性化可能抗体は、親多重特異性抗体により認識されるが、しかし選択的に活性化された切断可能リンカーにより決定される組織特異性を有するすべての抗原の高新和性標的化を可能にする。使用される多重特異性形式に依存して、MM及びCMは、適切なドメインのN-又はC-末端で配置され得る。
多重特異性活性化可能抗体は、第2抗原に結合するための特異性を有する別のドメイン(IgG又は他のタンパク質から誘導され得る)に、合成的に又は生合成的に連結される、第1抗原に対する特異性を有する少なくとも1つのIgG-由来のドメインを含む。追加の特異性は、第1抗原、第2抗原又は追加の抗原に対する追加の結合特異性を付与する1又は2以上の追加のドメインに、そのような多重特異性活性化可能抗体を連結することにより付与され得る。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、適切なマスキング部分(MM)によりマスキングされた1又は2以上のそれらのドメインを有する。図1に記載される多重特異性形式の個々は、1又は2以上の免疫グロブリンドメインの1又は2以上の抗原結合部分をマスキングすることにより、多重特異性活性化可能抗体に潜在的に転換され得る。適切な多重特異性活性化可能抗体形式の例は、図3A及び5-9に示される。
特定抗原に特異性を付与するためへのscFvドメインの使用は、多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体のモジュール構成を可能にする。二重特異性抗体の構成のためへのIgGH又はL鎖の末端に融合されるscFvドメインの使用は、これまで記載されている(例えば、Orcutt, K.D. et al., Prot. Eng. Design Select. 23, 221-228 (2010); Dong et al., (2011)を参照のこと)。この形式(「IgG-scFv」)は、従来のIgGの二重特異性抗体への転換を可能にし、ここで第1特異性はIgGの可変ドメインにコードされ、そして第2特異性は、柔軟リンカー領域を介して結合されるscFvドメインにコードされる。この形式の変動は、H又はL鎖のN-又はC-末端でのscFvドメインの融合を包含し;そのscFvは同じが又は異なった抗原結合特異性を有することができる(pangler, J. B. et al., J. Mol. Biol. 422, 532-544 (2012))。さらに、H鎖へテロダイマーの使用を通して(例えば、ノブ-ホール又は類似するコンストラクトを用いて)、異なった特異性のscFvが、各H鎖のN-又はC-末端に結合され得る。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたIgG可変ドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたscFvドメインの両者を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、T-細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原のエピトープに対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
本開示は、次のもの(但し、それらだけには限定されない)を包含する多重特異性活性化可能抗体構造体の例を提供する:
(VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2; (VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VH*-L3-VL*)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VL*-L3-VH*)2; (VL-CL)2:(MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL)2:(MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL)2:(VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VL-CL)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2:(MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2:(MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*)2:(MM-L1-CM-L2-VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*)2:(MM-L1-CM-L2-VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2:(VL*-L3-VH*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2; or (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2: (VH*-L3-VL*-L4-VH-CH1-CH2-CH3)2、ここでVL及びVHは、IgGに含まれる、第1特異性のL及びH鎖可変ドメインを表し;VL*及びVH*は、scFvに含まれる、第2特異性の可変ドメインを表し;L1は、マスキング部分(MM)及び切断可能部分(CM)を連結するリンカーペプチドであり;L2は、切断可能部分(CM)及び抗体を連結するリンカーペプチドであり;L3はscFvの可変ドメインを連結するリンカーペプチドであり;L4は、第2特異性の抗体に、第1特異性の抗体を連結するリンカーペプチドであり;CLはL鎖不変ドメインであり;そしてCH1、CH2、CH3はH鎖不変ドメインである。第1及び第2特異性は何れかの抗原又はエピトープに対してであり得る。追加の構造体は、次のもの(但し、それらだけには限定されない)を含む:
(VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL--L4-VL*-L3-VH*)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; (VL-CL-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VH*-L3-VL*-L2-CM-L1-MM)2; (VL-CL-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2:(VH-CH1-CH2-CH3-L4-VL*-L3-VH*-L2-CM-L1-MM)2; (MM-L1-CM-L2-VL-CL-L4-VH*-L3-VL*)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2; or (MM-L1-CM-L2-VL-CL--L4-VL*-L3-VH*)2:(VH-CH1-CH2-CH3)2。
いくつかの実施形態によれば、IgGを含む多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたIgG可変ドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、scFvを含む多重特異性活性化可能抗体は、マスキングされたscFvドメインを有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここで、IgG可変ドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでscFvドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgG可変ドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされ、そしてscFvドメインの少なくとも1つがマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、IgG可変ドメイン及びscFvドメインの両者を有し、ここでIgGドメイン及びscFvドメインの個々は、それ自体のマスキング部分にカップリングされる。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインが標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインが、T-細胞表面抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原に対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、別の標的抗原に対する特異性を有する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の1つの抗体ドメインは、標的抗原のエピトープに対する特異性を有し、そして別の抗体ドメインは、標的抗原の別のエピトープに対する特異性を有する。
免疫エフェクター細胞動員多重特異性活性化可能抗体、例えばT-細胞動員多重特異性活性化可能抗体のいくつかの実施形態によれば、1つの抗原は典型的には、腫瘍細胞又は疾患に関連する他の細胞型の表面上に存在する抗原、例えば表1に列挙される何れかの標的、例えばEGFR、erbB2、EpCAM、Jagged、PD-L1、B7H3又は CD71 (ランスフェリン受容体)(但し、それらだけには限定されない)であり、そして別の抗原は典型的には、T-細胞、ナチュナルキラー(NK)細胞、骨髄単核細胞、マクロファージ及び/又は他の免疫エフェクター細胞上に存在する刺激性又は阻害性抗原、例えばB7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3、又はVISTAである。T-細胞表面抗原に対する特異性を付与する抗体ドメインはまた、T-細胞受容体、NK-細胞受容体、マクロファージ受容体、及び/又は他の免疫エフェクター細胞受容体、例えばB7-1、B7-2、 B7H3、PD-L1、PD-L2又はTNFSF9(但し、それらだけには限定されない)に結合するリガンド又はリガンドドメインにより置換され得る。多抗原標的化活性可能抗体のいくつかの実施形態によれば、1つの抗原は、表1に列挙される標的グループから選択され、そして別の抗原は、表1に列挙される標的グループから選択される。
いくつかの実施形態によれば、T-細胞表面表示標的の結合に対して特異的な単鎖可変ドメインは、細胞表面抗原に対する完全なヒトIgG1抗体(標的化抗体)のカルボキシル末端に融合される。scFvの融合は、H鎖のカルボキシル末端、L鎖のカルボキシル末端又は両鎖に対してであり得る(図2)。いくつかの実施形態によれば、T-細胞表面表示標的の結合に対して特異的な単鎖可変ドメインは、細胞表面抗原に対する完全なヒトIgG1抗体(標的化抗体)のアミノ末端に融合される。scFvの融合は、H鎖のアミノ末端、L鎖のアミノ末端又は両鎖に対してであり得る。融合体は、単一の遺伝子コントラクトとして構成され、そして培養下で細胞において発現される。標的化抗体は、1又は2以上の腫瘍表面抗原、又は枯渇を標的化された何れかの細胞への結合に対して特異的であり得る。scFvは、同じか又は異なった抗原に対して特異的であり得る。
いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、抗-EGFR抗体である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v5である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるc225である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v4である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、EGFRへの結合に対して特異的であるC225v6である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、抗-Jagged抗体である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、ヒト及びマウスJagged1及びJagged2への結合に対して特異的である4D11である。いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、ヒト及びマウスJagged1及びJagged2への結合に対して特異的である4D11v2である。
いくつかの実施形態によれば、標的化抗体は、活性化可能抗体の形で存在することができる。いくつかの実施形態によれば、scFvは、Pro-scFvの形で存在することができる(例えば、国際公開第2009/025846号、国際公開第2010/081173号を参照のこと)。
いくつかの実施形態によれば、scFvは、CD3ε、例えばOKT3の結合に対して特異的である。いくつかの実施形態によれば、scFvは、CTLA-4(また、CTLA及びCTLA4としても本明細書において呼ばれる)の結合に対して特異的である。
いくつかの実施形態によれば、scFvは、1又は2以下のT-細胞、1又は2以上のNK-細胞及び/又は1又は2以上のマクロファージの結合に対して特異的である。いくつかの実施形態によれば、scFvは、B7-H4、BTLA、CD3、CD4、CD8、CD16a、CD25、CD27、CD28、CD32、CD56、CD137、CTLA-4、GITR、HVEM、ICOS、LAG3、NKG2D、OX40、PD-1、TIGIT、TIM3、又はVISTA及びそれらの組合せから成る群から選択される標的の結合に対して特異的である。
定義
特にことわらない限り、本開示に関連して使用される科学技術用語は、当業者により通常、理解される意味を有するであろう。さらに、文脈により必要とされない限り、単数形の用語は、複数形も含み、そして複数形の用語は単数形も含むであろう。一般的に、本明細書に記載される細胞及び組織培養、分子生物学、及びタンパク質及びオリゴ-又はポリヌクレオチド化学及びハイブリダイゼーションに関連して及びそれらの技法に関連して使用される命名法は、当業界において良く知られており、そして通常使用されるものである。組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に関しては、標準技法が使用される。酵素反応及び精製技法は、製造業者の仕様に従って、又は当核技術分野において通常に達成されるようにして、又は本明細書に記載されるようにして、実施される。前述の技法及び手順は、一般的に、当業界において良く知られている従来の技法に従って、及び本明細書を通して引用され、そして議論される種々の一般的な及びより具体的な参考文献に記載されるようにして実施される。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))を参照のこと。本明細書に記載される、分析化学、合成有機化学、及び医薬品及び製薬化学に関連して使用される命名法、及びそれらの実験手順及び技法は、良く知られており、そして一般的に当業界において使用される。化学合成、化学分析、医薬製剤、製剤化及び送達、及び患者の治療についての標準技法が用いられる。
本開示に従って使用される場合、次の用語は、特にことわらない限り、次の意味を有することが理解されるであろう。
本明細書において使用される場合、用語「抗体(antibody)」とは、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的活性部分、すなわち抗原を特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合部位を含む分子を意味する。「特異的に結合する(specifically bind)」又は「~と免疫反応する(immunoreacts with)」、又は「免疫特異的に結合する(immunospecifically bind)」とは、抗体が所望の抗原の1又は2以上の抗原決定基と反応し、そして他のポリペプチドとは反応しないか、又はより低い親和性(Kd>10-6)で結合することを意味する。抗体とは、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、完全なヒト、ドメイン抗体、一本鎖、Fab及びF(ab′)2フラグメント、scFv及びFab発現ライブラリーを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
基本的抗体構造単位は、テトラマーを含むことが知られている。各テトラマーは、2つの同一対のポリペプチド鎖から構成され、各対は1つの「L鎖」(約25kDa)及び1つの「H鎖」(約50-70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、抗原認識を主に担当する約100-110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシル末端部分は、エフェクター機能を主に担当する不変領域を定義する。一般的に、ヒトから得られる抗体分子は、クラスIgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのいずれかに関し、それらは分子に存在するH鎖の性質によりお互い異なる。特定のクラスは、サブクラス、例えばIgG1、IgG2、IgG3、 IgG4及び他のものを有する。さらに、ヒトにおいては、L鎖は、κ鎖又はλ鎖であり得る。
用語「モノクローナル抗体(monoclonal antibody)」(mAb)又は「モノクローナル抗体組成物(monoclonal antibody composition)」とは、本明細書において使用される場合、ユニークL鎖遺伝子生成物及びユニークH鎖遺伝子生成物から成る抗体分子の1つの分子種のみを含み抗体分子集団を言及する。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、前記集団の分子全てにおいて同一である。MAbは、それに対するユニーク結合親和性により特徴づけられる抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を含む。
用語「抗原-結合部位(antigen-binding site)」又は「結合部分(binding portion)」とは、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の一部を言及する。抗原結合部位は、H鎖(H)及びL鎖(L)のN-末端可変(V)領域のアミノ酸残基により形成される。「超可変領域(hyperrariable regions)」として言及される、H及びL鎖のV領域内の3つの高度に分岐したストレッチが、「骨格領域(framework regions)」又はFRとして知られている、より保存されたフランキングストレッチ間に介在する。従って、用語「FR」とは、免疫グロブリンにおける超可変領域間に天然において見出され、そしてその領域に隣接して存在するアミノ酸配列を言及する。抗体分子においては、L鎖の3つの超可変領域及びH鎖の3つの超可変領域が、抗原-結合表面を形成するために、立体空間でお互いに対して配置される。抗原結合表面は、結合される抗原の立体表面に相補的であり、そしてH鎖及びL鎖の個々の3つの超可変領域は、「相補性-決定領域(Complementarity-determining regions)」又は「CDR」として言及される。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1987 and 1991))又は Chothia & Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987), Chothia et al. Nature 342:878-883 (1989)の定義に従う。
本明細書において使用される場合、用語「エピトープ(epitope)」は、免疫グロブリン、scFv又はT-細胞受容体に対して特異的結合できる任意のタンパク質決定因子を包含する。用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT-細胞受容体に対して特異的結合できる任意のタンパク質決定因子を包含する。エピトープ決定因子は通常、分子、例えばアミノ酸又は糖側鎖の化学的活性表面基から成り、そして通常、特異的立体構造特性、及び特異的電荷特性を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN-末端又はC-末端ペプチドに対して高められる。抗体は、解離定数が≦1μMである場合、例えば、いくつかの実施形態によれば、≦100nM、及びいくつかの実施形態によれば、≦10nMである場合、抗原を特異的に結合すると言われる。
本明細書において使用される場合、用語「特異的結合(specific binding)」、「免疫学的結合(immunological binding)」及び「免疫学的結合性質(immunological binding properties)」とは、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリンが特異的である抗原との間で生じるタイプの非共有相互作用を言及する。免疫学的結合相互作用の強度又は親和性は、相互作用の解離定数(Kd)で表され得、ここでより小さなKdがより高い親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合性質は、当業界において良く知られている方法を用いて定量化され得る。1つのそのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成及び解離の速度の測定を必要とし、ここでそれらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性及び両方向にその速度に等しく影響を及ぼす幾何学的パラメーターに依存する。従って、「オン速度定数(on rate constant)」 (Kon)及び「オフ速度定数(「off rate constant」)(Koff)の両者は、濃度、及び会合及び解離の実際の速度の計算により決定され得る。(Nature 361:186-87 (1993)を参照のこと)。Koff/Konの比率は、親和性に関係しないすべてのパラメーターの取り消しを可能にし、そして解離定数Kdに等しい。(一般的に、Davies et al. (1990) Annual Rev Biochem 59:439-473を参照のこと)。本開示の抗体は、当業者に知られているアッセイ、例えば放射性リガンド結合アッセイ又は類似するアッセイにより測定される場合、平衡結合定数(Kd)が、≦1μM、例えば、いくつかの実施形態によれば、≦100nM、いくつかの実施形態によれば、≦10nM、及びいくつかの実施形態によれば、≦100pM-約1pMである場合、EGFRに対して特異的に結合すると言われる。
用語「単離されたポリヌクレオチド(isolated polynucleotide)」とは、本明細書において使用される場合、ゲノム、cDNA又は合成起源、又はそれらのいくつかの組合せのポリヌクレオチドを意味し、その起源により、「単離されたポリヌクレオチド」は、(1)「単離されたポリヌクレオチド」が天然で見出される、ポリヌクレオチドのすべて又は一部に関連せず、(2)それが天然において連結されないポリヌクレオチドに操作可能的に連結されるか、又は(3)大きな配列の一部として、天然において存在しない。本開示のポリヌクレオチドは、本明細書に示されるH鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子、及び本明細書に示されるL鎖免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を含む。
本明細書において言及される用語「単離されたタンパク質(isolated protein)」とは、cDNA、組換えRNA、又は合成起源又はそれらのいくつかの組合せのタンパク質を意味し、その起源又は誘導源により、「単離されたタンパク質」は、(1)天然において見出されるタンパク質とは関連せず、(2)同じ源からの他のタンパク質、例えばネズミタンパク質を有さず、(3)異なった種からの細胞により発現されるか、又は(4)天然において存在しない。
用語「ポリペプチド(polypeptide)」とは、天然タンパク質フラグメント又はポリペプチドの配列の類似体を言及するための遺伝子用語として、本明細書において使用される。従って、天然タンパク質フラグメント及び類似体は、ポリペプチド属の種である。本開示のポリペプチドは、本明細書に示されるH鎖免疫グロブリン分子、及び本明細書に示されるL鎖免疫グロブリン分子、並びに、L鎖免疫グロブリン分子、例えばカッパL鎖免疫グロブリンと共に、H鎖免疫グロブリン分子を含む組合せにより形成される抗体分子を含み、そして逆もまた同様に、及びそれらのフラグメント及び類似体も含む。
本明細書において使用される、用語「天然に存在する(naturally-occurring)」とは、目的に適用される場合、目的が天然において見出され得る事実を意味する。例えば、天然源から単離され得る生物(ウィルスを含む)に存在し、そして実験室においてヒトにより意図的に修飾されておらず、又は他方では、天然に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列を挙げることができる。
用語「操作可能的に連結される(operably linked)」とは、本明細書において使用される場合、そのように記載される成分の位置が、それらの意図される様式で機能することを可能にする関係にあることを意味する。コード配列に「操作可能的に連結される」制御配列は、そのコード配列の発現が制御配列と適合できる条件下で達成されるような手段で連結される。
用語「制御配列(control sequence)」とは、本明細書において使用される場合、連結されるコード配列の発現及びプロセッシングに影響を及ぼすのに必要であるポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、原核生物における宿主生物に依存して異なり、そのような制御配列は一般的に、真核生物では、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列を含み、一般的に、そのような制御配列はプロモーター及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、その存在が発現及びプロセッシングのために必須であるすべての成分を、少なくとも含むよう意図され、そしてまた、その存在が好都合である追加の成分、例えばリーダー配列及び融合パートナー配列を含むことができる。用語「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」とは、本明細書において使用される場合、少なくとも10個の長さの塩基のヌクレオチド、リボヌクレオチド又はデオキシヌクレオチド、又は何れかのタイプのヌクレオチドの修飾形を意味する。この用語は、単鎖及び二本鎖形のDNAを包含する。
本明細書において言及される用語、ポリヌクレオチドは、天然に存在し、そして天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合により一緒に連結される、天然に存在し、そして修飾されたヌクレオチドを包含する。オリゴヌクレオチドは、200個又はそれよりも少ない長さの塩基を一般的に含むポリヌクレオチドポリヌクレオチドサブセットである。いくつかの実施形態によれば、オリゴヌクレオチドは、10-60個の長さの塩基、例えば、いくつかの実施形態によれば、12、13、14、15、16、17、18、19又は20-40個の長さの塩基である。オリゴヌクレオチドは通常、プローブについては一本鎖であるが、但しオリゴヌクレオチドは、遺伝子変異体の構成への使用に関しては、二本鎖であり得る。本開示のオリゴヌクレオチドは、センス又はアンチセンスの何れかのオリゴヌクレオチドである。
本明細書において言及される用語「天然に存在するヌクレオチド(naturally occurring nucleotides)」は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを包含する。本明細書において言及される用語「修飾されたヌクレオチド(modified nucleotides)」は、修飾されたか又は置換された糖基等を有するヌクレオチドを含む。本明細書において言及される用語「オリゴヌクレオチド結合(oligonucleotide linkages)」は、オリゴヌクレオチド結合、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロンミデート及び同様のものを包含する。例えば、LaPlanche et al. Nucl. Acids Res. 14:9081 (1986); Stec et al. J. Am. Chem. Soc. 106:6077 (1984), Stein et al. Nucl. Acids Res. 16:3209 (1988), Zon et al. Anti Cancer Drug Design 6:539 (1991); Zon et al. Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, pp. 87-108 (F. Eckstein, Ed., Oxford University Press, Oxford England (1991)); Stec et al. U.S. Patent No. 5,151,510; Uhlmann and Peyman Chemical Reviews 90:543 (1990)を参照のこと。オリゴヌクレオチドは、所望には、検出のための標識を含むことができる。
本明細書において使用される場合、20種の従来のアミノ酸及びそれらの略語は、慣用的用法に従う。Immunology - A Synthesis (2nd Edition, E.S. Golub and D.R. Gren, Eds., Sinauer Associates, Sunderland7 Mass. (1991))を参照のこと。20種の従来のアミノ酸、非天然アミノ酸、例えばα-置換されたアミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸及び他の非従来型アミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)もまた、本開示のポリペプチドのための適切な成分であり得る。非従来型アミノ酸の例は、次のものを包含する:4-ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、ε-N、N、N、N-トリメチルリジン、ε-N-アセチルリジン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、δ-N-メチルアルギニン及び他の類似するアミノ酸、及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)。本明細書において使用されるポリペプチド表記においては標準の使用法及び慣習によれば、左方向はアミノ末端方向であり、そして右方向はカルボキシ末端方向である。
同様に、特にことわらない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側端は、5′末端であり、そして二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は、5′方向として言及される。新生RNA転写体の5′から3′への付加の方向は、RNAと同じ配列を有するDNA鎖との転写方向配列と称され、そしてRNA転写体の5′から5′末端への方向は、「上流配列(upstream sequences)」、すなわちRNAと同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域と称され、そしてRNA転写体の3′から3′末端への方向は、「下流配列(downstream sequences)」と称される。
ポリペプチドに適用される場合、用語「実質的な同一性(substantial identity)」とは、2種のペプチド配列が、デフォルトギャップウェイト(default gap weights)を用いてプログラムGAP又はBESTFITにより最適に整列される場合、少なくとも80%の配列同一性、例えば、いくつかの実施形態によれば、少なくとも90%の配列同一性、いくつかの実施形態によれば、少なくとも95%の配列同一性、及びいくつかの実施形態によれば、少なくとも99%の配列同一性を共有することを意味する。
いくつかの実施形態によれば、同一でない残基位置は、保存性アミノ酸置換により異なる。
本明細書において論じられる場合、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列における小さな変動が、本開示により包含されるよう意図され、但しアミノ酸配列における変動が少なくとも75%、例えば、いくつかの実施形態によれば、少なくとも80%、90%、95%、及びいくつかの実施形態によれば、99%、維持されるべきである。特に、保存性アミノ酸置換が意図される。保存性置換は、それらの側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で生じるものである。遺伝子的にコードされるアミノ酸は一般的に、次のファミリーに分けられる:(1)酸性アミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸であり;(2)塩基性アミノ酸は、リシン、アルギニンヒスチジンであり;(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり;そして(4)非荷電極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、セリン及びトレオニンを包含する。疎水性アミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン及びバリンを包含する。アミノ酸の他のファミリーは、次のものを包含する:(i)脂肪族-ヒドロキシファミリーである、セリン及びトレオニン;(ii)アミド含有ファミリーである、アスパラギン及びグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーである、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;及び(iv)芳香族ファミリーである、フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン、例えば、イソロイシン又はバリンによるロイシンの単離された置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸、セリンによるトレオニン、又は構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の類似する置換が、特に、その置換が骨格部位内にアミノ酸を含まない場合、その得られる分子の結合又は性質に対して主要な影響を与えないであろうことを予測するのは合理的である。アミノ酸変化が機能的ペプチドをもたらすかどうかは、ポリペプチド誘導体の比活性をアッセイすることにより、容易に決定され得る。アッセイは、本明細書において詳細に記載されている。抗体又は免疫グロブリン分子のフラグメント又は類似体は、当業者により容易に調製され得る。いくつかの実施形態によれば、フラグメント又は類似体のアミノ-及びカルボキシ-末端は、機能的ドメインの境界近くに存在する。構造及び機能ドメインは、公的又は独自の配列データベースに、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を比較することにより、同定され得る。コンピューター化された比較方法が、既知構造及び/又は機能の他のタンパク質に存在する配列モチーフ又は予測されるタンパク質立体構造ドメインを同定するために使用され得る。既知の三次元構造に折りたたむタンパク質を同定する方法は知られている(Bowie et al. Science 253:164 (1991))。従って、前述の例は、当業者が本開示に従って構造的及び機能的ドメインを定義するために使用され得る配列モチーフ及び構造コンホメーションを認識できることを示す。
いくつかの実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を低め、(2)酸化に対する感受性を低め、(3)タンパク質複合体を形成するために結合親和性を変更し、(4)結合親和性を変更し、そして(5)そのような類似体の他の物理化学的マタハ機能的性質を付与するか、又は修飾するそれらの置換である。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の種々の突然変異タンパク質を含むことができる。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存性アミノ酸置換)が、天然に存在する配列において(分子間接触を形成するドメイン外のポリペプチドの部分において)、行われ得る。保存性アミノ酸置換は、親配列の構造特性を実質的に変えるべきではない(例えば、アミノ酸置換は、親配列に存在するへリックスを破壊するか又は親配列を特徴づける他のタイプの二次構造を分裂する傾向があるべきではない)。当技術分野で認識されるポリペプチドの二次及び三次構造の例は、タンパク質、構造及び分子の原則(Creighton, Ed., W. H. Freeman and Company, New York (1984));タンパク質構造の紹介(C. Branden and J. Tooze, eds., Garland Publishing, New York, N.Y. (1991));及びThornton et at. Nature 354:105 (1991)に記載されている。
用語「ポリペプチドフラグメント(polypeptide fragment)」とは、本明細書において使用される場合、アミノ末端及び/又はカルボキシ末端欠失及び/又は1又は2以上の内部欠失を有するが、しかし残るアミノ酸配列が、例えば完全な長さのcDNA配列から推定される天然に存在する配列におけるその対応する位置と同一である、ポリペプチドを意味する。フラグメントは典型的には、少なくとも5、6、8又は10個の長さのアミノ酸、例えば、いくつかの実施形態によれば、少なくとも14個の長さのアミノ酸、いくつかの実施形態によれば、少なくとも20個の長さのアミノ酸、通常、少なくとも50個の長さのアミノ酸、及びいくつかの実施形態によれば、70個の長さのアミノ酸である。用語「類似体(analog)」とは、本明細書において使用される場合、推定されるアミノ酸配列の一部に対して実質的な同一性を有し、そして適切な結合条件下でEGFRに対する特異的結合を有する、少なくとも25個のアミノ酸のセグメントから構成されるポリペプチドを意味する。典型的には、ポリペプチド類似体は、天然に存在する配列に対して保存性アミノ酸置換(又は付加又は欠失)を含む。類似体は、典型的には、少なくとも20個の長さのアミノ酸、例えば、いくつかの実施形態によれば、少なくとも50個又はそれ以上の長さのアミノ酸であり、そしてしばしば、完全な長さの天然に存在するポリペプチドと同じ長さであり得る。
用語「剤(agent)」は、化合物、化合物の混合物、生体高分子、又は生体材料から製造される抽出物を示すために、本明細書において使用される。
本明細書において使用される場合、用語「標識(label)」又は「標識された(labeled)」とは、例えば放射性標識されたアミノ酸の組込み、又はマーキングされたアビジン(例えば、光学的又は比色法により検出され得る蛍光マーカー又は酵素活性を含むストレプタビジン)により検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの結合による、検出可能マーカーの組込みを意味する。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する種々の方法が当業界において知られており、そして使用され得る。ポリペプチドのための標識の例は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:放射性同位体又は放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、フルオロフォア、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーターにより認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープ標識)。いくつかの実施形態によれば、標識は、潜在的な立体障害を低めるために、種々の長さのスペーサーアームにより結合される。用語「薬剤又は薬物(pharmaceutical agent or drug)」とは、本明細書において使用される場合、患者に正しく投与される場合、所望の治療効果を誘発できる化合物又は組成物を意味する。
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋な(substantially pure)」とは、目的種が存在する主要種であり(すなわち、モル基準で、組成物中のいずれか他の個々の種よりも豊富である)、そして実質的に精製された画分が組成物であり、ここで、目的種が存在するすべての高分子種の少なくとも約50%(モル基準で)を占めることを意味する。
一般的に、実質的に純粋な組成物は、組成物の存在するすべての高分子種の約80%以上、いくつかの実施形態によれば、約85%、90%及び99%以上を占めるであろう。いくつかの実施形態によれば、目的種は、本質的に均質に精製され(組成物中の汚染種は、従来の検出法によっては検出され得ない)、ここで組成物は単一の高分子種から本質的に成る。
用語「患者(patient)」とは、ヒト及び獣医学的対象を含む。
本明細書における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (Parker, S., Ed., McGraw-Hill, San Francisco (1985))により例示されるように、当業界における従来の用法に従って使用される。
多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体
本開示の典型的な多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は例えば、本明細書に提供される実施例に示されるそれら、及びそれらの変異体を包含する。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性抗体におけるABの少なくとも1つが、表1に列挙される任意の標的のための結合パートナーである。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性抗体のABの少なくとも1つは、本明細書において提供される実施例における表7に示される配列に由来する。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性抗体のABの少なくとも1つは、表2に列挙される抗体に由来する。
本明細書に記載される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と同じエピトープに結合する多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体がまた、本開示に含まれる。
当業者は、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と同じか又は類似する特異性を有する場合、前者が後者による標的への結合を防止するかどうかを確認することにより、過度の実験なしに決定することが可能であることを認識するであろう。試験される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体による結合の低下により示されるように、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と競争する場合、それらの2種の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、同じか、又は密接に関連するエピトープに結合する。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と同じか又は類似する特異性を有するかどうかを決定するための1つの実施形態は、通常、反応性である可溶性標的と共に、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体をプレインキュベートし、そして次に、試験される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、標的を結合するその能力を阻害するかどうかを決定するために、試験される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を添加することである。試験される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が阻害される場合、たぶん、それは、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と同じか、又は機能的に等しいエピトープ特異性を有する。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、例えば、下記に提供される実施例に記載される手順を用いて生成される。多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、抗体生成及び/又は精製のための多くの当技術分野で認識されている技術の何れを用いても生成され得る。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体への使用のための抗体フラグメント、例えばFv、F(ab′)2及びFabは、例えばプロテアーゼ又は化学的切断による完全なタンパク質の切断により調製され得る。他方では、切断された遺伝子が企画される。例えば、F(ab′)2フラグメントの一部をコードするキメラ遺伝子は、切断された分子を生成するために、CH1ドメイン及びH鎖のヒンジ領域、続いて翻訳停止コドンをコードするDNA配列を含むであろう。
発現ベクターは、プラスミド、レトロウィルス、YAC、EBV由来のエピソーム、及び同様のものを含む。便利なベクターは、任意のVH又はVL配列が容易に挿入され、そして発現されるよう構築された適切な制限部位と共に、機能的に完全なヒトCH又はCL免疫グロブリン配列をコードするベクターである。そのようなベクターにおいては、スプライシングが、挿入されたJ領域におけるスプライスドナー部位と、ヒトC領域に続くスプライス受容体部位との間で、及びまた、ヒトCHエクソン内に存在するスプライス領域で生じる。ポリアデニル化及び転写停止は、コード領域の下流の生来の染色体部位で生じる。得られる抗体は、何れかの強いプロモーター、例えばレトロウィルスLTR、例えばSV-40初期プロモーター(Okayama et al. Mol. Cell. Bio. 3:280 (1983))、ラウス肉腫ウィルスLTR(Gorman et al. P.N.A.S. 79:6777 (1982))、及びモロニーマスウ白血病ウィルスLTR(Grosschedl et al. Cell 41:885 (1985))に連結され得る。また、認識されるように、生来のIgプロモーター及び同様のものも使用され得る。
さらに、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、当業界において良く知られている技法を用いて、表示タイプ技術、例えばファージ表示、レトロウィルス表示、リボソーム表示及び他の技法(但し、それらだけには限定されない)を介して生成され得、そしてその得られる分子は、さらなる成熟、例えば親和性成熟、例えば当業界において良く知られている技法にゆだねられ得る。Wright et al. Crit, Reviews in Immunol. 12125-168 (1992), Hanes and Pluckthun PNAS USA 94:4937-4942 (1997) (リボソーム表示), Parmley and Smith Gene 73:305-318 (1988) (ファージ表示), Scott, TIBS, vol. 17:241-245 (1992), Cwirla et al. PNAS USA 87:6378-6382 (1990), Russel et al. Nucl. Acids Research 21:1081-1085 (1993), Hoganboom et al. Immunol. Reviews 130:43-68 (1992), Chiswell and McCafferty TIBTECH; 10:80-8A (1992), 及び米国特許第 5,733,743号。
疾患及び障害の治療において抗体の有効性を改善するそのような機能を増強するか、又は低めるために、エフェクター機能に関して、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を修飾することが所望される。例えば、システイン残基がFc領域中に導入され、それにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にされる。このようにして生成されたヘテロダイマー抗体は、改善された内在化能力及び/又は高められた補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞毒性(ADCC)を有する。(Caron et al., J. Exp Med., 176: 1191-1195 (1992) 及び Shopes, J. Immunol., 148: 2918-2922 (1992)を参照のこと)。他方では、二重Fc領域を有し、そしてそれにより、増強された補体溶解及びADCC能力を有することができる抗体が、構築され得る。(Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design, 3: 219-230 (1989)を参照のこと)。いくつかの実施形態によれば、Fc成熟が行われ、グリコシル化部位が除去され、それにより、Fc機能が低められる。
多重特異性活性化可能抗体
本明細書において提供される多重特異性活性化可能抗体及び多重特異性活性化可能抗体組成物は、第1標的及び/又は第1エピトープを特異的に結合する第1抗体又はその抗体フラグメント(集合的には、本開示を通してAB1と称される)、及び第2標的及び/又は第2エピトープを特異的に結合する第2抗体又はその抗体フラグメント(集合的には、本開示を通してAB2と称される)を少なくとも含み、ここでABの少なくとも1つはマスキング部分(MM)により修飾されている。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体における各ABは、それ自体のマスキング部分により修飾される。
多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つがMMにより修飾され、そしてその標的の存在下にある場合、ABのその標的への特異的結合は、MMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの標的への特異的結合に比べて、低められるか又は阻害される。
標的に対する、MMにより修飾されたABのKdは、MMにより修飾されていないAB、又は標的に対する親ABのKdよりも、少なくとも5、10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、高い。逆に、MMにより修飾されたABの標的に対する結合親和性は、MMにより修飾されていないAB又は親ABの標的に対する結合親和性によも少なくとも5、10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、低い。
多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つに対するMMの解離定数(Kd)は一般的に、標的に対するABのKdよりも高い。ABに対するMMのKdは、標的に対するABのKdよりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 100,000、 1,000,000 又はさらに10,000,000倍、高い。逆に、ABに対するMMの結合親和性は、一般的に標的に対するABの結合親和性よりも低い。ABに対するMMの結合親和性は、標的に対するABの結合親和性よりも少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 100,000、 1,000,000 又はさらに10,000,000倍、低い。
多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つがMMにより修飾され、そしてその標的の存在下にある場合、ABのその標的への特異的結合は、MMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの標的への特異的結合に比べて、低められるか又は阻害される。MMにより修飾されていないABの標的への結合又は親ABの標的への結合に比較される場合、MMにより修飾される場合の標的を結合するABの能力は、インビボ又はインビトロアッセイで測定される場合、少なくとも2、4、 6、 8、 12、 28、 24、 30、 36、 48、 60、 72、 84又は 96 時間、 又は 5、 10、 15、 30、 45、 60、 90、 120、 150又は180日、 又は1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、又は12か月又はそれ以上で、少なくとも50%、60%、 70%、 80%、 90%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99% 及びさらに 100%、低められ得る。
MMは、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つのその標的に対する結合を阻害する。MMはABの抗原結合ドメインを結合し、そしてABのその標的への結合を阻害する。MMは、ABのその標的への結合を立体的に阻害する。MMはABのその標的への結合をアロステリックに阻害することができる。それらの実施形態によれば、ABが修飾されるか又はMMにカップリングされ、そして標的の存在下にある場合、インビボ又はインビトロアッセイで測定される場合、少なくとも2、4、 6、 8、 12、 28、 24、 30、 36、 48、 60、 72、 84又は 96 時間、 又は 5、 10、 15、 30、 45、 60、 90、 120、 150又は180日、 又は1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、又は12か月又はそれ以上での間、MMにより修飾されていないAB、親AB、又はMMにカップリングされていないABの標的に対する結合に比べて、ABの標的への結合は存在しないか、又は実質的に存在しないか、又はわずか0.001%、0.01%、 0.1%、 1%、 2%、 3%、 4%、 5%、 6%、 7%、 8%、 9%、 10%、 15%、 20%、 25%、 30%、 35%、 40%又は50%の標的に対するABの結合が存在する。
多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つがMMにカップリングされるか、又はMMにより修飾される場合、MMはABのその標的への特異的結合を「マスキングするか」又は低めるか、又は他方では、阻害する。多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つがMMにカップリングするか又はMMにより修飾される場合、そのようなカップリング又は修飾は、ABのその標的への特異的結合能力を低めるか、阻害する構造変化に影響を及ぼすことができる。
多重特異性活性化可能抗体においては、少なくとも1つのABがMMにカップリングされるか、又はMMにより修飾される場合、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部がアミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順に、次の式により表され得る:
(MM)-(AB)
(AB)-(MM)
(MM)-L-(AB)
(AB)-L-(MM)
ここで、MMはマスキング部分であり、ABは抗体又はその抗体フラグメントであり、そしてLはリンカーである。多くの実施形態によれば、柔軟性を提供するために、組成物中に1又は2以上のリンカー、例えば柔軟リンカーを挿入することが所望される。
特定の実施形態によれば、MMはABの天然の結合パートナーではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーを含まないか又はそのパートナーに対する相同性を含まない。他の実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、せいぜい5%、10%、 15%、 20%、 25%、 30%、 35%、 40%、 45%、 50%、 55%、 60%、 65%、 70%、 75%又は80%しか、同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか5%、10%、 15%、 20%、 25%、 30%、 35%、 40%、 45%、 50%、 55%、 60%、 65%、 70%、 75%又は80%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか25%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか50%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか20%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか10%しか同一ではない。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、MMにより修飾され、そしてまた、1又は2以上の切断可能部分(CM)も含むABを含む。そのような多重特異性活性化可能抗体は、ABの標的への活性化可能/スイッチング可能結合を示す。多重特異性活性化可能抗体は一般的に、マスキング部分(MM)及び修飾可能又は切断可能部分(CM)により修飾されるか又はそれにカップリングされる少なくとも1つの抗体又は抗体フラグメント(AB)を含む。いくつかの実施形態によれば、CMは、目的のプロテアーゼのための基質として作用するアミノ酸配列を含む。
多重特異性活性化可能抗体中の要素は、各MM及びCMが位置決定され、従って、切断された(又は比較的活性)状態下で及び標的の存在下で、その対応するABが標的を結合するが、ところが標的の存在下で、切断されていない(又は相対的に不活性)状態下で、ABのその標的への特異的結合が低められるか又は阻害されるよう、配置される。ABのその標的への特異的結合は、MMによりその標的を特異的に結合するABの能力の阻害又はマスキングのために、低められ得る。
標的に対する、MM及びCMにより修飾された各ABのKdは、MM及びCMにより修飾されていないAB、又は標的に対する親ABのKdよりも、少なくとも5、10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、高い。逆に、MM及びCMにより修飾された各ABの標的に対する結合親和性は、MM及びCMにより修飾されていないAB又は標的に対する親ABの結合親和性によりも少なくとも5、10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、低い。
少なくとも1つのABがMM及びCMにより修飾され、そしてその標的の存在下にあるが、しかし修飾剤(例えば、プロテアーゼ)の存在下でわない場合、ABのその標的への特異的結合は、MM及びCMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの標的への特異的結合に比べて、低められるか又は阻害される。親ABの結合、又はMM及びCMにより修飾されていないABの標的への結合に比較される場合、MM及びCMにより修飾される場合の標的を結合するABの能力は、インビボ又はインビトロアッセイで測定される場合、少なくとも2、4、 6、 8、 12、 28、 24、 30、 36、 48、 60、 72、 84又は 96 時間、 又は 5、 10、 15、 30、 45、 60、 90、 120、 150又は180日、 又は1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、又は12か月又はそれ以上で、少なくとも50%、60%、 70%、 80%、 90%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99% 及びさらに 100%、低められ得る。
本明細書において使用される場合、用語、切断された状態とは、プロテアーゼによりCMの修飾に続く多重特異性活性化可能抗体の状態を意味する。用語、切断されていない状態とは、本明細書において使用される場合、プロテアーゼによるCMの切断の不在下での多重特異性活性化可能抗体の状態を意味する。上記で論じられたように、用語「多重特異性活性化可能抗体(multispecific activatable antibodies)」とは、その切断されていない(生来)状態及びその切断された状態の両者での多重特異性活性化可能抗体を言及するよう、本明細書において使用される。いくつかの実施形態によれば、切断された多重特異性活性化可能抗体は、プロテアーゼによるCMの切断のために、MMを欠いており、少なくともMMの放出をもたらす(例えば、MMは、共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィト結合)により多重特異性活性化可能抗体に結合されていない場合)ことは、当業者に明らかであろう。
活性化可能又はスイッチング可能とは、多重特異性活性化可能抗体が、阻害された、マスキングされた、又は切断されていない状態下で、標的への結合の第1レベル(第1コンホメーション)、及び阻害されていない、マスキングされていない、及び/又は切断された状態下で、標的への結合の第2レベル(すなわち、第2コンホメーション)を示し、ここで標的結合の第2レベルは、結合の第1レベルよりも大きいことを意味する。一般的に、多重特異性活性化可能抗体のその対応するABへの標的のアクセスは、CMを切断できる切断剤の存在下において、そのような切断剤の不在下でよりも高い。従って、多重特異性活性化可能抗体が切断されていない状態下にある場合、少なくとも1つのABが標的結合から阻害され、そして標的結合からマスキングされ得(すなわち、第1コンホメーションは、ABが標的を結合できないようなものである)、そして切断された状態下で、ABは阻害されないか、又は標的結合にマスキングされない。
多重特異性活性化可能抗体のCM及びABは、第1ABが第1標的及び/又はエピトープのための結合部分を表し、そしてCMが対象における治療部位又は診断部位で標的と共局在されるプロテアーゼのための基質を表すよう、選択される。本明細書に開示される多重特異性活性化可能抗体は、例えば、CMにおける部位を切断できるプロテアーゼが、非治療部位の組織においてよりも(例えば、健康組織においてよりも)、治療部位又は診断部位の標的含有組織において、比較的高いレベルで存在する場合、特に有用である。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、ABがマスキングされないか、又は他方では、その標的の結合から阻害される場合、非治療部位での第1ABの結合に起因する、低められた毒性及び/又は有害な副作用を提供する。
一般的に、多重特異性活性化可能抗体は、目的の第1ABで選択し、そして活性化可能抗体の残りを構築することにより設計され得、結果的に、コンホメーション的に制約される場合、 MMはABのマスキング、又はABのその標的への結合の低減を提供する。構築設計基準は、この機能的特徴を提供するよう考慮されるべきである。
阻害されていないコンホメーションに対する阻害されたコンホメーションでの標的結合のための所望するダイナミック範囲のスイッチング可能表現型を示す多重特異性活性化可能抗体が提供される。ダイナミック範囲とは一般的に、(b)第2組の条件下でのパラメーターの最小検出レベルに対する(a)第1組の条件下でのパラメーターの最大検出レベルの比率を意味する。例えば、多重特異性活性化可能抗体の場合、ダイナミック範囲は、(b)プロテアーゼの不在下で多重特異性活性化可能抗体に結合する標的タンパク質の最小検出レベルに対する(a)活性化可能抗体のCMを切断できるプロテアーゼの存在下で多重特異性活性化可能抗体に結合する標的タンパク質の最大検出レベルの比率を意味する。多重特異性活性化可能抗体のダイナミック範囲は、活性化可能抗体切断剤、治療の平衡解離定数に対する、多重特異性活性化可能抗体切断剤(例えば、酵素)治療の平衡解離定数の比率として計算され得る。多重特異性活性化可能抗体のダイナミック範囲が大きいほど、活性化可能抗体のスイッチング可能表現型は良好である。比較的高いダイナミック範囲値(例えば、1よりも高い)を有する活性化可能抗体は、活性化可能抗体により結合する標的タンパク質が、切断剤の不在下においてよりも、活性化可能抗体のCMを切断できる切断剤(例えば、酵素)の存在下で、より高い程度に発生する(例えば、主に発生する)ような、より所望のスイッチング表現型を示す。
多重特異性活性化可能抗体は、種々の構造的構成で提供され得る。多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部についての典型的な式が、下記に提供される。第1ABのN-からC-末端への順に、その対応するMM及びCMが活性化可能抗体内で逆になされ得ることが特に企画される。CM及びMMが、例えばCMがMM内に含まれるよう、アミノ酸配列においてオーバーラップすることができることがまた、特に企画される。
例えば、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部がアミノ(N)末端領域からカルボキシル(C)末端領域の順に、次の式により表され得る:
(MM)-(CM)-(AB)
(AB)-(CM)-(MM)
ここで、MMはマスキング成分であり、CMは切断可能部分であり、そしてABは第1抗体又はそのフラグメントである。MM及びCMは上記式において異なる成分として示されるが、本明細書において開示されるすべての典型的な実施形態(式を含む)によれば、MM及びCMのアミノ酸配列は、CMがMM内に完全に又は部分的に含まれるよう、オーバーラップできることが企画される。さらに、上記式は、活性化可能抗体要素に対してN末端又はC末端に位置決定され得る追加のアミノ酸配列を提供する。
特定の実施形態によれば、MMはABの天然の結合パートナーではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーを含まないか又はそのパートナーに対する相同性を含まない。他の実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、せいぜい5%、10%、 15%、 20%、 25%、 30%、 35%、 40%、 45%、 50%、 55%、 60%、 65%、 70%、 75%又は80%しか、同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか5%、10%、 15%、 20%、 25%、 30%、 35%、 40%、 45%、 50%、 55%、 60%、 65%、 70%、 75%又は80%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか50%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか25%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか20%しか同一ではない。いくつかの実施形態によれば、MMは、ABの任意の天然の結合パートナーに対して、わずか10%しか同一ではない。
多くの実施形態によれば、1又は2以上のMM-CM接合、CM-AB接合、又は両者で柔軟性を提供するために、多重特異性活性化可能抗体コンストラクト中に、1又は2以上のリンカー、例えば柔軟リンカーを挿入することが所望される。例えば、AB、MM及び/又はCMは、所望する柔軟性を提供するために、十分な数の残基(例えば、Gly,Ser、Asp、Asn、特にGly及びSer、特にGly)を含むことはできない。そのような多重特異性活性化可能抗体コンストラクトのスイッチング可能表現型は、柔軟リンカーを提供するために、1又は2以上のアミノ酸の導入から利益を得ることができる。さらに、下記のように、多重特異性活性化可能抗体がコンホメーション的に制約されたコンストラクトとして提供される場合、柔軟リンカーは、切断されていない多重特異性活性化可能抗体における環状構造の形成及び維持を促進するために、操作可能的に導入され得る。
例えば、特定の実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、次の式の1つを含む(ここで、下記式は、N-からC-末端方向に、又はC-からN-末端方向に、アミノ酸配列を表す):
(MM)-L1-(CM)-(AB)
(MM)-(CM)-L2-(AB)
(MM)-L1-(CM)-L2-(AB)
ここで、MM、CM及びABは、上記に定義された通りであり;L1及びL2は、それぞれ独立して、及び任意には、存在しても又は不在である良く、少なくとも1つの柔軟アミノ酸(例えば、Gly)を含む同じか又は異なった柔軟リンカーである。さらに、上記式は、多重特異性活性化可能抗体要素に対してN末端又はC末端に配置され得る追加のアミノ酸配列を提供する。例として、次のものを挙げることができるが、但しそれらだけには限定されない:標的化部分(例えば、標的組織に存在する細胞の受容体のためのリガンド)及び血清半減期延長部分(例えば、血清タンパク質、例えば免疫グロブリン(すなわち、IgG)又は血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))を結合するポリペプチド。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つは、表1に列挙される任意の標的のための結合パートナーである。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つは、本明細書に提供される実施例における表7に示される配列を含み、その配列であるか、又はその配列に由来する。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つは、本明細書に提供される実施例中の実施例5に示される配列を含み、その配列であるか、又はその配列に由来する。いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つは、本明細書に提供される実施例中の表11に示される配列を含み、その配列であるか、又はその配列に由来する。
いくつかの非制限的実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体におけるABの少なくとも1つは、表2に列挙される抗体であるか、又はその抗体に由来する。
いくつかの実施形態によれば、マスキング部分は、特異性抗体又は抗体フラグメントとの使用のために選択される。例えば、EGFRを結合する抗体との使用のための適切なマスキング部分は、配列CISPRG(配列番号75)を含むMMを含む。非制限的な例として、MMは、配列、例えばCISPRGC (配列番号339)、CISPRGCG (配列番号76); CISPRGCPDGPYVMY (配列番号77); CISPRGCPDGPYVM (配列番号78)、 CISPRGCEPGTYVPT (配列番号79) 及びCISPRGCPGQIWHPP (配列番号80)を含むことができる。他の適切なマスキング部分は、PCT国際公開番号第2010/081173号に開示されるEGFR-特異的マスクの何れか、例えば、非制限的例によれば、下記配列を含む:GSHCLIPINMGAPSC (配列番号81); CISPRGCGGSSASQSGQGSHCLIPINMGAPSC (配列番号82); CNHHYFYTCGCISPRGCPG (配列番号83); ADHVFWGSYGCISPRGCPG (配列番号84); CHHVYWGHCGCISPRGCPG (配列番号85); CPHFTTTSCGCISPRGCPG (配列番号86); CNHHYHYYCGCISPRGCPG (配列番号87); CPHVSFGSCGCISPRGCPG (配列番号88); CPYYTLSYCGCISPRGCPG (配列番号89); CNHVYFGTCGCISPRGCPG (配列番号90); CNHFTLTTCGCISPRGCPG (配列番号91); CHHFTLTTCGCISPRGCPG (配列番号92); YNPCATPMCCISPRGCPG (配列番号92)); CNHHYFYTCGCISPRGCG (配列番号94); CNHHYHYYCGCISPRGCG (配列番号95); CNHVYFGTCGCISPRGCG (配列番号96); CHHVYWGHCGCISPRGCG (配列番号97); CPHFTTTSCGCISPRGCG (配列番号98); CNHFTLTTCGCISPRGCG (配列番号99); CHHFTLTTCGCISPRGCG (配列番号100); CPYYTLSYCGCISPRGCG (配列番号101); CPHVSFGSCGCISPRGCG (配列番号102); ADHVFWGSYGCISPRGCG (配列番号103); YNPCATPMCCISPRGCG (配列番号104); CHHVYWGHCGCISPRGCG (配列番号105); C(N/P)H(H/V/F)(Y/T)(F/W/T/L)(Y/G/T/S)(T/S/Y/H)CGCISPRGCG (配列番号106); CISPRGCGQPIPSVK (配列番号107); CISPRGCTQPYHVSR (配列番号108);及び/又はCISPRGCNAVSGLGS (配列番号109)。
Jagged標的、例えばJagged1及び/又はJagged2を結合する抗体との使用のための適切なマスキング部分は、非制限的例によれば、次の配列を含むマスキング部分を含む:QGQSGQCNIWLVGGDCRGWQG (配列番号338); QGQSGQGQQQWCNIWINGGDCRGWNG (配列番号110); PWCMQRQDFLRCPQP (配列番号111); QLGLPAYMCTFECLR (配列番号112); CNLWVSGGDCGGLQG (配列番号113); SCSLWTSGSCLPHSP (配列番号113)); YCLQLPHYMQAMCGR (配列番号115); CFLYSCTDVSYWNNT (配列番号116); PWCMQRQDYLRCPQP (配列番号117); CNLWISGGDCRGLAG (配列番号118); CNLWVSGGDCRGVQG (配列番号119); CNLWVSGGDCRGLRG (配列番号120); CNLWISGGDCRGLPG (配列番号121); CNLWVSGGDCRDAPW (配列番号122); CNLWVSGGDCRDLLG (配列番号123); CNLWVSGGDCRGLQG (配列番号124); CNLWLHGGDCRGWQG (配列番号124)); CNIWLVGGDCRGWQG (配列番号126); CTTWFCGGDCGVMRG (配列番号127); CNIWGPSVDCGALLG (配列番号128); CNIWVNGGDCRSFEG (配列番号129); YCLNLPRYMQDMCWA (配列番号130); YCLALPHYMQADCAR (配列番号131); CFLYSCGDVSYWGSA (配列番号132); CYLYSCTDSAFWNNR (配列番号133); CYLYSCNDVSYWSNT (配列番号134); CFLYSCTDVSYW (配列番号135); CFLYSCTDVAYWNSA (配列番号136); CFLYSCTDVSYWGDT (配列番号137); CFLYSCTDVSYWGNS (配列番号137)); CFLYSCTDVAYWNNT (配列番号139); CFLYSCGDVSYWGNPGLS (配列番号140); CFLYSCTDVAYWSGL (配列番号141); CYLYSCTDGSYWNST (配列番号142); CFLYSCSDVSYWGNI (配列番号143); CFLYSCTDVAYW (配列番号144); CFLYSCTDVSYWGST (配列番号145); CFLYSCTDVAYWGDT (配列番号146); GCNIWLNGGDCRGWVDPLQG (配列番号147); GCNIWLVGGDCRGWIGDTNG (配列番号148); GCNIWLVGGDCRGWIEDSNG (配列番号149); GCNIWANGGDCRGWIDNIDG (配列番号150); GCNIWLVGGDCRGWLGEAVG (配列番号151); GCNIWLVGGDCRGWLEEAVG (配列番号152); GGPALCNIWLNGGDCRGWSG (配列番号153); GAPVFCNIWLNGGDCRGWMG (配列番号154); GQQQWCNIWINGGDCRGWNG (配列番号155); GKSEFCNIWLNGGDCRGWIG (配列番号156); GTPGGCNIWANGGDCRGWEG (配列番号157); GASQYCNLWINGGDCRGWRG (配列番号158); GCNIWLVGGDCRPWVEGG (配列番号159); GCNIWAVGGDCRPFVDGG (配列番号160); GCNIWLNGGDCRAWVDTG (配列番号161); GCNIWIVGGDCRPFINDG (配列番号162); GCNIWLNGGDCRPVVFGG (配列番号163); GCNIWLSGGDCRMFMNEG (配列番号164); GCNIWVNGGDCRSFVYSG (配列番号165); GCNIWLNGGDCRGWEASG (配列番号166); GCNIWAHGGDCRGFIEPG (配列番号167); GCNIWLNGGDCRTFVASG (配列番号168); GCNIWAHGGDCRGFIEPG (配列番号169); GFLENCNIWLNGGDCRTG (配列番号170); GIYENCNIWLNGGDCRMG (配列番号170)); 及び/又は GIPDNCNIWINGGDCRYG (配列番号172)。
インターロイキン6標的、例えばインターロイキン6受容体(IL-6R)を結合する抗体との使用のための適切なマスキング部分は、非制限的な例によれば、下記配列を含むマスキング部分を含む:QGQSGQYGSCSWNYVHIFMDC (配列番号174); QGQSGQGDFDIPFPAHWVPIT (配列番号175); QGQSGQMGVPAGCVWNYAHIFMDC (配列番号175)); YRSCNWNYVSIFLDC (配列番号177); PGAFDIPFPAHWVPNT (配列番号178); ESSCVWNYVHIYMDC (配列番号179); YPGCKWNYDRIFLDC (配列番号180); YRTCSWNYVGIFLDC (配列番号181); YGSCSWNYVHIFMDC (配列番号182); YGSCSWNYVHIFLDC (配列番号183); YGSCNWNYVHIFLDC (配列番号184); YTSCNWNYVHIFMDC (配列番号185); YPGCKWNYDRIFLDC (配列番号186); WRSCNWNYAHIFLDC (配列番号187); WSNCHWNYVHIFLDC (配列番号188); DRSCTWNYVRISYDC (配列番号189); SGSCKWDYVHIFLDC (配列番号190); SRSCIWNYAHIHLDC (配列番号191); SMSCYWQYERIFLDC (配列番号192); YRSCNWNYVSIFLDC (配列番号193); YGSCSWNYVHIFMDC (配列番号194); SGSCKWDYVHIFLDC (配列番号195); YKSCHWDYVHIFLDC (配列番号196); YGSCTWNYVHIFMEC (配列番号197); FSSCNWNYVHIFLDC (配列番号198); WRSCNWNYAHIFLDC (配列番号199); YGSCQWNYVHIFLDC (配列番号200); YRSCNWNYVHIFLDC (配列番号201); NMSCHWDYVHIFLDC (配列番号202); FGPCTWNYARISWDC (配列番号203); XXsCXWXYvhIfXdC (配列番号204); MGVPAGCVWNYAHIFMDC (配列番号205); RDTGGQCRWDYVHIFMDC (配列番号206); AGVPAGCTWNYVHIFMEC (配列番号207); VGVPNGCVWNYAHIFMEC (配列番号208); DGGPAGCSWNYVHIFMEC (配列番号209); AVGPAGCWWNYVHIFMEC (配列番号209)); CTWNYVHIFMDCGEGEGP (配列番号211); GGVPEGCTWNYAHIFMEC (配列番号212); AEVPAGCWWNYVHIFMEC (配列番号213); AGVPAGCTWNYVHIFMEC (配列番号214); SGASGGCKWNYVHIFMDC (配列番号215); MGVPAGCVWNYAHIFMDC (配列番号216); TPGCRWNYVHIFMECEAL (配列番号217); VGVPNGCVWNYAHIFMEC (配列番号218); PGAFDIPFPAHWVPNT (配列番号219); RGACDIPFPAHWIPNT (配列番号220); QGDFDIPFPAHWVPIT (配列番号221); XGafDIPFPAHWvPnT (配列番号222); RGDGNDSDIPFPAHWVPRT (配列番号223); SGVGRDRDIPFPAHWVPRT (配列番号224); WAGGNDCDIPFPAHWIPNT (配列番号225); WGDGMDVDIPFPAHWVPVT (配列番号226); AGSGNDSDIPFPAHWVPRT (配列番号227); ESRSGYADIPFPAHWVPRT (配列番号228); 及び/又はRECGRCGDIPFPAHWVPRT (配列番号173)。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の切断可能部分(CM)は、プロテアーゼ、通常細胞外プロテアーゼのための基質として作用することができるアミノ酸を含む。CMは、多重特異性活性化可能抗体中の少なくとも1つのABの所望する標的と共に、組織に共局在されるプロテアーゼに基づいて選択され得る。目的の標的が、プロテアーゼと共に共局在される種々の異なった状態は知られており、ここで前記プロテアーゼの基質は当業界において知られている。癌の例によれば、標的組織は、癌性組織、特に固形腫瘍の癌性組織であり得る。多くの癌、例えば固形腫瘍において、既知基質を有する高められたレベルのプロテアーゼが文献に報告されている。例えば、La Rocca et al, (2004) British J. of Cancer 90(7): 1414-1421を参照のこと。疾患の非制限的例は、次のものを包含する:すべてのタイプの癌(乳癌、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、黒色腫、頭部及び頚部、膵臓、等)、リウマチ性関節炎、クローン病、SLE、心血管障害、虚血、等。例えば、指標は、白血病、例えばT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)、リンパ芽球性疾患、例えば多発性骨髄腫、及び固形腫瘍、例えば肺、結腸直腸、前立腺、膵臓及び乳房、例えばトリプルネガティブ乳癌を包含する。例えば、指標は、初期腫瘍起源にかかわらず、骨疾患又は癌における転移;乳癌、例えば非制限的例によれば、ER/PR+乳癌、Her2+乳癌、トリプルネガティブ乳癌;結腸直腸癌;子宮体癌;胃癌;神経膠芽腫;頭頸部癌、例えば食道癌; 肺癌、例えば、非制限的例によれば、非小細胞肺癌。多発性骨髄腫、卵巣癌;膵臓癌; 前立腺癌;肉腫、例えば骨肉腫;腎臓癌、例えば、非制限的例によれば、腎細胞癌及び/又は皮膚癌、例えば、非制限的例によれば、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、又は黒色腫を包含する。いくつかの実施形態によれば、癌は、扁平上皮癌である。いくつかの実施形態によれば、癌は、皮膚扁平上皮癌である。いくつかの実施形態によれば、癌は、食道扁平上皮癌である。いくつかの実施形態によれば、癌は、頭頸部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態によれば、癌は、肺扁平上皮癌である。
CMは、約0.001-1500 x 104 M-1S-1 又は少なくとも 0.001、 0.005、0.01、0.05、 0.1、 0.5、1、 2.5、5、7.5、 10、15、20、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1000、1250又は 1500 x 104 M-1S-1の速度で酵素により特異的に切断される。
酵素による特異的切断のためには、酵素とCMとの間の接触が行われる。MM及びCMにカップリングされる第1ABを少なくとも含む多重特異性活性化可能抗体が、標的及び十分な酵素活性の存在下にある場合、CMは切断され得る。十分な酵素活性とは、CMと接触し、そして切断をもたらす酵素の能力を意味する。酵素はCMの近くにあっても良いが、しかし他の細胞因子又は酵素のタンパク質修飾のために切断できないことが容易に想定される。
典型的な基質は、表3における次の酵素又はプロテアーゼにより切断できる基質を包含するが、但しそれらだけには限定されない:
例えば、いくつかの実施形態によれば、基質は、1又は2以上の次の酵素又はプロテアーゼにより切断できる:uPA、レグマイン、MT-SP1、ADAM17、BMP-1、TMPRSS3、TMPRSS4、MMP-9、MMP-12、MMP-13及び/又は MMP-14。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、uPA、レグマイン及びMT-SP1の群から選択される。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、マトリックスメタロプロテイナーゼである。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、uPAを含む。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、レグマインを含む。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼは、MT-SP1を含む。
いくつかの実施形態によれば、CMは特定プロテアーゼとの使用のために選択される。いくつかの実施形態によれば、CMは、ADAM17、BMP-1、システインプロテアーゼ、例えばカテプシン、HTRA1、レグマイン、マトリプターゼ(MT-SP1)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、好中球エラスターゼ、TMPRSS、例えばMPRSS3又はTMPRSS4、トロンビン、及びu型プラスミノーゲン活性化因子(uPA、また、ウロキナーゼとも呼ばれる)から成る群から選択された少なくとも1つのプロテアーゼのための基質である。
いくつかの実施形態によれば、CMは、ADAM17の基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはBMP-1のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはカテプシンのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはシステインのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはHtrA1のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはレグマインのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはMT-SP1のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはMMPのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMは好中球エラスターゼのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはトロンビンのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはTMPRSSのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはTMPRSS3のための基質である。。いくつかの実施形態によれば、CMはTMPRSS4のための基質である。。いくつかの実施形態によれば、CMはuPAのための基質である。
いくつかの実施形態によれば、切断可能部分は、特定プロテアーゼ、例えば活性化可能抗体の標的と共に共局在されることが知られているプロテアーゼとの使用のために選択される。例えば、本開示の活性化可能抗体への使用のための適切な切断可能部分は、配列TGRGPSWV (配列番号 27); SARGPSRW (配列番号 28); TARGPSFK (配列番号 29); LSGRSDNH (配列番号 26); GGWHTGRN (配列番号 30); HTGRSGAL (配列番号 31); PLTGRSGG (配列番号 32); AARGPAIH (配列番号 33); RGPAFNPM (配列番号37)); SSRGPAYL (配列番号 35); RGPATPIM (配列番号 36); RGPA (配列番号 37); GGQPSGMWGW (配列番号 38); FPRPLGITGL (配列番号 39); VHMPLGFLGP (配列番号 40); SPLTGRSG (配列番号 41); SAGFSLPA (配列番号45)); LAPLGLQRR (配列番号 43); SGGPLGVR (配列番号 44); 及び/又は PLGL (配列番号 45)を包含する。
いくつかの実施形態によれば、CMは、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)のための基質である。MMPの例は、MMP1; MMP2; MMP3; MMP7; MMP8; MMP9; MMP10; MMP11; MMP12; MMP13; MMP14; MMP15; MMP16; MMP17; MMP19; MMP20; MMP23; MMP24; MMP26;及び MMP27を包含する。いくつかの実施形態によれば、CMは、MMP9、 MMP14、 MMP1、MMP3、MMP13、MMP17、MMP11及びMMP19のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはMMP7のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはMMP9のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMはMMP14のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMは複数のMMPのための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMは複数の少なくともMMP9及びMMP14のための基質である。いくつかの実施形態によれば、CMlは同じMMPのための複数の基質を含む。いくつかの実施形態によれば、CMは少なくとも複数のMMP9基質を含む。いくつかの実施形態によれば、CMは少なくとも複数のMMP14基質を含む。
いくつかの実施形態によれば、CMは、MMPのための基質であり、そして配列ISSGLLSS (配列番号316); QNQALRMA (配列番号317); AQNLLGMV (配列番号318); STFPFGMF (配列番号319); PVGYTSSL (配列番号320); DWLYWPGI (配列番号321); MIAPVAYR (配列番号322); RPSPMWAY (配列番号21); WATPRPMR (配列番号323); FRLLDWQW (配列番号324); LKAAPRWA (配列番号325); GPSHLVLT (配列番号326); LPGGLSPW (配列番号327); MGLFSEAG (配列番号328); SPLPLRVP (配列番号329); RMHLRSLG (配列番号330); LAAPLGLL (配列番号331); AVGLLAPP (配列番号332); LLAPSHRA (配列番号333); PAGLWLDP (配列番号334); 及び/又は ISSGLSS (配列番号335)を含む。
いくつかの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、組換えDNA技法及び真核生物又は原核生物種における発現を用いて、生合成的に製造され得る。多重特異性活性化可能抗体に関しては、マスキング部分、リンカー配列(切断可能部分(CM)及び抗体鎖(H又はL鎖)を含むことができる)をコードするcDNAが、5′から3′(翻訳された生成物においてN-からC-末端)の順序で連結され、核酸コンストラクトが創造され、これは、従来の抗体発現工程に続いて、多重特異性活性化可能抗体タンパク質として発現される。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、CM-抗体を発現し、そして次に、前記タンパク質のN-末端で又はその近くで、マスクを化学的にカップリングすることにより、半合成的に生成され得る。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、抗体を発現し、そして前記タンパク質のN-末端で又はその近くで、マスク及びCMを化学的にカップリングすることにより生成され得、結果的に、切断されていない状態での多重特異性活性化可能抗体は、次のように、N-末端からC-末端側へ構造配置を有する:MM-CM-AB 又は AB-CM-MM。
本明細書に記載される組成物への使用のために適切なリンカーは一般的に、標的への少なくとも第1ABの結合の阻害を促進するために、修飾されたAB又は多重特異性活性化可能抗体の柔軟性を提供するリンカーである。適切なリンカーは、容易に選択され、そして何れかの適切な異なった長さのものであり得、例えば1個のアミノ酸(例えば、Gly)-20個のアミノ酸、2個のアミノ酸-15個のアミノ酸、3個のアミノ酸-12個のアミノ酸、4個のアミノ酸-10個のアミノ酸、5個のアミノ酸-9個のアミノ酸、6個のアミノ酸-8個のアミノ酸、又は7個のアミノ酸-8個のアミノ酸であり得、そして1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の長さのアミノ酸であり得る。
典型的な柔軟リンカーは、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n (配列番号 18) 及び (GGGS)n (配列番号19)、ここでn は、少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン -セリンポリマー、及び当業界において知られている他の柔軟リンカーを包含する。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、そして従って、構成成分間で中立的テサー(neutral tether)として作用することができる。グリシンは、あってもアラニンよりも著しくファイ・プサイ空間にアクセスし、そしてより長い側鎖を有する残基よりもはるかに低く制限される(Scheraga, Rev. Computational Chem. 11173-142 (1992)を参照のこと)。典型的な柔軟リンカーは、次の配列を含むが、但しそれらだけには限定されない:Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号20)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号21)、 Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号22)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号23)、 Gly-Gly-Gly-Ser-Gly (配列番号24)、 Gly-Ser-Ser-Ser-Gly (配列番号25)、及び同様のもの。当業者は、活性化可能抗体の企画がすべて又は部分的に柔軟であるリンカーを含むことができ、結果的に、そのリンカーは柔軟リンカー及び所望する多重特異性活性化可能抗体構造を提供するために低い柔軟性の構造を付与する1又は2以上の部分を含むことができることを認識するであろう。
上記に記載される要素の他に、多重特異性活性化可能抗体は、追加の要素、例えば多重特異性活性化可能抗体のN-又はC-末端アミノ酸配列を含むことができる。例えば、多重特異性活性化可能抗体は、目的の細胞又は組織への送達を促進する標的部分を含むことができる。多重特異性活性化可能抗体は、剤、例えば治療剤、抗腫瘍剤、毒素又はそのフラグメント、検出可能部分又は診断剤に接合され得る。剤の例は、本明細書に開示される。
多重特異性活性化可能抗体はまた、接合された剤、リンカー及び本開示の多重特異性活性化可能抗体に関連して本明細書に記載される他の成分の何れか、例えば非制限的例によれば、表4に列挙される剤の何れか、及び/又は表5及び/又は表6に列挙されるリンカーの何れかを含むことができる。
接合された多重特異性抗体及び接合された多重特異性活性化可能抗体
本開示はまた、細胞毒性剤、例えば毒素(例えば、細菌、菌類、植物又は動物起源の酵素的活性毒素、又はそのフラグメント)、又は放射性同位体(すなわち、放射性接合体)に接合される、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を含む免疫接合体にも関連する。適切な細胞毒性剤は、例えばドラスタチン及びその誘導体(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAD、MMAF、MMAE)を含む。例えば、細胞毒性剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態によれば、前記剤は、表4に列挙される群から選択された剤である。いくつかの実施形態によれば、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態によれば、剤はアウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態によれば、剤はメイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はDM1又はDM4である。いくつかの実施形態によれば、剤はデュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はカリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、ピロロベンゾジアゼピンである。
使用され得る酵素的活性毒素及びそのフラグメントは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌からの)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII及びPAP-S)、ゴーヤー(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロトン、サポナリア・オフィシナリス(Saponaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコテセンを包含する。種々の放射性核種が放射性接合された抗体の生成のために利用できる。例としては、212Bi、64Cu、125I、131I、131In、99mTc、90Y、186Re及び 89Zrを挙げることができる。
抗体及び細胞毒性剤の接合体は、種々の二官能タンパク質-カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能誘導体(例えば、ジメチルアジピミデートHCL)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル) ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス - (p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を用いて製造される。例えば、リシン免疫毒素がVitetta et al., Science 238: 1098 (1987)に記載のようにして調製され得る。14C-標識された1-イソチオシアネートベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、抗体への放射性核種の接合のための典型的なキレート剤である。(国際公開第94/11026号を参照のこと)。
表4は、本明細書に記載される開示に使用され得る典型的な薬剤のいくつかを列挙するが、しかし決して網羅的な列挙を意味するものではない。
当業者は、多くの種類の可能性ある部分が、得られる本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体にカップリングされ得ることを認識するであろう(例えば、“Conjugate Vaccines”, Contributions to Microbiology and Immunology, J. M. Cruse and R. E. Lewis, Jr (eds), Carger Press, New York, (1989)を参照のこと、この全内容は、引用により本明細書に組込まれる)。
カップリングは、抗体及び他の部分がそれらのそれぞれの活性をできるだけ長く保持するよう、2つの分子を結合するであろう任意の化学反応により達成される。この結合は、多くの化学機構、例えば共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合及び錯体形成を包含することができる。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、好ましい結合は共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接的縮合により又は外部架橋分子の取り組みにより達成され得る。多くの二価又は多価結合剤が、タンパク質分子、例えば本開示の抗体を、他の分子にカップリングすることにおいて有用である。例えば、代表的なカップリング剤は、有機化合物、例えばチオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン及びヘキサメチレンジアミンを包含することができる。この列挙は、当業界において知られている種々の種類のカップリング剤を網羅することを意図するものではなく、むしろ、より一般的なカップリング剤の例である。(Killen and Lindstrom, Jour. Immun. 133:1335-2549 (1984); Jansen et al., Immunological Reviews 62:185-216 (1982); 及び Vitetta et al., Science 238:1098 (1987)を参照のこと)。
いくつかの実施形態によれば、本明細書に提供される組成物及び方法の他に、接合された活性化可能抗体はまた、活性化可能抗体配列に挿入されるか、又は他方では、含まれる修飾されたアミノ酸配列を通して、部位特異的接合のために修飾され得る。それらの修飾されたアミノ酸配列は、接合された活性化可能抗体内での接合された剤の制御された置換及び/又は投与を可能にするよう企画される。例えば、活性化可能抗体は、反応性チオール基を提供し、そしてタンパク質の折りたたみ及びアセンブリーに負の影響を与えず、又は抗原結合も変更しない、L及びH鎖上の位置でのシステイン置換を含むよう操作され得る。いくつかの実施形態によれば、活性化可能抗体は、接合のための適切な部位を提供するために、活性化可能抗体内に1又は2以上の非天然のアミノ酸残基を含むか又は他方では、導入するよう操作され得る。いくつかの実施形態によれば、活性化可能抗体は、その活性化可能抗体配列内に酵素的に活性化可能ペプチド配列を含むか又は他方では、導入するよう操作され得る。
適切なリンカーは、文献に記載されている。(例えば、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用を記載する、Ramakrishnan, S. et al., Cancer Res. 44:201-208 (1984)を参照のこと)。また、オリゴペプチドリンカーにより抗体にカップリングされる、ハロゲン化されたアセチルヒドラジド誘導体の使用を記載する米国特許第5,030,719号も参照のこと。特に適切なリンカーは、次のものを包含する:(i)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)-トルエン(Pierce Chem. Co., カタログ番号(21558G));(ii)SPDP(スクシンイミジル-6-[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem. Co. カタログ番号21651G);及び(iii)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル-6-[3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]-ヘキサノエート(Pierce Chem. Co. カタログ番号2165-G)。追加のリンカーは、SMCC、スルホ-SMCC、SPDB又はスルホ-SPDBを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
上記に記載されるリンカーは、異なった属性を有する成分を含み、従って、異なった物理-化学性質を有する接合体を導く。例えば、リンカーSMPTは、立体的にヒンダードされたジスルフィド結合を含み、そして高められた安定性を有する接合体を形成することができる。ジスルフィド結合は一般的に、ジスルフィド結合がインビトロで切断され、低い利用可能な接合体をもたらすので、他の結合よりも安定性が低い。
試薬EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)は、カルボン酸及び第1又は第2アミンにより出発してカルボキサミドを創造するのに有用である。従って、EDCは、リンカー又は毒素におけるカルボン酸と、抗体におけるリシン残基とを連結するか、又はリンカー又は毒素におけるアミンと、抗体におけるアスパラギン酸又はグルタミン酸残基とを連結するために、使用され得る。EDCを使用する、そのような接合反応は、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)又はスルホ-NHS(N-ヒドロキシ-3-オキシスルホニルスクシンイミド)の添加により増強され得る。そのような接合反応へのNHS又はスルホ-NHSの添加は、接合反応の速度、完全性、選択性及び再現性を増強することができる。
いくつかの実施形態によれば、リンカーは切断可能である。いくつかの実施形態によれば、リンカーは非切断可能である。いくつかの実施形態によれば、複数のリンカーが存在する。それらの複数のリンカーはすべて同じである。例えば切断可能か又は非切断可能であり、又はそれらの複数のリンカーは異なっており、例えば、少なくとも1つは切断可能であり、そして少なくとも1つは非切断可能である。
本開示は、次のように、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体のABに剤を接合するためのいくつかの方法を利用する:(a)ABの炭水化物部分への結合、又は(b)ABのスルフヒドリル基への結合、又は(c)ABのアミノ基への結合、又は(d)ABのカルボキシル基への結合。本開示によれば、ABは、少なくとも2つの反応性基を有する中間リンカーを通して剤に共有結合され得、ここで1つの反応性基はABと反応し、そして1つの基は剤と反応する。任意の適合性有機化合物を含むことができるリンカーは、AB(又は剤)との反応がAB反応性及び選択性に悪影響を及ぼさないよう選択される。さらに、剤へのリンカーの結合は、剤の活性を破壊しない。酸化された抗体又は酸化された抗体フラグメントとの反応のための適切なリンカーは、第1アミン、第2アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシルアミン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド及びチオセミフルバジド基から成る群から選択されたアミンを含むそれらのリンカーである。そのような反応性官能基は、リンカーの構造の一部として存在するか、又はそのような基を含まないリンカーの適切な化学的修飾により導入され得る。
本開示によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の還元されたABへの結合のための適切なリンカーは、還元された抗体又はフラグメントのスルフヒドリル基と反応できる特定の反応性基を有するそれらのリンカーを包含する。そのような反応性基は次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:反応性ハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を包含する)、p-マーキュリー安息香酸基及びマイケル型付加反応することができる基(例えば、マレイミド、及びMitra and Lawton, 1979, J. Amer. Chem. Soc. 101: 3097-3110により記載されるタイプの基を包含する)。
本開示によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の酸化も又は還元もされていないABへの結合のための適切なリンカーは、ABにおける修飾されていないリシン残基に存在する第1アミンと反応することができる特定の官能基を有するそれらのリンカーである。そのような反応性基は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:NHSカルボン酸又は炭酸エステル、スルホ-NHSカルボン酸又は炭酸エステル、4-ニトロフェニルカルボン酸又は炭酸エステル、ペンクフルオロフェニルカルボン酸又は炭酸エステル、アシルイミダゾール、イソシアネート及びインチオシアネート。
本開示によれば、酸化も、還元もされていないABへの結合のための適切なリンカーは、適切な試薬により活性化された、ABにおけるアスパラギン酸又はグルタミン酸残基に存在するカルボン酸基と反応することができる特定の官能基を有するそれらのリンカーを包含する。適切な活性化試薬は、付加されたNHS又はスルホ-NHSを有するか又は有さないEDC、及びカルボキサミド形成のために利用される他の脱水剤を包含する。それらの場合、適切なリンカーに存在する官能基は、第1及び第2アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン及びヒドラジドを包含する。
剤は、リンカーがABに結合される前又は後、リンカーに結合され得る。特定の用途によれば、リンカーが関連する剤を有さないAb-リンカー中間体を、最初に生成することが所望される。特定の用途に依存して、特定の剤がリンカーに共有結合され得る。他の実施形態によれば、ABが、MM、CM及び関連するリンカーに、まず結合され、そして次に、接合目的のためにリンカーに結合される。
分枝状リンカー:特定の実施形態によれば、剤の結合のための複数の部位を有する分枝状リンカーが使用される。複数部位リンカーに関しては、ABへの単一の共有結合が、多数の部位で剤を結合できるAB-リンカー中間体をもたらす。前記部位は、アルデヒド又はスルフヒドリル基であり得るか、又は剤が結合され得る任意の化学部位であり得る。
他方では、より高い比活性(又はABに対する剤の高い比率)が、AB上の複数の部位での単一の部位リンカーの結合により達成され得る。この複数の部位は、2種の方法の何れかによりAB中に導入され得る。最初に、1つの方法は、同じABに複数のアルデヒド基及び/又はスルフヒドリル基を生成することができる。第2に、1つの方法は、リンカーへの続く結合のために複数の官能部位を有する「分枝状リンカー」を、ABのアルデヒド又はスルフヒドリルに結合することができる。分枝状リンカー又は複数部位リンカーの官能部位は、アルデヒド又はスルフヒドリル基であり得るか、又はリンカーが結合され得る任意の化学部位であり得る。さらに高い比活性がそれらの2種のアプローチを組合すことにより、すなわちあB上のいくつかの部位で複数部位リンカーを結合することにより得られる。
切断可能リンカー:補体系の酵素、例えばウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、プラスミン、又はタンパク質分解活性を有する別の酵素(但し、それだけには限定されない)による切断に対して敏感であるペプチドリンカーが、本開示の1つの実施形態に使用され得る。本開示の1つの方法によれば、剤が補体による切断に敏感なリンカーを介して結合される。抗体は、補体を活性化できる種類から選択される。従って、抗体-剤接合体は、補体カスケードを活性化し、そして標的部位で剤を開放する。本開示の別の方法によれば、剤は、タンパク質分解活性を有する酵素、例えばウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン、活性化因子、プラスミン又はトリプシンによる切断に対して敏感なリンカーを介して結合される。それらの切断可能リンカーは、細胞外毒素、例えば非制限的例によれば、表4に示される細胞外毒性の何れかを含む、接合された活性化可能抗体において有用である。
切断可能リンカー配列の非制限的剤が、表5に提供される。
さらに、剤は、ジスルフィド接合(例えば、システイン残基上のジスルフィド結合)を介してABに結合され得る。多くの腫瘍は天然において、高レベルのグルタチオン(還元剤)を放出するので、これがジスルフィド結合を還元し、送達の部位での剤の続く放出を引起す。特定の実施形態によれば、CMを修飾する還元剤はまた、接合された活性化可能抗体のリンカーを修飾するであろう。
スペーサー及び切断可能要素:さらに別の実施形態によれば、剤と、活性可能抗体のABとの間の空間を最適化するような手段でリンカーを構成する必要がある。これは、下記一般構造のリンカーの使用により達成され得る:
W-(CH2)n-Q
ここで、Wは、-N-CH2-又は-CH2-のいずれかであり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;そして
nは、0-20の整数である。
さらに他の実施形態によれば、リンカーはスペーサー要素及び切断可能要素を含むことができる。スペーサー要素は、切断可能要素が切断を担当する酵素により接近できるようABのコアーから離れて、切断可能要素を位置決定するよう作用する。上記に記載される特定の分枝リンカーが、スペーサー要素として作用することができる。
この議論を通して、剤へのリンカーの結合(又は切断可能要素へのスペーサー要素の、又は剤への切断可能要素の結合)は、結合又は反応の特定のモードである必要はないことが理解されるべきである。適切な安定性及び生物学的適合性の生成物を提供する任意の反応が許容できる。
血清補体及びリンカーの選択:本開示の1つの方法によれば、剤の放出が所望される場合、補体を活性化できる種類の抗体であるABが使用される。その得られる接合体は、抗原を接合し、そしてカスケードを活性化する両能力を保持する。従って、本開示のこの実施形態によれば、剤は、切断可能リンカー又は切断可能要素の一端に連結され、そしてリンカー基の他端がAB上の特異的部位に結合される。例えば、剤がヒドロキシ基又はアミノ基を有する場合、それは、ペプチド、アミノ酸又は他の適切に選択されたリンカーのカルボキシ末端に、それぞれ、エステル又はアミド結合を介して結合され得る。例えば、そのような剤は、カルボジイミド反応を介してリンカーペプチドに結合され得る。剤が、リンカーへの結合を妨げる官能基を含む場合、それらの妨害官能基は、結合の前、ブロックされ、そして生成物の接合体又は中間体が製造されるとすぐに、脱ブロックされる。次に、リンカーの反対又はアミノ末端が、直接、又は補体を活性化できるABへの結合のために、さらなる修飾の後、使用される。
リンカー(又はリンカーのスペーサー要素)は何れかの所望する長さのものであり、その一端は、活性化可能抗体のAB上の特異的部位に共有結合される。リンカー又はスペーサー要素の他の末端は、アミノ酸又はペプチドリンカーに結合され得る。
従って、それらの接合体が補体の存在下で抗原に結合する場合、剤をリンカーに結合するアミド又はエステル結合が切断され、その活性形での剤の放出がもたらされる。それらの接合体は、対象に投与される場合、標的部位での剤の送達又は放出を達成し、そして表4のそれら(但し、それらに制限されない)に提示されるように、薬剤、抗生物質、代謝拮抗剤、抗増殖剤及び同様のもののインビボ送達のために特に効果的である。
補体活性化なしでの放出のためのリンカー:標的化された送達のさらなる別の用途によれば、補体活性化なしでの剤の放出は、補体カスケードの活性化が最終的には、標的細胞を溶解するので、所望される。従って、このアプローチは、剤の送達及び放出が標的細胞を死滅しないで、達成されるべきである場合、有用である。細胞メディエーター、例えばホルモン、酵素、コルチコステロイド、神経伝達物質、遺伝子又は酵素の標的細胞への送達が所望される場合、そのようなことが目的である。それらの接合体は、血清プロテアーゼによる切断に対して軽度に敏感であるリンカーを介して、補体を活性化できないABに剤を結合することにより調製され得る。この接合体が個人に投与される場合、抗原-抗体補体がすばやく形成するが、ところが剤の切断はゆっくり生じ、従って、標的部位での化合物の放出がもたらされる。
生化学架橋剤:他の実施形態によれば、活性化可能抗体は、特定の生化学的架橋剤を用いて、1又は2以上の治療剤に接合され得る。架橋試薬は、2種の異なった分子の官能基を一緒に結合する分子橋を形成する。段階的に2つの異なったタンパク質を連結するためには、所望しないホモポリマー形成を排除するヘテロ-二官能性架橋剤が使用され得る。
リソソームプロテアーゼにより切断可能なペプチジルリンカー、例えばVal-Cit、Val-Ala又は他のジペプチドがまた有用である。さらに、リソソームの低pH環境下で切断可能な酸-不安定性リンカー、例えばビス-シアリルエーテルが使用され得る。他の適切なリンカーは、カテプシン-不安定性基質、特に酸性pHで最適な機能を示すそれらを包含する。
典型的なヘテロ-二官能性架橋剤が表6に参照される。
非切断可能リンカー又は直接的結合:本開示のさらに他の実施形態によれば、接合体は、剤が標的に送達されるが、しかし放出されないよう企画され得る。これは、ABに剤を、直接的に又は非切断可能リンカーを介して結合することにより達成され得る。
それらの非切断リンカーは、続いて、本明細書に記載される方法によりABへの結合に利用され得る官能基を含むよう修飾され得る、アミノ酸、ペプチド、D-アミノ酸又は他の有機化合物を含むことができる。そのような有機リンカーのための一般式は、下記式であり得る:
W-(CH2)n-Q
ここで、Wは、-N-CH2-又は-CH2-のいずれかであり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;そして
nは、0-20の整数である。
非切断可能接合体:他方では、化合物は、補体を活性化できないABに結合され得る。補体活性化することができないABを用いる場合、この結合は、活性化された補体による切断に敏感であるリンカーを用いて、又は活性化された補体による切断に敏感ではないリリンカーを用いて、達成され得る。
本明細書に開示される抗体はまた、免疫リポソームとして製剤化され得る。抗体を含むリポソームは、当業界において知られている方法、例えばEpstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 3688 (1985); Hwang et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77: 4030 (1980); 及び米国特許第4,485,045号 及び米国特許第4,544,545号に記載される方法により調製される。向上された循環時間を有するリポソームが、米国特許第5,013,556号に開示されている。
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、及びPEG-誘導体化されたホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて、逆相蒸発方法により生成され得る。リポソームは、所望する直径を有するリポソームを生成するために、定義された孔サイズのフィルターを通して押出される。本開示の抗体のFab′フラグメントは、ジスルフィド-交換反応を介して、Martin et al., J. Biol. Chem., 257: 286-288 (1982)に記載されるリポソームに結合され得る。
非結合立体部分又は非結合立体部分のための結合パートナーを有する多重特異性活性化可能抗体
本開示はまた、非結合立体部分(NB)、又は非結合立体部分のための結合パートナー(BP)を含む多重特異性活性化可能抗体を提供し、ここでBPは、多重特異性活性化可能抗体にNBをリクルートするか、又は他方では、引き付ける。本明細書に提供される多重特異性活性化可能抗体は例えば、非結合立体部分(AB)、切断可能胃リンカー(CL)及び第1標的又はエピトープを結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含む多重特異性活性化可能抗体;非結合立体部分(NB)のための結合パートナー、CL及びAB1を含む多重特異性活性化可能抗体;及びNBがリクルートされているBP、CL、及び第1標的又はエピトープを結合するAB1を含む多重特異性活性化可能抗体を包含する。NBがCL及びAB1に共有結合されているか、又はCL及びAB1に共有結合されるBPとの相互作用により会合される多重特異性活性化可能抗体は、「NB-含有多重特異性活性化可能抗体」として、本明細書において言及される。活性化可能又はスイッチング可能とは、活性化可能抗体が、阻害された、マスキングされた、又は切断されていない状態下にある場合、標的への結合の第1レベル(第1コンホメーション)、及び阻害されていない、マスキングされていない、及び/又は切断された状態下にある場合、標的への結合の第2レベル(すなわち、第2コンホメーション)を示し、ここで標的結合の第2レベルは、結合の第1レベルよりも大きいことを意味する。多重特異性活性化可能抗体組成物は、従来の抗体療法に比べて、高められた生物学的利用能及びより良好な生体分布を示すことができる。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体がマスキングされていないか、又は他方では、そのような部位への結合から阻害されていない場合、非治療部位及び/又は非診断部位での多重特異性活性化可能抗体の結合に起因する、低められた毒性及び/又は有害な副作用を提供する。
1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非結合立体部分(NB);切断可能リンカー(CL);及び第1標的又はエピトープに対して特異的に結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含み、ここでNBは、AB1に対して特異的に結合しないポリペプチドであり;CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;CLは、切断されていない状態で、NBがその標的へのAB1の結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがAB1のその標的への結合を妨害しないよう位置決定され;そしてNBは、酵素によるCLの切断を阻害しない。本明細書及びそれを通して使用される場合、用語、ポリペプチドとは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含む任意のポリペプチド、例えばより大きなポリペプチド、完全長タンパク質及びそれらのフラグメントを意味し、そして用語、ポリペプチドとは、単鎖ポリペプチドに制限されず、そして複数ユニット、例えば多鎖ポリペプチドを包含することができる。ポリペプチドが短い長さのもの、例えば合計50個以下のアミノ酸のものである場合、用語、ペプチド及びポリペプチドは、本明細書においては、交換可能的に使用され、そしてポリペプチドがより長いもの、例えば50個又はそれ以上のアミノ酸のものである場合、用語、ポリペプチド及びタンパク質は、本明細書においては、交換可能的に使用される。
1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非結合立体部分(NB);切断可能リンカー(CL);及び第1標的又はエピトープに対して特異的に結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含み、ここで(i)NBは、AB1に対して特異的に結合しないポリペプチドであり;(ii)CLは、酵素のための基質(S)を含む、50個までの長さのアミノ酸のポリペプチドであり;(iii)CLは、切断されていない状態で、NBがその標的へのAB1の結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがAB1のその標的への結合を妨害しないよう位置決定され;そして(iv)NBは、酵素によるCLの切断を阻害しない。例えば、CLは、次の長さのアミノ酸を有する:15個までの長さのアミノ酸、20個までの長さのアミノ酸、25個までの長さのアミノ酸、30個までの長さのアミノ酸、35個までの長さのアミノ酸、40個までの長さのアミノ酸、45個までの長さのアミノ酸、50個までの長さのアミノ酸、10-50の範囲の長さのアミノ酸、、20-50の範囲の長さのアミノ酸、、25-50の範囲の長さのアミノ酸、、30-50の範囲の長さのアミノ酸、、35-50の範囲の長さのアミノ酸、、40-50の範囲の長さのアミノ酸、、45-50の範囲の長さのアミノ酸、、10-40の範囲の長さのアミノ酸、15-40の範囲の長さのアミノ酸、20-40の範囲の長さのアミノ酸、25-40の範囲の長さのアミノ酸、30-40の範囲の長さのアミノ酸、35-40の範囲の長さのアミノ酸、10-30の範囲の長さのアミノ酸、15-30の範囲の長さのアミノ酸、20-30の範囲の長さのアミノ酸、25-30の範囲の長さのアミノ酸、10-20の範囲の長さのアミノ酸、又は10-15の範囲の長さのアミノ酸。
1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非結合立体部分(NB);切断可能リンカー(CL);及び第1標的又はエピトープに対して特異的に結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含み、ここで(i)NBは、AB1に対して特異的に結合しないポリペプチドであり;(ii)CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;(iii)CLは、切断されていない状態で、NBがその標的へのAB1の結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがAB1のその標的への結合を妨害しないよう位置決定され;(iv)NBは、酵素によるCLの切断を阻害せず;そして(v)多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部が、切断されていない状態で、次の通りのN-末端からC-末端側に構造配置を有する:NB-CL-AB1又はAB1-CL-NB。
1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非結合立体部分(NB);切断可能リンカー(CL);及び第1標的又はエピトープに対して特異的に結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含み、ここで(i)NBは、AB1に対して特異的に結合しないポリペプチドであり;(ii)CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;(iii)CLは、切断されていない状態で、NBがその標的へのAB1の結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがAB1のその標的への結合を妨害しないよう位置決定され、そして、ここで切断されていない活性化可能抗体におけるNBが、切断されたAB1のその標的を結合する能力に比べて、AB1のその標的を結合する能力を、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも100%、、低め;そして(iv)NBは、酵素によるCLの切断を阻害しない。ABのその標的を結合する能力の低下は、例えば、本明細書に記載されるようなアッセイ、又はインビトロ標的置換アッセイ、例えば国際公開第2009/025846号及び第2010/081173号に記載されるアッセイを用いて、決定される。
1つの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体は、非結合立体部分(NB)のための結合パートナー(BP);切断可能リンカー(CL);及び第1標的及び/又はエピトープに対して特異的に結合する少なくとも第1抗体又は抗体フラグメント(AB1)を含み、ここでBPは、NBに暴露される場合、そのNBに結合するポリペプチドであり;NBは、AB1に対して特異的に結合しないポリペプチドであり;CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;CLは、NBの存在下で、切断されていない状態で、NBがその標的へのAB1の結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがAB1のその標的への結合を妨害せず、そしてBPがABの標的への結合を妨害しないよう位置決定され;そしてNB及びBOは、酵素によるCLの切断を阻害しない。この実施形態のいくつかの例によれば、活性化可能抗体のBPは、任意には、NBに結合される。1つの実施形態によれば、NBは、インビボで、活性化可能抗体のBPによりリクルートされる。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体は、組成物として製剤化される。それらの実施形態のいくつかによれば、組成物はまた、NBも含み、ここでNBは、BP、CL及びABを含む多重特異性活性化可能抗体と同時製剤化される。この実施形態のいくつかの例によれば、BPは、アルブミン結合ペプチド、フィブリノーゲン結合ペプチド、フィブロネクチン結合ペプチド、ヘモグロビン結合ペプチド、トランスフェリン結合ペプチド、免疫グロブリンドメイン結合ペプチド及び他の血清タンパク質結合ペプチドから成る群から選択される。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、NBは可溶性球状タンパク質である。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、NBは血流において循環するタンパク質である。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、NBは、アルブミン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ヘモグロビン、トランスフェリン、免疫グロブリンドメイン及び他の血清タンパク質から成る群から選択される。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、CLは、プロテマーゼのための基質を含むポリペプチドである。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、プロテアーゼは、組織において、その標的と共局在され、そしてプロテアーゼは、多重特異性活性化可能抗体がプロテアーゼに暴露される場合、多重特異性活性化可能抗体におけるCLを切断する。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、CLは、50個までの長さのアミノ酸のポリペプチドである。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、CLは、15個までの長さのアミノ酸、例えば3個の長さのアミノ酸、4個の長さのアミノ酸、5個の長さのアミノ酸、6個の長さのアミノ酸、7個の長さのアミノ酸、8個の長さのアミノ酸、9個の長さのアミノ酸、10個の長さのアミノ酸、11個の長さのアミノ酸、12個の長さのアミノ酸、13個の長さのアミノ酸、14個の長さのアミノ酸、又は15個の長さのアミノ酸を有する基質(S)を含むポリペプチドである。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部は、切断されていない状態で次の通りのN-末端からC-末端側に構造配置を有する:NB-CL-AB、AB-CL-NB、BP-CL-AB又はAB-CL-BP。多重特異性活性化可能抗体がBPを含み、そして多重特異性活性化可能抗体がその対応するNBの存在下にある実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも一部は、切断されていない状態で次の通りのN-末端からC-末端側に構造配置を有する:NB:BP-CM-AB又は AB-CM-BP:NB、ここで「:」は、NBとBPとの間の相互作用、例えば結合を表す。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体は、その標的を特異的に結合し、そしてモノクローナル抗体、ドメイン抗体、単鎖、Fabフラグメント、F(ab′)2フラグメント、scFv、scab、dAb、単一のドメインH鎖抗体、及び単一のドメインL鎖抗体である、抗体又はその抗原結合抗体を包含する。いくつかの実施形態によれば、その標的を結合する、そのような抗体又はその免疫学的活性フラグメントは、マウス、キメラ、ヒト化、又は完全ヒトモノクローナル抗体である。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、ABに接合される剤も含む。いくつかの実施形態によれば、剤は治療剤である。いくつかの実施形態によれば、剤は抗腫瘍剤である。いくつかの実施形態によれば、剤は毒素又はそのフラグメントである。いくつかの実施形態によれば、剤は、リンカーを介してABに接合される。いくつかの実施形態によれば、リンカーは切断可能リンカーである。いくつかの実施形態によれば、剤は、表4に列挙される群から選択された剤である。いくつかの実施形態によれば、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態によれば、剤はアウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態によれば、剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態によれば、剤は、メイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はDM1又はDM4である。いくつかの実施形態によれば、剤はデュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はカリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば剤はピロロベンゾジアゼピンである。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含む。いくつかの実施形態によれば、検出可能部分は、診断剤である。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、スペーサーも含む。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、シグナルペプチドも含む。いくつかの実施形態によれば、シグナルペプチドは、スペーサーを介して多重特異性活性化可能抗体に接合される。それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、スペーサーは、多重特異性活性化可能抗体のMMに直接、結合される。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、その対応する多重特異性抗体の半減期よりも長く;例えば、多重特異性抗体のpKは、その対応する多重特異性抗体のpKよりも長い。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、その対応する多重特異性抗体の半減期に類似する。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも15日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12日である。 いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも11日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも9日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも7日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも5日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも2日である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも24時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも20時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも18時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも16時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも14時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも12時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも10時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも8時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも7時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも6時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも4時間である。いくつかの実施形態によれば、多重特異性活性化可能抗体の血清半減期は、生物に投与される場合、少なくとも3時間である。
本開示はまた、それらの多重特異性活性化可能抗体の何れかをコードする単離された核酸分子、及びそれらの単離された核酸配列を含むベクターも提供する。本開示は、多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で、そのような核酸配列を含む細胞を培養することによる、多重特異性活性化可能抗体の生成方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、前記細胞は、そのようなベクターを含む。
標的に対するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の解離例数(Kd)は、ABがNB又はNB:BPと関連しない場合、標的に対するABのKdよりも高い。標的に対するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の解離定数は、標的に対する親ABのKdよりも高い。例えば、標的に対するNB-含有多重特異性活性化可能抗体のKdは、ABがNB又はNB:BPに関連しない場合、ABのKd、又は標的に対する親ABのKdよりも、少なくとも10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、高い。逆に、標的に対するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の結合親和性は、ABがNB又はNB:BPと関連しない場合、ABの結合親和性よりも低く、又は標的に対する親ABの結合親和性よりも低い。例えば、標的に対するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の結合親和性は、ABがNB又はNB:BPに関連しない場合、ABの結合親和性、又は標的に対する親ABの結合親和性よりも、少なくとも10、 20、25、40、 50、100、250、500、1,000、 2,500、 5,000、 10,000、 50,000、 100,000、 500,000、 1,000,000、 5,000,000、 10,000,000、 50,000,000 又はそれ以上, 又は 5-10、 10-100、 10-1,000、 10-10,000、 10-100,000、 10-1,000,000、10-10,000,000、 100-1,000、 100-10,000、 100-100,000、 100-1,000,000、 100-10,000,000、 1,000-10,000、 1,000-100,000、 1,000-1,000,000、1000-10,000,000、 10,000-100,000、 10,000-1,000,000、 10,000-10,000,000、 100,000-1,000,000又は100,000-10,000,000倍、低い。
NB-含有多重特異性活性化可能抗体が、その標的の存在下にある場合、ABのその標的に対する特異的結合は、ABがNB又はNB:BPに関連しない場合、ABの特異的結合に比べて、低められるか、又は阻害される。NB-含有多重特異性活性化可能抗体が、その標的の存在下にある場合、ABのその標的に対する特異的結合は、親ABのその標的への特異的結合に比べて、低められるか、又は阻害される。NB又はNB:BPに関連しないABの結合、又は親ABのその標的への結合に比較される場合、その標的を結合するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の能力は、例えばインビトロ及び/又はインビボで測定される場合、その標的を結合するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の能力は、インビボ又はインビトロアッセイで測定される場合、少なくとも2、4、 6、 8、 12、 28、 24、 30、 36、 48、 60、 72、 84又は 96 時間、 又は 5、 10、 15、 30、 45、 60、 90、 120、 150又は180日、 又は1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、又は12か月又はそれ以上で、少なくとも50%、60%、 70%、 80%、 90%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99% 及びさらに 100%、低められ得る。
NB-含有多重特異性活性化可能抗体が、その標的の存在下にあるが、しかし修飾剤(例えば、プロテアーゼ又は他の酵素)の存在下ではない場合、ABのその標的に対する特異的結合は、ABがNB又はNB:BPに関連しない場合、ABの特異的結合に比べて、低められるか、又は阻害される。NB-含有多重特異性活性化可能抗体が、その標的の存在下にあるが、しかし修飾剤(例えば、プロテアーゼ、他の酵素、還元剤又は光)の存在下ではない場合、ABのその標的に対する特異的結合は、親ABのその標的への特異的結合に比べて、低められるか、又は阻害される。NB又はNB:BPに関連しないABの結合、又は親ABのその標的への結合に比較される場合、その標的を結合するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の能力は、例えばインビトロ及び/又はインビボで測定される場合、その標的を結合するNB-含有多重特異性活性化可能抗体の能力は、インビボ又はインビトロアッセイで測定される場合、少なくとも2、4、 6、 8、 12、 28、 24、 30、 36、 48、 60、 72、 84又は 96 時間、 又は 5、 10、 15、 30、 45、 60、 90、 120、 150又は180日、 又は1、 2、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 11、又は12か月又はそれ以上で、少なくとも50%、60%、 70%、 80%、 90%、 92%、 93%、 94%、 95%、 96%、 97%、 98%、 99% 及びさらに 100%、低められ得る。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体はまた、多重特異性活性化可能抗体接合体を生成するために、ABに接合される剤も含む。多重特異性活性化可能抗体接合体のいくつかの実施形態によれば、剤は治療剤である。いくつかの実施形態によれば、剤は診断剤である。いくつかの実施形態によれば、剤は検出可能マーカーである。多重特異性活性化可能抗体接合体のいくつかの実施形態によれば、剤は抗腫瘍剤である。多重特異性活性化可能抗体接合体のいくつかの実施形態によれば、剤は毒素又はそのフラグメントである。多重特異性活性化可能抗体接合体のいくつかの実施形態によれば、剤は、リンカーを介してABに接合される。多重特異性活性化可能抗体接合体のいくつかの実施形態によれば、リンカーは切断可能リンカーである。いくつかの実施形態によれば、剤は、表4に列挙される群から選択された剤である。いくつかの実施形態によれば、剤はドラスタチンである。いくつかの実施形態によれば、剤はアウリスタチン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、アウリスタチンE又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。いくつかの実施形態によれば、剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。いくつかの実施形態によれば、剤は、メイタンシノイド又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はDM1又はDM4である。いくつかの実施形態によれば、剤はデュオカルマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば、剤はカリケアマイシン又はその誘導体である。いくつかの実施形態によれば剤はピロロベンゾジアゼピンである。
それらの多重特異性活性化可能抗体実施形態の何れかのいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体は、二重-標的結合多重特異性活性化可能抗体である。そのような二重標的結合多重特異性活性化可能抗体は、同じが又は異なった標的結合できる2個のAbを含む。特定の実施形態によれば、二重-標的化多重特異性活性化可能抗体は、二重特特異性抗体又はそのフラグメントを含む。
二重標的結合多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体のABに結合できる1つ又は両標的と共に標的組織において共局在される切断剤により切断できるCLを有するよう企画される。同じが又は異なった標的に対する複数のABを有する二重標的結合多重特異性活性化可能抗体は、複数のCLを有するよう企画され得、ここで第1CLは第1標的組織において切断剤により切断でき、そして第2CLは、第2標的組織において切断剤により切断でき、そして1又は2以上の標的が多重特異性活性化可能抗体のABに結合する。1つの実施形態によれば、第1及び第2標的組織は、例えば、生物における異なった部位で、空間的に分離されている。1つの実施形態によれば、第1及び第2標的組織は、一時的に分離された同じ組織であり、例えば2種の異なった時点で同じ組織であり、例えば第1時点は、組織が初期段階の腫瘍である場合であり、そして第2時点は、組織が後期段階の腫瘍である場合である。
本開示はまた、本明細書に記載される多重特異性活性化可能抗体をコードする核酸分子を提供する。本開示はまた、それらの核酸を含むベクターも提供する。本明細書に記載される多重特異性活性化可能抗体は、多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で、それらの核酸分子又はベクターを含む細胞を培養することにより生成され得る。
本開示はまた、多重特異性活性化可能抗体の製造方法も提供する。1つの実施形態によれば、前記方法は、(a)多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で、多重特異性活性化可能抗体をコードする核酸コンストラクトを含む細胞を培養し、ここで多重特異性活性化可能抗体は、(i)非結合立体部分(NB);(ii)切断可能リンカー(CL);及び(iii)標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)を含み、ここで(1)NBはABに対して特異的に結合せず;(2)CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;(3)CLは、切断されていない状態で、NBがABの標的への結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがABの標的への結合を妨害しないよう、位置決定され;そして(4)NBが酵素によるCLの切断を阻害しない;そして(b)多重特異性活性化可能抗体を回収する段階を包含する。
別の実施形態によれば、前記方法は、(a)多重特異性活性化可能抗体の発現を導く条件下で、多重特異性活性化可能抗体をコードする核酸コンストラクトを含む細胞を培養し、ここで多重特異性活性化可能抗体は、(i)非結合立体部分(NB)のための結合パートナー(BP);(ii)切断可能リンカー(CL);及び(iii)標的を特異的に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント(AB)を含み、ここで(1)NBはABに対して特異的に結合せず;(2)CLは、酵素のための基質(S)を含むポリペプチドであり;(3)CLは、切断されていない状態で、及びNBの存在下で、NBがABの標的への結合を妨害し、そして切断された状態で、NBがABの標的への結合を妨害せず、そしてBPがABの標的への結合を妨害しないよう、位置決定され;そして(4)NBが酵素によるCLの切断を阻害しない;そして(b)多重特異性活性化可能抗体を回収する段階を包含する。この実施形態のいくつかの例によれば、多重特異性活性化可能抗体のBPは、NBに結合される。
多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体の使用
本開示に従っての治療実態の投与が、改善された伝達、送達、耐性及び同様のものを提供するために製剤中に組込まれる、適切な担体、賦形剤及び他の剤と共に投与されるであろうことは理解されるであろう。多数の適切な製剤は、全ての薬剤師に知られている処方に見出される得る:Blaug, Seymour による、Remington’s Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975)), 特に 、Chapter 87。それらの製剤は例えば、粉末、ペースト、軟膏、ジェリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン又はアニオン性)含有小胞(例えば、リポフェクチン(登録商標))、DNA接合体、無水吸収性ペースト、水中油及び油中水エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル及び半固体混合物含有カーボワックスを包含する。前述の混合物の何れでも、本開示に従っての治療及び療法において適切であるが、但し、製剤中の活性成分は、製剤により不活性化されず、そして製剤は投与経路と生理学的に適合し、且つ許容できるべきである。また、薬剤師に良く知られている、製剤、賦形剤及び担体に関連する追加の情報については、またBaldrick P. “Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. “Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.” Int. J. Pharm. 203(1-2):1-60 (2000), Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000), Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)及びこそこにおける引用文献を参照のこと。
1つの実施形態によれば、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、治療剤として使用され得る。そのような剤は一般的に、対象における疾患又は病状を診断し、予後し、モニターし、治療し、軽減し、そして/又は予防するために使用されるであろう。治療計画は、対象、例えばヒト患者、又は障害を罹患している(又は進行の危険性下での)他の哺乳類を、標準方法を用いて同定することにより実施される。多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体製剤、例えば、いくつかの実施形態によれば、その複数の標的抗原のための高い特異性及び高い親和性を有する製剤が、対象に投与され、そして一般的に、標的とのその結合に起因する効果を有するであろう。多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の投与は、1又は2以上の標的のシグナル機能を抑止するか、又は阻止するか、又は妨害することができる。多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の投与は、天然において結合する内因性リガンドとの1又は2以上の標的の結合を抑止するか、又は阻止するか、妨害することができる。
一般的に、疾患又は障害の緩和又は治療は、疾患又は障害に関連する1又は2以上の症状又は医学的問題の軽減を包含する。例えば、癌の場合、治療的有効量の薬剤が、次の現象の1つ又は組合せを達成することができる:癌細胞の数を低め;腫瘍サイズを低め;末梢器官中への癌細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度まで低め、そして/又は停止するために);腫瘍増殖を、ある程度まで阻害し;そして/又は癌に関連する1又は複数の症状を、ある程度まで軽減する。いくつかの実施形態によれば、本開示の組成物は対象、例えばヒト又は他の哺乳類、例えば非ヒト霊長類、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、家畜、作業動物又は動物園の動物における疾患又は障害の開始又は再発を妨げるために使用され得る。用語、対象及び患者は、本明細書においては、交換可能的に使用される。
治療的有効量の本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体とは、一般的に、治療目的を達成するのに必要な量に関する。上述のように、これは、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と、特定の場合、標的の機能を妨害するその標的抗原との間の結合相互作用であり得る。投与される必要がある量は、さらに、その特異性抗原に対する多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の結合親和性に依存し、そしてまた、投与される多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、それが投与される他の対象の自由体積から枯渇される速度に依存するであろう。本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の治療的有効用量の通常の範囲は、非制限的例によれば、約0.1mg/kg体重~約50mg/kg体重であり得る。通常の投与頻度は例えば、週2度~週1度であり得る。
治療の有効性は、特定の障害を診断するか又は治療するための何れか既知の方法に対応して決定される。所望の特異性を有する多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体のスクリーニング方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び当業界において知られている他の免疫学的媒介技法を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
別の実施形態によれば、複数の標的を指図された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、標的の局在化及び/又は定量化に関する当核分野で公知の方法に使用される(例えば、適切な生理学的サンプル内の1又は2以上の標的のレベルの測定への使用のために、診断方法への使用のために、タンパク質のイメージングへの使用のために)。所定の実施形態によれば、複数の標的を指図された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、又は抗体由来の抗原結合ドメインを含む、その誘導体、フラグメント、類似体又は相同体は、薬理学的活性化合物(この後、「治療剤」と称する)として使用される。
別の実施形態によれば、複数の標的を指図された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、標準技法、例えば免疫親和性、クロマトグラフィー又は免疫沈降により、1又は2以上の標的を単離するために使用される。複数の標的を指図された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体(又はそのフラグメント)は、例えば所定の治療計画の効率を決定するために、臨床学的試験手順の一部として組織におけるタンパク質レベルをモニターするために、診断的に使用される。検出は、検出可能物質への抗体のカップリング(すなわち、物理的結合)により促進され得る。検出可能物質の例は、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、発光物質、及び放射性物質を包含する。適切な酵素の例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼを包含し;適切な補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンを包含し;適切な蛍光物質の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジンアミンフルオレセイン、塩化ダンシル又はフィコエリトリンを包含し;発光物質の例は、ルミノールを包含し;生物発光物質の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、及びエクオリンを包含し;そして適切な放射性物質の例は、125I、131I,35Sは又は3Hを包含する。
さらなる別の実施形態によれば、複数の標的を指図された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、サンプルにおける1又は2以上の標的(又はそのフラグメント)の存在を検出するための剤として使用され得る。いくつかの実施形態によれば、前記抗体は、検出可能標識を含む。抗体はポリクローナル又はいくつかの実施形態によれば、モノクローナルである。損なわれていない抗体又はそのフラグメント(例えば、Fab、scFv、又はF(ab)2)が使用される。プローブ又は抗体に関しての用語「標識された」とは、プローブ又は抗体に検出可能物質をカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによるプローブ又は抗体の直接的標識化、及び直接的に標識される別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の間接的標識化を包含することが意図される。関接的標識化の例は、蛍光標識された二次抗体を用いての一次抗体の検出、及び蛍光標識されたストレプタビジンにより検出され得るよう、ビオチンによる抗体の末端標識化を包含する。用語「生物学的サンプル」とは、対象から単離された組織、細胞及び生物学的流体、並びに対象内に存在する組織、細胞及び流体を包含することが意図される。従って、血液、及び血液の画分又は成分、例えば血清、血漿又はリンパは、用語「生物学的サンプル」の使用法内に含まれる。すなわち、本開示の検出方法は、インビトロで及びインビボで生物学的サンプルにおけるタンパク質を検出するために使用され得る。例えば、分析タンパク質の検出のためのインビトロ技法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウエスターンプロット、免疫沈降、及び免疫蛍光を包含する。イムノアッセイを行うための手順は、例えば“ELISA: Theory and Practice: Methods in Molecular Biology”, Vol. 42, J. R. Crowther (Ed.) Human Press, Totowa, NJ, 1995; “Immunoassay”, E. Diamandis and T. Christopoulus, Academic Press, Inc., San Diego, CA, 1996;及び“Practice and Theory of Enzyme Immunoassays”, P. Tijssen, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, 1985に記載される。さらに、分析タンパク質の検出のためのインビボ技法は、標識された抗-分析タンパク質抗体を、対象中に導入することを包含する。例えば、抗体は、対象におけるその存在及び位置が標準のイメージング技法により検出され得る放射性マーカーにより標識され得る。
本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、種々の診断及び予防製剤において有用である。1つの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、1又は2以上の前述の障害を発症する危険性がある患者に投与される。1又は2以上の障害に対する患者又は器官の素因は、遺伝子型、血清学的または生化学マーカーを用いて決定され得る。
本開示の別の実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、1又は2以上の前述の障害に関連する臨床学的徴候を有するものとして診断されたヒト個人に投与される。診断に基づいて、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、臨床学的徴候の効果を軽減するか、又は逆転するために結合される。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、患者サンプルにおける1又は2以上の標的の検出に有用であり、そして従って、診断剤としても有用である。例えば、本開示の多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、患者サンプルにおける1又は2以上の標的レベルを検出するために、インビトロアッセイ、例えばELISAに使用される。
1つの実施形態によれば、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、固体支持体(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)上に固定される。固定された抗体及び/又は活性化可能抗体は、試験サンプルに存在することができる任意の標的のための捕捉抗体として作用する。固定された多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体と患者サンプルとの接触の前、固体支持体は、分析物の非特異的吸着を妨げるために、ブロッキング剤、例えば乳タンパク質により洗浄され、そして処理される。
続いて、ウェルが、抗原を含む疑いのある試験サンプルにより、又は標準量の抗原を含む溶液により処理される。そのようなサンプルは、例えば病理診断であると思われる循環抗原のレベルを有する疑いのある対象からの血清サンプルである。試験サンプル又は標準を洗い流した後、固体支持体が、検出的に標識される二次抗体により処理される。標識された二次抗体は、検出抗体として作用する。検出可能標識のレベルが測定され、そして試験サンプル中の標的抗原の濃度が、標準サンプルから開発される標準曲線との比較により決定される。
インビトロ診断アッセイにおいて多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体を用いて得られる結果に基づいて、標的抗原の発現レベルに基づいて患者における疾患を分類することが可能であることが理解されるであろう。所定の疾患に関して、血液サンプルが、疾患の進行での種々の段階で、及び/又は、疾患の治療処理における種々の点で、診断される対象から採取される。進行又は治療の各段階のために統計学的に有意な結果を提供するサンプル集団を用いて、各段階で特徴的であると思われる抗原の濃度範囲が指定される。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体はまた、診断及び/又はイメージング方法に使用され得る。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、インビトロ方法である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、インビボ方法である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、現場方法である。いくつかの実施形態によれば、そのような方法は、エクスビボ方法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有する多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、CMを切断できる酵素の存在又は不在を検出するために使用され得る。そのような多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体は、所定の宿主生物の所定の細胞又は組織における多重特異性活性化可能抗体(すなわち、多重特異性活性化可能抗体の切断に起因する抗体)の測定される蓄積を通して、酵素活性(又は、いくつかの実施形態によれば、高められた還元電位の環境、例えばジスルフィド結合の還元を提供できる環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を包含する診断に使用される。活性化された多重特異性抗体のそのような蓄積は、組織が酵素活性(又はCMの性質に依存して、高められた還元電位)を発現するのみならず、また組織が、活性化された抗体が結合する少なくとも1つの標的を発現することを示唆する。
例えば、CMは、腫瘍の部位で、ウィルス又は細菌感染の部位で、生物学的に限られた部位(例えば、膿瘍、器官等において)で、及び同様の部位で見出されるプロテアーゼのためのプロテアーゼ基質であるよう選択され得る。ABの少なくとも1つは、標的抗原を結合するものである。当業者に知られている方法を用いて、検出可能標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)が、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体のAB又は他の領域に接合され得る。適切な検出可能標識は、上記スクリーニング方法に論じられており、そして追加の特定の例が下記に提供される。その活性が目的の疾患組織において高められているプロテアーゼと共に、疾患状態のタンパク質又はペプチドに対して特異的な少なくとも1つのABを用いて、活性化可能抗体は、組織への疾患組織の高められた相対的結合速度を示し、ここでCM特異性抗体は、検出レベルで存在しないか、又は疾患組織においてよりも低いレベルで存在するか、又は不活性である(例えば、チモーゲン形で、又は阻害剤との複合体形で)。小タンパク質及びペプチドは腎濾過システムにより血液から急速にクリアランスされるので、CMに対して特異的な酵素は検出レベルで存在しない(又は非疾患組織においては低レベルで存在するか、又は不活性コンホメーションで存在する)ので、疾患組織における活性化された多重特異性抗体の蓄積が、非疾患組織と比較して増強される。
別の例によれば、多重特異性活性化可能抗体は、サンプルにおける切断剤の存在又は不在を検出するために使用され得る。例えば、多重特異性活性化可能抗体が酵素による切断に対して敏感なCMを含む場合、多重特異性活性化可能抗体は、サンプルにおける還元状態の存在を検出するために(定性的に又は定量的に)、使用され得る。それらの方法での分析を促進するために、多重特異性活性化可能抗体が、検出可能に標識され得、そして支持体(例えば、固体支持体、例えばスライド又はビーズ)に結合され得る。検出可能標識は、切断に続いて放出されない活性化可能抗体の一部を位置決定し、例えば検出可能標識は、急冷蛍光標識、又は切断が生じるまで、検出できない他の標識であり得る。アッセイは例えば、固定された、検出可能的に標識された多重特異性活性化可能抗体と、酵素及び/又は還元剤を含むことが疑われるサンプルとを、切断が生じるのに十分な時間、接触し、次に、過剰のサンプル及び汚染物を除去するために洗浄することにより実施され得る。次に、サンプルにおける切断(例えば、酵素又は還元剤)の存在又は不在が、サンプルとの接触の前、多重特異性活性化可能抗体の検出可能シグナルの変化、例えばサンプルにおける切断剤による多重特異性活性化可能抗体の切断のために検出可能シグナルの存在及び/又は上昇により評価される。
そのような検出方法は、切断される場合、多重特異性活性化可能抗体の少なくとも1つのABを結合できる標的の存在又は不在の検出を提供するよう適合され得る。従って、アッセイは、切断剤の存在又は不在、及び目的の標的の存在又は不在を評価するよう適合され得る。接断剤の存在又は不在は、上記のような多重特異性活性化可能抗体の検出可能レベルの存在及び/又は不在により検出され得、そして標的の存在又は不在は、標的-AB複合体の検出により、例えば検出可能に標識された抗-標的抗体の使用により検出され得る。
多重特異性活性化可能抗体はまた、例えばプロテアーゼ切断による活性化可能抗体の活性化の検証のために現場イメージング、及び特定の標的への結合においても有用である。現場イメージングは、生物学的サンプル、例えば細胞培養物又は組織切片におけるタンパク質分解活性及び標的の局在化を可能にする技法である。この技法を用いて、検出可能標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づいて、所定の標的への結合及びタンパク質分解活性の両者を認識することが可能である。
それらの技法は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)又は健康組織に由来する何れかの凍結された細胞又は組織において有用である。それらの技法はまた、新鮮な細胞又は組織サンプルにおいても有用である。
それらの技法によれば、検出可能抗体は、検出可能標識により標識される。検出可能標識は、蛍光色素(例えば、蛍光団、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンイソチオシアネート(TRITC)、Alexa Fluor(登録商標))、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノクリスタル)、コロイド金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン、及び増幅試薬、例えばストレプトアビジン、又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼ)であり得る。
標識された多重特異性活性化可能抗体と共にインキュベートされたサンプルにおける標識の検出は、サンプルが標的を含み、そして多重特異性活性化可能抗体のCMに対して特異的であるプロテアーゼを含むことを示唆する。いくつかの実施形態によれば、プロテアーゼの存在は、広範囲のプロテアーゼ阻害剤、例えば本明細書に記載されるそれらを用いて、及び/又はプロテアーゼに対して特異的である剤、例えばプロテアーゼマトリプターゼ(MT-SP1)に対して特異的であり、そしてMT-SP1のタンパク質分解活性を阻害する、抗体、例えばA11を用いて、確認され得る;例えば、2010年11月に公開された国際公開第2010/129609号を参照のこと。広範囲のプロテアーゼ阻害剤、例えば本明細書に記載されるそれらを使用することの、及び/又はより選択的阻害剤を用いることによる同じアプローチが、プロテアーゼ、又は活性化可能抗体のCMに対して特異的な種類のプロテアーゼを同定するために使用され得る。いくつかの実施形態によれば、標的の存在は、標的に対して特異的である剤を用いて確かめられ得るか、又は検出可能標識が標識されていない標的と競争され得る。いくつかの実施形態によれば、標識されていない活性化可能抗体が、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出と共に使用され得る。
類似する技法がまた、インビボイメージングのためにも有用であり、ここで対象、例えば哺乳類、例えばヒトにおける蛍光シグナルの検出は、疾患部位が標的を含み、そして多重特異性活性化可能抗体のCMに対して特異的であるプロテアーゼを含むことを示唆する。
それらの技法はまた、多重特異性活性化可能抗体におけるプロテアーゼ特異的CMに基づいて、種々の細胞、組織及び生物におけるプロテアーゼ活性の検出、同定又は特徴づけのために、キットに、及び/又は試薬としても有用である。
多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体の治療的投与及び製剤
本開示に従っての治療実態の投与が、改善された伝達、送達、耐性及び同様のものを提供するために製剤中に組込まれる、適切な担体、賦形剤及び他の剤と共に投与されるであろうことは理解されるであろう。多数の適切な製剤は、全ての薬剤師に知られている処方に見出される得る:Blaug, Seymour による、Remington’s Pharmaceutical Sciences (15th ed, Mack Publishing Company, Easton, PA (1975)), 特に 、Chapter 87。それらの製剤は例えば、粉末、ペースト、軟膏、ジェリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン又はアニオン性)含有小胞(例えば、リポフェクチン(登録商標))、DNA接合体、無水吸収性ペースト、水中油及び油中水エマルジョン、エマルジョンカーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル及び半固体混合物含有カーボワックスを包含する。前述の混合物の何れでも、本開示に従っての治療及び療法において適切であるが、但し、製剤中の活性成分は、製剤により不活性化されず、そして製剤は投与経路と生理学的に適合し、且つ許容できるべきである。また、薬剤師に良く知られている、製剤、賦形剤及び担体に関連する追加の情報については、またBaldrick P. “Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.” Regul. Toxicol Pharmacol. 32(2):210-8 (2000), Wang W. “Lyophilization and development of solid protein pharmaceuticals.” Int. J. Pharm. 203(1-2):1-60 (2000), Charman WN “Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.” J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000), Powell et al. “Compendium of excipients for parenteral formulations” PDA J Pharm Sci Technol. 52:238-311 (1998)及びこそこにおける引用文献を参照のこと。
いくつかの実施形態によれば、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物は、1又は2以上の追加の剤と共に、又は追加の剤の組合せと共に投与される。適切な追加の剤は、意図される用途のための現医薬品及び/又は外科的療法を包含する。例えば、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物は、追加の化学療法剤又は抗-腫瘍剤と共に使用され得る。例えば、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、単一の治療組成物中に配合され、そして多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、同時に投与される。他方では、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、お互い別々であり、l例えば個々は、別々の治療用組成物中に配合され、そして多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、同時に投与され、又は多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、治療計画の間、異なった時点で投与される。例えば、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物は、追加の剤の投与の前、投与され、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物は、追加の剤の投与に続いて投与されるか、又は多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、交互に投与される。本明細書に記載される場合、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物及び追加の剤は、単回投与又は複数回投与で投与される。
いくつかの実施形態によれば、追加の剤は、多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物にカップリングされるか、又は他方では、結合される。
適切な追加の剤は、意図される用途(すなわち、死滅、細胞増殖の防止、ホルモン療法又は遺伝子療法)のために選択される。そのような剤は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:医薬剤、毒素、毒素のフラグメント、アルキル化剤、酵素、抗生物質、代謝拮抗剤、抗増殖剤、ホルモン、神経伝達物質、DNA、RNA、siRNA、オリゴヌクレオチド、アンチセンスRNA、アプタマー、診断薬、放射線不透過性色素、放射性同位体、蛍光性化合物、磁気標識、ナノ粒子、マーカー化合物、レクチン、細胞膜透過性を変化させる化合物、植物化学化合物、小分子、リポソーム、植物化学化合物、小分子、リポソーム、ミセル、遺伝子治療ベクター、ウイルスベクター、及び同様のもの。最終的に、剤の組合せ、又は異なった種類の剤の組合せが使用され得る。
本開示の多重特異性抗体、多重特異性活性化可能抗体、及び/又は接合された多重特異性活性化可能抗体組成物(また、本明細書においては、「活性化合物」と称する)、及びその誘導体、フラグメント、類似体及び相同体が、投与のために適切な医薬組成物中に組込まれ得る。そのような組成物の調製に包含される原理及び考慮、並びに成分の選択の手引きは、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences: The Science And Practice Of Pharmacy 19th ed. (Alfonso R. Gennaro, et al., editors) Mack Pub. Co., Easton, Pa. : 1995; Drug Absorption Enhancement : Concepts, Possibilities, Limitations, And Trends, Harwood Academic Publishers, Langhorne, Pa., 1994;及び Peptide And Protein Drug Delivery (Advances In Parenteral Sciences, Vol. 4), 1991, M. Dekker, New Yorkに提供されている。
そのような組成物は典型的には、多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体、及び医薬的に許容できる担体を含む。多重特異性抗体及び/又は多重特異性活性化可能抗体が、ABドメインのフラグメントを含む場合、標的タンパク質の結合ドメインに対して特異的に結合するABの最小フラグメントが使用され得る。例えば、抗体の可変領域配列に基づいて、標的タンパク質配列を結合するABの能力を保持するペプチド分子が企画され得る。そのようなペプチドは、化学的に合成され得、そして/又は組換えDNA技法により生成され得る(例えば、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7889-7893 (1993)を参照のこと)。
本明細書において使用される場合、用語「医薬的に許容できる担体(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、医薬投与と適合できる、何れか及びすべての溶媒、分散媒体、コーチング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、及び同様のものを含むことが意図される。適切な担体は、参照により本明細書に組込まれる、この分解においては標準的参考テキストであるRemington’s Pharmaceutical Scienceの最も最新版に記載される。そのような担体又は希釈剤の適切な例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。リポソーム及び非水性媒体、例えば固定油がまた使用され得る。医薬活性物質のためのそのような媒体及び剤の使用は、当業界においては良く知られている。任意の従来の媒体又は剤が活性化合物と不適合である場合を除き、組成物へのその使用が企画される。
インビボ投与のために使用される製剤は、無菌であるべきである、これは、無菌濾過膜を通しての濾過により容易に達成される。
本開示の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合できるよう製剤化される。投与経路の例は、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜、及び直腸投与を包含する。非経口、皮内又は皮下適用のために使用される溶液又は懸濁液は次の成分を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒; 抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン; 酸化防止剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、硝酸塩又はリン酸塩、及び張性の調整のための薬、例えば塩化ナトリウム及びデキストロース。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムにより調節され得る。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチックから製造される複数回投与バイアルに封入され得る。
注射使用に適した医薬組成物は、無菌注射溶液又は分散液の即時調製のための無菌水溶液(水溶性)又は分散液、及び無菌粉末を含む。静脈内投与のためには、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(登録商標)(BASF, Parsippany, N.J.)、又はリン酸緩衝溶液(PBS)を包含する。すべての場合、組成物は、容易な注射針通過まで無菌で且つ流体であるべきである。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定すべきであり、そして微生物、例えば細菌及び菌類の汚染作用に対して保存されるべきである。担体は、例えば水エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール及び同様のもの)及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えばコーチング、例えばレシチンの使用により、分散液の場合、必要とされる粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール及び同様のものにより達成され得る。多くの場合、等張剤、例えば糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物に含むことが適切であろう。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延する剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを、組成物に含むことによりもたらされ得る。
無菌注射用溶液は、適切な溶媒中、必要とされる量での活性成分を、上記に列挙される成分の1つ又は組み合わせと共に組込むことにより、必要な場合、続いて、濾過減菌により調整され得る。一般的に、分散液は、基本的分散媒及び上記の列挙されるそれらからの必要とされる他の成分を含む無菌ビークル中に活性化合物を組込むことにより調製される。無菌注射用溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、活性成分及びその前もって減菌濾過された溶液からの任意の追加の所望する成分を生成する、真空乾燥及び凍結乾燥である。
経口組成物は一般的に不活性希釈剤又は食用担体を含む。それらは、ゼラチンカプセルに封入されるか、又は錠剤に圧縮され得る。経口治療投与のためには、活性化合物は、賦形剤と共に組込まれ、そして錠剤、トローチ又はカプセルの形で使用される。経口組成物はまた、マウスウォッシュとして使用のための液体担体を用いて調製され得、ここで液体担体中の化合物は、経口適用され、そしてスウィッシュされ、そして吐き出されるか、又は飲み込まれる。医薬的に適合できる結合剤、及び/又はアジュバント材料は、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、ピル、カプセル、トローチ及び同様のものは、次の成分の何れか、又は類似する性質の化合物を含むことができる:結合剤、例えば微晶性セルロース、トラガカントガム又はゼラチン;賦形剤、例えば澱粉又はラクトース;崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル又はコーンスターチ;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はSterotes;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化珪素;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリン;又は風味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料。
吸入による投与のためには、化合物は、適切な推進剤、例えばガス、例えば二酸化炭素を含む加圧された容器又はディスペンサー、又はネブライザーからエアロゾル噴霧の形で送達される。
全身性投与はまた、経粘膜又は経皮手段によるものであっても良い。経粘膜又は経皮投与のためには、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が製剤に使用される。そのような浸透剤は一般的に当業界において知られており、そして例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は、鼻腔内スプレー又は坐剤の使用を介して達成され得る。経皮投与のためには、活性化合物は、当業界において一般的に知られているように、軟膏、膏薬、ゲル又はクリーム中に配合される。
化合物はまた、直腸送達のために、坐剤(例えば、従来の製剤基材、例えばココアバター及び他のグリセリドを含む)又は保持浣腸の形で調製され得る。
1つの実施形態によれば、活性化合物は、身体からの急速な排除に対して化合物を保護するであろう担体、例えば持続/制御放出製剤、例えばインプラント及びマイクロカプセル化送達システムを用いて調製される。生分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸が使用され得る。そのような製剤の調製方法は、当業者に明らかであろう。
例えば、活性成分は、例えばコアセルベーション技法により、又は界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えばそれぞれコロイド状薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマイクロエマルジョン中、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入され得る。
徐放性製剤が調製され得る。徐放性製剤の適切な例は、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを包含し、ここで前記マトリックスは成形品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形で存在する。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸及びγエチル-L-グルタノートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-クリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドから構成される注射可能マイクロスフェア)、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を包含する。ポリマー、例えばエチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸は100日間にわたって分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲルはより短い期間、タンパク質を放出する。
材料はまた、Alza Corporation 及びNova Pharmaceuticals, Incから市販されている。リポソーム懸濁液(ウィルス抗原に対するモノクローナル抗体により、感染された細胞に標的化されたリポソームを含む)がまた、医薬的に許容される担体として使用され得る。それらは、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に知られている方法に従って調製され得る。
投与の容易性及び投与量の均一性のための単位剤形で経口又は非経口組成物を製剤化することが特に好都合である。単位剤形とは、本明細書において使用される場合、治療される対象のための単位用量として適した物理的に別個の単位を意味し;各単位は、必要とされる医薬担体と関連して所望する治療効果を生成するよう計算された所定量の活性化合物を含む。本開示の単位剤形の仕様は、活性化合物のユニーク特徴及び達成されるべき特定の治療効果、及び個体の治療のためのそのような活性化合物を配合する技術的に固有の制限により決定され、そしてそれらに直接的に依存する。
医薬組成物は、投与のための説明書と共に、容器、パック又はディスペンサーに含まれる。
製剤はまた、治療される特定の徴候のために必要な場合、お互い悪影響を与えない補完的活性を有する、複数の活性化合物を含むことができる。他方では、又はさらに、組成物は、その機能を増強する剤、例えば細胞毒性剤、サイトカイン、化学療法剤又は増殖阻害剤を含むことができる。そのような分子は、意図される目的のために効果的である量で、組み合わせて適切に存在する。
1つの実施形態によれば、活性化合物は、併用治療で投与され、すなわち病理学的状態又は障害、例えば自己免疫疾患及び炎症疾患の治療のために有用である他の剤と組合される。用語「組合して(comination in)」とは、剤が実質的に同時に、すなわち同時に又は連続的に与えられることを意味する。連続的に与えられる場合、第2化合物の投与の開始で、2種の化合物のうち第1の化合物は、治療の部位で効果的濃度でまだ検出できる。
例えば、併用療法は、1又は2以上の追加の治療剤、例えば下記により詳細に記載されるように、1又は2以上のサイトカイン及び成長因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤、及び/又は細胞毒性又は細胞増殖抑制剤と共に同時製剤化され、そして/又は同時投与される本開示の1又は2以上の抗体を含むことができる。さらに、本明細書に記載される1又は2以上の治療剤が、本明細書に記載される複数の治療剤と組合して使用され得る。そのような併用治療法は、好都合には、低い用量の投与される治療剤を利用し、従って、種々の単独療法に関連する可能な毒性又は合併症を回避する。
他の実施形態によれば、本開示の1又は2以上の抗体が、1又は2以上の抗炎症剤、免疫抑制剤又は代謝又は酵素阻害剤と同時製剤化され、そして/又は同時投与され得る。本明細書に記載される抗体と組合して使用され得る薬剤又は阻害剤の非制限的例は、1又は2以上の次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)、例えば、イブプロフェン、テニダップ、ナプロキセン、メロキシカム、ピロキシカム、ジクロフェナク、及びインドメタシン; スルファサラジン;コルチコステロイド、例えばプレドニゾロン; サイトカイン抑制性抗炎症薬剤(NSAID); ヌクレオチド生合成の阻害剤、例えばプリン生合成の阻害剤、葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート(N- [4 - [[(2,4-ジアミノ-6-ピリジル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル] -L-グルタミン酸);及びピリミジン生合成の阻害剤、例えばジヒドロデヒドロゲナーゼ(DHODH)阻害剤。
追加の阻害剤の例は、1又は2以上の次のものを包含する:コルチコステロイド(経口、吸入及び局所注射);免疫抑制、例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK506);及びmTOR阻害剤、例えば、シロリムス(ラパマイシン - RAPAMUNE(登録商標))又はラパマイシン誘導体、例えば、可溶性ラパマイシン誘導体(例えば、エステルラパマイシン誘導体、例えば、CCI-779);炎症性サイトカインによるシグナル伝達を妨害する剤、例えばTNFα又はIL-1(E IRAK、NIK、IKK、p38又はMAPキナーゼ阻害剤); COX2インヒビター、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブ、およびその変異体;ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばR973401(ホスホジエステラーゼIV型阻害剤); ホスホリパーゼ阻害剤、例えば細胞質ゾルホスホリパーゼ2の阻害剤(cPLA2)(例えば、トリフルオロメチルケトン類似体); 血管内皮細胞増殖因子又は成長因子受容体の阻害剤、例えばVEGF阻害剤及び/又はVEGFR阻害剤;及び血管新生の阻害剤。本開示の抗体と組合して使用するための適切な治療剤は、免疫抑制、例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK506);mTOR阻害剤、例えば、シロリムス(ラパマイシン)又はラパマイシン誘導体、例えば可溶性ラパマイシン誘導体(例えば、エステルラパマイシン誘導体、例えば、CCI-779); COX2阻害剤、例えば、セレコキシブ及びその変異体;及びホスホリパーゼ阻害剤、例えば細胞質ゾルホスホリパーゼ2の阻害剤(cPLA2)、例えば、トリフルオロメチルケトン類似体2である。
本開示の抗体と組合わされ得る治療剤の追加の例は、1又は2以上の次のものを包含する:6-メルカプトプリン(6-MP);アザチオプリンスルファサラジン;メサラミン;オルサラジン; クロロキン/ヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL(登録商標);ペニシラミン;アウロチオマレート(筋肉内及び経口); アザチオプリン;コルヒチン; β-2アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、テルブタリン、サルメテロール);キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン);クロモグリケート; ネドクロミル;ケトチフェン;イプラトロピウム及びオキシトロピウム; ミコフェノール酸モフェチル;アデノシンアゴニスト;抗血栓剤; 補体阻害剤;及びアドレナリン作動薬。
本明細書において引用されるすべての出版物及び特許文献は、そのような各出版物又は文書が具体的且つ個別に参照により本明細書に組込まれることが示されているかのように、参照により本明細書に組込まれる。出版物及び特許文献の引用は、何れか関連先行技術であり、それが内容又は日付に関する承認を構成するものではありません。本発明は現在、書面による説明により記載されて来たが、当業者は、本発明が様々な実施形態され得、そして前述の記載及び下記実施例が例示の目的であって、特許請求の範囲を制限するものではないことを理解するであろう。
表7に示される次の配列は、本明細書に提供される実施例を通して使用される配列を包含する。
実施例1:多重特異性抗体の調製
この実施例は、抗-Jagged-CD3、抗-Jagged-CTLA-4、抗-EGFR-CD3 及び 抗-EGFR -CTLA-4多重特異性抗体の構成、発現及び精製を示す。
ベクターを用いて、上記に示されるanti-Jagged (4D11v2)H鎖、 V342-1204-4D11v2L鎖、抗-EGFR C225v5 H鎖及び 3954-1204-C225v5L鎖配列を発現した。そのようなベクターは、2013年4月26日に提出された同時系続出願PCT/US1013/038540号(「上皮成長因子受容体を結合する活性化可能抗体及びその使用方法」と題する)、及び2013年6月21日に提出されたPCT/US2013/047109号(「抗-Jagged抗体、活性化可能抗-Jagged抗体及びその使用方法」と題する)上記載され、各出願の内容は、その全体を引用により本明細書に組込む。
ベクターを、制限酵素NheI及びNotIにより消化し、そしてベクターフラグメントを、ゲル電気泳動により単離した。挿入体を次の通りに調製した。ヒトIgG CH2CH3フラグメントを、反応1において、Pop Hygro 4D11v2から、プライマーHCForNhe (表8、配列番号3) 及びプライマーHCRevOL (表8、配列番号4)を用いて増幅し、CTLA-4 scFvを、反応2において、CTLA-4 scFv cDNA (配列番号229)から、プライマーCTRevNot (表8、配列番号1) 及びプライマーCTForOL (表8、配列番号2)を用いて増幅し、OKT3 scFvを、反応3において、OKT3 scFv cDNA (配列番号231)から、プライマーOKRevNot (表8、配列番号5) 及びプライマーCTForOL (表8、配列番号2)を用いて増幅した。ヒトIgG、 CH2CH3/CTLA-4 scFv融合体を、反応1の10%、反応2の10%を組合し、そしてプライマーHCForNhe及びCTRevNotにより増幅することにより調製した。
増幅に続いて、得られるDNAを、制限酵素をNheI及びNotIにより消化し、そしてCH2CH3/CTLA-4 scFv融合DNAを、ゲル電気泳動により単離した。ヒトIgG、 CH2CH3/OKT3 scFv融合体を、反応1の10%、反応3の10%を組合し、そしてプライマーHCForNhe及びCTRevNotにより増幅することにより調製した。増幅に続いて、得られるDNAを、制限酵素をNheI及びNotIにより消化し、そしてCH2CH3/CTLA-4 scFv融合DNAを、ゲル電気泳動により単離した。
CH2CH3/scFvフラグメントを発現ベクター中に挿入するために、表9に示される次の組合せを、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen Inc., Carlsbad, CA)により一晩、連結した。連結に続いて、そのDNAを用いて、E.コリ(E.Coli)株MC106を形質転換し、そしてアンピシリン耐性について選択した。DNA配列決定により、正しい多重特異性抗体又は多重特異性活性化可能抗体をコードするDNA挿入体を含むクローンを同定し、そしてDNAを、哺乳類細胞トランスフェクションのために調製した。
実施例2:多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体の製造
完全ヒトIgGを、一時的にトランスフェクトされたHEK-293細胞から発現した。表10に示される、明確なH鎖及びL鎖発現ベクターによる同時トランスフェクションは、多重特異性活性化可能抗体の発現を可能にした。
HEK-293細胞に発現された多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体を、プロテインAクロマトグラフィーにより精製した。
結合アッセイ:図11に示されるように、ELISA-結合実験は、抗-Jagged-CTLA-4及び抗-Jagged-OKT3多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体がヒトJagged1を結合し、そして抗-EGFR-CTLA-4及び抗-EGFR-OKT3多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体がヒトEGFRを特異的に結合したことを示した。
ヒトJagged 1-Fc (R&D Systems; カタログ番号 1277-JG-050) 及びヒトEGFR (R&D Systems, カタログ番号344-ER-050)を、96-ウェルELISAプレートの異なったウェルに吸着した。精製された抗-Jagged-CTLA及び抗-Jagged-OKT3、抗-EGFR-CTLA 又は 抗-EGFR-OKT3抗体を、プレートに適用し、そして結合を可能にした。結合された抗体を、抗-ヒトIgG-HRP接合体(Fab specific, Sigma, St Louis, MO; カタログ番号A0293-1ML)により可視化し、そして発色性基質TMBにより展開した。
図12A及び12Bに示されるように、ELISA-結合実験は、抗-Jagged-CTLA-4 及び抗-EGFR-CTLA-4が、ヒト及びマウスGTLA-4(抗-ヒトCTLA-4抗体はマウス及びヒトCTLA-4と交差反応する)を特異的に結合することを示し:ヒトCTLA-4(R&D Systems; カタログ番号325-CT-200/CF)又はマウスCTLA-4(R&D Systems, カタログ番号434-CT-200/CF)の何れかを、別個の96-ウェルELISAプレートのウェルに吸着した。精製された抗-Jagged 4D11v2-CTLA-4、 抗-Jagged 活性化可能抗体 V342-1204-4D11v2-CTLA-4、抗-EGFR C225v5-CTLA-4 又は 活性化可能抗体3954-1204-C225v5-CTLA-4を、プレートに適用し、そして結合を可能にした。結合された抗体を、抗-ヒトIgG-HRP接合体(Fab specific, Sigma, St Louis, MO; カタログ番号A0293-1ML)により可視化し、そして発色性基質TMBにより展開した。結合の特異性が、ヒトCD3εに対して特異的な抗体-OKT3融合体の結合不能により実証された。
実施例3:CD3εに結合するOKT3
図13に示されるように、ELISA-結合実験は、抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3 及び抗-Jagged多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-OKT3がヒトCD3εを特異的に結合することを示した。ヒトCD3ε(NovoProtein, カタログ番号C578)を、96-ウェルELISAプレートのウェルに吸着した。精製された抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-CTLA-4、抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体 3954-1204-C225v5-OKT3、抗-Jagged多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-CTLA-4、 又は抗-Jagged 多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-OKT3を、プレートに適用し、そして結合を可能にした。結合された抗体を、抗-ヒトIgG-HRP接合体(Fab specific, Sigma, St Louis, MO; カタログ番号A0293-1ML)により可視化し、そして発色性基質TMBにより展開した。
実施例4:多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ活性化
活性化
多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体を、PBSに希釈し、0.8mg/mlの最終濃度にした。組換えヒトuPA (R&D Systems, カタログ番号1310-SE)を添加し、700nMの最終濃度にし、そして37℃で約20時間インキュベートした。ダイジェストアリコートを除き、そして下記のようにしてSDS-PAGE分析のために調製し、そして結合ELISAアッセイでの分析のために、PBS、0.05%Tween20及び10mg/mlのウシ血清アルブミンにより、100nMに希釈した。
PAGEのために、サンプルを、1×LDSサンプル緩衝液において70℃で10分間、変性し、そしてTCEPを添加し、電気泳動の前、40mMの最終濃度にした。6μgの抗体を、NuPAGE 10% Bis-Tris ゲル(Invitrogen)上に負荷し、そしてタンパク質を、MOPS電気泳動緩衝液を用いてサイズ的に分離した。電気泳動に続いて、ゲルをクーマシーブルーにより染色し、そして結果は、図14に示されている。uPAの存在下での、抗-EGFR多重特異性抗体 3954-1204-C225v5、抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-CTLA-4、抗-Jagged活性化可能抗体V342-1204-4D11v2、 及び抗-Jagged多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-CTLA-4 L鎖の移動度の変化は、多重特異性活性化可能抗体のタンパク質分解活性化を実証する。H鎖融合体の移動度の変化の欠如は、プロテアーゼ切断に対する耐性を実証する。
結合アッセイ
図15におけるパネルAは、抗-EGFR 多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-CTLA-4が、C225v5 (3 nM)又はC225v5-CTLA-4 (0.33 nM)に比べて、低い親和性(Kd=12.8nM)でEGFRに結合した(ELISAによれば)ことを示す。しかしながら、uPAにより活性化されると、抗-EGFR 多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-CTLA-4は、C225v5 (3 nM)又はC225v5-CTLA-4 (0.33 nM)に比べて、類似する親和性(0.45nM)で、EGFRに結合した。重要なことには、uPAは、H鎖のカルボキシル末端に融合された抗-CTLA4 scFvを切断しなかった:図15のパネルにBに示されるように、uPA処理は、ヒトCTLA4への結合の効果を有さなかった。
同様に、抗-Jagged 多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-CTLA-4は、4D11v2 (0.44 nM) 又は 4D11v2-CTLA4 (0.77 nM)に比べて、低い親和性(15nM)でヒトJagged1に結合した(図15、ELISAによれば)。活性化されると、抗-Jagged 多重特異性活性化可能抗体V342-1204-4D11v2-CTLA-4は、4D11v2 (0.54 nM) 及び4D11v2-CTLA4 (0.92 nM)に類似する親和性でヒトJagged1に結合した(図15、パネルC)。uPA処理は、CTLA4結合に対する効果を有さなかった(図15、パネルD)。ELISA結合測定を、次の通りに実施した。ヒトJagged 1-Fc (R&D Systems; カタログ番号1277-JG-050)、ヒト EGFR (R&D Systems, カタログ番号344-ER-050) 又は ヒトCTLA4 (R&D Systems; カタログ番号325-CT-200/CF)を、96-ウェルELISAプレートのウェル上に吸着した。処理されていない、及びuPA処理された抗体、多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体の3倍希釈溶液(100nMで出発する)を、プレートに適用し、そして1時間、プレート-結合された抗原との会合を可能にした。結合に続いて、結合された抗体を、抗-ヒトIgG-HRP接合体(Fab specific, Sigma, St Louis, MO; カタログ番号A0293-1ML)により可視化し、そして発色性基質TMBにより展開した。
実施例5:追加の多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体配列
この実施例は、追加の多重特異性抗体及び多重特異性活性化可能抗体の配列を提供する。
表11は、本開示の多重特異性抗体又は多重特異性活性化可能抗体を製造するために、H鎖(HC)及びL鎖(LC)配列の対合の例を示す。本明細書に使用される場合、L鎖を言及する場合、C225v5を含む抗体L鎖はまた、C225を含むL鎖としても言及される。
実施例6:Jurkat T細胞上のCD3εへの多重特異性抗体の結合
この実施例は、本開示の多重特異性抗体のT細胞に結合する能力を示す。
次のように多重特異性抗体の3種の形式を試験した:(1)C225v5-OKT3m-H-N、すなわちOKT3m scFv(T細胞上のCD3ε(また、本明細書においては、CD3e及びCD3とも称する)を結合する)が、抗-EGFR 抗体 C225v5のH鎖のN-末端に結合される多重特異性抗体;(2)C225v5-OKT3m-H-C、すなわちOKT3m scFvが、抗-EGFR 抗体 C225v5のH鎖のC-末端に結合される多重特異性抗体;及び(3))C225v5-OKT3m-L-C、すなわちOKT3m scFvが、抗-EGFR 抗体 C225v5のL鎖のC-末端に結合される多重特異性抗体。それらの多重特異性抗体のアミノ酸配列が、C225v5及びOKT3抗体のアミノ酸配列であるとして、本明細書に提供される。また、アイソタイプ対照、すなわちヒトIgG1アイソタイプ対照(Enzo, カタログALX-804-133-C100)を試験した。
3種の多重特異性抗体形式がCD3ε―陽性Jurkat T細胞(また、本明細書においては、Jurkat細胞及びJarkatsとも称す)に結合するかどうかを決定するために、フローサイトメトリーに基く結合アッセイを実施した。Jurkat T 細胞(クローン E6-1, ATCC, TIB-152)を、ATCCガイドラインに従って、GlutaMAX(登録商標) (Life Technologies, カカタログ番号72400-120), 10% 熱不活性化された-ウシ胎仔血清(HI-FBS, Life Technologies, カタログ番号10438-026)、100 U/mlのペニシリン 及び100 μg/ml のストレプトマイシン(Life Technologies, カタログ番号15140-122) (また、本明細書においては完全培地とも称す)と共にRPMI-1640において培養した。細胞を遠心分離(200xg、4℃、5分)により収穫し、そして2%HI-FBS(FACS緩衝液)中、PBSに再懸濁した。ウェル当たり約250,000個のJurkat細胞を、96-ウェルU-底プレートに移し、収穫し、そして50μl(また、本明細書においては、μl又はulとも称する)の試験される抗体に再懸濁した。抗体の開始濃度は、多重特異性抗体について100nMであり、そしてアイソタイプ対照については、166.7nMであり、続いて、各抗体について合計8種の濃度の5倍の連続希釈を行った。
細胞及び抗体を、4℃で約1時間、振盪しながらインキュベートし、収穫し、そして200μlのFACS緩衝液により3度、洗浄した。得られるJurkat細胞を、50μlのAlexaFluor(登録商標) 647 接合抗-ヒト IgG (H+L) (Jackson ImmunoResearch, カタログ番号709-606-149)に再懸濁し、そして4℃で約30分間、振盪しながらインキュベートした。得られるJurkat細胞を収穫し、200μlのFACS緩衝液に3度、洗浄し、そして、2.5μg/mlの7-AAD(BD Pharmingen, カタログ番号559925)を含むFACS緩衝液150μlの最終堆積に再懸濁した。サンプルを、BD Accuri C6フローサイトメトリー(BD Biosciences)上で分析し、そして生存細胞の蛍光強度中央値(MFI)を、FlowJo V10(Treestar)を用いて計算した。7-AAD染色は、前方側散乱ゲートが生細胞を同定するのに十分であったことを示した。EC50値を、データを、log(アゴニス)対 応答(3種のパラメーター)に適合する曲線により、GraphaPad Prism 6で計算した。
図16Aは、すべての3種の多重特異性抗体形式が、一桁台のnM~副nMの範囲のEC50値を伴って、Jurkat T細胞を結合したことを示した。
実施例7:多重特異性抗体はCD3ε-発現T細胞及び組換えヒトEGFRに結合する
この実施例は、T細胞及び標的抗原含有細胞の両者に結合する(また、本明細書においては、同時結合すると称する)、本開示の多重特異性抗体の能力を示す。
多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、C225v5-OKT3m-H-C又はC225v5-OKT3m-L-CがCD3ε-陽性Jurkat T細胞及びEGFRを結合するかどうかを決定するために、フローサイトメトリーに基くビオチニル化されたEGFRにより滴定し、そしてストレプトアビジン、R-フィコエリトリン結合体(SAPE)により検出した。また、アイソタイプタイプ対照、すなわちヒトIgG1アイソタイプ対照、Enzo, カタログ ALX-804-133-C100を試験した。
Jurkat細胞を、本明細書に記載のようにして、培養し、そして収穫した。ウェル当たり約500,000個のJurkat細胞を、U-底プレートに移し、収穫し、そして50μlの40nMの多重特異性抗体又は67nMのアイソタイプ抗体に再懸濁した。細胞を、4℃で約1時間、振盪しながらインキュベートし、収穫し、そして200μlのFACS緩衝液により3度、洗浄した。得られるJurkat細胞(本開示の多重特異性抗体を結合する)を、約290nMで出発し、続いて、合計8種の濃度の5倍連続希釈溶液に、50μlのビオチニル化された組換えヒトEGFRタンパク質(Abcam, カタログ番号ab168702)に再懸濁した。細胞を、4℃で約1時間、振盪しながらインキュベートし、収穫し、そして200μlのFACS緩衝液により3度、洗浄した。得られるJurkat細胞を、50μlの10μg/mlのストレプトアビジン、R-フィコエリトリン接合体(Life Technologies, S866)に再懸濁し、そして4℃で約1時間、振盪下でインキュベートした。細胞を収穫し、200μlのFACS緩衝液により1度、洗浄し、そして150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。サンプルを、BD Accuri C6及び本明細書に記載されるようにして計算されたMFI上で分析した。EC50値を、本明細書に記載のようにして、GraphPad Prism 6で計算した。
図16Bは、すべての3種の多重特異性抗体形式が、T細胞上のCD3εへの付随的結合を必要とする、EGFRの濃度依存性結合を示したことを実証する。EC50値は、副-nM~一桁台のnMの範囲であった。
実施例8:多重特異性抗体によるT細胞の標的依存性活性化
この実施例は、標的-依存性態様でT細胞を活性化する、本開示の多重特異性抗体の能力を実証する。
多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、C225v5-OKT3m-H-C又はC225v5-OKT3m-L-CによるJurkat T細胞及びEGFR-陽性標的細胞の同時-動員がJurkat細胞の活性化を誘発するかどうかを決定するために、フローサイトメトリーに基くアッセイを行った。Jurkat細胞及びCFSE-標識された標的細胞を、約15時間、同時培養し、そしてT細胞活性化を、初期T細胞活性化マーカーCD69の表面発現について、染色により評価した。
SW480細胞とも言及されるEGFR-陽性SW480細胞(ATCC、カタログCCL-228)及びU266細胞とも言及されるEGFR-陰性U266細胞(ATCC、カタログTIB-196)を、ATCCガイドラインに従って、GlutaMAX(登録商標)、 10% HI-FBS、 100 U/mlのペニシリン及び 100 μg/ml のストレプトマイシンを含むRPMI-1640(完全培地として言及される)において培養した。それらの標的細胞を収穫し、PBSにより1度、洗浄し、そして2×106細胞/mlでPBSに再懸濁した。5mMのCFSE原液(Life Technologies, CellTrace(登録商標) CFSE 細胞増殖キット, カタログ番号C34554)を、DMSOにおいて調製し、そして次に、PBSにおいて30nMに希釈した。PBS/CFSE作業用原液を、すぐに使用した。等体積の標的細胞及びDFSE原液を、15nMの最終CFSE濃度及び1×106個の細胞/mlの最終細胞密度のために組合した。細胞を37℃で15分間、インキュベートした。標識を、等体積のHI-FBSを添加することによりクエンチした。インキュベートされた標的細胞を収穫し、完全培地により1度、洗浄し、そして5×105個の細胞/mlで完全培地に再懸濁した。ウェル当たり5μlの細胞懸濁を、合計25,000個の標的細胞/ウェルを得るために、96ウェル平底プレートに添加した。
Jurkat T細胞を、本明細書に記載されるようにして、培養した。Jurkat細胞を収穫し、1×106個の細胞/mlで完全培地に再懸濁し、そしてウェル当たり50μlの細胞懸濁液を、ウェル当たり合計約50,000個のJurkat細胞を得るために、標的細胞を含む平底プレートに添加した。エフェクターT細胞:標的細胞の比は、2:1であった。
三倍濃縮抗体原液を、完全培地において調製した。使用される最高濃度は、各多重特異性抗体形式に関しては、1.2nMであり、そしてOKT3 (BioLegend, カタログ番号317304)、C225v5 (本明細書において提供されるアミノ酸配列)及び アイソタイプ対照抗体に関しては、1.5nMであった。5倍の連続希釈溶液を、各抗体について合計8種の濃度のために完全培地により調製した。ウェル当たり50μlの抗体を、T細胞及び標的細胞を含む平底プレートに添加し、各多重特異性抗体形式について400pM、又はOKT3、 C225v5及びアイソタイプ対照抗体について500pMの出発濃度から、全ての原液を3倍希釈した。
約15時間後、細胞をU-底プレートに移し、そして収穫した。回収を最大にするために、細胞培養プレートを、150μlのFACS緩衝液により洗浄し、そしてその洗浄液を、U-底プレートに移した。細胞を収穫し、50μlの抗-CD69PE接合された抗体(BD Biosciences、カタログ555531、製造業者の推奨濃度で使用される)に再懸濁し、そして4℃で1時間、振盪下で染色した。細胞を、200μlのFACS緩衝液により1度、洗浄し、そして次に、150μlの最終体積に再懸濁した。単色対照を用いて、BD Accuri C6上で補正を設定した。10,000個の細胞を、前方側スキャター、すなわちCFSE-陰性ゲートに集め、そしてMFIをFlowJoを用いて計算した。EC50値を、本明細書に記載のようにして、GraphPad Prism 6で計算した。
図17は、サブ-pM濃度で明らかに開始する最も有能なCD69活性化が、Jurkat T 細胞及びEGFR-陽性 SW480 細胞の両者の存在下で同時培養される各多重特異性抗体形式に依存したことを示す。対照的に、EGFR-陰性U266細胞により誘発されたT細胞活性化は、EGFR-陽性細胞により誘発された活性化に対して有意に低い効率であり、サブ-nMのEC50値及び最大CD9誘発で75%の低下を示した。U266細胞が使用される場合に見られるように、多重特異性抗体のEGFR-非依存性活性化は、OKT3抗体の活性化に類似し、そしてごくわずかなCD69染色がC225v5及びアイソタイプ対照抗体に関して観察された。
実施例9:多重特異性抗体による一次CD8+T細胞の標的-依存性活性化
この実施例は、一次CD8陽性(CD8+)T細胞を活性化する、本開示の多重特異性抗体の能力を示す。
多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、 C225v5-OKT3m-H-C又は C225v5-OKT3m-L-Cが一次ヒトCD8+T細胞のEGFR-依存性活性化に介在できるかどうかを決定するために、フローサイトメトリーに基くアッセイを実施した。ヒト末梢血液単核細胞(PBMC)由来のCD8+T細胞及びDDAO-SE標識された標的細胞を、一晩、同時培養し、そして活性化を、初期活性化マーカーCD69についての染色により評価した。
EGFR-陰性SW480細胞を、本明細書に記載のようにして、培養し、そして標識したが、但し、(1)SW480標的細胞を、CellTrace(登録商標) FarRed DDAO-SE (Life Technologies, カタログ番号C34553)により標識し、そして(2)完全培地を、25 U/ml のIL-2 (R&D Systems, カタログ番号202-IL-050/CF)により補充した。50μlの標的細胞懸濁液(5×105個の細胞/ml)/ウェルを、合計25,000個の標的細胞/ウェルを得るために、96ウェル平底プレートに添加した。
新鮮な正常末梢血液CD8+細胞毒性T細胞(AllCells, カタログ番号PB009-3)を、AllCells (Alameda, CA)から入手し、遠心分離(200xg、RT、15分)により収穫し、そして25U/mlのIL-2により補充された完全培地に、1.5×106個の細胞/mlで再懸濁した。ウェル当たり50μlの細胞懸濁液を、標的細胞を含む平底プレートに添加し、ウェル当たり合計約75,000のCD8+細胞毒性T細胞、及び3:1の比のT細胞:標的細胞を得た。
3倍濃縮抗体原液を、25U/mlのIL-2により補充された完全培地において調製した。最高濃度は、600pMであり、続いて各抗体について合計8種の濃度のために5倍連続希釈を実施した。ウェル当たり50μlの抗体を、CD8+細胞及び標的細胞を含む平底プレートに添加し、200pMの出発濃度のために全原液を3倍に希釈した。
一晩のインキュベーションの後、平底プレートを遠心分離し、そして100μlの上清液を、本明細書に記載される発光細胞毒性アッセイのために除いた。残る上清液を、U-底プレートに移し、そして平底プレートにおける細胞を、0.25%トリプシン(Life Technologies, カタログ番号25200-056)により分離した。トリプシン活性を、3体積のFACS緩衝液を添加することによりクエンチし、そして細胞懸濁液を、U-底プレートに移した。収穫の後、細胞を、50μlの何れかの抗-CD69 PE/抗-CD8 FITC カクテル (抗-CD8 FITC, BD Biosciences, カタログ番号561948)、 FITC アイソタイプ対照(BD BioSciences, カタログ番号340755)又はPE アイソタイプ対照(BD BioSciences, カタログ番号340761)に再懸濁した。すべての抗体は、製造業者の推奨濃度で使用された。細胞を4℃で1時間、振盪下で染色し、収穫し、そして2.5μg/mlの7-AADを含む、最終体積150μlのFACS緩衝液に再懸濁した。単色対照を用いて、BD Accuri C6上の補正を設定し、そして固定体積の細胞懸濁液を集めた。CD8+細胞上のゲーティングは、標的細胞と生存T細胞とを区別するのに十分であった。活性化を、PEアイソタイプ対照以上にCD69の発現を有するT細胞の%として定量化した。
図18Aは、全ての3種の多重特異性抗体形式が、1桁台のpMのEC50値を有する一次CD8+T細胞の濃度-依存性活性化を示したことを実証する。OKT3、C225v5又はヒトIgG1 アイソタイプ 対照 (Enzo)抗体による処理は、ごくわずかなCD69誘発をもたらした。
実施例10:多重特異性抗体による標的細胞の標的-依存性死滅化
この実施例は、T細胞-指図された標的-依存性細胞溶解を誘発する、本開示の多重特異性抗体の能力を実証する。
多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、C225v5-OKT3m-H-C又はC225v5-OKT3m-L-CがT細胞-指図された標的-依存性細胞溶解を誘発できるかどうかを決定するために、SW480細胞を、本明細書に記載されるように、3:1のエフェクター:標的細胞比で、CD8+T細胞と共に同時培養した。一晩の培養の後、100μlの上清液を、製造業者のプロトコル(CytoTox-Glo(登録商標) Cytotoxicity Assay, カタログ番号G9292, Promega)に従って、細胞毒性に関連する明確なプロテアーゼ活性について、白色壁の96-ウェルプレート(Greiner Bio One カタログ番号655098)においてアッセイし、このプロトコルにおいては、膜の完全性を失い、そして続いて、細胞溶解を受けた細胞により放出されるプロテアーゼの活性を測定するために発光性ペプチド基質を使用する。標的細胞の多重特異性抗体-依存性細胞毒性を、未処理の値のバックグラウンド減算の後、発光で表し、そしてlog(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴ってPrismにプロットされた。
図18Bは、すべての3種の多重特異性抗体形式がSW480細胞のT-細胞-媒介性死滅を誘発したことを示す。予測されるように、OKT3抗体は単独で、SW480細胞の検出できる死滅を示さず、このことは多重特異性抗体による効果的な細胞毒性のためには、D3及び腫瘍標的の両者の同時動員の必要性を示唆する。
実施例11:多重特異性抗体による標的細胞の標的-依存性T-細胞活性化及び死滅化
この実施例は、CD8+T細胞のT細胞-指図された、標的-依存性活性化及び標的細胞の死滅化を誘発する多重特異性抗体の能力を実証する。
観察されるT-細胞活性化が、標的細胞によるEGFR発現に依存するかどうかを決定するために、CFSE-標識されたEGFR-陽性SW480細胞又はEGFR-陰性U266細胞を、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N 又はOKT3の存在下で、ヒトCD8+T細胞と共に同時培養し、ここで各抗体は、上記のように、200pMで開始し、5倍連続希釈された。標的細胞(30nM)のCFSE標識を、上記方法を用いて、T細胞と標的細胞とを区別するために使用した。凍結された正常末梢血液CD8+細胞毒性T細胞(AllCells, カタログ番号PB009-3F)を、その製造業者により指定されるようにして、融解した。一晩のインキュベーションの後、T細胞(CFSE陰性細胞)を、上記のようにして、初期活性化マーカーCD69の表面発現についてアッセイした。手短には、細胞をアッセイプレートから除き、付着細胞を、トリプシン(Life Technologies)を用いて解除し、そして細胞をFACS緩衝液により1度、洗浄した。細胞を、抗-CD69-PE (BD Bioscience)により1時間、染色した。細胞を洗浄し、そして細胞表面CD69発現について、BD Accuri C6上で分析した。MFI値を、本明細書に記載のようにして計算した。結果は、FCS発現分析ソフトウェアを用いて、アイソタイプ対照以上のCD69の発現を有するT細胞の割合として表され、そしてlog(アゴニスト)-対-対応(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴ってPrismにプロットされた。
図18Cに示されるように、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nは、SW480細胞の存在下で及び266細胞による最小のT-細胞活性化において、SW480細胞により使用される濃度よりも3log高い濃度でさえ、副-pM濃度での強いT-細胞活性化を示した。OKT抗体は、最小のT-細胞活性化を示した。それらの結果は、効果的なT-細胞活性化が、EGFRの標的細胞発現に依存することを示した。
標的細胞死滅化についてEGFR発現の依存性を決定するために、SW480又はU266細胞とのT細胞同時培養物の上清液100μlを、細胞毒性に関連するプロテアーゼ活性について測定した(CytoTox-Glo, Promega)。結果は、log(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴ってPrismにプロットされた。
図18Dは、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nが、副-pM濃度でEGFR-発現SW480細胞の細胞毒性を誘発し、ところがEGFR-陰性U266細胞の識別可能な死滅化は検出されないことを実証する。OKT3抗体はまた、SW480又はU266細胞の何れの識別可能な死滅化も示さなかった。
実施例12:EGFR-発現細胞系のパネルを死滅化するためにT細胞を動員する多重特異性抗体の能力
この実施例は、EGFR-発現細胞系のパネルを死滅するためにT細胞を動員する、本開示の多重特異性抗体の能力を実証する。
多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nが追加のEGFR-発現細胞系の細胞毒性を誘発できたかどうかを決定するために、ヒトCD8+T細胞を、5:1のエフェクター:標的の比(但し、96ウェル平底プレートにおいて培養される、3:1の比で使用されるU266細胞を除く)、及び多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nの滴定で、次のEGFR-発現細胞系と共に、白色壁96ウェルプレートにおいて、RPMI-1640(2%ヒト血清)下で培養した:HEK-293、HCT-15、HCT 116、Hs 766T、HT-29、 NCI-H2405、SW480、 SK-OV-3及びEGFR 陰性細胞系、U266 (すべての細胞系はATCCからである)。抗-EGFR抗体C225v5(200pMでの)を、負の対照として使用した。一晩のインキュベーションの後、CytoTox-Glo(登録商標)細胞毒性アッセイ(Promega)の発光性ペプチド基質を、プレート(150μlの上清液)に直接、添加し、放出されたプロテーアーゼ活性を測定し、但し、100μlのU266上清液をプロテアーゼ活性をアッセイするために使用したU266サンプルを除く。結果は、未処理の値のバックグラウンド減算の後、発光で表され、そしてlog(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴って、Prismにプロットされた。
図19は、CD8+T細胞の存在下で多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより処理されたすべてのEGFR-発現細胞系が用量-依存性細胞毒性を示したことを実証する。対照的に、EGFR-陰性U266細胞は、抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより影響されないまま存続した。200pMでの抗-EGFR抗体C225v5により処理された細胞系の何れも、それらのEGFR発現にもかかわらず、細胞毒性の何れの証拠も示さなかった。
実施例13:多重特異性活性化可能抗体によるEGFR結合の減衰
この実施例は、本開示の多重特異性活性化可能抗体によるEGFR結合が、本開示の多重特異性抗体によるEGFR結合に比べて、減衰されることを実証した。この実施例はまた、プロテアーゼ切断部分を含む多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合が、そのようなプロテアーゼによる多重特異性活性化可能抗体の切断に基いて、復元されることも実証する。
多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N及び多重特異性抗体 C225v5-OKT3m-H-Nを、EGFR-発現SW480細胞に結合するそれらの能力について試験した。
多重特異性活性化可能抗体の活性化を、次の通りに行った:PBS中、825μgの#多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-Nを、活性部位-滴定されたマトリプターゼ(また、本明細書においては、MT-SP1及びMTSP1とも称する;R&D Systems, カタログ番号3946-SE-010から入手できる)の添加により切断し、100nMの最終濃度にした。消化物を、37℃で一晩インキュベートし、そして切断を、キャピラリー電気泳動分析(GX-II Capillary Electrophoresis, Perkin Elmer)のためのアリコートを除くことにより確かめた。プロテアーゼ及び切断されたマスキング部分を、プロテインA精製により除いた。手短には、消化されたサンプルを、PBSにより2mlに希釈し、そして平衡化されたMabSelect SuRe(登録商標)ビーズ(GE Healthcare Life Sciences, Product 11-0026-01 AD)上に負荷した。ビーズを、5カラム体積(CV)の1×PBS、続いて5%イソプロピルアルコール(IPA)により補充された5×PBS(5CV)、及び最終的に5CVの1×PBSにより洗浄した。抗体を、10CVの0.1Mのグリシン(pH3.0)により溶出し、そして画分を、1Mのトリス(pH8.0)により中和し、プールし、濃縮し、そして緩衝液をPBSに交換した。
EGFRを発現するSW480細胞を、細胞解離緩衝液(Sigma、カタログ番号C5789)により分離し、洗浄し、そして氷上でのFACS緩衝液中、1000nMの多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、 活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、活性化可能抗体3954-1204-C225v5又は 抗体 C225v5の5倍希釈溶液と共に1時間インキュベートした。細胞を、FACS緩衝液により3度、洗浄し、そして氷上でのFACS緩衝液中、1:400の二次抗体、すなわち抗-ヒトFcGamma特異的AF488(Jackson ImmunoResearch カタログ番号109-546-098)と共にインキュベートした。細胞を、FACS緩衝液により3度、洗浄し、そしてAF488のMFIを、BD Accuri (BD Biosciences)フローサイトメトリー上で読み取った。二次抗体対照のみを含むサンプルMFIを、実験MFIから減算し、そしてlog(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴って、Prismにプロットされた。
図20Aは、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NによるEGFR結合が、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-NによるEGFR結合に比べて、減衰されるが、しかし多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合は、マトリプターゼにより多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ切断時に十分に回復されたことを実証する。図20Bは、抗体C225v5及び活性化可能抗体3954-1204-C225v5によるEGFR結合が、それぞれ多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N 及び多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NによるEGFR結合と同等であることを示し、このことは、多重特異性形式に存在する抗-CD3ε部分が多重特異性抗体又は多重特異性活性化可能抗体の何れのEGFR結合プロフィールも変更しないことを示す。
実施例14:CD3+T細胞に結合する多重特異性活性化可能抗体の能力
この実施例は、多重特異性活性化可能抗体、活性化された多重特異性活性化可能抗体、 a及び多重特異性抗体が、すべての実施形態で、それぞれ、CD3+T細胞に結合できることを実証する。
CD3ε結合が抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合部位のマスキングにより影響されたかどうかを決定するために、Jurkat T細胞結合アッセイを、本明細書に記載のようにして、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、 活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N及び多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより実施した。Jurkat細胞を、FACS緩衝液中、1000nMの多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、マトリプターゼ活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N又は 多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nの5倍希釈溶液と共に、4℃で1時間インキュベートした。細胞を、3度洗浄し、そして二次抗体、すなわち1:400の抗-ヒトFcGamma特異的AF488(Jackson ImmunoResearch)インキュベートした。細胞を、3度、洗浄し、そしてAF488のMFIを、BD Accuri (BD Biosciences)フローサイトメトリー上で読み取った。二次抗体対照のみを含むサンプルMFIを、実験MFIから減算し、そしてlog(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴って、Prismにプロットされた。
図21Aは、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N及び 多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-NがJurkat T細胞に対して同等の結合性を示すことを実証する。図21Bは、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N 及び 活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NがJurkat T細胞に対して同等の結合性を示すことを実証する。それらの結果は、多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合部分のマスキングがT細胞を動員する多重特異性活性化可能抗体の能力に影響を及ぼさないことを示唆する。
実施例15:多重特異性活性化可能抗体による標的-依存性T-細胞活性化
この実施例は、本開示の多重特異性活性化可能抗体による標的-依存性T-細胞活性化が、本開示の多重特異性抗体により示される活性化に比べて減衰されることを実証する。この実施例はまた、プロテアーゼ切断部分を含む多重特異性活性化可能抗体による標的-依存性T-細胞活性化が、そのようなプロテアーゼによる多重特異性活性化可能抗体の切断に基いて回復されることを実証する。
抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合部位のマスキングが、標的-依存性T-細胞活性化を減衰するかどうかを決定するために、及び多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ活性化が、活性化を回復するかどうかを決定するために、Jurkat活性化アッセイを、本明細書に記載のようにして実施し、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、抗-EGFR抗体 C225v5及び Synagis (Medimmune) アイシタイプ対照を試験した。
図22は、EGFR-発現SW480細胞と共に同時培養されたJurkat T細胞のCD69誘発により決定されるように、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NによるEGFR-依存性活性化が、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより示されるEGFR-依存性活性化に比べて減衰されたことを実証する。この図はまた、多重特異性活性化可能抗体によるEGFR-依存性活性化が、マトリプターゼにより、多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ切断に十分に回復されたことも示唆する。抗-EGFR C225v5も、アイソタイプ対照抗体も、T-細胞の活性化を示さなかった。
実施例16:多重特異性活性化可能抗体による標的細胞の標的-依存性T細胞活性化及び標的細胞の死滅化
この実施例は、本開示の多重特異性活性化可能抗体による標的細胞の標的-依存性T-細胞活性化及び死滅化が、本開示の多重特異性抗体により示される活性化に比べて、減衰されることを実証する。この実施例は、また、プロテアーゼ切断部分を含む、多重特異性活性化可能抗体による標的細胞の標的-依存性T-細胞活性化及び死滅化が、そのようなプロテアーゼによる多重特異性活性化可能抗体の切断に基いて回復されることも実証する。
抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合部位のマスキングが、標的-依存性活性化を減衰するかどうかを決定するために、及び多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ活性化が、活性化を回復するかどうかを決定するために、Jurkat活性化アッセイを、本明細書に記載のようにして実施し、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、活性化された多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-N、抗-CD3ε抗体OKT3、抗-EGFR抗体 C225v5及び Synagis (Medimmune) アイシタイプ対照を試験した。
細胞毒性に対する、抗-EGFR多重特異性活性化可能抗体のEGFR結合部位のマスキングの影響、及び活性化された多重特異性活性化可能抗体の細胞毒性活性を回復するプロテアーゼ活性化の能力を決定するために、EGFR-発現SW480細胞を、200pMから出発して、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N、活性化された 多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-N又は多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nの連続5倍希釈溶液と共に、5:1のエフェクター:標的細胞の比で、T-細胞と同時培養した。200pMのOKT3、C225v5及びアイソタイプ対照Synagis (Medimmune) IgG1 抗体を、対照として使用した。一晩のインキュベーションの後、100μlの上清液を、白壁96-ウェルプレートにおいて、細胞毒性に関連する独特なプロテアーゼ活性についてアッセイした(CytoTox-Glo, Promega)。結果は、未処理の値のバックグラウンド減算の後、発光で表され、そしてlog(アゴニスト)-対-応答(3種のパラメーター)の曲線適合分析を伴って、Prismにプロットされた。
図23Aは、EGFR-発現SW480細胞と共に同時培養された一次T細胞のCD69誘発により決定されるように、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NによるEGFR-依存性活性化が、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより示されるEGFR-依存性活性化に比べて減衰されたことを実証する。この図はまた、多重特異性活性化可能抗体によるEGFR-依存性活性化が、マトリプターゼにより、多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ切断に十分に回復されたことも示唆する。OKT3、抗-EGFR C225v5及び Synagis IgG1アイソタイプ対照抗体は、T-細胞のごくわずかな活性化を示した。
図23Bは、多重特異性活性化可能抗体3954-1204-C225v5-OKT3m-H-NによるSW480細胞のEGFR-依存性溶解が、多重特異性抗体C225v5-OKT3m-H-Nにより示されるEGFR-依存性細胞毒性に比べて、減衰されたことを実証する。この図はまた、多重特異性活性化可能抗体によるEGFR-依存性細胞毒性が、マトリプターゼにより、多重特異性活性化可能抗体のプロテアーゼ切断に十分に回復されたことも示唆する。C225v5 及び OKT3 及びSynagis IgG1アイソタイプ対照抗体は、ごくわずかな細胞毒性を示した。
他の実施形態
本発明はその詳細な説明と併せて説明して来たが、前述の説明は例示であって、特許請求の範囲を限定するものではない。他の側面、利点及び修飾は、添付の特許請求の範囲内である。