JP6897873B2 - 流体クロマトグラフ用の機器収容構造 - Google Patents

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Description

本発明は、メンテナンス対象となる機器を収容する流体クロマトグラフ用の機器収容構造に関する。
液体クロマトグラフおよび超臨界流体クロマトグラフ等の流体クロマトグラフにおいては、移動相をカラムに供給するための供給装置が用いられる。このような供給装置として、例えば特許文献1には、液体クロマトグラフに用いられる送液装置が記載されている。
その送液装置は、筐体および2つのプランジャポンプを含む。2つのプランジャポンプの各々は、ポンプヘッドおよびポンプボディを有し、ポンプヘッドが筐体の前面側を向くように筐体内に収容されている。筐体の前部には、筐体内部のポンプヘッド収容部を開閉することができるように、開閉カバーが開閉可能または着脱可能に設けられている。それにより、使用者は、開閉カバーが開かれた状態または開閉カバーが取り外された状態で、筐体の外部から各プランジャポンプのポンプヘッドにアクセスすることができる。それにより、各プランジャポンプについて、部品交換等のメンテナンスが行われる。
国際公開2017/122259号
上記の送液装置において、開閉カバーが筐体に対して開閉可能な扉として設けられる場合、使用者は、当該扉を開いた状態で各プランジャポンプのメンテナンスを行う。このとき、ポンプヘッドが扉の回動軸線近傍に位置すると、メンテナンスのための作業空間が扉により制限される。それにより、メンテナンスの作業性が低下する。
上記のメンテナンス時には、メンテナンスに使用する工具が扉に干渉しない程度に作業空間を確保することが望まれる。ポンプヘッドのメンテナンスの作業空間を十分に確保するためには、筐体内でポンプヘッドを扉の回動軸線から大きく離間した位置に配置する必要がある。この場合、プランジャポンプのレイアウトの自由度が制限されるとともに、筐体が大型化する。
本発明の目的は、筐体内においてメンテナンス対象となる機器のレイアウトの自由度を向上させるとともに当該機器のメンテナンスの作業性の低下および筐体の大型化を抑制することを可能にする流体クロマトグラフ用の機器収容構造を提供することである。
(1)本発明の一局面に従う流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、開口を有しかつメンテナンス対象となる機器を収容する筐体と、開口の少なくとも一部の領域を閉塞および開放するように筐体に設けられた扉とを備え、扉は、回動軸線の周りで回動可能かつ回動軸線上で互いに離間する第1および第2のフレーム部と、第1および第2のフレーム部に着脱可能かつ扉の閉塞時に少なくとも一部の領域を覆うカバー部材とを含み、第1のフレーム部と第2のフレーム部との間に空間が形成された。
その流体クロマトグラフ用の機器収容構造によれば、使用者は、扉を開くことにより開口の少なくとも一部を通して筐体内の機器のメンテナンスを行うことができる。また、使用者は、機器のメンテナンス時に、第1および第2のフレーム部からカバー部材を取り外すことができる。第1および第2のフレーム部の間には空間が形成されている。それにより、第1および第2のフレーム部の間に形成された空間を機器のメンテナンスのための作業空間として利用することができる。したがって、筐体の内部空間のうち扉の回動軸線近傍に機器が配置される場合でも、当該機器のメンテナンスの作業性の低下が抑制される。
その結果、筐体内においてメンテナンス対象となる機器のレイアウトの自由度を向上させるとともに当該機器のメンテナンスの作業性の低下および筐体の大型化を抑制することが可能になる。
(2)扉は、第1のフレーム部のうち回動軸線から離間した部分と第2のフレーム部のうち回動軸線から離間した部分とを連結するフレーム連結部をさらに含んでもよい。
この場合、使用者は、第1および第2のフレーム部を一体的に取り扱うことができる。それにより、第1および第2のフレーム部に対するカバー部材の着脱作業が容易になる。
(3)流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、第1および第2のフレーム部にカバー部材が取り付けられた状態で、扉の開き角度が第1の開き角度を超えないように制限する第1の角度規制部をさらに備えてもよい。
この場合、使用者が不用意に扉を操作する場合でも、扉が第1の開き角度を超えて開かれることが防止される。それにより、扉と筐体周辺に設けられた他の部材との干渉を防止することができる。
(4)第1および第2のフレーム部からカバー部材が取り外された状態で、第1のフレーム部の開き角度が第1の開き角度よりも大きい第2の開き角度を超えないように制限する第2の角度規制部が形成されてもよい。
この場合、第1および第2のフレーム部からカバー部材が取り外された状態で使用者が不用意に第1のフレーム部を操作する場合でも、第1のフレーム部が第2の開き角度を超えて開かれることが防止される。それにより、第1のフレーム部と筐体周辺に設けられた他の部材との干渉を防止することができる。
また、第2の開き角度が第1の開き角度よりも大きいので、使用者は、第1および第2のフレーム部からカバー部材を取り外すことにより、メンテナンスのための作業空間をより大きく確保することができる。
(5)カバー部材は、第1のフレーム部に対して予め定められた位置関係で連結された固定状態と、第1のフレーム部に対してスライド可能なスライド状態とに移行可能であり、流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、カバー部材を一の方向にスライド可能に案内する案内部と、案内部によりスライド可能状態にあるカバー部材が第1のフレーム部に対して予め定められた位置関係となったときに、カバー部材を第1のフレーム部に係止することによりカバー部材を固定状態に移行させるスナップフィット機構とをさらに備えてもよい。
この場合、使用者は、扉が開かれた状態で第1のフレーム部に対するカバー部材の着脱を容易に行うことができる。
(6)流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、回動軸線上に位置するように筐体に設けられる第1および第2のヒンジをさらに備え、第1および第2のフレーム部は、第1および第2のヒンジにより回動軸線の周りで回動可能に筐体にそれぞれ設けられ、第1および第2のヒンジは、扉の開き角度が予め定められた基準角度にあるときに扉の開き角度を当該基準角度に保持するための保持力を発生するように構成されてもよい。
この場合、扉の開き角度が基準角度にある状態で保持されるので、使用者の意に反して扉が開かれることまたは扉が閉じられることが抑制される。
(7)回動軸線の方向に見た場合に、カバー部材は、第1および第2の端部を有するように延び、第1の端部は第2の端部よりも回動軸線に近く、カバー部材の厚みは、第1の端部よりも第2の端部に近い部分から第1の端部に近づくにつれて減少してもよい。
この場合、扉の開き角度が所定角度変化する場合に、回動軸線の近傍においてカバー部材が回動軸線の周りで回動するために必要な空間が低減される。それにより、回動軸線近傍でカバー部材が他の部材に干渉することを抑制しつつ、扉の開き角度を大きくすることが可能になる。
(8)メンテナンス対象となる機器は、移動相をカラムに供給するためのポンプ装置を含んでもよい。
この場合、流体クロマトグラフ用の送液装置の筐体内においてポンプ装置のレイアウトの自由度が向上する。また、ポンプ装置のメンテナンスの作業性の低下および筐体の大型化が抑制される。
(9)メンテナンス対象となる機器は、移動相が流通する流体関連機器を含み、流体関連機器には、移動相の流路の一部を構成する配管が接続され、扉の一部は、扉の閉塞時に筐体の内部空間と筐体の外部とを連通させる配管通路部を形成してもよい。
この場合、配管通路部を通して筐体の内部から筐体の外部に配管を引き出すことができる。また、筐体の外部から筐体の内部に配管通路部を通して配管を引き込むことができる。
(10)流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、扉の閉塞時に扉の内側で配管を筐体に保持する配管保持部をさらに備えてもよい。
この場合、配管が配管保持部により筐体に保持されるので、流体関連機器のメンテナンスの作業性が配管により低下することが抑制される。
本発明によれば、筐体内においてメンテナンス対象となる機器のレイアウトの自由度を向上させるとともに当該機器のメンテナンスの作業性の低下および筐体の大型化を抑制することが可能になる。
図1は本発明の一実施の形態に係る収容容器を備える送液装置の外観斜視図である。 図2は(a)は両開き扉が開放された状態を示す送液装置の前部拡大平面図であり、(b)は両開き扉が開放された状態を示す送液装置の正面図である。 図3は(a)は扉においてフレーム部材からカバー部材が取り外された状態を示す送液装置の前部拡大平面図であり、(b)は扉においてフレーム部材からカバー部材が取り外された状態を示す送液装置の正面図である。 図4は(a)は図3のフレーム部材をその内面に対向する位置から見た図であり、(b)はフレーム部材を図4(a)の矢印Cの方向に見た図であり、(c)は図4(a)のD−D線断面図である。 図5は(a)は図のカバー部材をその内面に対向する位置から見た図であり、(b)はカバー部材を図5(a)の矢印Eの方向に見た図であり、(c)は図5(a)のF−F線断面図である。 図6は筐体へのフレーム部材の取付状態およびフレーム部材へのカバー部材の取り付け方法を説明するための外観斜視図である。 図7は(a)はフレーム部材にカバー部材が取り付けられた扉をその内面に対向する位置から見た図であり、(b)は扉を図7(a)の矢印Gの方向に見た図であり、(c)は図7(a)のH−H線断面図である。 図8は扉角度制限機構を説明するための図である。 図9はフレーム角度制限機構を説明するための図である。 図10は図1の収容容器に設けられる配管通路部を示す送液装置の前部拡大平面図である。 図11は図1の収容容器に設けられる配管保持部を示す送液装置の正面図である。 図12は扉のカバー部材の形状により得られる効果を説明するための図である。 図13は図1の送液装置を備える液体クロマトグラフの一例を示す模式的構成図である。
[1]機器収容構造の基本構成
本発明の一実施の形態に係る機器収容構造の一例として、液体クロマトグラフの送液装置に用いられる収容容器を説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る収容容器を備える送液装置の外観斜視図である。
図1に示すように、本例の送液装置10は、収容容器100の内部に複数(本例では2つ)のポンプ装置PPおよび図示しない電源回路等が収容された構成を有する。収容容器100は、略直方体形状を有し、筐体110および両開き扉120を含む。筐体110は、上壁部110a、下壁部110b、一方側壁部110c、他方側壁部110dおよび端面壁部110eを含む。
上壁部110aおよび下壁部110bは上下方向において互いに対向するように形成されている。一方側壁部110cおよび他方側壁部110dは、上壁部110aおよび下壁部110bの一側部および他側部をそれぞれ接続するとともに互いに対向するように形成されている。端面壁部110eは、上壁部110a、下壁部110b、一方側壁部110cおよび他方側壁部110dに直交するとともに、上壁部110a、下壁部110b、一方側壁部110cおよび他方側壁部110dの端部を接続する。
筐体110は、端面壁部110eに対向する部分に開口OPを有する。両開き扉120は、扉120A,120Bを含む。扉120Aは、開口OPのうち一方側壁部110cから開口OPの略中央部までの領域(以下、一方開口領域と呼ぶ。)を閉塞および開放するように、一方側壁部110cに設けられる。扉120Bは、開口OPのうち一方開口領域を除く領域(以下、他方開口領域と呼ぶ。)を閉塞および開放するように、他方側壁部110dに設けられる。
扉120Aにより一方開口領域を閉塞する際および開放する際には、図1に太い一点鎖線の矢印Aで示すように、扉120Aは回動軸線LAの周りで回動する。回動軸線LAは、一方側壁部110cの近傍で上下方向に延びる。
一方、扉120Bにより他方開口領域を閉塞する際および開放する際には、図1に太い一点鎖線の矢印Bで示すように、扉120Bは、回動軸線LBの周りで回動する。回動軸線LBは、他方側壁部110dの近傍で上下方向に延びる。
以下の説明では、図1の送液装置10のうち両開き扉120およびその周辺部分を送液装置10の前部とし、送液装置10のうち端面壁部110eおよびその周辺部分を送液装置10の後部とする。また、収容容器100の内部から送液装置10の前部を向く方向を送液装置10の前方とし、収容容器100の内部から送液装置10の後部を向く方向を送液装置10の後方とする。
2つのポンプ装置PPの各々は、1つのポンプボディPBに、図示しない1つの駆動モータと2つのポンプヘッドPHとが組付けられた構成を有する。各ポンプ装置PPにおいて、2つのポンプヘッドPH内には図示しない2つのプランジャがそれぞれ設けられている。駆動モータは、図示しない電源回路から電力を受けることにより2つのポンプヘッドPH内の2つのプランジャを駆動する(ダブルプランジャ方式)。それにより各プランジャがポンプヘッドPH内を往復動する。
各ポンプ装置PPは、収容容器100の内部で2つのポンプヘッドPHが送液装置10の前部に位置し、ポンプボディPBが2つのポンプヘッドPHよりも送液装置10の後部に位置するように配置される。それにより、両開き扉120の閉塞時に、各ポンプヘッドPHは両開き扉120の内面に近接する。
上記の構成を有する送液装置10においては、安定した移動相の送液を実現するために、各ポンプ装置PPについて部品交換等のメンテナンスを行う必要がある。この場合、使用者は、両開き扉120を開くことにより開口OPを通して各ポンプヘッドPHにアクセスする。
図2(a)は両開き扉120が開放された状態を示す送液装置10の前部拡大平面図であり、図2(b)は両開き扉120が開放された状態を示す送液装置10の正面図である。なお、図2(a),(b)および後述する図3(a),(b)では、各ポンプ装置PPに接続される配管の図示を省略している。
図2(a),(b)に示すように、両開き扉120の開放時には、開口OPを通して複数のポンプヘッドPHの大部分が送液装置10の前方に露出する。しかしながら、図2(b)に白抜きの矢印で示すように、回動軸線LAの近傍にあるポンプヘッドPHの前方に扉120Aの一部が存在すると、当該ポンプヘッドPHの全体が前方に露出しない。この場合、ポンプヘッドPHに対するメンテナンスの作業性が著しく低下する。
そこで、本実施の形態では、扉120Aが主としてフレーム部材200とカバー部材300とで構成される。フレーム部材200は例えばアルミニウム合金等の金属で形成された単一部材であり、カバー部材300は例えば樹脂で形成された単一部材である。
フレーム部材200は、回動軸線LAの周りで回動可能となるように、後述する扉取付具90(図6)により一方側壁部110cに設けられる。カバー部材300は、フレーム部材200に着脱可能かつ扉120Aの閉塞時に開口OPの一方開口領域を覆うように形成されている。
扉120Aにおいては、扉120Aが開かれた状態でフレーム部材200からカバー部材300が取り外される。図3(a)は扉120Aにおいてフレーム部材200からカバー部材300が取り外された状態を示す送液装置10の前部拡大平面図であり、図3(b)は扉120Aにおいてフレーム部材200からカバー部材300が取り外された状態を示す送液装置10の正面図である。
図3(b)に示すように、カバー部材300が取り外された状態においては、回動軸線LA上に扉120Aを構成する部材がほとんど存在しない。そのため、図3(b)に白抜きの矢印で示すように、回動軸線LAの近傍にあるポンプヘッドPHの全体が前方に露出している。したがって、当該ポンプヘッドPHのメンテナンスの作業性の低下が抑制される。また、この場合、筐体110内では、回動軸線LAの位置によらずポンプヘッドPHの配置を定めることができる。それにより、筐体110内において、ポンプヘッドPHのレイアウトの自由度を向上させるとともに筐体110の大型化を抑制することが可能となる。以下、扉120Aの構成の詳細を説明する。
[2]フレーム部材200
以下の説明では、フレーム部材200のうち扉120Aの閉塞時に筐体110の内方(送液装置10の後方)を向く面をフレーム部材200の内面と呼び、扉120Aの閉塞時に筐体110の外方(送液装置10の前方)を向く面をフレーム部材200の外面と呼ぶ。
図4(a)は図3のフレーム部材200をその内面に対向する位置から見た図であり、図4(b)はフレーム部材200を図4(a)の矢印Cの方向に見た図であり、図4(c)は図4(a)のD−D線断面図である。
図4(a)に示すように、フレーム部材200は、主として上フレーム部220、下フレーム部230およびフレーム連結部240から構成される。上フレーム部220および下フレーム部230は、略角柱形状を有し、互いに対向するように上下方向に並ぶとともに互いに平行に延びる。
上フレーム部220および下フレーム部230の各々の一端部は、ヒンジ取付部210として機能する。ヒンジ取付部210には、後述するヒンジHI(図6)を挿入するためのヒンジ挿入孔211が形成されている。また、ヒンジ取付部210には、角度規制部212が設けられている。角度規制部212は、フレーム部材200の開き角度が後述する第2の開き角度β(図9)を超えないように制限するために用いられる。角度規制部212についての詳細は後述する。
図4(b)に示すように、上フレーム部220のうち上方を向く部分には、第1の案内溝221および第2の案内溝222が形成されている。図4(b)では、第1の案内溝221および第2の案内溝222の形状の理解を容易にするために、第1の案内溝221および第2の案内溝222にそれぞれドットパターンおよびハッチングを付している。第1の案内溝221および第2の案内溝222は、上フレーム部220の上端面から底面までの距離(深さ)が互いに異なる。第1の案内溝221の深さは、第2の案内溝222の深さよりも大きい。
第1の案内溝221は、上フレーム部220の他端部から一端部(ヒンジ取付部210)に向かって比較的短い距離延びるように形成されている。第1の案内溝221は、先端部を除いて、底面を挟む2つの内側面のうち一方の内側面が形成されておらずフレーム部材200の外面上に開放されている。第2の案内溝222は、第1の案内溝221の先端部からさらにヒンジ取付部210の近傍の位置まで比較的長い距離延びるように形成されている。第2の案内溝222は、第1の案内溝221と同様に、先端部を除いて、一方の内側面が形成されておらず、フレーム部材200の外面上に開放されている。第1の案内溝221と第2の案内溝222との間には段差部STが形成されている。
下フレーム部230のうち下方を向く部分には、上フレーム部220のうち上方を向く部分と同様に、第1の案内溝231および第2の案内溝232が形成されている。第1の案内溝231および第2の案内溝232は、下フレーム部230の下端面から底部までの距離(深さ)が互いに異なる。第1の案内溝231の深さは、第2の案内溝232の深さよりも大きい。
下フレーム部230における第1および第2の案内溝231,232の構成は、上フレーム部220における第1および第2の案内溝221,222の構成と基本的に同じである。第1の案内溝231と第2の案内溝232との間には段差部STが形成されている。
上フレーム部220および下フレーム部230の他端部は、略長板形状を有するフレーム連結部240により互いに連結されている。上下方向におけるフレーム連結部240の中央部には、切り欠き241が形成されている。そのため、図4(a),(c)に示すように、フレーム連結部240の中央部における水平方向の幅は、フレーム連結部240の他の部分の幅に比べて小さい。このフレーム連結部240の中央部は、後述するスナップフィット機構SF(図5)に係止される被係止部242として機能する。
[3]カバー部材300
以下の説明では、カバー部材300のうち扉120Aの閉塞時に筐体110の内方(送液装置10の後方)を向く面をカバー部材300の内面と呼び、扉120Aの閉塞時に筐体110の外方(送液装置10の前方)を向く面をカバー部材300の外面と呼ぶ。
図5(a)は図のカバー部材300をその内面に対向する位置から見た図であり、図5(b)はカバー部材300を図5(a)の矢印Eの方向に見た図であり、図5(c)は図5(a)のF−F線断面図である。
図5(a)に示すように、カバー部材300は、主として蓋部310、上壁部320および下壁部330から構成される。図5(a)〜(c)に示すように、蓋部310は、略矩形の板形状を有し、水平方向において緩やかに湾曲しつつ一方向に延びるように形成されている。蓋部310のうち水平方向における一端部には、角度規制部319が設けられている。角度規制部319は、扉120Aの開き角度が後述する第1の開き角度α(図8)を超えないように制限するために用いられる。角度規制部319についての詳細は後述する。
図5(a),(b)に示すように、上壁部320は、蓋部310の上縁から蓋部310の内面の向く方向に延びる板形状を有する。上壁部320の一部には、扉120A(図1)の閉塞時に後述する配管通路部130(図10)を形成する切り欠き329が設けられている。下壁部330は、上壁部320と同じ形状を有する。
上下方向における上壁部320および下壁部330間の寸法は、図4の上フレーム部220の上端面から図4の下フレーム部230の下端面までの寸法よりもやや大きい。それにより、カバー部材300の上壁部320および下壁部330は、フレーム部材200を上下方向から挟み込むことが可能となっている。
上壁部320の下面には、下方に向かって突出する複数(本例では4つ)の突起部BS1,BS2が間隔をおいて直線上に並ぶように形成されている。4つの突起部BS1,BS2のうち1つの突起部BS1は他の3つの突起部BS2に比べて上壁部320の下面から先端までの距離(高さ)が大きい。下壁部330の上面には、上壁部320の下面に形成された1つの突起部BS1および3つの突起部BS2にそれぞれ対向するように、上方に向かって突出する1つの突起部BS1および3つの突起部BS2が間隔をおいて直線上に並ぶように形成されている。各突起部BS1の高さは図4の第1の案内溝221,231の深さにほぼ等しく、各突起部BS2の高さは図4の第2の案内溝222,232の深さにほぼ等しい。
互いに対向する上壁部320の下面の一部と下壁部330の上面の一部とを繋ぐように、略長板形状を有するカバー連結部340が形成されている。
カバー連結部340の略中央部には、図4の被係止部242を係止することが可能なスナップフィット機構SFが設けられている。本実施の形態においては、スナップフィットとは、係止部および被係止部をそれぞれ有する2つの部材の連結方法であり、被係止部および係止部のうち少なくとも一方の部材の弾性変形を利用して2つの部材を固定する方法である。
図5(a),(c)に示すように、本例のスナップフィット機構SFは、弾性変形部pf0および2つの突起部pf1,pf2を含む。弾性変形部pf0は、板形状を有し、カバー連結部340から蓋部310の角度規制部319に向かって一定距離延びている。2つの突起部pf1,pf2は、水平方向に所定間隔をおいて並ぶように弾性変形部pf0の内方に突出している。弾性変形部pf0の先端に位置する突起部pf1は、他方の突起部pf2に対向する係止面esを有する。
フレーム部材200(図4)へのカバー部材300の取付時には、弾性変形部pf0が弾性変形することにより2つの突起部pf1,pf2の間にフレーム部材200の被係止部242(図4)が導かれる。カバー部材300の取り外し時には、弾性変形部pf0が弾性変形することにより2つの突起部pf1,pf2の間からフレーム部材200の被係止部242(図4)が外される。以下、フレーム部材200に対するカバー部材300の取り付けおよび取り外しの詳細を説明する。
[4]フレーム部材200に対するカバー部材300の取り付けおよび取り外し
フレーム部材200へのカバー部材300の取り付け方法について、筐体110へのフレーム部材200の取付状態とともに説明する。図6は、筐体110へのフレーム部材200の取付状態およびフレーム部材200へのカバー部材300の取り付け方法を説明するための外観斜視図である。まず、筐体110へのフレーム部材200の取付状態について説明する。
図6に示すように、筐体110の一方側壁部110cの前端部には、一方側壁部110cを前方に向かって延長するように、略長板形状を有する扉取付具90が固定されている。本例では、扉取付具90は、金属製の単一部材であるが、樹脂製の単一部材であってもよい。扉取付具90の上端部近傍および下端部近傍には、それぞれヒンジ取付部93が設けられている。各ヒンジ取付部93は、扉取付具90から開口OPの前方の空間に延びるように形成されている。ヒンジ取付部93の先端には、貫通孔が形成されている。
上フレーム部220のヒンジ取付部210が上方のヒンジ取付部93の上面上に位置決めされ、下フレーム部230のヒンジ取付部210が下方のヒンジ取付部93の下面上に位置決めされる。この状態で、上フレーム部220のヒンジ挿入孔211(図4)および扉取付具90の上方のヒンジ取付部93の貫通孔に略円柱形状を有するヒンジHIが挿入されている。また、下フレーム部230のヒンジ挿入孔211(図4)および扉取付具90の下方のヒンジ取付部93の貫通孔に略円柱形状を有するヒンジHIが挿入されている。各ヒンジHIは、その軸心が回動軸線LA上に位置するように設けられる。それにより、フレーム部材200は、上下のヒンジHIにより回動軸線LAの周りで回動可能に扉取付具90に取り付けられる。
フレーム部材200へのカバー部材300の取付時には、使用者は、太い点線の白抜き矢印で示すように、フレーム部材200の外面に沿って回動軸線LAに近づくようにカバー部材300を移動させる。
具体的には、使用者は、カバー部材300の上壁部320と下壁部330とでフレーム部材200の上フレーム部220および下フレーム部230が上下方向から挟み込まれるように、カバー部材300の内面をフレーム部材200の外面上に近づける。その上で、使用者は、図5の上壁部320に形成された複数の突起部BS2を図4の上フレーム部220の第2の案内溝222内に配置するとともに、図5の下壁部330に形成された複数の突起部BS2を図4の下フレーム部230の第2の案内溝232内に配置する。また、使用者は、図5の上壁部320に形成された突起部BS1を図4の上フレーム部220の第1の案内溝221内に配置するとともに、図5の下壁部330に形成された突起部BS1を図4の下フレーム部230の第1の案内溝231内に配置する。その後、使用者は、カバー部材300を回動軸線LAに近づける。
この場合、第2の案内溝222,232の各々においては、カバー部材300の複数の突起部BS2が当該第2の案内溝222,232の少なくとも一つの内側面に当接する。また、各第1の案内溝221,231においては、カバー部材300の複数の突起部BS2が当該第1の案内溝221,231の少なくとも一つの内側面に当接する。それにより、カバー部材300は、フレーム部材200に対して、予め定められた姿勢で回動軸線LAに向かう方向にスライド可能に案内される。
上記のように、カバー部材300が予め定められた姿勢で回動軸線LAに向かって移動することにより、フレーム部材200の被係止部242(図4)がカバー部材300のスナップフィット機構SF(図5)に接触する。また、カバー部材300がさらに移動することにより、スナップフィット機構SFの弾性変形部pf0(図5)が蓋部310に近づくように弾性変形し、被係止部242が2つの突起部pf1,pf2の間に導かれる。その後、フレーム部材200の被係止部242がスナップフィット機構SFの係止面es(図5)により係止される。また、このとき、カバー部材300の上下の突起部BS1(図5)がフレーム部材200の上下の溝内に形成された段差部STに当接する。
上記のように、カバー部材300がスナップフィット機構SFによりフレーム部材200に係止され、固定される。それにより、フレーム部材200へのカバー部材300の取り付けが完了する。
図7(a)はフレーム部材200にカバー部材300が取り付けられた扉120Aをその内面に対向する位置から見た図であり、図7(b)は扉120Aを図7(a)の矢印Gの方向に見た図であり、図7(c)は図7(a)のH−H線断面図である。図7(a),(b)では、フレーム部材200およびカバー部材300の形状の理解を容易にするために、フレーム部材200を太い実線および太い点線で表し、カバー部材300を細い実線および細い点線で表す。
図7(a),(c)に示すように、フレーム部材200にカバー部材300が取り付けられた状態で、フレーム部材200の被係止部242はスナップフィット機構SFの2つの突起部pf1,pf2の間に配置され、先端の突起部pf1の係止面esに係止されている。それにより、回動軸線LA(図6)から離間する方向(フレーム部材200から離間する方向)へのカバー部材300のスライドが規制されている。
また、図7(a),(b)に示すように、カバー部材300の上下の突起部BS1はフレーム部材200の第1の案内溝221,231の先端部に形成される段差部STに当接する。それにより、回動軸線LA(図6)に向かう方向へのカバー部材300のスライドが規制されている。
図7(a),(b)に示すように、フレーム部材200にカバー部材300が取り付けられた状態で、上壁部320に形成された複数の突起部BS2のうちの1つは上フレーム部220の第2の案内溝222の先端部に位置する。上壁部320に形成された突起部BS1は第1の案内溝221の先端部に位置する。また、下壁部330に形成された複数の突起部BS2のうちの1つは下フレーム部230の第2の案内溝232の先端部に位置する。下壁部330に形成された突起部BS1は第1の案内溝231の先端部に位置する。それにより、フレーム部材200の内面および外面に直交する方向へのカバー部材300の移動が規制されている。
このように、フレーム部材200にカバー部材300が取り付けられた状態で、フレーム部材200に対するカバー部材300の移動が規制される。それにより、フレーム部材200とカバー部材300とを一体的に取り扱うことができるので、扉120Aの開閉動作が安定化する。
フレーム部材200からカバー部材300を取り外す場合、使用者は、スナップフィット機構SFの突起部pf2を蓋部310に向けて押し込む。この場合、弾性変形部pf0が蓋部310に近づくように弾性変形し、フレーム連結部240の被係止部242がスナップフィット機構SFから外れる。これにより、スナップフィット機構SFと被係止部242との係止状態が解除される。その上で、使用者は、フレーム部材200に対して、カバー部材300を回動軸線LAから離間する方向にスライドさせる。それにより、フレーム部材200からカバー部材300を容易に取り外すことができる。
[5]扉120Aおよびフレーム部材200の開き角度の制限機構
本実施の形態に係る収容容器100には、フレーム部材200にカバー部材300が取り付けられた状態で、扉120Aの開き角度が予め定められた第1の開き角度αを超えないように制限するための扉角度制限機構が設けられている。扉角度制限機構は、図5のカバー部材300に設けられる角度規制部319と、図6の2つのヒンジ取付部93にそれぞれ設けられる扉用角度規制部とにより構成される。
図8は、扉角度制限機構を説明するための図である。上記のように、カバー部材300の一端部には、角度規制部319が形成されている。角度規制部319は、カバー部材300がフレーム部材200に取付られた状態で、図8(a)に示すように、回動軸線LAから離間した位置にある。そのため、扉120Aが開かれる際には、角度規制部319は、図8(a)に太い実線の矢印で示すように、回動軸線LAを中心として回動する。なお、図8(a)では、カバー部材300および扉取付具90のヒンジ取付部93の形状の理解を容易にするために、カバー部材300にドットパターンを付し、ヒンジ取付部93にハッチングを付している。
扉用角度規制部94は、図8(b)に示すように、扉120Aの開き角度が第1の開き角度αにあるときに角度規制部319が当接するように、角度規制部319の回動軌道上に配置される。このような構成により、閉塞時における扉120Aの開き角度を0°とした場合に、扉120Aの開き角度が、0°から第1の開き角度αまでの範囲に制限される。
この場合、使用者が不用意に扉120Aを操作する場合でも、扉120Aが第1の開き角度αを超えて開かれることが防止される。それにより、扉120Aと収容容器100周辺に設けられた他の部材との干渉を防止することができる。
本実施の形態に係る収容容器100には、フレーム部材200からカバー部材300が取り外された状態で、フレーム部材200の開き角度が予め定められた第2の開き角度βを超えないように制限するためのフレーム角度制限機構が設けられている。フレーム角度制限機構は、図4のフレーム部材200に設けられる角度規制部212と、図6の2つのヒンジ取付部93にそれぞれ設けられるフレーム用角度規制部とにより構成される。
図9は、フレーム角度制限機構を説明するための図である。上記のように、上フレーム部220および下フレーム部230のヒンジ取付部210には、角度規制部212が形成されている。図9(a)に示すように、角度規制部212は、ヒンジ挿入孔211から外れた位置で、扉取付具90のヒンジ取付部93に当接するヒンジ取付部210の一面から突出するように形成されている。
この場合、角度規制部212は、フレーム部材200のヒンジ取付部210が扉取付具90のヒンジ取付部93に取り付けられた状態で、図9(b)に示すように、回動軸線LAから離間する。そのため、フレーム部材200が開かれる際には、角度規制部212は、図9(b)に太い実線の矢印で示すように、回動軸線LAを中心として回動する。なお、図9(b)では、扉取付具90のヒンジ取付部93の形状の理解を容易にするために、ヒンジ取付部93にハッチングを付している。
フレーム用角度規制部95は、図9(c)に示すように、フレーム部材200の開き角度が第2の開き角度βにあるときに角度規制部212が当接するように、角度規制部212の回動軌道上に配置される。このような構成により、閉塞時におけるフレーム部材200の開き角度を0°とした場合に、フレーム部材200の開き角度が、0°から第2の開き角度βまでの範囲に制限される。
この場合、フレーム部材200からカバー部材300が取り外された状態で使用者が不用意にフレーム部材200を操作する場合でも、フレーム部材200が第2の開き角度βを超えて開かれることが防止される。それにより、フレーム部材200と収容容器100周辺に設けられられた他の部材との干渉を防止することができる。
ここで、図9(c)に示すように、第2の開き角度βは、扉120Aについて設定される図8(b)の第1の開き角度αよりも大きく設定される。この場合、使用者は、フレーム部材200からカバー部材300を取り外すことにより、フレーム部材200を扉120Aよりも大きく開くことができる。したがって、メンテナンスのための作業空間をより大きく確保することができる。
[6]ヒンジHI
ヒンジHIは、扉120Aの開き角度が予め定められた基準角度(例えば0°)にあるときに、扉120Aの開き角度を当該基準角度に保持するための保持力を発生する、いわゆるクリック機構を有するように構成されることが好ましい。この場合、扉120Aの開き角度が基準角度にある状態で保持されるので、使用者の意に反して扉120Aが開かれることまたは扉120Aが閉じられることが抑制される。
[7]配管通路部および配管保持部
図1の送液装置10においては、移動相が流通する配管が収容容器100内の複数のポンプ装置PPにそれぞれ接続される。そこで、本実施の形態に係る収容容器100には、配管通路部および配管保持部が設けられる。
図10は、図1の収容容器100に設けられる配管通路部を示す送液装置10の前部拡大平面図である。図10では両開き扉120の閉塞時の送液装置10が示される。図10に示すように、本例の配管通路部130は、カバー部材300の上壁部320(図5)に形成された切り欠き329と筐体110の上壁部110aの前縁とで形成される。
このような構成により、収容容器100の内部から収容容器100の外部に配管通路部130を通して配管を引き出すことができる。また、収容容器100の外部から収容容器100の内部に配管通路部130を通して配管を引き込むことができる。
図11は、図1の収容容器100に設けられる配管保持部を示す送液装置10の正面図である。図11では両開き扉120の開放時の送液装置10が示される。図11に示すように、本例の配管保持部140は、上壁部110aの前縁に設けられ、1または複数の配管PAを保持可能かつ解放可能に構成される。
このような構成により、ポンプ装置PPに接続される配管PAが配管保持部140により保持されるので、ポンプ装置PPのメンテナンスの作業性が配管PAにより低下することが抑制される。
ここで、図11の配管保持部140は、扉120Aの閉塞時に形成される図10の配管通路部130の近傍に配置されることが好ましい。また、配管保持部140は、収容容器100の外部から配管通路部130を見た場合に、配管通路部130に重なるように配置されることがより好ましい。この場合、扉120Aの開放時においても、収容容器100内の配管PAが扉120Aの閉塞時に形成される配管通路部130の位置に保持される。それにより、扉120Aの閉塞時に、配管PAがカバー部材300と筐体110との間で挟み込まれることが防止される。
[8]効果
上記の収容容器100によれば、使用者は、両開き扉120を開くことにより開口OPを通して収容容器100内のポンプ装置PPのメンテナンスを行うことができる。また、使用者は、ポンプ装置PPのメンテナンス時に、扉120Aのフレーム部材200からカバー部材300を取り外すことができる。フレーム部材200は、回動軸線LA上で互いに離間する上フレーム部220および下フレーム部230を有する。上フレーム部220と下フレーム部230との間には空間が形成されている。それにより、上フレーム部220と下フレーム部230との間に形成された空間をポンプ装置PPのメンテナンスのための作業空間として利用することができる。したがって、筐体110の内部空間のうち扉120Aの回動軸線LA近傍にポンプ装置PPが配置される場合でも、当該ポンプ装置PPのメンテナンスの作業性の低下が抑制される。
その結果、筐体110内においてメンテナンス対象となるポンプ装置PPのレイアウトの自由度を向上させるとともに当該ポンプ装置PPのメンテナンスの作業性の低下および筐体110の大型化を抑制することが可能になる。
図12は、扉120Aのカバー部材300の形状により得られる効果を説明するための図である。図12に示すように、扉120Aを回動軸線LAの方向に見た場合に、カバー部材300は上壁部110aの前縁に平行に延びている。ここで、カバー部材300が延びる方向における一端部および他端部をそれぞれ第1の端部E1および第2の端部E2とする。第1の端部E1は、第2の端部E2よりも回動軸線LAに近い。
カバー部材300の厚み(上壁部110aの前縁に直交する方向におけるカバー部材300の幅)THは、第1の端部E1よりも第2の端部E2に近い部分から第1の端部E1に近づくにつれて減少している。この場合、扉120Aの開き角度が所定角度変化する場合に、回動軸線LAの近傍においてカバー部材300が回動軸線LAの周りで回動するために必要な空間が低減される。それにより、回動軸線LA近傍でカバー部材300が他の部材に干渉することを抑制しつつ、扉120Aの開き角度を大きくすることができる。
なお、本例のカバー部材300の厚みTHは、第1の端部E1よりも第2の端部E2に近い部分から第1の端部E1に近づくにつれて連続的に減少している。これに限らず、カバー部材300の厚みTHは、第1の端部E1よりも第2の端部E2に近い部分から第1の端部E1に近づくにつれて段階的に減少してもよい。この場合においても、上記の例と同じ効果を得ることができる。
[9]液体クロマトグラフ
図13は、図1の送液装置10を備える液体クロマトグラフの一例を示す模式的構成図である。本例の液体クロマトグラフ1は、図1の送液装置10に加えて、制御装置2、オートサンプラ3、カラムオーブン4および検出器5を含む。
送液装置10は、移動相容器T1に貯留された移動相をカラムオーブン4内に設けられるカラムに供給する。オートサンプラ3は、送液装置10からカラムに供給される移動相中に液体試料を注入する。カラムオーブン4は、その内部に設けられるカラムを略一定の温度に保持する。検出器5は、カラムにより分離された液体試料の各成分を検出する。検出器5を通過した移動相は、廃液容器T2に送られる。制御装置2は、例えばCPUおよびメモリを含み、液体クロマトグラフ1を構成する各部の動作を制御する。
ここで、制御装置2、オートサンプラ3、カラムオーブン4および検出器5の各々に、図1の収容容器100または収容容器100と基本的に同じ構成を有する収容容器が適用されてもよい。この場合においても、収容容器100が送液装置10に適用される上記の例と同じ効果を得ることができる。
例えば、上記の検出器5は、交換が必要な部品としてフローセルを含む。したがって、検出器5においてフローセルを含む構成が上記の収容容器100に収容される場合には、フレーム部材200からカバー部材300を取り外すことにより、フローセルの交換の作業性の低下が抑制される。また、この場合、回動軸線LAの位置によらずフローセルの配置を定めることができる。それにより、筐体110内において、フローセルのレイアウトの自由度を向上させるとともに筐体110の大型化を抑制することが可能となる。
[10]他の実施形態
(a)上記実施の形態においては、本発明に係る機器収容構造の一例である収容容器100が液体クロマトグラフの各種装置に用いられるが、本発明はこれに限定されない。上記の収容容器100は、液体クロマトグラフの各種装置に限らず、超臨界流体クロマトグラフの各種装置に用いることもできる。この場合においても、上記実施の形態の例と同様の効果を得ることができる。
(b)収容容器100は、両開き扉120に代えて片開き扉を含んでもよい。この場合、片開き扉が、上記の扉120Aと同様の構成を有することにより、上記実施の形態の例と同様の効果を得ることができる。
(c)扉120Aは、水平方向に平行な回動軸線LAの周りで回動するように、上壁部110aまたは下壁部110bに設けられてもよい。
(d)上記の両開き扉120のうち、扉120Bは、扉120Aと同様の構成を有してもよい。この場合、回動軸線LBの近傍におけるメンテナンスの作業性の低下が抑制される。また、筐体110内において、機器のレイアウトの自由度をさらに向上させるとともに筐体110の大型化をさらに抑制することが可能となる。
(e)フレーム部材200の上フレーム部220および下フレーム部230は、フレーム連結部240により連結されず、互いに分離された構成を有してもよい。
(f)上記実施の形態に係る送液装置10は、収容容器100内に2つのポンプ装置PPが収容された構成を有するが、送液装置10の構成は上記の例に限定されない。例えば、送液装置10は、収容容器100内に1つのポンプ装置PPのみが収容された構成を有してもよい。この場合、収容容器100内に1つのポンプ装置PPのみが収容された送液装置10が、図13の液体クロマトグラフ1に用いられてもよい。あるいは、収容容器100内に上記のポンプ装置PPとは異なる構成を有する液供給装置が収容された送液装置が、図13の液体クロマトグラフ1に用いられてもよい。この場合、液供給装置は、例えばギアポンプ、ベーンポンプまたはダイヤフラムポンプ等のプランジャポンプとは異なる形式のポンプを含んでもよい。
[11]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、収容容器100の構造が流体クロマトグラフ用の機器収容構造の例であり、扉120Aが扉の例であり、回動軸線LAが回動軸線の例であり、上フレーム部220または下フレーム部230が第1のフレームの例であり、下フレーム部230または上フレーム部220が第2のフレームの例である。
また、扉用角度規制部94および角度規制部319が第1の角度規制部の例であり、ヒンジ取付部93および角度規制部212が第2の角度規制部の例であり、第1の案内溝221,231および第2の案内溝222,232が案内部の例であり、ポンプ装置PPならびに図13のオートサンプラ3、カラムオーブン4および検出器5に設けられる機器が流体関連機器の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。

Claims (10)

  1. 流体クロマトグラフ用の機器収容構造であって、
    開口を有しかつメンテナンス対象となる機器を収容する筐体と、
    前記開口の少なくとも一部の領域を閉塞および開放するように前記筐体に設けられた扉とを備え、
    前記扉は、回動軸線の周りで回動可能かつ前記回動軸線上で互いに離間する第1および第2のフレーム部と、
    前記第1および第2のフレーム部に着脱可能かつ前記扉の閉塞時に前記少なくとも一部の領域を覆うカバー部材とを含み、
    前記第1のフレーム部と前記第2のフレーム部との間に空間が形成された、流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  2. 前記扉は、前記第1のフレーム部のうち前記回動軸線から離間した部分と前記第2のフレーム部のうち前記回動軸線から離間した部分とを連結するフレーム連結部をさらに含む、請求項1記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  3. 前記第1および第2のフレーム部に前記カバー部材が取り付けられた状態で、前記扉の開き角度が第1の開き角度を超えないように制限する第1の角度規制部をさらに備える、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  4. 前記第1および第2のフレーム部から前記カバー部材が取り外された状態で、前記第1のフレーム部の開き角度が前記第1の開き角度よりも大きい第2の開き角度を超えないように制限する第2の角度規制部が形成された、請求項3記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  5. 前記カバー部材は、前記第1のフレーム部に対して予め定められた位置関係で連結された固定状態と、前記第1のフレーム部に対してスライド可能なスライド状態とに移行可能であり、
    前記流体クロマトグラフ用の機器収容構造は、
    前記カバー部材を一の方向にスライド可能に案内する案内部と、
    前記案内部によりスライド可能状態にある前記カバー部材が前記第1のフレーム部に対して前記予め定められた位置関係となったときに、前記カバー部材を前記第1のフレーム部に係止することにより前記カバー部材を前記固定状態に移行させるスナップフィット機構とをさらに備える、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  6. 前記回動軸線上に位置するように前記筐体に設けられる第1および第2のヒンジをさらに備え、
    前記第1および第2のフレーム部は、前記第1および第2のヒンジにより前記回動軸線の周りで回動可能に前記筐体にそれぞれ設けられ、
    前記第1および第2のヒンジは、前記扉の開き角度が予め定められた基準角度にあるときに前記扉の開き角度を当該基準角度に保持するための保持力を発生するように構成された、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  7. 前記回動軸線の方向に見た場合に、前記カバー部材は、第1および第2の端部を有するように延び、前記第1の端部は前記第2の端部よりも前記回動軸線に近く、前記カバー部材の厚みは、前記第1の端部よりも第2の端部に近い部分から前記第1の端部に近づくにつれて減少する、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  8. 前記メンテナンス対象となる機器は、移動相をカラムに供給するためのポンプ装置を含む、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  9. 前記メンテナンス対象となる機器は、移動相が流通する流体関連機器を含み、
    前記流体関連機器には、移動相の流路の一部を構成する配管が接続され、
    前記扉の一部は、前記扉の閉塞時に前記筐体の内部空間と前記筐体の外部とを連通させる配管通路部を形成する、請求項1または2記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
  10. 前記扉の閉塞時に前記扉の内側で前記配管を前記筐体に保持する配管保持部をさらに備える、請求項9記載の流体クロマトグラフ用の機器収容構造。
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