しかしながら、前述した従来のものは、挿通窓から取り外した蓋片を紛失し易く、ブラケットを取り外して挿通窓を閉塞する必要が生じたときに支障を来すおそれがある。
また、挿通窓は、当該外装部材自身を天板等に装着する際やブラケットを装脱する際には可及的に大きく開放される一方、ブラケットを装着して使用する際にはブラケットの挿通を許容できる範囲で可及的に挿通窓の残余部分を閉塞する状態となり、ブラケットを取り外して使用する際には前記挿通窓を完全に閉塞する状態となることが望ましい。しかしながら、従来のものはこのような要望に応えることができない。
このような不具合を解消するために、前記挿通窓にスライド式の扉を設けることが考えられる。このようにすれば、必要に応じて扉の開度を変更することができるため、前述した種々の使用態様に対応できる可能性があるが、スライド式の扉は開成させた際の扉収容スペースが不可欠である上に、扉の両縁をスライド可能に支持するための案内レール部が必要となる。そのため、外装部材の本体が挿通窓の開口面積の割には大型化してしまうという傾向がある。
ところで、ブラケット等の結合部材は強度を要求されるためその断面係数の変更には一定の限界があり、挿通窓を無制限に縮小することはできない。その一方で、外装部材の外形は、天板の厚み寸法内に納める必要が生じる等、その大型化には一定の制限が存在することが少なくない。そのため、前述したようなスライド式の扉では対応できないことが多く、何らかの対策が望まれている。
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、前記課題を解決するために次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係る窓付き外装部材は、物体同士を結合するための結合部材を挿通可能な挿通窓を有してなり前記物体の一方に取り付けて使用される部材本体と、この部材本体に蝶着され前記挿通窓を開閉すべく回動する扉とを具備してなり、この扉が、その回動端側を内面側に折り畳み得るように構成されている。
ここで前記扉の回動軸心は挿通窓の側縁あるいは側縁近傍に設定してもよいし挿通窓の中央部等に設定してもよい。回動中心を挿通窓の中央部等に設定した場合、扉の両回動端側を折り畳めるようにしてもよい。扉の折り畳みにはヒンジを用いるのが好ましいが、ヒンジを用いず扉のある領域を湾曲させることにより回動端側を内側に折り畳むようにしてもよい。
このような構成によれば、扉を開くことによって挿通窓を大きく開放することができ、扉の回動端側を内側に折り畳んだ状態で当該扉を閉じることによって、結合部材を挿通させるのに必要なだけの挿通隙間を形成することができ、回動端側を折り畳まずに当該扉を閉じることによって挿通窓を全閉することができる。
また、本発明に係る窓付き外装部材は、以上の構成を前提とした上で、前記扉を、前記挿通窓の一側端近傍に基端側ヒンジ部を介して蝶着した扉本体と、この扉本体の回動端側に先端側ヒンジ部を介して蝶着され当該扉本体の内面側に折りたたみ可能な扉先端部とを備えてなるものにしている。そして、その扉先端部を折り畳んだ状態で扉を閉止することにより、その扉と前記挿通窓の他側端縁との間に前記結合部材を挿通させるための挿通隙間が形成されるように構成している。
ここで前記基端側ヒンジ部及び先端側ヒンジ部は、軸と軸受けを備えた蝶番構造のものであってもよいが、扉及び部材本体が合成樹脂製のものである場合には、いわゆる樹脂ヒンジ構造のものであってもよい。
このような構成によれば、前述した作用に加え、扉先端部を無理なく折り畳んで扉本体の内面に密着するように重合させることが可能になる。
そして、かかる構成を採用する場合には、前記壁面部における前記挿通隙間に対応する部位に、前記結合部材を貫通させるための壁面開口部を設けるとともに、前記壁面部における前記扉を開けた状態において前記挿通窓から止着用工具を挿入可能な部位に、後端部材を前記物体の一方に止着するための止着具着装部を設けるのが望ましい。止着具着装部は、後端部材を天板に止着するための止着具を装着するためのものであり、例えば、止着具がボルトである場合には、ボルトの頭部を係止させる座と、この座の中心に穿設したボルト挿通孔とからなる。
このような構成によれば、結合部材を前記後端部材の壁面開口部と前記挿通隙間とに挿通させることができ、その結合部材の内方端部を前記物体の一方に取り付けることが可能となる。そして、前記扉全体を開くことによって、ボルト等の止着具を着装するための止着具着装部を外部に露出させることが可能となり、その止着具着装部に向けてドライバー等の止着用工具を外部から挿入することが可能となる。
さらに、かかる構成に加え、前記扉本体における基端側ヒンジ部よりも基端側の部位を、前記扉を開く際に押圧するための押圧操作部としてもよい。
このような構成によれば、前記押圧操作部を指などで押圧することにより、前記扉が基端側ヒンジ部を軸にしてシーソー動作を行い、当該扉が開成することになる。
また、前記部材本体と前記扉との間に節度機構を設け、少なくとも前記扉を閉止位置において安定保持させることができるようにしてもよい。
本発明の好適な実施の態様としては、前記物体の一方が、デスクの天板であり、前記部材本体が、前記天板における反使用端側小口面に取着される後端部材であるものを挙げることができる。
この態様においては、前記後端部材を箱状のものにし、前記挿通窓に対面する位置にある壁面部を前記天板の反使用端側小口面に装着するのが望ましい。
このような構成によれば、後端部材の内部に、前記扉を開いた場合にのみ外部に開放される空洞が形成されることになる。
前記物体の一方がデスクの天板である場合のより具体的な実施態様としては、前記物体の他方が、前記天板に着脱可能に取り付けられる配線ボックス等のオプション部材であり、前記結合部材が、前記天板に前記オプション部材を支持させるためのブラケットであるものを挙げることができる。
本発明によれば、扉を常時部材本体に保持させておくことができるため扉を紛失するおそれがなく、使用態様の変更に円滑に対応することが可能となる。また、扉の回動端側を内側に折り畳んで閉止することができるようにしているので、結合部材を挿通させる際の外観を良好なものにすることができる上に、必要な場合には挿通窓を大きく開いて取付作業等の容易化を図ることができる。しかも、前記扉は回動により開閉するものであるため、スライド扉を採用する場合のような扉収納用のスペースや扉案内用のレール部などが不要となる。そのため、強度の必要な結合部材を挿通させるための挿通窓を可及的に大きくした上で、部材本体の外形寸法を比較的小さくすることが可能となり、前述した従来の要望に無理なく応えることができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、説明中、デスクD(または、天板付家具)を使用するユーザが着席する使用端側を前方、反使用端側を後方と定義している。ここでは、一方の物体であるデスクDの天板1に、他方の物体であるオプション部材3を、結合部材であるブラケット4を介して支持させる実施態様について説明する。この態様においては、天板1における後端側小口面の左右両端部に取り付けられる後端部材15が、本発明に係る窓付き外装部材に相当する。
本実施形態のデスクDを、図1に示す。このデスクDは、例えばオフィス等において用いられるものであって、天板1と、天板1の下方より支持する脚2と、天板1にブラケット4を介して着脱可能に取り付けることができるオプション部材3とを少なくとも具備する。
図2ないし図5に示すように、天板1は、板金材を曲げ加工してなる平面視略矩形状の天板本体を主体とする。天板本体は、天板面11と、天板面11に対し直交する側部構造壁12、後部構造壁13とを備え、これら天板面11、側部構造壁12及び後部構造壁13によって包囲される内部空間を有している。天板面11の裏側には、幅方向に延伸する補強材(図示せず)を溶接等により接合してある。しかして、側部構造壁12の外面には側端部材14を、後部構造壁13の後面即ち後端側小口面には後端部材15及び可撓部材16を、それぞれ装着する。
側端部材14は、硬質樹脂を素材とする長尺な短冊状の部材である。側部構造壁12と対向する内側面には、内方に突出し後方に屈曲する突起141を前後方向に沿って複数箇所に間欠的に成形している。これらの突起141は、側端部材14を側部構造壁12に装着する際に利用する。即ち、側部構造壁12における、これらの突起141に対応する位置に予め透孔121を穿ってあり、突起141を透孔121に挿入することで側端部材14を側部構造壁12に対して位置決めし、しかる後に装着用のボルト(図示せず)で両者を締結するようにしている。
側端部材14の外側面の後端近傍には、側面視略方形状に凹む凹陥部142を設けてある。凹陥部142には、後述するボルト5を貫入するための貫通孔143を穿つ。なお、側部構造壁12においても、同ボルト5を挿通することのできる貫通孔122を穿っておく。側端部材14の凹陥部142に穿った貫通孔143と、側部構造壁12に穿った貫通孔122とは、側端部材14を側部構造壁12に装着したときに側面視重なり合う。
側端部材14の凹陥部142は、通常時にはサイドキャップ144及びスリットキャップ145によって被覆し隠蔽することができる。サイドキャップ144は側端部材14に対して着脱自在であり、スリットキャップ145はサイドキャップ144に対して着脱自在である。
窓付き外装部材たる後端部材15は、後端側に成形した挿通窓を介して後方に開放する内周部(空洞)を包有する小形箱状の部材本体に、その挿通窓を開閉する扉156を設けた部材である。後端部材15は、硬質樹脂を素材とし、天板1の左右両側に対をなす。図8ないし図11に示すように、後部構造壁13と対向する前向面には、前方に向けて突出する突起151を複数箇所に成形している。挿通窓に対面する位置にある前端側の壁面部には、止着具着装部を設けておく。具体的には、壁面部の後向面にボルト153の頭部を係止させる座152aを設け、この座152aの中心にボルト挿通孔152bを穿設する。ボルト挿通孔152bは、壁面部を前後方向に貫通して内周部を前方に連通する。突起151及びボルト挿通孔152bは、後端部材15を後部構造壁13に装着する際に利用する。即ち、後部構造壁13における、突起151に対応する位置に透孔131を、ボルト挿通孔152bに対応する位置にボルト孔132を予め穿ってあり、突起151を透孔131に挿入することで後端部材15を後部構造壁13に対して位置決めし、しかる後に止着具たるボルト153をボルト挿通孔152bを介してボルト孔132に螺合させて両者を締結するようにしている。
側端部材14を側部構造壁12に装着し、後端部材15を後部構造壁13に装着した状態で、側端部材14の内側面と後端部材15の外側面とが密接または近接し、同時に、側端部材14の後端と後端部材15の後端とが略面一になる。因みに、後端部材15の外側面に、外方に突出し前方に屈曲する突条154を成形してある。この突条154は、側端部材14の後端に刻んだ切溝146に差し入れられる。
後端部材15の壁面部には、前後方向に貫通して内周部に連通する壁面開口部(スロット孔)155を設けている。壁面開口部155は、その外方縁が背面視側部構造壁12の内面に略一致するように外寄りに位置づけてある。この壁面開口部155は、後述するブラケット4の内方端部たる挿入端部41を挿入するためのものである。なお、後部構造壁13においても、同挿入端部41を挿通することのできる開口133を形成しておく。後端部材15の壁面部に穿った壁面開口部155と、後部構造壁13に形成した開口133とは、後端部材15を後部構造壁13に装着したときに背面視重なり合い、天板本体内の内部空間を外部に連通させるブラケット挿通口となる。
後端部材15の内周部は、通常時には扉156によって被覆し隠蔽することができる。扉156は、扉本体156a及び扉先端部156bを要素とし、後端部材15の後端近傍において内周部を閉止、即ち挿通窓を閉塞し得るように設ける。扉本体156aは、背面視止着具着装部を含めた内周部の大半領域を閉止するもので、扉本体156aの一側端(図示例では、内側端)近傍に基端側ヒンジ部を介して後端部材15に蝶着してある。基端側ヒンジ部は、例えば、扉本体156aの上下縁より突出するピン156cを後端部材15の内周面に軸承させることで構成する。扉先端部156bは、背面視壁面開口部155に略対応する部分領域を閉止するもので、先端側ヒンジ部156dを介して回動可能であるように扉本体156aに支持させてある。
後端部材15を後部構造壁13に装着するときや、ブラケット4を天板1に固定するときには、上記の止着部着装部または壁面開口部を露見させる必要があり、従って扉156を操作して後端部材15の挿通窓を開放しなくてはならない。挿通窓の略全域を閉塞している(図10に示す)扉156を開くには、扉本体156aにおける基端側ヒンジ部(ピン156c)よりも基端側(図示例では、内側方)の部位を手指で背後から前方に押してやる。さすれば、基端側ヒンジ部を中心に扉本体156a及び扉先端部156bが旋回する。つまり、扉本体156aにおける基端側ヒンジ部よりも基端側の部位は、当該扉156を開かんとする際に押圧される押圧操作部として機能する。
なお、後端部材15の部材本体と扉156との間に、少なくともこの扉156または扉本体156aを挿通窓を閉止する閉止位置(図2、図4または図10に示す)に安定的に保持するための節度機構を設けている。図11に示しているように、本実施形態では、扉本体156aの外周縁より外方に突出する凸部(図示例では、基端側ヒンジ部よりも基端側において上下縁より突出している)156eを設け、扉本体156aを閉止位置に位置づけたときにこの凸部156eが挿通窓の内周縁と密接して摩擦を生じせしめることにより扉本体156aを閉止位置に保持し得るようにしている。なお、後端部材15の内周部には、扉本体156aを基端側ヒンジ部回りに回動させたときに凸部156eが通る軌跡に沿って凹溝157を彫ってある。この凹溝157は、平断面視基端側ヒンジ部を中心とした略部分円弧状をなし、凸部156eが凹溝157内に収まる角度の範囲内で扉本体156aをスムーズに回動させるものである。つまるところ、押圧操作部を押圧して扉本体156aを閉止位置より挿通窓を開け放つ方向に変位させれば凸部156eに対する摩擦が低減して扉156のスムーズな回動を許容する一方、扉本体156aを閉止位置に復帰させれば凸部156eに対する摩擦が増大して扉156の回動が抑制される。
天板本体の左右両側に装着した後端部材15間には、撓み変形容易な可撓部材16を装着する。可撓部材16は、天板1の幅方向に沿って延伸する中空な射出成形品である。後端部材15の後端と可撓部材16の後端とは、平面視略一直線上に連続して天板1の後縁を形作る。後端部材15は、他の家具、什器や部屋の壁面等に突き当てることができる剛性を担保する。一方、可撓部材16は、天板面11上に載置された各種機器に接続しているコード類(給電コード、通信ケーブル等)を天板1下に落とし込むために利用できる。
しかして、本実施形態のデスクDでは、所望のオプション部材3を天板1の後端側にブラケット4を介して取り付けできるようになっている。ブラケット4は、オプション部材の一である配線ボックス3(配線ダクト)を支持するべく使用されるものであって、少なくとも、天板本体内の内部空間に挿入される挿入端部41と、当該配線ボックス3を支持する配線ボックス支持部42とを備える。図示例のブラケット4は、板金材を用いてなる平板な部材であり、前後方向に水平に伸長する挿入端部41と、挿入端部41の後端近傍より鉛直下方に伸長する配線ボックス支持部42とが側面視略逆L字型をなす。
挿入端部41には、ボルト5を螺合させるナット部を設けている。即ち、ボルト5をねじ入れるためのボルト孔411を、天板本体の側部構造壁12及び側端部材14の各々に穿った貫通孔122、143に対応する位置に形成して、ナット部を構成している。
配線ボックス支持部42には、配線ボックス3を支持する直接的な手段であるフック爪421と水平支持片422とを設けている。フック爪421は、配線ボックス支持部42の後端縁より突出する上向き爪で、上下方向に沿って複数箇所に間欠的に設けてある。水平支持片422は、配線ボックス支持部42の下端より内側方に屈曲しており、その所定位置に貫通孔423を穿ってある。
ブラケット4を天板1に固定するに際しては、まず、後端部材15の内周部を開閉する扉156を操作し、少なくとも扉先端部156bによって閉止される領域を開放する。より詳しく述べると、押圧操作部を押圧して基端側ヒンジ部を中心に扉本体156a及び扉先端部156bを旋回させ、後方に押し出された(図9に示す)扉先端部156bを扉本体156の内面側に折り畳み、この扉先端部156bを折り畳んだ状態で扉本体156aを再び閉止することによって、扉本体156aと挿通窓の他側端縁(図示例では、外方側縁)との間にブラケット4を挿通させ得る程度の挿通隙間が形成される状態となる(図2、図4に示す)。この状態では、背面視壁面開口部155が露見するが、止着具着装部(座152a及びボルト挿通孔152b)は扉本体156aに遮蔽される。また、側端部材14の凹陥部142を隠蔽しているサイドキャップ144及びスリットキャップ145を取り外しておく。
次に、ブラケット4の挿入端部41をブラケット挿通口、即ち後端部材15の壁面開口部155及び後部構造壁13の開口133に後方より挿入し、挿入端部41を天板本体内の内部空間に配置する。そして、この挿入端部41の外側面を側部構造壁12の内面側に添接させながら、挿入端部41のボルト孔411を側部構造壁12の貫通孔122、凹陥部142の貫通孔143に側面視重なり合うよう位置づける。しかる後、外側方よりボルト5を貫通孔143、122に貫通させボルト孔411に螺合することで、ブラケット4の挿入端部41を側部構造壁12の内面側に締結する。結果、ブラケット4が天板1に対して固定される。ボルト5の緊締を完了したならば、先に取り外していたサイドキャップ144及びスライドカバーを再び凹陥部142に取り付けて、ボルト5や凹陥部142を隠蔽する。天板1に固定してあるブラケット4を天板1より脱離させるには、上記と真逆の手順を実行すればよいことは言うまでもない。
なお、蛇足ながら、後端部材15を後部構造壁13に装着しようとする場合には、背面視壁面開口部156のみならず止着部着装部までもが露見するように扉本体156aを開放して(図9に示す)、ボルト153をボルト挿通孔152bを介してボルト孔132に螺合し緊締する。このように、作業工程に応じて扉156を開く度合い(即ち、扉先端部156bのみを開くのか、扉156全体を開くのか)を変えることが可能である。そして、扉156全体を開いてやれば、ボルト153の螺着に使用する止着用工具(ドライバー等)を挿通窓より止着具着装部の近傍まで容易に挿入することができる。
天板1に固定したブラケット4の配線ボックス支持部42には、配線ボックス3を支持させることができる。配線ボックス3は、図6ないし図7に示すように、上方に開放した配線空間を有するボックス本体31と、ボックス本体31の左右両側を閉塞する側板体32と、配線空間を上方より閉止する蓋体33とを備えている。
ボックス本体31は、板金材を曲げ加工してなり、底壁311の前後両縁より前壁312と後壁313とが垂直に立ち上がり、これら底壁311、前壁312及び後壁313が側断面視略チャネル状をなす部材である。前壁312の高さは、後壁313の高さよりもかなり低い。ボックス本体31の幅方向の寸法、言い換えるならば配線空間の幅方向の内寸は、天板1後縁にある可撓部材16の幅方向の寸法に概ね等しい。後壁313の前向面には、幅方向に沿って延伸する補強レール315を溶接等により接合している。ボックス本体31内には、コンセント等(給電コンセント、通信コネクタまたはモジュラージャック、他)を保持するためのコンセントホルダ34を設置できる。
左右に対をなす側板体32は、ボックス本体31の両側を閉塞するものであると同時に、ブラケット4と係わり合う部材でもある。左右両側の側板体32の外法は、デスクDの天板1の幅寸法に略等しい。側板体32の上端は、ボックス本体31の前壁312及び後壁313の上端よりも高位置にある。これら側板体32はそれぞれ、ボックス本体31に溶接等により直接に接合する側壁321と、側壁321の外側端を被覆するサイドカバー327とを要素とする。側壁321は、板金材を外側方に開放した薄箱形状に成形してなる。配線空間に臨む内側面の中央部位には、透窓322を穿ってある。並びに、内側面の下端近傍の部位において、外側方に屈曲した係合片323を切り起こしており、この係合片323にナット323aを設けている。前面には、フック孔324を上下方向に沿って複数箇所に間欠的に穿つとともに、係合片323の下縁に対応する高さ位置に支持片差入口325を切り欠いている。これらフック孔324、支持片差入口325及び係合片323は、ブラケット4の配線ボックス支持部42に設けたフック爪421、水平支持片422と係合する。また、上端近傍に形成した外向面には、前後二箇所にボルト孔326を穿ってある。ボルト孔326は、さらに他の部材(例えば、デスクトップパネルを支持する取付金具等)を取り付ける際に利用できる。
サイドカバー327は、側壁321に外側方より装着してこれを覆う硬質樹脂成形品である。サイドカバー327は、上記の透窓322に対応した形状の筒状体を内側方に突出させており、側壁321に装着したときにこの筒状体が透窓322の周縁に密接または近接して配線空間に収めたコード類を配線ボックス3外へ導くための配線通路を構成する。配線通路は、配線ボックス3をデスクDまたはブラケット4に対して着脱する場合に手指を差し入れる把手としても機能する。因みに、この配線通路を開閉する戸板328を、例えばヒンジを介してサイドカバー327に回動可能に取り付けておくことが好ましい。サイドカバー327の上端近傍は、側壁321の外向面及びボルト孔326を露出させるように一部切り欠いてある。この切り欠いてある部位は、コーナーキャップ329を装着することで隠蔽できる。
蓋体33は、側面視扁平な台形状の外形をなし、左右両側の側板体32に可動に支持させてある。本実施形態における配線ボックス3では、この蓋体33を両開き可能としている。即ち、蓋体33の前縁を持ち上げて前方より配線空間を開放することができるのみならず、蓋体33の後縁を持ち上げて後方より配線空間を開放することもできる。
配線ボックス3のブラケット4への取り付けに際しては、既に述べたように、側板体32の前面に穿ったフック孔324にフック爪421を係合させつつ、支持片差入口325に水平支持片422を挿入する。このとき、側板体32の内部に進入した水平支持片422が、係合片323の下面に当接する。配線ボックス3をブラケット4に対して完全に固定するには、固定用のボルト35を水平支持片422の貫通孔423を介して係合片323に設けたナット323aに下方より螺合し、これら水平支持片422と係合片323とを締結すればよい。
配線ボックス3をブラケット4を介してデスクDに取り付けたとき、側板体32の上端面は天板面11に略面一となる。そして、蓋体33を閉じている状態では、この蓋体33の上面もまた天板面11に略面一となる。このとき、天板1の後縁と蓋体33の前縁とが略隙間なく近接する。天板面11上に載置された各種機器に接続しているコード類を配線ボックス3内に収容するには、蓋体33の前縁を持ち上げてボックス本体31を開放し、可撓部材16を装着してある部位を介してコード類をボックス本体31内に落とし込み、しかる後に蓋体33の前縁を下ろしてボックス本体31を閉止すればよい。蓋体33と前壁312、後壁313との間には間隙が存在するため、配線したコード類と蓋体33とが干渉し合うことは避けられる。
本実施形態によれば、後端に物体1、3同士を結合するための結合部材4を挿通可能な挿通窓を有してなり前記物体の一方1に取り付けて使用される部材本体と、この部材本体に蝶着され前記挿通窓を開閉すべく回動する扉156とを具備してなり、この扉156が、その回動端側を内面側に折り畳み得る窓付き外装部材15を構成したため、扉156を開くことによって挿通窓を大きく開放することができ、扉156の回動端側を内側に折り畳んだ状態で当該扉156を閉じることによって、結合部材4を挿通させるのに必要なだけの挿通隙間を形成することができ、回動端側を折り畳まずに当該扉156を閉じることによって挿通窓を全閉することができる。
また、前記扉156を、前記挿通窓の一側端近傍に基端側ヒンジ部156cを介して蝶着した扉本体156aと、この扉本体156aの回動端側に先端側ヒンジ部156dを介して蝶着され当該扉本体156aの内面側に折りたたみ可能な扉先端部156bとを備えてなるものとし、その扉先端部156bを折り畳んだ状態で扉156を閉止することにより、その扉156と前記挿通窓の他側端縁との間に前記結合部材4を挿通させるための挿通隙間が形成されるように構成したため、前述した作用に加え、扉先端部156bを無理なく折り畳んで扉本体156aの内面に密着するように重合させることが可能になる。
そして、前記壁面部における前記挿通隙間に対応する部位に、前記結合部材4を貫通させるための壁面開口部155を設けるとともに、前記壁面部における前記扉156を開けた状態において前記挿通窓から止着用工具を挿入可能な部位に、後端部材15を前記物体の一方1に止着するための止着具着装部152a、152bを設けているため、結合部材4を前記後端部材15の壁面開口部155と前記挿通隙間とに挿通させることができ、その結合部材4の内方端部41を前記物体の一方1に取り付けることが可能となる。そして、前記扉全体156を開くことによって、ボルト153等の止着具を着装するための止着具着装部を外部に露出させることができ、その止着具着装部に向けてドライバー等の止着用工具を簡便に外部から挿入することが可能となる。
さらに、前記扉本体156aにおける基端側ヒンジ部156cよりも基端側の部位を、前記扉156を開く際に押圧するための押圧操作部としており、前記押圧操作部を指などで押圧する操作で容易に前記扉156を開成せしめることができる。
また、前記窓付き外装部材15の部材本体と前記扉156との間に節度機構を設け、少なくとも前記扉156を閉止位置において安定保持させることができるようにしているから、不用意に扉156が開いてしまう不具合を回避できる。
前記物体の一方がデスクDの天板1であり、前記部材本体が前記天板における反使用端側小口面に取着される後端部材15であれば、デスクDの使い勝手を損なわずに格調を高めることができる。
この態様においては、前記後端部材15を箱状のものにし、前記挿通窓に対面する位置にある壁面部を前記天板1の反使用端側小口面即ち後部構造壁13の後向面に装着することが望ましく、上記の構成によれば、後端部材15の内部に、前記扉156を開いた場合にのみ外部に開放される内周部(空洞)が形成されることになるため、その内周部を扉先端部156bの収容領域として、また、結合部材4の内方端部41の挿入領域として、有効に利用できる。
前記物体の一方がデスクDの天板1である場合、前記物体の他方が、前記天板1に着脱可能に取り付けられる配線ボックス3、デスクトップパネル等のオプション部材であり、前記結合部材4が、前記天板1に前記オプション部材3、6を支持させるためのブラケット4であれば、必要に応じて所望のオプション部材を自由に取り付けることができる好適な家具となる。
ところで、本発明の第2の実施形態として、図12及び図13に示すように、従来より周知のデスクトップパネル取付構造の如く、オプション部材たるデスクトップパネルを支持する取付金具7を側部構造壁12の外面側に、板ナット8を側部構造壁12の内面側にそれぞれ配しつつ、これら取付金具7、板ナット8をともに同一のボルト5を以て側部構造壁12に対し固定することも可能である。板ナット8は、その挿入端部に(ブラケット4の挿入端部41におけるものと同様の)ボルト孔81を穿っておく。そして、取付金具7を側端部材14の凹陥部142の外向面に当接させ、その貫通孔71から側端部材14、側部構造壁12を貫通させてボルト5を板ナット8のボルト孔81に螺合させ緊締する。このときの板ナット8は、デスクDの天板1とデスクトップパネルとを結合するための結合部材としての役割を果たす。板ナット8は、必ずしも天板1外に突出している必要はなく、よって扉156は完全に閉止することができる。また、図示例のような取付金具7を用いる際には、サイドキャップ144のみを凹陥部142に装着し、スリットキャップ145は取り外しておく。これは、取付金具7におけるデスクトップパネルを支持するための部位がスリットキャップ145の装着部位を介して凹陥部142より上方に突き出ることによる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、オプション部材及び/または結合部材の具体的態様は、上記実施形態におけるものには限られない。例えば、オプション部材として、デスクトップパネル等を結合部材を介してデスクDの天板1に取り付けるものとしても構わない。この場合の結合部材は、配線ボックス3を支持する機能の替わりに、デスクトップパネル等を支持する機能を備えることとなる。
また、上述した実施形態では、ボルト5とブラケット4(または、板ナット8)の挿入端部41との関係がボルト対ナットの関係になっていたが、ブラケット4の挿入端部41に必ずしもナットの機能を付帯させる必要はなく、単にこれが止着具5たるねじに対するねじ受けであっても構わない。
その他各部の具体的構成は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。