JP6650136B2 - フレキシブル熱電変換部材の作製方法 - Google Patents

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本発明は、湿式成膜法を用いてBi−Te系材料への電析を行うことにより、基材となる柔軟性を有する高分子素材上に、テルル化ビスマスの薄膜層を作成するフレキシブル熱電変換部材の作製方法に関するものである。
従来より、熱を電気に変換する熱電変換素子としては、半導体を利用したものが知られている。この半導体を利用した熱電変換素子は、p型半導体とn型半導体とを電気的に接続し、接合側を高温にするとともに、分岐側を低温にすることにより、その温度差(ΔT)を利用して発電するものである。
この熱電変換素子の中でも、Bi−Te系の熱電変換素子は、比較的低温域の熱を電気に変換することが可能であるため、最近注目されている。
柔軟性を有する高分子素材上に、熱電変換素子としての金属薄膜層を形成させる技術としては、例えば、乾式法と湿式法に大別することができる。
乾式法を利用して、柔軟性を有する高分子素材上に、熱電変換素子としての金属薄膜層を形成する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているような、厚さ175μmのポリイミド製の樹脂フィルムの表面上に、スパッタリングにより、Bi−TeにSbを添加してp型半導体としたp型熱電素子の薄膜層と、Bi−TeにSeを添加してn型半導体としたn型熱電素子の薄膜層とを形成するフレキシブルな熱電変換部材が挙げられる。
特開2003−133600号公報
しかしながら、乾式法で熱電変換素子としての金属薄膜層を形成する場合には、高圧のガスを使用するため、高分子素材の下地が劣化してしまうという問題点がある。
また、乾式法で熱電変換素子としての金属薄膜層を形成する場合には、容器内を真空にする必要があるため、大がかりで高価な装置が必要であり、装置のメンテナンスにも手間がかかるという問題点もある。
さらに、乾式法では、ターゲットと平行な素材に対して薄膜を堆積させるものであるため、素材の形状や表面が単調な構造の場合にのみ適しており、素材の形状や表面が単調でない形状に対しては、熱電変換素子としての金属薄膜層を細部まで行うことは難しいという問題点がある。
さらにまた、乾式法では、時間をかけて素材に薄膜を堆積させるものであるため、膜の成長速度(成膜速度)はどうしても遅くなり、大量生産に不向きであるという問題点もある。
本発明の目的とするところは、乾式法の諸問題を解決し、特に、大掛かりな装置を用いることなく、非常に短時間かつ安価に製造できる、フレキシブル熱電変換部材の作製方法を提供することにあり、湿式法と比較すると決定的不利で、乾式法では到底なし得ない、素材の形状や表面状態に左右されない熱電変換素子としての金属薄膜層が形成されるだけでなく、均一な膜厚の金属薄膜層が形成される、フレキシブル熱電変換部材の作製方法を提供することにある。
本発明の発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、基材となる柔軟性を有する高分子素材の表面に無電解めっきを行って金属皮膜基材を形成させる第一の工程と、金属皮膜基材に電解めっきを行う第二の工程を含む、フレキシブル熱電変換部材の作製方法が上記目的を達成することを見い出し、本発明をするに至った。
即ち、本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法は、基材となる柔軟性を有する高分子素材の表面に、無電解銀めっきを行って金属皮膜基材を形成させる第一の工程と、第一の工程の無電解めっきにより形成された金属皮膜基材に電解めっきを行う第二の工程を含む、フレキシブル熱電変換部材の作製方法であって、前記無電解銀めっきは、酸化銀、アンモニア及びD−グルコースを含有してなるめっき液を用いて行うことを特徴とする。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、前記無電解めっきは、酸化銀、アンモニア、D−グルコースのそれぞれの含有量を、150ミリモル/リットル、30ミリモル/リットル、25ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、前記柔軟性を有する高分子素材は、ポリイミド性の樹脂フィルムであるという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、前記第一の工程は、前記無電解めっきを行う前において、前記高分子素材を、50容量%〜90容量%のエチレンジアミン水溶液に浸漬する第一の表面処理を行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、前記第一の表面処理を行った後の高分子素材を、40容量%〜70容量%の1−メチル−2−ピロリドン水溶液に浸漬する第二の表面処理を行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、BiTe系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量を、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、Bi1.5Te3.5系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量を、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、Bi2−xTe3−ySex+y系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量を、5〜8ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、Bi1.5−xTe3.5−ySex+y系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量を、6〜9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、Bi2−xSbx+yTe3.5−y系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量を、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、Bi1.5−xSbx+yTe3.5−y系の組成物を得る場合には、前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量を、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルとしためっき液に浸漬して行うという構成を採用することができる。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法を用いることにより、大掛かりな装置を用いることなく、非常に短時間かつ安価にフレキシブル熱電変換部材を製造できるという利点がある。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法を用いることにより、乾式法では到底なし得ない、素材の形状や表面状態に左右されない熱電変換素子としての金属薄膜層が形成されるだけでなく、均一な膜厚の金属薄膜層が形成された、フレキシブル熱電変換部材が得られるという利点がある。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法により作成されたフレキシブル熱電変換部材は、pn接合させることも可能であるため、将来的には、低温型の熱電材料を低コストで大量生産することもできる可能性があるという利点がある。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法は、基材となる柔軟性を有する高分子素材の表面に、無電解銀めっきを行う第一の工程と、第一の工程により無電解めっきを行って作成した金属皮膜基材に電解めっきを行う第二の工程を含むものである。ここにいう第一の工程には、当該技術分野において周知の工程(例えば、脱脂処理、触媒化処理)を含むことができる。
本発明の先行実験で、無電解めっきの中でも代表的な無電解銅めっきと無電解ニッケルめっきを行って、ポリイミドフィルムの表面に金属皮膜基材を作成し、その後、電解めっきを実施して、Bi−Te系の薄膜形成を試みたところ、いずれも、銅又はニッケルの置換析出を抑制できず、ビスマステルルの薄膜層の密着不良が発生し、ビスマステルルの電析物が容易に剥がれ落ちた。一方、無電解銀めっきを行ってポリイミドフィルムの表面に作成した銀皮膜基材に、電解めっきを行ったところ、ビスマス、テルルともに、銀の置換析出を抑制でき、Bi−Te系の薄膜層の形成が確認された。
以上の結果から、ビスマスイオン及びテルルイオンより酸化還元電位の高い金属の場合、金属の酸化還元がビスマス及びテルルの析出よりも貴の電位で起こるため、ビスマス及びテルルの双方について、銀の置換析出を抑制でき、更に、電気伝導性に優れ、熱伝導性も高いという点で、本発明の第一の工程では、無電解銀めっきを行えばよいことがわかる。
本発明に用いる基材となる柔軟性を有する高分子素材としては、例えば、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイト、液晶ポリマー等を採用することができるが、熱電変換材料の製造工程に耐えうる耐化学薬品性、熱電変換フィルムとして使用する際の耐熱性および電気絶縁性に優れるという理由から、ポリイミドが好ましい。
以下、高分子素材の表面に無電解銀めっきを行い、銀皮膜基材を得る第一の工程の一例について説明する。
(第一の表面処理)
不導体である高分子素材上へ無電解めっきを行う場合には、不導体と金属間に化学結合が形成されにくいため、めっき物(銀皮膜)と不導体の密着性を獲得し、めっき物を長期的に高分子素材の表面に固定する上で、高分子素材の表面に凹凸が必要とされる。ところが、表面の過剰な粗化は必ずしも良好な密着性の獲得につながるとは限らず、素地材自体の特性や最終的に作製されるデバイスの電気的特性に様々な悪影響を及ぼすこともあるため、用途に応じたエッチング方法の選択と、エッチング条件の見極めが肝要である。
本発明における第一の工程において、無電解めっきを行う前には、銀皮膜を高分子素材の表面に長期的に固定する等の目的で適切な凹凸を付加するため、高分子素材を50容量%〜90容量%のエチレンジアミン水溶液に浸漬する第一の表面処理を行うのが好ましい。その理由は以下の通りである。
本発明者らは、化学エッチング法のアルカリ改質法の中でも有効な手法といわれている水酸化カリウム水溶液に、高分子素材を浸漬して表面処理を行ったが、後述する触媒化処理では触媒となるパラジウムを良好に吸着させることができたものの、その後、高分子素材に銀皮膜が形成されなかったため、エチレンジアミン水溶液に、高分子素材を浸漬して表面処理を行った。その結果、50容量%未満の濃度のエチレンジアミン水溶液に高分子素材を浸漬した場合には、後述する第二の表面処理前の高分子素材の表面改質に時間がかかり過ぎることがあり、逆に、90容量%を超える濃度のエチレンジアミン水溶液に第二の表面処理前の高分子素材を浸漬した場合には、過剰に高分子素材の表面改質を行ってしまうことがあったからである。
なお、第二の表面処理前の高分子素材を浸漬するエチレンジアミン水溶液の濃度は70容量%が更に好ましい。
第一の表面処理としては、例えば、70容量%のエチレンジアミン水溶液を恒温槽で70℃に昇温した後、このエチレンジアミン水溶液を撹拌しながら、高分子素材を10分間浸漬する方法が挙げられる。
(脱脂処理)
なお、本発明においては、第一の表面処理を行う前には、高分子素材の脱脂をするのが望ましい。高分子素材の表面には指紋、油脂などの有機物、および静電作用による塵やほこりなどの付着物が存在する。このような高分子素材の表面処理を脱脂や洗浄が不十分のまま行うと、後続のプロセスにおける加工不良につながり、特にめっきを扱うプロセスでは析出物と高分子素材との密着不良や析出物自体の品質不良などを招くことになるからである。
脱脂に用いる脱脂剤としては、リン酸系の酸性脱脂剤とアルカリ脱脂剤が挙げられるが、アルカリ脱脂剤は、強い汚れの除去に効果的なケイ酸塩を含むため、取り扱いに注意を要し、エッチングの際に妨害となることがある難溶性のケイ酸塩皮膜も形成しやすいことから、リン酸系脱脂剤を用いることがよいと考えられる。
(第二の表面処理)
第一の表面処理を行った後の高分子素材には、スミアと呼ばれる高分子素材の凹凸処理の樹脂残渣が存在する。この樹脂残渣は、その後に行う無電解銀めっきにおいて高分子素材上に形成される銀皮膜の密着力不足等を引き起こし、やけたような部分が広がって、光沢性に優れる高品質な銀皮膜が得られなくなることがある。
本発明における第一の工程においては、高分子素材に光沢性に優れる高品質な銀皮膜を形成させるためにも、第一の表面処理を行った後の高分子素材を、40容量%〜70容量%の1−メチル−2−ピロリドン水溶液に浸漬して、樹脂残渣を除去する第二の表面処理をするのが好ましい。
40容量%未満の濃度の1−メチル−2−ピロリドン水溶液に第一の表面処理を行った後の高分子素材を浸漬した場合には、樹脂残渣を除去する時間がかかり過ぎるおそれがあるからであり、逆に、70容量%を超える濃度の1−メチル−2−ピロリドン水溶液に第一の表面処理を行った後の高分子素材を浸漬した場合には、樹脂残渣を除去するだけでなく、表面の非改質部分の劣化を引き起こすおそれがあるからである。
なお、ここにいう第一の表面処理を行った後の高分子素材を浸漬する1−メチル−2−ピロリドン水溶液の濃度は50容量%が更に好ましい。
第二の表面処理としては、例えば、50容量%の1−メチル−2−ピロリドン水溶液を恒温槽で70℃に昇温した後、この1−メチル−2−ピロリドン水溶液を撹拌しながら、高分子素材を15分間浸漬し、その後、超純水で洗浄する方法が挙げられる。
(触媒化処理)
触媒化処理は、本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法において、活性を持たない高分子素材の表面に銀皮膜を析出させるため、高分子素材の表面に触媒活性を持つパラジウムを付与するものである。触媒化処理では、感受性化処理、活性化処理の二工程を経る。無電解銀めっきの場合、高分子素材へのパラジウムの吸着量が金属の析出に大きな影響を与える。高分子素材にパラジウムが十分に吸着しないと、銀皮膜が全面に形成しないことが起こり得る。これに対し、高分子基材に過剰量のパラジウムを吸着させた場合には、高分子基材をめっき液に浸漬させた際、高分子基材からパラジウム微粒子が脱落して、めっき液中に拡散するため、容器壁面で不要な析出が発生し、析出物もまた拡散することによって浴寿命を短縮させること(浴分解)につながるため、触媒化処理では基材の洗浄にも十分な注意を要する。
本発明における第一の工程において、エチレンジアミン水溶液に浸漬する第一の表面処理を行った場合及び/又は1−メチル−2−ピロリドン水溶液に浸漬する第二の表面処理を行った場合には、例えば、恒温槽で70℃に昇温した塩化スズ水溶液(22ミリモル/リットル)に、表面処理後の高分子素材を6分間浸漬(感応化処理)した後、純水で洗浄する処理と、恒温槽で70℃に昇温した塩化パラジウム水溶液(2.8ミリモル/リットル)に、表面処理後の高分子素材を6分間浸漬(触媒化処理)した後、純水で洗浄する処理を交互に二回行う方法が挙げられる。
(無電解めっき)
述した、脱脂処理、第一の表面処理、第二の表面処理、触媒化処理の終了した高分子素材は、第一の工程の最終段階として、めっき液に浸漬され、無電解めっきが施される。
っき液は、酸化銀、アンモニア及びD−グルコースを含有してなるものを使用し、酸化銀、アンモニア、D−グルコースのそれぞれの含有量を、150ミリモル/リットル、30ミリモル/リットル、25ミリモル/リットルのものを使用するのが好ましい。例えば、上述した、脱脂、第一の表面処理、第二の表面処理、触媒化処理の終了した高分子素材に、酸化銀、アンモニア、D−グルコースのそれぞれの含有量を、150ミリモル/リットル、30ミリモル/リットル、25ミリモル/リットルのめっき液に3分程度浸漬すれば、高分子素材上に、光沢性に優れた、約40マイクロメートルの銀皮膜が形成される。
本発明の第一の工程で行った無電解めっきの結果として、高分子素材へ形成される金属皮膜の厚さは特に限定されないが、めっき液への浸漬時間により制御することは可能である。
本発明の第一の工程で行った無電解めっきで形成された金属皮膜基材の金属皮膜は、ビスマステルル系の薄膜の電析のために有効なものである。
第二の工程は、第一の工程の無電解めっきによって形成された金属皮膜基材に電解めっきを行う。本発明のフレキシブル熱電変換部材の作製方法により得られるビスマステルル系熱電変換材料は、以下に示すように、めっき液の液組成を厳密に制御することにより、n型挙動、p型挙動を示す作り分けが可能である。
BiTe系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量が、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルのめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量が、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約7マイクロメートルのBiTeの薄膜層が形成される。
Bi1.5Te3.5系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量が、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルのめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量が、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約8マイクロメートルのBi1.6Te3.4の薄膜層が形成される。
Bi2−xTe3−ySex+y系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量が、5〜8ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルのめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量が、8ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約7マイクロメートルのBi2.0Te2.8Se0.2の薄膜層が形成される。
Bi1.5−xTe3.5−ySex+y系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量が、6〜9ミリモル/リットル、1ミリモル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルであるめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量が、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約6.7マイクロメートルのBi1.2Te3.3Se0.5の薄膜層が形成される。
Bi2−xSbx+yTe3−y系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量が、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルのめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量が、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、6.5ミリモル/リットル、1モル/リットル、10ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約12マイクロメートルのBi1.6Sb0.6Te2.8の薄膜層が形成される。
Bi1.5−xSbx+yTe3.5−y系の組成物を得る場合には、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量が、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルであるめっき液を用いて電解めっきを行うのが好ましい。例えば、第一の工程の無電解銀めっきによって形成された銀皮膜基材に、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量が、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、6.5ミリモル/リットル、1ミリモル/リットル、10ミリモル/リットルのめっき液中で−2.5Vの直流電圧を5分間印加すれば、銀皮膜基材上に、約14マイクロメートルのBi1.5Sb0.5Te3.1の薄膜層が形成される。
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(脱脂処理)
基材となる柔軟性を有する高分子素材として、ポリイミドフィルムを用いた。縦3cm、横2cm、厚さ50.8マイクロメートルのポリイミドフィルム(東レデュポン株式会社製、Kapton(登録商標)200H)を6枚用意し、ポリイミドフィルム1〜6とした。
ポリイミドフィルム1〜6を、純水で2倍希釈したリン酸系脱脂溶液(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース(EEJA)株式会社、EETREX15)に浸漬させ、物理的な脱脂効果を向上させるため、超音波洗浄機(ヤマト化学株式会社製、2510J−DTH)で、超音波を照射しながら10分間洗浄した。
その後、脱脂溶液の残留によるエッチング効果の減少やばらつきを防ぐため、ポリイミドフィルム1〜6の表面を純水で洗浄後、さらに純水中で超音波を10分間照射して洗浄し、脱脂ポリイミドフィルム1〜6とした。
(第一の表面処理)
エチレンジアミン(和光純薬工業株式会社製、特級)を75ミリリットルと純水75ミリリットルを混合し、第一の表面処理液としてのエチレンジアミン水溶液1を作成した。
エチレンジアミン水溶液1を恒温槽で70℃に昇温した後、恒温槽に脱脂ポリイミドフィルム1〜6を10分間浸漬した。エチレンジアミン水溶液1に浸漬後の脱脂ポリイミドフィルム1〜6は、純水中で洗浄し、第一の表面処理後ポリイミドフィルム1〜6とした。
(第二の表面処理)
1−メチル−2−ピロリドン(東京化成工業株式会社製、特級)を75ミリリットルと純水75ミリリットルを混合し、第二の表面処理液としての1−メチル−2−ピロリドン2を作成した。
1−メチル−2−ピロリドン2を恒温槽で70℃に昇温した後、恒温槽に第一の表面処理後ポリイミドフィルム1〜6を15分間浸漬した。エチレンジアミン水溶液1に浸漬後の脱脂ポリイミドフィルム1〜6は、純水中で十分に洗浄し、第二の表面処理後ポリイミドフィルム1〜6とした。
(触媒化処理)
塩化スズ二水和物(関東化学株式会社、特級)を0.75g秤量し、濃塩酸(和光純薬工業株式会社、特級)を0.5ミリリットル加えて溶解させた。この混合物に10ミリリットルの純水を加えてよく撹拌して水溶液とした後、これを純水で150ミリリットルにメスアップして、感応化処理溶液1とした。
一方、塩化パラジウム(関東化学株式会社、特級)を0.05g秤り取り、濃塩酸(和光純薬工業株式会社、特級)を0.5ミリリットル加えて溶解させ、この混合物に10ミリリットルの純水を加えて水溶液とした。この溶液を純水で150ミリリットルにメスアップし、触媒化処理溶液1とした。
恒温槽で、感応化処理溶液1と触媒化処理溶液1のそれぞれを70℃に昇温した。まず、第二の表面処理後ポリイミドフィルム1〜6を感応化処理溶液1の入った恒温槽に6分間浸漬させ、その後、純水で十分に洗浄した。次に、第二の表面処理後ポリイミドフィルム1〜6を感応化処理溶液1の入った恒温槽に6分間浸漬させ、その後、純水で十分に洗浄した。この操作を二回繰り返し、触媒化処理ポリイミドフィルム1〜6を得た。
(無電解銀めっき)
酸化銀(I)(関東化学株式会社、鹿特級)を0.15g秤り取り、これを20ミリリットルの純水に加えた後、0.7ミリリットルの28%アンモニア水(和光純薬工業株式会社、特級)を加え、超音波攪拌により酸化銀を溶解させ、金属源溶液1とした。他方、D(+)−グルコース(関東化学株式会社、特級)を0.9g秤量し、純水20ミリリットルに加えて攪拌し、完全に溶解させ、還元剤溶液1とした。金属源溶液1と還元剤溶液1を室温で混合させて無電解銀めっき液1とした。
触媒化処理ポリイミドフィルム1〜6のそれぞれを室温のめっき液1中に3分浸漬して無電解銀めっきを行ったところ、触媒化処理ポリイミドフィルム1〜6のいずれについても、ポリイミドフィルム上に、光沢性に優れた、一様に約40マイクロメートルの銀皮膜が形成された(以下、「銀皮膜基材1〜6」という。)。なお、銀皮膜基材1〜6のゼーベック係数は1.0(μV/K)、電気伝導度は512(S/cm)であった。
(フレキシブル熱電変換部材の作成)
(1)BiTe系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.24gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を9.7ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.55gを添加し、最終的に酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物の各濃度が、それぞれ、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとなるように純水を加え、150ミリリットルまでメスアップして、電解めっき液2−1を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材1について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材1を作成した。マスキング後銀皮膜基材1を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−1中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材1の長方形状の銀皮膜基材上には、膜厚:一様に約7マイクロメートル、ゼーベック係数:119(μV/K)、電気伝導度:13.7(S/cm)のBiTeの薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材1を得た。
(2)Bi1.5Te3.5系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.27gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を9.7ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.55gを添加し、最終的に酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物の各濃度が、それぞれ、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとなるように純水を加え、150ミリリットルまでメスアップして、電解めっき液2−2を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材2について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材2を作成した。マスキング後銀皮膜基材2を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−2中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材2の片面の銀皮膜基材上に、膜厚:一様に約8マイクロメートル、ゼーベック係数:−69(μV/K)、電気伝導度:0.56(S/cm)のBi1.6Te3.4の薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材2を得た。
(3)Bi2−xTe3−ySex+y系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.14gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を6.0ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.36gを添加して溶解させた後、亜セレン酸(純正化学株式会社、特級)を0.013g秤量し、よく攪拌し完全に溶解させた。最終的に酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸の各濃度が、それぞれ、8ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1ミリモル/リットルとなるように純水を加え、150ミリリットルまでメスアップして、電解めっき液2−3を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材3について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材3を作成した。マスキング後銀皮膜基材3を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−3中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材3の片面の銀皮膜基材上に、膜厚:一様に約7マイクロメートル、ゼーベック係数:−0.33(μV/K)、電気伝導度:74(S/cm)のBi2.0Te2.8Se0.2の薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材3を得た。
(4)Bi1.5−xTe3.5−ySex+y系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.215gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を9.7ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.55gを添加して溶解させた後、亜セレン酸(純正化学株式会社、特級)を0.019g秤量し、よく攪拌し完全に溶解させた。最終的に酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸の各濃度が、それぞれ、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1ミリモル/リットルとなるように純水を加え、150ミリリットルまでメスアップして、電解めっき液2−4を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材4について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材4を作成した。マスキング後銀皮膜基材4を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−4中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材4の片面の銀皮膜基材上に、膜厚:一様に約6.7マイクロメートル、ゼーベック係数:−25(μV/K)、電気伝導度:138(S/cm)のBi1.2Te3.3Se0.5の薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材4を得た。
(5)Bi2−xSbx+yTe3−y系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.24gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を4.9ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.47gを添加し、溶解させて、ビスマステルル溶液2−5とした。
一方、酸化アンチモン(III)(純正化学株式会社、特級)を0.044g秤り取り、濃硫酸(和光純薬工業株式会社、特級)を4.9ミリリットル加えて攪拌し溶解させた。そこに酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)を0.42g加えて、溶解させ、アンチモン溶液2−5とした。
ビスマステルル溶液2−5とアンチモン溶液2−5を混ぜ合わせ、全量が150ミリリットルとなるよう超純水を加え、電解めっき液2−5を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材5について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材5を作成した。マスキング後銀皮膜基材5を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−5中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材5の片面の銀皮膜基材上に、膜厚:一様に約12マイクロメートル、ゼーベック係数:−25(μV/K)、電気伝導度:13.8(S/cm)のBi1.6Sb0.6Te2.8の薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材5を得た。
(6)Bi1.5−xSbx+yTe3.5−y系の組成物
酸化テルル(IV)(和光純薬工業株式会社、一級)を0.27gに濃硝酸(和光純薬工業株式会社、特級)を4.9ミリリットル加え、10分間撹拌した後、純水10ミリリットルを加えて撹拌して、酸化テルル(IV)を溶解させた。溶解後の酸化テルル溶液に硝酸ビスマス五水和物(和光純薬工業株式会社、特級)0.47gを添加し、溶解させて、ビスマステルル溶液2−6とした。
一方、酸化アンチモン(III)(純正化学株式会社、特級)を0.044g秤り取り、濃硫酸(和光純薬工業株式会社、特級)を4.9ミリリットル加えて攪拌し溶解させた。そこに酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(和光純薬工業株式会社製、特級)を0.42g加えて、溶解させ、アンチモン溶液2−6とした。
ビスマステルル溶液2−6とアンチモン溶液2−6を混ぜ合わせ、全量が150ミリリットルとなるよう超純水を加え、電解めっき液2−6を作成した。
10重量%塩酸水溶液で洗浄した銀皮膜基材6について、絶縁マスキングテープを用い、薄膜層の析出範囲を縦2cm、横3cmの長方形状としたマスキング後銀皮膜基材6を作成した。マスキング後銀皮膜基材6を一方の電極とし、他方の電極を白金網電極として、電解めっき液2−6中で、−2.5Vの直流電圧を5分間印加し、電解めっきを行った。
その結果、マスキング後銀皮膜基材6の片面の銀皮膜基材上に、膜厚:一様に約14マイクロメートルのBi1.5Sb0.5Te3.1の薄膜層が形成された、本発明の製造方法で製造されたフレキシブル熱電変換部材6を得た。

Claims (11)

  1. 基材となる柔軟性を有する高分子素材の表面に、無電解銀めっきをって金属皮膜基材を形成させる第一の工程と、第一の工程の無電解めっきにより形成された金属皮膜基材に電解めっきを行う第二の工程を含む、フレキシブル熱電変換部材の作製方法であって、
    前記無電解銀めっきは、酸化銀、アンモニア及びD−グルコースを含有してなるめっき液を用いて行うことを特徴とするフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  2. 前記無電解銀めっきは、酸化銀、アンモニア、D−グルコースのそれぞれの含有量を、150ミリモル/リットル、30ミリモル/リットル、25ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  3. 前記柔軟性を有する高分子素材は、ポリイミド性の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  4. 前記第一の工程は、前記無電解めっきを行う前において、前記高分子素材を、50容量%〜90容量%のエチレンジアミン水溶液に浸漬する第一の表面処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  5. 前記第一の工程は、前記無電解めっきを行う前において、前記第一の表面処理を行った後の高分子素材を、40容量%〜70容量%の1−メチル−2−ピロリドン水溶液に浸漬する第二の表面処理を行うことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  6. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量を、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  7. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物のそれぞれの含有量を、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  8. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量を、5〜8ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  9. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、亜セレン酸のそれぞれの含有量を、6〜9ミリモル/リットル、1モル/リットル、7.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の製造方法。
  10. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量を、9ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
  11. 前記第二の工程における電解めっきは、前記無電解めっきを行った後の金属皮膜基材を、酸化テルル、硝酸、硝酸ビスマス五水和物、酸化アンチモン、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物のそれぞれの含有量を、10ミリモル/リットル、1モル/リットル、3.5〜6.5ミリモル/リットル、1〜4ミリモル/リットル、10〜40ミリモル/リットルとしためっき液を用いて行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフレキシブル熱電変換部材の作製方法。
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