JP3527807B2 - ビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方法 - Google Patents
ビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方法Info
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Description
電半導体の製造方法に関するものであり、さらに詳しく
は化合物の形成方法にメッキ法を用いているところに特
徴をもつ。
生するいわゆるゼーベック効果を利用して、発電用の素
子としての利用が考えられている。
電半導体を利用したものは構造が簡単なため他の発電器
と比較して微小化に有利と考えられ、腕時計のような携
帯用の電子機器への応用が注目されている。
近辺であり、室温で特性の良好な熱電半導体がその発電
素子には有効である。
はBiTe系化合物であるが、このような熱電半導体は
原料の金属を溶融して結晶化させて得る。その場合、化
合物は基本的にBi2 Te3 の構造を取るときに最も特
性がよくなる。そして溶融法で製造したBiTe化合物
半導体は、その熱起電力が150〜200μV/Kであ
り、室温では他の化合物を大きく上回る。
BiTe化合物を加工するためには機械的加工が伴って
くる。機械的な加工は微小化に限界が生じてくるため、
熱電半導体を微小に製造する新しい方法が必要となる。
ッタリングや蒸着などの気相法で薄膜状に形成し、エッ
チングなどにより微小化することが提案されている。し
かしながら、気相法を利用するためにはその装置は大変
高価なものが必要となり、工業的に利用するには好まし
くない。
ロールするのが非常に難しく、特性を安定に保つことに
問題がある。さらに、形成物は成膜直後では充分な特性
が得られないために、熱処理を施さなければ使えないの
が一般的である。このことはとくにn型の熱電半導体を
気相法で形成しようとする場合に問題が大きく、Biと
Teのみでは組成を変えても特性良好なn型膜は非常に
作りにくい。
離やクラックの問題から、数μmの厚さでの形成が限界
であり、発電材料に応用するには素子抵抗が下げられず
に実用的ではない。
として考えられるのがメッキ法の利用である。メッキ法
は電鋳に代表されるように、フォトリソグラフィー技術
などと併用して、微小な構造物を作り出すのに各所で応
用されている。
法を用いての熱電半導体の形成はあまり検討がされてい
なく、その形成物に関しての報告は非常に少ない。とく
に本発明で注目している室温近辺で特性が良好なBiT
e系化合物に関してはわずかであり、高起電力を得るた
めの組成に関しては例が見あたらない。
が、非常に低密度の膜になるなどして、これまで安定し
て行うことが難しかったからであり、系統的なメッキ条
件などが得られなかったからである。
決して、室温近辺で熱電特性が良好なBiTe熱電半導
体を微小化が可能なメッキ法で安定して形成し、良好な
特性を有する熱電半導体を提供することにある。
に本発明のビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方
法においては、電気化学的に反応するBi(ビスマス)
とTe(テルル)を含む溶液を用い、溶液に溶解してい
るBiとTeのモル比がTe/Bi=1.15〜1.4
5であるときに、不活性ガス雰囲気中でメッキ法を用い
て基板電極上にBiとTeの合金を析出して得ることを
特徴とする。
みを導入した不活性ガス雰囲気中でメッキを行うこと
で、安定して膜状のBiTe化合物半導体を製造するこ
とができる。また濃度条件を的確に設定することで、非
常に高起電力のBiTe化合物半導体が得られる。
フォトリソグラフィー技術等と併用することで、これま
で得られなかった高特性で微小な熱電発電素子を得るこ
とができる。
ス・テルル化合物熱電半導体の製造方法を実施するため
の最適な実施形態を詳しく説明する。まずはじめに本発
明におけるメッキ法によるBiTe化合物熱電半導体の
製造方法について、図1を用いて説明する。図1は本発
明で用いるメッキ装置の概略構成を示す図面である。
ける密閉型のガラス容器10を用いる。溶媒として硝酸
を適量混合した水溶液を用い、メッキ槽にBi(NO3
)3とTe02 を溶解し、最終的にpHを0.9に調整
した溶液をメッキ液30として用い、あらかじめガラス
容器10に入れる。
度は1.5mmol/lに固定し、Bi(NO3 )3 濃
度を0.7mmol/lから1.5mmol/lの範囲
で変化させて各種メッキ液30を調製し膜形成は行う。
着法により約1μm蒸着したガラス板を用い、対極50
にはPt板を、また参照極60には王水を用いて表面を
充分エッチング洗浄したPt線を用いる。
排出用キャピラリー80を用意し、前述の3つの電極と
ともに外部挿入口20より容器内部に挿入する。そし
て、外部挿入口20の隙間はシール剤90により封止す
る。
minの流量で不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガス
を30min以上溶液中に導入し、溶液中の溶存酸素を
充分に除去した後にメッキは行い、メッキ中もArガス
は流したままにする。
ー80より排出するが、この導入と排出の2カ所以外は
外部とは接していないため、容器内部はメッキ中は不活
性ガスで満たされた状態となる。
非常に重要である。たとえば容器を通常の開放型のビー
カーで行った場合、同じようにArで充分な時間脱酸素
を行い、ガスを流したままメッキしても形成される膜は
非常に密度の低い粗い膜となってしまい、使用するのは
難しい。
入が可能な系では、溶液内のみでいかに脱酸素を行って
も限界があり、BiTe膜のメッキ形成には充分な環境
にはならない。そこで本発明ではできる限り密閉された
状態に近いメッキ槽を用い、3つの電極はすべて同じ容
器内に取り入れてメッキを行う。
スにより充分除去した後、40℃の温度に維持する。メ
ッキ液30は強制的には撹拌しない状態で、基板40で
あるTi蒸着ガラスの電位をPt線電極に対して約マイ
ナス0.65Vに設定し、メッキ液30中のBi3 イオ
ンとHTeO2 イオンを還元して基板40表面に両者の
合金化合物を得る。
電位ではメッキ溶液中のBi3 イオンとHTeO2 イオ
ンとが拡散律速で還元されるためメッキが非常に制御し
やすく、また副反応となるH+ イオンの還元は起こらな
い領域であるためである。ただし、マイナス0.65V
に対してプラスマイナス0.2Vほどは変化させること
はできる。
mA/cm2 であり、通常のメッキ法と比較して非常に
小さな電流密度である。しかし、この低電流で形成する
ことで緻密な膜となる。
になるまでメッキを行い、形成したBiTe化合物は基
板40より剥離し、熱起電力と比抵抗を測定する。
ちまずメッキ形成したBiTe化合物膜のX線回折分析
を行い、その結果を図4のグラフに示す。図4から明ら
かなようにメッキ膜は充分な結晶性を有しており、その
回折角からバルク材において熱起電力の高いBi2 Te
3 の結晶構造を有していることがわかる。
比とメッキ膜中のTe/Bi元素比の関係を示す。メッ
キ液中のTe/Biモル比とメッキ膜中のTe/Bi元
素比は全体的には比例関係にあることがわかる。
ル比が1.15〜1.45においては、その比例関係か
らずれており、この範囲においては膜中のTe/Bi元
素比が1.3〜1.45の中に集中する傾向がある。こ
れは、本発明のメッキ法によるBiTe化合物の形成に
おいて特異的なところである。
キ膜中のTe/Bi元素比の関係を示す。図3より熱起
電力特性にはその値が急激に増大しているところがあ
る。それは、すべて100μV/K以上であり最大16
0μV/Kに近い非常に高い価を有し、一般的にメッキ
で形成可能な材料の起電力をはるかに超え、バルク材料
に匹敵する値も得られる。
膜の組成は、前述した図2においてメッキ膜中Te/B
i元素比が一定の値に集中する領域にある。
iTe化合物は、形成したメッキ膜中のTe/Bi元素
比で1.3〜1.45において、とくに優れた熱起電力
特性を与えることが明らかであり、そのときのメッキ溶
液中のTe/Biモル比は、1.15〜1.45のとこ
ろにある。
常に狭い範囲に特性良好なポイントが集中していること
は、この領域にメッキ法で作成するBiTe化合物の組
成安定点があることを示している。
点を得るためのメッキ液中のTe/Biモル比はより広
い範囲に分布していることから、本発明のメッキ法はそ
れほど厳しく組成コントロールをする必要がなく特性の
良好な膜が形成しやすいことが明らかである。
体のn型特性をもっている。一般的に溶融法ではこの領
域ではn型のBiTe化合物は形成できず、形成できる
領域はTe/Bi元素比で1.65以上である。このよ
うに本発明のメッキ法によって製造するBiTe化合物
は化合物の新しい組成領域を見いだしている。
しにくいことから、本発明のメッキ法は、特性の良好な
膜状のn型のBiTe化合物膜を製造するあたらしい方
法であることを示している。
には硝酸水溶液を用いているが、そのほか硫酸水溶液
や、塩酸水溶液など、溶質とするBi化合物とTe化合
物を溶解させられる溶液なら他のものでもよい。
ちい、Te源としてTe02 を用いているがその他の化
合物、たとえばBi2 O3 、BiCl3 、Bi(OH)
3 、TeBr4 、TeCl4 など、溶解性のある化合物
であれば他のものも用いることができる。
極方式を用いているが、電圧条件などを整えれば2電極
でも可能である。また基板40には、Ti蒸着ガラスを
用いたが、Ti板でも問題なく、希酸水溶液にたやすく
溶解するような金属でなければ、他の金属板あるいは金
属の蒸着基板でもよい。
のメッキ法を用いるBiTe化合物熱電半導体の製造方
法は、容易に安定して膜状のBiTe熱電半導体を形成
することができる。
キ液中のTe/Biモル比あるいはメッキ膜中のTe/
Bi元素比を的確に設定することで、非常に高熱起電力
を有する膜を安定して形成することが可能である。
キで形成していることから微小化に有利であり、フォト
リソグラフィー技術を併用することで、従来達成できな
かった小型でかつ高出力の熱電発電素子の製造に応用す
ることができる。
体を製造するためのメッキ装置を示す概略図である。
成したBiTe化合物熱電半導体の膜中のTe/Bi元
素比とメッキ液中のTe/Biモル比との関係を示すグ
ラフである。
電半導体の熱起電力とBiTe膜中のTeBi元素比を
示すグラフである。
成したBiTe化合物熱電半導体のX線回折パターンを
示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 不活性ガスを導入するための外部挿入口
および不活性ガスを排出するための外部挿入口以外は密
閉された反応容器中で電気化学的に反応するBi(ビス
マス)とTe(テルル)を含む溶液を用い不活性ガス雰
囲気中でメッキ法を用いて基板電極上にBiとTeの合
金を析出して得ることを特徴とするビスマス・テルル化
合物熱電半導体の製造方法。 - 【請求項2】 不活性ガスを導入するための外部挿入口
および不活性ガスを排出するための外部挿入口以外は密
閉された反応容器中で電気化学的に反応するBi(ビス
マス)とTe(テルル)を含む溶液を用い溶液に溶解し
ているBiとTeのモル比がTe/Bi=1.15〜
1.45であるときに、不活性ガス雰囲気中でメッキ法
を用いて基板電極上にBiとTeの合金を析出して得る
ことを特徴とするビスマス・テルル化合物熱電半導体の
製造方法。 - 【請求項3】 電気化学的に反応するBi(ビスマス)
とTe(テルル)を含む溶液を用い溶液に溶解している
BiとTeのモル比がTe/Bi=1.15〜1.45
であるときに、不活性ガス雰囲気中でメッキ法を用いて
基板電極上にBiとTeの合金を析出して得ることを特
徴とするビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05889896A JP3527807B2 (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | ビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05889896A JP3527807B2 (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | ビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09252146A JPH09252146A (ja) | 1997-09-22 |
JP3527807B2 true JP3527807B2 (ja) | 2004-05-17 |
Family
ID=13097626
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05889896A Expired - Fee Related JP3527807B2 (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | ビスマス・テルル化合物熱電半導体の製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3527807B2 (ja) |
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JP6650136B2 (ja) * | 2015-09-02 | 2020-02-19 | 学校法人神奈川大学 | フレキシブル熱電変換部材の作製方法 |
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1996
- 1996-03-15 JP JP05889896A patent/JP3527807B2/ja not_active Expired - Fee Related
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