JP3879982B2 - プラスチックの金属めっき方法及びその方法でめっきされた製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックの金属めっき方法及びその方法でめっきされた製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
めっきは装飾、防食や機能性の付加を目的としており、電解及び無電解のめっき、蒸着などが一般的な方法として知られている。特に、絶縁性プラスチックの金属めっきには無電解法が一般的に利用されるが、多くの処理工程を必要とする。例えば、図1によって従来の一般的な方法の処理工程を説明すると、先ず、プラスチックの表面から油等を除去するために脱脂(例えば、アルカリ溶液、有機溶媒に浸漬)を行い(第1工程)、次いで、有機溶媒による低分子成分の除去と非晶質部分の膨潤を目的とした溶剤処理を行い(第2工程)、引き続いて、表面に微細孔或いは化学的活性基を形成するためのエッチング工程(第3工程)、触媒化処理としてめっきする金属であるSnイオンを含む溶液に浸漬する感応化工程(第4工程)、触媒金属であるPd微粒子を析出させこれを触媒核として金属めっき層を形成する活性化工程(第5工程)を順に行い、必要に応じて、最終的に、表面を光沢剤などで処理して(第6工程)めっき被膜としている。即ち、従来のめっき方法は、多くの処理工程を必要とし複雑であるという問題がある。更に、上記エッチング工程ではクロム酸や過酸化水素などの有害物質を必要とし、脱脂工程、溶剤処理工程においても有機溶媒を用いるため、これら有害物質や廃液の処理に相当の労力と費用を必要とするという問題もある。
【0003】
かかる従来技術として、例えば、酸化処理して有機物質を除去する第1工程(脱脂工程)から始まり、酸化剤で処理して水酸化する親水化処理工程、カップリング剤を結合させる工程、触媒金属のコロイド溶液で処理してカップリング剤に触媒金属を結合させる工程(感応化工程)、余剰の保護剤を除去し被めっき部の表面に結合した触媒金属を露出させる活性化工程(図1「活性化工程」の一部)、活性化処理された面を無電解めっき液で処理し銅又はニッケルを析出させる第6工程(図1「活性化工程」の一部)とを行うめっき方法(特開2000-212754号公報)が開示されている。
【0004】
また、特開平06-015776号公報には、(a)ハロゲン化ポリイミド酸を約0.1〜約14重量%の水と反応させることによって得られた反応性生物から形成されたイミド層、及び(b)イミド層の表面上に設置された金属層を有する金属めっきを施した製品が開示され、そのめっき構造の詳細な作成方法として、ハロゲン化ポリアミド酸と水との反応生成物を溶媒(メチルエチルケトン及び1−メチル−2−ピロリドン)で希釈した噴霧溶液を噴霧塗布した後、溶媒の蒸発及び樹脂の硬化によりポリイミド被膜(変性ハロゲン化ポリイミド)を生成し、この硬化工程後、脱脂剤・有機溶剤等による脱脂工程、酸化剤処理による酸化工程、過酸化水素等の還元剤による残留皮膜の除去工程(溶剤処理工程)、貴金属の酸性溶液に接触させる活性化工程(図1「感応化工程」及び「活性化工程」の一部)、水洗後、無電解めっき液で処理し金属を析出させ金属層を形成する工程(図1「活性化工程」の一部)、熱処理工程(表面処理工程)、など多くの処理工程を要す複雑な金属めっき方法が示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラスチックの金属めっきに係わる前述の状況に鑑み、処理工程が少なく簡易であり、廃液処理などの付帯処理が容易な、プラスチックの金属めっき方法及びその方法でめっきされた製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、プラスチックを無電解金属めっきする方法であって、プラスチックと結合し得る部位と金属の微粒子と吸着により結合し得る部位とを有する有機バインダーと、金属の金属コロイドと、水とを含む溶液をめっき浴とし、該めっき浴でプラスチックを無電解めっきする工程を有し、前記金属の微粒子と吸着により結合し得る部位は、チオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )であるプラスチックの金属めっき方法としたものである。
【0007】
請求項4の発明は、少なくともその被めっき面にチオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )を骨格構造に含むプラスチックの好ましい金属めっき方法であって、金属の金属コロイドと、水とを含む溶液をめっき浴とし、該めっき浴でチオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )を骨格構造に含むプラスチックを無電解めっきする工程を有するプラスチックの金属めっき方法である。
【0008】
請求項2の発明は、前記プラスチックと結合し得る部位の好ましい形態に係わる発明であり、該部位が、-(CH2)nCH3、-(CH2)m(CH)nCH3、-(CH2)nCOOH 、若しくは-(CH2)nOHで表される長鎖アルキル基(m、及びnは整数)、-C6H5で表されるベンゼン環若しくはその誘導体の少なくとも1種であるプラスチックの金属めっき方法であるプラスチックの金属めっき方法である。
【0009】
請求項5の発明は、前記無電解めっきする工程が、前記めっき浴を室温で撹拌又は静置してめっきする工程であるプラスチックの金属めっき方法であり、請求項6の発明は、前記プラスチックを脱脂する工程を更に有し、脱脂工程の後に前記無電解めっきする工程を行うようにしたプラスチックの金属めっき方法である。
【0010】
請求項3の発明は、前記金属めっきを施すプラスチックが、セルロース樹脂を含む塗料によって塗装された塗装面であることを特徴とするプラスチックの金属めっき方法である。
【0011】
請求項7の発明は、本発明のめっきされた製品であって、プラスチック/有機バインダー/金属層のめっき構造を有し、前記本発明のプラスチックの金属めっき方法でめっきされた製品である。請求項8の発明は、本発明のめっきされた製品であって、プラスチック/金属層のめっき構造を有し、前記本発明のプラスチックの金属めっき方法でめっきされた製品である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、プラスチックと化学結合等により結合し得る部位と金属の微粒子と吸着等により結合し得る部位とを有する有機バインダーと、金属コロイドとを含む溶液をめっき浴とし、該めっき浴にプラスチックを浸漬するという極めて簡易な工程により良好な金属めっき被膜が形成し得ることを見出したものであって、本発明のプラスチックの金属めっき方法は、例えば、前述の従来技術(図1)の溶剤処理工程、エッチング工程、感応化工程、活性化工程を一つの工程で行うものである。
【0013】
従来技術では、前述のように、プラスチック表面に連結・分散した触媒金属を形成し、この触媒金属を触媒核として析出した金属が成長してめっき層を形成するが、本発明では、対象とするプラスチック及び金属微粒子とそれぞれ結合し得る部位を有する有機バインダーを選定し、この有機バインダーと金属コロイドとを含む溶液をめっき浴とすることにより、有機バインダーの一方がプラスチックと化学結合等により結合し、他方の金属微粒子と吸着等により結合し得る部位がプラスチック表面に密に敷き詰められた状態で最外層に剥き出しになり、そこに金属コロイド中の金属微粒子を結合させるため、独立した溶剤処理工程等を要さず、触媒金属を必要とせず、簡単に均一な金属めっきを施すことができる。
【0014】
即ち、図2は、本発明の実施の形態を原理的に説明するための概念図であって、この場合、有機バインダーは、プラスチックと化学結合等により結合し得る部位R基(長鎖アルキル基、ベンゼン環など)と金属の微粒子と吸着等により結合し得る部位としてチオール基(-SH)を有するチオール分子(図2c)であり、有機バインダーと金属コロイドとを含む溶液をめっき浴としてプラスチックを浸漬(図2a)することにより、R基がプラスチック表面に結合しチオール基が最外層に剥き出しになり、このチオール基が金属微粒子を吸着してプラスチック表面に金属めっき被膜が形成(図2b)される。
【0015】
なお、プラスチックが、少なくともその被メッキ面に有機バインダーを骨格構造に含むプラスチックであって、チオール基など金属の微粒子と吸着等により結合し得る部位が最外層に剥き出しになったプラスチックを金属めっきする場合には、新たな有機バインダーを添加することなく、金属コロイドを含む溶液をめっき浴としてプラスチックを浸漬することにより、プラスチックの骨格構造に含まれるチオール基等に金属微粒子を吸着させて、プラスチック表面に金属めっき被膜を形成することができる。かかる有機バインダーを骨格構造に含むプラスチックは、チオール基、ジスルフィド基(-S-S-)、アミノ基(-NH2)、イミノ基(-N=)などを骨格構造に含むプラスチックであって、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリウレタン、ポリスルフィド及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0016】
本発明の有機バインダーは、プラスチックと結合し得る部位と金属微粒子と結合し得る部位とを併せ持つ有機バインダーであり、その結合の形態としては、公知の如く、例えば、分子間力による結合や親水性若しくは疎水性などに基づく相互作用(溶解等)による結合、化学反応により結びつく化学結合、物理的若しくは化学的な吸着による結合などが挙げられるが、必要な結合強度が得られるものであれば良く、特に本発明を限定するものではない。
【0017】
有機バインダーのプラスチックと化学結合等により結合し得る部位としては、例えば、-(CH2)nCH3 、-(CH2)m(CH)nCH3 、-(CH2)nCOOH 、若しくは-(CH2)nOHで表される長鎖アルキル基(m、及びnは整数)、-C6H5で表されるベンゼン環若しくはその誘導体(フェノールなど)などが挙げられ、少なくともその1種を有するのが好ましく、金属の微粒子と吸着等により結合し得る部位としては、例えば、チオール基、ジスルフィド基、アミノ基、若しくはイミノ基などが挙げられ、少なくともその1種を有するのが好ましい。然しながら、これらはプラスチックやめっきする金属の種類、或いはめっきの目的等により適宜、選定すべきであることは言うまでもない。
【0018】
本発明の無電解めっきする工程は、対象とするプラスチックやめっきする金属の種類、或いはめっきの目的等にもよるため本発明を限定するものではないが、例えば、金属コロイド(金/クエン酸など) 液中にプラスチックを浸漬した後、有機バインダーを加えて室温で撹拌又は静置するという、極めて簡易な工程として実施することができ、30分から48時間で100nm程度のめっき層を形成することができる。なお、プラスチックの表面から油等を除去するための脱脂工程を更に設け、脱脂工程の後に無電解めっきする工程を行うのが望ましい。脱脂は、公知の技術によって行うことができ、例えば、環境に対して安全な通常の脱脂剤(例えば洗浄剤)、アルカリ溶液、若しくは適当な有機溶媒を用いて、プラスチックの表面から油、成形材料、指紋、或いは外来の異物を除去することによって行うことができる。
【0019】
本発明の方法は、対象とするプラスチックの種類並びに形態について特に制限されない。即ち、複雑な構造を有する装飾品、微細構造を有するプリント基板やその他エレクトロニック材料、更には自動車の車内部品やフロントグリルなどサイズや構造を問わず実施することができる。また、適当な有機バインダーを選定する必要が有るが、有機バインダー分子の構造と相互作用等により結合することを利用しているため、プラスチックの材質に制限がなく、室温でめっきが可能であるため、耐熱温度が低いプラスチックにも適用が可能であり、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリエステル、ポリエチレンテレフタラート、PTFEなど様々なプラスチックの金属めっきが可能である。更にまた、適当な有機バインダーが無くめっき困難なプラスチックやガラス、金属などでも、本発明の金属めっきが可能なプラスチックを含む塗料、例えば、セルロース樹脂を含む塗料を塗布することによって、その塗装面を本発明の方法により金属めっきすることが可能となる。
【0020】
本発明の方法は又、クロム酸や過酸化水素などの有害物質を必要とせず、脱脂工程においても環境に対して安全な通常の脱脂剤を用いることが可能なため、有害物質や廃液の処理など本発明の実施に係る付帯処理は極めて容易であり、処理工程が少なく簡易な方法であることと相俟って、金属めっきの費用を低減することができる。
【0021】
本発明のめっきされた製品は、プラスチック/有機バインダー/金属層のめっき構造を有し、本発明のプラスチックの金属めっき方法でめっきされた製品であり、前述のように、装飾品、エレクトロニック材料、自動車の車内部品など種々の形態で実施することができる。更に又、公知の如く、本発明の方法で形成した金属層(第1の金属層)上に、電解めっき又は無電解めっきによって第2の金属層を形成し、更には2以上の金属層を積層して実施することもできる。
【0022】
以上のような実施の形態により、本発明は、処理工程が少なく簡易であり、廃液処理などの付帯処理が容易な、プラスチックの金属めっき方法及びその方法でめっきされた製品を提供することができる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。先ず、第一の実施例として、本発明の方法によりポリスチレンに金めっきを施した実施例について説明する。
【0024】
図3は、本実施例の無電解めっき工程を概念的に示した図であり、一般家庭用の食器洗浄用洗剤により洗浄、脱脂した0.5×1.5cmのポリスチレン板を、式(1)で表されるアミルメルカプタン(東京化成製、M0168)と金コロイド溶液(0.03%塩化金酸、0.14%クエン酸)からなるめっき浴に浸漬し、室温で、ビーカ(容量100mL、内径5.0cm)を回転・撹拌することによってポリスチレン板に金めっきを施した。用いた金コロイド溶液は全ケース45mLであり、撹拌のための回転数は約200回転/分である。
【0025】
【化1】
【0026】
(1)
次に、種々の条件を変えて行った確認試験の結果の概要を説明する。金コロイド溶液45mLに添加するアミルメルカプタンは、100〜400μmolが好適な条件であり、これより少なくすると均一なめっき層が得られず、これより多くするとめっき速度が遅くなる。撹拌時間(めっき時間)は、30分から48時間が好適な条件であり、この撹拌時間の好適な条件は、概ね、添加するアミルメルカプタン量(メルカプタン濃度)に伴うめっき速度を反映する。撹拌のための回転数は、殆どのケースで約200回転/分としたが、回転数を変えた予備的な実験によれば、回転数を変えることによるめっき速度への影響は殆ど見られなかった。即ち、本実施例によれば、撹拌を要せず、静置した状態でもめっきを施すことができると推定された。なお、アミルメルカプタンの添加量を100μmolとし、撹拌時間を1時間とした時のめっき厚みは約100nmである。
【0027】
図4は、原子間力顕微鏡によりめっき過程における表面の形状変化を示した図であり、(a)は脱脂処理したポリスチレン表面、(b)は有機バインダーであるアミルメルカプタンのみを含む水溶液中で撹拌したときのポリスチレン表面、(c)はアミルメルカプタンと金コロイドを含むめっき浴中で撹拌したときのポリスチレン表面、の三面図である。図4(b)は、明らかに、滑らかな部分とクラックが生じていることを示しており、それぞれアミルメルカプタン(図中、‘チオール’と表記)の相互作用によるものと低分子量成分の溶解に起因すると考えられる。即ち、アミルメルカプタンの炭素鎖部位(長鎖アルキル基)がポリスチレン中の低分子量成分を溶解させ、相互作用してポリスチレン表面に固定されていることを示しており、本発明によれば、図1に示した従来技術の溶剤処理工程、エッチング工程、及び感応化工程を独立に設けることを要さず、一つの工程でめっきできることを証明するものである。図4(c)は、ポリスチレン表面に金層が形成されていることを示したものであるが、金微粒子の析出による金層の形成は、金微粒子の析出と共に、めっき浴の色が金コロイド溶液の有する赤紫から透明に変わるため明確に観察することができる。
【0028】
なお、同様な条件で、ポリスチレンビーズ(和光純薬工業、193-04305)に金めっきを施し、板状に限らず、円筒形のビーズに対しても良好な金めっきを形成できることを確認した。
【0029】
次に、第二の実施例として、セルロース樹脂を含む塗料を塗布した塗装面に本発明の方法により金めっきを施した実施例について説明する。ポリエステルは、アミルメルカプタンを有機バインダーとした場合、金微粒子が比較的つき難いという結果が得られた。そこで、ポリエステル板の表面に塗料 [ニトロセルロース(Aldrich,cellulose nitrate,43,502-3)、セルローストリアセテート(Aldrich,cellulose triacetate,18,100-5)、セルロースアセテート(Aldrich,cellulose acetate,18,095-5)、車用塗料(99工房タッチアップペンH73EやN34)など]を塗布して、乾燥後、金コロイド溶液をめっき浴とし室温で撹拌することにより、塗装面に均一で良好な金めっきを形成することができた。なお、めっき対象物を除き、めっきの具体的な条件は実施例1と同様である。
【0030】
図5は、原子間力顕微鏡によりめっき過程における表面の形状変化を示した図であり、(a)は脱脂処理したポリエステル表面、(b)は車用塗料(99工房タッチアップペンH73E)を塗布し乾燥させたポリエステル表面(塗装の厚み200 nm)、(c)はアミルメルカプタン(図中、‘チオール’と表記)50μmolと金コロイド溶液45mLを含むめっき浴中で撹拌(回転数約200回転/分)したときの車用塗料を塗布したポリエステル表面、の三面図である。図5(b)は、(a)と比較すると、明らかに塗料による被膜の形成が観察される。実施例1と同様に、図5(b)の試料をめっき浴に添加すると、1時間以内にめっき浴の色が金コロイド溶液の有する赤紫から透明に変化した後、次第に試料表面にめっき層が形成されるのが見られ、一昼夜撹拌の後、図5(c)に見られるような金層(厚み約100nm)が塗料表面に形成された。即ち、本実施例は、めっきが困難なプラスチックでも、その表面に本発明の金属めっきが可能なプラスチックを含む塗料を塗布することによって、その塗装面を本発明の方法により金属めっきすることが可能であることを示したものである。
【0031】
以上、本発明の実施例を説明したが、特許請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の変更がなされても良いことは明らかである。
【0032】
例えば、実施例ではアミルメルカプタンを有機バインダーとした例について説明したが、対象とするプラスチックやめっきする金属の種類、或いはめっきの目的等により適宜、選定すべきであり本発明を限定するものではない。また、具体的なめっきの条件は、本実施例で好ましい条件として採用したものであり、これも何ら本発明を制限するものではない。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、有機バインダーと金属コロイドとを含む溶液をめっき浴とし室温で撹拌又は静置するという極めて簡易な工程として実施することができ、また、有害物質を必要とせず、環境に対して安全な脱脂剤を用いることが可能であるため、処理工程が少なく簡易であり、廃液処理などの付帯処理が容易な、プラスチックの金属めっき方法及びその方法でめっきされた製品を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術によるプラスチックの金属めっき方法を説明するための処理工程図である。
【図2】本発明の実施の形態を原理的に説明するための概念図である。
【図3】第一の実施例の無電解めっき工程を概念的に示した図である。
【図4】第一の実施例において、原子間力顕微鏡によりめっき過程における表面の形状変化を示した図であり、(a)は脱脂処理したポリスチレン表面、(b)は有機バインダーであるアミルメルカプタンのみを含む水溶液中で撹拌したときのポリスチレン表面、(c)はアミルメルカプタンと金コロイドを含むめっき浴中で撹拌したときのポリスチレン表面、の三面図である。
【図5】第二の実施例において、原子間力顕微鏡によりめっき過程における表面の形状変化を示した図であり、(a)は脱脂処理したポリエステル表面、(b)は車用塗料を塗布したポリエステル表面、(c)はアミルメルカプタンと金コロイドを含むめっき浴中で撹拌したときの車用塗料を塗布したポリエステル表面、の三面図である。
Claims (8)
- プラスチックを無電解金属めっきする方法であって、
該プラスチックと結合し得る部位と該金属の微粒子と吸着により結合し得る部位とを有する有機バインダーと、
該金属の金属コロイドと、
水とを含む溶液をめっき浴とし、該めっき浴で該プラスチックを無電解めっきする工程を有し、
前記金属の微粒子と吸着により結合し得る部位は、チオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )であることを特徴とするプラスチックの金属めっき方法。 - 前記プラスチックと結合し得る部位は、-(CH2)nCH3、-(CH2)m(CH)nCH3、-(CH2)nCOOH 、若しくは-(CH2)nOHで表される長鎖アルキル基(m及びnは整数)、-C6H5で表されるベンゼン環若しくはその誘導体の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のプラスチックの金属めっき方法。
- 前記プラスチックは、セルロース樹脂を含む塗料によって塗装された塗装面であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチックの金属めっき方法。
- 少なくともその被めっき面にチオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )を骨格構造に含むプラスチックであって、
金属の金属コロイドと、水とを含む溶液をめっき浴とし、該めっき浴で該チオール基( -SH )又はジスルフィド基( -S-S- )を骨格構造に含むプラスチックを無電解めっきする工程を有することを特徴とするプラスチックの金属めっき方法。 - 前記無電解めっきする工程は、前記めっき浴を室温で撹拌又は静置してめっきする工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のプラスチックの金属めっき方法。
- 前記プラスチックを脱脂する工程を有し、該脱脂工程の後に前記無電解めっきする工程を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のプラスチックの金属めっき方法。
- プラスチック/有機バインダー/金属層のめっき構造を有し、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプラスチックの金属めっき方法でめっきされた製品。
- プラスチック/金属層のめっき構造を有し、請求項4に記載のプラスチックの金属めっき方法でめっきされた製品。
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