JP2007076076A - 金属被膜を有するプラスチック成形体とその製造方法およびそれらを用いた物品 - Google Patents
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Abstract
プラスチック成形体表面に対し、シランカップリング剤によるカップリング処理を行った後、前記プラスチック成形体表面に金属被膜を形成している。
しかしながら、シランカップリング剤の塗布方法を用いると、前記プラスチック成形体基材表面に余分なシランカップリング剤が残り、残った前記シランカップリング剤が前記密着性の向上を邪魔し、適切に前記密着性を向上させることが出来ないという課題があった。
【解決手段】
プラスチック成形体基材と金属被膜間の密着性を向上させたプラスチック成形体ならびに前記プラスチック成形体を用いた物品を提供するために、プラスチック成形体基材の表面に単分子膜を形成する工程と、(b)前記単分子膜上に、金属被膜をメッキ形成する工程を用いて、プラスチック基材の表面が基材表面に共有結合した単分子膜を介して金属被膜で被われているプラスチック成形体を提供する。
【選択図】 図1
Description
なお、ここでいう物品には、各種装飾品や生活雑貨、あるいは乗り物やその部材、建物や建材が含まれる。代表的なものには、自動車のバンパーや建材、交通標識用反射板、各種おもちゃ等、表面が光沢性で且つ耐剥離性が必要な、すなわち耐久性が必要な各種プラスチック製品がある。
ここで問題となるのは、前記樹脂プラスチック成形体基材と前記金属被膜との間の密着性であった。
しかし、かかる方法では、前記樹脂プラスチック成形体の表面が粗らされる結果、光沢が無くなるといった大きな問題があった。
そこで、下記特許文献1には、上記とは異なった方法で前記密着性を向上させる方法が開示されている。
これにより、特許文献1では、プラスチック成形体表面に凹凸を設けることなく、プラスチック成形体と金属被膜との密着性を向上させることが出来るとしている。
また、特許文献1では前記プラスチック成形体機材表面に付着する前記シランカップリング剤の厚みの調整を特に行っておらず、このことが前記密着性を向上できない原因の一つであると考えられた。
さらにまた、前記単分子膜及び前記中間膜に含まれる官能基Aを結合しておくと、より一層、金属被膜とプラスチック成形体基材表面との耐剥離強度を向上する上で都合がよい。
また、前記金属被膜が、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、錫、鉛、Ta,W,Ti、亜鉛あるいはニッケルのうち少なくともいずれか1種の元素を含んで形成されていると金属被膜とプラスチック成形体基材表面との耐剥離強度を向上する上で都合がよい。
さらに、プラスチック基材が、フィラーを含む合成樹脂、あるいは繊維強化プラスチックで成型されていると耐久性を上げる上で都合がよい。
さらにまた、前記プラスチック成形体を用いた各種物品を製造すれば、耐久性を向できて都合がよい。
また、前記酸化剤として、鉄、銅、アルミニウムのうち少なくともいずれか一種を含む塩、あるいはハロゲンガスを用いると、コストが安く且つ効率よく酸化重合できて都合がよい。
さらに、前記金属被膜の少なくとも一部を無電解メッキ法にてメッキ形成し、このとき、触媒液中に前記官能基Aを含む物質を混合しながら、あるいはメッキ液中に前記官能基Aを含む物質を混合しながら行うと、耐剥離強度をさらに向上できて都合がよい。
さらにここで、前記プラスチック成形体の基材として、無機フィラーを含む合成樹脂、あるいは無機繊維強化プラスチックで成型された部材を用いること、フィラーを介してより強固に結合した単分子膜を形成できるので都合がよい。
前記単分子膜は、前記(化1)の化合物を繰り返し単位としたもので表せるが、本実施の形態では、以下、官能基Aがピロリル基の場合について説明する。
図1は、本実施形態の金属被膜を最表面に有するプラスチック成形体を膜厚方向から切断した断面概念図である。図1に示すプラスチック成形体基材1上には単分子膜2が形成されている。単分子膜2は、下記(化3)に示す化合物が、前記プラスチック成形体基材1の表面に多数並んだものである。前記単分子膜2の出発物質として下記(化4)で示される物質を用いると、炭化水素鎖の末端に活性な反応性基を有することから、自己集合単分子膜(Self-assembled Monolayer SAM)を形成する。
図1に示すように、前記中間層3上にはメッキ還元反応の触媒からなる触媒膜4が設けられ、前記触媒膜4(図1ではPd)の上に金属被膜5がメッキ形成されている。
本実施の形態では、従来のように、プラスチック成形体基材1の表面に凹凸加工がなされていないため、光沢性にも優れる。
また、前記プラスチック成形体基材1の材料には、各種無機フィラー含有プラスチックやガラス繊維強化プラスチック(FRP)等が含まれる。また、前記金属被膜は、金、銀、銅、アルミニウム、クロムあるいはニッケルのうち少なくともいずれか1つを含んだ金属被膜に適用できる。
まず、あらかじめ、フィラーとしてガラス繊維が混入されたPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を用いて下地となるカーブミラーの基材を成形し、表面を脱脂洗浄した。また、並行して、前記(化4)で示した物質(出発物質)を、クロロホルムとジメチルシリコーンの混合溶媒に0.05mol/lの濃度で溶解し、吸着液を作成した。
続いて、前記基材を、塩化第二鉄を0.02mol/l含む水溶液に常温で5分間、浸漬し、その後、前記基材を、水洗・乾燥した(ピロリル基どうしの重合工程)。
続いて、前記基材を、硫酸銅、酒石酸ナトリウムカリウム、水酸化ナトリウム、ホルマリンを主成分とする無電解メッキ液に15分浸漬し、これにより前記基材の表面に0.3μmの膜厚の銅膜を形成した。
上記実施例1の各工程のうち、基材を塩化第二鉄の水溶液に浸漬する工程だけを除いた。
上記実施例1の各工程のうち、基材をピロール液に浸漬する工程、基材を塩化第二鉄の水溶液に浸漬する工程を除いた。その代わり、Pd−Snコロイドを含む酸性水溶液に浸漬する工程において、前記水溶液にピロールを0.2mol/lの濃度で添加した。
上記実施例1の各工程のうち、基材をピロール液に浸漬する工程だけを除いた。
実施例1の各工程のうち、基材を吸着材料液中に浸漬する工程から基材を塩化第二鉄の水溶液に浸漬する工程までを除き、すなわち重合した単分子膜を形成することなく、前記基材を直接、Pd−Snコロイドを含む酸性水溶液に浸漬し、さらに実施例1と同様に、銅膜をメッキ形成した。
その結果、実施例1では、0.6N/mm、実施例2では、0.5N/mm、実施例3では、0.5N/mm、実施例4では、0.3N/mmの密着強度が得られた。
また、乗り物の部品に適用する例として、(1) ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネル、内装部品、オートバイのプロテクター、(2) セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンドル(3) FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジンカバー、(4)フェノール樹脂:ブレーキ(5) ポリアセタール:ワイパーギヤ、ガスバルブ、キャブレター部品(6) ポリアミド:ラジエータファン(7) ポリアリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、リレーハウジング(8) ポリブチレンテレフタレート:リヤエンド、フロントフェンダ(9) ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボックス、ホイール、サスペンジョンドライブシステム(10)メタクリル樹脂:ランプカバーレンズ、計器板とカバー、センターマーク()ポリプロピレン:バンパー(12)ポリフェニレンオキシド:ラジエーターグリル、ホイールキャップ(13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストルメントパネル、ファン(14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディ、燃料タンク、ヒーターハウジング、計器板がある。
その他、看板や店頭の飾り、鞄、帽子、衣類における応用も可能である。
2 単分子膜
3 中間膜
4 触媒膜
5 金属被膜
Claims (20)
- プラスチック成形体基材の表面が基材表面に共有結合した単分子膜を介して金属被膜で被われていることを特徴とするプラスチック成形体。
- 前記官能基Aは、ピロリル基、チエニル基、あるいはフリル基から選択されることを特徴とする請求項2記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- 前記単分子膜と前記金属被膜との間には、前記官能基Aを含有する中間膜が形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- 前記単分子膜及び前記中間膜に含まれる官能基Aが結合していることを特徴とする請求項4記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- 前記金属被膜中に前記官能基Aを含む物質が取り込まれていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- 前記金属被膜が、金、銀、銅、アルミニウム、クロム、錫、鉛、Ta,W,Tiあるいはニッケルのうち少なくともいずれか1種の元素を含んで形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- プラスチック基材が、フィラーを含む合成樹脂、あるいは繊維強化プラスチックで成型されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載された前記プラスチック成形体が用いられていることを特徴とする物品。
- (a) プラスチック成形体の表面に単分子膜を形成する工程と、
(b) 前記単分子膜上に、金属被膜を形成する工程を
含むことを特徴とする金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。 - 前記官能基Aを、ピロリル基、チエニル基、あるいはフリル基から選択することを特徴とする請求項11記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記(a)工程と前記(b)工程の間に、さらに
(c) 前記官能基Aを含む中間膜を前記単分子膜上に形成する工程
を含み、前記(b)工程で、前記中間膜上に前記金属被膜を形成することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。 - 前記(c)工程に於いて、前記官能基Aを有する溶液に前記プラスチック成形体を浸漬させて前記中間膜を形成することを特徴とする請求項13記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記(c)工程と前記(b)工程の間に、さらに
(d) 前記プラスチック成形体を酸化剤と接触させる工程
を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。 - 前記酸化剤として、鉄、銅、アルミニウムのうち少なくともいずれか一種を含む塩、あるいはハロゲンガスを用いることを特徴とする請求項15記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記(b)工程に於いて、前記官能基Aを含む物質と同時に前記金属被膜をメッキ形成することを特徴とする請求項10乃至16のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記金属被膜の少なくとも一部を無電解メッキ法にてメッキ形成し、このとき、触媒液中に前記官能基Aを含む物質を含め、あるいはメッキ液中に前記官能基Aを含む物質を含めることを特徴とする請求項17記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記金属被膜を、金、銀、銅、アルミニウム、錫、鉛、Ta,W,Tiあるいはニッケルのうち少なくともいずれか1つを含んでメッキ形成することを特徴とする請求項10乃至18のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
- 前記プラスチック成形体の基材として、フィラーを含む合成樹脂、あるいは繊維強化プラスチックで成型された部材を用いることを特徴とする請求項10乃至19のいずれかに記載の金属被膜を有するプラスチック成形体の製造方法。
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