JPH05117624A - 機能性化学吸着膜およびその製造方法 - Google Patents
機能性化学吸着膜およびその製造方法Info
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- JPH05117624A JPH05117624A JP9938392A JP9938392A JPH05117624A JP H05117624 A JPH05117624 A JP H05117624A JP 9938392 A JP9938392 A JP 9938392A JP 9938392 A JP9938392 A JP 9938392A JP H05117624 A JPH05117624 A JP H05117624A
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Abstract
内に、導電性基、光感応性基などの機能を有する分子を
組み込むことにより、薄くてかつ耐久性のある機能性化
学吸着膜とする。 【構成】基材1をクロロシリル基を直鎖状の分子両末端
に複数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に接触させて、基
材表面の水酸基と片方のクロロシリル基とを反応させる
工程と、非水系有機溶媒を用い洗浄した後、さらに特定
の機能を有する分子を含んだ非水系の溶液に浸漬させて
他方のクロロシリル基と反応させ前記分子を基材1表面
に固定し、洗浄し、次いで重合して導電性や光感応性等
の機能を有する分子4を有する化学吸着膜5を基材上に
固定する。
Description
は化学吸着単分子累積膜の表層に機能性分子を化学結合
によって形成した機能性化学吸着膜およびその製造方法
に関する。
記録,高速応答スイッチ,微細領域導電性基、光感応性
基などの機能性分子を組み込むことは、電子部品や精密
画像処理分野などにおいて有用であるため、これらの開
発が望まれている。
の中に特定の機能を有する官能基を組み込んでおき、化
学吸着を行なうことで機能性化学吸着膜を製造する方法
が、例えばUSP−4,673,474号明細書などで
提案されている。
方法では、化学吸着用試薬そのものの中に特定の機能を
有する官能基を組み込むことが困難であり、所望の機能
を有する化学吸着試薬を作製することが大幅に制限され
ていた。
を作製する方法として、汎用性に富んだ分子構築技術お
よび機能性化学吸着膜を提供することを目的とする。
め、本発明の機能性化学吸着膜は、基材上に−Si−基
による共有結合を介して形成した化学吸着膜の表層に、
さらに−Si−基を介して機能性有機基を結合させたと
いう構成を備えたものである。
表層膜と内層膜との累積膜で少なくとも形成され、内層
膜は基材表面と直接的または間接的に共有結合している
ことが好ましい。
が、導電性基、または光感応性基から選ばれる少なくと
も一つの官能基であることが好ましい。また前記構成に
おいては、表層の有機基が、芳香族化合物を含む基、置
換芳香族化合物を含む基、複素環化合物を含む基または
置換芳香族化合物を含む基から選ばれる少なくとも一つ
の基であることが好ましい。
子膜を構成する分子が、化学構造式−OSiA2 −
(B)r −SiA2 O−(ただし、rは1〜30の範囲
の整数、Aは低級アルキル基、低級アルコキシル基、ま
たはアリル基、Bは鎖式化合物骨格、含酸素鎖式化合物
骨格、含窒素鎖式化合物骨格、含珪素鎖式化合物骨格、
芳香族骨格、置換芳香族骨格、複素環骨格または置換複
素環骨格の何れかの官能基)であることが好ましい。
する分子が、前記一般式(化1)、(化2)、(化
3)、(化4)から選ばれる少なくとも一つであること
が好ましい。
の製造方法は、化学吸着法による機能性を有する薄膜の
製造方法であって、(A)一端に化学吸着サイト基を有
し、他端に−Si−基を介して有機基を結合させる反応
サイト基を有する吸着剤を混合した非水系溶液に、親水
性基材を接触させる化学吸着工程、(B)前記化学吸着
工程後前記親水性基材と未吸着の前記吸着剤を非水系溶
媒を用いて洗浄除去する単分子膜形成工程、(C)前記
単分子膜を形成した基材を、特定の機能性官能基を有し
かつ前記単分子膜と反応し得る反応サイト基を有する分
子を含む反応溶液に接触させる工程を含むことを特徴と
する。
め、吸着サイト基がハロゲン化シリル基,アルコキシシ
リル基,ハロゲン化チタン基,アルコキシチタン基から
選ばれる少なくとも一つの官能基であることが好まし
い。
駆体(または機能性化合物)との化学結合のため、反応
サイト基がハロゲン化シリル基,アルコキシシリル基,
ハロゲン化チタニル基,アルコキシチタニル基から選ば
れる少なくとも一つの官能基であることが好ましい。
Si−(B)r −SiAq Cl3-q (ただし、pおよび
qは0から2の整数、rは1〜30の範囲の整数、Aは
低級アルキル基、低級アルコキシル基、Bは鎖式化合物
骨格、含酸素鎖式化合物骨格、含窒素鎖式化合物骨格、
含珪素鎖式化合物骨格、芳香族骨格、置換芳香族骨格、
複素環骨格または置換複素環骨格の何れかの官能基)で
あることが好ましい。
般式(化1)、(化2)、(化3)、(化4)から選ば
れる少なくとも一つの化合物であることが好ましい。ま
た前記方法においては、特定の機能性官能基を有する分
子が、反応活性水素または反応活性酸素を含むことが好
ましい。
の製造方法は、化学吸着法による機能性累積膜の製造方
法であって、(a)非水溶液に両端に反応性基を有する
シロキサン系化学吸着剤を溶解し、この溶液と親水性基
礎を有する基材表面を接触させ、化学吸着反応を起こさ
せる工程、(b)非水溶液を用いて前記未反応シロキサ
ン系化学吸着剤を洗浄・除去する工程、(c)水分と反
応させて内層膜を形成する工程、(d)一端に化学吸着
サイト基を有し、他端に−Si−基を介して有機基を結
合させる反応サイト基を有する吸着剤を混合した非水系
溶液に、前記内層膜を接触させる化学吸着工程、(e)
前記化学吸着工程後前記親水性基材と未吸着の前記吸着
剤を非水系溶媒を用いて洗浄除去する単分子累積膜形成
工程、(d)前記単分子膜を形成した基材を、特定の機
能性官能基を有しかつ前記単分子膜と反応し得る反応サ
イト基を有する分子を含む反応溶液に接触させる工程を
含むことを特徴とする。
予め形成した化学吸着単分子膜を介して機能を有する分
子を化学結合で固定している。この構成により、化学吸
着用試薬中に予め機能を有する官能基を組み込む従来技
術に比べ、機能を有する分子の組み込みの自由度が増
し、比較的自由に任意の機能を有する機能性化学吸着膜
を製造できる作用がある。また薄くてかつ耐久性のある
機能性化学吸着膜とすることができる。
膜に、特定の機能を有する分子が化学結合を介して固定
された機能性化学吸着膜を提供するものであり、一端に
吸着サイト基を有し他端に反応サイト基を有する吸着剤
を混合した非水系溶媒中に親水性基材を接触させる化学
吸着工程、化学吸着工程後親水性基材と未吸着の吸着剤
を非水系溶媒を用いて洗浄除去する単分子膜化工程、特
定の機能を有する分子を混合した溶媒に単分子膜化工程
を終えた親水性基材を接触し吸着剤の反応サイト基と特
定の機能を有する分子とを反応させる反応工程を含む機
能性化学吸着膜の製造方法で、係る従来の課題を解決し
た。
化学吸着を行う吸着サイト基と、他端に機能を有する分
子と反応する反応サイト基とを有すればよい。吸着サイ
ト基としては例えばハロゲン化シリル(X−Si−、但
しXはハロゲンを示す)基,アルコキシシリル(ROS
i−、但しRはアルキル基を示す)基,シリリジン(H
−Si−)基等の吸着性珪素基、ハロゲン化チタニル
(X−Ti−、但しXはハロゲンを示す)基もしくはア
ルコキシチタニル(RO−Ti−、但しRはアルキル基
を示す)基の吸着性チタニル基等が挙げられる。また反
応サイト基としては、前記の吸着サイト基が挙げられ
る。
上で規則正しく反応サイトが配列していることが要請さ
れる。このためには吸着剤が基材上で単分子膜または単
分子累積膜状で規則正しく吸着していることが好まし
い。また吸着膜が単分子状でしかも高密度に吸着した形
態が好ましい。したがって吸着反応に加熱を要する吸着
サイト基よりも、例えば室温程度以下の低温で進行する
吸着サイト基が望ましい。このような吸着サイト基とし
てはハロゲン化シリル基が挙げられ、この中でもクロロ
シリル基は吸着活性と安定性があるため特に好ましい。
分子膜に存在し、機能を有する分子と反応するため、反
応活性については必ずしも吸着サイト基ほどの活性は必
要ではないが、反応活性であるほど機能を有する分子と
の反応が完結するため好ましく、このため反応サイト基
もハロゲン化シリル基が好ましく、中でもクロロシリル
基が吸着サイト基と同様な理由で望ましい。
は、一般化学構造式でCl3-p Ap Si−(B)r −S
iAq Cl3-q で表わされる形態が挙げられる。ただ
し、pおよびqは0から2の整数で、rは1〜30の範
囲の整数(自然数)である。またAはメチル基,エチル
基あるいはイソプロピル基等の低級アルキル基、メトキ
シ基、エトキシ基、プロポオキシ基などの低級アルコキ
シ基、またはフェニル基等のアリル基、Bはメチレン
鎖,アルケン鎖,アルキン鎖等の鎖式化合物骨格、鎖式
化合物中にエ−テル結合,エステル結合等の酸素を含む
結合を有する含酸素鎖式化合物骨格、鎖式化合物中にア
ミノ結合,アミド結合等の窒素を含む結合を有する含窒
素鎖式化合物骨格、鎖式化合物中に珪素を含む有機珪素
化合物の含珪素鎖式化合物骨格、フェニレン,ナフチレ
ン等の芳香族骨格、フェニレンメチレン,メチルフェニ
レン,フェニレンサルファイド等の置換芳香族骨格、ピ
ロール,チェニレン,フラン,カルバゾール等の複素環
骨格またはメチルピロール,N−イソプロピルカルバゾ
ール,3−メチレンチェニレン等の置換複素環骨格の何
れかの官能基である。
発明の機能性化学吸着膜中の化学吸着単分子膜は、一般
化学構造式−OSiA2 −(B)r −SiA2 O−の形
態をとる。
(化8)の何れかの化合物が、扱い易くまた材料の入手
が容易であるため特に望ましい。なお吸着剤がこのよう
な化学構造式の場合には、本発明の機能性化学吸着膜中
の化学吸着単分子膜は、前記一般式(化1)〜(化4)
となる。
子の特定の機能とは、光導電性,非線形光学性,フォト
クロミック性,光架橋性,光分解性等の光感応性もしく
は熱反応性,熱導電性等の熱感応性または導電性等が挙
げられる。本発明の機能性化学吸着膜の構成と、例えば
高密度記録,高速応答スウィッチ,微細領域導電性等の
応用性を考慮すると、これらの特定の機能の中でも光感
応性または導電性の機能が好ましい。
水性基材を用意し、よく洗浄した後クロロシリル基を分
子両末端に複数個含む物質、たとえばCl3-p SiXp
−(A)r −SiXq Cl3-q (ただし、pおよびqは
0から2の整数、rは30以下の整数、Aは官能基)を
混ぜた非水系溶媒に接触させ、前記基材表面の水酸基と
前記クロロシリル基を分子両末端に複数個含む物質の片
方のクロロシリル基とを反応させて、前記物質を前記基
材表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記
基材上に残った未反応化学吸着物質を洗浄除去した後、
さらに特定の機能を有する分子、例えばピロリル基、ま
たはチオフェニル基、アニリニック基、フラニル基、ア
セチレニック基、ジアセチレニック基等の誘導体を含ん
だ非水系の溶液に浸漬させて、表面のクロロシリル基と
反応させ前記分子を基材表面に固定する工程と、非水系
有機溶媒を用い前記基材上に残った未反応分子を除去す
る工程とにより機能性化学吸着膜を製造する。
学効果等の機能を有する化学吸着膜の作製には、機能性
分子として−COOH基、−OH基、−NH2 基、=N
H基、エポキシ基等を含むアセチレン、ジアセチレン、
ピロール、チオフェン、アニリン、フラン、シアノ、チ
オシアノ、ベンゼン等の誘導体を選択し、クロロシリル
基を分子両末端に複数個含む物質として、Cl3-p Si
Xp −(A)r −SiXq Cl3-q (ただし、pおよび
qは0から2の整数、rは30以下(好ましくは10乃
至20が良い)の整数、Aは官能基)を用いることで作
製可能であるが、代表的な機能性分子としてジアセチレ
ン誘導体の例を下記(化9)に挙げる。
含む物質として、ClSi(CH3 )2 −(CH2 )8
−Si(CH3 )2 Clあるいは、機能性分子として、
ピロール及びクロロシリル基を分子両末端に複数個含む
物質として、ClSi(CH 3 )2 −(CH2 )8 −S
i(Cl)3 を選択した例を取り上げ順に説明する。
物質の代わりに、SiCl4 、SiHCl3 、Cl3 S
i−O−SiCl3 、またはCl3 Si−O−SiCl
2 −O−SiCl3 等を用いることも可能である。
されたSi基材でもよい)を用意し、よく乾燥した後、
クロロシリル基を分子両末端に複数個含む物質、例えば
ClSi(CH3 )2 −(CH2 )8 −Si(CH3 )
2 Clを用い、4wt%程度の濃度で溶かした80wt%シ
クロヘキサン(n−ヘキサデカントルエン、キシレン、
ビシクロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8
wt%クロロホルム溶液を調整し、前記基材を2時間程度
浸漬すると、親水性基材の表面は水酸基が多数含まれて
いるので、クロロシリル(−SiCl)基を分子両末端
に複数個含む物質の何れか片方のSiCl基と前記水酸
基が反応し脱塩酸反応が生じ基材表面全面に亘り、下記
(化10)で示す結合が生成され、単分子膜2が表面と
化学結合した状態で約15オングストロームの膜厚で形
成できた(図2)。
ホルムでよく洗浄した後、機能性分子を混ぜた非水系の
溶液、例えば前記(化9)のジアセチレン化合物を用
い、5wt%程度の濃度で溶かしたクロロホルム溶液を調
整し、前記基材を浸漬し基材表面に残存したSiCl基
と前記(化9)のジアセチレン化合物のOH基とで脱塩
酸反応を生じさせると次式(化11)の形でジアセチレ
ン基3を有する分子が化学吸着単分子膜2を介して化学
結合で基材に固定される(図3)。
00mJ程度の紫外線を照射すると、隣合うジアセチレ
ン基が重合したポリジアセチレン結合4を含む3次の非
線形光学効果を有する機能性化学吸着膜5を作製できた
(図4)。
個含む物質として、ClSi(CH3 )2 −(CH2 )
10−SiCl3 を選択した例を取り上げ次に説明する。
まず、親水性基材11(ガラスや、Si基材でもよい)
を用意し(図5)、よく乾燥した後、クロロシリル基を
分子両末端に複数個含む物質、例えばClSi(C
H3 )2 −(CH2 )10−SiCl3 を用い、1wt%程
度の濃度で溶かした80wt%シクロヘキサン(n−ヘキ
サデカントルエン、キシレン、ビシクロヘキシルでもよ
い)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶液を
調整し、前記基材を2時間程度浸漬すると、親水性基材
の表面は水酸基が多数含まれているので、クロロシリル
(−SiCl)基を分子両末端に複数個含む物質の何れ
か片方のSiCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が
生じ、基材表面全面に亘り、下記式(化13)に示す結
合が生成され、単分子膜12が表面と化学結合した状態
で約15オングストローム(1.5nm)の膜厚で形成
できた(図6)。
ホルムでよく洗浄した後、機能性分子を混ぜた非水系の
溶液、例えば、ピロールを用い(チオフェンやアニリン
でも同様である)、5wt%程度の濃度で溶かしたクロロ
ホルム溶液を調整し、前記基材を浸漬し基材表面に残存
したSiCl基とピロールのNH基とで脱塩酸反応を生
じさせると、下記式(化14)に示す形でピロリル基1
3を有する分子が化学吸着単分子膜12を介して化学結
合で基材に固定される(図7)。
ol/L過塩素酸リチウム−アセトニトリル溶液に浸漬
し、膜面に沿って10Vで電流密度2mA/cm2 で重
合すると、膜面に沿って10-1S/cm程度の導電性の
あるピロリレン結合14を含む機能性化学吸着膜15が
作製できた(図8)。
子両末端に含む物質として、ClSi(CH3 )2 −
(CH2 )8 −Si(Cl)3 及びClSi(CH3 )
2 −(CH2 )10−Si(CH3 )2 Clを例として取
り上げたが、上記以外にも下記式(化15)及び(化1
6)などが利用できた。
板をUVドライステッパ(“UV−1”、サムコインタ
ーナショナル製)を用いて酸素プラスマ処理を行った。
酸素プラスマ処理は、1リットル/分の割合で酸素を流
し10分間酸化処理した。次に基板は、1wt%の四塩
化炭素(SiCl4 )を溶解フレオン−113非水溶液
に30分間浸漬保持された。その結果、基材表面は水酸
基を含んでいるので、この水酸基と四塩化炭素クロロ基
が脱塩化水素反応を起こし、下記式(化17)及び/ま
たは(化18)が形成できた。
いて基板上の未反応四塩化炭素(SiCl4 )を洗浄・
除去し、次いで水分と反応させた。その結果下記式(化
19)及び/または(化20)に示すシロキサン系単分
子膜(内層膜)が形成できた。
しないときには、シロキサン系のポリマー膜が形成でき
た。このシロキサン系のポリマー膜は、基材表面に分子
密度が高いものであり、内層膜として用いることができ
る。
初の基板表面に存在する水酸基に比べて、約2.5倍の
水酸基を含むものとなった。次に、ClSi(CH3 )
2 −(CH2 )8 −Si(CH3 )2 Cl(化学吸着
剤)を3wt%程度の濃度でフレオン−113(非水溶
液)に溶かした化学吸着液に、前記内層膜を有する基材
を1時間浸漬した。その結果前記式(化10)に示す膜
が内層膜の表面に形成できた。次にフレオン−113
(非水溶液)を用いて内層膜表面状の未反応化学吸着剤
を洗浄・除去した。得られた膜の厚さはFTIRによっ
て2.5nmと測定され、密着性に優れたものであっ
た。
化合物を5wt%の濃度で含むフレオン−113非水溶
液中に、前記シロキサン系単分子膜(内層膜)を有する
基板を2時間程度浸漬すると、親水性基材の表面は水酸
基が多数含まれているので、クロロシリル(−SiC
l)基を分子両末端に複数個含む物質の何れか片方のS
iCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ基材表
面全面に亘り、前記(化10)で示す結合が生成され、
単分子膜が表面と化学結合した状態で約15オングスト
ローム(1.5nm)の膜厚で形成できた。
ン−113でよく洗浄した後、機能性分子を混ぜた非水
系の溶液、例えば前記(化9)のジアセチレン化合物を
用い、5wt%程度の濃度で溶かしたクロロホルム溶液を
調整し、前記基材を浸漬し基材表面に残存したSiCl
基と前記(化9)のジアセチレン化合物のOH基とで脱
塩酸反応を生じさせると前記式(化11)の形でジアセ
チレン基を有する分子が化学吸着単分子膜を介して化学
結合で基材に固定できた。
00mJ程度の紫外線を照射すると、隣合うジアセチレ
ン基が重合したポリジアセチレン結合を含む3次の非線
形光学効果を有する機能性化学吸着膜5を作製できた。
学吸着膜は、基材上に予め形成した化学吸着単分子膜を
介して機能を有する分子を化学結合で固定しているの
で、化学吸着用試薬中に予め機能を有する官能基を組み
込む従来技術に比べ、機能を有する分子の組み込みの自
由度が増し、比較的自由に任意の機能を有する機能性化
学吸着膜を製造できる。また薄くてかつ耐久性のある機
能性化学吸着膜とすることができる。したがって、化学
吸着用試薬として、あらかじめ試薬そのものの中に特定
の機能を有する官能基を組み込んでおく必要がなく、比
較的自由に任意の機能を有する機能性化学吸着膜を製造
できる効果がある。
示す機能性薄膜の製造工程を説明するために、基材表面
を分子レベルまで拡大した工程断面図である。
膜の製造工程を説明するために、基材表面を分子レベル
まで拡大した工程断面図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 基材上に−Si−基による共有結合を介
して形成した化学吸着膜の表層に、さらに−Si−基を
介して機能性有機基を結合させた機能性化学吸着膜。 - 【請求項2】 機能性化学吸着膜が表層膜と内層膜との
累積膜で少なくとも形成され、内層膜は基材表面と直接
的または間接的に共有結合している請求項1記載の機能
性化学吸着膜。 - 【請求項3】 表層の有機基が、導電性基または光感応
性基から選ばれる少なくとも一つの基である請求項1ま
たは2記載の機能性化学吸着膜。 - 【請求項4】 表層の有機基が、芳香族化合物を含む
基、置換芳香族化合物を含む基、複素環化合物を含む基
または置換芳香族化合物を含む基から選ばれる少なくと
も一つの基である請求項1記載の機能性化学吸着膜。 - 【請求項5】 化学吸着膜を構成する分子が、化学構造
式−OSiA2 −(B)r −SiA2 O−(ただし、r
は1〜30の範囲の整数、Aは低級アルキル基もしくは
低級アルコキシル基またはアリル基、Bは鎖式化合物骨
格、含酸素鎖式化合物骨格、含窒素鎖式化合物骨格、含
珪素鎖式化合物骨格、芳香族骨格、置換芳香族骨格、複
素環骨格または置換複素環骨格の何れかの官能基)であ
る請求項1または2記載の機能性化学吸着膜。 - 【請求項6】 単分子膜を構成する分子が、下記一般式
(化1)、(化2)、(化3)、(化4)から選ばれる
少なくとも一つである請求項1または2記載の機能性化
学吸着膜。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 (但し式中のR1 ,R2 ,R3 ,R4,R5 ,R6 は低
級アルキル基もしくは低級アルコキシル基またはアリル
基であり、m及びnは1〜30の範囲の整数) - 【請求項7】 化学吸着法による機能性を有する薄膜の
製造方法であって、(A)一端に化学吸着サイト基を有
し、他端に−Si−基を介して有機基を結合させる反応
サイト基を有する吸着剤を混合した非水系溶液に、親水
性基材を接触させる化学吸着工程、(B)前記化学吸着
工程後前記親水性基材と未吸着の前記吸着剤を非水系溶
媒を用いて洗浄除去する単分子膜形成工程、(C)前記
単分子膜を形成した基材を、特定の機能性官能基を有し
かつ前記単分子膜と反応し得る反応サイト基を有する分
子を含む反応溶液に接触させる工程を含むことを特徴と
する機能性化学吸着膜の製造方法。 - 【請求項8】 吸着サイト基及び/または反応サイト基
が、ハロゲン化シリル基,アルコキシシリル基,ハロゲ
ン化チタニル基,アルコキシチタニル基から選ばれる少
なくとも一つの官能基である請求項7記載の機能性化学
吸着膜の製造方法。 - 【請求項9】 吸着剤が、Cl3-p Ap Si−(B)r
−SiAq Cl3-q (ただし、pおよびqは0から2の
整数、lは1〜30の範囲の整数、Aは低級アルキル
基、低級アルコキシル基、またはアリル基、Bは鎖式化
合物骨格、含酸素鎖式化合物骨格、含窒素鎖式化合物骨
格、含珪素鎖式化合物骨格、芳香族骨格、置換芳香族骨
格、複素環骨格または置換複素環骨格の何れかの官能
基)である請求項7記載の機能性化学吸着膜の製造方
法。 - 【請求項10】 吸着剤が、下記一般式(化5)、(化
6)、(化7)、(化8)から選ばれる少なくとも一の
化合物である請求項7または8に記載の機能性化学吸着
膜の製造方法。 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 (但し式中のR1 およびR2 は低級アルキル基、低級ア
ルキル基またはアリル基であり、m及びnは1〜30の
範囲の整数) - 【請求項11】 特定の機能性官能基を有する分子が、
反応活性水素または反応活性酸素を含む請求項7記載の
機能性化学吸着膜の製造方法。 - 【請求項12】 化学吸着法による機能性累積膜の製造
方法であって、(a)非水溶液に両端に反応性基を有す
るシロキサン系化学吸着剤を溶解し、この溶液と親水性
基礎を有する基材表面を接触させ、化学吸着反応を起こ
させる工程、(b)非水溶液を用いて前記未反応シロキ
サン系化学吸着剤を洗浄・除去する工程、(c)水分と
反応させて内層膜を形成する工程、(d)一端に化学吸
着サイト基を有し、他端に−Si−基を介して有機基を
結合させる反応サイト基を有する吸着剤を混合した非水
系溶液に、前記内層膜を接触させる化学吸着工程、
(e)前記化学吸着工程後前記親水性基材と未吸着の前
記吸着剤を非水系溶媒を用いて洗浄除去する単分子累積
膜形成工程、(d)前記単分子膜を形成した基材を、特
定の機能性官能基を有しかつ前記単分子膜と反応し得る
反応サイト基を有する分子を含む反応溶液に接触させる
工程を含むことを特徴とする機能性化学吸着膜の製造方
法。
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---|---|---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6284365B1 (en) | 1996-08-26 | 2001-09-04 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Composite material and method for producing the same |
KR100462712B1 (ko) * | 2000-08-10 | 2004-12-20 | 마쯔시다덴기산교 가부시키가이샤 | 유기전자장치와 그 제조방법과 그 동작방법 및 그것을 사용한 표시장치 |
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JP2007076076A (ja) * | 2005-09-13 | 2007-03-29 | Kagawa Univ | 金属被膜を有するプラスチック成形体とその製造方法およびそれらを用いた物品 |
-
1992
- 1992-04-20 JP JP9938392A patent/JP3292205B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7198829B2 (en) | 2000-12-26 | 2007-04-03 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Conductive organic thin film, process for producing the same, electronic device employing the same, electrical cable, electrode, pyrrolyl compound, and theienyl compound |
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