JP3181092B2 - 帯電防止膜およびその製造方法 - Google Patents

帯電防止膜およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止に関するもの
である。さらに詳しくは、静電気などが発生したりたま
りやすい部分に適用するのに有用な帯電防止に関する発
明である。
【0002】
【従来の技術】オーバーヘッドプロジェクター用フィル
ム、映画フィルム、ビデオフィルム、写真フィルム、録
音フィルム等で代表されるフィルム類およびVTRなど
の電子銃からなるディスプレイ、エレクトロルミネッセ
ンスディスプレイやプラズマディスプレイ、液晶ディス
プレイ等で代表されるディスプレイ、さらに映画や投射
型テレビやオーバーヘッドプロジェクターで使用される
スクリーン等および衣類、カーテン等で代表される繊維
加工品等の表面には、帯電防止を施すことが要請されて
いる。すなわち、基体が帯電することにより基体同士が
密着したり、帯電により空気中のほこりなどの汚れが付
着することは、一般的に好ましくない。
【0003】従来、帯電防止するためには、表面に金属
微粉末、炭素繊維等樹脂等に分散させた塗剤を塗った
り、ポリアルキレングリコールなどを含むスプレー噴射
などの手段が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の塗
剤やスプレー噴射などの手段は、透明性を損なうため透
明材料には適用することが困難であり、また耐久性に乏
しく永続的な帯電防止を期待できないという問題があっ
た。
【0005】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、透明性及び耐久性に優れ、しかも帯電防止効果の
高い高性能膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の帯電防止膜は、導電性が10-10 S/cm以下の
基材の表面に、10-5S/cm以上の導電性を有する導電
性化学吸着単分子膜が、基材の表面と化学結合して形成
されているという構成を備えたものである。
【0007】前記構成においては、導電性化学吸着単分
子膜が少なくともシロキサン系単分子膜を介して表面に
形成されていることが好ましい。また前記構成において
は、化学吸着単分子膜がπ共役系官能基を含むことが帯
電防止効果を向上することから好ましい。
【0008】次に本発明の第1番目の製造方法は、導電
性が10-10 S/cm以下の基材を、一端にクロルシリル
基(SiCln 3-n 基、n=1、2、または3、Xは
官能基)を有するクロロシラン系化学吸着剤を溶かした
非水系有機溶媒中に浸漬し、化学吸着単分子膜を基材表
面に形成する工程を含むという構成からなる。
【0009】また本発明の第2番目の製造方法は、導電
性が10-10 S/cm以下の基材を、クロロシリル基を複
数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記基材
表面の水酸基と前記化学吸着物質のクロロシリル基とを
反応させて前記化学吸着物質を前記基材表面に吸着させ
る工程と、非水系有機溶媒を用い前記基材上の未反応化
学吸着物質を洗浄・除去した後、水と反応させて、前記
基材上にシラノール基を複数個含む分子よりなる単分子
膜を形成する工程と、一端にクロルシリル基(SiCl
n 3-n 基、n=1、2、または3、Xは官能基)を有
し他の一端に直鎖状炭化水素基を含むクロロシラン系化
学吸着剤を基材表面に化学吸着し単分子吸着膜を累積す
る工程とを含むという構成からなる。
【0010】また本発明の第3番目の製造方法は、導電
性が10-10 S/cm以下の基材を、一端にクロルシリル
基(SiCln 3-n 基、n=1、2、または3、Xは
重合によりπ共役系を構成する基を含む官能基)を有す
るクロロシラン系化学吸着剤を溶かした非水系有機溶媒
中に浸漬し、化学吸着単分子膜を前記基材表面全体に亘
り形成する工程と、上記単分子膜を電気化学的または光
照射によるエネルギー照射または触媒により重合する工
程と含むという構成からなる。
【0011】さらに本発明の第4番目の製造方法は、導
電性が10-10 S/cm以下の基材を、クロロシリル基を
複数個含む化学吸着物質を混ぜた非水系溶媒に接触させ
て前記基材表面の水酸基と前記化学吸着物質のクロロシ
リル基とを反応させて前記化学吸着膜を前記基材表面に
吸着させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記基材上の
未反応化学吸着物質を洗浄除去した後、水と反応させ
て、前記基材上にシラノール基を複数個含む分子よりな
る単分子膜を形成する工程と、一端にクロルシリル基
(SiCln 3-n 基、n=1、2、または3、Xは重
合によりπ共役系を構成する基を含む官能基)を有し他
の一端に直鎖状炭化水素基を含むクロロシラン系化学吸
着剤を前記基材上に化学吸着し単分子吸着膜を累積する
工程と、上記単分子膜を電気化学的または光照射による
エネルギー照射または触媒により重合する工程とを含む
という構成からなる。
【0012】前記本発明の第1〜4番目の製造方法にお
いては、クロロシリル基を複数個含む物質としてSiC
4 、またはSiHCl3 、SiH2 Cl2 、Cl−
(SiCl2 O)n −SiCl3 (nは整数)を用いる
ことが好ましい。
【0013】また前記本発明の第1〜4番目の製造方法
においては、一端にクロルシリル基を有し他の一端に直
鎖状フッ化炭素基を含むクロロシラン系化学吸着剤とし
てCH3 −(CH2 n −R−SiXp Cl3-p (nは
0または整数、Rはアルキレン基、ビニレン基またはS
i原子若しくは酸素原子を含む置換基、または化学結
合、XはHまたはアルキル基の置換基、pは0または1
または2)を用いることが好ましい。
【0014】さらに前記本発明の第3〜4番目の製造方
法においては、重合によりπ共役系を構成する基Xがア
セチレニック(エチニル)基、ジアセチレニック基、ピ
ロリル基、チオフェニル基、フラニル基から選ばれる少
なくとも一つの官能基であることが好ましい。
【0015】
【作用】前記本発明の構成によれば、基体の表面に化学
吸着単分子膜が形成されているので透明性に優れ、また
前記化学吸着単分子膜は基材の表面と化学結合して形成
されているから耐久性に優れ、しかも前記化学吸着単分
子膜は10-5S/cm以上の導電性を有するから帯電防止
効果の高い高性能膜を実現できる。しかもこの単分子膜
は膜厚がナノメーターレベルであるため、透過性に優れ
ており、工学特性を損なうことがない。さらに基材表面
の帯電による汚れの発生を防止できる。
【0016】また本発明の第1〜4番目の製造方法によ
れば、前記高性能膜を合理的に効率良く実現できる。
【0017】
【実施例】一般のオーバーヘッドプロジェクター用フィ
ルム、映画フィルム、ビデオフィルム、写真フィルム、
録音フィルム等で代表されるフィルム類および電子銃か
らなるディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディス
プレイやプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等で
代表されるディスプレイ、さらに映画や投射型テレビや
オーバーヘッドプロジェクターで使用されるスクリーン
等および衣類、カーテン等で代表される繊維加工品等は
有機高分子化合物からなるため表面に水酸基をもつこと
は少ない。そこで、プラズマ加工等により水酸基を露出
しておく必要がある。つぎに、一端にクロルシラン基
(SiCln 3-n 基、n=1、2、または3、Xは官
能基)を有する直鎖状炭素鎖を含む分子、例えばトリク
ロロシリル基を含むクロロシラン系化学吸着剤を混ぜた
非水系溶媒に接触させて前記フィルム表面の水酸基と前
記化学吸着剤のクロロシリル基を反応させて単分子膜を
前記フィルム表面に形成する。あるいはクロロシリル基
を複数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記
フィルム表面の水酸基と前記クロロシリル基を複数個含
む物質のクロロシリル基を反応させて前記物質を前記フ
ィルム表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い
前記フィルム表面に残った未反応クロロシリル基を複数
個含む物質を洗浄除去し、前記フィルム上にクロロシリ
ル基を複数個含む物質よりなるシロキサン系単分子膜を
形成する工程と、一端にクロルシラン基を有する直鎖状
炭素鎖を含むシラン系化学吸着剤をフィルム上に化学吸
着し単分子吸着膜を累積する工程とによりオーバーヘッ
ドプロジェクター用フィルム、映画フィルム、ビデオフ
ィルム、写真フィルム、録音フィルム等で代表されるフ
ィルム類および電子銃からなるディスプレイ、エレクト
ロルミネッセンスディスプレイやプラズマディスプレ
イ、液晶ディスプレイ等で代表されるディスプレイ、さ
らに映画や投射型テレビやオーバーヘッドプロジェクタ
ーで使用されるスクリーン等および衣類、カーテン等で
代表される繊維加工品等の表面に炭化水素系化学吸着単
分子累積膜を形成できる。さらにパイ共役系化学吸着単
分子膜を形成する場合は、上記単分子膜を電気化学的ま
たは光照射で代表されるエネルギー照射または触媒によ
り重合することにより導電性化学吸着単分子膜を形成す
ることができる。
【0018】前記パイ共役系導電性化学吸着単分子膜以
外の導電性化学吸着単分子膜として、イオン導電性化学
吸着単分子膜を形成することができる。この場合は、上
記単分子膜を電気化学的にイオンを分散させることによ
り、導電性化学吸着単分子膜を形成することができる。
【0019】本発明においては、きわめて薄いナノメー
タレベルの膜厚の炭化水素系単分子膜をオーバーヘッド
プロジェクター用フィルム、映画フィルム、ビデオフィ
ルム、写真フィルム、録音フィルム等で代表されるフィ
ルム類および電子銃からなるディスプレイ、エレクトロ
ルミネッセンスディスプレイやプラズマディスプレイ、
液晶ディスプレイ等で代表されるディスプレイ、さらに
映画や投射型テレビやオーバーヘッドプロジェクターで
使用されるスクリーン等および衣類、カーテン等で代表
される繊維加工品等の表面に形成するため、基体本来の
透明性を損なうことがない。また、この膜は炭化水素系
単分子膜は帯電防止にも優れている。従って、帯電防止
効果の高い膜を提供することができる。
【0020】以下に本発明に関するオーバーヘッドプロ
ジェクター用フィルム、映画フィルム、ビデオフィル
ム、写真フィルム、録音フィルム等で代表されるフィル
ム類および電子銃からなるディスプレイ、エレクトロル
ミネッセンスディスプレイやプラズマディスプレイ、液
晶ディスプレイ等で代表されるディスプレイ、さらに映
画や投射型テレビやオーバーヘッドプロジェクターで使
用されるスクリーン等および衣類、カーテン等で代表さ
れる繊維加工品等があるが、代表例としてオーバーヘッ
ドプロジェクター用フィルムを取り上げて説明する。
【0021】実施例1 まず、加工の終了したオーバーヘッドプロジェクター用
フィルム1を用意する。前記フィルム1を酸素雰囲気下
でプラズマ処理を行う。この処理によりフィルム1の表
面には水酸基を露出させる(図1)。このフィルム1を
有機溶媒等で洗浄した後、末端にアセチレニック(エチ
ニル)基を有する炭化水素基およびクロロシリル基を含
む化学吸着剤を混ぜた非水系の溶液、(例えば、下記式
(化1)に示す化合物を用い、2重量%程度の濃度で溶
かした80重量%のn−ヘキサデカン(トルエン、キシ
レン、ビシクロヘキシルでもよい)、12重量%の四塩
化炭素、8重量%のクロロホルム溶液)を調製した。
【0022】
【化1】
【0023】この調製液にフィルム1を2時間程度浸漬
すると、フィルム1の表面は水酸基が露出されており、
前記化学吸着剤のSiCl基と前記水酸基が反応し脱塩
酸反応が生じる。次にフレオン−113などの非水系溶
媒を用いて未反応化学吸着剤を洗浄・除去し、その後に
水と反応させると、フィルム表面全面に亘り、下記(化
2)に示す結合が生成され、化学吸着単分子膜2がフィ
ルム1の表面と化学結合した状態で、約25オングスト
ロームの膜厚で形成できた(図2)。
【0024】
【化2】
【0025】次に、前記化学吸着単分子膜2に電子線を
10メガラッド程度照射して、エチニル基の重合を行っ
た。この重合によってポリアセチレン基3が化学吸着単
分子膜2´の表面に形成され、導電性が付与された(図
3)。なお、前記フィルム1の導電性は10-10 S/cm
以下であったが、図3のようにポリアセチレン膜にする
と、10-5S/cm以上の導電性を有することが確認でき
た。
【0026】なお、単分子膜はきわめて強固に化学結合
しているので剥離することがなかった。なお、アセチレ
ン基を有する単分子膜では電子線照射の他に触媒による
重合も可能であり、その時塩化タンタル、塩化タングス
テン、塩化モリブデン等が使用できる。ジアセチレン基
の場合は上記電子線照射重合、触媒重合が可能である
他、紫外線照射による重合も可能である。また、ピロリ
ル基、フラニル基、チオフェニル基等の複素環を有する
基からなる場合は電解重合法が用いられる。
【0027】このフィルムを使用を試みたが、処理しな
いものに比べて帯電状態が明らかに改善されており、フ
ィルム同志の密着現象も起こらず、また帯電にともなう
埃等の付着を大幅に低減できた、またたとえ付着した場
合にもブラシでこする程度で簡単に除去できた。また、
このとき、傷は全く付かなかった。さらに付加機能とし
て、手垢等による油脂分汚れの除去も従来と比べより容
易であった。
【0028】実施例2 プラズマ処理等を行ってもある程度は親水性ではあるが
水酸基を含む割合が少ないフィルム11の場合、内層膜
用化学吸着剤(例えばSiCl4 、又はSiHCl3
SiH2 Cl2 、Cl−(SiCl2 O)n −SiCl
3 (nは整数)。特に、SiCl4 を用いれば、分子が
小さく水酸基に対する活性も大きいので、フィルム11
表面を均一に親水化する効果が大きい)を混ぜた非水系
溶媒、例えばクロロホルム溶媒に1重量パーセント溶解
した溶液に30分間程度浸漬すると、フィルム表面11
には親水性のOH基12が多少とも存在するので(図
4)、表面で脱塩酸反応が生じる。次にフレオン−11
3などの非水系溶媒を用いて未反応化学吸着剤を洗浄・
除去し、その後に水と反応させると、内層膜であるシロ
キサン系単分子膜13が形成される。
【0029】例えば、クロロシリル基を複数個含む物質
としてSiCl4 を用いれば、フィルム11表面には少
量の親水性のOH基が露出されているので、表面で脱塩
酸反応が生じて次式(化3)で示すように分子が−Si
O−結合を介して表面に固定される。
【0030】
【化3】
【0031】その後、非水系の溶媒例えばクロロホルム
で洗浄して、さらに水で洗浄すると、基体と反応してい
ないSiCl4 分子は除去され、フィルム表面に次式
(化4)で示すようにシロキサン単分子膜13が得られ
る(図5)。
【0032】
【化4】
【0033】なお、このときできた単分子膜13はフィ
ルム11とは−SiO−の化学結合を介して完全に結合
されているので剥がれることが無い。また、得られた単
分子膜は表面にSiOH結合を数多く持つ。当初の水酸
基の約3倍程度の数が生成される。
【0034】そこでさらに、末端にエチニル基を有する
炭化水素基及びクロロシリル基を含む物質を混ぜた非水
系の溶液、(例えば、前記(化1)で示すエチニル基を
含む化合物を用い、2重量%程度の濃度で溶かした80
重量%のn−ヘキサデカン、12重量%の四塩化炭素、
8重量%のクロロホルム溶液)を調製し、前記表面にS
iOH結合を数多く持つ単分子膜の形成されたフィルム
を1時間程度浸漬すると、フィルム表面に前記(化2)
に示すような結合が生成され、化学吸着単分子膜14が
下層のシロキサン単分子膜13´と化学結合した状態で
フィルム11表面全面に亘り約25オングストロームの
膜厚で形成できた(図6)。
【0035】次に、前記化学吸着単分子膜14に電子線
を10メガラッド程度照射して、アセチレン基の重合を
行った。この重合によってポリアセチレン基15が化学
吸着単分子膜14´の表面に形成され、導電性が付与さ
れた(図7)。なお、前記フィルム11の導電性は10
-10 S/cm以下であったが、図7のようにポリアセチレ
ン膜にすると、10-5S/cm以上の導電性を有すること
が確認できた。
【0036】なお、アセチレン基を有する単分子膜では
電子線照射の他に触媒による重合も可能であり、その時
塩化タンタル、塩化タングステン、塩化モリブデン等が
使用できる。ジアセチレン基の場合は上記電子線照射重
合、触媒重合が可能である他、紫外線照射による重合も
可能である。また、ピロリル基、フラニル基、チオフェ
ニル基等の複素環を有する基からなる場合は電解重合法
が用いられる。
【0037】なお、単分子膜は剥離試験を行なっても剥
離することがなかった。以上の実施例の通り、分子内に
アセチレニック(エチニル)基、ジアセチレニック基、
ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基などのπ共役
系官能基を含む(アルキル)クロロシラン系化学吸着剤
化合物を非水系溶媒に溶かし、水酸基などの活性基を有
するかまたは付与した基材表面に接触させ、前記化学吸
着剤は基材表面とシラノール基を介して化学結合する。
次に余剰の化学吸着剤を洗浄・除去することによりナノ
メーターレベルの厚さの導電性化学吸着単分子膜を形成
できる。本発明はきわめて薄いナノメータレベルの膜厚
の炭化水素系単分子膜をオーバーヘッドプロジェクト用
フィルムで代表する基体表面に形成するため、基体本来
の透明性を損なうことがない。また、帯電防止に優れて
おり、メンテナンスを大幅に削減できる効果も大きい。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、基
体の表面に化学吸着単分子膜が形成されているので透明
性に優れ、また前記化学吸着単分子膜は基材の表面と化
学結合して形成されているから耐久性に優れ、しかも前
記化学吸着単分子膜は10-5S/cm以上の導電性を有す
るから帯電防止効果の高い高性能膜を実現できる。
【0039】また本発明の第1〜4番目の製造方法によ
れば、前記高性能膜を合理的に効率良く実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のオーバーヘッドプロジ
ェクト用フィルム表面の水酸基を分子レベルまで拡大し
た断面工程概念図である。
【図2】同フィルム表面の単分子膜を分子レベルまで拡
大した断面工程概念図である。
【図3】同フィルム表面の単分子膜をアセチレン化した
ときの分子レベルまで拡大した断面工程概念図である。
【図4】本発明の第2の実施例のオーバーヘッドプロジ
ェクト用フィルム表面を分子レベルまで拡大した断面工
程概念図である。
【図5】同シロキサン基を形成したときの表面を分子レ
ベルまで拡大した断面工程概念図である。
【図6】同単分子膜を形成したときの表面を分子レベル
まで拡大した断面工程概念図である。
【図7】同単分子膜をアセチレン化したときの表面を分
子レベルまで拡大した断面工程概念図である。
【符号の説明】
1,11 フィルム 2,12 水酸基 3,13 シロキサン単分子膜 4,14 化学吸着単分子膜 5,15 ポリアセチレン基
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−232232(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性が10-10 S/cm以下の基材の表
    面に、10-5S/cm以上の導電性を有する導電性化学吸
    着単分子膜が、基材の表面と化学結合して形成されてい
    る帯電防止膜。
  2. 【請求項2】 導電性化学吸着単分子膜が少なくともシ
    ロキサン系単分子膜を介して表面に形成されている請求
    項1記載の帯電防止膜。
  3. 【請求項3】 化学吸着単分子膜が、π共役系官能基を
    含む請求項1または2記載の帯電防止膜。
  4. 【請求項4】 導電性が10-10 S/cm以下の基材を、
    一端にクロルシリル基(SiCln 3-n 基、n=1、
    2、または3、Xは官能基)を有するクロロシラン系化
    学吸着剤を溶かした非水系有機溶媒中に浸漬し、化学吸
    着単分子膜を基材表面に形成する工程を含む帯電防止膜
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 導電性が10-10 S/cm以下の基材を、
    クロロシリル基を複数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に
    接触させて、前記基材表面の水酸基と前記化学吸着物質
    のクロロシリル基とを反応させ、前記化学吸着物質を前
    記基材表面に吸着させる工程と、非水系有機溶媒を用い
    前記基材上の未反応化学吸着物質を洗浄・除去した後、
    水と反応させて、前記基材上にシラノール基を複数個含
    む分子よりなる単分子膜を形成する工程と、一端にクロ
    ルシリル基(SiCln 3-n 基、n=1、2、または
    3、Xは官能基)を有し他の一端に直鎖状炭化水素基を
    含むクロロシラン系化学吸着剤を基材表面に化学吸着し
    単分子吸着膜を累積する工程とを含む帯電防止膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 導電性が10-10 S/cm以下の基材を、
    一端にクロルシリル基(SiCln 3-n 基、n=1、
    2、または3、Xは重合によりπ共役系を構成する基を
    含む官能基)を有するクロロシラン系化学吸着剤を溶か
    した非水系有機溶媒中に浸漬し、化学吸着単分子膜を前
    記基材表面全体に亘り形成する工程と、上記単分子膜を
    電気化学的または光照射によるエネルギー照射または触
    媒により重合する工程と含む帯電防止膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 導電性が10-10 S/cm以下の基材を、
    クロロシリル基を複数個含む化学吸着物質を混ぜた非水
    系溶媒に接触させ、前記基材表面の水酸基と前記化学吸
    着物質のクロロシリル基とを反応させ、前記化学吸着膜
    を前記基材表面に吸着させる工程と、非水系有機溶媒を
    用い前記基材上の未反応化学吸着物質を洗浄除去した
    後、水と反応させて、前記基材上にシラノール基を複数
    個含む分子よりなる単分子膜を形成する工程と、一端に
    クロルシリル基(SiCln 3-n 基、n=1、2、ま
    たは3、Xは重合によりπ共役系を構成する基を含む官
    能基)を有し他の一端に直鎖状炭化水素基を含むクロロ
    シラン系化学吸着剤を前記基材上に化学吸着し単分子吸
    着膜を累積する工程と、上記単分子膜を電気化学的また
    は光照射によるエネルギー照射または触媒により重合す
    る工程とを含む帯電防止膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 クロロシリル基を複数個含む物質として
    SiCl4 、またはSiHCl3 、SiH2 Cl2 、C
    l−(SiCl2 O)n −SiCl3 (nは整数)を用
    いる請求項4,5,6,または7記載の帯電防止膜の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 一端にクロルシリル基を有し他の一端に
    直鎖状フッ化炭素基を含むクロロシラン系化学吸着剤と
    して、CH3 (CH2 n RSiXp Cl3-p (nは0
    または整数、Rはアルキレン基、ビニレン基、またはS
    i原子若しくは酸素原子を含む置換基、または化学結
    合、XはHまたはアルキル基の置換基、pは0または1
    または2)を用いる請求項4,5,6または7記載の帯
    電防止膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 重合によりπ共役系を構成する基Xが
    アセチレニック(エチニル)基、ジアセチレニック基、
    ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基から選ばれる
    少なくとも一つの官能基である請求項6または7記載の
    帯電防止膜の製造方法。
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