JP3292213B2 - 高分子成形体 - Google Patents

高分子成形体

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JP3292213B2
JP3292213B2 JP00140593A JP140593A JP3292213B2 JP 3292213 B2 JP3292213 B2 JP 3292213B2 JP 00140593 A JP00140593 A JP 00140593A JP 140593 A JP140593 A JP 140593A JP 3292213 B2 JP3292213 B2 JP 3292213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表面改質した高分子成形
に関する。特に撥水・撥油性を付与した高分子成形体
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、表面を撥水・撥油性に改質した高
分子成形体としては、例えば高分子の表面に含フッ素シ
ランカップリング剤、ワックスおよびフロロカーボン系
ポリマーの懸濁液をコーティングしたものあるいはフル
オロカーボン微粒子を汎用高分子に分散したもの(実開
平2−78148号公報)が一般によく知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法で得られる高分子成形体の表面の撥水・撥油性は、
ポリテトラフルオロエチレンに比べて悪い。たとえば水
に対する接触角は約100度でポリテトラフルオロエチ
レンの110度に比べて低いという課題があった。ま
た、コーティング膜は、高分子を含む基体との結合力が
弱く、布で表面を拭いたり、水での洗浄を繰り返すと、
コーティング膜が基体から剥離して、表面処理効果がな
くなってしまうという課題があった。
【0004】本発明は、従来の欠点に鑑みなされたもの
で、超撥水・撥油性を有し、耐久性が優れた高分子成形
を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明の高分子成形体は、高分子マトリックス樹脂と
フィラーとから少なくとも構成される高分子成形体であ
って、フッ化アルキル基を有するクロロシラン界面活性
剤、またはフッ化アルキル基を有するチオール界面活性
剤を表面に反応させて化学結合させたフィラーを分散さ
せたことを特徴とする。
【0006】また前記構成においては、フルオロカーボ
ン系化学吸着膜が単分子膜、単分子累積膜、またはポリ
マー膜であることが好ましい。
【0007】また前記構成においては、フィラーがSi
2,TiO2,Al23,ZnO,銅,フェライト,Z
nOから選ばれる無機粒子、ウィスカ、及びガラス繊維
の少なくとも1つであることが好ましい。
【0008】
【作用】前記本発明の高分子成形体によれば、フルオロ
カーボン系化学吸着膜で表面をおおわれた無機微粒子を
高分子中に分散させた構造をしている。そのため、高分
成形体の表面には、無機微粒子の突起が無数にあり、
かつその突起の表面が撥水性のフルオロカーボンで覆わ
れている。この構造はあたかも蓮の葉の表面のようにな
っているので、超撥水性が発現する。また、無機微粒子
は高分子と密着しているので、布で拭いても表面から剥
離しにくい。また、仮に摩擦により削り取られても、新
しい無機微粒子が表面に出てくるので、耐久性は優れた
ものとなる。
【0009】次に、高分子成形体の表面にフルオロカー
ボン系化学吸着膜が形成されていると、さらに超撥水性
および耐久性が向上する。
【0010】また、フルオロカーボン系化学吸着膜で表
面が覆われているフィラーが高分子組成形体に分散され
ているので、前記の作用に加えてマトリックス樹脂が疎
水性ポリマーの場合は、樹脂との接着性が向上する。
【0011】また、フルオロカーボン系化学吸着膜が単
分子膜、単分子累積膜、またはポリマー膜であると、オ
ングストロームまたはナノメーターレベルの厚さの吸着
膜から、それ以上の厚さの膜まで、目的に応じて形成す
ることができる。
【0012】また、フィラーがSiO2,TiO2,Al2O3,ZnO,
銅,フェライト,およびZnOから選ばれる無機粒子、ウ
ィスカ、及びガラス繊維の少なくとも1つであると、シ
ロキサン結合(銅の場合は、−S−結合)を介して化学
吸着膜を形成し易い。そしてフィラーと化学吸着膜はシ
ロキサン結合を介して化学結合しているので、耐久性が
優れたものとなる。
【0013】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0014】図1は、高分子3中にフッ化アルキル系化
学吸着膜1でおおわれた無機微粒子2を分散させた成形
の一実施例である。
【0015】図2は、高分子13中にフッ化アルキル系
化学吸着膜11でおおわれた無機微粒子12を分散させ
高分子成形体において、前記高分子成形体の表面に
フッ化アルキル系化学吸着膜11を形成させた構造の一
実施例である。
【0016】図3は、無機微粒子22を分散させた高分
成形体23において、前記高分子成形体23の表面に
存在する前記無機微粒子22の表面にフッ化アルキル系
化学吸着膜21を形成した構造の参考例である。
【0017】図4は、無機微粒子32を分散させた高分
成形体33において、前記無機微粒子32および高分
成形体33の表面にフッ化アルキル系化学吸着膜31
を形成させた構造の参考例である。
【0018】以上いずれの例においてもマトリックス樹
脂の表面に、化学吸着膜を表面で覆ったフィラーを露出
させておくことが特徴である。
【0019】本発明に使用できる高分子樹脂材料として
は、例えばポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹
脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂,ポリアラミド
樹脂、ポリイミド樹脂、アクリルブタジエンスチレン共
重合体(ABS)樹脂、アセタール樹脂、メチルペンテ
ン樹脂等の熱可塑性樹脂、例えばエポキシ樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル硬化樹脂、エボナイト
等の熱硬化性樹脂、もしくは例えばブタジエン−スチレ
ンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴ
ム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムが挙げら
れ、一般の汎用プラスチック材料の何れでもよい。
【0020】本発明の高分子成形体で、無機微粒子およ
び高分子の表面にフッ化アルキル系化学吸着膜を形成す
る場合、フッ化アルキル基を有するクロロシラン系界面
活性剤が用いられる。また、無機微粒子が銅の場合はフ
ッ化アルキル基を有するチオールが用いられる。
【0021】フッ化アルキル基を有するクロロシラン系
界面活性剤としては、たとえば CF3(CF2)7(CH2)2SiCl3, CF3CH2O(CH2)15SiCl3, CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3, CF3(CF2)3Si(CH3)2(CH2)9SiCl3, CF3(CF2)7Si(CH3)2(CH2)9SiCl3, CF3(CF2)7Si(CH3)2(CH2)10SiCl3, CF3(CF2)7Si(CH3)2(CH2)16SiCl3, CF3COO(CH2)15SiCl3, CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3等のようなトリクロロシラン系界
面活性剤を始め、例えば CF3(CF2)7(CH2)2SiCln(CH3)3-n, CF3(CF2)7(CH2)2SiCln(C2H5)3-n, CF3CH2O(CH2)15SiCln(CH3)3-n, CF3CH2O(CH2)15SiCln(C2H5)3-n, CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCln(CH3)3-n, CF3(CF2)3Si(CH3)2(CH2)9SiCln(C2H5)3-n, CF3(CF2)7Si(CH3)2(CH2)9SiCln(CH3)3-n, CF3COO(CH2)15SiCln(CH3)3-n, CF3(CF2)5(CH2)2SiCln(CH3)3-n (但し式中のnは何れも1又は2)等のような低級アル
キル基置換のモノクロロシラン系あるいはジクロロシラ
ン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも特にトリ
クロロシラン系界面活性剤の、親水性基と結合したクロ
ロシリル結合以外のクロロシリル結合が隣合うクロロシ
ラン基とシロキサン結合で分子間結合を形成するため、
より強固な化学吸着膜となり好ましい。また、CF3(CF2)
nCH2CH2SiCl3(但し式中のnは整数であり、3〜25程
度が最も扱いやすい)が、溶剤溶解性、化学吸着性と溌
水溌油性又は防汚性等の機能性との釣合が取れているた
め好ましい。さらにまた、アルキル鎖又はフッ化アルキ
ル鎖部分に炭素−炭素の二重結合、または炭素−炭素の
三重結合基を組み込んでおけば、化学吸着膜形成後5メ
ガラド程度の電子線照射で架橋できるのでさらに化学吸
着膜自体の硬度を向上させることも可能である。
【0022】本発明に用いられるクロロシラン系界面活
性剤は、前記に例示したように直鎖状だけではなく、フ
ッ化アルキル基又は炭化水素基が分岐した形状でも、又
は末端の珪素にフッ化アルキル基もしくは炭化水素基が
置換した形状(即ちR,R1,R2,R3をフッ化アルキル基又は
炭化水素基として一般式R2SiCl2,R3SiCl,R1R2SiCl2もし
くはR1R2R3SiCl等)であってもよいが、吸着密度を高め
るためには一般には直鎖状が好ましい。さらに、例え
ば、SiCl4,SiHCl3,SiH2Cl2,Cl-(SiCl2O)n-SiCl3(但し
式中nは自然数)、SiClm(CH3)4-m,SiClm(C2H5)4-m(但
し式中mは1〜3の整数)、HSiClp(CH3)3-p,HSiClp(C2
H5)3-p(但し式中pは1又は2)等のようなクロロシリ
ル結合を複数個含む物質を化学吸着させた後水と反応す
ると、表面のクロロシリル結合が親水性のシラノール結
合に変わり、親水性となる。なお、このクロロシリル基
を複数個含む物質の中でも、テトラクロロシラン(SiC
l4)は反応性が高く分子量も小さいためより高密度にシ
ラノール結合を付与できるため好ましい。このようにし
て親水性化すると、この上に例えばフッ化アルキル基を
含むクロロシラン系界面活性剤を化学吸着でき、このよ
うにして得た化学吸着膜はより高密度化されるため、溌
水性、溌油性及び防汚性等の機能がより高められる。
【0023】本発明で銅の微粒子の表面にフッ化アルキ
ル系化学吸着膜を形成する場合は、フルオロアルキルチ
オールが用いられる。
【0024】フルオロアルキルチオールの例としては、
F(CF2)n(CH2)mSH,CF3(CF2)m(CH2)nSH(m,n=1〜1
8の整数)などがあげられる。
【0025】本発明に用いられる無機微粒子の例として
は、SiO,TiO,SiO2,TiO2,Al2O3,ZnO,フェライト,ZnOウィ
スカ、ガラス繊維、銅などが例として上げられる。
【0026】本発明に用いられる無機微粒子の大きさと
しては、直径が0.1〜100μmのものが望ましい。
【0027】本発明の高分子組成物においては、無機微
粒子は高分子樹脂100重量部に対して1〜200重量
部の割合で分散されているのが望ましい。
【0028】本発明の第1の実施例は、フッ化アルキル
系化学吸着膜で表面をおおわれた無機微粒子を高分子
形体中に分散させる。フッ化アルキル系化学吸着膜で表
面をおおわれた無機微粒子を製造するには、フッ化アル
キル基を有するクロロシラン系界面活性剤を溶解した非
水系有機溶媒(水酸基、アミノ基、イミノ基を含有しな
い)に無機微粒子を加え、不活性ガス雰囲気下で、0.
5〜2時間攪拌したのち、溶媒を除去する。フッ化アル
キル系化学吸着膜で表面をおおわれた無機微粒子が銅微
粒子の場合には、フッ化アルキルチオールを溶解した有
機溶媒に銅微粒子を加え、0.5〜2時間攪拌のち溶媒
を除去する。
【0029】本発明の第2の実施例は、フッ化アルキル
系化学吸着膜で表面をおおわれた無機微粒子を高分子
形体中に分散させた後、前記高分子の表面にフッ化ア
ルキル系化学吸着膜を形成させる。
【0030】高分子成形体表面にフッ化アルキル系化学
吸着膜を形成させるには、フッ化アルキル基を有するク
ロロシラン系界面活性剤を溶解した非水系有機溶媒に、
高分子を0.5〜24時間浸漬させるあるいは、ディッ
プさせる。フッ化アルキル基を有するクロロシラン系界
面活性剤の蒸気に高分子を暴露してもよい。あるいは、
フッ化アルキル基を有するクロロシラン系界面活性剤を
溶解した非水系有機溶媒をスプレーで吹き付けてもよ
い。
【0031】吸着法で化学吸着膜を形成する場合に用い
られる非水系有機溶媒は、クロロシラン系界面活性剤を
用いる場合は活性水素を持たない溶媒がよい。たとえ
ば、ヘキサデカン、イソオクタン、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、テトラリン、石油エーテル、クロ
ロホルム、四塩化炭素、パーフルオロカーボン、パーフ
ルオロアルキル三級アミン、パーフルオロアルキル環状
エーテルなどが例として上げられる。また、フッ化アル
キルチオールを用いる場合は、非水系溶媒に加えてエタ
ノールなどのアルコール系の溶媒も使用できる。なお、
吸着溶媒を選択するときは、高分子を溶かさない溶剤を
選択する必要がある。
【0032】高分子成形体の表面に化学吸着膜を形成す
る場合、表面に活性水素(水酸基、アミノ基、イミノ
基、カルボキシル基等)を持たない高分子は、吸着前に
表面をあらかじめ酸化して、活性基をつくる必要があ
る。その方法として、たとえば、酸素プラズマ処理、U
V/オゾン処理、コロナ処理、濃硫酸と重クロム酸カリ
ウムの混合溶液に浸漬する方法(クロム混酸液処理)な
どが例として上げられる。
【0033】本発明の第3の実施例(参考例)は、無機
微粒子を高分子に分散させた後、前記高分子の表面に出
ている無機微粒子の表面にフッ化アルキル系化学吸着膜
を形成させる。無機微粒子の表面が高分子の薄い膜でお
おわれている場合には、紙ヤスリあるいはサンドブラス
トで高分子の膜を除くと、無機微粒子の表面に化学吸着
膜を効率よく形成できる。
【0034】本発明の第4の実施例(参考例)は、無機
微粒子を高分子成形体に分散させた後、前記高分子成形
の表面に出ている無機微粒子および高分子の表面にフ
ッ化アルキル系化学吸着膜を形成させる。
【0035】また、本発明の高分子成形体および無機微
粒子表面に形成される化学吸着膜は、化学吸着単分子膜
一層だけでも充分に機能が発揮される。単分子化学吸着
膜を一層だけ形成するには、クロロシラン系界面活性剤
(あるいはチオール系化合物)又はクロロシリル基を複
数個含む物質を化学吸着した後、水分に接触させないで
非水系の溶剤で洗浄するだけでよく、特別な工程を要し
なく簡便に行える。また、化学吸着膜は単分子膜が累積
またはポリマーとなっていても良いことは勿論である。
このように、化学吸着膜が単分子膜を形成すると、付与
された機能性を示す基が配向し、密度も向上するためよ
り高機能を発揮できる。
【0036】次に具体的実施例を用いて本発明を説明す
る。
【0037】実施例1 窒素雰囲気中で、平均粒径1μmのSiO2微粒子10
0gを300mlのビーカーに入れた後、200mlの
1容量%ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランの
シクロヘキサン溶液を加え、10分間超音波をかけたさ
らに50分間そのまま放置する。次に、微粒子を沈降さ
せて上澄液の溶媒を除去し、シクロヘキサンで2回洗浄
し、空気中に取り出す。このようにして得られたSiO
2微粒子20gとポリプロピレン樹脂のペレット100
gを混ぜて、成型機により厚さ0.5mmの高分子樹脂
基板にした。
【0038】実施例2 実施例1において平均粒径1μmのSiO2微粒子を径
1μm、長さ20μmのガラス繊維にかえて同様の実験
をした。
【0039】実施例3 実施例1においてヘプタデカフルオロデシルトリクロロ
シランを10−(ヘプタデカフルオロデシルジメチルシ
リル)デシルトリクロロシランに変えて同様の実験をし
た。
【0040】実施例4 実施例1においてポリプロピレン樹脂をABS樹脂に変
えて同様の実験をした。
【0041】実施例5 実施例1においてSiO2 微粒子を銅微粒子に、ヘプタ
デカフルオロデシルトリクロロシランをヘプタデカフル
オロデシルチオールに変えて同様の実験をした。
【0042】実施例6 窒素雰囲気中で、平均粒径1μmのTiO2微粒子10
0gを300mlのビーカーに入れた後、200mlの
1%ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランのシク
ロヘキサン溶液を加え、10分間超音波をかけ、さらに
50分間そのまま放置する。次に、デカンテーションで
溶媒を除去し、シクロヘキサンで2回洗浄し、空気中に
取り出す。このようにして得られたTiO2微粒子20
gとポリプロピレンのペレット100gを混ぜて、成型
機により厚さ0.5mmの高分子基板にした。
【0043】この高分子基板の表面を100W、1分間
の条件で酸素プラズマ(バレル型プラズマ処理装置、P
M−600、サムコインターナショナル研究所製)処理
した後、フッ化アルキル基を含むクロロシラン系界面活
性剤としてヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン
を用い、濃度10-2mol/リットルのパーフルオロカー
ボン溶液(FC−40、スリーエム製)に窒素雰囲気下
室温で60分間浸漬し、引き続いて未反応のヘプタデカ
フルオロデシルトリクロロシランをパーフルオロカーボ
ン溶媒で洗浄して、しかる後純水で洗浄し、フッ化アル
キル基を含むシロキサン結合を介した化学吸着単分子膜
を高分子基板表面に形成した。
【0044】実施例7 実施例6において、TiO2微粒子をZnOウィスカに
かえて同様の実験をした。
【0045】実施例8 実施例6において、ポリプロピレン樹脂をポリアミド樹
脂にかえて同様の実験をした。
【0046】実施例9 実施例6において、ポリプロピレン樹脂をポリイミド樹
脂にかえて同様の実験をした。
【0047】実施例10 実施例6において、ポリプロピレン樹脂をポリアラミド
樹脂にかえて同様の実験をした。
【0048】実施例11(参考例) 平均粒径1μmのAl23微粒子20gとポリプロピレ
ン樹脂のペレット100gを混ぜて、成型機により厚さ
0.5mmの高分子基板にした。
【0049】この高分子基板の表面をサンドブラスト処
理した後、フッ化アルキル基を含むクロロシラン系界面
活性剤としてヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラ
ンを用い、濃度10-2mol/リットルのパーフルオロカ
ーボン溶液(FC−40、スリーエム製)に窒素雰囲気
下室温で60分間浸漬し、引き続いて未反応のヘプタデ
カフルオロデシルトリクロロシランをパーフルオロカー
ボン溶媒で洗浄して、しかる後純水で洗浄し、フッ化ア
ルキル基を含むシロキサン結合を介した化学吸着単分子
膜をAl23微粒子表面に形成した。
【0050】実施例12(参考例) 実施例11においてAl23微粒子をZnO微粒子に変
えて、実施例11と同様の実験をした。
【0051】実施例13(参考例) 実施例11においてポリプロピレン樹脂をポリカ−ボネ
ート樹脂に変えて、実施例11と同様の実験をした。
【0052】実施例14(参考例) 実施例11においてヘプタデカフルオロデシルトリクロ
ロシランをCF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2(CH2)16SiCl3に変
えて、同様の実験をした。
【0053】実施例15(参考例) 実施例11において、Al23微粒子をCu微粒子に変
え、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランをヘプ
タデカフルオロデシルチオールに変えて、同様の実験を
した。
【0054】実施例16(参考例) 平均粒径1μmのフェライト微粒子20gと6,6−ナ
イロン樹脂のペレット100gを混ぜて、成型機により
厚さ0.5mmの高分子樹脂基板にした。
【0055】この高分子樹脂基板の表面をサンドブラス
ト処理した後、100W、1分間の条件で酸素プラズマ
(バレル型プラズマ処理装置、PM−600、サムコイ
ンターナショナル研究所製)処理した後、フッ化アルキ
ル基を含むクロロシラン系界面活性剤としてヘプタデカ
フルオロデシルトリクロロシランの濃度10-2mol/リ
ットルのパーフルオロカーボン溶液(FC−40、スリ
ーエム製)に窒素雰囲気下室温で60分間浸漬し、引き
続いて未反応のヘプタデカフルオロデシルトリクロロシ
ランをパーフルオロカーボン溶媒で洗浄して、しかる後
純水で洗浄し、フッ化アルキル基を含むシロキサン結合
を介した化学吸着単分子膜を高分子樹脂基板およびフェ
ライト微粒子表面に形成した。
【0056】実施例17(参考例) 実施例16において、フェライト微粒子をZnO微粒子
に変えて、同様の実験をした。
【0057】実施例18(参考例) 実施例16において、6,6−ナイロン樹脂をウレタン
樹脂に変えて、同様の実験をした。
【0058】実施例19(参考例) 実施例16において、ヘプタデカフルオロデシルトリク
ロロシランをCF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2(CH2)10SiCl3
変えて、同様の実験をした。
【0059】実施例20(参考例) 実施例16において、高分子基板およびフェライト微粒
子表面に気相でヘプタデカフルオロデシルトリクロロシ
ランを吸着させた。
【0060】実施例1〜20で得られた高分子基板の表
面の水およびヘキサデカンに対する接触角を自動接触角
計(CA−Z形、協和界面科学製)で測定した。その結
果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】表から明らかなように、本実施例で得られ
る高分子組成物は水に対する接触角が140度以上、ヘ
キサデカンに対する接触角が100度以上で撥水・撥油
性が優れていることがわかる。
【0063】本実施例の高分子成形物では、表面を水を
含んだ布で1万回繰り返し擦って洗浄した後でも、水お
よびヘキサデカンに対する接触角は変化せず、耐久性が
優れていた。
【0064】なお、上記実施例で説明した化学吸着膜は
何れも単分子膜一層だけの場合であるが、化学吸着単分
子膜を累積した高分子成形物でも、未反応のクロロシラ
ン系界面活性剤を洗浄せずに形成した化学吸着膜でも、
その機能は何等変わるところがなかった。
【0065】さらに、上記実施例では何れも無機微粒子
を含む高分子成形物のみを用いた例を示したが、例え
ば、可塑剤又は着色剤等を含有した高分子であっても、
高分子成形物に付与された機能には何等変化がなかっ
た。またマトリックス樹脂がフッ素系樹脂である場合
は、フィラーの表面にフルオロカーボン系化学吸着膜が
形成されているので、マトリックス樹脂とフィラーとの
接着性が向上する。
【0066】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の高分子成形
によれば、フルオロカーボン系化学吸着膜で表面をお
おわれた無機微粒子を高分子中に分散させた構造をし、
高分子成形体の表面には、無機微粒子の突起が無数にあ
り、かつその突起の表面が撥水性のフルオロカーボンで
覆われているので、超撥水性が発揮される。また、無機
微粒子は高分子と密着しているので、耐久性は優れたも
のとなる。
【0067】次に、高分子成形体の表面にフルオロカー
ボン系化学吸着膜が形成されていると、さらに超撥水性
および耐久性が向上する。
【0068】また、フルオロカーボン系化学吸着膜で表
面が覆われているフィラーが高分子成形体に分散されて
いると、前記の作用に加えてマトリックス樹脂が疎水性
ポリマーの場合は、樹脂との接着性が向上する。
【0069】また、フルオロカーボン系化学吸着膜が単
分子膜、単分子累積膜、またはポリマー膜であると、オ
ングストロームまたはナノメーターレベルの厚さの吸着
膜から、それ以上の厚さの膜まで、目的に応じて形成す
ることができる。
【0070】また、フィラーがSiO2,TiO2,Al2O3,ZnO,
銅,フェライト,ZnOから選ばれる無機粒子、ウィスカ、
及びガラス繊維の少なくとも1つであると、シロキサン
結合(銅の場合は、−S−結合)を介して化学吸着膜を
形成し易い。そしてフィラーと化学吸着膜はシロキサン
結合を介して化学結合しているので、耐久性が優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の高分子成形体表面の拡大断
面概念図
【図2】本発明の別の実施例の高分子成形体表面の拡大
断面概念図
【図3】本発明の参考例の高分子成形体表面の拡大断面
概念図
【図4】本発明のさらに別の参考例の高分子成形体表面
の拡大断面概念図
【符号の説明】
1 フッ化アルキル系化学吸着膜 2 無機微粒子(フィラー) 3 高分子成形体 11 フッ化アルキル系化学吸着膜 12 無機微粒子(フィラー) 13 高分子成形体 21 フッ化アルキル系化学吸着膜 22 無機微粒子(フィラー) 23 高分子成形体 31 フッ化アルキル系化学吸着膜 32 無機微粒子(フィラー) 33 高分子成形体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−285639(JP,A) 特開 平2−248480(JP,A) 特開 昭60−40254(JP,A) 特開 昭58−147483(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C08K 3/00 - 13/08 C08J 5/00 C08J 7/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子マトリックス樹脂とフィラーとか
    ら少なくとも構成される高分子成形体であって、フッ化
    アルキル基を有するクロロシラン界面活性剤、またはフ
    ッ化アルキル基を有するチオール界面活性剤を表面に反
    応させて化学結合させたフィラーを分散させたことを特
    徴とする高分子成形体。
  2. 【請求項2】 フィラーがSiO2,TiO2,Al
    23,ZnO,銅,フェライト,ZnOから選ばれる無
    機粒子、ウィスカ、及びガラス繊維の少なくとも1つで
    ある請求項1に記載の高分子成形体
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