JP2690876B2 - 透光性基体 - Google Patents

透光性基体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透光性基体に関
し、さらに詳しくは、乗り物もしくは建物等の窓、乗り
物のフロントガラス、光学レンズ、眼鏡用レンズ等のよ
うに撥水撥油防汚効果が要求される透光性基体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばガラス等の透光性基体の汚
れを防止するためには、表面をできるだけ滑らかにする
方法、表面に例えば弗素系被膜等の保護膜を塗布する方
法等が提案されている。また、透光性基体表面の曇を防
止するには、親水性のポリマーをコートする方法もしく
は透光性基体中あるいは透光性基体表面にヒーターを設
置する方法等が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】透光性基体の汚れが水
滴に起因する場合には、例えばヒーター設置により曇止
め効果は働く。しかしヒーターの電源が必要であり、又
埋没もしくは表面に設置されたヒーターが透光性基体の
透明度を妨げるという課題があった。また、例えば親水
性のポリマー等を塗布する手法は比較的簡便であるが、
効果は一時的であり、透光性基体表面を擦ると簡単に親
水性ポリマーが剥がれてしまう課題があった。
【0004】汚れの原因が水滴以外の場合には、これら
の手法はほぼ無意味であり、透光性基体の表面に弗素系
被膜の保護膜を塗布する方法が提案されているが、透光
性基体と弗素系保護膜との密着性が弱く簡単に剥がれ、
又弗素系保護膜自体の不透明性で透光性基体が曇るとい
う課題があり、他の保護膜材料では透明性及び密着性は
向上するが、汚れ成分を簡単に拭い取れないという課題
があった。従って、透光性基体の表面をできるだけ滑ら
かにする方法が実用的であるが、滑らかにするには限界
があり、結局積極的に汚れ防止や撥水撥油性処理を施し
た透光性基体はないという課題があった。
【0005】本発明の目的は、汚れが付着しないか、例
え付着しても簡単に除去されるような撥水性と防汚効果
の高い透光性基体を提供することにある。
【0006】 上記課題を解決するため本発明の透光性
基体は、表面に撥水性基である−CF 3 基が配向してな
ナノメーターレベルの厚さの化学吸着単分子膜が、樹
脂製基材の少なくとも一方の表面に化学的に固定されて
形成されていることを特徴とする。
【0007】前記構成においては、撥水性基を含む化学
吸着単分子膜が、シロキサン結合によって固定されてい
ることが好ましい。次に本発明の透光性基体は、撥水性
基を含むナノメーターレベルの厚さの化学吸着単分子膜
が、少なくともシロキサン系単分子内層膜を介して表面
に形成されていることを特徴とする。この発明の基材は
ガラス、樹脂(プラスチック)を問わない。
【0008】次に本発明の透光性基体は、基材の片面に
撥水性基を含むナノメーターレベルの厚さの化学吸着単
分子膜が表面に形成されており、他の面が親水性基を含
む化学吸着単分子膜で覆われていることを特徴とする。
この発明の基材はガラス、樹脂(プラスチック)を問わ
ない。
【0009】また前記構成においては、撥水性基が、
らに−CF 2 −基を含んでいることが好ましい。また前
記構成においては、親水性基が、水酸基であることが好
ましい。
【0010】また前記構成においては、撥水性基を含む
化学吸着単分子膜が、CF3 −(CF2 n −(R)m
−Si−(ただし、nは0または整数、mは0または
1、Rは炭素数1以上のメチレン基、含ビニレン基の炭
素数1以上のメチレン基、含エチニレン基の炭素数1以
上のメチレン基、含シリコン原子の炭素数1以上のメチ
レン基または含酸素原子の炭素数1以上のメチレン基の
何れかの有機基)からなることが好ましい。
【0011】また前記構成においては、内層膜用のシロ
キサン系単分子内層膜が、SiCl 4 、SiHCl3
SiH2 Cl2 、及びCl−(SiCl2 O)n −Si
Cl 3 (nは整数)から選ばれる少なくとも一つの化合
物が基材表面の親水性基と脱塩化水素反応して基材表面
と共有結合し、その後基材表面と反応していない部分が
加水分解されたものであることが好ましい。
【0012】本発明の透光性基体は、基体表面に形成さ
れた化学吸着単分子膜がナノメータレベルの膜厚できわ
めて薄いため、基体本来の透光性を損なうことがない。
また、本発明の化学吸着単分子膜は撥水性を有するた
め、表面の防汚効果を高めることが可能である。さら
に、透光性基体の一方の面に撥水性基を有する化学吸着
単分子膜を形成し、透光性基体の他方の面に親水性基を
含む化学吸着単分子膜を形成すると、一方の面は撥水防
汚効果と他方の面には防曇効果を有した透光性基体が提
供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】一般の透光性基体材料には、ガラ
スもしくはプラスチックが供される。本発明もこれらの
一般の透光性基体材料に適用できる。基体材料がガラス
であると表面に例えば水酸基のような親水性基を含み、
また基体材料がプラスチック材料でも簡単に酸化処理を
行うことで表面を親水性にすることができる。そこで、
一端に反応性シリル基を有する炭素鎖を含む分子を溶解
した非水系有機溶媒に接触させると、表面の親水性基の
活性水素と反応性シリル基とが脱塩化水素反応し、含珪
素化学結合を介して単分子膜を形成する。このような反
応を化学吸着反応と言い、このようにして得た単分子膜
を化学吸着単分子膜と言う。化学吸着単分子膜は基体表
面と強固な化学結合を介しているため、透光性基体の表
面を削り取らない限り一般には剥離しない程度の付着強
度を有する。この分子の他端に撥水性基を含有させる
と、この撥水性が汚れ防止効果が発揮できる。
【0014】本発明の透光性基体材料には前記したよう
に、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等のプ
ラスチックが好ましく供される。本発明の透光性基体表
面には親水性基が露出している必要があり、親水性基と
しては水酸基、カルボニル基、アミノ基等の活性水素を
有する基があげられる。透光性基体材料表面に親水性基
が少ない場合には、例えば酸素又は窒素雰囲気中での電
子線照射、イオンビーム照射等通常の手法で親水性化し
て供される。
【0015】本発明に供される化学吸着単分子膜の構成
分子としては、一端にクロロシリル(−SiCln
3-n )基又はアルコキシシリル(−Si(OA)n
3-n )基を含有し、他端に炭化水素基又は弗素置換した
炭素を含有するシラン系界面活性剤が挙げられる。但し
式中のnは1〜3の整数であり、Xは水素、低級アルキ
ル基又は低級アルコキシ基を表わし、Aは低級アルキル
基を表わす。上記シラン系界面活性剤のうちクロルシラ
ン系界面活性剤は、室温下で化学吸着反応を行え確実に
化学吸着単分子膜が形成できるため好ましい。クロルシ
ラン系界面活性剤の内でもトリクロルシリル基(即ち式
中のnが3)であると、吸着分子間でもシロキサン結合
を介するため好ましい。また、本発明に供されるシラン
系界面活性剤は、吸着分子密度を向上させるには直鎖状
が好ましい。具体的には、C3 −(CF2 p
(R)m −SiCln 3-n で表わされるクロルシラン
系界面活性剤が好ましい。但し式中pは0または整数、
mは0または1、Rは炭素数1以上のメチレン基、含ビ
ニレン基の炭素数1以上のメチレン基、含エチニレン基
の炭素数1以上のメチレン基、含シリコン原子の炭素数
1以上のメチレン基または含酸素原子の炭素数1以上の
メチレン基の何れか、Xは水素原子、低級アルキル基ま
たは低級アルコキシ基、nは0〜2の整数である。更に
具体的には下記の化合物等が挙げられる。 () CF3 (CF2 7 (CH2 2 SiCl3) CF3 CH2 O(CH2 15SiCl3) CF3 (CH2 2 Si(CH3 2 (C
2 15SiCl3) F(CF2 4 (CH2 2 Si(CH3 2
(CH2 9 SiCl3) CF3 COO(CH2 15SiCl3) CF3 (CF2 5 (CH2 2 SiCl3 また、上記式中のR基がビニレン基またはエチニレン基
を含有すると、触媒、光又は高エネルギー線照射等で不
飽和結合を重合させることにより、分子間に結合が生じ
より強固な単分子膜となるため好ましい。なお、撥水性
基として含フッ化炭素を用いると撥水効果が大きく又撥
油効果も発揮できるため特に好ましい。
【0016】本発明の透光性基体の製造方法としては、
予め成形加工した透光性基体が一般的に供される。な
お、特に本発明の透光性基体にクロロシラン系界面活性
剤を用いる場合には、化学吸着単分子膜を形成した後化
学吸着単分子膜を水分に接触させずに洗浄する必要があ
り、この洗浄工程を経なければ未反応のクロロシラン系
界面活性剤が水分と反応し白濁する。
【0017】また、特に本発明でクロロシラン系界面活
性剤を使用する場合には、界面活性剤と水分との反応性
が高いため、非水系の有機溶剤に溶解させる必要があ
り、このような溶剤としては例えばn−ヘキサデカン、
トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル、四塩化炭素、
クロロホルム等が単独又は複数種混合して用いられる。
クロルシラン系以外のシラン系界面活性剤の場合には、
これ以外に例えばメチルアルコールやエチルアルコール
等も適用できる。
【0018】さらに、本発明の化学吸着単分子膜は、透
光性基体の一方の面にクロロシリル基を含む物質を接触
させ、その後未反応のクロロシリル基を含む物質を洗浄
し、水と反応させ透光性基体表面にシラノール基を有し
た単分子膜を形成させ、しかる後フッ化炭素を含有する
シラン系界面活性剤を化学吸着させる方法を採用する
と、表面に露出した親水性基が少ない基体の場合でも、
撥水性基を含むシラン系界面活性剤を高密度に化学吸着
することができるため好ましい。このクロロシリル基を
有する内層膜用物質としては、例えばSiCl4、Si
HCl3、SiH2Cl2、Cl−(SiCl2O)n−S
iCl3、Hk(R13-kSi(R2nSiClm(R3
3-m等が挙げられ、一般にはCl−Si結合数が多い方
がシラン系界面活性剤を高密度に化学吸着できるため好
ましい。但し式中nは整数、k及びmは1〜3の整数、
1及びR3は低級アルキル基、R2は炭素数1以上のメ
チレン基である。特に、クロロシリル基を含む物質とし
てSiCl4を用いれば、分子が小さく水酸基化に対す
る活性も大きいので、基体表面を均一に親水化する効果
が大きく好ましい。さらに、本発明の透光性基体は、一
方に面だけを撥水性基を含有する化学吸着単分子膜を形
成し、他面は親水性基を有する化学吸着単分子膜を形成
し、透光性基体の両面で異なる性質を呈する基体も提供
できる。この手法としては例えば、クロロシリル基を含
む物質を透光性基体の両面に化学吸着し、クロロシリル
基を含む単分子膜を形成し、この単分子膜を水洗等の手
法でシラノール基を表面に析出させ、親水性単分子膜で
残しておきたい面に例えばポリビニルアルコールもしく
はプルラン等の水溶性高分子材料の水溶液を塗布してお
き、しかる後撥水性基を含む化学吸着単分子膜を形成
し、その後水溶性高分子材料を水洗除去する手法等があ
る。
【0019】なお、本発明の化学吸着単分子膜は、一層
の単分子膜でもよく又単分子累積膜でもよいが、単分子
累積膜の場合には累積層間でも化学結合していることが
要求される。
【0020】以下に本発明に関する透光性基体材料とし
て、ポリカーボネート製(透明樹脂)の自動車フロント
ガラスプレートを取り上げて説明する。なお本発明は、
アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のプラスチック
製透光性基体に応用できる。
【0021】
【実施例1】まず、加工の終了したポリカーボネート樹
脂製フロントガラスを300W、10分程度プラズマ処
理して表面を酸化し親水性とした。次にフレオン溶剤で
洗浄した後、フッ化炭素基及びクロロシリル基を含む物
質としてCF3(C 27(CH22SiCl3を用い、
非水系の溶媒であるフレオン溶媒に1重量%の濃度で溶
かした溶液を調整し、フロントガラスを2時間程度浸漬
した。フロントガラス表面には自然酸化膜が形成されて
おり、その酸化膜表面の水酸基が多数含まれているの
で、フッ化炭素基及びクロロシリル基を含む物質の−S
iCl基の塩素と、水酸基とが脱塩酸反応しフロントガ
ラス表面全面に亘り(化1)に示す結合が生成された。
【0022】
【化1】
【0023】すなわち、フッ素を含む単分子膜2が透光
性基体の表面と化学結合した状態で、図1に示したよう
にフロントガラス1表面にシロキサン結合を介して化学
吸着単分子膜2が一層形成された。この化学吸着単分子
膜2の膜厚は、分子構造から約15オングストローム
(1.5nm)である。なお、単分子膜はきわめて強固
に化学結合しているので、全く剥離することがなかっ
た。
【0024】このフロントガラスを用い実使用を試みた
が、処理しないものに比べ汚物の付着を大幅に低減で
き、また例え付着した場合にもブラシ等でこする程度で
簡単に除去できた。また、このとき、フロントガラス1
表面に傷は全く付かなかった。また、油脂分汚れでも除
去は水洗のみで可能であった。
【0025】
【実施例2】親水性ではあるが水酸基を含む割合が少な
いたとえば表面処理したフロントガラスなどの場合、ク
ロロシリル基を含む物質としてSiCl4 を、非水系溶
媒のフレオン溶媒に1重量パーセント溶解した溶液に3
0分間程度浸漬すると、図2に示したようにフロントガ
ラス11表面には親水性の水酸基(OH基)12が多少
とも存在するので表面で脱塩酸反応が生じ、トリクロロ
シリル基を含む物質のクロロシラン単分子膜が形成され
た。このようにトリクロロシリル基を含む物質としてS
iCl4 を用いれば、フロントガラス11表面に少量の
親水性の−OH基12しか存在していなくとも、フロン
トガラス11表面で脱塩酸反応が生じ(化2)のように
分子が−SiO−結合を介して表面に固定される。
【0026】
【化2】
【0027】なお、このとき一般には未反応のSiCl
4 もクロロシラン単分子膜上に存在するため、その後、
フレオンの非水系の溶媒で洗浄して、さらに水で洗浄す
ると、フロントガラス11表面の水酸基と未反応のSi
Cl4 分子は除去され、図3に示したようにフロントガ
ラス11表面に(化3)等のシロキサン単分子膜13が
得られる。
【0028】
【化3】
【0029】なお、このときできた単分子膜13は、フ
ロントガラス11表面と−SiO−の化学結合を介して
完全に結合されているので剥がれることが全く無い。ま
た、得られたシロキサン単分子膜13は、表面にSiO
H結合を数多く持つ。当初の水酸基の約3倍程度の数が
生成される。
【0030】次に、実施例1で述べた溶液に、この表面
にシロキサン単分子膜13の形成されたフロントガラス
11を1時間程度浸漬すると、シロキサン単分子膜13
表面に(化4)の結合が生成され、図4に示したように
フッ素を含む化学吸着単分子膜14が、下層のシロキサ
ン単分子膜13と化学結合した状態で鏡表面全面に亘り
約15オングストローム(1.5nm)の膜厚で形成で
きた。
【0031】
【化4】
【0032】なお、単分子膜は剥離試験を行なっても全
く剥離することがなかった。また、本実施例のフロント
ガラスを用いて実使用を試みたが、表面の弗素の撥水性
の効果で水滴の付着は全くなく、ワックス成分等の流れ
を想定してワックスを含んだアセトンを吹き付けたが、
やはり表面に化学吸着した単分子膜中の弗素の撥油性の
効果で油は弾かれ曇ることはなく、また汚れも簡単に拭
い取れた。
【0033】なお、フッ化炭素基及びクロロシラン基を
含む物質を混ぜた非水系の溶媒を用い、単分子膜を化学
吸着する際、防曇効果を付与するため親水性のままで残
したい面に耐有機溶媒性の親水性被膜(マスク材料)と
してポリビニルアルコール水溶液を塗布形成しておき、
吸着終了後前記親水性被膜(マスク材料)を水洗除去し
て、図5に示したような一方の表面が撥水撥油防汚性単
分子膜14で、他面が親水性の水酸基を有するシロキサ
ン系単分子膜13のフロントガラスが得られた。このガ
ラスで防曇効果を確かめたが、親水性のままで残したガ
ラス面は、全く曇ることがなかった。
【0034】また、実施例1では単分子膜一層の場合、
実施例2ではシロキサン単分子膜一層の後弗素を含むシ
ラン系界面活性剤層を一層累積した場合を示したが、本
発明の化学吸着単分子膜は一層に限らず多層に累積して
もその効果は変化するものではない。
【0035】さらにまた、上記実施例では、含フッ化炭
素クロルシラン系界面活性剤としてCF3 (CF2 7
(CH2 2 SiCl3 を用いたが、CF3 −(C
2 p−(R)m −SiCln 3-n で表わされるク
ロルシラン系界面活性剤のRの部分に例えばビニレン基
(−CH=CH−)やエチニレン基(炭素−炭素の3重
結合)を付加したり組み込んでおけば、単分子膜形成後
5メガラド程度の電子線照射で架橋できるので、さらに
単分子膜の硬度を向上させることも可能である。
【0036】なお、フッ化炭素系界面活性剤として上記
のもの以外にも (1) CF3CH2O(CH215SiCl3 (2) CF3(CH22Si(CH32(CH2 15
SiCl3 (3) F(CF24(CH22Si(CH32(CH
29SiCl3 (4) CF3COO(CH215SiCl3 (5) CF3(CF25(CH22SiCl3 等のトリクロルシラン系界面活性剤を始め、例えば (6) CF3CH2O(CH215Si(CH32Cl (7) CF3(CH22Si(CH32(CH215
i(CH32Cl (8) CF3CH2O(CH215Si(CH3)Cl2 (9) CF3COO(CH215Si(CH32Cl 等のクロルシラン系界面活性剤が利用できた。また (10) CF3(CF27(CH22Si(OCH33 (11) CF3CH2O(CH215Si(OCH33 等のアルコキシシラン系界面活性剤も、界面活性剤溶液
を加熱することにより同様の効果が得られた
【0037】
【発明の効果】以上説明した通り本発明は、撥水性基を
含むナノメーターレベルの厚さの化学吸着単分子膜が、
基材の少なくとも一方の表面に化学的に固定されている
ことにより、汚れが付着しないか、例え付着しても簡単
に除去されるような撥水性と防汚効果の高い透光性樹脂
基体を実現できる。また、きわめて薄いナノメータレベ
ルの膜厚のフッ化炭素系単分子膜を透光性樹脂表面に形
成するため、透光透光性樹脂本来の光沢を損なうことが
ない。また、この膜はフッ化炭素系単分子膜は撥水撥油
性にも優れており、表面の防汚効果を高めることが可能
となる。従って、きわめて防汚効果の高い高性能透光性
樹脂を効率良く合理的に提供することができる。さらに
内面を親水化しておくことにより防曇性効果も得られ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透光性基体の一実施例であるフロント
ガラスを分子レベルまで拡大した断面概念図
【図2】本発明の透光性基体の他の実施例であるフロン
トガラスの表面を分子レベルまで拡大した断面工程概念
【図3】本発明の透光性基体の他の実施例であるフロン
トガラスの表面を分子レベルまで拡大した断面工程概念
【図4】本発明の透光性基体の他の実施例であるフロン
トガラスの表面を分子レベルまで拡大した断面工程概念
【図5】本発明の透光性基体の他の実施例であるフロン
トガラスの表面を分子レベルまで拡大した断面工程概念
【符号の説明】
1 フロントガラス 2 化学吸着単分子膜 11 フロントガラス 12 水酸基 13 シロキサン単分子膜 14 化学吸着単分子膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−248480(JP,A) 特開 昭60−40254(JP,A) 特開 昭58−147483(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に撥水性基である−CF 3 基が配向
    してなるナノメーターレベルの厚さの化学吸着単分子膜
    が、樹脂製基材の少なくとも一方の表面に化学的に固定
    されて形成されていることを特徴とする透光性基体。
  2. 【請求項2】 撥水性基を含む化学吸着単分子膜が、シ
    ロキサン結合によって固定されている請求項1に記載の
    透光性基体。
  3. 【請求項3】 撥水性基を含むナノメーターレベルの厚
    さの化学吸着単分子膜が、少なくともシロキサン系単分
    子内層膜を介して表面に形成されていることを特徴とす
    る透光性基体。
  4. 【請求項4】 基材の片面に撥水性基を含むナノメータ
    ーレベルの厚さの化学吸着単分子膜が表面に形成されて
    おり、他の面が親水性基を含む化学吸着単分子膜で覆わ
    れていることを特徴とする透光性基体。
  5. 【請求項5】 撥水性基が、さらに−CF 2 −基を含ん
    でいる請求項1〜4の何れかに記載の透光性基体。
  6. 【請求項6】 親水性基が、水酸基である請求項4に記
    載の透光性基体。
  7. 【請求項7】 撥水性基を含む化学吸着単分子膜が、C
    3 −(CF2 n −(R)m −Si−(ただし、nは
    0または整数、mは0または1、Rは炭素数1以上のメ
    チレン基、含ビニレン基の炭素数1以上のメチレン基、
    含エチニレン基の炭素数1以上のメチレン基、含シリコ
    ン原子の炭素数1以上のメチレン基または含酸素原子の
    炭素数1以上のメチレン基の何れかの有機基)からなる
    請求項1〜5に記載の透光性基体。
  8. 【請求項8】 内層膜用のシロキサン系単分子内層膜
    が、SiCl4 、SiHCl3 、SiH2 Cl2 、及び
    Cl−(SiCl2 O)n −SiCl3 (nは整数)か
    ら選ばれる少なくとも一つの化合物が基材表面の親水性
    基と脱塩化水素反応して基材表面と共有結合し、その後
    基材表面と反応していない部分が加水分解されたもので
    ある請求項3に記載の透光性基体。
JP7229102A 1990-12-25 1995-09-06 透光性基体 Expired - Lifetime JP2690876B2 (ja)

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