JP2921532B2 - 防曇撥油膜およびその製造方法 - Google Patents

防曇撥油膜およびその製造方法

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JP2921532B2
JP2921532B2 JP3143499A JP14349991A JP2921532B2 JP 2921532 B2 JP2921532 B2 JP 2921532B2 JP 3143499 A JP3143499 A JP 3143499A JP 14349991 A JP14349991 A JP 14349991A JP 2921532 B2 JP2921532 B2 JP 2921532B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐久性の防曇撥油単
分子膜または防曇撥油単分子累積膜に関するものであ
る。さらに詳しくは、透明性基材の表面の防曇撥油性向
上のため、ナノメータレベルの膜厚で形成された親水性
でかつ撥油性の高い表面が親水基で被われた防曇撥油を
目的としたフッ化炭素系単分子膜または単分子累積膜に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】窓ガラス、浴室の鏡、眼鏡のレンズなど
水蒸気や水滴によって曇りやすい表面に対して防曇性を
付与することは、従来から様々な提案がなされてきた。
【0003】従来、ガラスやプラスチックなどの基材の
防曇性を向上させる方法として、ポリエチレングリコー
ル変性体、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)な
どの親水性コーティング膜を塗布したり、各種シリコー
ン系樹脂を塗布する方法が数多く提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリコ
ーン系樹脂は透明性が低いので基材の色調や光沢を保持
したままで塗布しようとすれば、塗布厚をきわめて薄く
する必要があった。ところが、シリコーン系樹脂は、硬
度が低く耐引っかき性に劣る欠点があるため、塗膜を薄
くすることは耐久性の劣化につながるという問題点があ
った。ポリエチレングリコール変性体、ポリ(ヒドロキ
シエチルメタクリレート)なども同様に耐摩耗性が低
く、耐久性に劣るという問題があった。
【0005】本発明は、前記従来の課題を解決するた
め、ナノメーターレベルの薄い均一厚さの単分子膜およ
びその累積膜を応用することにより、防曇撥油性に優
れ、かつ基材の色調や光沢を保持したままで傷つきにく
く、耐引っかき性が高く表面が親水性のフッ化炭素系の
塗膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の防曇撥油膜は、基体表面にフッ素を含む単
分子膜が基体とシロキサン結合を介して形成され、前記
化学吸着単分子膜の表面に親水性基が固定されているこ
とを特徴とする。
【0007】前記構成においては、フッ素を含む化学吸
着単分子膜が累積されているものであることが好まし
い。次に本発明の第1の製造方法は、表面に水酸基を含
む基体を用意し、クロロシリル基を分子両末端に含むフ
ッ化炭素系界面活性剤を混ぜた非水系溶媒に接触させ
て、前記基体表面の水酸基と前記フッ化炭素系界面活性
剤の一端のクロロシリル基とを反応させる工程と、非水
系有機溶媒を用い前記基体上に残った余分な前記活性剤
を洗浄除去した後、水と反応させて、表面に親水性基が
固定された単分子膜を前記基体上に形成する工程を含む
ことを特徴とする。
【0008】前記構成においては、クロロシリル基を分
子両末端に含むフッ化炭素系界面活性剤として Xp Cl3-p Si−R1 −(CF2 n −R2 −SiXq Cl3-q (ただし、nは整数、R1 ,R2 はアルキル基またはシ
リコン若しくは酸素原子を含む置換基を表わすがなくと
も良い、XはHまたはアルキル基の置換基、p、qは0
または1または2)、または R1 −R2 −(CF2 n −R3 −SiXp Cl3-p (ただし、nは整数、R1 は不飽和基またはジメチルシ
リル基、R2 およびR3 はアルキル基またはシリコン若
しくは酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、
XはHまたはアルキル基の置換基、pは0または1また
は2)を用いることが好ましい。
【0009】次に本発明の第2の製造方法は、表面に水
酸基を含む基体を用意し、クロロシリル基を一端に含み
他の一端に反応性官能基不飽和基を含む界面活性剤を混
ぜた非水系溶媒に接触させ、前記基体表面の水酸基と前
記活性剤の一端のクロロシリル基とを反応させる工程
と、非水系有機溶媒を用い前記基体上に残った余分な前
記活性剤を洗浄除去し、前記基体上に単分子膜を形成す
る工程と、基板表面の反応性官能基をクロロシリル基に
対して活性な基に変化させる工程と、さらにクロロシリ
ル基を分子両末端に含むフッ化炭素系界面活性剤を混ぜ
た非水系溶媒に接触させて前記単分子表面の活性な基と
前記フッ化炭素系界面活性剤の一端のクロロシリル基と
を反応させて前記活性剤を前記基体表面に析出させる工
程と、非水系有機溶媒を用い前記基体上に残った余分な
前記活性剤を洗浄除去した後水と反応させて、前記基体
上にシラノール基を複数個含む界面活性剤よりなる単分
子膜を累積する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】前記本発明の第1〜2の製造方法において
は、表面に水酸基を含む基体としてガラスを用いること
ができる。また前記本発明の第1〜2の製造方法におい
ては、表面に水酸基を含む基体として、予め表面を酸素
を含むプラズマ雰囲気で処理して親水性化したプラスチ
ックを用いることができる。
【0011】
【作用】前記した本発明の構成によれば、表面が親水性
で防曇撥油性に優れたきわめて薄いナノメータレベルの
膜厚のフッ化炭素系単分子膜または単分子累積膜を、基
材表面に化学結合(共有結合)した状態で形成するた
め、基材本来の色調や光沢を損なうことがなく、耐引っ
かき性や耐摩耗性に優れた防曇撥油膜が得られる。
【0012】すなわち、基体表面にフッ素を含む単分子
膜が基体とシロキサン結合(共有結合)を介して形成さ
れているので、耐引っかき性や耐摩耗性に優れ、防曇撥
油性にも優れる。また化学吸着単分子膜の表面には親水
性基が固定されているので、防曇撥油性にも優れる。
【0013】また、前記フッ素を含む化学吸着単分子膜
が累積されているという本発明の好ましい構成によれ
ば、さらに撥油性に優れた膜とすることができる。また
前記した本発明の第1の製造方法によれば、本発明の防
曇撥油性の単分子膜を効率良く合理的に製造することが
できる。さらに第1の製造方法を繰り返せば、累積膜を
効率良く得ることができる。
【0014】また前記した本発明の第2の製造方法によ
れば、本発明の防曇撥油性の単分子累積膜を効率良く合
理的に製造することができる。
【0015】
【実施例】本発明は、基体としてガラスやプラスチック
(プラスチックの場合は、表面を酸化して親水性にして
おくか表面が親水性のものを用いるのが好ましい)を用
意し、クロロシリル基を分子両末端に含むフッ化炭素系
界面活性剤を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記基体表
面の水酸基と前記フッ化炭素系界面活性剤の一端のクロ
ロシリル基とを反応させて前記活性剤を前記基体表面に
析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記基体上に
残った余分な前記活性剤を洗浄除去した後水と反応させ
て、前記基体上にシラノール基を複数個含む界面活性剤
よりなる単分子膜を形成する工程とを複数回繰り返し
て、表面が水酸基で被われた親水撥油性フッ素系化学吸
着単分子累積膜を製造する方法により、フッ素を含むシ
ロキサン系単分子膜を介して表面が水酸基で被われてい
る防曇撥油性フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を提供
できる。
【0016】このとき、クロロシリル基を分子両末端に
含むフッ化炭素系界面活性剤として Xp Cl3-p Si−R1 −(CF2 n −R2 −SiXq Cl3-q (nは整数、R1 ,R2 はアルキル基またはシリコンや
酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、XはH
またはアルキル基等の置換基、p、qは0または1また
は2)を用いると好都合である。
【0017】また、フッ化炭素系化学吸着単分子膜を累
積する工程において、クロロシリル基を一端に含み他の
一端に反応性官能基を含む界面活性剤を混ぜた非水系溶
媒に接触させて前記基体表面の水酸基と前記活性剤の一
端のクロロシリル基とを反応させて前記物質を前記基体
表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記基
体上に残った余分な前記活性剤を洗浄除去し前記基体上
に単分子膜を形成する工程と、化学試薬で処理したり、
あるいは反応性ガス中でプラズマ処理したり、反応性ガ
ス中でエネルギービームを照射して、基板表面の反応性
官能基をクロロシリル基に対して活性な基に変化させる
工程とを複数回繰り返して、フッ素系化学吸着単分子累
積膜を製造する方法を用いて、フッ素を含むシロキサン
系単分子膜を介して表面が水酸基で被われている防曇撥
油性フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を提供できる。
【0018】このとき、クロロシリル基を一端に複数個
含み他の一端に反応性官能基を含む界面活性剤として R1 −R2 −(CF2 n −R3 −SiXp Cl3-p (nは整数、R1 は不飽和基またはジメチルシリル基、
2およびR3 はアルキル基またはシリコンや酸素原子
を含む置換基を表わすがなくとも良い、XはHまたはア
ルキル基等の置換基、pは0または1または2)を用い
ると好都合である。
【0019】以下に本発明の表面が親水性のフッ化炭素
系化学吸着単分子膜の累積に用いる化学吸着剤と単分子
膜の累積方法の実施例を順に説明する。本発明に関する
フッ化炭素系単分子累積膜の作製には、両端にクロルシ
ラン基(SiCln 3-n 基、n=1、2、3、Xは官
能基)を有し、内部にフッ化炭素鎖を有する直鎖状のク
ロロシラン系界面活性剤なら殆どすべてが使用可能であ
るが、特に、クロロシリル基を分子両末端に複数個含む
フッ化炭素系界面活性剤としてXp Cl3-p Si−R1
−(CF2 n −R2 −SiXq Cl3-q (nは整数、
1 ,R2 はアルキル基またはシリコンや酸素原子を含
む置換基を表わすがなくとも良い、XはHまたはアルキ
ル基等の置換基、p、qは0または1または2)を用い
ると好都合である。
【0020】また、他のフッ化炭素系化学吸着単分子膜
を累積する方法として、一端にクロルシラン基(SiC
n 3-n 基、n=1、2、3、Xは官能基)を他の一
端に反応性官能基を有し、内部にフッ化炭素鎖を有する
直鎖状のクロロシラン系界面活性剤なら殆どすべてが使
用可能であるが、特に、フッ化炭素系界面活性剤として
1 −R2 −(CF2 n −R3 −SiXp Cl
3-p (nは整数、R1 はビニル基やアセチレン基等の不
飽和基またはジメチルシリル基、R2 およびR3 はアル
キル基またはシリコンや酸素原子を含む置換基を表わす
がなくとも良い、XはHまたはアルキル基等の置換基、
pは0または1または2)を用いると好都合であるが、
以下、Cl3 Si−(CH2 2 −(CF2 6 −(C
2 2 −SiCl3 とCH2 =CH−−(CF2 6
−(CH2 2 −SiCl3 、HSi(CH3 2
(CH2 2 −(CF2 6 −(CH2 2 −SiCl
3 を用いてそれぞれ説明する。
【0021】実施例1 まず、図1に示すように、透明基体1(ガラス、その他
表面が酸化された基体ならよいが、プラスチック等の撥
水性基体の場合は、表面を重クロム酸やO2プラズマで
処理して酸化し親水性にすればよい)を用意し(図1
(a))、よく乾燥した後、分子両末端にクロロシリル
基を複数個含む物質、例えばCl3 Si−(CH2 2
−(CF2 6 −(CH2 2 −SiCl3 を用い、1
wt%程度の濃度で溶かした80wt%ヘキサデカン
(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル等でもよ
い)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶
液を調整し、前記基体を2時間程度浸漬すると、親水性
基体の表面は水酸基2が多数含まれているので、クロロ
シリル(−SiCl)基を分子両末端に複数個含む物質
の何れか片方のSiCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸
反応が生じ基体表面全面に亘り、下記(化1)に示す結
合が生成される。
【0022】
【化1】
【0023】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し基
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去し、水洗する
と、下記(化2)で表わされるシロキサン系単分子膜3
が表面と化学結合(共有結合)した状態でおよそ15オ
ングストロームの膜厚で形成できた(図1(b))。
【0024】
【化2】
【0025】つぎに、化学吸着工程から水洗工程までを
もう一度繰り返すと図1(c)で示される2分子膜4を
形成できた。以下、同様に化学吸着工程から水洗工程を
必要とする層数分繰り返すと、表面が水酸基で被われた
親水撥油性できわめて密着強度の高いフッ化炭素系化学
吸着単分子累積膜を作成できた。
【0026】なお、この膜は、フッ化炭素系の単分子膜
であるにも関わらず、親水性を示した。そして防曇撥油
性に優れ、耐摩耗性、耐久性にも優れていた。また、上
記実施例では、Cl3 Si−(CH2 2 −(CF2
6 −(CH2 2 −SiCl3 を用いたが、Cl3 Si
−(CH2 2 −(CF2 8 −(CH2 2 −SiC
3 やCl(CH3 2 Si−(CH2 2 −(C
2 6 −(CH2 2 −SiCl3 、Cl(CH3
2 Si−(CH2 2 −(CF2 8 −(CH2 2
SiCl3 、Cl3 Si−(CH2 2 −(CF2 6
−(CH2 2 −Si(CH3 2 Cl、Cl3 Si−
(CH2 2 −(CF2 8 −(CH2 2 −Si(C
3 2 Cl等が利用できた。
【0027】実施例2 まず、図2に示すように、実施例1と同様のガラス基体
1を用意し(図2(a))、よく乾燥した後、一端にク
ロロシリル基(−SiCl)を複数個含み他の一端に反
応性官能基基(例えば、ビニル基)を含む物質、例えば
CH2 =CH−(CF2 6 −(CH2 2 −SiCl
3 を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80wt%ヘ
キサデカン(トルエン、キシレン、ジシクロヘキシル等
でもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホ
ルム溶液を調整し、前記基体を2時間程度浸漬すると、
親水性基体の表面は水酸基2が多数含まれているので、
一端にクロロシリル基(−SiCl)を複数個含み他の
一端にビニル基を含む物質のSiCl基と前記水酸基が
反応し脱塩酸反応が生じ基体表面全面に亘り、下記(化
3)で示す単分子膜5が形成できた(図2(b))。
【0028】
【化3】
【0029】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し基
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去し反応性ガス
雰囲気中でエネルギービーム(電子線やイオンビーム、
ガンマ線、紫外線等)を照射(例えば、空気中で電子線
を5Mrad程度照射)すると、下記化4〜6で表わさ
れる分子の混った単分子膜6が表面と化学結合した状態
で形成できた(図2(c))。
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】つぎに、CH2 =CH−(CF2 6
(CH2 2 −SiCl3 を用いた化学吸着工程から水
洗工程をもう一度繰り返せば図2(d)で示されるフッ
化炭素基を含む2分子膜7を作成できた。
【0034】以下、同様に化学吸着工程からエネルギー
ビーム照射工程を必要とする層数分繰り返すと、表面が
水酸基やイミノ基等で被われた親水撥油性できわめて密
着強度の高いフッ化炭素系化学吸着単分子累積膜を作成
できた。
【0035】なお、この膜は、フッ化炭素系の単分子膜
であるにも関わらず、親水性を示した。そして防曇撥油
性に優れ、耐久性にも優れていた。 実施例3 まず、図3に示すように、プラスチック基体1を用意
し、表面を重クロム酸で処理して酸化し親水性に加工し
た後よく乾燥し(図3(a))、一端にクロロシリル基
(−SiCl)を複数個含み、他の一端にジメチルシリ
ル基(HSi(CH3 2 −)を含む物質、例えばHS
i(CH3 2 −(CH2 2 −(CF2 6 −(CH
2 2 −SiCl3 を用い、2wt%程度の濃度で溶か
した80wt%ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ジ
シクロヘキシル等でもよい)、12wt%四塩化炭素、
8wt%クロロホルム溶液を調整し、前記基体を2時間
程度浸漬すると、親水性基体の表面は水酸基2が多数含
まれているので、一端にクロロシリル基(−SiCl)
を複数個含み他の一端にジメチルシリル基を含む物質の
SiCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ基体
表面全面に亘り、下記(化7)で示す単分子膜8が形成
できた(図3(b))。
【0036】
【化7】
【0037】そこで、さらに、有機溶剤でよく洗浄し基
体表面に残留した余分の界面活性剤を除去した後、KF
およびKHCO3 、MeOH、THFを含むH2 2
液で10時間程度処理すると、下記(化8)で表わされ
る単分子膜9が表面と化学結合した状態で形成できた
(図5(c))。
【0038】
【化8】
【0039】つぎに、HSi(CH3 2 −(CH2
2 −(CF2 6 −(CH2 2 −SiCl3 を用いた
化学吸着工程からH2 2 処理工程をもう一度繰り返す
と、図3(d)で示されるフッ化炭素基を含む2分子膜
10を作成できた。
【0040】以下、同様に化学吸着工程からH2 2
理工程を必要とする層数分繰り返すと、表面が水酸基で
被われた親水撥油性できわめて密着強度の高いフッ化炭
素系化学吸着単分子累積膜を作成できた。
【0041】なお、この膜も、フッ化炭素系の単分子膜
であるにも関わらず、親水性を示した。また、防曇撥油
性、耐摩耗性、耐久性にも優れていた。また、最後の吸
着工程で、Cl3 Si−(CH2 2 −(CF2 6
(CH 2 2 −SiCl3 を用いると、さらに親水性を
改善できた。
【0042】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、表
面が親水性で防曇撥油性に優れたきわめて薄いナノメー
タレベルの膜厚のフッ化炭素系単分子膜や単分子累積膜
を、基材表面に化学結合(共有結合)した状態で形成す
るため、基材本来の色調や光沢を損なうことがなく、耐
引っかき性や耐摩耗性に優れた防曇撥油膜が得られる。
【0043】また、前記フッ素を含む化学吸着単分子膜
が累積されているという本発明の好ましい構成によれ
ば、さらに撥油性に優れた膜とすることができる。また
前記した本発明の第1の製造方法によれば、本発明の防
曇撥油性の単分子膜を効率良く合理的に製造することが
できる。さらに第1の製造方法を繰り返せば、累積膜を
効率良く得ることができる。
【0044】また前記した本発明の第2の製造方法によ
れば、本発明の防曇撥油性の単分子累積膜を効率良く合
理的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の表面が親水基で被われた防曇撥油性
フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜の製造方法を説明す
るために用いた工程概念図である。
【図2】本願発明の表面が親水基で被われた防曇撥油性
フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜の製造方法を説明す
るために用いた工程概念図である。
【図3】本願発明の表面がフッ化炭素基被われた防曇撥
油性フッ化炭素系化学吸着単分子累積膜の製造方法を説
明するために用いた工程概念図である。
【符号の説明】
1 基体 2 水酸基 3 親水性フッ化炭素系単分子膜 4,9 親水性フッ化炭素系単分子累積膜 5 ビニル基を含むフッ化炭素系単分子膜 6 表面改質されたフッ化炭素系単分子膜 7 親水性フッ化炭素系単分子累積膜 8 −SiH基を含むフッ化炭素系単分子膜 10 撥水性フッ化炭素系単分子累積膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09K 3/18 104 C09K 3/18 104 (56)参考文献 特開 昭60−40254(JP,A) 特開 平2−248480(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 7/04 B32B 7/02 B32B 9/00 C09K 3/18 104

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面にフッ素を含む単分子膜が基体
    とシロキサン結合を介して形成され、前記化学吸着単分
    子膜の表面に親水性基が固定されていることを特徴とす
    る防曇撥油膜。
  2. 【請求項2】 フッ素を含む化学吸着単分子膜が累積さ
    れている請求項1記載の防曇撥油膜。
  3. 【請求項3】 表面に水酸基を含む基体を用意し、クロ
    ロシリル基を分子両末端に含むフッ化炭素系界面活性剤
    を混ぜた非水系溶媒に接触させて、前記基体表面の水酸
    基と前記フッ化炭素系界面活性剤の一端のクロロシリル
    基とを反応させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記基
    体上に残った余分な前記活性剤を洗浄除去した後、水と
    反応させて、表面に親水性基が固定された単分子膜を前
    記基体上に形成する工程を含むことを特徴とする防曇撥
    油膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 クロロシリル基を分子両末端に含むフッ
    化炭素系界面活性剤として Xp Cl3-p Si−R1 −(CF2 n −R2 −SiXq Cl3-q (ただし、nは整数、R1 ,R2 はアルキル基またはシ
    リコン若しくは酸素原子を含む置換基を表わすがなくと
    も良い、XはHまたはアルキル基の置換基、p、qは0
    または1または2)、または R1 −R2 −(CF2 n −R3 −SiXp Cl3-p (ただし、nは整数、R1 は不飽和基またはジメチルシ
    リル基、R2 およびR3 はアルキル基またはシリコン若
    しくは酸素原子を含む置換基を表わすがなくとも良い、
    XはHまたはアルキル基の置換基、pは0または1また
    は2)を用いる請求項3記載の防曇撥油膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 表面に水酸基を含む基体を用意し、クロ
    ロシリル基を一端に含み他の一端に反応性官能基不飽和
    基を含む界面活性剤を混ぜた非水系溶媒に接触させ、前
    記基体表面の水酸基と前記活性剤の一端のクロロシリル
    基とを反応させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記基
    体上に残った余分な前記活性剤を洗浄除去し、前記基体
    上に単分子膜を形成する工程と、基板表面の反応性官能
    基をクロロシリル基に対して活性な基に変化させる工程
    と、さらにクロロシリル基を分子両末端に含むフッ化炭
    素系界面活性剤を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記単
    分子表面の活性な基と前記フッ化炭素系界面活性剤の一
    端のクロロシリル基とを反応させて前記活性剤を前記基
    体表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記
    基体上に残った余分な前記活性剤を洗浄除去した後水と
    反応させて、前記基体上にシラノール基を複数個含む界
    面活性剤よりなる単分子膜を累積する工程とを含むこと
    を特徴とする防曇撥油膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 表面に水酸基を含む基体としてガラスを
    用いる請求項3,4または5記載の防曇撥油膜の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 表面に水酸基を含む基体として、予め表
    面を酸素を含むプラズマ雰囲気で処理して親水性化した
    プラスチックを用いる請求項3,4または5記載の防曇
    撥油膜の製造方法。
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