JP2000103007A - 撥水撥油性面と親水性面を有する物品及びその製造方法 - Google Patents

撥水撥油性面と親水性面を有する物品及びその製造方法

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JP2000103007A JP11318905A JP31890599A JP2000103007A JP 2000103007 A JP2000103007 A JP 2000103007A JP 11318905 A JP11318905 A JP 11318905A JP 31890599 A JP31890599 A JP 31890599A JP 2000103007 A JP2000103007 A JP 2000103007A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス基体1の一方の表面に微粒子2及びシリ
ケートグラスが混合された凸凹を有する層3を設け、こ
の上にフロロカーボン基およびシロキサン基を含むポリ
マー層又は単分子層からなる撥水撥油膜4をシロキサン
結合により化学結合して撥水撥油性を付与し、他方の面
に親水性膜を形成した物品を提供する。 【解決手段】ガラス基体1の表面に微粒子2及びシリケ
ートグラスを塗布して凸凹を有する層3からなる粗面を
形成し、この上に例えばCF3CH2O(CH2)15SiCl3などのフ
ッ素系界面活性剤を非水系の溶媒とともに薄く塗布し、
脱塩化水素反応を起こさせ、次に過剰の界面活性剤を除
去することにより、ガラス基体及び/又は微粒子表面に
フッ素基を含む分子を結合させ、撥水撥油性の優れた被
膜4を得る。他方の面にはシロキサン膜からなる親水性
膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、一方の面に撥水撥
油性被膜を形成し他方の面に親水性被膜を形成した物品
及びその形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建物や電化製品、乗り物、産業機器、
鏡、眼鏡レンズ等には、耐熱性、耐候性、耐摩耗性など
の超薄膜コーティングが要求されている。
【0003】従来より撥水撥油を目的とした広く用いら
れているコーティング膜の製造方法は、一般に、Al
(アルミ)基体などの表面をサンドブラシ、ワイヤブラ
シや化学エッチング等で荒し、さらにプライマー等を塗
布した後、ポリ4フッ化エチレン等のフロロカーボン系
微粉末をエタノール等に懸濁させた塗料を塗布し乾燥
後、400℃程度で1時間程度ベーキング(焼き付け処
理)をおこない、基体表面にフロロカーボン系ポリマー
を焼き付ける方法が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では製造が容易である反面、ポリマーと基体は単にア
ンカー効果でのみ接着されているに過ぎないため、基体
との密着性に限界があり、また、コーティング膜表面は
400℃の高温ベーキングをおこなうため表面が平坦化
されて良好な撥水撥油面が得られなかった。従って、電
化製品や自動車、産業機器等の撥水撥油性のコーティン
グ膜を必要とする機器の製造方法としては不十分であっ
た。
【0005】加えて、一方の面に撥水撥油性被膜を形成
し、他方の面に親水性被膜を形成した物品がいまだ開発
されておらず、このような物品の開発の要望がある。
【0006】以上述べてきた従来法の欠点に鑑み、本発
明の目的は、一方の面に基体と密着性よく且つピンホー
ル無く、しかも表面に凸凹があり撥水撥油性が優れたフ
ッ素系コーティング膜を形成し、他方の面に親水性被膜
を形成した物品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の第1番目の物品は、基体表面の一方の面が a.シリカ下地層、及び b.ペルフルオロアルキル アルキルシラン で処理された撥水撥油性であり、他方の面が親水性であ
ることを特徴とする。
【0008】次に本発明の第2番目の物品は、基体の表
面の一方の面に、微粒子及びシリケートグラスを混合し
基体表面に塗布した後基体諸とも加熱ベーキング、電解
エッチング、化学エッチング、サンドブラスト、スパッ
タリング及びラビング法から選ばれる少なくとも一種の
手段により凸凹が形成されており、前記凸凹表面がペル
フルオロアルキル アルキルシランで処理された撥水撥
油性であり、他方の面が親水性であることを特徴とす
る。
【0009】次に本発明の第1番目の製造方法は、基体
表面の一方の面に a.シリカ下地層を付着させ、そして b.前記シリカ下地層をペルフルオロアルキル アルキ
ルシランを含む組成物と接触させて撥水撥油性被膜を形
成する、 撥水撥油性面と親水性面を有することを特徴とする。
【0010】次に本発明の第2番目の製造方法は、基体
の表面の一方の面に、微粒子及びシリケートグラスを混
合し基体表面に塗布した後基体諸とも加熱ベーキング、
電解エッチング、化学エッチング、サンドブラスト、ス
パッタリング及びラビング法から選ばれる少なくとも一
種の手段により凸凹を形成し、前記凸凹表面にペルフル
オロアルキル アルキルシランを接触させて処理する撥
水撥油性被膜を形成する、撥水撥油性面と親水性面を有
することを特徴とする。
【0011】前記物品及び方法においては、ペルフルオ
ロアルキル アルキルシランが、CF3−(CF2)n−R
−SiXpCl3-p(nは0または整数、Rはアルキル
基、エチレン基、アセチレン基、またはSi、酸素原子
を含む置換基、XはHまたはアルキル基、シクロアルキ
ル基、アリル基またはこれらの誘導体から選ばれる置換
基、pは0,1または2)、またはCF3−(CF2n
−R−SiYq(OA)3- q(nは0または整数、Rはア
ルキル基、エチレン基、アセチレン基、またはSi、酸
素原子を含む置換基、XはHまたはアルキル基、シクロ
アルキル基、アリル基またはこれらの誘導体から選ばれ
る置換基、OAはアルコキシ基(ただし、AはHまたは
アルキル基)、qは0,1または2)であることが好ま
しい。
【0012】また前記物品及び方法においては、ペルフ
ルオロアルキル アルキルシランが、下記の化合物から
選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。 (1) CF3(CF25(CH22SiCl3 (2) CF3(CF27(CH22SiCl3 (3) CF3CH2O(CH215SiCl3 (4) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
Cl3 (5) F(CF24(CH22Si(CH32(CH2
9SiCl3 (6) CF3COO(CH215SiCl3 (7) CF3(CF25(CH22SiCl3 (8) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
9SiCl3 (9) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
6SiCl3 (10) CF3CH2O(CH215Si(OCH33 (11) CF3(CF27(CH22Si(OC253 (12) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
(OCH33 (13) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
9Si(OCH33 (14) CF3COO(CH215Si(OC253 また前記物品及び方法においては、ペルフルオロアルキ
ル アルキルシランに加えて架橋剤としてペルフルオロ
アルキル アルキルクロルシランを用いた場合は、Si
sCl4-s(XはHまたはアルキル基の置換基、sは
0,1または2)を添加し、ペルフルオロアルキル ア
ルキルアルコキシシランを用いた場合は、SiYt(O
A)4-t(Yはアルキル基の置換基、OAはアルコキシ
基、(ただし、AはHまたはアルキル基)tは0,1ま
たは2)を添加することが好ましい。
【0013】また前記物品及び方法においては、シリカ
下地層により、基体の表面が粗面化されていることが好
ましい。
【0014】また前記物品及び方法においては、基体の
表面の粗面化の程度が、サブミクロン乃至ミクロンオー
ダの凸凹であることが好ましい。
【0015】また前記物品及び方法においては、ガラス
基体の表面及び/又はシリカ下地層と、ペルフルオロア
ルキル アルキルシランとが、脱塩化水素反応又は脱ア
ルコール反応により処理されていることが好ましい。
【0016】また前記方法においては、シリカ下地層を
付着させる工程を、基体表面上で珪素化合物を熱分解又
はプラズマアッシングしてガラス層とすることが好まし
い。
【0017】また前記物品及び方法においては、シリカ
下地層が、ガラス基材表面にSiCl4 、SiHCl
3 、SiH2Cl2 、Cl−(SiCl2O)n−SiC
3(nは整数)から選ばれる少なくとも一つの化合物
を接触させ、脱塩化水素反応又は脱アルコール反応処理
させ、加水分解させて形成されていることが好ましい。
【0018】また前記物品及び方法においては、ガラス
基体の表面及び/又はシリカ下地層と、ペルフルオロア
ルキル アルキルシランとが、脱塩化水素反応又は脱ア
ルコール反応により処理されていることが好ましい。
【0019】また前記物品及び方法においては、親水性
被膜はシロキサン膜からなることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1番目の実施形態
は、基体表面の一方の面に凸凹を作成し、フロロカーボ
ン基及びクロロシリル基を含む物質を混合した非水系の
溶媒を塗布し、またはフロロカーボン基及びアルコキシ
シリル基を含む物質を混合した溶媒を塗布し、加熱処理
を行い、他方の面に親水性被膜を形成する。
【0021】次に本発明の第2番目の実施形態は、基体
の表面の一方の面に凸凹を作成し、クロロシリル基を複
数個含む物質を混ぜた非水系溶媒に接触させて前記基体
表面の水酸基と前記クロロシリル基を複数個含む物質の
クロロシリル基とを反応させて前記物質を前記基体表面
に析出させ、非水系有機溶媒を用い前記基体上に残った
余分なクロロシリル基を物質を洗浄除去した後、水と反
応させて、前記基体上にシラノール基を複数個含む物質
よりなる単分子膜を形成する工程と、一端にクロルシリ
ル基(SiCln3-n基、n=1、2、3、Xは官能
基)を有し他の一端に直鎖状フッ化炭素基を含むクロロ
シラン系界面活性剤を基体表面に化学吸着し単分子吸着
膜を累積し、他方の面に親水性被膜を形成する。
【0022】前記本発明の第1または2番目の実施形態
においては、表面に凸凹を作成する手段が、微粒子及び
シリケートグラスを混合し基体表面に塗布した後基体諸
とも加熱ベーキングを行なう方法、電解エッチング法、
化学エッチング法、サンドブラスト法、スパッタリング
法、またはラビング法から選ばれる少なくとも一種の方
法であることが好ましい。
【0023】また前記本発明の第1または2番目の実施
形態においては、基体表面に凸凹を作成する工程と、一
端にクロルシリル基(SiCln 3-n 基、n=1、
2、3、Xは官能基)を有するフロロカーボン系直鎖分
子からなるフロロシラン系界面活性剤を用いて基体上に
化学吸着膜を形成する工程とを含むことが好ましい。
【0024】また前記本発明の第1または2番目の実施
形態においては、フロロカーボン基及びクロロシリル基
を含む物質として、CF3−(CF2n−R−SiXp
3- p(nは0または整数、Rはアルキル基、エチレン
基、アセチレン基、またはSi、酸素原子を含む置換
基、XはHまたはアルキル基、シクロアルキル基、アリ
ル基またはこれらの誘導体から選ばれる置換基、pは
0,1または2)を用いることが好ましい。
【0025】また前記本発明の第1または2番目の実施
形態においては、フロロカーボン基及びアルコキシシリ
ル基を含む物質として、CF3−(CF2n−R−Si
q(OA)3-q{nは0または整数、Rはアルキル基、
エチレン基、アセチレン基、またはSi、酸素原子を含
む置換基、XはHまたはアルキル基、シクロアルキル
基、アリル基またはこれらの誘導体から選ばれる置換
基、OAはアルコキシ基(ただし、AはHまたはアルキ
ル基)、qは0,1または2}を用いることが好まし
い。
【0026】さらに前記実施形態においては、クロロシ
リル基を複数個含む物質として、SiCl4、SiHC
3、SiH2Cl2、またはCl−(SiCl2O)n
SiCl3(nは整数)を用いることが好ましい。
【0027】前記本発明の実施形態によれば、粗面化処
理された基体の表面に、少なくともシロキサン結合を介
してフッ素を含む化学吸着単分子膜が形成されているの
で、基体と密着性よく且つピンホール無く、しかも表面
に凸凹があり撥水撥油性、耐熱性、耐候性、耐摩耗性等
が優れたフッ素系コーティング膜とすることができる。
【0028】また、本発明においては、予めフロロカー
ボン系コーティング膜形成用基体表面に、ガラス微粒子
及びシリケートグラスを混合塗布後ベーキングして表面
がサブミクロン乃至ミクロンオーダで凸凹のガラス被膜
を作成したり、基体そのものをエッチングやサンドブラ
スト処理して粗面加工する工程を含めることにより、後
工程で作成されたフロロカーボン系コーティング膜の表
面に微細な凸凹を形成できる作用がある。従って、表面
に任意の凸凹のあるきわめて撥水撥油性の優れたフロロ
カーボン系コーティング膜を形成できる。
【0029】なお、このときフロロカーボン基を有する
ポリマーは−O−を介して基体と化学結合されているた
め、極めて密着性が優れている。
【0030】また微粒子を塗布する方法においては、表
面の凸凹の荒さは、シリケートグラスに添加する微粒子
の直径と添加量で制御できる。
【0031】さらにまた、表面に凸凹を作成する工程の
後、クロロシリル基を複数個含む物質を混ぜた非水系溶
媒に接触させて前記基体表面の水酸基と前記クロロシリ
ル基を複数個含む物質のクロロシリル基とを反応させて
前記物質を前記基体表面に析出させる工程と、非水系有
機溶媒を用い前記基体上に残った余分なクロロシリル基
を複数個含む物質を洗浄除去した後水と反応させる工程
を挿入し、前記基体上にシラノール基を複数個含む物質
よりなる単分子膜を形成する工程と、一端にクロルシリ
ル基(SiCln3-n基、n=1、2、3、Xは官能
基)を有し他の一端に直鎖状フッ化炭素基を含むクロロ
シラン系界面活性剤を基体表面に化学吸着し単分子吸着
膜を累積する工程を行なえば、より分子吸着密度の大き
なフッ化炭素系化学吸着単分子膜を作製できる作用があ
る。
【0032】また、フロロカーボン基及びクロロシリル
基を含む物質としては、CF3−(CF2n−R−Si
pCl3-p、さらにフロロカーボン基及びアルコキシシ
リル基を含む物質としては、CF3−(CF2n−R−
SiYq(OA)3-qを用いることが可能である。
【0033】さらに、形成されたフロロカーボン系ポリ
マー膜の硬度を調節するためには、フロロカーボン基及
びクロロシリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒の場
合は、前記物質の架橋剤としてSiXsCl4-s(XはH
またはアルキル基などの置換基、sは0または1または
2)を添加して用い、フロロカーボン基及びアルコキシ
シリル基を含む物質を混ぜた溶媒の場合は、架橋剤とし
てSiYt(OA)4-t(Yはアルキル基などの置換基、
OAはアルコキシ基、(ただし、AはHまたはアルキル
基)tは0または1または2)を用いることで、作成さ
れたフロロカーボン系ポリマー膜内の3次元架橋密度が
調整でき、表面に任意の凸凹のあるフロロカーボン系ポ
リマー膜の硬度を制御できる作用がある。
【0034】また、前記親水性膜は、SiCl4 、Si
HCl3 、SiH2Cl2 、またはCl−(SiCl
2O)n−SiCl3(nは整数)が基体表面と化学結合
した後に加水分解して形成されたシロキサン膜であるこ
とが好ましい。
【0035】
【実施例】本発明が適用できる基体としては、ガラス、
セラミック、金属、プラスチック様々なものがあるが、
ガラス基体に適用するのが最も好ましい。以下一例を挙
げて説明する。なお以下の実施例においては、単に%と
しているのは、重量%を意味する。
【0036】
【参考例1】たとえば、図1に示すように、親水性基体
1[ガラス等のセラミクッス、AlやCu等の金属、表
面を親水化したプラスチック基体(プラスチックの様な
表面に酸化膜を持たない物質であれば、予め表面を酸素
を含むプラズマ雰囲気中で、例えば100Wで20分処
理して親水性化、すなわち表面に水酸基を導入しておけ
ばよい。)]の表面に直径が1乃至20ミクロン(好ま
しくは10ミクロン程度)のシリカ微粒子2(例えば、
旭硝子社製のミクロシェヤアーゲルDF10−60Aま
たは120A等)及びシリケートグラス(例えば、信越
化学工業社製のハードコーティング剤KP−1100A
または1100Bや東京応化工業社製のSi−8000
0等)を1:1程度の濃度で混合しキャスト法で塗布し
た後、500℃、30分加熱処理したりプラズマアッシ
ング(300W、20分程度)を行なうと、表面にミク
ロンオーダの凸凹のあるガラス層3が形成できる。次
に、フロロカーボン基及びクロロシリル基を含む物質を
混ぜた非水系の溶媒(例えば、CF3−(CF2n−R
−SiXpCl3-p(n、R、X、pは前記したとおり)
を数パーセントの濃度でノルマルヘキサデカン90%ク
ロロホルム10%の溶媒に溶解したもの)を塗布し、水
分を含む雰囲気中で200℃30分程度ベーキングを行
なうと、ガラス層3の表面は−OH基が露出しているた
め、フッ素を含むクロロシラン系界面活性剤のクロロシ
リル基と−OH基が脱塩酸反応して表面に …Si(O
−)3 の結合が生成され、表面にミクロンオーダの凸凹
のあるガラス層表面にフッ素を含むシロキサンフロロカ
ーボン系ポリマー膜4が化学結合した状態で凸凹に形成
される(図5)。
【0037】例えば、ガラス基体表面に、微粒子として
直径が約10ミクロンのDF10−60A、シリケート
グラスとしてKP−1100Aを用いディップコートし
350℃で熱処理(ベーキング)したら、表面に10ミ
クロン(μm)程度の凸凹のあるガラス層が得られた。
さらにその後、CF3CH2O(CH215SiCl3を用
い、1重量%程度の濃度で溶かした80%n−ヘキサデ
カン、12%四塩化炭素、8%クロロホルム溶液を調整
し、前記表面にSiOH結合を数多く持つポリシロキサ
ン塗膜の形成された基体表面に塗布し、水分を含む雰囲
気中で200℃30分程度ベーキングを行なうと、CF
3CH2O(CH215Si(O−)3の結合が生成され、
10ミクロン程度の凸凹を持つ1〜5ミクロン厚さのフ
ロロカーボン系コーティング膜4が製造できた(図
4)。なお、この塗膜は碁番目試験を行なっても殆ど剥
離することがなかった。
【0038】このときまた、フロロカーボン基及びクロ
ロシリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒中に前記物
質の架橋剤としてSiXsCl4-s(XはHまたはアルキ
ル基などの置換基、sは0または1または2)を添加
(例えば、SiCl4を3重量パーセント)しておけ
ば、CF3CH2O(CH215Si(O−)3 の結合
が−Si(O−)3の結合を介して3次元的に架橋され
て、SiCl4を添加してない場合に比べ約2倍の硬度
のフロロカーボン系コーティング膜が製造できた。
【0039】ちなみに、このようにして作成された表面
に10ミクロン(μm)程度の凹凸があるフロロカーボ
ン系コーティング膜の水に対する濡れ角度は約130〜
140度であった。
【0040】
【参考例2】参考例1と同様に、図1に示したように基
体上に表面が凸凹なガラス層を形成した後、フロロカー
ボン基及びアルコキシシリル基を含む物質を混ぜたアル
コール溶媒(例えば、CF3 −(CF2 n −R−Si
q (OA)3-q (nは0または整数、Rはアルキル基
エチレン基、アセチレン基、Siまたは酸素原子を含む
置換基、YはHまたはアルキル基などの置換基、OAは
アルコキシ基(ただし、AはHまたはアルキル基)、q
は0または1または2)を数パーセントの濃度でメタノ
ールに溶解したもの)を塗布し、200℃30分程度ベ
ーキングを行なうとガラス層3は表面に−OH基が露出
しているため、フッ素を含むアルコキシシラン系界面活
性剤のアルコキシ基と−OH基が脱アルコール反応して
表面に−Si(O−)3 の結合が生成され、凸凹なガラ
ス層表面にフッ素を含むシロキサンフロロカーボン系ポ
リマー膜が実施例1と同様に形成される。
【0041】例えば、CF3CH2O(CH215Si
(OCH33 を用い、1%程度の濃度で溶かしたエタ
ノール溶液を調整し、前記表面にSiOH結合を数多く
持つポリシロキサン塗膜の形成された基体表面に塗布
し、200℃、30分程度ベーキングを行なうと、CF
3CH2O(CH215Si(O−)3の結合が生成され、
10ミクロン程度の凸凹のある1〜5ミクロン厚さのフ
ロロカーボン系ポリマー膜が製造できた(図2)。な
お、この塗膜は碁番目試験を行なっても殆ど剥離するこ
とがなかった。
【0042】またこのときフロロカーボン基及びアルコ
キシシリル基を含む物質を混ぜた溶媒中に前記物質の架
橋剤としてSiYt(OA)4-t(Yはアルキル基などの
置換基、OAはアルコキシ基、(ただし、AはHまたは
アルキル基)tは0または1または2)を添加(例え
ば、Si(OCH34を5重量パーセント)しておけ
ば、CF3CH2O(CH215Si(O−)3の結合が、
−Si(O−)3の結合を介して3次元的に架橋され
て、Si(OCH34を添加してない場合に比べ約2〜
2.5倍の硬度のフロロカーボン系ポリマー膜が製造で
きた。
【0043】ちなみに、このようにして作成された表面
に10ミクロン程度の凹凸があるフロロカーボン系ポリ
マー膜に水滴5を滴下した場合、水滴は突起部でのみフ
ロロカーボン系ポリマー膜と接触するので、図3に示し
た如く極めて撥水性が高く、水に対する濡れ角度は約1
35〜140度であった。
【0044】このときまた、フロロカーボン基及びアル
コキシシリル基を含む物質を混ぜた溶媒中に前記物質の
架橋剤としてSi(OC374を10重量パーセント
添加しておいた場合、約4倍の硬度のフロロカーボン系
ポリマー膜が製造できた。また、同様のコーティングを
フロロカーボン系ポリマー(ポリ4フッ化エチレン)の
微粒子をさらに20%分散添加したフロロカーボン基及
びアルコキシシリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒
を用いて行なった場合、硬度は従来並となったが従来に
比べて極めて密着性が優れた撥水撥油性の高いフロロカ
ーボン系ポリマー膜が製造できた。
【0045】さらにまた、上記実施例では試薬としてC
3CH2O(CH215Si(OCH33、CF3(CF
27(CH22Si(OC253を用いたが、アルキ
ル鎖部分にエチレン基やアセチレン基を付加したり組み
込んでおけば、塗膜形成後5メガラド程度の電子線照射
で架橋できるのでさらに10倍程度の硬度の塗膜も容易
に得られる。
【0046】またフロロカーボン系界面活性剤として上
記のもの以外にも、CF3(CH2 2Si(CH3
2(CH215Si(OCH33、F(CF28(C
22Si(CH32(CH29Si(OCH33、C
3COO(CH215Si(OC253等が利用でき
る。
【0047】
【参考例3】参考例1と同様に、図1に示したようにガ
ラス基体上に表面が凸凹なガラス層を形成した後、フロ
ロカーボン基及びクロロシリル基を含む物質を混ぜた非
水系の溶媒、例えば、CF3(CF27(CH22Si
Cl3を用い、1%程度の濃度で溶かした80%n−ヘ
キサデカン、12%四塩化炭素、8%クロロホルム溶液
を調整し、前記表面にSiOH結合を数多く持つ単分子
膜の形成された基材を30分程度浸漬すると、基体表面
にCF3(CF27(CH22Si(O−)3の結合が生
成され、フッ素を含む撥水撥油膜4(化学吸着単分子
膜)がガラス層と化学結合した状態で凸凹に形成できた
(図4)。なお、この撥水撥油膜4(単分子膜)は碁番
目試験を行なっても全く剥離することがなかった。ま
た、この場合、フロロカーボン基は配向した状態で表面
に形成されるため、表面エネルギーが極めて低く、水に
対する濡れ角度は135〜145度であった。
【0048】さらにまた、上記実施例では、フロロカー
ボン系界面活性剤としてCF3(CF27(CH22
iCl3を用いたが、アルキル鎖部分にエチレン基やア
セチレン基を付加したり組み込んでおけば、単分子膜形
成後5メガラド程度の電子線照射で架橋できるのでさら
に硬度を向上させることも可能である。
【0049】なお、フロロカーボン系界面活性剤として
上記のもの以外にもCF3CH2O(CH215SiC
3、CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
Cl3、F(CF28(CH22Si(CH32(C
29SiCl3、CF3COO(CH215SiCl3
が利用できる。
【0050】
【参考例4】まず、加工の終了したガラス板を用意し、
有機溶媒で洗浄した後、表面をサンドブラスト法を用い
て粗面処理して表面にサブミクロン(0.1乃至1.
0)オーダーの凸凹、例えば0.4乃至0.9ミクロン
程度凸凹を形成する。なお、この方法以外にフッ酸を用
いた化学エッチング法やサンドペーパーによるラビング
法が利用できる。次に、フッ化炭素基及びクロロシリル
基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、例えば、CF
3(CF27(CH22SiCl3を用い、1%程度の濃
度で溶かした80%n−ヘキサデカン(トルエン、キシ
レン、ジシクロヘキシルでもよい)、12%四塩化炭
素、8%クロロホルム溶液を調整し、前記ガラス板を2
時間程度浸漬すると、ガラス板の表面は自然酸化膜が形
成されており、その酸化膜表面には水酸基が多数含まれ
ているので、フッ化炭素基及びクロロシリル基を含む物
質のSiCl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ
ガラス表面全面に亘り、CF3(CF27(CH22
i(O−)3の結合が生成され、フッ素を含む単分子膜
ガガラス板の表面と化学結合した状態で約15オングス
トロームの膜厚で形成できた。なお、単分子膜はきわめ
て強固に化学結合しているので全く剥離することがなか
った。なお、ガラス板の材質が、アクリル樹脂やポリカ
ーボネート樹脂等のプラスチックの場合には、粗面化処
理後、表面をプラズマ処理(300W、10分程度)し
て表面を酸化し親水性とすること、および吸着液をフレ
オン溶剤に換えることで同様の技術を用いることが可能
であつた。
【0051】このガラス板を用い実使用を試みたが、処
理しないものに比べ汚物の付着を大幅に低減できた、ま
た、たとえ付着した場合にもブラシでこする程度で簡単
に除去できた。このとき、傷は全く付かなかった。ま
た、油脂分汚れでも除去は水洗のみで可能であった。水
に対する濡れ性は蓮の葉並みであり、濡れ角度は155
度であった。
【0052】
【実施例1】親水性ではあるが水酸基を含む割合が少な
いアルミ板の場合、表面を電解エッチングしてして表面
に0.5乃至0.8ミクロン程度凸凹を形成する。
【0053】なおこの方法以外にフッ酸を用いた化学エ
ッチング法や真空中でのプラズマによるスパッタリング
法、サンドペーパーによるラビング法などが利用でき
る。また金属ならすべて同じように使用可能であるが、
材質が、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のプラ
スチックの場合には、表面を荒した後、200W、10
分程度プラズマ処理して表面を酸化し親水性とすること
で、同様の技術を用いることが可能となる。
【0054】次に、クロロシリル基を複数個含む物質
(例えば、SiCl4、またはSiHCl3、SiH2
2、Cl−(SiCl2O)n−SiCl3(nは整
数)、特に、SiCl4を用いれば、分子が小さく水酸
基に対する活性も大きいので、アルミ板表面を均一に親
水化する効果が大きい)を混ぜた非水系溶媒、例えばク
ロロホルム溶媒に1重量パーセント溶解した溶液に30
分間程度浸漬すると、アルミ板表面には親水性のOH基
が多少とも存在するので表面で脱塩酸反応が生じクロロ
シリル基を複数個含む物質のクロロシラン単分子膜が形
成される。
【0055】例えば、クロロシリル基を複数個含む物質
としてSiCl4を用いれば、アルミ板表面には少量の
親水性のOH基が露出されているので、表面で脱塩酸反
応が生じCl3SiO− や Cl2Si(O−)2の様
に分子が−SiO−結合を介して表面に固定される。
【0056】その後、非水系の溶媒例えばクロロホルム
で洗浄して、さらに水で洗浄すると、アルミ板と反応し
ていないSiCl4 分子は除去され、アルミ板表面に
(OH)3SiO−や(OH)2Si(O−)2等のシロ
キサン単分子膜が得られる。
【0057】なお、このときできた単分子膜はアルミ板
とは−SiO−の化学結合を介して完全に結合されてい
るので剥がれることが全く無い。また、得られた単分子
膜は表面にSiOH(シラノール)結合を数多く持つ。
当初の水酸基の約3倍程度の数が生成される。
【0058】そこでさらに、フッ化炭素基及びクロロシ
リル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、例えば、CF
3(CF27(CH22SiCl3を用い、1%程度の濃
度で溶かした80%n−ヘキサデカン、12%四塩化炭
素、8%クロロホルム溶液を調整し、前記表面にSiO
H結合を数多く持つ単分子膜の形成されたアルミ板を1
時間程度浸漬すると、アルミ板表面にCF3(CF27
(CH22Si(O−)3の結合が生成され、フッ素を
含む単分子膜4が下層のシロキサン単分子膜と化学結合
した状態でアルミ板表面全面に亘り約15オングストロ
ームの膜厚で形成できた。なお、単分子膜は剥離試験を
行なっても全く剥離することがなかった。また、水に対
する濡れ角度は約155度であった。
【0059】さらにまた、上記実施例では、フッ化炭素
系界面活性剤としてCF3(CF2 7(CH22SiC
3を用いたが、フッ化炭素系界面活性剤として上記の
もの以外にもCF3CH2O(CH215SiCl3、CF
3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3、F
(CF24(CH22Si(CH32(CH29SiC
3、CF3COO(CH215SiCl3、CF3(C
25(CH22SiCl3等が利用できる。
【0060】なお、本実施例において、アルミ板の代わ
りにガラス板を用い、フッ化炭素基及びクロロシリル基
を含む物質を化学吸着する際、防曇効果を付与するため
親水性のままで残したい面(例えば内面)に有機溶媒不
溶性の親水性被膜(例えば、ポバール(ポリビニルアル
コール)やプルランの水溶液を塗布し数ミクロン厚さの
とする)を形成しておくことで、吸着終了後前記親水性
被膜を水洗除去して、表面が撥水撥油防汚性単分子膜
で、内面が親水性の水酸基を有する単分子膜(シロキサ
ン膜)の透光ガラスが得られた。このガラスで防曇効果
を確かめたが、親水性のままで残したガラス面は、水に
対してきわめて濡れ易く全く曇ることがなかった。
【0061】また、吸着用試薬の分子の長さを変えたも
の2種を混合して(例えば、F(CF28(CH22
i(CH32(CH29SiCl3と、F(CF2
8(CH22Si(CH32(CH26SiCl3、ある
いは、CF3(CF27(CH2 2SiCl3と、CF3
(CF25(CH22SiCl3の組合せで、組成を
3:1〜1:3とする)吸着すれば、部材表面を分子レ
ベルで凸凹にする事が可能であり、撥水撥油性がさらに
良くなる。
【0062】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の方法を用い
れば、AlやCu、ステンレスの様な金属や金属酸化物
のセラミクスあるいはガラスやプラスチック基体にも、
撥水撥油性膜の優れたフロロカーボン系単分子膜を基体
と化学結合した状態で高密度にピンホール無く形成でき
る。従って、耐久性が極めて高く撥水撥油性の優れた高
性能フロロカーボン系被膜を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の撥水撥油性被膜の製造工
程を説明するための工程断面概念図である。
【図2】 本発明の一実施例の撥水撥油性被膜の製造工
程を説明するための工程断面概念図である。
【図3】 本発明の一実施例の撥水撥油性被膜上に水滴
を滴下した場合の断面概念図である。
【図4】 図2におけるA部分を分子レベルまで拡大し
た撥水撥油性被膜断面概念図である。
【図5】 本発明の一実施例の単分子膜状撥水撥油性被
膜の製造工程を説明するために分子レベルまで拡大した
撥水撥油性被膜の断面概念図である。
【符号の説明】
1 ガラス基体 2 微粒子 3 シリケートガラス膜 4 撥水撥油膜(単分子膜) 5 水滴

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面の一方の面が a.シリカ下地層、及び b.ペルフルオロアルキル アルキルシラン で処理された撥水撥油性であり、 他方の面が親水性である物品。
  2. 【請求項2】 基体の表面の一方の面に、微粒子及びシ
    リケートグラスを混合し基体表面に塗布した後基体諸と
    も加熱ベーキング、電解エッチング、化学エッチング、
    サンドブラスト、スパッタリング及びラビング法から選
    ばれる少なくとも一種の手段により凸凹が形成されてお
    り、前記凸凹表面がペルフルオロアルキル アルキルシ
    ランで処理された撥水撥油性であり、 他方の面が親水性の物品。
  3. 【請求項3】 ペルフルオロアルキル アルキルシラン
    が、CF3−(CF2)n−R−SiXpCl3-p(nは0ま
    たは整数、Rはアルキル基、エチレン基、アセチレン
    基、またはSi、酸素原子を含む置換基、XはHまたは
    アルキル基、シクロアルキル基、アリル基またはこれら
    の誘導体から選ばれる置換基、pは0,1または2)、
    またはCF3−(CF2n−R−SiYq(OA)
    3-q(nは0または整数、Rはアルキル基、エチレン
    基、アセチレン基、またはSi、酸素原子を含む置換
    基、XはHまたはアルキル基、シクロアルキル基、アリ
    ル基またはこれらの誘導体から選ばれる置換基、OAは
    アルコキシ基(ただし、AはHまたはアルキル基)、q
    は0,1または2)である請求項1又は2に記載の物
    品。
  4. 【請求項4】 ペルフルオロアルキル アルキルシラン
    が、下記の化合物から選ばれる少なくとも一つである請
    求項1〜3のいずれかに記載の物品。 (1) CF3(CF25(CH22SiCl3 (2) CF3(CF27(CH22SiCl3 (3) CF3CH2O(CH215SiCl3 (4) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
    Cl3 (5) F(CF24(CH22Si(CH32(CH2
    9SiCl3 (6) CF3COO(CH215SiCl3 (7) CF3(CF25(CH22SiCl3 (8) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    9SiCl3 (9) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    6SiCl3 (10) CF3CH2O(CH215Si(OCH33 (11) CF3(CF27(CH22Si(OC253 (12) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
    (OCH33 (13) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    9Si(OCH33 (14) CF3COO(CH215Si(OC253
  5. 【請求項5】 ペルフルオロアルキル アルキルシラン
    に加えて架橋剤としてペルフルオロアルキル アルキル
    クロルシランを用いた場合は、SiXsCl4-s(XはH
    またはアルキル基の置換基、sは0,1または2)を添
    加し、ペルフルオロアルキル アルキルアルコキシシラ
    ンを用いた場合は、SiYt(OA)4-t(Yはアルキル
    基の置換基、OAはアルコキシ基、(ただし、AはHま
    たはアルキル基)tは0,1または2)を添加する請求
    項1〜4のいずれかに記載の物品。
  6. 【請求項6】 シリカ下地層により、基体の表面が粗面
    化されている請求項1〜5のいずれかに記載の物品。
  7. 【請求項7】 基体の表面の粗面化の程度が、サブミク
    ロン乃至ミクロンオーダの凸凹である請求項6に記載の
    物品。
  8. 【請求項8】 ガラス基体の表面及び/又はシリカ下地
    層と、ペルフルオロアルキル アルキルシランとが、脱
    塩化水素反応又は脱アルコール反応により処理されてい
    る請求項1〜7のいずれかに記載の物品。
  9. 【請求項9】 シリカ下地層が、ガラス基材表面にSi
    Cl4 、SiHCl3、SiH2Cl2 、Cl−(SiC
    2O)n−SiCl3(nは整数)から選ばれる少なく
    とも一つの化合物を接触させ、脱塩化水素反応又は脱ア
    ルコール反応処理させ、加水分解させて形成されている
    請求項1〜8のいずれかに記載の物品。
  10. 【請求項10】 基体表面の一方の面に a.シリカ下地層を付着させ、そして b.前記シリカ下地層をペルフルオロアルキル アルキ
    ルシランを含む組成物と接触させて撥水撥油性被膜を形
    成する、 撥水撥油性面と親水性面を有する物品の製造方法。
  11. 【請求項11】 基体の表面の一方の面に、微粒子及び
    シリケートグラスを混合し基体表面に塗布した後基体諸
    とも加熱ベーキング、電解エッチング、化学エッチン
    グ、サンドブラスト、スパッタリング及びラビング法か
    ら選ばれる少なくとも一種の手段により凸凹を形成し、
    前記凸凹表面にペルフルオロアルキル アルキルシラン
    を接触させて処理する撥水撥油性被膜を形成する、 撥水撥油性面と親水性面を有する物品の製造方法。
  12. 【請求項12】 シリカ下地層を付着させる工程を、基
    体表面上で珪素化合物を熱分解又はプラズマアッシング
    してガラス層とする請求項11又は12に記載の方法。
  13. 【請求項13】 シリカ下地層を付着させる工程を、ガ
    ラス基材表面にSiCl4 、SiHCl3 、SiH2
    2 、Cl−(SiCl2O)n−SiCl3(nは整
    数)から選ばれる少なくとも一つの化合物を接触させ、
    脱塩化水素反応又は脱アルコール反応処理させ、加水分
    解させることにより形成する請求項10〜12のいずれ
    かに記載の方法。
  14. 【請求項14】 ペルフルオロアルキル アルキルシラ
    ンが、CF3−(CF2)n−R−SiXpCl3-p(nは0
    または整数、Rはアルキル基、エチレン基、アセチレン
    基、またはSi、酸素原子を含む置換基、XはHまたは
    アルキル基、シクロアルキル基、アリル基またはこれら
    の誘導体から選ばれる置換基、pは0,1または2)、
    またはCF3−(CF2n−R−SiYq(OA)
    3-q(nは0または整数、Rはアルキル基、エチレン
    基、アセチレン基、またはSi、酸素原子を含む置換
    基、XはHまたはアルキル基、シクロアルキル基、アリ
    ル基またはこれらの誘導体から選ばれる置換基、OAは
    アルコキシ基(ただし、AはHまたはアルキル基)、q
    は0,1または2)である請求項10〜13のいずれか
    に記載の方法。
  15. 【請求項15】 ペルフルオロアルキル アルキルシラ
    ンが、下記の化合物から選ばれる少なくとも一つである
    請求項10〜14のいずれかに記載の方法。 (1) CF3(CF25(CH22SiCl3 (2) CF3(CF27(CH22SiCl3 (3) CF3CH2O(CH215SiCl3 (4) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
    Cl3 (5) F(CF24(CH22Si(CH32(CH2
    9SiCl3 (6) CF3COO(CH215SiCl3 (7) CF3(CF25(CH22SiCl3 (8) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    9SiCl3 (9) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    6SiCl3 (10) CF3CH2O(CH215Si(OCH33 (11) CF3(CF27(CH22Si(OC253 (12) CF3(CH22Si(CH32(CH215Si
    (OCH33 (13) F(CF28(CH22Si(CH32(CH2
    9Si(OCH33 (14) CF3COO(CH215Si(OC253
  16. 【請求項16】 ペルフルオロアルキル アルキルシラ
    ンに加えて架橋剤としてペルフルオロアルキル アルキ
    ルクロルシランを用いた場合は、SiXsCl4 -s(Xは
    Hまたはアルキル基の置換基、sは0,1または2)を
    添加し、ペルフルオロアルキル アルキルアルコキシシ
    ランを用いた場合は、SiYt(OA)4 -t(Yはアルキ
    ル基の置換基、OAはアルコキシ基、(ただし、AはH
    またはアルキル基)tは0,1または2)を添加する請
    求項10〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 シリカ下地層により、基体の表面が粗
    面化されている請求項10〜16のいずれかに記載の方
    法。
  18. 【請求項18】 基体の表面の粗面化の程度が、サブミ
    クロン乃至ミクロンオーダの凸凹である請求項17に記
    載の方法。
  19. 【請求項19】 ガラス基体の表面及び/又はシリカ下
    地層と、ペルフルオロアルキル アルキルシランとが、
    脱塩化水素反応又は脱アルコール反応により処理されて
    いる請求項10〜18のいずれかに記載の方法。
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