JP3358131B2 - 撥水撥油性フィルムとその製造方法 - Google Patents

撥水撥油性フィルムとその製造方法

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JP3358131B2
JP3358131B2 JP26616992A JP26616992A JP3358131B2 JP 3358131 B2 JP3358131 B2 JP 3358131B2 JP 26616992 A JP26616992 A JP 26616992A JP 26616992 A JP26616992 A JP 26616992A JP 3358131 B2 JP3358131 B2 JP 3358131B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機能性を高めたプラス
チックフィルムとその製造方法に関するものであり、と
りわけ、透明性を持つ撥水撥油性フィルムとその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】撥水撥油性をもつ表面を得るためには、
その表面張力を水(または、油)の表面張力よりも低くす
ることが必要になる。撥水性(または、撥油性)、すなわ
ち物質表面の濡れやすさを示す数字として接触角という
考え方がある。表面に水(または、油)滴を置いた場合、
表面と接触する角度である。一般に、撥水性を持つフィ
ルムとしては、実用的には水に対する接触角で120°〜1
60°程度の撥水状態が必要である。
【0003】従来の撥水撥油性と透明性を併せ持つフィ
ルムとしては、フッ素系の四フッ化エチレン−六フッ化
プロピレン共重合樹脂(FEP)などのフィルムなどが代
表的である。また、最近ではポリエステルフィルムなど
の汎用フィルムの表面に撥水性コーティング剤(たとえ
ば、フッ素系コーティング剤)を塗装することにより撥
水性を付与することが一般的に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フッ素系のフィルムでは透明性が得られるものの、撥水
撥油性については水に対する接触角で100°程度と十分
に満足できるものが得られていない。そればかりかコス
トの面でも実用的でない。この低コスト化に対応するた
め、上述のような汎用フィルム上に撥水性コーティング
剤をコートすることにより、フィルム表面に撥水撥油性
を付与する方法がとられている。
【0005】しかし、コスト面では改善されるが、撥水
撥油性についてはフッ素系のフィルムと同程度であるの
に加え、コーティング膜と基体とは単にアンカー効果で
のみ接着されているに過ぎないため、耐環境性,表面強
度の面で劣ってしまう。
【0006】最近、フィルムに限らず撥水撥油性を向上
させる方法として、フッ素系樹脂,シリコーン系樹脂な
どに無機微粒子を均一に分散した複合塗料をコーティン
グ剤に用いる方法や、ニッケルめっき液中にフッ素樹脂
の微粒子を分散させめっきを行う方法などがある。これ
らの方法を用いると、被覆された表面の形態的効果によ
り水に対する接触角で160°近い超撥水状態が得られて
いるが、フィルム上に応用するためには耐熱性,付着
力,フィルムの持つ透明性維持などの問題が生じてしま
う。
【0007】また、本発明者等は、超撥水撥油状態を得
る方法として、フィルム表面の形態的撥水撥油効果とコ
ーティング膜が持つ材料的撥水撥油効果とを組み合わせ
た撥水撥油性フィルムも試作したが、透明性を維持しつ
つ水に対する接触角で150°の撥水性を持つものの、フ
ィルム表面が実用的強度を十分に得るまでには至らなか
った。
【0008】したがって、本発明はフィルムの透明性を
維持し超撥水撥油性を持ち、さらに実用強度に耐える表
面強度を併せ持った低コストな撥水撥油性フィルムとそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】記の目的を達成するた
めに、本発明の撥水撥油性フィルムは、プラスチックフ
ィルム上の少なくとも片面に微小な凹凸を形成した無機
硬質膜と、前記無機硬質膜上の微小な凹凸上にシロキサ
ン結合またはシロキサン単分子膜を介して形成させたフ
ッ素を含む化学吸着単分子膜とからなる撥水撥油性フィ
ルムであって、前記無機硬質膜を、シリコンを含む酸化
膜、または窒化膜としたことを特徴とする。
【0010】
【0011】また、前記構成においては、無機硬質膜の
膜厚が0.02〜10μmであることが好ましい。
【0012】また、前記構成においては、無機硬質膜の
凹凸の粗さは、0.01〜0.3μmであることが好ましい。
【0013】さらに、前記構成においては、プラスチッ
ク裏面に粘着材が塗布されていることが好ましい。
【0014】本発明の撥水撥油性フィルムの製造方法
は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に無機硬質
膜を形成する工程と、前記無機硬質膜の表面を炭素およ
びフッ素を含むガス中でプラズマ放電処理を行い、微小
な凹凸を形成する工程と、前記凹凸に形成した無機硬質
膜表面を少なくとも酸素を含むガスでプラズマ放電処理
を行い、凹凸表面を親水性にする工程と、凹凸に形成さ
れた無機硬質膜を表面上に形成した前記プラスチックフ
ィルムをフッ化炭素基とクロロシリル基を含む化合物
を、非水系の溶媒に溶解した溶液に浸漬し、前記無機硬
質膜の凹凸表面にフッ素を含む化学吸着単分子膜をシロ
キサン結合を介して形成させる工程とからなることを特
徴とする。
【0015】
【作用】本発明によれば、プラスチックフィルム表面上
を直接微小な凹凸に荒らすのではなく、プラスチックフ
ィルム上に無機硬質膜を形成し、その表面を微小に凹凸
に荒らすことにより、無機硬質膜がフィルム表面強度の
弱さを補い、かつ無機硬質膜の微小な凹凸が優れた撥水
撥油性効果を発揮させることができる。
【0016】らには、無機硬質膜表面とフッ素を含む
化学吸着単分子膜とがシロキサン結合またはシロキサン
単分子膜を介して形成されているので、優れた撥水撥油
性,耐候性,耐磨耗性,透明性のある撥水撥油性フィル
ムとすることができる。
【0017】また、無機硬質膜の膜厚が0.02〜10μmと
いう本発明の好ましい構成によれば、膜の可視光域での
光透過性を妨げることもない。
【0018】また、無機硬質膜がシリコンを含む酸化
膜、または窒化膜である本発明の好ましい構成によれ
ば、微小な凹凸を比較的簡単に形成することができる。
【0019】さらに、フィルム裏面に粘着材が塗布され
ているという本発明の好ましい構成によれば、粘着する
べき基材に簡単に張りつけることができる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の第1の実施例について図面を
参照しながら説明する。
【0021】図1は本発明の撥水撥油性フィルムの構成
を示す一部断面図であり、図2は図1の一部Bを分子レ
ベルまで拡大した断面概念図である。
【0022】図1において、11は100μmの厚みのポリエ
チレンテレフタレートフィルム、12はポリエチレンテレ
フタレートフィルム11上に形成された厚さ2μmの酸化
シリコン膜、13は酸化シリコン膜12上に形成された微小
な凹凸、14はフッ素を含む化学吸着単分子膜である。
【0023】最初に、撥水撥油性フィルムの作製手順に
ついて述べる。まず、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルム11を真空容器内に入れ、0.4Paに保持したアルゴン
ガス中で、RF放電電力400wでSiO2ターゲットをス
パッタし、ポリエチレンテレフタレートフィルム11上に
2μm厚の酸化シリコン膜12を形成する。
【0024】次に、酸化シリコン膜12の表面を炭素およ
びフッ素を含むガスをポリエチレンテレフタレートフィ
ルム11の表面にシャワーに供給しながら、放電電力密
度1w/cm2のプラズマ放電を用いて酸化シリコン膜12
上をエッチングし、微小な凹凸13を形成する。このとき
エッチング時間は3分であり、形成された微小な凹凸13
の粗さは0.2μmであり、フィルムの透明性は失われなか
った。
【0025】次に、微小な凹凸13上の表面を活性(親水)
化させるため、5Paに保持した酸素を含むガス中で、R
F放電電力100wで、5分のプラズマ処理を行う。この
ようにして処理されたフィルムを容器から取り出し、シ
クロヘキサンの溶媒で希釈した1×10~2 Mol/リットル
濃度のフロロカーボン基およびクロロシラン基を含む化
合物(化1)の溶液中に10分浸漬する。
【0026】
【化1】
【0027】すると、微小な凹凸13が形成されている酸
化シリコン膜12の表面は酸素を含んだプラズマ処理によ
って親水化されているため、表面で(化2)の結合が形成
され、化合物(化1)による化学吸着単分子膜14が形成さ
れる。(図2)
【0028】
【化2】
【0029】このようにしてできた撥水撥油性フィルム
(A)の撥水性,透明性の評価を行うため、水の接触角,
透過率について測定した。比較サンプルとして、FEP
フィルム(B)、フッ素系樹脂をコーティングしたポリエ
チレンテレフタレートフィルム(C),シリコーン系樹脂
に無機微粒子(シリカ)を均一に分散した複合塗料をコー
ティングしたポリエチレンテレフタレートフィルム
(D)、フィルム上に直ちに本発明と同じフロロカーボン
基およびクロロシラン基を含む化合物(化1)を使って化
学吸着単分子膜を形成したポリエチレンテレフタレート
フィルム(E)、フィルム上を微小な凹凸に加工し、その
上に本発明と同じフロロカーボン基およびクロロシラン
基を含む化合物(化1)を使って化学吸着単分子膜を形成
したポリエチレンテレフタレートフィルム(F)の5つを
用い、同様に、水の接触角,透過率について測定した。
なお、フィルム厚は、すべて100μmである。これら各フ
ィルム(A)ないし(F)の測定結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】この表1から明らかなように、本実施例1
により作製した撥水撥油性フィルム(A)は比較サンプル
としてのフィルム(B),(C),(E)に比べて、撥水性
(ア),透明性(イ),表面強度(ウ)の面で優れた機能性フ
ィルムであることがわかる。
【0032】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例に
ついて説明する。
【0033】撥水撥油性フィルムの作製手順について図
面を参照しながら説明する。
【0034】図3は本発明の撥水撥油性フィルムを作製
するための化学吸着膜形成装置の概略図である。図3に
おいて、21は酸化シリコン膜が形成されたポリエチレン
テレフタレートフィルム、25は真空容器、26は密閉容
器、27は密閉容器26に入っているフロロカーボン基およ
びクロロシラン基を含む化合物の原液(化1)、28は密閉
容器のコックである。
【0035】実施例1と同様にポリエチレンテレフタレ
ートフィルム21上に2μmの酸化シリコン膜を成膜後、
その酸化シリコン膜表面に0.2μmの粗さの微小な凹凸を
形成し、その表面を酸素ガスを含んだプラズマ放電処理
で活性(親水)化する。次に、真空容器25内を1×10~3Pa
になるまで排気する。密閉容器26のコック28を開き、フ
ロロカーボン基およびクロロシラン基を含む化合物(化
1)の原液27を気化させる。
【0036】すると、プラズマ処理を行った酸化シリコ
ン膜表面が親水化されているため、気化した化合物(化
1)と酸化シリコン膜表面とで(化2)の結合が形成さ
れ、化合物(化1)による化学吸着単分子膜が形成され
る。
【0037】このようにしてできた撥水撥油性フィルム
を実施例1で作製した撥水撥油性フィルム(A)と比較し
たところ、特性的にはまったく差がなかった。
【0038】すなわち、実施例1と同様に、表1に示す
撥水性(ア),透明性(イ),表面強度(ウ)の面で優れた機
能性フィルムである。また、同時に、同じ真空容器で一
括して膜形成までもできるため、工程時間の短縮,低コ
スト化も実現可能となる。
【0039】(実施例3)以下、本発明の第3の実施例に
ついて説明する。
【0040】撥水撥油性フィルムの作製手順について図
面を参照しながら説明する。
【0041】図4は本発明の第3の実施例であるシロキ
サン単分子膜を形成した後の酸化シリコン表面を分子レ
ベルまで拡大した断面概念図である。
【0042】また、図5は本発明の第3の実施例である
フッ素を含んだ化学吸着単分子膜を形成した後の酸化シ
リコン表面を分子レベルまで拡大した断面概念図であ
る。
【0043】図4において、32はポリエチレンテレフタ
レート上に形成された酸化シリコン膜、39はシロキサン
単分子膜である。また図5において、34はフッ素を含む
化学吸着単分子膜である。
【0044】実施例1と同様に、ポリエチレンテレフタ
レートフィルム11上に2μmの酸化シリコン膜32を成膜
後、その酸化シリコン膜32の表面を0.2μmの粗さの微小
な凹凸に加工し、その表面を酸素ガスを含んだプラズマ
放電処理で活性(親水)化する。次に、シクロヘキサンの
溶媒で希釈した2×10~2 Mol/リットル濃度のSiCl4
溶液中に10分浸漬する。
【0045】すると、酸化シリコン膜32の表面は酸素を
含んだプラズマ処理によって親水化されているため、表
面で脱塩酸反応が生じ、(化3),(化4)のように分子が
−SiO−結合を介して表面に固定される。
【0046】
【化3】
【0047】
【化4】
【0048】その後、非水系の溶媒、例えば、シクロヘ
キサンで洗浄して、さらに水で洗浄するとフィルムと
反応していないSiCl4分子は除去され、図4に示すよ
うに表面に下記(化5)(化6)などのシロキサン単分子膜
39が化学結合した状態で得られる。
【0049】
【化5】
【0050】
【化6】
【0051】次に、シクロヘキサンの溶媒で希釈した1
×10~2 Mol/リットル濃度のフロロカーボン基およびク
ロロシラン基を含む化合物(化7)の溶液中に10分浸漬す
る。
【0052】
【化7】
【0053】すると、微小な凹凸が形成されている酸化
シリコン膜32の表面は、上述の化学処理で多数の水酸基
を含んでいるので、表面で脱塩酸反応が生じ、(化8)の
結合が生成され、化合物(化7)によるフッ素を含む化学
吸着単分子膜34が形成される。(図5)
【0054】
【化8】
【0055】また、この膜は、実施例1に比べて高密度
に形成できた。
【0056】本実施例3と実施例1で作製した撥水撥油
性フィルムを比較したところ、透明性、表面強度はまっ
たく同じで、撥水性、つまり水に対しての接触角は実施
例1で作製したフィルムよりも大きく、150〜160°であ
り、実施例1の撥水撥油性フィルムよりもさらに優れた
ものであった。
【0057】なお、実施例2において密閉容器から気化
させる溶液を化合物(化1)の原液としたが、非水系の溶
媒、例えば、シクロヘキサン等で希釈した溶液であって
も何ら効果は変わらない。
【0058】また、実施例2でクロロシラン系化合物の
分子量が大きくなる、すなわち炭素の数が大きくなると
蒸発しにくくなるが、原液を適度に加熱することで対応
できる。しかし、直鎖状の場合では炭素の数が25程度ま
でが好ましい。
【0059】なお、実施例1または実施例2において、
吸着させる化合物に化合物(化1)を用いたが、他のフロ
ロカーボン系化合物、例えば、CF3(CF2)7(CH2)2
SiCl3,CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3,CF3CH2
O(CH2)15SiCl3,CF3(CH2)2Si(CH3)2(CH
2)15SiCl3,F(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9
SiCl3,F(CF2)8(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si
Cl3,CF3COO(CH2)15SiCl3等、または、それ
らの混合化合物であっても同様の効果を得ることができ
る。さらに、アルキル鎖部分にビニレン基やエチレン基
を付加したり組み込んでおけば、単分子膜形成後、電子
線照射で架橋できるので、さらに硬度を向上させること
もできる。
【0060】また、実施例3において、化学吸着単分子
膜を形成するための多数のクロロシラン基を含む化合物
として化合物(化7)を用いたが、他のクロロシラン基を
含む化合物、例えば、SiHCl3,SiH2Cl2,Cl−
(SiCl2O)n−SiCl3(nは整数)等、または、それら
の混合化合物であっても同様の効果を得ることができ
る。
【0061】また、本実施例で、酸化シリコン膜の厚み
を2μmとしたが、0.02μmより薄くなると十分な微小凹
凸の形成ができなくなり、すなわち、十分な撥水撥油性
が得られなくなり、10μmを越えるとフィルムのもつ柔
軟性が失われるばかりか、膜の付着力が極端に悪くなる
ので、好ましくは、0.02〜10μmである。
【0062】また、無機硬質膜の表面の微小な凹凸の粗
さは、今回は0.2μmとしたが、0.01μm以下になると十
分な撥水性が得られなくなり、また、0.3μmを越えると
無機硬質膜の表面の機械的強度が極力弱くなるばかり
か、透明性も悪くなるため、好ましくは0.01〜0.3μmで
ある。
【0063】また本実施例では、無機硬質膜として酸化
シリコン膜を使用したが、他の酸化物,窒化物,硫化物
などでも同様の効果が得られる。
【0064】さらに、無機硬質膜の作製方法は、スパッ
タに限定されるものではない。
【0065】また、本実施例ではポリエチレンテレフタ
レートフィルムを使用したが、他のプラスチックフィル
ム、例えば、ポリイミド系フィルム,ポリエチレンフィ
ルム,ポリプロピレンフィルム,ポリカーボネートフィ
ルム,3フッ化塩化ポリエチレン等でも同様の結果が得
られることはいうまでもない。
【0066】さらに、本発明のフィルム裏面に粘着材を
つけておけば、光学特性にも影響せず、粘着するべき基
材に簡単に貼りつけることができる。なお、粘着材の表
面には剥離シートを存在させてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、プラスチ
ックフィルムとそのフィルム上に微小な凹凸を形成した
無機硬質膜と、微小な凹凸上にシロキサン結合を介して
形成させたフッ素を含む化学吸着単分子膜とからなるこ
とにより、きわめて撥水撥油効果の高い透明フィルムを
得ることができる。また、表面の化学吸着単分子膜が無
機硬質膜と化学的に結合しているため、剥離したり変質
したりすることがなく、耐久性,耐熱性,耐候性,耐磨
耗性に優れた撥水撥油性フィルムを提供でき、その実用
的価値は多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における撥水撥油性フィ
ルムの構成を示す一部断面図である。
【図2】図1の一部Bを分子レベルまで拡大した断面概
念図である。
【図3】本発明の第2の実施例における撥水撥油性フィ
ルムを作製するための化学吸着膜形成装置の概略図であ
る。
【図4】本発明の第3の実施例におけるシロキサン単分
子膜を形成した後の酸化シリコン表面を分子レベルまで
拡大した断面概念図である。
【図5】本発明の第3の実施例におけるフッ素を含んだ
化学吸着単分子膜を形成した後の酸化シリコン表面を分
子レベルまで拡大した断面概念図である。
【符号の説明】
11,21…ポリエチレンテレフタレートフィルム、 12…
酸化シリコン膜、 13…酸化シリコン膜上の微小な凹
凸、 14…フッ素を含む化学吸着単分子膜、 25…真空
容器、 26…密閉容器、 27…フロロカーボン基および
クロロシラン基を含む化合物の原液、 28…密閉容器の
コック、 32…酸化シリコン膜、 34…フッ素を含む化
学吸着単分子膜、 39…シロキサン単分子膜。
フロントページの続き (72)発明者 曽我 眞守 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 中山 一郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 丹野 益男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−239633(JP,A) 特開 平4−288349(JP,A) 実開 平2−115539(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 - 7/06 C08J 7/00 - 7/04

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルム上の少なくとも片
    面に微小な凹凸を形成した無機硬質膜と、前記無機硬質
    膜上の微小な凹凸上にシロキサン結合またはシロキサン
    単分子膜を介して形成させたフッ素を含む化学吸着単分
    子膜とからなる撥水撥油性フィルムであって、前記無機
    硬質膜を、シリコンを含む酸化膜、または窒化膜とした
    ことを特徴とする撥水撥油性フィルム。
  2. 【請求項2】 無機硬質膜の膜厚が0.02〜10μmであ
    ことを特徴とする請求項1記載の撥水撥油性フィルム。
  3. 【請求項3】 無機硬質膜の表面の微小な凹凸の粗さが
    0.01〜0.3μmであることを特徴とする請求項1記載の
    水撥油性フィルム。
  4. 【請求項4】 プラスチックフィルム裏面に粘着材が塗
    布されていることを特徴とする請求項1記載の撥水撥油
    性フィルム。
  5. 【請求項5】 プラスチックフィルムの少なくとも片面
    に無機硬質膜を形成する工程と、前記無機硬質膜の表面
    を炭素およびフッ素を含むガス中でプラズマ放電処理を
    行い、微小な凹凸を形成する工程と、前記凹凸に形成し
    た無機硬質膜表面を少なくとも酸素を含むガスでプラズ
    マ放電処理を行い、凹凸表面を親水性にする工程と、凹
    凸に形成された無機硬質膜を表面上に形成した前記プラ
    スチックフィルムをフッ化炭素基とクロロシリル基を含
    む化合物を、非水系の溶媒に溶解した溶液に浸漬し、前
    記無機硬質膜の凹凸表面にフッ素を含む化学吸着単分子
    膜をシロキサン結合を介して形成させる工程とからな
    ことを特徴とする撥水撥油性フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 プラスチックフィルムの少なくとも片面
    に無機硬質膜を形成する工程Pと、前記無機硬質膜の表
    面を炭素およびフッ素を含むガス中でプラズマ放電処理
    を行い、微小な凹凸を形成する工程Qと、前記凹凸に形
    成した無機硬質膜表面を少なくとも酸素を含むガスでプ
    ラズマ放電処理を行い、凹凸表面を親水性にする工程R
    と、凹凸に形成された無機硬質膜を表面上に形成した前
    記プラスチックフィルムをフッ化炭素基とクロロシリル
    基を含む化合物、もしくは、前記化合物を溶剤で希釈し
    た溶液をガス状にし、そのガス状雰囲気中で気相により
    前記無機硬質膜の凹凸表面にフッ素を含む化学吸着膜を
    シロキサン結合を介して 形成させる工程Sとからなるこ
    とを特徴とする撥水撥油性フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 フッ化炭素基とクロロシリル基を含む化
    合物として、 CF 3 −(CF 2 ) n −R−Si−X p Cl 3-p (ただし、nは
    整数、Rはアルキレン基を表すがなくてもよい、Xは水
    素またはアルキル基、アルコキシ基から選ばれる置換
    基、pは0または1)を用いることを特徴とする請求項
    5、または6記載の撥水撥油性フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記請求項6記載の各工程P,Q,R,
    Sが同一真空容器内で一括して行われることを特徴とす
    る撥水撥油性フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記フッ化炭素基とクロロシリル基を含
    む化合物は、 CF 3 (CF 2 ) 7 (CH 2 ) 2 SiCl 3 CF 3 (CF 2 ) 5 (CH 2 ) 2 SiCl 3 CF 3 CH 2 O(CH 2 ) 15 SiCl 3 CF 3 (CH 2 ) 2 Si(CH 3 ) 2 (CH 2 ) 15 SiCl 3 F(CF 2 ) 4 (CH 2 ) 2 Si(CH 3 ) 2 (CH 2 ) 9 SiCl 3 F(CF 2 ) 8 (CH 2 ) 2 Si(CH 3 ) 2 (CH 2 ) 9 SiCl 3 ,また
    CF 3 COO(CH 2 ) 15 SiCl 3 であることを特徴とする請求項5、または6記載の撥水
    撥油性フィルムの製造方法。
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