JP3245972B2 - 超撥水性フィルムの製造方法 - Google Patents
超撥水性フィルムの製造方法Info
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Description
チックフィルムの製造方法に関するものであり、とりわ
け、撥水性フィルムの製造方法に関するものである。
表面張力を水の表面張力よりも低くすることが必要にな
る。撥水性、すなわち、物質表面のぬれやすさを示す数
字として接触角という考え方がある。表面に水滴を置い
た場合、水滴と表面が接触する角度である。一般に、撥
水性を持つフィルムとしては、実用的には水の接触角で
160°近い超撥水状態が必要である。
てはフッ素系の四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン
共重合樹脂(FEP)などのフィルムなどが代表的であ
る。また、最近ではポリエステルフィルムなどの汎用フ
ィルムの表面に撥水性コーティング剤(たとえば、フッ
素系コーティング剤)を塗装することにより撥水性を付
与することが一般的に行われている。
フッ素系のフィルムでは透明性が得られるものの、撥水
性については水の接触角で100°程度と十分に満足で
きるものが得られない。そればかりかコストの面でも実
用的でない。この低コスト化に対応するため、上述のよ
うな汎用フィルム上に撥水性コーティング剤をコートす
ることにより、フィルム表面に機能性を付与する方法が
とられている。しかし、コスト面では改善されるが、撥
水性についてはフッ素系のフィルムと同程度であるのに
加え、耐環境性の面で劣ってしまう。最近、フィルムに
限らず、撥水性を向上させる方法として、フッ素系樹
脂、シリコーン系樹脂などに無機微粒子を均一に分散し
た複合塗料をコーティング剤に用いる方法やニッケルめ
っき液中にフッソ樹脂の微粒子を分散させめっきを行う
方法などがある。これらの方法を用いると被覆された表
面の形態的効果により水の接触角で160°近い超撥水
状態が得られているが、フィルム上に応用してもフィル
ムとの付着力が弱い、フィルムのもつ透明性が維持でき
ないなどの問題が生じてしまう。したがって、フィルム
の透明性を維持し、超撥水性をもった低コストで実用に
耐える撥水性フィルムの出現が望まれていた。
ィルムの製造方法は、上記の目的を達成するために、プ
ラスチックフィルムの片面もしくは両面に少なくとも酸
素を含むガスでプラズマ処理を行い、プラスチックフィ
ルム表面上を均一に微小に荒らす工程と、クロロシラン
系、メトキシシラン系、エトキシシラン系の少なくとも
1種類のフッ素化合物を含んだ溶液中に前記プラスチッ
クフィルムを浸漬させ、前記フッ素系化合物を溶液中で
化学的に吸着させる工程とからなる。または、プラスチ
ックフィルムの片面もしくは両面に少なくとも酸素を含
むガスでプラズマ処理を行い、プラスチックフィルム表
面上を均一に微小に荒らす工程Pと、クロロシラン系、
メトキシシラン系、エトキシシラン系の少なくとも1種
類のフッ素化合物もしくは溶剤で希釈したフッ素化合物
の溶液を気相により前記プラスチック表面に化学吸着さ
せる工程Qとからなる。
を酸素を含んだプラズマ処理を施し、100nm前後の突
起を形成することによって撥水性を向上させる表面形態
的効果を得るだけでなく、形成された突起が100nm程
度であるために透明性を維持することができ、また、こ
の表面処理によりその上に形成される化学吸着単分子膜
が必要とする反応基をも付与するため、フィルムと化学
吸着単分子膜とが容易に強固な付着力を得ることがで
き、耐環境性、あるいは寿命、コスト面でも優れたもの
となる。
施例1で図面を参照しながら説明する。
いて図面を参照しながら説明する。
である。図2は第1図の一部Bを分子レベルまで拡大し
た図である。
エステルフィルム、2はポリエステルフィルム1を酸素
ガスによるプラズマ処理を行って形成された高さ85nm
のポリエステル表面の微小な突起、3はフッ素含有のク
ロロシラン系化合物(化1)からなる化学吸着膜であ
る。
いて述べる。まず、ポリエステルフィルム1を酸素分圧
10Paの真空容器内で0.2W/cm2、5分のプラズマ
処理を行う。その結果、図1に示すように、フィルム表
面から先端までの高さAが85nmの微小な突起が形成さ
れ、同時に、フィルム表面が親水化される。このように
して処理されたポリエステルフィルム1を容器から取り
出し、シクロヘキサンの溶媒で希釈した1×10-2 Mol
/l濃度のフッ素含有クロロシラン系化合物(化1)の溶
液中に10分浸漬する。ポリエステルの表面は酸素のプ
ラズマ処理によって親水化されているため表面で(化
2)の結合が形成され、フッ素含有のクロロシラン系化
合物(化1)による単分子膜4よりなる吸着膜3が形成
される。(図2)
撥水性、透明性の評価を行うため、水の接触角、透過率
について測定した。比較サンプルとして、FEPフィル
ム、フッ素系樹脂をコーティングしたポリエステルフィ
ルム、シリコーン系樹脂に無機微粒子(シリカ)を均一
に分散した複合塗料をコーティングしたポリエステルフ
ィルム、表面に突起を形成せず本発明と同じフッ素系ク
ロロシラン系化合物を使って化学吸着膜を形成したポリ
エステルフィルムの4つを用い、同様に、水の接触角、
透過率について測定した。なお、フィルム厚は、すべて
0.1mmである。
例1により作製した超撥水性フィルムは撥水性、透明性
の両面で優れた機能性フィルムであることがわかる。
いて説明する。
を参照しながら説明する。図3は本発明の超撥水性フィ
ルムを作製するための化学吸着膜形成装置の概略図であ
る。図3において、5は真空容器、6は密閉容器に入っ
ているフッ素含有のクロロシラン系化合物(化1)、7
は密閉容器のコックである。
ルム表面に微小な突起を形成した後、真空容器内を1×
10-3Paになるまで排気する。次に、密閉容器のコック
7を開きフッ素含有のクロロシラン系化合物6の原液を
気化させる。すると、プラズマ処理を行ったフィルムの
表面が親水化されているため、気化した(化1)とフィ
ルム表面とで(化2)の結合が形成され、フッ素含有の
クロロシラン系化合物による単分子膜4よりなる吸着膜
3が形成される。
実施例1と同様の評価を行った。測定結果を(表2)に
示す。
例2により作製した超撥水性フィルムは、実施例1と同
様に、撥水性、透明性の両面に渡り優れた機能性フィル
ムであると同時に、同じ真空容器内で一括して膜形成ま
でできるため工程時間の短縮、低コスト化も実現可能と
なる。
ラン系化合物として(化1)を用いたが、他のフッ素含
有クロロシラン系化合物、例えば、(化3)や(化4)
などを用いても同じ効果は得られる。
ロロシラン系化合物を用いたが、メトキシシラン系、ま
たは、エトキシシラン系、または、クロロシラン系を含
めた混合系化合物であっても同様の効果を得ることがで
きる。
85nmとしたが、10nm以下になると十分な撥水性が得
られなくなり、また、500nmを越えるとフィルム表面
の機械的強度が極力弱くなるため、望ましくは10〜5
00nmである。
の分子量が大きくなる、すなわち、炭素の数が大きくな
ると蒸発しにくくなるが、原液を適度に加熱することで
対応できるが、直鎖状の場合で炭素の数が25程度まで
が望ましい。
ムを使用したが、他のプラスチックフィルムでも同様の
結果が得られることはいうまでもない。
れた撥水性をもった機能性フィルムを手軽に安価に提供
でき、工業的かつ実用的効果は多大である。
構成図
形成後、分子レベルまで拡大した断面図
により形成された化学吸着膜 4 化学吸着した単分子膜 5 真空容器 6 密閉容器に入ったフッ素含有クロロシラン系化合物 7 密閉容器のコック
Claims (3)
- 【請求項1】 プラスチックフィルムの片面もしくは両
面に少なくとも酸素を含むガスでプラズマ処理を行い、
プラスチックフィルム表面上を均一に微小に荒らす工程
と、クロロシラン系、メトキシシラン系、エトキシシラ
ン系の少なくとも1種類のフッ素化合物を含んだ溶液中
に前記プラスチックフィルムを浸漬させ、前記フッ素系
化合物を溶液中で化学的に吸着させる工程とからなる超
撥水性フィルムの製造方法。 - 【請求項2】 プラスチックフィルムの片面もしくは両
面に少なくとも酸素を含むガスでプラズマ処理を行い、
プラスチックフィルム表面上を均一に微小に荒らす工程
Pと、クロロシラン系、メトキシシラン系、エトキシシ
ラン系の少なくとも1種類のフッ素化合物もしくは溶剤
で希釈したフッ素化合物の溶液を気相により前記プラス
チック表面に化学吸着させる工程Qとからなる超撥水性
フィルムの製造方法。 - 【請求項3】 前記工程Pと工程Qとが同一真空容器内
で一括して行われる請求項2記載の超撥水性フィルムの
製造方法。
Priority Applications (1)
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JP18073292A JP3245972B2 (ja) | 1992-07-08 | 1992-07-08 | 超撥水性フィルムの製造方法 |
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JP18073292A JP3245972B2 (ja) | 1992-07-08 | 1992-07-08 | 超撥水性フィルムの製造方法 |
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JP2001175139A Division JP3489572B2 (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | 超撥水性フィルム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0625449A JPH0625449A (ja) | 1994-02-01 |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18073292A Expired - Lifetime JP3245972B2 (ja) | 1992-07-08 | 1992-07-08 | 超撥水性フィルムの製造方法 |
Country Status (1)
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-
1992
- 1992-07-08 JP JP18073292A patent/JP3245972B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH0625449A (ja) | 1994-02-01 |
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