JP3244298B2 - 帯電防止化学吸着単分子膜およびその製造方法 - Google Patents

帯電防止化学吸着単分子膜およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電防止化学吸着単分
子膜およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、セ
ラミックス、合成樹脂、または合成繊維などの帯電防止
を目的とした帯電防止化学吸着単分子膜及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス、ガラス、合成樹脂、また
は合成繊維などは使用する用途によって静電気がたまり
やすく、帯電により室内に浮遊しているゴミや埃が引き
つけられて表面が汚れやすい欠点があった。この帯電を
防ぐため、セラミック、ガラス、合成樹脂等の表面に導
電性樹脂を塗布したり、導電性フイルムを張りつけた
り、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性セラ
ミックスを蒸着する方法が知られているまた化学吸着単
分子膜の製造方法して、小川(USP4,673,47
4他)の方法によって提案されているように、あらかじ
め化学吸着用試薬そのものの中に特定の機能を有する官
能基を組み込んでおき、化学吸着を行なうことで特定の
化学吸着膜を製造する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、導電性
樹脂を塗布したり導電性フィルムを張りつける方法で
は、透明性が劣る上、剥離や傷が付き易いなどの欠点が
あった。また、ITOを蒸着する方法では、信頼性は高
いが、コストが高いなどの問題点があった。そして、前
記化学吸着単分子膜の製造方法では、予め化学吸着用試
薬の中に帯電防止を目的とした弱導電性基を組み込むこ
とは不可能であり、望ましい帯電防止性を有する化学吸
着膜を作製することが大幅に制限され、汎用性に乏しい
という欠点があった。
【0004】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、透明性や耐久性が高く、かつ、所望の弱導電性基
を有する化学吸着単分子膜の帯電性防止膜を提供しよう
とするものであり、あわせて帯電防止化学吸着単分子膜
の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の帯電防止化学吸着単分子膜は、基材表面に
親水性基を含む直鎖状分子をシロキサン結合を介して設
けた単分子膜であって、前記単分子膜の導電性が10
-10S/cm以上であり、前記親水性基が−COOH、−
NH 2 、−N + 3 - (Rはアルキル基、Xはハロゲン原
子を示す)、−NO 2 、及び−SO 3 H基から選ばれる少
なくとも1つの官能基であることを特徴とする。
【0006】また前記構成においては、−COOH、ま
たは−SO3H基のHがアルカリ金属,アルカリ土類金
属または他の金属で置換されていることが好ましい。
【0007】本発明の帯電防止化学吸着単分子膜の製造
方法は、基材表面に単分子膜を設ける製造方法におい
て、末端にクロロシリル基を有し、他の末端にブロモ
基、ヨード基、シアノ基、チオシアノ基、クロロシリル
基、またはエステル結合から選ばれる少なくとも一つの
官能基を有する直鎖状界面活性剤を非水系溶媒に溶解し
て化学吸着液を調製し、前記化学吸着液を基材表面に接
触させ、前記基材表面の水酸基と前記直鎖状界面活性剤
のクロロシリル基とを反応させて前記界面活性剤分子を
化学吸着させ、次に前記界面活性剤分子の前記官能基を
化学反応させて−COOH、−NH2、−N+3
-(Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)、−N
2及び−SO3H基から選ばれる少なくとも一つの官
能基に変換させることを特徴とする。
【0008】前記構成においては、−COOH、または
−SO3H基のHがアルカリ金属,アルカリ土類金属ま
たは他の金属で置換されていることが好ましい。
【0009】
【作用】前記本発明の帯電防止化学吸着膜の構成によれ
ば、弱導電性の官能基が化学吸着された分子を介してシ
ロキサン結合でセラミックス、ガラス、合成樹脂、また
は合成繊維などの基材表面に固定されるため、帯電防止
効果を発揮し、剥離することもない。しかもこの単分子
膜は膜厚がナノメーターレベルであるため、透過性に優
れており、基材表面の帯電による汚れの発生を防止で
き、耐久性にも優れたものとすることができる。
【0010】また親水性基が、−COOH、−NH2
−N+3-(Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示
す)、−NO2及び−SO3H基から選ばれる少なくと
も一つの官能基であるという本発明の好ましい構成によ
れば、さらに優れた帯電防止機能を発揮できる。
【0011】また−COOH、または−SO3H基のH
がアルカリ金属、アルカリ土類金属、または他の金属で
置換されているという本発明の好ましい構成によれば、
とくに優れた帯電防止機能を発揮できる。
【0012】また、本発明の帯電防止化学吸着膜の製造
方法においては、弱導電性の官能基が化学吸着された分
子を介して化学結合でセラミックス、合成樹脂、または
合成繊維製の基材表面に固定されるため、化学吸着用試
薬として、あらかじめ試薬そのものの中に特定の官能基
を組み込んでおく必要がなく、比較的自由に帯電防止を
目的とした任意の弱導電性を有する化学吸着単分子膜を
製造できる。
【0013】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。
【0014】本発明に用いられる基材として、セラミッ
クス、ガラス、合成樹脂、または合成繊維などがあり、
これらの基材表面の導電性は通常10-15から10-18
/cmである。これら基材表面に水酸基が多数露出して
いない場合はプラズマ処理すること、または、シロキサ
ン層を形成することによって表面に水酸基を形成するこ
とができる。
【0015】本発明の帯電防止化学吸着膜は導電性が1
-10S/cm以上であり、次のようにして製造する。
まず、前記基材、例えばガラスを用意し、その表面にク
ロロシリル基を分子末端に含む物質、たとえばA−
(B)l−SiXqCl3-q(ただし、Aはブロモ基、ヨ
ード基、シアノ基、チオシアノ基、クロロシリル基、ま
たはエステル結合から選ばれる少なくとも一つの官能
基、qは0または1または2、lは30以下の自然数、
Bは含む官能基)を混ぜた非水系溶媒に接触させ、前記
基材表面の水酸基と前記クロロシリル基を分子末端に含
む物質のクロロシリル基とを反応させて、前記物質を前
記表面に析出させる工程と、非水系有機溶媒を用い前記
基材表面上に残った未反応クロロシリル基を複数個含む
物質を洗浄除去した後、前記物質のブロモ基、ヨード
基、シアノ基、チオシアノ基、クロロシリル基、または
エステル結合から選ばれる少なくとも一つの官能基を化
学反応させて−COOH、−NH2、−N+3-(R
はアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)、−NO2
及び−SO3H基から選ばれる少なくとも一つの官能基
に変換させる工程とにより帯電防止化学吸着単分子膜を
基材表面に形成する。あるいは、−COOH、または−
SO3H基に変換後、−COOH、または−SO3H基の
官能基内のHをアルカリ金属、アルカリ土類金属、また
は他の金属と置換した単分子膜を形成する。ここでアル
カリ金属とは、例えばLi,Na,K,Rb,Cs,F
rをいい、またはアルカリ土類金属とは、例えばBe,
Mg,Ca,Sr,Ba,Raをいい、または他の金属
とは、Al,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ga,Zr,Lnなどの長周期型周期
律表の4A,5A,6A,7A,8,1B,2B,3
B)の化合物などをいう。要は前記カルボン酸またはス
ルホン酸と塩(錯塩を含む)を形成できる金属であれば
どのような金属でも使用できる。
【0016】本発明に関する帯電防止を目的とした弱導
電性を有する化学吸着膜の作製には、単分子膜に帯電防
止機能を有する官能基として−COOH、−NH2
−N+3-(Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示
す)、−NO2及び−SO3H基等を導入する方法があ
るが、以下順に説明する。
【0017】参考例1(−OH基の導入) まず、セラミック製品、例えばガラス基材(表面の導電
性は約10-17S/cm)11を用意し(図1(a))、
有機溶媒で洗浄した。次に、エステル結合(R−CO−
OCH2−(Rは官能基))を含む官能基及びクロロシ
リル基を含む化学吸着物質、例えばCH3OOC(C
27SiCl3を2wt%程度の濃度で、80wt%n−
ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ビシクロヘキシル
でもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム
の混合溶媒に溶解し、化学吸着液を準備した。この化学
吸着液に前記ガラス基材表面を5時間程度浸漬すると、
ガラス基材表面には水酸基12が多数含まれているの
で、エステル結合及びクロロシリル基を含む物質のSi
Cl基と前記水酸基が反応し、脱塩酸反応が生じる。次
にクロロホルムなどの非水溶液で基材表面の未反応化学
吸着物質を洗浄・除去し、次に水と反応させた。これに
より、ガラス基材表面全面に亘り下記(化1)に示す結
合が生成され、エステル結合を含む単分子膜13がガラ
ス基材表面と化学結合した状態で約20オングストロー
(2nm)の膜厚で形成できた(図1(b))。
【0018】
【化1】
【0019】次に、このガラス基材表面を数wt%のリチ
ウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4 )を含む
エーテル溶液中で室温下で20分反応させて、末端に親
水性の水酸基に変換し、次の化学式で表わされる単分子
膜14を形成した(図1(c))。
【0020】
【化2】
【0021】なお、この単分子膜14はきわめて強固に
ガラス基材表面に化学結合しているので剥離することが
なかった。また、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸着
し、導電性は約10-8S/cmであった。
【0022】さらに、ここでアルカリ金属の有機化合
物、例えばLi(CH23CH3(NaOCH3でもよ
い)を5wt%程度溶解したヘキサン溶液にガラス基材表
面を浸漬すると下記式(化3)で表わされるきわめて親
水性の高い膜15が形成できた(図1(d))。
【0023】
【化3】
【0024】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し導電性は約10-6S/cmであった。
【0025】実施例(−COOH基の導入) 例えば、合成樹脂製品であるポリプロピレン基板(表面
の導電性は約10-16S/cm)21を用意し、酸素を
含むガス中でプラズマ処理して表面に水酸基22を導入
する(図2(a))。次に、よく洗浄した後、エステル
結合(R−CO−OCH2−(Rは官能基))をもつ官
能基とクロロシリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶
媒、例えば、CH3OOC(CH210SiCl3を用
い、2wt%程度の濃度で溶かした80wt%n−ヘキサデ
カン(トルエン、キシレン、ビシクロヘキシルでもよ
い)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶液を
調整し、前記ポリプロピレン基板を5時間程度浸漬する
と、基板の表面には水酸基22が多数含まれているの
で、エステル結合及びクロロシリル基を含む物質のSi
Cl基と前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じる。次に
クロロホルムなどの非水溶液で未反応物質を洗浄・除去
し、しかる後水と反応させると基板表面全面に亘り、下
記(化4)に示す結合が生成され、エステル結合を含む
単分子膜23が基板の表面と化学結合した状態で約30
オングストロームの膜厚で形成できた(図2(b))。
【0026】
【化4】
【0027】次に、この表面を塩酸(HCl)の36wt
%溶液中で65℃で30分反応させて、下記(化5)に
示すような末端に親水性のカルボキシル基を形成した。
【0028】
【化5】
【0029】なお、この単分子膜24(図2(c))も
きわめて強固にポリプロピレン基板表面に化学結合して
いるので剥離することがなかった。また、この単分子膜
は空気中の水蒸気を吸着し、導電性は約10-9S/cm
であった。
【0030】さらに、ここでアルカリ金属,アルカリ土
類金属または他の金属の化合物、例えばNaOH(別の
ものとしてCa(OH)2でもよい)を1wt%程度溶解
した水溶液にポリプロピレン基板表面を浸漬すると、下
記(化6)で表わされるきわめて導電性の高い膜25
(図2(d))がポリプロピレン基板の表面上に形成で
きた。
【0031】
【化6】
【0032】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-6S/cmであった。
【0033】実施例(−NH2基の導入) まず、合成繊維であるポリエステル繊維製布(表面の導
電性は約10-15S/cm)を用意し、重クロム酸を含
む水溶液で80℃で30分程度酸化し繊維31を用意し
(図3(a))、その後水洗してシアノ基及びクロロシ
リル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、例えば、NC
(CH217SiCl3を用い、1wt%程度の濃度で溶か
した80wt%n−ヘキサデカン(トルエン、キシレン、
ビシクロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8
wt%クロロホルム溶液を調整し、前記布を2時間程度浸
漬すると、布の繊維表面には水酸基32が多数含まれて
いるので、シアノ基を含む物質のSiCl基と前記水酸
基が反応し脱塩酸反応が生じる。次にクロロホルムなど
の非水溶液で未反応物質を洗浄・除去し、しかる後水と
反応させると、繊維表面全面に亘り下記(化7)に示す
結合が生成され、シアノ基を含む単分子膜33が布の繊
維表面と化学結合した状態で形成できた(図3
(b))。
【0034】
【化7】
【0035】次に、リチウムアルミニウムハイドライド
の溶解したエーテル(10mg/ml)に布を浸漬し、
一晩反応させる。その後、溶液から取り出しエーテル、
続いてエーテルと同容量の10wt%の塩酸を加える。そ
の後、さらにトリエチルアミン溶液に入れて、2時間反
応を行わせた後、クロロホルム溶液で洗浄すると、下記
(化8)で表わせる親水性の高い単分子膜を得た。
【0036】
【化8】
【0037】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-9S/cmであった。また、この
単分子膜33(図3(c))もきわめて強固に繊維に化
学結合しているので剥離することがなかった。
【0038】他の−NH2基の導入実施例として、次の
ようなものがある。
【0039】まず、繊維表面を酸化した布を用意し、よ
く水洗浄した後、ブロモ基またはヨード基とクロロシリ
ル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、例えばBr(C
217SiCl3を用い、1wt%程度の濃度で溶かした
80wt%n−ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ビシ
クロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%
クロロホルム溶液を調整し、前記布を2時間程度浸漬す
ると、布の表面には水酸基が多数含まれているので、ブ
ロモ基を含む物質のSiCl基と前記水酸基が反応し脱
塩酸反応が生じる。次にクロロホルムなどの非水溶液で
未反応物質を洗浄・除去し、しかる後水と反応させる
と、表面全面に亘り下記(化9)の結合が生成され、ブ
ロモ基を含む単分子膜が繊維表面と化学結合した状態で
形成できた。
【0040】
【化9】
【0041】次に、ナトリウムアミドの溶解したN,N
ジメチルホルムアミド溶液(8mg/ml)に布を入れ
一晩反応を行わせと、下記(化10)で表わせる単分子
膜を得た。
【0042】
【化10】
【0043】さらに、リチウムアルミニウムハイドライ
ドの溶解したエーテル(10mg/ml)に布を浸漬
し、一晩反応させた後取り出し、空の容器に入れて、エ
ーテル、続いてエーテルと同容量の10wt%の塩酸を加
える。その後トリエチルアミン溶液に入れて、2時間反
応を行わせた後、クロロホルム溶液で洗浄すると、下記
(化11)で表わせる単分子膜を得た。
【0044】
【化11】
【0045】なお、この単分子膜もきわめて強固に布表
面に化学結合しているので剥離することがなかった。な
お前記においては、ポリエステル繊維を例としてあげた
が、他の合成繊維や天然繊維であっても適用することが
できる。
【0046】実施例(−N+3-基(Xはハロゲン
原子を示す)の導入) まず、親水性のガラス基材41を用意し(図4
(a))、有機溶媒で洗浄した後、一端にクロロシリル
基及び他の一端にもクロロシリル基を含む物質を混ぜた
非水系の溶媒、例えば、ClSi(CH32(CH2
10SiCl3を用い、2wt%程度の濃度で溶かした80w
t%n−ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ビシクロ
ヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%クロ
ロホルム溶液を調整し、前記ガラス基材表面41を5時
間程度浸漬すると、ガラス基材表面には水酸基42が多
数含まれているので、一端にクロロシリル基及び他の一
端にもクロロシリル基を含む物質の一端のSiCl基と
前記水酸基が反応し脱塩酸反応が生じ、下記(化12)
に示すような結合が生成され、クロロシリル基を含む単
分子膜43が基材表面と化学結合した状態で形成できた
(図4(b))。
【0047】
【化12】
【0048】そこで10wt%(CH3 )2 NC2 H4 O
Hのクロロホルム溶液に基材を浸漬し脱塩酸反応を生じ
させた後、クロロホルムで洗浄すると、下記(化13)
で表わせる単分子膜44が得られた(図4(c))。
【0049】
【化13】
【0050】そこで、さらにハロゲン原子としてヨウ素
を含むCH3Iを溶解させたクロロホルム溶液に浸漬し
2時間還流すると、下記(化14)で示される第4級ア
ンモニウム塩を含む基を表面に有するきわめて親水性の
高い単分子膜45が得られた(図4(d))。
【0051】
【化14】
【0052】また、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-7S/cmであった。
【0053】実施例(−NO2基の導入) まず、親水性のガラス基材51を用意し(図5
(a))、有機溶媒で洗浄した後、ブロモあるいはヨー
ド基及びクロロシリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶
媒、例えば、下記(化15)に示す化合物を用いた。
【0054】
【化15】
【0055】前記化合物を2wt%程度の濃度で溶かした
80wt%n−ヘキサデカン(トルエン、キシレン、ビシ
クロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭素、8wt%
クロロホルム溶液を調整し、前記ガラス基材表面51を
5時間程度浸漬すると、基材表面には水酸基が多数含ま
れているので、ブロモ基を含む物質のSiCl基と前記
水酸基52が反応し脱塩酸反応が生じる。次にクロロホ
ルムなどの非水溶液で未反応物質を洗浄・除去し、しか
る後水と反応させると、基材表面全体に亘り、下記(化
6)に示す結合が生成され、ブロモ基を含む単分子膜5
3が基材表面と化学結合した状態で約25オングストロ
ームの膜厚で形成できた(図5(b))。
【0056】
【化16】
【0057】次に、このガラス基材表面を5wt%AgN
3を含むアルカリ性水溶液中で80℃、2時間反応さ
せると、下記(化17)で示される親水性の単分子膜5
4(図5(c))が得られた。
【0058】
【化17】
【0059】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-10S/cmであった。この単分
子膜もきわめて強固に基材表面に化学結合しているので
剥離することがなかった。
【0060】実施例(−SO3H基の導入) まず、ガラス基材61を用意し(図6(a))、有機溶
媒で洗浄した後、チオシアノ基(−SCN)及びクロロ
シリル基を含む物質を混ぜた非水系の溶媒、たとえば、
NCS(CH210SiCl3を用い、2wt%程度の濃度
で溶かした80wt%n−ヘキサデカン(トルエン、キシ
レン、ビシクロヘキシルでもよい)、12wt%四塩化炭
素、8wt%クロロホルム溶液を調整し、前記ガラス基材
表面61を5時間程度浸漬すると、基材表面には水酸基
62が多数含まれているので、チオシアノ基及びクロロ
シリル基を含む物質のSiCl基と前記水酸基が反応し
脱塩酸反応が生じる。次にクロロホルムなどの非水溶液
で未反応物質を洗浄・除去し、しかる後水と反応させる
と、基材表面に亘り、下記(化18)に示す結合が生成
され、チオシアノ基を含む単分子膜63がガラス基材の
表面と化学結合した状態で約25オングストロームの膜
厚で形成できた(図6(b))。
【0061】
【化18】
【0062】次に、リチウムアルミニウムハイドライド
の溶解したエーテル(10mg/ml)に基材を入れ、
4時間反応させると、下記(化19)で示される親水性
の単分子膜64(図6(c))が得られた。
【0063】
【化19】
【0064】次に、10wt%の過酸化水素水と10wt%
の酢酸が容量比で1対5の混合溶液中に入れ、40℃か
ら50℃の間で30分反応させると、下記(化20)で
示される親水性の高い単分子膜65(図6(d)が得ら
れた。
【0065】
【化20】
【0066】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-8S/cmであった。さらに、こ
こでアルカリ金属、アルカリ土類金属または他の金属の
化合物、例えばNaOH(別のものとしてCa(OH)
2でもよい)を2wt%程度溶解した水溶液に基材を浸漬
すると、下記(化21)で表わされるきわめて親水性の
高い膜66が形成できた(図6(e))。
【0067】
【化21】
【0068】なお、この単分子膜は空気中の水蒸気を吸
着し、導電性は約10-7S/cmであった。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本願発明の方法を用
いれば、帯電防止を目的とした親水性の官能基が基材表
面に化学吸着された分子を介して化学結合で固定される
ため、比較的自由に任意の導電性を有する帯電防止化学
吸着単分子膜を基材表面に形成できる。そこで、弱導電
性の官能基が化学吸着された分子を介して化学結合で基
材表面に固定されるため、基材表面の帯電を防止できる
効果がある。また、この単分子膜は化学結合で固定され
ているため、剥離することもない。しかも、この単分子
膜は、膜厚がナノメーターレベルであるため、透明性が
よい。従って、基材の帯電による汚れの発生を排除でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1のガラス基材に帯電防止性単分子薄膜
を形成する工程を説明するために、基材表面を分子レベ
ルまで拡大した工程断面図である。
【図2】本発明の実施例1のポリプロピレン基板に帯電
防止性単分子薄膜を形成する工程を説明するために、基
板表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。
【図3】本発明の実施例2のポリエステル繊維布に帯電
防止性単分子薄膜を形成する工程を説明するために、繊
維布表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。
【図4】本発明の実施例3のガラス基材に帯電防止性単
分子薄膜を形成する工程を説明するために、基材管表面
を分子レベルまで拡大した工程断面図である。
【図5】本発明の実施例4のガラス基材に帯電防止性単
分子薄膜を形成する工程を説明するために、基材表面を
分子レベルまで拡大した工程断面図である。
【図6】本発明の実施例5のガラス基材に帯電防止性単
分子薄膜を形成する工程を説明するために、基材表面を
分子レベルまで拡大した工程断面図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,61 基材 12,22,32,42,52,62 水酸基 13,14,15,23,24,25,33,34,43,44,45,53,54,63,64,65,66
単分子膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H05F 1/02 H05F 1/02 E (56)参考文献 特開 平2−232232(JP,A) 特開 昭54−109084(JP,A) 特開 昭63−263704(JP,A) 特開 平1−275614(JP,A) 特開 昭64−85223(JP,A) 特開 平2−247219(JP,A) 特開 平3−232893(JP,A) 特開 平4−109877(JP,A) 特開 平5−117624(JP,A) 特開 平4−370201(JP,A) 特開 昭63−252733(JP,A) 特開 平2−215009(JP,A) 特開 昭61−28574(JP,A) 特開 昭58−180564(JP,A) 特開 昭61−94042(JP,A) 特開 平5−170947(JP,A) 米国特許4539061(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 3/16 B05D 1/18 C08J 7/04 C09D 5/24 H05F 1/02 D06M 13/513

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に親水性基を含む直鎖状分子を
    シロキサン結合を介して設けた単分子膜であって、前記
    単分子膜の導電性が10-10S/cm以上であり、前記親
    水性基が−COOH、−NH 2 、−N + 3 - (Rはアル
    キル基、Xはハロゲン原子を示す)、−NO 2 、及び−
    SO 3 H基から選ばれる少なくとも1つの官能基である
    ことを特徴とする帯電防止化学吸着単分子膜。
  2. 【請求項2】 −COOH、または−SO3H基のHが
    アルカリ金属,アルカリ土類金属または他の金属で置換
    されている請求項1に記載の帯電防止化学吸着単分子
    膜。
  3. 【請求項3】 基材表面に単分子膜を設ける製造方法に
    おいて、末端にクロロシリル基を有し、他の末端にブロ
    モ基、ヨード基、シアノ基、チオシアノ基、クロロシリ
    ル基、またはエステル結合から選ばれる少なくとも一つ
    の官能基を有する直鎖状界面活性剤を非水系溶媒に溶解
    して化学吸着液を調製し、前記化学吸着液を基材表面に
    接触させ、前記基材表面の水酸基と前記直鎖状界面活性
    剤のクロロシリル基とを反応させて前記界面活性剤分子
    を化学吸着させ、次に前記界面活性剤分子の前記官能基
    を化学反応させて−COOH、−NH2、−N+3-
    (Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)、−NO
    2及び−SO3H基から選ばれる少なくとも一つの官能
    基に変換させることを特徴とする帯電防止化学吸着単分
    子膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 −COOH、または−SO3H基のH
    を、アルカリ金属,アルカリ土類金属または他の金属に
    置換する請求項3に記載の帯電防止化学吸着単分子膜の
    製造方法。
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