JP2000212758A - 無電解めっき層を備える積層品及びその製造方法 - Google Patents

無電解めっき層を備える積層品及びその製造方法

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JP2000212758A
JP2000212758A JP11009303A JP930399A JP2000212758A JP 2000212758 A JP2000212758 A JP 2000212758A JP 11009303 A JP11009303 A JP 11009303A JP 930399 A JP930399 A JP 930399A JP 2000212758 A JP2000212758 A JP 2000212758A
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primer
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plating layer
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JP11009303A
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Toshihiro Yamamoto
敏博 山本
Shizuo Kimura
鎮夫 木村
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Inoac Corp
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Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材表面にプライマ層により接着された、美
しい金属光沢を有する無電解めっき層が所要箇所に設け
られた積層品及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 ABS樹脂シート等の基材からなる成形
品の表面に、(1)アルコキシシラン、(2)コロイダ
ルシリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカップ
リング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化物コ
ロイド並びにシランカップリング剤及びチタンカップリ
ング剤のうちの少なくとも一方、又は(4)金属アルコ
キシド、からなるプライマ層上に、水溶性高分子を含有
するマスキング層を形成することで、プライマ層を介し
て十分に密着させ、接合させた無電解めっき層を必要な
部分にのみ備えた積層品を得る。また、この無電解めっ
き層の表面に、このめっき層を保護するための保護層を
設けることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解めっき層を
備える積層品及びその製造方法に関する。更に詳しく
は、耐久性に優れ、美しい金属光沢を有するめっき層
が、基材の表面の一部に形成された積層品に関する。ま
た、このような積層品を特に容易に製造することができ
る製造方法に関する。本発明の積層品は、意匠性を必要
とする種々の分野において幅広く利用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチックなどの非導電性
材料に、金属光沢を付与する方法として、プラスチック
めっき技術が知られている。プラスチックめっきは、プ
ラスチック素材表面を無電解めっきで導電化した後、電
気めっきする方法である。また、基材の前処理の第一段
階として、クロム酸等の強酸化性薬品若しくは強アル
カリ性薬品による化学的な表面粗化、或いはブラスト
処理等の機械的な表面粗化等による投錨効果によって、
非導電性材料とめっき層との密着性を向上させる方法が
採られている。
【0003】更に、近年、基材の表面を部分的にめっき
するため、或いは有害物質であるクロム酸の使用を避け
るため、無電解めっきのための触媒を含む塗料を基材に
塗布し、密着性を向上させる等の各種の前処理方法が提
案されている。そのような前処理方法としては、以下の
ようなものが知られている。 a)表面に原子状パラジウムを担持させた非導電性粉体
フィラーを、有機バインダに分散させた塗料を基材に塗
布する方法(特開平9−59778号公報)、 b)パラジウムとチタンとからなる複合金属酸化物の水
化物をフィラーとして含む塗料を基材に塗布し、乾燥さ
せた後、硫酸をアクセラレータとして用い、活性化する
方法(特開平9−135097号公報)、
【0004】c)塩化第一スズを含むエマルジョン型塗
料を基材に塗布し、乾燥させた後、塩酸酸性塩化パラジ
ウム溶液を接触させる方法(特公平7−49627号公
報)、 d)キトサン又はキトサン誘導体を含む塗料を塗布し、
乾燥させた後、塩酸酸性塩化第一スズ溶液と塩酸酸性塩
化パラジウム溶液とを、連続して基材に接触させる方法
(特公平6−33461号公報)、 e)還元により無電解めっき反応の触媒作用を発現する
金属塩を含有するアクリロニトリル系塗料を基材に塗布
し、乾燥させた後、還元処理する方法(特開平5−33
1683号公報)、等が挙げられる。
【0005】しかしながら、a)、b)のフィラーを含
む塗料を用いた場合には、無電解めっきだけでは金属光
沢を有する平滑面は得られず、装飾品等の用途には電気
めっきを厚く施す必要があり、工程が多く、煩雑であ
る。また、c)の塩化第一スズを含む塗料では、塩化第
一スズが塗膜にほぼ均一に分散されるため、表面にしか
必要でない塩化第一スズが塗膜内部にも含有され、これ
らは触媒として作用しない。更に、塩化第一スズの安定
性が低いため塗料中に不溶性の沈殿[Sn(OH)C
l]を生じたり、第二スズに酸化されて失活してしまう
等の問題がある。これを避けるため塩化第一スズの安定
剤として塩酸若しくは塩化物等を加えると、塗膜内部に
残留するこれらの成分がめっき層自体或いは周辺の金属
を侵してしまう恐れがある。
【0006】また、d)のキトサン等を含む塗料でも、
同様に無機酸で可溶化した場合には、残留する酸によっ
て腐食する恐れがある。更に、e)のアクリロニトリル
系塗料を塗布する方法では、極性の高いアクリロニトリ
ル系樹脂を溶解するために溶解性に優れた極性溶媒を必
要とし、下地がポリカーボネート等の耐溶剤性に乏しい
プラスチックである場合には、これが溶剤に侵されてし
まうことがある。また、c)と同様に塗膜内部に含まれ
ている金属塩の多くが触媒として作用しないとの問題も
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、種々の基材の一部に、美しい金
属光沢を持つ無電解めっき層と、この無電解めっき層と
基材を強固に接合するためのプライマ層とを有する積層
品を提供することを目的とする。更に、このような金属
光沢を必要な部位のみに、安定して容易に形成させるこ
とのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1発明の無電解めっき
層を備える積層品は、基材及び該基材の一部に設けられ
た無電解めっき層、並びに該基材と該無電解めっき層と
を接合するためのプライマ層を備える積層品において、
該プライマ層は、(1)アルコキシシラン、(2)コロ
イダルシリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカ
ップリング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化
物コロイド並びにシランカップリング剤及びチタンカッ
プリング剤のうちの少なくとも一方、又は(4)金属ア
ルコキシドと、樹脂とを含有するプライマ剤を乾燥さ
せ、形成させたものであることを特徴とする。
【0009】上記「基材」は、プライマ剤を塗布するこ
とができるものであればよく、プラスチック、木材、金
属、ガラス、その他のセラミックス等、からなるものの
いずれであってもよい。また、この基材の厚さは特に制
限されない。更に、上記「積層品」は、装飾品、ランプ
ハウジング等に用いられる光反射体等として有用であ
る。
【0010】上記「プライマ層」は、上記「プライマ
剤」により形成され、基材と無電解めっき層とを強固に
密着させ、剥離しにくくする。このプライマ剤は(1)
〜(4)のうちのいずれか一種の化合物等と、水及び有
機溶媒に溶解又は分散させることのできる樹脂とを含有
し、基材の表面の一部に適宜の方法によって塗布し、形
成される塗膜を乾燥させることによりプライマ層を形成
することができる。上記「樹脂」としては、特に密着性
に優れるためアクリル樹脂を使用することがより好まし
い。
【0011】(1)の上記「アルコキシシラン」として
は、テトラメトキシシランとその重合体、テトラエトキ
シシランとその重合体等の4官能以上のアルコキシシラ
ンが挙げられる。また、メチルトリメトキシシランに代
表される3官能のアルコキシシラン、ジメチルジメトキ
シシランに代表される2官能のアルコキシシランが、ア
ルコキシシランの縮合反応相の表面シラノール基密度或
いは親水性等を阻害しない範囲で少量含まれていてもよ
い。
【0012】アルコキシシランとともにプライマ剤に含
有される樹脂としては、アルコキシシランが加水分解し
て生ずるシラノール基と水素結合若しくは化学結合し得
る官能基を備える樹脂を使用することが好ましい。その
ような樹脂としては、エステル結合、エーテル桔合、ア
ミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イミド結合等、
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基等を
有するもの、具体的には、アルキッド樹脂、アクリル樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリ
アミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びセルロース
樹脂等が挙げられ、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等
が好ましい。これらの樹脂は、その種類にもよるが、プ
ライマ剤の固形分を100重量部とした場合に、10〜
99重量部、特に30〜99重量部含有させることが好
ましい。
【0013】プライマ剤に含有されるアルコキシシラン
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、アルコキシシランがあまりに多い
と、アルコキシシランの加水分解によって生成する不定
形シリカ相が巨視的に相分離するため、プライマ層が白
濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題がある。更
に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材との密着
性が低下することもある。従って、アルコキシシランの
含有量は、プライマ剤の固形分を100重量部とした場
合に、1〜90重量部、特に10〜70重量部とするこ
とが好ましい。
【0014】また、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、アルコキシシランと樹脂
との共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、アルコキシシランと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、アルコキシシランの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。このプライマ剤は、アルコ
キシシランと樹脂とを混合した後、アルコキシシランを
加水分解させ、部分的に縮合させて調製することもでき
る。尚、プライマ剤に含有されるアルコキシシランは加
熱乾燥後、最終的には皮膜中に不定形シリカ相としてミ
クロ相分離した状態で析出しているものと考えられる。
【0015】(2)の上記「コロイダルシリカ」として
は、湿式による水分散性コロイダルシリカ、水を有機溶
媒で置換した溶剤分散性コロイダルシリカ及びアルコキ
シシランを有機溶媒中で加水分解して得られる溶剤分散
性コロイダルシリカ等が挙げられる。コロイダルシリカ
の粒径は十数ミリミクロン程度と非常に小さいため、プ
ライマ剤における分散性がよければ透明で平滑なプライ
マ層が形成される。
【0016】また、コロイダルシリカを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることが好ましい。そのよう
な樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、
特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライ
マ剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度と
することができる。尚、水分散性コロイダルシリカの場
合は、樹脂エマルジョンを組み合わせて使用することが
好ましい。
【0017】プライマ剤に含有されるコロイダルシリカ
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、コロイダルシリカがあまりに多い
と、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題があ
る。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材と
の密着性が低下することもある。従って、コロイダルシ
リカの含有量は、プライマ剤の固形分を100重量部と
した場合に、1〜90重量部、特に10〜70重量部と
することが好ましい。
【0018】コロイダルシリカと併用される上記「シラ
ンカップリング剤」、又は上記「チタンカップリング
剤」としては、コロイダルシリカが有するシラノール基
と縮合し得る加水分解性の官能基と、樹脂と反応する
か、少なくとも親和性を有する官能基との両方を備える
ものを使用することができる。シランカップリング剤と
しては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。チタンカップリング剤としては、イソプロピルト
リイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることが
できる。これらのカップリング剤は、コロイダルシリカ
を100重量部とした場合に、1〜20重量部、特に2
〜10重量部使用することが好ましい。尚、水分散性コ
ロイダルシリカと樹脂エマルジョンとを組み合わせて使
用する場合は、水によってプライマ剤の粘度を塗布に適
した範囲に調整することができる。
【0019】(3)の上記「金属酸化物コロイド」とし
ては、金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解して得
られる溶剤分散性金属酸化物コロイド、金属酸化物コロ
イドを水中に投入して得られる水分散性金属酸化物コロ
イド、及びこれを溶媒置換して得られる有機溶媒分散性
金属酸化物コロイド等が挙げられる。具体的には、酸化
チタン、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化スズ
及び酸化ジルコニウム等からなるコロイドが挙げられ
る。金属酸化物コロイドの粒径は十数ミリミクロン程度
と非常に小さいため、プライマ剤における分散性がよけ
れば透明で平滑なプライマ層が形成される。
【0020】また、金属酸化物コロイドを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることができる。そのような
樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特
にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ
剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とす
ることができる。
【0021】プライマ剤に含有される金属酸化物コロイ
ドが多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層に
より多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性
が向上する。しかし、金属酸化物コロイドがあまりに多
いと、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題が
ある。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材
との密着性が低下することもある。従って、金属酸化物
コロイドの含有量は、プライマ剤の固形分を100重量
部とした場合に、1〜90重量部、特に10〜70重量
部とすることが好ましい。
【0022】金属酸化物コロイドと併用されるシランカ
ップリング剤又はチタンカップリング剤としては、金属
酸化物コロイドが有するM−OH基と縮合し得る加水分
解性の官能基と、樹脂と反応するか、少なくとも親和性
を有する官能基との両方を備えるものを使用することが
でき、具体的には、(2)の場合と同様のものを挙げる
ことができる。これらのカップリング剤は、金属酸化物
コロイドを100重量部とした場合に、1〜20重量
部、特に2〜10重量部使用することが好ましい。尚、
水分散性金属酸化物コロイドと樹脂エマルジョンとを組
み合わせて使用する場合は、水によってプライマ剤の粘
度を塗布に適した範囲に調整することができる。
【0023】(4)の上記「金属アルコキシド」として
は、一般式、M(OR)n(但し、Mは金属元素であ
る。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、nが
2以上である場合はRは同一であってもよいし、異なっ
ていてもよい。)によって表されるものを使用すること
ができる。具体的には、チタン−テトラ−iso−プロ
ポキシド、チタン−テトラ−n−ブトキシド、ジルコニ
ウム−テトラ−n−ブトキシド、アルミニウム−モノ−
sec−ブトキシジイソプロポキシドなどが挙げられ
る。この他、これらが単量体となり、脱水重合反応によ
り生成する重合体等も使用することができる。このよう
な重合体としては、テトラ−n−ブトキシチタンダイマ
ー等を挙げることができる。このテトラ−n−ブトキシ
チタンダイマーはプライマ剤中に存在するときに、プラ
イマ剤中の水分による分解が起こりにくく、且つプライ
マ剤を塗布した後は、加水分解速度を容易に調節するこ
とができるため、特に好ましい。
【0024】金属アルコキシドを用いる場合は、樹脂と
しては、この金属アルコキシドが加水分解して生ずるM
−OH基と水素結合若しくは化学結合し得る官能基を有
するものを使用することが好ましい。そのような樹脂と
しては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特にアク
リル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ剤に含
まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とすること
ができる。
【0025】プライマ剤に含有される金属アルコキシド
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、金属アルコキシドがあまりに多い
と、金属アルコキシドの加水分解によって生成する不定
形金属酸化物相が巨視的に相分離するため、プライマ層
が白濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題があ
る。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材と
の密着性が低下することもある。従って、金属アルコキ
シドの含有量は、プライマ剤の固形分を100重量部と
した場合に、1〜90重量部、特に10〜70重量部と
することが好ましい。
【0026】更に、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、金属アルコキシドと樹脂
との共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、金属アルコキシドと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、金属アルコキシドの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。また、このプライマ剤は、
金属アルコキシドと樹脂とを混合した後、金属アルコキ
シドを加水分解させ、部分的に縮合させて調製すること
もできる。尚、プライマ剤に含有される金属アルコキシ
ドは加熱乾燥後、最終的には皮膜中に不定形金属酸化物
相としてミクロ相分離した状態で析出しているものと考
えられる。また、複数の金属アルコキシドを併用し、複
合金属酸化物相を析出させることもできる。
【0027】上記「無電解めっき層」を形成するための
無電解めっき法としては、酸化還元反応を利用した方法
や置換反応を利用した方法等、通常の方法を特に制限さ
れることなく用いることができる。具体的には、無電解
めっき液に含まれる金属イオンの自己触媒的な還元反応
によって金、銀、銅、ニッケルやパラジウム等をめっき
する方法、及び銀鏡反応を利用する方法等を挙げること
ができる。
【0028】このめっき層の上には、更に、第2発明の
ように、透明な保護層を形成することが好ましい。この
保護層は耐候性、耐熱性、耐水性、耐傷性等の機能を有
し、めっき層を他の物品との摩擦、或いは空気中の酸素
による酸化、その他の化学物質による化学的な浸食等か
ら保護する。尚、この透明とは、保護層下のめっき層が
視認できることを意味し、無色透明、着色透明、半透
明、着色半透明等であってもよ。また、この保護層を、
めっき層の形成されていない基材の表面等に形成し、同
様な効果を得ることもできる。この保護層はめっき層の
表面に直接形成されていてもよいし、めっき層に形成さ
れた他の層の上に形成されてもよい。この他の層とは、
例えば、保護層自体のめっき層への密着性が乏しい場合
に、保護層とめっき層の双方に接着性を有する層等であ
り、このような他の層は二層以上が形成されていてもよ
い。
【0029】この保護層は、溶媒を含まない液状樹脂、
水又は有機溶媒に樹脂を溶解させた溶液、又は樹脂を分
散させた分散液によって形成することができる。また、
これらの樹脂は、基材を構成する材料の特性などによっ
て選択することが好ましく、溶液又は分散液をめっき層
に塗布し、乾燥させ、保護層とする際の収縮が小さい樹
脂であることが好ましい。このような樹脂としては、液
状エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹
脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリル
ウレタン樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、変性シ
リコーン樹脂等を使用することができる。また、ウレタ
ン樹脂、ポリエステル及びポリ塩化ビニリデン等を用い
ることもでき、これらは水性エマルジョン樹脂として使
用することもできる。この他、有機−無機ハイブリッド
コート剤、セラミックコート剤等も使用することができ
る。
【0030】第3発明の無電解めっき層を備える積層品
の製造方法は、基材の表面の少なくとも一部に(1)ア
ルコキシシラン、(2)コロイダルシリカ並びにシラン
カップリング剤及びチタンカップリング剤のうちの少な
くとも一方、(3)金属酸化物コロイド並びにシランカ
ップリング剤及びチタンカップリング剤のうちの少なく
とも一方、又は(4)金属アルコキシドと、樹脂とを含
有するプライマ剤を塗布し、乾燥させてプライマ層を形
成する第1工程、該プライマ層の表面一部に水溶性高分
子を含有するマスキング剤を塗布し、乾燥させてマスキ
ング層を形成する第2工程、銀錯イオンを含有する第1
水溶液及び還元剤を含有する第2水溶液を上記プライマ
層に塗布した後、乾燥させて銀めっき層を形成する第3
工程、及び、該銀めっき層が形成された基材を、水に浸
漬し、マスキング層を溶解させる第4工程をこの順に備
えることを特徴とする。
【0031】上記「プライマ剤」の組成等は前記第1発
明におけると同様である。上記「プライマ層」は、プラ
イマ剤を所定の部位に塗布し、塗膜とした後、この塗膜
をプライマ剤の組成等によって適宜の温度で所要時間、
乾燥することにより、容易に形成することができる。こ
のプライマ層の厚さは特に限定されないが、通常、5〜
20μm、特に10μm程度とすることができる。
【0032】上記「マスキング剤」は、上記「水溶性高
分子」を含有するものであれば特に限定されない。この
水溶性高分子は水に溶解させることができるため、この
マスキング剤は容易に塗布することができ、乾燥後は水
溶性高分子からなる薄層が形成される。このような水溶
性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリ
ドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース及びポ
リアクリル酸等を使用することができる。
【0033】この水溶性高分子としては、特に、冷水に
は溶解し難く、温水には溶解するものを使用することが
好ましく、第4発明のように、60〜95℃の水に溶解
するポリビニルアルコールを使用することが好ましい。
このようなポリビニルアルコールとしては、完全けん化
ポリビニルアルコール又は部分けん化ポリビニルアルコ
ール等を挙げることができる。また、完全けん化ポリビ
ニルアルコールは、冷水により溶解しにくいため、銀錯
イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有する第2
水溶液との接触時間が長い場合に特に好ましい。
【0034】上記「マスキング層」は、マスキング剤を
塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
マスキング剤の塗布方法は特に限定されないが、スクリ
ーン印刷、エアスプレー機等による吹き付け及び刷毛塗
り等により塗布することができる。この他、マスキング
剤を別の基体上に塗布し、乾燥させることによりマスキ
ングシートを成形し、このマスキングシートを所定の形
状に加工し、基材に張着し、マスキング層とすることも
できる。このマスキング層の厚さは特に限定されない
が、銀錯イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有
する第2水溶液がマスキング層に接触し、銀イオン及び
還元剤等がマスキング層中に浸透し、拡散した場合であ
っても、これらがプライマ層に到達しない程度の厚さと
することが好ましい。従って、通常、5〜100μm、
特に20μm程度とすることができる。
【0035】上記「銀錯イオンを含有する第1水溶液」
としては、アンモニア性硝酸銀水溶液を用いることが好
ましい。このアンモニア性硝酸銀水溶液は、硝酸銀を純
水又は蒸留水に溶解させ、この水溶液を攪拌しながら、
黒色沈澱が消滅し、水溶液が透明になるまでアンモニア
水を滴下して調製することができる。また、このアンモ
ニア性硝酸銀水溶液には、水酸化ナトリウムを配合して
もよい。これにより還元反応を促進することができ、還
元剤の種類、濃度との組み合わせによって反応時間を調
整することができる。更に、この水溶液には界面活性剤
を配合することもできる。この界面活性剤を配合するこ
とによりプライマ層との濡れ性を向上させることがで
き、銀めっき層とプライマ層の密着性及び接着性を向上
させることができる。但し、界面活性剤は銀錯イオンの
還元反応の速度を低下させるため適宜の量を添加するこ
とが好ましい。
【0036】上記「還元剤を含有する第2水溶液」とし
ては、銀錯イオンを還元することのできる水溶性の還元
剤を含有する水溶液であれば特に限定されることなく使
用することができる。通常、D(+)−グルコース、ホ
ルムアルデヒド、ロッシェル塩、ショ糖の硝酸転化物、
グリオキザール及び硫酸ヒドラジン等を含有する水溶液
を使用することができる。
【0037】この第1水溶液及び第2水溶液は、プライ
マ層に塗布される、或いは塗布された時点で、より均一
に分散及び混合されていることが好ましく、そのように
塗布することができれば、塗布の方法は特に制限されな
い。例えば、第1水溶液と第2水溶液を予め混合し、こ
の混合液を基材の表面に流涎させる等により塗布するこ
とができる。また、第1水溶液と第2水溶液を予め混合
し、この混合液をスプレー機等を用いてプライマ層に吹
き付けるか、又はスプレー機のヘッド内で2液を混合し
て直ちに吐出する構造を有するスプレー機等を用いて吹
き付けることにより塗布することができる。更に、第1
水溶液及び第2水溶液を2つのスプレーノズルから各々
吐出させて、空気中で或いはプライマ層上で両水溶液を
混合させ、塗布することもできる。
【0038】第2水溶液に含まれる還元剤としては、比
較的還元力の強いものと、比較的還元力の弱いものとが
あり、これらを適宜、所要の量比で混合して用いること
により、良質な銀めっき層を形成させることができる。
また、特にスプレー機によって塗布する場合は、第2水
溶液に含まれる還元剤として主に比較的還元力の強いホ
ルマリン、グリオキザール、硫酸ヒドラジンまたはこれ
らの混合物を使用することが好ましい。一方、流涎等に
より塗布する場合は、グルコース、ロッシェル塩等、比
較的還元力の弱いものを使用することができる。
【0039】更に、第1水溶液と第2水溶液を予め混合
してから塗布する場合、塗布した後に銀の析出が始まる
ように、また、その析出が長時間に及ばないように、析
出させる温度、湿度及び析出の速さ等を考慮して還元剤
の種類及び量比を調整する必要がある。例えば、温度2
5℃、相対湿度50%において、第1水溶液と第2水溶
液を予め混合し、この混合液を基材の表面に流涎し、塗
布する場合は、還元剤として、D(+)−グルコースを
2.5重量%程度含む第2水溶液を使用することで、1
0〜30分で銀の析出を終了させることができる。
【0040】上記の塗布方法のうち、特にスプレー機に
よって塗布する場合は、これらの水溶液を塗布する前の
プライマ層に、第5発明のように、第2工程に続いて、
活性化処理を施すことが好ましい。プライマ剤に含まれ
る(1)〜(4)の化合物等は、銀錯イオン等の還元反
応を起こすための触媒を吸着保持する作用を有するもの
と考えられる。この触媒としては、無電解めっきで通常
用いられるパラジウム等の貴金属、第6発明に記載した
水溶液中の第1スズイオンや第1チタンイオン及び銀鏡
反応のように容易に起こる還元反応においては銀錯イオ
ンが還元剤により還元されてなる金属銀が挙げられる。
【0041】この活性化処理は、第6発明の特定の化合
物等を含む水溶液を接触させる方法を含め、以下の各種
の方法によって行うことができる。 a)塩酸酸性にした塩化第一スズ、硫酸第一スズ、ホウ
フッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの少なくとも1種
類を含む水溶液をプライマ層に接触させる。 b)パラジウムイオン及びスズ(II)イオンを含む水溶
液をプライマ層に接触させた後、硫酸を含む活性化処理
液を接触させる(キャタライザ−アクセレータ法)。 c)塩酸酸性の塩化第一スズ水溶液と塩酸酸性の塩化パ
ラジウム等の貴金属の塩化物水溶液をプライマ層に同時
に接触させる(センシタイザ−アクチベータ法)。 d)塩化パラジウム等又は硫酸塩水溶液と、次亜リン酸
ナトリウム等を含む還元液を同時にプライマ層に接触さ
せる(アクチベータ−アクセレータ法)。尚、活性化処
理液とプライマ層との接触の方法も特に制限はされず、
基材が容器等を構成する場合、処理液を注入し、排出す
ることでプライマ層に接触させることができる。また、
通常の基材であればスプレーノズル等により処理液をプ
ライマ層に直接吹き付けることができる。銀鏡反応を施
す場合には、このうち第6発明のように、a)法を行う
のが最も経済的である。
【0042】更に、上記のようにして形成される銀めっ
き層の表面には、前記のように各種の樹脂を含有する水
系エマルジョン等を使用し、透明な保護層を形成するこ
とが好ましい。この保護層を、特に水系エマルジョンに
よって形成する場合は、無電解めっき層を洗浄した後、
乾燥させる必要がなく、十分に水を切るのみでよいため
製造工程を簡略化することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】実施例1 (1)プライマ剤の調製 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、テトラ−n−ブトキシ
チタンダイマー(三菱ガス化学株式会社製、商品名「D
BT」)6部及びトルエン84部を配合し、プライマ剤
を調製した。
【0044】(2)プライマ層の形成 (1)で調製したプライマ剤をハンドスプレーガンによ
ってABS樹脂シート[130×120×1(厚さ)m
m]の表面に塗布し、50℃に調温された熱風循環式乾
燥機によって2時間乾燥させ、プライマ層を形成した。 (3)マスキング層の形成 完全けん化ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工
業株式会社製、商品名「N−300」)を、水に分散さ
せ、撹拌しながら加熱し、90℃で60分保持して溶解
させた。この水溶液を放置冷却し、濃度15%に調整
し、粘度4000Pa・sのポリビニルアルコール水溶
液を得た。これを上記プライマ層上の所要箇所にスクリ
ーン印刷により塗布し、50℃に調温された熱風循環式
乾燥機によって6時間乾燥させ、厚さ約10ミクロンの
マスキング層を形成した。
【0045】(4)活性化処理 純水1リットルに、塩化第一スズ10gと36%塩酸1
0ミリリットルとを加えて触媒を調製した。この触媒を
マスキング層を形成したABS樹脂シートにスプレーガ
ンで吹き付けた。次いで、純水1リットルにノニオン系
界面活性剤(三友産業株式会社製、商品名「N−5
0」)10gを加えて調整した水溶液をスプレーガンに
より更に吹き付けた。
【0046】(5)めっき液の調製及びめっき層の形成 純水600リットルに硝酸銀20gを溶解させた硝酸銀
水溶液に、18ミリリットルのアンモニア水をゆっくり
滴下し、生成する黒色沈殿を攪拌しながら更に滴下を続
け、この黒色沈殿を完全に消滅させ、次いで、純水を加
えて1リットルとし、銀液を調整した。一方、40%グ
リオキザール100ミリリットルを、純水に溶解させ1
リットルとし、還元液を調整した。これら銀液と還元液
とを別々スプレーヘッドから0.5ミリリットル/秒の
吐出量で、同時に2液が同じ部分に吹きかかるようにし
て、活性化処理を施したABS樹脂シートに吹き付け
た。直ちに光沢を有する銀めっき層が形成された。
【0047】(6)マスキング層の除去 (5)において形成された、銀めっき層を有するABS
樹脂シートを、90℃の温水に浸漬し、銀めっき層の形
成されたマスキング層を溶解させ、除去し、更に、純水
で十分に洗浄した後、乾燥させた。 (7)保護層の形成 2液型アクリルウレタン塗料(オリジン電気株式会社
製、商品名「オリジプレートZ」)を銀めっき層の形成
されたABS樹脂シートの表面にスプレー塗布し、その
後、50℃で2時間乾燥して、保護層を形成し、部分的
な銀めっき層を備える積層品を得た。
【0048】実施例2 (1)プライマ剤の調製 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、テトラエトキシシラン
(信越化学株式会社製、商品名「KBE04」)6部及
びトルエン30部を配合し、プライマ剤を調製した。 (2)プライマ層の形成 ブロー成形により得られた、ポリエチレンテレフタレー
ト製の容量200ミリリットルの円筒状透明容器の外表
面に、(1)で調製したプライマ剤をハンドスプレーガ
ンによって塗布した。50℃に調温された熱風循環式乾
燥機によって2時間乾燥させ、プライマ層を形成した。
【0049】(3)マスキング層の形成 部分けん化ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工
業製、商品名「GH−17」)を、水に分散させ、撹拌
しながら加熱し、80℃で60分保持して溶解させた。
この水溶液を放置冷却し、濃度10%に調整し、粘度1
000Pa・sのポリビニルアルコール水溶液を得た。
このマスキング剤をマスキング治具により、容器外表面
の底部近傍から上部近傍までのプライマ層上に、幅5m
mにスプレー塗布し、50℃に調温された熱風循環式乾
燥機によって6時間乾燥させ、厚さ約10ミクロンのマ
スキング層を形成した。
【0050】(4)活性化処理 純水1リットルに、塩化第一スズ10gと水酸化カリウ
ム40gとを加えて、十分に溶解させて触媒を調製し
た。この触媒をマスキング層を形成した容器外表面にス
プレーガンで吹き付けた。次いで、純水1リットルにノ
ニオン系界面活性剤(三友産業株式会社製、商品名「N
−50」)10gを加えて調整した水溶液をスプレーガ
ンにより更に吹き付けた。 (5)めっき液の調製及びめっき層の形成 実施例1と同様に行い、光沢を有する銀めっき層が形成
された。 (6)マスキング層の除去 (5)において形成された、銀めっき層を有する容器
を、60℃の温水に1時間揺動させながら浸漬し、銀め
っき層の形成されたマスキング層を溶解させ、除去し、
更に、純水で十分に洗浄した後、乾燥させた。 (7)保護層の形成 紫外線硬化型アクリル塗料(和信化学株式会社製、商品
名「F−355」)を銀めっき層の形成された容器の外
表面全面にスプレー塗布し、その後、紫外線を照射して
硬化させ、保護層を形成し、部分的な銀めっき層を備え
る積層品を得た。
【0051】実施例3 (1)プライマ剤の調製 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、コロイダルシリカ(日
産化学株式会社製、商品名「オルガノシリカゾルXBA
−ST」、SiO2含有率;30重量%)10部及びγ
−グリシドキシドプロピルトリメトキシシラン(信越化
学株式会社製、商品名「KBM403」)3部、並びに
トルエン30部を配合し、プライマ剤を調製した。 (2)プライマ層の形成 (1)で調製したプライマ剤を、実施例1と同様にして
ABS樹脂シートに塗布し、乾燥させ、プライマ層を形
成した。
【0052】(3)マスキング層の形成 実施例1と同様にして調整したマスキング剤を、ABS
樹脂シートに形成されたプライマ層に刷毛で模様を描く
ことにより塗布し、50℃に調温された熱風循環式乾燥
機によって6時間乾燥させた。 (4)活性化処理 純水1リットルに、塩化第一チタン10gと36%塩酸
10ミリリットルとを加えて、十分に溶解させて触媒を
調製した。この触媒をマスキング層を形成したABS樹
脂シートにスプレーガンで吹き付けた。次いで、純水で
洗浄した。 (5)めっき液の調製及びめっき層の形成 実施例1と同様に行い、光沢を有する銀めっき層が形成
された。 (6)マスキング層の除去 実施例2と同様に行い、マスキング層を除去した。 (7)保護層の形成 実施例2と同様に行い、保護層を形成し、部分的な銀め
っき層を備える積層品を得た。
【0053】実施例4 (1)プライマ剤の調製 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、ジルコニウムブチラー
ト(日本曹達株式会社製)6部及びトルエン30部を配
合し、プライマ剤を調製した。 (2)プライマ層の形成 (1)で調製したプライマ剤を、実施例1と同様にして
ABS樹脂シートに塗布し、乾燥させ、プライマ層を形
成した。
【0054】(3)マスキング層の形成 実施例1と同様にして調整したマスキング剤を、ABS
樹脂シートに形成されたプライマ層に刷毛で模様を描く
ことにより塗布し、50℃に調温された熱風循環式乾燥
機によって6時間乾燥させた。 (4)活性化処理 純水1リットルに、酸化第一スズ10gと水酸化カリウ
ム40gとを加えて、十分に溶解させて触媒を調製し
た。この触媒をマスキング層を形成したABS樹脂シー
トにスプレーガンで吹き付けた。次いで、純水で洗浄し
た。
【0055】(5)めっき液の調製及びめっき層の形成 実施例1と同様に行い、光沢を有する銀めっき層が形成
された。 (6)マスキング層の除去 実施例2と同様に行い、マスキング層を除去した。 (7)保護層の形成 実施例2と同様に行い、保護層を形成し、部分的な銀め
っき層を備える積層品を得た。
【0056】実施例5 (1)プライマ剤の調製 アクリル樹脂エマルジョン(日本カーバイド工業株式会
社製、品番「ニカゾールRX−969B」、固形分39
%)30部に、酸化アルミニウムコロイド(日産化学株
式会社製、Al23含有率;30重量%)10部及びγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会
社製、商品名「KBM903」)1部、並びに純水30
部を配合し、プライマ剤を調製した。 (2)プライマ層の形成 (1)で調製したプライマ剤を、実施例2と同様にポリ
エチレンテレフタレート製の容器に塗布し、乾燥させ、
プライマ層を形成した。
【0057】(3)マスキング層の形成 文字型に型抜きした約1cm四方のポリ塩化ビニル製の
テープを、容器の外表面上に形成されたプライマ層に張
り付け、実施例2と同様にして得たポリビニルアルコー
ル水溶液をスプレー塗布し、50℃に調温された熱風循
環式乾燥機によって6時間乾燥させ、厚さ約10ミクロ
ンのマスキング層を形成した。 (4)活性化処理 実施例2と同様に活性化処理を行った。
【0058】(5)めっき液の調製及びめっき層の形成 実施例1と同様に行い、光沢を有する銀めっき層が形成
された。 (6)マスキング層の除去 実施例2と同様にしてマスキング層を除去し、銀めっき
層が形成されていない部分によって文字が形成された容
器を得た。 (7)保護層の形成 実施例2と同様に行い、保護層を形成した。
【0059】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即
ち、めっき層は銀からなるものに限られず、その他の銅
及びニッケル等の金属からなるめっき層を形成させるこ
ともできる。また、実施例のように無電解めっき層を施
した後、導電性となった積層品に、更に電解めっき層を
形成させることもできる。
【0060】その他、無電解めっき液には、安定剤、促
進剤、界面活性剤等を同時に配合することもできる。ま
た、プラスチックの耐熱性が低い場合、及び熱膨張率が
プラスチックとめっきされる金属とで大きく異なること
によってめっき層の剥離を生ずる場合等においては、ア
ルカリ性で反応が進行する低温タイプのめっき液を使用
することが好ましい。
【0061】
【発明の効果】第1及び2発明によると、必要な部位に
部分的に形成された無電解めっき層がプライマ層を介し
て基材の表面に密着され、接合され、意匠性に優れる積
層品を得ることができる。更に、第3〜6発明によれ
ば、このような部分的なめっき層を備える美感に優れる
積層品を簡易な方法によって、安定して容易に製造する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 鎮夫 名古屋市熱田区千年1丁目16−30 株式会 社イノアックコーポレーション船方事業所 内 Fターム(参考) 4K022 AA02 AA03 AA04 AA12 AA13 AA41 AA47 BA01 BA36 CA06 CA08 CA14 CA17 CA18 CA22 CA24 DA01 EA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材及び該基材の一部に設けられた無電
    解めっき層、並びに該基材と該無電解めっき層とを接合
    するためのプライマ層を備える積層品において、該プラ
    イマ層は、(1)アルコキシシラン、(2)コロイダル
    シリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカップリ
    ング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化物コロ
    イド並びにシランカップリング剤及びチタンカップリン
    グ剤のうちの少なくとも一方、又は(4)金属アルコキ
    シドと、樹脂とを含有するプライマ剤を乾燥させ、形成
    させたものであることを特徴とする無電解めっき層を備
    える積層品。
  2. 【請求項2】 上記無電解めっき層の表面に透明な保護
    層が形成される請求項1記載の無電解めっき層を備える
    積層品。
  3. 【請求項3】 基材の表面の少なくとも一部に(1)ア
    ルコキシシラン、(2)コロイダルシリカ並びにシラン
    カップリング剤及びチタンカップリング剤のうちの少な
    くとも一方、(3)金属酸化物コロイド並びにシランカ
    ップリング剤及びチタンカップリング剤のうちの少なく
    とも一方、又は(4)金属アルコキシドと、樹脂とを含
    有するプライマ剤を塗布し、乾燥させてプライマ層を形
    成する第1工程、該プライマ層の表面一部に水溶性高分
    子を含有するマスキング剤を塗布し、乾燥させてマスキ
    ング層を形成する第2工程、銀錯イオンを含有する第1
    水溶液及び還元剤を含有する第2水溶液を上記プライマ
    層に塗布した後、乾燥させて銀めっき層を形成する第3
    工程、及び、該銀めっき層が形成された基材を、水に浸
    漬し、マスキング層を溶解させる第4工程をこの順に備
    えることを特徴とする無電解めっき層を備える積層品の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 上記水溶性高分子はポリビニルアルコー
    ルであり、上記水の温度は60〜95℃である請求項3
    に記載の積層品の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記第2工程に続いて、上記プライマ層
    に活性化処理を施す請求項3又は4記載の無電解めっき
    層を備える積層品の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記活性化処理は、塩化第一スズ、硫酸
    第一スズ、ホウフッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの
    少なくとも1種を含む水溶液を、上記プライマ層に接触
    させる工程を備える請求項5記載の無電解めっき層を備
    える積層品の製造方法。
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