JP2000129452A - 無電解めっき用プライマ剤、並びに無電解めっき層を備える積層品及びその製造方法 - Google Patents

無電解めっき用プライマ剤、並びに無電解めっき層を備える積層品及びその製造方法

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JP2000129452A
JP2000129452A JP10303094A JP30309498A JP2000129452A JP 2000129452 A JP2000129452 A JP 2000129452A JP 10303094 A JP10303094 A JP 10303094A JP 30309498 A JP30309498 A JP 30309498A JP 2000129452 A JP2000129452 A JP 2000129452A
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primer
plating layer
layer
electroless plating
coupling agent
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Toshihiro Yamamoto
敏博 山本
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Inoac Corp
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Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材の表面に、美しい金属光沢を有する無電
解めっき層を設けるためのプライマ剤、並びにこの無電
解めっき層を備える積層品及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 (1)アルコキシシラン、(2)コロイ
ダルシリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカッ
プリング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化物
コロイド並びにシランカップリング剤及びチタンカップ
リング剤のうちの少なくとも一方、又は(4)チタンア
ルコキシドは除く金属アルコキシド、からなるプライマ
剤を使用し、ABS樹脂シート等の基材からなる成形品
(但し、容器の内面にめっき層を設ける場合を除く。)
の表面にプライマ層を介して無電解めっき層を十分に密
着させ、接合させた積層品を得る。また、この無電解め
っき層の表面に、このめっき層を保護するための保護層
を設けることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解めっき層
(以下、単にめっき層ともいう。)を基材に接合させる
ためのプライマ剤に関する。また、本発明は、このプラ
イマ剤からなるプライマ層とめっき層とを備える積層品
(但し、上記基材が容器を構成し、その内面に上記無電
解めっき層及び上記プライマ層を設ける場合は除く。)
及びその製造方法に関する。更に詳しくは、耐久性に優
れ、美しい金属光沢を有するめっき層が表面に形成され
た積層品に関する。また、このような積層品を特に容易
に製造することができる製造方法に関する。本発明の積
層品は、意匠性を必要とする種々の分野において幅広く
利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチックなどの非導電性
材料に、金属光沢を付与する方法として、プラスチック
めっき技術が知られている。プラスチックめっきは、プ
ラスチック素材表面を無電解めっきで導電化した後、電
気めっきする方法である。また、基材の前処理の第一段
階として、クロム酸等の強酸化性薬品若しくは強アル
カリ性薬品による化学的な表面粗化、或いはブラスト
処理等の機械的な表面粗化等による投錨効果によって、
非導電性材料とめっき層との密着性を向上させる方法が
採られている。
【0003】更に、近年、基材の表面を部分的にめっき
するため、或いは有害物質であるクロム酸の使用を避け
るため、無電解めっきのための触媒を含む塗料を基材に
塗布し、密着性を向上させる等の各種の前処理方法が提
案されている。そのような前処理方法としては、 a)表面に原子状パラジウムを担持させた非導電性粉体
フィラーを、有機バインダに分散させた塗料を基材に塗
布する方法(特開平9−59778号公報)、 b)パラジウムとチタンとからなる複合金属酸化物の水
化物をフィラーとして含む塗料を基材に塗布し、乾燥さ
せた後、硫酸をアクセラレータとして用い、活性化する
方法(特開平9−135097号公報)、
【0004】c)塩化第一スズを含むエマルジョン型塗
料を基材に塗布し、乾燥させた後、塩酸酸性塩化パラジ
ウム溶液を接触させる方法(特公平7−49627号公
報)、 d)キトサン又はキトサン誘導体を含む塗料を塗布し、
乾燥させた後、塩酸酸性塩化第一スズ溶液と塩酸酸性塩
化パラジウム溶液とを、連続して基材に接触させる方法
(特公平6−33461号公報)、 e)還元により無電解めっき反応の触媒作用を発現する
金属塩を含有するアクリロニトリル系塗料を基材に塗布
し、乾燥させた後、還元処理する方法(特開平5−33
1683号公報)、等が挙げられる。
【0005】しかしながら、a)、b)のフィラーを含
む塗料を用いた場合には、無電解めっきだけでは金属光
沢を有する平滑面は得られず、装飾品等の用途には電気
めっきを厚く施す必要があり、工程が多く、煩雑であ
る。また、c)の塩化第一スズを含む塗料では、塩化第
一スズが塗膜にほぼ均一に分散されるため、表面にしか
必要でない塩化第一スズが塗膜内部にも含有され、これ
らは触媒として作用しない。更に、塩化第一スズの安定
性が低いため塗料中に不溶性の沈殿[Sn(OH)C
l]を生じたり、第二スズに酸化されて失活してしまう
等の問題がある。これを避けるため塩化第一スズの安定
剤として塩酸若しくは塩化物等を加えると、塗膜内部に
残留するこれらの成分がめっき層自体或いは周辺の金属
を侵してしまう恐れがある。
【0006】また、d)のキトサン等を含む塗料でも、
同様に無機酸で可溶化した場合には、残留する酸によっ
て腐食する恐れがある。更に、e)のアクリロニトリル
系塗料を塗布する方法では、極性の高いアクリロニトリ
ル系樹脂を溶解するために溶解性に優れた極性溶媒を必
要とし、下地がポリカーボネート等の耐溶剤性に乏しい
プラスチックである場合には、これが溶剤に侵されてし
まうことがある。また、c)と同様に塗膜内部に含まれ
ている金属塩の多くが触媒として作用しないとの問題も
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、種々の基材に、プライマ層、無
電解めっき層、及び必要に応じて透明な保護層を形成し
て、美しい金属光沢の外観を持った積層品と、基材と無
電解めっき層とを密着・接合するプライマ層を形成する
ためのプライマ剤と、また、このような積層品が容易に
得られる製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1発明の無電解めっき
用プライマ剤は、(1)アルコキシシラン、(2)コロ
イダルシリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカ
ップリング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化
物コロイド並びにシランカップリング剤及びチタンカッ
プリング剤のうちの少なくとも一方、又は(4)金属ア
ルコキシド(但し、チタンアルコキシドは除く。)と、
樹脂とを含有することを特徴とする。
【0009】上記「無電解めっき用プライマ剤」(以
下、プライマ剤ともいう。)は、ガラス、プラスチック
等の非導電性材料からなる基材と無電解めっき層とを十
分に強固に接合させるため、基材の表面に塗布され、プ
ライマ層を形成させるためのものである。このプライマ
層はめっき層を基材の表面に強固に密着させ、剥離し難
くさせるために形成される。また、めっき層の表面には
更に透明な保護層を形成することが好ましい。この保護
層は、めっき層と他の物品との摩擦、或いは空気中の酸
素による酸化やその他の化学物質による化学的な浸食等
からめっき層を保護することなどを目的として形成され
るものである。
【0010】(1)の上記「アルコキシシラン」として
は、テトラメトキシシランとその重合体、テトラエトキ
シシランとその重合体等の4官能以上のアルコキシシラ
ンが挙げられる。また、メチルトリメトキシシランに代
表される3官能のアルコキシシラン、ジメチルジメトキ
シシランに代表される2官能のアルコキシシランが、ア
ルコキシシランの縮合反応相の表面シラノール基密度或
いは親水性等を阻害しない範囲で少量含まれていてもよ
い。
【0011】アルコキシシランとともにプライマ剤に含
有される樹脂としては、アルコキシシランが加水分解し
て生ずるシラノール基と水素結合若しくは化学結合し得
る官能基を備える樹脂を使用することが好ましい。その
ような樹脂としては、エステル結合、エーテル桔合、ア
ミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イミド結合等、
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基等を
有するもの、具体的には、アルキッド樹脂、アクリル樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリ
アミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びセルロース
樹脂等が挙げられ、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等
が好ましい。これらの樹脂は、その種類にもよるが、プ
ライマ剤の固形分を100重量部とした場合に、10〜
99重量部、特に30〜99重量部含有させることが好
ましい。
【0012】プライマ剤に含有されるアルコキシシラン
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、アルコキシシランがあまりに多い
と、アルコキシシランの加水分解によって生成する不定
形シリカ相が巨視的に相分離するため、プライマ層が白
濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題がある。更
に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材との密着
性が低下することもある。従って、アルコキシシランの
含有量は、プライマ剤の固形分を100重量部とした場
合に、1〜90重量部、特に10〜70重量部とするこ
とが好ましい。
【0013】また、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、アルコキシシランと樹脂
との共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、アルコキシシランと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、アルコキシシランの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。このプライマ剤は、アルコ
キシシランと樹脂とを混合した後、アルコキシシランを
加水分解させ、部分的に縮合させて調製することもでき
る。尚、プライマ剤に含有されるアルコキシシランは加
熱乾燥後、最終的には皮膜中に不定形シリカ相としてミ
クロ相分離した状態で析出しているものと考えられる。
【0014】(2)の上記「コロイダルシリカ」として
は、湿式による水分散性コロイダルシリカ、水を有機溶
媒で置換した溶剤分散性コロイダルシリカ及びアルコキ
シシランを有機溶媒中で加水分解して得られる溶剤分散
性コロイダルシリカ等が挙げられる。コロイダルシリカ
の粒径は十数ミリミクロン程度と非常に小さいため、プ
ライマ剤における分散性がよければ透明で平滑なプライ
マ層が形成される。
【0015】また、コロイダルシリカを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることが好ましい。そのよう
な樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、
特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライ
マ剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度と
することができる。尚、水分散性コロイダルシリカの場
合は、樹脂エマルジョンを組み合わせて使用することが
好ましい。
【0016】プライマ剤に含有されるコロイダルシリカ
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、コロイダルシリカがあまりに多い
と、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題があ
る。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材と
の密着性が低下することもある。従って、コロイダルシ
リカの含有量は、プライマ剤の固形分を100重量部と
した場合に、1〜90重量部、特に10〜70重量部と
することが好ましい。
【0017】コロイダルシリカと併用される上記「シラ
ンカップリング剤」、又は上記「チタンカップリング
剤」としては、コロイダルシリカが有するシラノール基
と縮合し得る加水分解性の官能基と、樹脂と反応する
か、少なくとも親和性を有する官能基との両方を備える
ものを使用することができる。シランカップリング剤と
しては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。チタンカップリング剤としては、イソプロピルト
リイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることが
できる。これらのカップリング剤は、コロイダルシリカ
を100重量部とした場合に、1〜20重量部、特に2
〜10重量部使用することが好ましい。尚、水分散性コ
ロイダルシリカと樹脂エマルジョンとを組み合わせて使
用する場合は、水によってプライマ剤の粘度を塗布に適
した範囲に調整することができる。
【0018】(3)の上記「金属酸化物コロイド」とし
ては、金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解して得
られる溶剤分散性金属酸化物コロイド、金属酸化物コロ
イドを水中に投入して得られる水分散性金属酸化物コロ
イド、及びこれを溶媒置換して得られる有機溶媒分散性
属酸化物コロイド等が挙げられる。具体的には、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化スズ及
び酸化ジルコニウム等が挙げられる。金属酸化物コロイ
ドの粒径は十数ミリミクロン程度と非常に小さいため、
プライマ剤における分散性がよければ透明で平滑なプラ
イマ層が形成される。
【0019】また、金属酸化物コロイドを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることができる。そのような
樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特
にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ
剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とす
ることができる。
【0020】プライマ剤に含有される金属酸化物コロイ
ドが多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層に
より多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性
が向上する。しかし、金属酸化物コロイドがあまりに多
いと、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題が
ある。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材
との密着性が低下することもある。従って、金属酸化物
コロイドの含有量は、プライマ剤の固形分を100重量
部とした場合に、1〜90重量部、特に10〜70重量
部とすることが好ましい。
【0021】金属酸化物コロイドと併用されるシランカ
ップリング剤又はチタンカップリング剤としては、金属
酸化物コロイドが有するM−OH基と縮合し得る加水分
解性の官能基と、樹脂と反応するか、少なくとも親和性
を有する官能基との両方を備えるものを使用することが
でき、具体的には、(2)の場合と同様のものをを挙げ
ることができる。これらのカップリング剤は、金属酸化
物コロイドを100重量部とした場合に、1〜20重量
部、特に2〜10重量部使用することが好ましい。尚、
水分散性金属酸化物コロイドと樹脂エマルジョンとを組
み合わせて使用する場合は、水によってプライマ剤の粘
度を塗布に適した範囲に調整することができる。
【0022】(4)の金属アルコキシドとしては、一般
式、M(OR)n(但し、Mはジルコニウム、アルミニ
ウム等であり、チタンではない。また、Rは炭素数1〜
4のアルキル基であり、nが2以上である場合はRは同
一であってもよいし、異なっていてもよい。)によって
表されるものを使用することができる。具体的には、ジ
ルコニウムブチラート、アルミニウム−モノ−sec−
ブトキシジイソプロピラートなどが挙げられる。
【0023】金属アルコキシドを用いる場合は、樹脂と
しては、この金属アルコキシドが加水分解して生ずるM
−OH基と水素結合若しくは化学結合し得る官能基を有
するものを使用することが好ましい。そのような樹脂と
しては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特にアク
リル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ剤に含
まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とすること
ができる。
【0024】プライマ剤に含有される金属アルコキシド
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、金属アルコキシドがあまりに多い
と、金属アルコキシドの加水分解によって生成する不定
形シリカ相が巨視的に相分離するため、プライマ層が白
濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題がある。更
に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、基材との密着
性が低下することもある。従って、金属アルコキシドの
有量は、プライマ剤の固形分を100重量部とした場合
に、1〜90重量部、特に10〜70重量部とすること
が好ましい。
【0025】更に、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、金属アルコキシドと樹脂
との共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、金属アルコキシドと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、金属アルコキシドの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。また、このプライマ剤は、
金属アルコキシドと樹脂とを混合した後、金属アルコキ
シドを加水分解させ、部分的に縮合させて調製すること
もできる。尚、プライマ剤に含有される金属アルコキシ
ドは加熱乾燥後、最終的には皮膜中に不定形金属酸化物
相としてミクロ相分離した状態で析出しているものと考
えられる。また、複数の金属アルコキシドを併用し、複
合金属酸化物相を析出させることもできる。
【0026】第2発明の無電解めっき層を備える積層品
は、基材及び無電解めっき層、並びに該基材と該無電解
めっき層とを接合するためのプライマ層を備える積層品
(但し、上記基材が容器を構成し、その内面に上記無電
解めっき層及び上記プライマ層を設ける場合は除く。)
において、該プライマ層は、(1)アルコキシシラン、
(2)コロイダルシリカ並びにシランカップリング剤及
びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、
(3)金属酸化物コロイド並びにシランカップリング剤
及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、又
は(4)金属アルコキシド(但し、チタンアルコキシド
は除く。)と、樹脂とを含有するプライマ剤を乾燥さ
せ、形成させたものであることを特徴とする。尚、この
容器とは、液状等の物品を内部に収容し、これを保管、
保存することができる成形品を意味する。
【0027】上記「基材」は、プライマ剤を塗布するこ
とができるものであればよく、プラスチック、木材、金
属、ガラス、その他のセラミックス等、からなるものの
いずれであってもよい。また、この基材の厚さは特に制
限されない。更に、上記「積層品」は、装飾品、光反射
体等として有用である。
【0028】また、上記「無電解めっき層」とは、無電
解めっき法により形成されためっき層である。この無電
解めっき法としては、酸化還元反応を利用した方法や置
換反応を利用した方法等、通常の方法を特に制限される
ことなく用いることができる。具体的には、無電解めっ
き液に含まれる金属イオンの自己触媒的な還元反応によ
って金、銀、銅、ニッケルやパラジウム等をめっきする
方法、及び銀鏡反応を利用する方法等を挙げることがで
きる。
【0029】上記「プライマ層」は、第1発明の(1)
〜(4)の特定の化合物等と、水及び有機溶媒に溶解又
は分散させることのできる樹脂とを含有するプライマ剤
を、基材の表面に適宜の方法によって塗布し、形成され
る塗膜を乾燥することにより、形成させることができ
る。この(1)〜(4)の化合物等、及び前記の樹脂を
含むプライマ剤からなるプライマ層は強靭であり、基材
及び無電解めっき層との密着性及び接着性に優れる。ア
クリル樹脂は、特に密着性に優れるためより好ましい。
【0030】また、無電解めっき層の表面には、第3発
明のように透明な保護層を設けることが好ましい。この
保護層はめっき層の表面に直接形成されていてもよい
し、めっき層と保護層の間に一層以上の他の効果、例え
ば、保護層自体のめっき層への密着性が乏しい場合に、
保護層とめっき層の双方に接着性を有する薄層が形成さ
れていてもよい。この保護層は、溶媒を含まない液状樹
脂、水又は有機溶媒に樹脂を溶解させた溶液、又は樹脂
を分散させた分散液によって形成することができる。ま
た、これらの樹脂は、基材を構成する材料の特性などに
よって選択することが好ましく、溶液又は分散液をめっ
き層に塗布し、乾燥させ、保護層とする際の収縮が小さ
い樹脂であることが好ましい。このような樹脂として
は、液状エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ
素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂及びシリコーン樹
脂等を使用することができる。また、ウレタン樹脂、ポ
リエステル及びポリ塩化ビニリデン等を用いることもで
き、これらは水性エマルジョン樹脂として使用すること
もできる。
【0031】第4発明の無電解めっき層を備える積層品
(但し、上記基材が容器を構成し、その内面に上記無電
解めっき層及び上記プライマ層を設ける場合は除く。)
の製造方法は、基材の表面に、(1)アルコキシシラ
ン、(2)コロイダルシリカ並びにシランカップリング
剤及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、
(3)金属酸化物コロイド並びにシランカップリング剤
及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、又
は(4)金属アルコキシド(但し、チタンアルコキシド
は除く。)と、樹脂とを含有するプライマ剤を塗布し、
乾燥させてプライマ層を形成する第1工程、並びに銀錯
イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有する第2
水溶液を上記プライマ層に塗布した後、乾燥させて銀め
っき層を形成する第2工程、を備えることを特徴とす
る。
【0032】プライマ層は、プライマ剤をエアスプレー
機等によって容器内表面に吹き付け、塗布し、塗膜とし
た後、この塗膜をプライマ剤の組成等によって適宜の温
度で所要時間、乾燥することにより、容易に形成するこ
とができる。プライマ層の厚さは特に限定されないが、
通常、5〜20μm、特に10μm程度とすることがで
きる。
【0033】上記「銀錯イオンを含有する第1水溶液」
としては、アンモニア性硝酸銀水溶液を用いることが好
ましい。このアンモニア性硝酸銀水溶液は、硝酸銀を純
水又は蒸留水に溶解させ、この水溶液を攪拌しながら、
アンモニア水を、黒色沈澱が消滅し、水溶液が透明にな
るまで滴下して調製することができる。また、このアン
モニア性硝酸銀水溶液には、水酸化ナトリウムを配合し
てもよい。これにより還元反応を促進することができ、
還元剤の種類、濃度との組み合わせによって反応時間を
調整することができる。更に、この水溶液には界面活性
剤を配合することもできる。この界面活性剤を配合する
ことによりプライマ層との濡れ性を向上させることがで
き、銀めっき層とプライマ層の密着性及び接着性を向上
させることができる。但し、界面活性剤は銀錯イオンの
還元反応の速度を低下させるため適宜の量を添加するこ
とが好ましい。
【0034】上記「還元剤を含有する第2水溶液」とし
ては、銀錯イオンを還元することのできる水溶性の還元
剤を含有する水溶液であれば特に限定されることなく使
用することができる。通常、D(+)−グルコース、ホ
ルムアルデヒド、ロッシェル塩、ショ糖の硝酸転化物、
グリオキザール及び硫酸ヒドラジン等を含有する水溶液
を使用することができる。
【0035】この第1水溶液及び第2水溶液は、プライ
マ層に塗布される、或いは塗布された時点で、より均一
に分散及び混合されていることが好ましく、そのように
塗布することができれば、塗布の方法は特に制限されな
い。例えば、第1水溶液と第2水溶液を予め混合し、こ
の混合液を基材の表面に流涎させる等により塗布するこ
とができる。また、第1水溶液と第2水溶液を予め混合
し、この混合液をスプレー機等を用いてプライマ層に吹
き付けるか、又はスプレー機のヘッド内で2液を混合し
て直ちに吐出する構造を有するスプレー機等を用いて吹
き付けることにより塗布することができる。更に、第1
水溶液及び第2水溶液を2つのスプレーノズルから各々
吐出させて、空気中で或いはプライマ層上で両水溶液を
混合させ、塗布することもできる。
【0036】第2水溶液に含まれる還元剤としては、比
較的還元力の強いものと、比較的還元力の弱いものとが
あり、これらを適宜、所要の量比で混合して用いること
により、良質な銀めっき層を形成させることができる。
また、特にスプレー機によって塗布する場合は、第2水
溶液に含まれる還元剤として主に比較的還元力の強いホ
ルマリン、グリオキザール、硫酸ヒドラジンまたはこれ
らの混合物を使用することが好ましい。一方、流涎等に
より塗布する場合は、グルコース、ロッシェル塩等、比
較的還元力の弱いものを使用することができる。
【0037】更に、第1水溶液と第2水溶液を予め混合
してから塗布する場合、塗布した後に銀の析出が始まる
ように、また、その析出が長時間に及ばないように、析
出させる温度、湿度及び析出の速さ等を考慮して還元剤
の種類及び量比を調整する必要がある。例えば、温度2
5℃、相対湿度50%において、第1水溶液と第2水溶
液を予め混合し、この混合液を基材の表面に流涎し、塗
布する場合は、還元剤として、D(+)−グルコースを
2.5重量%程度含む第2水溶液を使用することで、1
0〜30分で銀の析出を終了させることができる。
【0038】上記の塗布方法のうち、特にスプレー機に
よって塗布する場合は、これらの水溶液を塗布する前の
プライマ層に、第5発明のように、活性化処理を施すこ
とが好ましい。プライマ剤に含まれる(1)〜(4)の
化合物等は、銀錯イオン等の還元反応を起こすための触
媒を吸着保持するものと考えられる。この触媒として
は、無電解めっきで通常用いられるパラジウム等の貴金
属、第6発明に記載した水溶液中の第1スズイオンや第
1チタンイオン、銀鏡反応のように容易に起こる還元反
応においては銀錯イオンが還元剤により還元されてなる
銀金属がある。
【0039】この活性化処理は、第6発明の特定の化合
物等を含む水溶液を接触させる方法を含め、以下の各種
の方法によって行うことができる。 a)塩酸酸性にした塩化第一スズ、硫酸第一スズ、ホウ
フッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの少なくとも1種
類を含む水溶液をプライマ層に接触させる。 b)パラジウムイオン及びスズ(II)イオンを含む水溶
液をプライマ層に接触させた後、硫酸を含む活性化処理
液を接触させる(キャタライザ−アクセレータ法)。 c)塩酸酸性の塩化第一スズ水溶液と塩酸酸性の塩化パ
ラジウム等の貴金属の塩化物水溶液をプライマ層に同時
に接触させる(センシタイザ−アクチベータ法)。 d)塩化パラジウム等又は硫酸塩水溶液と、次亜リン酸
ナトリウム等を含む還元液を同時にプライマ層に接触さ
せる(アクチベータ−アクセレータ法)。尚、活性化処
理液とプライマ層との接触の方法も特に制限はされず、
処理液を容器に注入し、排出してもよいし、容器の開口
部からスプレノズルを挿入し処理液をプライマ層に吹き
付けてもよい。最後に銀鏡反応を施す場合には、このう
ち、第6発明のように、a)法を行うのが最も経済的で
ある。
【0040】更に、上記のようにして形成される銀めっ
き層の表面には、前記のように各種の樹脂を含有する水
系エマルジョン等を使用し、透明な保護層を形成するこ
とが好ましい。この保護層を、特に水系エマルジョンに
よって形成する場合は、無電解めっき層を洗浄した後、
乾燥させる必要がなく、十分に水を切るのみでよいため
製造工程を簡略化することができる。
【0041】
【作用】本発明では、樹脂塗料にカップリング剤等をは
じめとする各種添加剤を選択的に混合攪拌したプライマ
層を形成したので、電気めっきを行うことなく、美しい
金属光沢を種々の材料からなる基材表面に施すことがで
きる。このプライマ層に無電解めっき層を設け、さらに
適宜必要に応じて透明な保護層を設けたため、美しい金
属光沢を有する積層品を容易に得ることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】(1)プライマ剤としてアルコキ
シシランを使用した場合 実施例1(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、テトラエトキシシラン
(信越化学株式会社製、商品名「KBE04」)6部及
びトルエン30部を配合し、プライマ剤を調製した。
【0043】実施例2(積層品の製造) プライマ層の形成 実施例1で調製したプライマ剤をエアスプレー機によっ
てABS樹脂シート[60×130×1(厚さ)mm]
の表面に塗布し、厚さ約10ミクロンの塗膜を形成した
後、60℃に調温された熱風循環式乾燥機によって1時
間乾燥させ、プライマ層を形成した。 活性化処理 塩化第一スズ10gと36%塩酸10ミリリットルとを
純水に加えて1リットルのセンシタイザ(鋭敏化剤)を
調製した。このセンシタイザ(水溶液)にプライマ層を
形成したABS樹脂シートを20秒間浸漬し、プライマ
層の表面を活性化させた後、純水で3回洗浄した。
【0044】めっき液の調製及びめっき層の形成 純水1リットルに硝酸銀25gを溶解させた硝酸銀水溶
液にアンモニア水をゆっくり滴下し、生成する黒色沈殿
を攪拌しながら更に滴下を続けると、黒色沈殿が徐々に
消滅していく。黒色沈殿が完全に消滅し、水溶液が透明
になった時点で滴下を止め、銀液を調製した。消費した
アンモニア水は23ミリリットルであった。一方、純水
1リットルにD(+)−グルコースを25g溶解させ、
還元液を調製した。これら銀液と還元液とを体積比1:
1で容量1リットルの容器に注ぎ入れ、直ちに、活性化
処理したABS樹脂シートを浸漬した。銀液と還元液の
温度は25℃であったが、約10秒で褐色に着色し始
め、次第に明るい銀色の金属光沢が発現した。そのまま
20分間放置して銀の析出を完了した後、銀液及び還元
液を排出し、水道水で十分に洗浄した後、と同様にし
て乾燥させ、銀めっき層を形成した。
【0045】保護層の形成 2液型アクリルウレタン塗料(オリジン電気株式会社
製、商品名「オリジプレートZ」)を銀めっき層の表面
にスプレー塗布し、その後、60℃で1時間乾燥して、
保護層を形成し、銀めっき層を備える積層品を得た。
【0046】実施例3(積層品の製造) プライマ層の形成及び活性化処理 実施例1で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と同
様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活
性化処理を行った。 めっき液の調製及びめっき層の形成 実施例2と同様にして銀液を調製した。一方、純水1リ
ットルに、グリオキサールの40重量%水溶液50ミリ
リットルとD(+)−グルコース20gを純水に溶解さ
せて1リットルの還元液を調製した。これら銀液と還元
液とを2本の片角スプレー機によってそれぞれ1ミリリ
ットル/秒の吐出量で、プライマ層の表面に5秒間吹き
付けたところ、速やかに褐色に着色し始め、次第に明る
い銀色の金属光沢が発現した。その後、40℃程度の温
純水で十分に洗浄し、実施例2のと同様にして乾燥さ
せ、銀めっき層を形成した。
【0047】保護層の形成 紫外線硬化型アクリル塗料(和信化学株式会社製、商品
名「F−355」)を銀めっき層の表面に塗布し、その
後、紫外線を照射して硬化させて、保護層を形成し、銀
めっき層を備える積層品を得た。
【0048】実施例4(積層品の製造) プライマ層の形成及び活性化処理 実施例3と同様にしてプライマ層を形成した。その後、
実施例2と同様にして調製したセンシタイザにプライマ
層を形成したABS樹脂シートを1分間浸漬し、プライ
マ層の表面を活性化させた後、水道水で3回洗浄した。
次いで、塩化パラジウム0.1gと36%塩酸1ミリリ
ットルとを純水に加えて1リットルのアクチベータ(活
性化剤)を調製し、このアクチベータ(水溶液)にシン
セタイザに浸漬した後のABS樹脂シートを1分間浸漬
し、プライマ層の表面を更に活性化させた後、水道水で
3回洗浄した。
【0049】めっき液の調製及びめっき層の形成 無電解銅めっき液(シプレイ・ファーイースト社製、商
品名「オムニシールド1598」)を標準処方(銅イオ
ン;2.0g/リットル、水酸化ナトリウム;6.5g
/リットル、ホルムアルデヒド;2.5g/リットル、
EDTA;20g/リットル)で建浴し、47℃に加温
した。その後、このめっき浴に、活性化処理したABS
樹脂シートを浸漬し、発生する水素によって浮き上がら
ないように固定した。20分後には赤銅色の金属光沢を
有するめっき層が形成された。次いで、めっき液を排出
し、40℃程度の温純水で洗浄し、エアを吹き付けて水
切りし、銅めっき層を備える積層品を得た。
【0050】実施例5(プライマ剤の調製) アルコール可溶性エラストマ型ポリウレタン樹脂(三菱
化学株式会社製、商品名「PC−200」)20部に、
テトラエトキシシラン(信越化学株式会社製、商品名
「KBE04」)5部、並びにエタノール60部及びp
−トルエンスルホン酸1部を配合し、プライマ剤を調製
した。
【0051】実施例6(積層品の製造) 実施例5で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と同
様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活
性化処理を行った。その後、実施例2と同様にして銀液
を調製し、一方、実施例3と同様にして還元液を調製
し、これらの銀液と還元液とを使用して実施例3と同様
にして銀めっき層を形成した。また、実施例3と同様に
して銀めっき層の表面に保護層を形成し、銀めっき層を
備える積層品を得た。
【0052】実施例2、3、4及び6いずれもクロスカ
ットテープ剥離試験による剥離はみられず、ABS樹脂
シートとプライマ層との密着性に優れていた。また、め
っき層の表面は平滑で、十分な光沢を有し、特に、銀の
析出により形成された銀めっき層は明るい金属光沢を備
え、意匠性に優れる積層品が得られた。
【0053】(2)プライマ剤としてコロイダルシリカ
及びカップリング剤を使用した場合 実施例7(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、コロイダルシリカ(日
産化学株式会社製、商品名「オルガノシリカゾルXBA
−ST」、SiO2含有率;30重量%)10部及びγ
−グリシドキシドプロピルトリメトキシシラン(信越化
学株式会社製、商品名「KBM403」)3部、並びに
トルエン30部を配合し、プライマ剤を調製した。
【0054】実施例8(積層品の製造) 実施例7で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と同
様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活
性化処理を行った。その後、実施例2と同様にしてめっ
き液及び還元液を調製し、同様にしてめっき層を形成し
た。次いで、実施例2と同様にして保護層を形成し、銀
めっき層を備える積層品を得た。
【0055】実施例9(積層品の製造) 実施例7で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と同
様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活
性化処理を行った。その後、実施例2と同様にして銀液
を調製し、一方、実施例3と同様にして還元液を調製
し、これらの銀液と還元液とを使用して実施例3と同様
にして銀めっき層を形成した。また、実施例3と同様に
して銀めっき層の表面に保護層を形成し、銀めっき層を
備える積層品を得た。
【0056】実施例10(積層品の製造) 実施例7で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と同
様にしてプライマ層を形成し、実施例4と同様にして活
性化処理を行った。その後、実施例4と同様の無電解銅
めっき浴を建浴し、同様にして銅めっき層を形成し、銅
めっき層を備える積層品を得た。
【0057】実施例11(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、コロイダルシリカ(日
産化学株式会社製、商品名「オルガノシリカゾルIPA
−ST」、SiO2含有率;30重量%)10部及びγ
−グリシドキシドプロピルトリメトキシシラン(信越化
学株式会社製、商品名「KBM403」)3部、並びに
トルエン15部及びイソプロピルアルコール15部を配
合し、プライマ剤を調製した。
【0058】実施例12(積層品の製造) プライマ層の形成及び活性化処理 実施例11で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と
同様にしてプライマ層を形成した。その後、パラジウム
−スズコロイド触媒(シプレイ・ファーイースト社製、
商品名「キャタポジット44」)30ミリリットルとコ
ロイド安定化剤(シプレイ・ファーイースト社製、商品
名「キャタプレップ44」)270gとを純水に加えて
1リットルのキャタリストを調製した。次いで、このキ
ャタリストにプライマ層を形成したABS樹脂シートを
1分間浸漬して活性化させた後、水道水で3回洗浄し
た。その後、めっき反応の促進剤(シプレイ・ファーイ
ースト社製、商品名「アクセラレータ242」)50ミ
リリットルと98%硫酸25ミリリットルと純水に加え
て1リットルのアクセラレータ(促進剤)を調製した。
次いで、このアクセラレータ(水溶液)にキャタリスト
に浸漬した後のABS樹脂シートを1分間浸漬し、プラ
イマ層を更に活性化させた後、水道水で3回洗浄し活性
化処理を行った。
【0059】めっき液の調製及びめっき層の形成 無電解ニッケルめっき液(シプレイ・ファーイースト社
製、商品名「オムニシールド1580」)を標準処方
(ニッケルイオン;3.6g/リットル、次亜りん酸ナ
トリウム;25g/リットル、pH;9.0)で建浴
し、37℃に加温した。その後、このめっき浴に、活性
化処理したABS樹脂シートを浸漬し、発生する水素に
よって浮き上がらないように固定した。20分後には白
銀色の金属光沢を有するめっき層が形成された。次い
で、めっき液を排出し、40℃程度の温純水で洗浄し、
エアを吹き付けて水切りしてニッケルめっき層を形成
し、ニッケルめっき層を備える積層品を得た。
【0060】実施例13(プライマ剤の調製) アルコール可溶性エラストマ型ポリウレタン樹脂(三菱
化学株式会社製、商品名「PC−200」)20部に、
コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「オル
ガノシリカゾルIPA−ST」、SiO2含有率;30
重量%)10部及びγ−グリシドキシドプロピルトリメ
トキシシラン(信越化学株式会社製、商品名「KBM4
03」)3部、並びにエタノール60部及びp−トルエ
ンスルホン酸1部を配合し、プライマ剤を調製した。
【0061】実施例14 実施例13のプライマ剤を使用し、実施例2と同様にし
てプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活性化処
理を行った。その後、実施例2と同様にして銀液を調製
し、一方、実施例3と同様にして還元液を調製し、これ
らの銀液と還元液とを使用して実施例3と同様にして銀
めっき層を形成した。また、実施例3と同様にして銀め
っき層の表面に保護層を形成し、銀めっき層を備える積
層品を得た。
【0062】実施例8、9、10、12及び14いずれ
もクロスカットテープ剥離試験による剥離はみられず、
ABS樹脂シートとプライマ層との密着性に優れてい
た。また、めっき層の表面は平滑で、十分な光沢を有
し、特に、銀の析出により形成された銀めっき層は明る
い金属光沢を備え、意匠性に優れる積層品が得られた。
【0063】(3)プライマ剤として金属酸化物コロイ
ド及びカップリング剤を使用した場合 実施例15(プライマ剤の調製) アクリル樹脂エマルジョン(日本カーバイド株式会社
製、商品名「ニカゾールRX−969B」、固形分39
%)30部に、酸化アルミニウムコロイド(日産化学株
式会社製、Al23含有率;30重量%)10部及びγ
−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学株式会
社製、商品名「KBE903」)1部、並びに純水30
部を配合し、プライマ剤を調製した。
【0064】実施例16(積層品の製造) 実施例15で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と
同様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして
活性化処理を行った。その後、実施例2と同様にして銀
液及び還元液を調製し、実施例2と同様にして銀めっき
層を形成した。また、実施例2と同様にして銀めっき層
の表面に保護層を形成し、銀めっき層を備える積層品を
得た。
【0065】実施例17 実施例15(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、オルガノ酸化チタンコ
ロイド(日産化学株式会社製、TiO2含有率;30重
量%)10部及びγ−グリシドキシドプロピルトリメト
キシシラン(信越化学株式会社製、商品名「KBM40
3」)3部、並びにトルエン30部を配合し、プライマ
剤を調製した。
【0066】実施例18 実施例17で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と
同様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして
活性化処理を行った。その後、実施例2と同様にして銀
液を調製し、一方、実施例3と同様にして還元液を調製
し、これらの銀液と還元液とを使用して実施例3と同様
にして銀めっき層を形成した。また、実施例3と同様に
して銀めっき層の表面に保護層を形成し、銀めっき層を
備える積層品を得た。
【0067】実施例19 プライマ層の形成 実施例18と同様にしてプライマ層を形成し、実施例4
と同様にして活性化処理を行った。その後、実施例4に
おけると同様の無電解銅めっき浴を建浴し、同様にして
銅めっき層を形成し、銅めっき層を備える積層品を得
た。
【0068】実施例20(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、オルガノ酸化スズコロ
イド(日産化学株式会社製、SnO2含有率;30重量
%)10部及びγ−グリシドキシドプロピルトリメトキ
シシラン(信越化学株式会社製、商品名「KBM40
3」)3部、並びにトルエン15部及びイソプロピルア
ルコール15部を配合し、プライマ剤を調製した。
【0069】実施例21(積層品の製造) 実施例20で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と
同様にしてプライマ層を形成した。その後、実施例12
と同様にして活性化処理を行い、次いで、実施例12と
同様にしてニッケルめっき層を形成し、ニッケルめっき
層を備える積層品を得た。
【0070】実施例22(プライマ剤の調製) アルコール可溶性エラストマ型ポリウレタン樹脂(三菱
化学株式会社製、商品名「PC−200」)20部に、
オルガノ酸化チタンコロイド(日産化学株式会社製、T
iO2含有率;30重量%)10部及びγ−グリシドキ
シドプロピルトリメトキシシラン(信越化学株式会社
製、商品名「KBM403」)3部、並びにエタノール
60部及びp−トルエンスルホン酸1部を配合し、プラ
イマ剤を調製した。
【0071】実施例23 実施例22のプライマ剤を使用し、実施例2と同様にし
てプライマ層を形成し、実施例2と同様にして活性化処
理を行った。その後、実施例2と同様にして銀液を調製
し、一方、実施例3と同様にして還元液を調製し、これ
らの銀液と還元液とを使用して実施例3と同様にして銀
めっき層を形成した。また、実施例3と同様にして銀め
っき層の表面に保護層を形成し、銀めっき層を備える積
層品を得た。
【0072】(4)プライマ剤として金属アルコキシド
を使用した場合 実施例24(プライマ剤の調製) アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、品番「24
9」、固形分25%)30部に、ジルコニウムブチラー
ト(日本曹達株式会社製)6部、及びトルエン30部を
配合し、プライマ剤を調製した。
【0073】実施例25(積層品の製造) 実施例24で調製したプライマ剤を使用し、実施例2と
同様にしてプライマ層を形成し、実施例2と同様にして
活性化処理を行った。その後、実施例2と同様にして銀
液及び還元液を調製し、これらの銀液と還元液とを使用
して実施例2と同様にして銀めっき層を形成した。ま
た、実施例2同様にして銀めっき層の表面に保護層を形
成し、銀めっき層を備える積層品を得た。
【0074】実施例16、18、19、21、23及び
25いずれもクロスカットテープ剥離試験による剥離は
みられず、ABS樹脂シートとプライマ層との密着性に
優れていた。また、めっき層の表面は平滑で、十分な光
沢を有し、特に、銀の析出により形成された銀めっき層
は明るい金属光沢を備え、意匠性に優れる積層品が得ら
れた。
【0075】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即
ち、活性化処理は、銀めっき層を形成させるときのみで
なく、銅及びニッケルめっきを施す場合においてより効
果的であり、特に銅及びニッケルめっきでは活性化処理
を施すことが好ましい。更に、めっき層は銀、銅、ニッ
ケル等からなるものに限られず、その他の金属からなる
めっき層を形成させることもできる。また、実施例のよ
うに無電解めっき層を施した後、導電性となった積層品
に、更に電解めっき層を形成させることもできる。
【0076】また、無電解銅めっき液中の銅イオンとし
ては、硫酸銅、塩化銅等に由来するものを使用すること
ができる。更に、錯化剤としてロッシェル塩、EDTA
等を使用することができ、還元剤としてホルムアルデヒ
ド等を使用することもできる。この他、pH調整剤及び
緩衝剤として水酸化ナトリウム等のアルカリ性水酸化
物、炭酸塩、リン酸塩等を使用することができ、安定
剤、促進剤、界面活性剤等も同時に使用することができ
る。また、この反応は強アルカリ性において行うことが
好ましい。
【0077】更に、無電解ニッケルめっき層を形成する
場合は、無電解ニッケルめっき液中のニッケルイオン
は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等に由来するものを使
用することができ、還元剤としては次亜リン酸ナトリウ
ム、ジメチルアミノボラン等を使用することができる。
錯化剤としてはアンモニア、クエン酸等を使用すること
ができる。
【0078】その他、無電解めっき液には、安定剤、促
進剤、界面活性剤等を同時に配合することもできる。ま
た、プラスチックの耐熱性が低い場合、及び熱膨張率が
プラスチックとめっきされる金属とで大きく異なること
によってめっき層の剥離を生ずる場合等においては、ア
ルカリ性で反応が進行する低温タイプのめっき液を使用
することが好ましい。
【0079】
【発明の効果】第1発明の無電解めっき用プライマ剤に
よれば、銀めっき層等の無電解めっき層を、プラスチッ
ク等の基材の表面に十分に強固に接合させることができ
る。また、第2発明によれば、めっき層が、このプライ
マ剤からなるプライマ層を介して基材の表面に密着さ
れ、接合され、意匠性に優れる積層品を得ることができ
る。更に、第4〜6発明によれば、銀めっき層を備える
美感に優れる積層品を簡易な方法によって容易に製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K022 AA02 AA03 AA04 AA13 AA14 AA41 AA47 BA01 BA03 BA08 BA14 BA18 CA05 CA06 CA07 CA18 CA21 CA22 DA01 DB01 DB02 DB04 DB06 DB08 DB19 EA02 EA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)アルコキシシラン、(2)コロイ
    ダルシリカ並びにシランカップリング剤及びチタンカッ
    プリング剤のうちの少なくとも一方、(3)金属酸化物
    コロイド並びにシランカップリング剤及びチタンカップ
    リング剤のうちの少なくとも一方、又は(4)金属アル
    コキシド(但し、チタンアルコキシドは除く。)と、樹
    脂とを含有することを特徴とする無電解めっき用プライ
    マ剤。
  2. 【請求項2】 基材及び無電解めっき層、並びに該基材
    と該無電解めっき層とを接合するためのプライマ層を備
    える積層品(但し、上記基材が容器を構成し、その内面
    に上記無電解めっき層及び上記プライマ層を設ける場合
    は除く。)において、該プライマ層は、(1)アルコキ
    シシラン、(2)コロイダルシリカ並びにシランカップ
    リング剤及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも
    一方、(3)金属酸化物コロイド並びにシランカップリ
    ング剤及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一
    方、又は(4)金属アルコキシド(但し、チタンアルコ
    キシドは除く。)と、樹脂とを含有するプライマ剤を乾
    燥させ、形成させたものであることを特徴とする無電解
    めっき層を備える積層品。
  3. 【請求項3】 上記無電解めっき層の表面に透明な保護
    層が形成される請求項2記載の無電解めっき層を備える
    積層品。
  4. 【請求項4】 基材の表面に、(1)アルコキシシラ
    ン、(2)コロイダルシリカ並びにシランカップリング
    剤及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、
    (3)金属酸化物コロイド並びにシランカップリング剤
    及びチタンカップリング剤のうちの少なくとも一方、又
    は(4)金属アルコキシド(但し、チタンアルコキシド
    は除く。)と、樹脂とを含有するプライマ剤を塗布し、
    乾燥させてプライマ層を形成する第1工程、並びに銀錯
    イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有する第2
    水溶液を上記プライマ層に塗布した後、乾燥させて銀め
    っき層を形成する第2工程、を備えることを特徴とする
    無電解めっき層を備える積層品(但し、上記基材が容器
    を構成し、その内面に上記無電解めっき層及び上記プラ
    イマ層を設ける場合は除く。)の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記第1工程に続いて、上記プライマ層
    に活性化処理を施す請求項4記載の無電解めっき層を備
    える積層品の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記活性化処理は、塩化第一スズ、硫酸
    第一スズ、ホウフッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの
    少なくとも1種を含む水溶液を、上記プライマ層に接触
    させる工程を備える請求項5記載の無電解めっき層を備
    える積層品の製造方法。
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