JP2000129448A - 内面にめっき層を有する容器及びその製造方法 - Google Patents

内面にめっき層を有する容器及びその製造方法

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JP2000129448A
JP2000129448A JP10302855A JP30285598A JP2000129448A JP 2000129448 A JP2000129448 A JP 2000129448A JP 10302855 A JP10302855 A JP 10302855A JP 30285598 A JP30285598 A JP 30285598A JP 2000129448 A JP2000129448 A JP 2000129448A
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container
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layer
coupling agent
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JP10302855A
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Toshihiro Yamamoto
敏博 山本
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Inoac Corp
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Inoue MTP KK
Inoac Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器の内表面に、美しい金属光沢を有するめ
っき層を備え、且つ高い耐久性を有する皮膜を形成し、
独自の外観を呈する容器を提供する。また、このような
容器を容易に製造することができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 透明性を有する容器の内表面に無電解め
っき層を備える被膜を形成する。この容器には外表面及
び内表面に、容器の透明性が損なわれない程度に着色、
或いは表面加工等を施してもよい。また、この無電解め
っき層を銀めっき層とする場合は、30重量部のアクリ
ル樹脂塗料と、6重量部のテトラエトキシシラン及び3
0重量部のトルエンとを含有するプライマ剤を塗布し、
乾燥させてプライマ層を形成し、その表面に銀鏡反応に
より銀めっき層を形成する。更に、このめっき層の表面
に塩化ビニリデン樹脂等により保護層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無電解めっき層
(以下、単にめっき層ともいう。)、或いはこのめっき
層とプライマ層とを備える被膜を内表面に有する容器に
関する。更に詳しくは、美しい金属光沢を有するめっき
層を備え、耐久性に優れる被膜が内表面に形成されてお
り、この金属光沢を容器の外部から視認することがで
き、独自の外観を呈する、内面にめっき層を有する容器
に関する。また、上記のような容器を特に容易に製造す
ることができる製造方法に関する。本発明の容器は、化
粧品容器、食料品容器、インテリア製品等として使用で
きる他、幅広い分野において利用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来より、特に、化粧品を収容する容器
等には美観をもたせるために、外表面等に、湿式めっき
法又は蒸着、スパタリング、イオンプレーティング等の
乾式めっき法によりめっきが施されている。しかし、容
器の外表面の広範囲にめっきを施した場合、めっきが有
している単色のみが容器の外観となるため、その外観は
単調となり、多様性に欠ける。また、容器の外表面には
他のものとの擦れ等によって大きい力が加わり易いた
め、めっき層が剥離し易く、その場合は却って美観を損
ない、長期間にわたる使用に耐えられない等の問題があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、美しい金属光沢を有するめっき
層、或いはこのめっき層とプライマ層とを備え、高い耐
久性を有する被膜が内表面に形成され、多様な色調を有
し、且つ独自な外観を呈し、更には、容器内表面と被膜
との密着性に優れる、内面にめっき層を有する容器を提
供することを目的とする。また、このような容器を容易
に製造することができる製造方法を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】第1発明の内面にめっき
層を有する容器は、その内表面の少なくとも1部に、無
電解めっき層を備える被膜が形成され、該無電解めっき
層を外部より視認することができ、上記被膜は、上記無
電解めっき層の他、少なくともプライマ層を備え、該プ
ライマ層は、(1)アルコキシシラン、(2)コロイダ
ルシリカ及びシランカップリング剤若しくはチタンカッ
プリング剤、(3)金属アルコキシド(但し、チタンア
ルコキシドは除く。)、又は(4)金属酸化物コロイド
及びシランカップリング剤若しくはチタンカップリング
剤、を含有するプライマ剤を乾燥させ、形成させたもの
であることを特徴とする。
【0005】また、第2発明の内面にめっき層を有する
容器は、ガラス製の容器の内表面の少なくとも1部に、
該内表面に直接設けられる無電解めっき層を備える皮膜
が形成され、該無電解めっき層を外部より視認すること
ができることを特徴とする。
【0006】上記「容器」は、化粧品等を収容できるも
のであればよく、その大きさ及び形状等は特に制限され
ない。上記「無電解めっき層を外部より視認することが
できる」とは、容器の内表面に施された被膜を構成する
めっき層の金属光沢を、容器の外部から視認することが
できることを意味する。従って、容器を構成する材料は
無色透明、着色透明ばかりでなく、半透明、着色半透明
等であってもよい。より具体的には約100ルクス以上
の明るさにおいて、容器壁の厚さが0.1〜10mmの
容器の外部からめっき層の金属光沢が視認できればよ
い。(以下、本明細書では、この「外部からめっき層を
視認することができる」ことを「容器が透明性を有す
る」等と表現する。)
【0007】容器壁の厚さは特に0.5〜8mm、更に
は1〜6mmであることが好ましく、容器壁の薄い容器
よりも、2〜3mm以上、特に5mm程度の比較的容器
壁の厚い容器の場合に、めっき層による独自の外観がよ
り向上し、深みのある独特の色調を有する容器を得るこ
とができる。
【0008】この容器は透明性を有していなければなら
ないが、透明性を有する容器を形成することのできる材
料としてはガラス及びプラスチック等を使用することが
でき、特に第2発明ではガラスが用いられる。このガラ
スとしてはソーダ石灰ガラス、ほう珪酸ガラス等が挙げ
られる。また、プラスチックとしては熱可塑性樹脂及び
熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、例えば、ポリエ
チレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等
のポリエステル、メチル−(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ABS樹脂、ポ
リカーボネート、ポリアミド、ポリアリレート、ポリア
リルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスル
ホン、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、(メタ)ア
クリル酸−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共
重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチ
レン系共重合体及びフッ素樹脂等が挙げられる。
【0009】これらの樹脂のうちでは、高い透明性を有
する非結晶性の熱可塑性樹脂が特に好ましいが、結晶性
の樹脂は機械的強度に優れるため、特に強度を必要とす
る場合は、透明性を有する結晶性の樹脂を使用すること
ができる。
【0010】この樹脂製の容器の成形は、ブロー成形、
回転成形、射出成形及びラミネート成形等、適宜の方法
によって行うことができる。成形の容易さにおいては、
熱可塑性樹脂を用いてブロー成形することが好ましい。
特に、ポリエチレンテレフタレートは、顔料を含まない
樹脂が無色透明であることから、得られる容器は透明性
に優れ、ブロー成形時の加工性にも優れるため好まし
い。
【0011】更に、上記のプラスチック及びガラス等に
は、これらが本来有する固有の色調を消し、外観上無色
透明にすること、これらの透明性を更に向上させること
及び着色すること等を目的として着色剤を配合すること
もできる。この着色剤としては、カーボンブラック、ク
ロムバーミリオン、弁柄、クロム酸鉛、黄色硫化鉄、チ
タン黄、クロムグリーン、酸化クロム、群青及びコバル
トブルー等の無機系顔料を使用することができる。その
他、レーキッド4R等の有機系顔料を使用することもで
きる。また、容器の外表面に透明性を有する適宜の色調
の塗料等、例えば、アクリル塗料などを塗布することに
よっても、これまでにない外観を有する容器を得ること
ができる。更に、容器の外表面に不透明のインク等で文
字を印刷したり、容器の透明性を損なわない程度の艶消
し塗装を行うこともできる。文字を印刷した場合は、こ
の文字がめっき層に影を落とし、文字が浮かび上がった
ように強調され、艶消し塗装を施した場合は、光沢が抑
えられて落ち着いた感じがより強調される。
【0012】プラスチック及びガラスに配合される着色
剤は、プラスチック及びガラスが本来有する透明性が損
なわれない範囲の配合量とすることができる。この配合
量は、着色剤の明度、色相及び彩度等により大きく変化
するが、一般に、50重量%程度以下であることが好ま
しい。この上限を越えて配合すると容器の透明性が不十
分になり、めっき層による効果が十分に得られ難くな
る。更に、容器の内表面及び外表面には、その透明性が
損なわれない程度に艶消し加工等が施されていてもよ
い。
【0013】上記「被膜」は、容器の内表面に形成さ
れ、第1発明では、少なくとも無電解めっき層とプライ
マ層とを備える。一方、第2発明では、容器内表面に直
接設けられる無電解めっき層を備え、プライマ層は有し
ていない。また、このめっき層の表面には更に保護層を
形成することが好ましい。プライマ層は被膜を容器の内
表面に強固に密着させ、剥離し難くさせるために形成さ
れるものである。更に、保護層は、収容物との摩擦及び
収容物による化学的な浸食等からめっき層を保護し、ま
た、収容物に被膜及び容器を構成する材料に由来する不
純物が混入すること等を防止するために形成されるもの
である。尚、樹脂製の容器ではプライマ層は必ず設けら
れるが、ガラス製の容器では必ずしも必要ではなく、第
2発明のように、めっき層を容器内表面に直接設けるこ
ともできる。
【0014】上記「無電解めっき層」とは、無電解めっ
き法により形成されためっき層である。この無電解めっ
き法としては、酸化還元反応を利用した方法及び置換反
応を利用した方法等、通常の方法を特に制限されること
なく用いることができる。具体的には、無電解めっき液
に含まれる金属イオンの自己触媒的な還元反応によって
金、銀、銅、ニッケルやパラジウム等をめっきする方
法、及び銀鏡反応を利用する方法等を挙げることができ
る。
【0015】上記「プライマ層」は、第1発明の(1)
〜(4)の特定の化合物等と、水及び有機溶媒に溶解又
は分散させることのできる樹脂とを含有するプライマ剤
を、容器の内表面に適宜の方法によって塗布し、形成さ
れる塗膜を乾燥することにより、形成させることができ
る。
【0016】(1)の上記「アルコキシシラン」として
は、テトラメトキシシランとその重合体、テトラエトキ
シシランとその重合体等の4官能以上のアルコキシシラ
ンが挙げられる。また、メチルトリメトキシシランに代
表される3官能のアルコキシシラン、ジメチルジメトキ
シシランに代表される2官能のアルコキシシランが、ア
ルコキシシランの縮合反応相の表面シラノール基密度或
いは親水性等を阻害しない範囲で少量含まれていてもよ
い。
【0017】アルコキシシランとともにプライマ剤に含
有される樹脂としては、アルコキシシランが加水分解し
て生ずるシラノール基と水素結合若しくは化学結合し得
る官能基を備える樹脂を使用することが好ましい。その
ような樹脂としては、エステル結合、エーテル桔合、ア
ミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、イミド結合等、
水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基等を
有するもの、具体的には、アルキッド樹脂、アクリル樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ポリ
アミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びセルロース
樹脂等が挙げられ、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等
が好ましい。これらの樹脂は、その種類にもよるが、プ
ライマ剤の固形分を100重量部とした場合に、10〜
99重量部、特に30〜90重量部含有させることが好
ましい。
【0018】プライマ剤に含有されるアルコキシシラン
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、アルコキシシランがあまりに多い
と、アルコキシシランの加水分解によって生成する不定
形シリカ相が巨視的に相分離するため、プライマ層が白
濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題がある。更
に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、プラスチック
及びガラス等との密着性が低下することもある。従っ
て、アルコキシシランの含有量は、プライマ剤の固形分
を100重量部とした場合に、1〜90重量部、特に1
0〜70重量部とすることが好ましい。
【0019】また、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、アルコキシシラン及び樹
脂の共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、アルコキシシランと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、アルコキシシランの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。このプライマ剤は、アルコ
キシシランと樹脂とを混合した後、アルコキシシランを
加水分解させ、部分的に縮合させて調製することもでき
る。尚、プライマ剤に含有されるアルコキシシランは加
熱後、最終的には皮膜中に不定形シリカ相としてミクロ
相分離した状態で析出しているものと考えられる。
【0020】(2)の上記「コロイダルシリカ」として
は、湿式による水分散性コロイダルシリカ、水を有機溶
媒で置換した溶剤分散性コロイダルシリカ及びアルコキ
シシランを有機溶媒中で加水分解して得られる溶剤分散
性コロイダルシリカ等が挙げられる。コロイダルシリカ
の粒径は十数ミリミクロン程度と非常に小さいため、プ
ライマ剤における分散性がよければ透明で平滑なプライ
マ層が形成される。
【0021】また、コロイダルシリカを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることが好ましい。そのよう
な樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、
特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライ
マ剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度と
することができる。尚、水分散性コロイダルシリカの場
合は、樹脂エマルジョンを組み合わせて使用することが
好ましい。
【0022】プライマ剤に含有されるコロイダルシリカ
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、コロイダルシリカがあまりに多い
と、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題があ
る。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、プラス
チック及びガラス等との密着性が低下することもある。
従って、コロイダルシリカの含有量は、プライマ剤の固
形分を100重量部とした場合に、1〜90重量部、特
に10〜70重量部とすることが好ましい。
【0023】コロイダルシリカと併用される上記「シラ
ンカップリング剤」、又は上記「チタンカップリング
剤」としては、コロイダルシリカが有するシラノール基
と縮合し得る加水分解性の官能基と、樹脂と反応する
か、少なくとも親和性を有する官能基との両方を備える
ものを使用することができる。シランカップリング剤と
しては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げら
れる。チタンカップリング剤としては、イソプロピルト
リイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート等を挙げることが
できる。これらのカップリング剤は、コロイダルシリカ
を100重量部とした場合に、1〜20重量部、特に2
〜10重量部使用することが好ましい。尚、水分散性コ
ロイダルシリカと樹脂エマルジョンとを組み合わせて使
用する場合は、水によってプライマ剤の粘度を塗布に適
した範囲に調整することができる。
【0024】(3)の金属アルコキシドとしては、一般
式、M(OR)n(但し、Mはジルコニウム、アルミニ
ウム等であり、チタンではない。また、Rは炭素数1〜
4のアルキル基であり、nが2以上である場合はRは同
一であってもよいし、異なっていてもよい。)によって
表されるものを使用することができる。具体的には、ジ
ルコニウムブチラート、アルミニウム−モノ−sec−
ブトキシジイソプロピラートなどが挙げられる。
【0025】金属アルコキシドを用いる場合は、樹脂と
しては、この金属アルコキシドが加水分解して生ずるM
−OH基と水素結合若しくは化学結合し得る官能基を有
するものを使用することが好ましい。そのような樹脂と
しては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特にアク
リル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ剤に含
まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とすること
ができる。
【0026】プライマ剤に含有される金属アルコキシド
が多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層によ
り多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性が
向上する。しかし、金属アルコキシドがあまりに多い
と、金属アルコキシドの加水分解によって生成する不定
形シリカ相が巨視的に相分離するため、プライマ層が白
濁したり、乾燥後、亀裂が入り易い等の問題がある。更
に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、プラスチック
及びガラス等との密着性が低下することもある。従っ
て、金属アルコキシドの有量は、プライマ剤の固形分を
100重量部とした場合に、1〜90重量部、特に10
〜70重量部とすることが好ましい。
【0027】更に、プライマ剤の粘度を塗布方法によっ
て適度な範囲に調整するため、金属アルコキシド及び樹
脂の共通溶媒を希釈剤として用いることもできる。但
し、この希釈剤は、金属アルコキシドと反応しないもの
でなければならず、高級アルコール、多価アルコール或
いはケトン類などの使用は避けたほうがよい。更に、プ
ライマ剤には、金属アルコキシドの加水分解を促進する
ため、必要に応じて酢酸等の有機酸を加水分解促進剤と
して添加することもできる。また、このプライマ剤は、
金属アルコキシドと樹脂とを混合した後、金属アルコキ
シドを加水分解させ、部分的に縮合させて調製すること
もできる。尚、プライマ剤に含有される金属アルコキシ
ドは加熱後、最終的には皮膜中に不定形金属酸化物相と
してミクロ相分離した状態で析出しているものと考えら
れる。また、複数の金属アルコキシドを併用し、複合金
属酸化物相を析出させることもできる。
【0028】(4)の上記「金属酸化物コロイド」とし
ては、金属アルコキシドを有機溶媒中で加水分解して得
られる溶剤分散性金属酸化物コロイド、金属酸化物コロ
イドを水中に投入して得られる水分散性金属酸化物コロ
イド、及びこれを溶媒置換して得られる有機溶媒分散性
属酸化物コロイド等が挙げられる。具体的には、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化スズ及
び酸化ジルコニウム等が挙げられる。金属酸化物コロイ
ドの粒径は十数ミリミクロン程度と非常に小さいため、
プライマ剤における分散性がよければ透明で平滑なプラ
イマ層が形成される。
【0029】また、金属酸化物コロイドを使用する場合
は、樹脂としては、シランカップリング剤又はチタンカ
ップリング剤と反応するか、少なくとも親和性を有する
官能基を備えるものを用いることができる。そのような
樹脂としては(1)の場合と同様のものが挙げられ、特
にアクリル樹脂、ウレタン樹脂等が好ましい。プライマ
剤に含まれる樹脂の含有量は(1)の場合と同程度とす
ることができる。
【0030】プライマ剤に含有される金属酸化物コロイ
ドが多いほど、めっきに用いられる触媒がプライマ層に
より多量に吸着され、プライマ層とめっき層との密着性
が向上する。しかし、金属酸化物コロイドがあまりに多
いと、乾燥後、プライマ層に亀裂が入り易い等の問題が
ある。更に、皮膜が可とう性に欠けることもあり、プラ
スチック及びガラス等との密着性が低下することもあ
る。従って、金属酸化物コロイドの含有量は、プライマ
剤の固形分を100重量部とした場合に、1〜90重量
部、特に10〜70重量部とすることが好ましい。
【0031】金属酸化物コロイドと併用されるシランカ
ップリング剤又はチタンカップリング剤としては、金属
酸化物コロイドが有するM−OH基と縮合し得る加水分
解性の官能基と、樹脂と反応するか、少なくとも親和性
を有する官能基との両方を備えるものを使用することが
でき、具体的には、(2)の場合と同様のものをを挙げ
ることができる。これらのカップリング剤は、金属酸化
物コロイドを100重量部とした場合に、1〜20重量
部、特に2〜10重量部使用することが好ましい。尚、
水分散性金属酸化物コロイドと樹脂エマルジョンとを組
み合わせて使用する場合は、水によってプライマ剤の粘
度を塗布に適した範囲に調整することができる。
【0032】(1)〜(4)の化合物等、及び前記の樹
脂を含むプライマ剤からなるプライマ層は強靭であり、
無電解めっき層との密着性及び接着性に優れる。アクリ
ル樹脂は、特に密着性及び透明性に優れるためより好ま
しい。
【0033】無電解めっき層の表面には、第3発明のよ
うに保護層を設けることが好ましい。この保護層はめっ
き層の上に直接接して形成されていても良いし、めっき
層と保護層の間に一層以上の別の効果、例えば、保護層
自体のめっき層への密着性が乏しい場合に、保護層とめ
っき層の両方に接着性を有する層が形成されていても良
い。この保護層は、溶媒を含まない液状樹脂、水又は有
機溶媒に樹脂を溶解させた溶液、又は樹脂を分散させた
分散液によって形成することができる。また、これらの
樹脂は、容器に収容する収容物の特性等の他、容器を構
成する材料の特性などによって選択することが好まし
く、上記溶液又は分散液をめっき層に塗布し、乾燥さ
せ、保護層とする時の収縮が小さい樹脂であることが好
ましい。このような樹脂としては、液状エポキシ樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、
メラミン樹脂及びシリコーン樹脂等を使用することがで
きる。また、ウレタン樹脂、ポリエステル及びポリ塩化
ビニリデン等を用いることもでき、これらは水性エマル
ジョン樹脂として使用することができる。
【0034】第4発明の内面にめっき層を有する容器の
製造方法は、容器の内表面に、(1)アルコキシシラ
ン、(2)コロイダルシリカ及びシランカップリング剤
若しくはチタンカップリング剤、(3)金属アルコキシ
ド(但し、チタンアルコキシドは除く。)、又は(4)
金属酸化物コロイド及びシランカップリング剤若しくは
チタンカップリング剤を、含有するプライマ剤を塗布
し、乾燥させてプライマ層を形成する第1工程、並びに
銀錯イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有する
第2水溶液を該プライマ層に塗布した後、乾燥させて銀
めっき層を形成する第2工程、を備えることを特徴とす
る。
【0035】プライマ層は、プライマ剤を片角スプレー
機等によって容器内表面に吹き付け、塗布し、塗膜とし
た後、この塗膜をプライマ剤の組成等によって適宜の温
度で所要時間、乾燥することにより、容易に形成するこ
とができる。プライマ層の厚さは特に限定されないが、
通常、5〜20μm、特に10μm程度とすることがで
きる。
【0036】上記「銀錯イオンを含有する第1水溶液」
としては、アンモニア性硝酸銀水溶液を用いることが好
ましい。このアンモニア性硝酸銀水溶液は、硝酸銀を純
水又は蒸留水に溶解させ、この水溶液を攪拌しながら、
アンモニア水を、黒色沈澱が消滅し、水溶液が透明にな
るまで滴下して調製することができる。また、このアン
モニア性硝酸銀水溶液には、水酸化ナトリウムを配合し
てもよい。これにより還元反応を促進することができ、
還元剤の種類、濃度との組み合わせによって反応時間を
調整することができる。更に、この水溶液には界面活性
剤を配合することもできる。この界面活性剤を配合する
ことによりプライマ層との濡れ性を向上させることがで
き、銀めっき層とプライマ層の密着性及び接着性を向上
させることができる。但し、界面活性剤は銀錯イオンの
還元反応の速度を低下させるため適宜の量を添加するこ
とが好ましい。
【0037】上記「還元剤を含有する第2水溶液」とし
ては、銀錯イオンを還元することのできる水溶性の還元
剤を含有する水溶液であれば特に限定されることなく使
用することができる。通常、D(+)−グルコース、ホ
ルムアルデヒド、ロッシェル塩、ショ糖の硝酸転化物、
グリオキザール及び硫酸ヒドラジン等を含有する水溶液
を使用することができる。
【0038】この第1水溶液及び第2水溶液は、プライ
マ層に塗布される、或いは塗布された時点で、より均一
に分散及び混合されていることが好ましく、そのように
塗布することができれば、塗布の方法は特に制限されな
い。この塗布は、以下の、の方法によって行うこと
ができる。内表面にプライマ層が形成された容器に、
第1水溶液及び第2水溶液を別々に注入し、容器内で攪
拌することにより混合し、その後、混合された水溶液を
排出することにより塗布する。第1水溶液と第2水溶
液を予め混合し、この混合液を容器に注入し、以下と
同様な操作で塗布する。これら及びの方法では、所
要量の水溶液を容器内に注入しつつ、或いは水溶液を容
器内に注入した後、容器を傾ける等して、容器の所定の
内表面に混合液を塗布することができる。
【0039】また、第1及び第2水溶液は、以下の、
の方法によってプライマ層に塗布することもできる。
第1水溶液と第2水溶液を予め混合し、この混合液を
スプレー機等を用いてプライマ層に吹き付けるか、又は
スプレー機のヘッド内で2液を混合して直ちに吐出する
構造を有するスプレー機等を用いて吹き付ける。第1
水溶液及び第2水溶液を2つのスプレーノズルから各々
吐出させて、空気中で或いはプライマ層上で両水溶液を
混合させ、塗布する。
【0040】第2水溶液に含まれる還元剤としては、比
較的還元力の強いものと、比較的還元力の弱いものとが
あり、これらを適宜、所要の量比で混合して用いること
により、良質な銀めっき層を形成させることができる。
また、特に及びのようにスプレー機によって塗布す
る場合は、及びのように注入により塗布する場合に
比べると、第2水溶液に含まれる還元剤として主に比較
的還元力の強いホルマリン、グリオキザール及び硫酸ヒ
ドラジン等を使用することが好ましい。一方、及び
のように注入により塗布する場合は、グルコース、ロッ
シェル塩等、比較的還元力の弱いものを使用することが
できる。
【0041】更に、及びのように、第1水溶液と第
2水溶液を予め混合してから塗布する場合、塗布した後
に銀の析出が始まるように、また、その析出が長時間に
及ばないように、析出させる温度、湿度及び析出の速さ
等を考慮して還元剤の種類及び量比を調整する必要があ
る。例えば、温度25℃、相対湿度50%において、
の方法により第1水溶液と第2水溶液を塗布する場合
は、還元剤として、D(+)−グルコースを2.5重量
%程度含む第2水溶液を使用することで、10〜30分
で銀の析出を終了させることができる。
【0042】上記の塗布方法のうち、特に及びのよ
うにスプレー機によって塗布する場合は、これらの水溶
液を塗布する前のプライマ層に、第5発明のように、活
性化処理を施すことが好ましい。プライマ剤に含まれる
(1)〜(4)の化合物等は、銀錯イオン等の還元反応
を起こすための触媒を吸着保持するものと考えられる。
この触媒としては、無電解めっきで通常用いられるパラ
ジウム等の貴金属、第6発明に記載した水溶液中の第1
スズイオンや第1チタンイオン、銀鏡反応のように容易
に起こる還元反応においては銀錯イオンが還元剤により
還元されてなる銀金属がある。
【0043】この活性化処理は、第6発明の特定の化合
物等を含む水溶液を接触させる方法を含め、以下の各種
の方法によって行うことができる。 a)塩酸酸性にした塩化第一スズ、硫酸第一スズ、ホウ
フッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの少なくとも1種
類を含む水溶液をプライマ層に接触させる。 b)パラジウムイオン及びスズ(II)イオンを含む水溶
液をプライマ層に接触させた後、硫酸を含む活性化処理
液を接触させる(キャタライザ−アクセレータ法)。 c)塩酸酸性の塩化第一スズ水溶液と塩酸酸性の塩化パ
ラジウム等の貴金属の塩化物水溶液をプライマ層に同時
に接触させる(センシタイザ−アクチベータ法)。 d)塩化パラジウム等又は硫酸塩水溶液と、次亜リン酸
ナトリウム等を含む還元液を同時にプライマ層に接触さ
せる(アクチベータ−アクセレータ法)。尚、活性化処
理液とプライマ層との接触の方法も特に制限はされず、
処理液を容器に注入し、排出してもよいし、容器の開口
部からスプレノズルを挿入し処理液をプライマ層に吹き
付けてもよい。最後に銀鏡反応を施す場合には、このう
ち、第6発明のように、a)法を行うのが最も経済的で
ある。
【0044】更に、上記のようにして形成した銀めっき
層の表面には、保護層を形成することが好ましい。特
に、水系エマルジョンによって保護層を形成する場合
は、無電解めっき層を形成した後、無電解めっき層を含
む容器の内表面を洗浄した後、乾燥させる必要がなく、
十分に水を切るのみでよいため製造工程を簡略化するこ
とができる。
【0045】
【作用】本発明の内面にめっき層を有する容器に照射さ
れた光の一部はめっき層によって反射される。また、光
の他部は容器の外表面で反射される。従って、容器の厚
さにともない深みのある色調を呈する、独自の外観を得
ることができる。更に、めっき層を容器の外表面に形成
した場合は、この容器の色調はめっき層の色調のみによ
り決定されるが、本発明のように、めっき層を容器の内
面に形成した場合は、容器本来の色調、着色された容器
の色調、めっき層の色調、容器壁の厚さ、容器の内表面
及び外表面の状態等、多くの要因により容器の外観が決
定される。そのため、これらの要因の組み合わせによっ
て多彩、且つこれまでにない深みのある外観を得ること
ができる。
【0046】また、本発明の容器では、めっき層が内面
に形成されているため、めっき層が外面に形成されてい
る場合のように、外部からの大きな力、摩擦等によるめ
っき層の剥離及び傷を生ずることがなく、収容物による
摩擦及び浸食等は保護層を設けることで十分に防止する
ことができる。従って、この内面に無電解めっき層を設
けたことによる効果は、長期間に渡り維持される。更
に、この無電解めっき層は主に金属から形成さる薄膜で
あるため、容器を透過して内部にまで到達する紫外線量
を著しく少なくすることができる。従って、容器内の収
容物は紫外線の影響を受け難く、紫外線劣化が緩やかに
なり、品質を損なうことなく長期間保存することがで
き、容器に対する信頼性が高まる。そのため、紫外線劣
化が著しいとされる化粧品において本発明は特に有用で
ある。また、このめっき層によって本発明の容器はガス
バリア性をも備えたものとなる。
【0047】
【発明の実施の形態】実施例1 容器の成形 材料としてポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、ブ
ロー成形法によって内容積200ミリリットルの円筒容
器を得た。 プライマ剤の調製及びプライマ層の形成 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、固形分25
%)30部に、テトラエトキシシラン(信越化学株式会
社製、商品名「KBE04」)6部及びトルエン30部
を配合し、プライマ剤を調製した。このプライマ剤を片
角スプレー機によって容器内表面に塗布し、厚さ約10
ミクロンの塗膜を形成した後、容器内に40℃の温風を
吹き込みながら1時間乾燥させ、プライマ層を形成し
た。
【0048】活性化処理 純水1リットルに、塩化第一スズ10gと36%塩酸1
0ミリリットルを加え、センシタイザ(鋭敏化剤)を調
製した。このセンシタイザ約5ミリリットルをプライマ
層の表面に5秒間かけてスプレー塗布し、プライマ層の
表面を活性化させた後、純水で洗浄した。
【0049】めっき液の調製及びめっき層の形成 純水1リットルに、硝酸銀25gを溶解させた硝酸銀水
溶液を攪拌しながら、23ミリリットル/リットルのア
ンモニア水を、生成する黒色沈殿が消滅するまで滴下
し、銀液を調製した。一方、純水1リットルに、グリオ
キサールの40重量%水溶液を50ミリリットル、及び
D(+)−グルコースを20g溶解させ、還元液を調製
した。この銀液と還元液とを2本の片角スプレー機によ
ってそれぞれ1ミリリットル/秒の吐出量で、プライマ
層の表面に5秒間吹き付けたところ、速やかに褐色に着
色し始め、次第に明るい銀色の金属光沢が発現した。そ
の後、40℃程度の温水で容器内を洗浄し、エアガンに
よって乾燥空気を吹き付けて十分に水切りを行った。
【0050】保護層の形成 ポリ塩化ビニリデン樹脂ラテックス(旭化成株式会社
製、商品名「L−529B」)を銀めっき層の表面にス
プレー塗布し、その後、40℃の温風を吹き込んで乾燥
し、保護層を形成した。このようにして独自の外観を呈
する容器を得た。
【0051】実施例2 容器の成形 実施例1と同様にして内容積200ミリリットルの円筒
容器を成形した。 プライマ剤の調製及びプライマ層の形成 実施例1と同様にして容器内表面にプライマ層を形成し
た。
【0052】活性化処理 純水1リットルに、ラジウム−スズコロイドキャタライ
ザを30ミリリットル、及びコロイド安定化のための塩
化物薬剤を270g加え、センシタイザ(鋭敏化剤)を
調製した。このセンシタイザを容器に注いで内表面を十
分に濡らし、1分後に排出し、水道水で3回洗浄した。
その後、純水1リットルに、アクセラレータ(促進剤)
を50ミリリットル、及び98%硫酸を25ミリリット
ル加え、アクチベータ(活性化剤)を調製した。このア
クチベータを容器に注ぎ、内表面を十分に濡らし、プラ
イマ層の表面を活性化させ、1分後にこれを排出し、水
道水で3回洗浄した。
【0053】めっき液の調製及びめっき層の形成 無電解銅めっき液(シプレイ・ファーイースト社製、商
品名「オムニシールド1598」)を標準処方(銅イオ
ン;2.0g/リットル、水酸化ナトリウム;6.5g
/リットル、ホルムアルデヒド;2.5g/リットル、
EDTA;20g/リットル)で建浴し、47℃に加温
した。これを容器に注ぎ、穏やかに揺動させたところ、
20分後には赤銅色の金属光沢を有するめっき層が形成
された。その後、めっき液を排出し、40℃程度の温水
で洗浄し、エアを吹き付けて水切りし、銅めっき層を形
成した。 保護層の形成 ウレタン樹脂エマルジョン(第一工業製薬株式会社製、
商品名「スーパーフレックス410」)を、銅めっき層
の表面にスプレー塗布し、その後、40℃の温風を吹き
込んで1時間乾燥させ、保護層を形成した。このように
して独自の外観を呈する容器を得た。
【0054】実施例3 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、固形分25
%)30部に、コロイダルシリカ(信越化学株式会社
製、商品名「KBE04」)10部、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン3部、及びトルエン30部
を配合し、プライマ剤を調製した。このプライマ剤を片
角スプレー機によって実施例1と同様の容器の表面に塗
布し、厚さ約10ミクロンの塗膜を形成した後、容器内
に40℃の温風を吹き込みながら1時間乾燥させ、容器
内表面にプライマ層を形成した。その後、実施例1と同
様にして、活性化処理、めっき液の調製及びめっき層の
形成、並びに保護層の形成を行った。銀の析出も同程度
であり、独自の外観を呈する容器を得た。
【0055】実施例4 アクリル樹脂塗料(大日本塗料株式会社製、固形分25
%)30部に、ジルコニウムブチラート(日本曹達株式
会社製)6部、及びトルエン30部を配合し、プライマ
剤を調製した。その後、実施例1と同様にして、プライ
マ層の形成、活性化処理、めっき液の調製及びめっき層
の形成、並びに保護層の形成を行った。銀の析出も同程
度であり、独自の外観を呈する容器を得た。
【0056】実施例5 アルコール可溶性エラストマー型ポリウレタン樹脂(三
菱化学株式会社製、商品名「PC−200」)20部
に、オルガノ酸化チタンコロイド(日産化学株式会社
製、TiO2含有量;30重量%)10部、並びにエタ
ノール60部及びp−トルエンスルホン酸1部を配合
し、プライマ剤を調製した。その後、実施例1と同様に
して、プライマ層の形成、活性化処理、めっき液の調製
及びめっき層の形成、並びに保護層の形成を行った。銀
の析出も良好であり、独自の外観を呈する容器を得た。
【0057】実施例6 容器の成形 材料としてソーダ石灰ガラスを用い、内容積30ミリリ
ットルの円筒容器を得た。 容器内表面の活性化処理 容器内表面をアセトンによって十分に脱脂した後、純水
で洗浄し、その後、純水1リットルに、塩化第一スズ1
0gと36%塩酸10ミリリットルを加え、センシタイ
ザ(鋭敏化剤)を調製した。このセンシタイザを容器に
注ぎ、内表面を十分に濡らして活性化させ、1分後にこ
のセンシタイザを排出し、純水で洗浄した。
【0058】めっき液の調製及びめっき層の形成 純水1リットルに、硝酸銀25gを溶解させた硝酸銀水
溶液を攪拌しながら、23ミリリットル/リットルのア
ンモニア水を、生成する黒色沈殿を授枠しながら、この
沈殿が消滅するまで滴下し、銀液を調製した。一方、純
水1リットルに、D(+)−グルコースを25g溶解さ
せ、還元液を調製した。この銀液と還元液とを、重量比
1:1に混合し、速やかに、且つ気泡が生成しないよう
にゆっくりと容器に注いだ。銀液と還元液の温度は25
℃であったが、約10秒で褐色に着色し始め、そのまま
20分間放置して銀めっき層を形成した後、容器内の銀
液及び還元液を排出し、水道水で容器内を洗浄し、エア
ガンによって乾燥空気を吹き付けて十分に水切りを行っ
た。
【0059】保護層の形成 ポリ塩化ビニリデン樹脂ラテックス(旭化成株式会社
製、商品名「L−529B」)を銀めっき層の表面にス
プレー塗布し、その後、90℃の熱風循環式乾燥機中で
1時間乾燥させ、保護層を形成した。このようにして第
2発明に対応する独自の外観を呈する容器を得た。
【0060】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即
ち、本発明の容器に蓋を設ける場合は、この蓋について
もこの容器と同様に透明性を有するものであれば、蓋の
内表面に無電解めっき層を備える被膜を形成させること
ができる。また、活性化処理は、銀めっき層を形成させ
るときのみでなく、銅及びニッケルめっきを施す場合に
おいてより効果的であり、特に銅及びニッケルめっきで
は活性化処理を施すことが好ましい。更に、めっき層は
銀、銅、ニッケル等からなるものに限られず、その他の
金属からなるめっき層を形成させることもできる。ま
た、実施例のように無電解めっき層を施した後、導電性
となった容器に、更に電解めっき層を形成させることも
できる。
【0061】また、2のにおいて、無電解銅めっき液
中の銅イオンは硫酸銅、塩化銅等に由来するものを使用
することができる。また、錯化剤としてロッシェル塩、
EDTA等を使用することができ、還元剤としてホルム
アルデヒド等を使用することもできる。この他、pH調
整剤及び緩衝剤として水酸化ナトリウム等のアルカリ性
水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等を使用することができ、
安定剤、促進剤、界面活性剤等も同時に使用することが
できる。更に、この反応は強アルカリ性において行うこ
とが好ましい。
【0062】更に、無電解ニッケル層を形成する場合
は、無電解ニッケルめっき液中のニッケルイオンは、硫
酸ニッケル、塩化ニッケル等に由来するものを使用する
ことができ、還元剤としては次亜リン酸ナトリウム、ジ
メチルアミノボラン等を使用することができる。錯化剤
としてはアンモニア、クエン酸等を使用することができ
る。
【0063】その他、無電解めっき液には、安定剤、促
進剤、界面活性剤等を同時に配合することもできる。ま
た、プラスチックの耐熱性が低い場合、及び熱膨張率が
プラスチックとめっきされる金属とで大きく異なること
によってめっき層の剥離を生ずる場合等においては、ア
ルカリ性で反応が進行する低温タイプのめっき液を使用
することが好ましい。
【0064】
【発明の効果】第1及び第2発明によれば、独自の外観
を呈し、めっき層の耐久性に優れ、特に、銀めっき層の
密着性及び接着性に優れた容器が得られる。また、第3
発明によれば、銀めっき層の耐久性がより高い容器を得
ることができる。更に、第4発明によれば、第1発明の
容器を、複雑な工程及び管理を必要とせず、容易に製造
することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器の内表面の少なくとも1部に、無電
    解めっき層を備える被膜が形成され、該無電解めっき層
    を外部より視認することができ、上記被膜は、上記無電
    解めっき層の他に、少なくともプライマ層を備え、該プ
    ライマ層は、(1)アルコキシシラン、(2)コロイダ
    ルシリカ及びシランカップリング剤若しくはチタンカッ
    プリング剤、(3)金属アルコキシド(但し、チタンア
    ルコキシドは除く。)、又は(4)金属酸化物コロイド
    及びシランカップリング剤若しくはチタンカップリング
    剤、を含有するプライマ剤を乾燥させ、形成させたもの
    であることを特徴とする内面にめっき層を有する容器。
  2. 【請求項2】 ガラス製の容器の内表面の少なくとも1
    部に、該内表面に直接設けられる無電解めっき層を備え
    る皮膜が形成され、該無電解めっき層を外部より視認す
    ることができることを特徴とする内面にめっき層を有す
    る容器。
  3. 【請求項3】 上記無電解めっき層の表面に保護層が形
    成された請求項1又は2記載の内面にめっき層を有する
    容器。
  4. 【請求項4】 容器の内表面に、(1)アルコキシシラ
    ン、(2)コロイダルシリカ及びシランカップリング剤
    若しくはチタンカップリング剤、(3)金属アルコキシ
    ド(但し、チタンアルコキシドは除く。)、又は(4)
    金属酸化物コロイド及びシランカップリング剤若しくは
    チタンカップリング剤を、含有するプライマ剤を塗布
    し、乾燥させてプライマ層を形成する第1工程、並びに
    銀錯イオンを含有する第1水溶液及び還元剤を含有する
    第2水溶液を上記プライマ層に塗布した後、乾燥させて
    銀めっき層を形成する第2工程、を備えることを特徴と
    する内面にめっき層を有する容器の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記第1工程に続いて、上記プライマ層
    に活性化処理を施す請求項4記載の内面にめっき層を有
    する容器の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記活性化処理は、塩化第一スズ、硫酸
    第一スズ、ホウフッ化スズ及び塩化第一チタンのうちの
    少なくとも1種を含む水溶液を、上記プライマ層に接触
    させる工程を備える請求項5記載の内面にめっき層を有
    する容器の製造方法。
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