JP6631650B2 - 走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、試料の表面に沿って相対変位されるカンチレバーを備えた走査型プローブ顕微鏡に関するものである。
光てこ方式の走査型プローブ顕微鏡では、カンチレバーの探針を試料の表面に沿って移動させ、カンチレバーの撓みを検出することにより、試料の表面画像(凹凸画像)を得ることができるようになっている(例えば、下記特許文献1参照)。この種の走査型プローブ顕微鏡には、カンチレバーに向けて光を照射する光照射部と、カンチレバーからの反射光を受光する光検出部とが備えられている。
試料の表面画像を取得する際には、主走査方向(X方向)に沿った所定長さのライン上でカンチレバーを走査させながら、光検出部からの検出信号を所定の間隔(第1間隔)で取得した後、副走査方向(Y方向)に所定の間隔(第2間隔)だけカンチレバーを走査させるという処理が、ラインごとに繰り返される。これにより、複数ライン分の測定範囲内における検出信号に基づいて、試料の表面画像を取得することができる。
カンチレバーは非常に小さい部材であり、試料に対してカンチレバーが走査される範囲も狭い。したがって、試料全体の表面画像を1度に得ることはできず、作業者は、試料表面における限られた測定範囲内の画像から、試料中の観察対象物を探して観察する必要がある。そのため、作業者は、得られた試料の表面画像中における観察対象物の有無を確認しながら、試料に対するカンチレバーの位置合わせを繰り返し行うことにより、試料中の観察対象物が測定範囲内に入るように調整することとなる。
特開2014−44144号公報
測定範囲内でカンチレバーをX方向及びY方向に走査させ、試料の表面画像を取得するのには、ある程度の時間がかかる。そのため、上記のように試料に対するカンチレバーの位置合わせを繰り返し行い、その都度、カンチレバーを走査させることにより得られた試料の表面画像中における観察対象物の有無を確認する作業は、作業者にとって大きな負担であり、観察対象物の観察に要する時間を長期化させる原因となっていた。
光学顕微鏡により試料の表面画像を広い範囲で撮像し、その撮像画像の中から観察対象物の位置を特定した上で、その位置が測定範囲に入るようにカンチレバーを走査させることも考えられる。しかしながら、観察対象物が微小である場合(例えばナノオーダーサイズの場合)には、観察対象物の位置を特定できるほどの分解能がない場合もある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、微小な観察対象物の観察時間を短縮することができる走査型プローブ顕微鏡を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る走査型プローブ顕微鏡は、カンチレバーと、光照射部と、光検出部と、走査処理部と、本測定処理部と、予備測定処理部とを備える。前記カンチレバーは、試料の表面に沿って相対変位される。前記光照射部は、前記カンチレバーに向けて光を照射する。前記光検出部は、前記カンチレバーからの反射光を受光することにより、前記カンチレバーの撓みに応じた検出信号を出力する。前記走査処理部は、試料の表面に対して、互いに交差するX方向及びY方向にそれぞれ前記カンチレバーを相対変位させることにより走査を行う。前記本測定処理部は、前記X方向に沿った所定長さのライン上で前記カンチレバーを走査させながら、所定の第1間隔で前記検出信号を取得した後、前記Y方向に所定の第2間隔だけ前記カンチレバーを走査させるという処理をラインごとに繰り返すことにより、複数ライン分の測定範囲内における前記検出信号に基づいて試料の表面画像を取得するための本測定を実行する。前記予備測定処理部は、前記本測定よりも前に、前記第1間隔よりも広い間隔で前記検出信号を取得し、又は、前記第2間隔よりも広い間隔で前記Y方向に前記カンチレバーを走査させることにより、前記本測定よりも粗い試料の表面画像を取得するための予備測定を実行する。
このような構成によれば、予備測定において、本測定のときにX方向に沿って検出信号を取得する間隔(第1間隔)よりも広い間隔で検出信号を取得し、又は、本測定のときにY方向にカンチレバーを走査させる間隔(第2間隔)よりも広い間隔でカンチレバーを走査させることにより、本測定よりも粗い試料の表面画像を短時間で取得することができる。したがって、予備測定により得られた試料の粗い表面画像に基づいて、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を短時間で確認することができる。そのため、予備測定により観察対象物があることが確認された測定範囲に対して本測定を行うことにより、微小な観察対象物の観察時間を短縮することができる。
(2)前記予備測定処理部は、前記測定範囲の中央部から走査を開始させてもよい。
このような構成によれば、予備測定において、測定範囲全体にわたって試料の表面画像を取得するのではなく、測定範囲の中央部における試料の表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲全体にわたって試料の表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(3)前記予備測定処理部は、前記X方向及び前記Y方向に前記カンチレバーを同時に走査させてもよい。
このような構成によれば、X方向及びY方向にカンチレバーを同時に走査させることにより、測定範囲に対して斜め方向に沿って試料の表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲全体にわたって試料の表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(4)前記予備測定処理部は、前記所定長さよりも短いライン上で前記X方向に前記カンチレバーを走査させた後、前記Y方向に前記カンチレバーを走査させるという処理を繰り返してもよい。
このような構成によれば、本測定時の1ライン分の長さよりも短いライン上でX方向にカンチレバーを走査させた後、Y方向にカンチレバーを走査させるという処理を繰り返すことにより、測定範囲に対して鋸歯状に試料の表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲全体にわたって試料の表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(5)前記走査型プローブ顕微鏡は、前記予備測定により取得された試料の表面画像中における観察対象物の有無を判別する判別処理部をさらに備えていてもよい。
このような構成によれば、予備測定により取得された試料の表面画像に基づいて、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を判別処理部により自動的に判別することができる。したがって、作業者が目視で観察対象物の有無を確認する場合と比べて、作業者の負担を軽減することができる。
(6)前記本測定処理部は、前記判別処理部により試料の表面画像中に観察対象物があると判別された場合に前記本測定を実行してもよい。
このような構成によれば、予備測定により取得された試料の表面画像中における微小な観察対象物の有無を判別処理部で自動的に判別し、その結果、観察対象物があると判別された測定範囲に対して、本測定を自動的に行うことができる。これにより、作業者の負担をさらに軽減することができる。
本発明によれば、予備測定により得られた試料の粗い表面画像に基づいて、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を短時間で確認することができるため、予備測定により観察対象物があることが確認された測定範囲に対して本測定を行うことにより、微小な観察対象物の観察時間を短縮することができる。
本発明の一実施形態に係る走査型プローブ顕微鏡の構成例を示した概略図である。 試料の表面を走査する際の態様について説明するための図である。 図1の走査型プローブ顕微鏡の電気的構成の一例を示したブロック図である。 予備測定の第1実施例について説明するための図である。 予備測定の第2実施例について説明するための図である。 予備測定の第3実施例について説明するための図である。 予備測定の第4実施例について説明するための図である。 予備測定の第5実施例について説明するための図である。
1.走査型プローブ顕微鏡の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る走査型プローブ顕微鏡の構成例を示した概略図である。この走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、カンチレバー1、光照射部2、ビームスプリッタ3、ミラー4、光検出部5及び試料ステージ6などを備え、試料Sの表面に沿ってカンチレバー1を移動させることにより、試料ステージ6上に載置された試料Sの表面画像(凹凸画像)を得ることができる。
光照射部2は、例えば半導体レーザなどのレーザ光源を備えており、カンチレバー1に向けて光を照射する。光照射部2から照射された光は、ビームスプリッタ3を経て、カンチレバー1に入射する。カンチレバー1には、反射面11が備えられており、当該反射面11における反射光が、ミラー4で反射して光検出部5により受光されるようになっている。光検出部5としては、例えば4分割フォトダイオードなどのように、フォトダイオードを備えた構成を採用することができる。
光照射部2からカンチレバー1までの光路中には、例えばコリメートレンズやフォーカスレンズ(いずれも図示せず)などの他の光学部材が設けられていてもよい。この場合、光照射部2からの照射光をコリメートレンズにより平行光とした後、その平行光をフォーカスレンズで集光させてカンチレバー1側へと導くことができる。
ビームスプリッタ3の他、上記コリメートレンズ及びフォーカスレンズなどは、光照射部2からの照射光をカンチレバー1へと導くための光学系を構成している。ただし、光学系の構成は、これに限られるものではなく、上記のような各光学部材の少なくとも1つが備えられていないような構成などであってもよい。
カンチレバー1は、例えば長さが150μm程度、幅が30〜40μm程度の非常に小さい部材であり、反射面11とは反対側の面に探針12が設けられている。この探針12を試料Sの表面に沿って移動させることにより、試料Sの表面画像を得ることができるようになっている。
ここで、カンチレバー1の反射面11は、光照射部2からの照射光の光軸Lに直交する方向に対して所定の傾斜角度θで傾斜している。したがって、試料Sの表面の凹凸に沿ってカンチレバー1の探針12を移動させた場合には、カンチレバー1が撓み、反射面11の傾斜角度θが変化する。このとき、光検出部5において反射面11からの反射光を受光する位置が変化することにより、光検出部5からの検出信号がカンチレバー1の撓みに応じて変化するため、光検出部5からの検出信号に基づいて試料Sの表面画像を得ることができる。
本実施形態では、カンチレバー1を試料Sの表面に沿って変位させるような構成となっているが、試料ステージ6を移動させることにより、カンチレバー1に対して試料Sを変位させるような構成であってもよい。すなわち、試料Sの表面に沿ってカンチレバー1が相対変位されるような構成であればよい。
2.試料表面に対する走査
図2は、試料Sの表面を走査する際の態様について説明するための図である。試料Sの表面画像を取得する際には、試料Sの表面に沿って、主走査方向(X方向)及び副走査方向(Y方向)にカンチレバー1を相対変位させる。これにより、予め定められた測定範囲R内で、X方向に沿った主走査と、Y方向に沿った副走査が行われる。本実施形態では、X方向及びY方向が互いに直交しているが、これに限らず、X方向及びY方向が互いに交差していればよい。
主走査は、X方向に沿ったラインL上でカンチレバー1を走査させることにより行われる。主走査中は、所定の間隔(第1間隔)D11で光検出部5からの検出信号が取得される。ラインLの長さは、測定範囲RのX方向の幅に対応する所定の長さとして予め設定されている。副走査は、1ライン分の主走査が行われる度に、Y方向に所定の間隔(第2間隔)D12だけカンチレバーを走査させることにより行われる。
このようにして、X方向に沿った主走査と、Y方向に沿った副走査とが、交互に繰り返して行われることにより、複数ラインL分の測定範囲R内における光検出部5からの検出信号が得られる。これらの検出信号に基づいて、測定範囲R内における試料Sの表面画像を取得することができる。
3.走査型プローブ顕微鏡の電気的構成
図3は、図1の走査型プローブ顕微鏡の電気的構成の一例を示したブロック図である。この走査型プローブ顕微鏡は、制御部7、記憶部8、表示部9及び操作部10などを備えている。また、図1では図示していないが、走査型プローブ顕微鏡には、カンチレバー1をX方向及びY方向にそれぞれ移動させるためのカンチレバー移動機構20や、試料ステージ6をX方向及びY方向にそれぞれ移動させるための試料移動機構30なども備えられている。
制御部7は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む構成である。制御部7は、CPUがプログラムを実行することにより、走査処理部71、本測定処理部72、予備測定処理部73、画像取得処理部74、表示処理部75、判別処理部76及び試料移動処理部77などとして機能する。記憶部8は、例えばRAM(Random Access Memory)又はハードディスクなどにより構成されている。表示部9は、例えば液晶表示器により構成されている。操作部10は、例えば操作キー又はタッチパネルなどにより構成されている。
走査処理部71は、カンチレバー移動機構20を制御することにより、カンチレバー1を試料Sの表面に対して相対変位させる。これにより、試料Sの表面に対して、主走査方向(X方向)及び副走査方向(Y方向)にカンチレバー1を走査させることができる。
本測定処理部72は、図2を用いて説明したように、主走査及び副走査が交互に繰り返して行われるように走査処理部71でカンチレバー移動機構20を制御させることにより、測定範囲R内における試料Sの表面画像を取得するための本測定を実行する。これにより、X方向及びY方向にそれぞれ所定の間隔D11,D12で取得された光検出部5の検出信号に基づいて、測定範囲R全体にわたる試料Sの表面画像が得られる。
予備測定処理部73は、本測定処理部72による本測定よりも前に、本測定とは異なる態様でカンチレバー1を走査させることにより、本測定よりも粗い試料Sの表面画像を取得するための予備測定を実行する。具体的には、主走査中に間隔D11よりも広い間隔で光検出部5からの検出信号を取得する処理、及び、間隔D12よりも広い間隔で副走査を行う処理の少なくとも一方が行われることにより、本測定よりも粗い試料Sの表面画像を取得することができる。
画像取得処理部74は、本測定又は予備測定における走査処理部71による走査中の光検出部5からの検出信号に基づいて、試料Sの表面画像を取得する。このとき、試料Sの表面画像の各画素の輝度は、光検出部5からの検出信号の強度に応じた値となる。画像取得処理部74により取得された試料Sの表面画像のデータは、記憶部8に記憶される。
表示処理部75は、画像取得処理部74により取得された試料Sの表面画像を表示させるための処理を行う。すなわち、表示処理部75は、画像取得処理部74により取得された試料Sの表面画像のデータを記憶部8から読み出し、表示部9に表示させる。これにより、作業者は、本測定又は予備測定により取得された試料Sの表面画像を表示部9で確認することができる。
判別処理部76は、予備測定により取得された試料Sの表面画像中における観察対象物の有無を判別するための処理を行う。作業者が観察を行う対象となる観察対象物は、試料Sの一部に含まれており、試料Sの表面における観察対象物以外の部分に対して、観察対象物の部分が凸部又は凹部となっている。そのため、予備測定により取得された試料Sの表面画像中において、観察対象物の部分は、他の部分と比べて輝度が大きく異なる。したがって、予備測定により取得された試料Sの表面画像における各画素の輝度の変化に基づいて、観察対象物の有無を判別することができる。
試料移動処理部77は、作業者による操作部10の操作に基づいて試料移動機構30を制御することにより、X方向又はY方向に試料Sの位置を移動させる。これにより、試料Sの表面上における測定範囲Rの位置を移動させることができる。予備測定により取得された試料Sの表面画像中に観察対象物がない場合、作業者は、操作部10を操作して試料Sの位置を移動させることにより、観察対象物が測定範囲R内に入るように調整することができる。
判別処理部76による判別結果は、表示処理部75により表示部9に表示される。作業者は、予備測定により取得される試料Sの表面画像中に観察対象物があると判別されるまで、試料Sの位置を移動させながら予備測定を繰り返し実行させ、観察対象物があると判別された場合に本測定を実行させる。ただし、判別処理部76の判別結果に基づく本測定又は予備測定の実行が、本測定処理部72又は予備測定処理部73により自動で行われてもよい。また、判別処理部76を省略し、予備測定により取得された試料Sの表面画像中における観察対象物の有無を作業者が目視で判別してもよい。
4.予備測定の実施例
(1)第1実施例
図4は、予備測定の第1実施例について説明するための図である。この例では、X方向に沿った主走査中に、本測定時の間隔D11よりも広い間隔D21で光検出部5からの検出信号を取得することにより、本測定よりも粗い試料Sの表面画像が取得される。一方、Y方向に沿った副走査の間隔は、本測定時の間隔D12と同一である。
(2)第2実施例
図5は、予備測定の第2実施例について説明するための図である。この例では、Y方向に沿ったカンチレバー1の走査が、本測定時の間隔D12よりも広い間隔D22で行われることにより、本測定よりも粗い試料Sの表面画像が取得される。一方、X方向に沿った主走査時の間隔は、本測定時の間隔D11と同一である。
(3)第3実施例
図6は、予備測定の第3実施例について説明するための図である。この例では、測定範囲Rの中央部から走査が開始される。中央部とは、例えばX方向及びY方向の幅がそれぞれ測定範囲Rの60%の範囲を少なくとも含む範囲であることが好ましい。X方向に沿った主走査中には、本測定時の間隔D11よりも広い間隔D21で光検出部5からの検出信号が取得される。また、Y方向に沿ったカンチレバー1の走査は、本測定時の間隔D12よりも広い間隔D22で行われる。ただし、X方向に沿った主走査の間隔、又は、Y方向に沿った副走査の間隔のいずれか一方が、本測定時の間隔D11,D12と同一であってもよい。
(4)第4実施例
図7は、予備測定の第4実施例について説明するための図である。この例では、X方向及びY方向にカンチレバー1が同時に走査される。すなわち、X方向にカンチレバー1を変位させながら、同時にY方向にもカンチレバー1を変位させるため、X方向及びY方向に対して傾斜した方向に沿ってカンチレバー1が変位することとなる。このとき、少なくとも測定範囲Rの中央部を通過するように走査が行われる。カンチレバー1の走査中には、X方向において本測定時の間隔D11よりも広い間隔D21で光検出部5からの検出信号が取得される。また、カンチレバー1の走査は、Y方向において本測定時の間隔D12よりも広い間隔D22で行われる。ただし、X方向に沿った主走査の間隔、又は、Y方向に沿った副走査の間隔のいずれか一方が、本測定時の間隔D11,D12と同一であってもよい。
(5)第5実施例
図8は、予備測定の第5実施例について説明するための図である。この例では、本測定時のX方向に沿ったラインLの長さよりも短いラインL上でX方向にカンチレバー1を走査させた後、Y方向にカンチレバー1を走査させるという処理が繰り返される。X方向への主走査後は、その位置からY方向へ副走査され、副走査後の位置から再び主走査が行われる。このようにして、主走査及び副走査が交互に連続的に行われることにより、鋸歯状にカンチレバー1の走査が行われる。このとき、少なくとも測定範囲Rの中央部を通過するように走査が行われる。X方向に沿った主走査中には、本測定時の間隔D11よりも広い間隔D21で光検出部5からの検出信号が取得される。また、Y方向に沿ったカンチレバー1の走査は、本測定時の間隔D12よりも広い間隔D22で行われる。ただし、X方向に沿った主走査の間隔、又は、Y方向に沿った副走査の間隔のいずれか一方が、本測定時の間隔D11,D12と同一であってもよい。
5.作用効果
(1)本実施形態では、予備測定において、本測定のときにX方向に沿って検出信号を取得する間隔D11よりも広い間隔D21で検出信号を取得し(第1,3〜5実施例)、又は、本測定のときにY方向にカンチレバー1を走査させる間隔D12よりも広い間隔D22でカンチレバー1を走査させることにより(第2〜5実施例)、本測定よりも粗い試料Sの表面画像を短時間で取得することができる。したがって、予備測定により得られた試料Sの粗い表面画像に基づいて、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を短時間で確認することができる。そのため、予備測定により観察対象物があることが確認された測定範囲Rに対して本測定を行うことにより、微小な観察対象物の観察時間を短縮することができる。
(2)図6に示した第3実施例によれば、予備測定において、測定範囲R全体にわたって試料Sの表面画像を取得するのではなく、測定範囲Rの中央部における試料Sの表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲R全体にわたって試料Sの表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(3)図7に示した第4実施例によれば、X方向及びY方向にカンチレバー1を同時に走査させることにより、測定範囲Rに対して斜め方向に沿って試料Sの表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲R全体にわたって試料Sの表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(4)図8に示した第5実施例によれば、本測定時の1ラインL分の長さよりも短いラインL上でX方向にカンチレバー1を走査させた後、Y方向にカンチレバー1を走査させるという処理を繰り返すことにより、測定範囲Rに対して鋸歯状に試料Sの表面画像を取得し、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を確認することができる。これにより、測定範囲R全体にわたって試料Sの表面画像を取得する場合と比べて、予備測定を短時間で行うことができるため、微小な観察対象物の観察時間をさらに短縮することができる。
(5)本実施形態では、予備測定により取得された試料Sの表面画像に基づいて、その表面画像中における微小な観察対象物の有無を判別処理部76により自動的に判別することができる。したがって、作業者が目視で観察対象物の有無を確認する場合と比べて、作業者の負担を軽減することができる。このとき、判別処理部76により試料Sの表面画像中に観察対象物があると判別された場合に、本測定処理部72が本測定を実行すれば、観察対象物があると判別された測定範囲Rに対して、本測定を自動的に行うことができるため、作業者の負担をさらに軽減することができる。
1 カンチレバー
2 光照射部
3 ビームスプリッタ
4 ミラー
5 光検出部
6 試料ステージ
7 制御部
8 記憶部
9 表示部
10 操作部
20 カンチレバー移動機構
30 試料移動機構
71 走査処理部
72 本測定処理部
73 予備測定処理部
74 画像取得処理部
75 表示処理部
76 判別処理部
77 試料移動処理部

Claims (5)

  1. 試料の表面に沿って相対変位されるカンチレバーと、
    前記カンチレバーに向けて光を照射する光照射部と、
    前記カンチレバーからの反射光を受光することにより、前記カンチレバーの撓みに応じた検出信号を出力する光検出部と、
    試料の表面に対して、互いに交差するX方向及びY方向にそれぞれ前記カンチレバーを相対変位させることにより走査を行う走査処理部と、
    前記X方向に沿った所定長さのライン上で前記カンチレバーを走査させながら、所定の第1間隔で前記検出信号を取得した後、前記Y方向に所定の第2間隔だけ前記カンチレバーを走査させるという処理をラインごとに繰り返すことにより、複数ライン分の測定範囲内における前記検出信号に基づいて試料の表面画像を取得するための本測定を実行する本測定処理部と、
    前記本測定よりも前に、前記第1間隔よりも広い間隔で前記検出信号を取得し、又は、前記第2間隔よりも広い間隔で前記Y方向に前記カンチレバーを走査させることにより、前記本測定よりも粗い試料の表面画像を取得するための予備測定を実行する予備測定処理部とを備え
    前記予備測定処理部は、前記測定範囲の中央部から走査を開始させ、前記測定範囲の一部の範囲における試料の表面画像を取得することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  2. 試料の表面に沿って相対変位されるカンチレバーと、
    前記カンチレバーに向けて光を照射する光照射部と、
    前記カンチレバーからの反射光を受光することにより、前記カンチレバーの撓みに応じた検出信号を出力する光検出部と、
    試料の表面に対して、互いに交差するX方向及びY方向にそれぞれ前記カンチレバーを相対変位させることにより走査を行う走査処理部と、
    前記X方向に沿った所定長さのライン上で前記カンチレバーを走査させながら、所定の第1間隔で前記検出信号を取得した後、前記Y方向に所定の第2間隔だけ前記カンチレバーを走査させるという処理をラインごとに繰り返すことにより、複数ライン分の測定範囲内における前記検出信号に基づいて試料の表面画像を取得するための本測定を実行する本測定処理部と、
    前記本測定よりも前に、前記第1間隔よりも広い間隔で前記検出信号を取得し、又は、前記第2間隔よりも広い間隔で前記Y方向に前記カンチレバーを走査させることにより、前記本測定よりも粗い試料の表面画像を取得するための予備測定を実行する予備測定処理部とを備え
    前記予備測定処理部は、前記X方向及び前記Y方向に前記カンチレバーを同時に走査させることにより、前記測定範囲の中央部を斜め方向に沿って一直線上に通過させ、前記測定範囲の一部の範囲における試料の表面画像を取得することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  3. 試料の表面に沿って相対変位されるカンチレバーと、
    前記カンチレバーに向けて光を照射する光照射部と、
    前記カンチレバーからの反射光を受光することにより、前記カンチレバーの撓みに応じた検出信号を出力する光検出部と、
    試料の表面に対して、互いに交差するX方向及びY方向にそれぞれ前記カンチレバーを相対変位させることにより走査を行う走査処理部と、
    前記X方向に沿った所定長さのライン上で前記カンチレバーを走査させながら、所定の第1間隔で前記検出信号を取得した後、前記Y方向に所定の第2間隔だけ前記カンチレバーを走査させるという処理をラインごとに繰り返すことにより、複数ライン分の測定範囲内における前記検出信号に基づいて試料の表面画像を取得するための本測定を実行する本測定処理部と、
    前記本測定よりも前に、前記第1間隔よりも広い間隔で前記検出信号を取得し、又は、前記第2間隔よりも広い間隔で前記Y方向に前記カンチレバーを走査させることにより、前記本測定よりも粗い試料の表面画像を取得するための予備測定を実行する予備測定処理部とを備え
    前記予備測定処理部は、前記所定長さよりも短いライン上で前記X方向に前記カンチレバーを走査させた後、前記Y方向に前記カンチレバーを走査させるという処理を繰り返し、前記測定範囲の一部の範囲における試料の表面画像を取得することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  4. 前記予備測定により取得された試料の表面画像中における観察対象物の有無を判別する判別処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
  5. 前記本測定処理部は、前記判別処理部により試料の表面画像中に観察対象物があると判別された場合に前記本測定を実行することを特徴とする請求項に記載の走査型プローブ顕微鏡。
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