JP2007248443A - 光検査方法および光検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】近接場光スポットによる走査時間を有効に短縮できる光検査方法を実現する。
【解決手段】近接場光スポットNFSを形成する機能と、近接場光スポット形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットSPを形成する機能とを有する光プローブ10を用い、被検査体OBの検査面SFの近接場光スポットによる高解像度検査領域の検査に先立って、高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットSPにより高速で予備走査して高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得たのちに、追従手段により検査面SFの表面形状に追従させつつ高解像度検査情報を得るための本走査を行い、その際、プローブ先端部と検査面との衝突を避けるため、表面凹凸形状情報に基づき、追従手段の追従能力の範囲内で、光プローブ先端部の走査速度を滑らかに変化させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、光検査方法および光検査装置に関する。
ナノメートルオーダーの微小領域に対する検査・測定・加工が実現されつつある。
例えば、走査型原子間力顕微鏡(AFM)では、プローブとして用いられるカンチレバーを被検体の検査面にごく近接させ、カンチレバーと検査面との間に作用する原子間力によるカンチレバーの歪量を検出し、この歪量が一定となるようにカンチレバーを検査面に直交する方向へ変位させつつ、検査面に沿った走査を行うことにより、検査面の3次元的な表面形状を得ることが行われる。
また、光を用いるものでは、近接場光を検査面に照射しつつ検査面に沿って走査して検査面の形状や光学物性の情報を取得することが行われる。このような近接場光を発生させるプローブとして、光ファイバのコア部の先端に形成された「尖った円錐状部分」の先端に近接場光を滲出させる光ファイバプローブが知られている(特許文献1、2)。
このような走査型の装置では、プローブであるカンチレバーや光ファイバプローブは、検査体の検査面に極めて近い部分で検査面形状に追従して走査を行うものであり、走査中に検査面とプローブとが接触したり衝突したりすると、表面形状の情報を取得できないのみならず、プローブを損傷させる恐れがある。このような問題を避けるため、プローブによる検査面の走査を極めて小さい速度で行うと、走査領域の走査に大変な長時間を要してしまう。
例えば、走査領域を10μm四方の領域とし、これを100nmの分解能でもれなく走査する場合を考えると、走査領域を100ライン走査する必要があり、走査長さは1mmにもなる。このとき、プローブの走査速度を0.01μm/秒とすると、1ラインの走査に1000秒を要し、全走査はその100倍であるから1万秒、即ち167分にもなる。
このような問題をさけるために、プローブによる本走査を行うのに先立って予備走査を行い、検査面の表面形状を「大まか」に把握し、把握された表面形状に応じ、表面形状の起伏の小さい部分ではプローブの走査速度を大きくし、起伏の大きいところでは走査速度を小さくすることが提案されている(特許文献3)。
この特許文献2に開示されているのは、プローブとしてカンチレバーを用いるAFMであり、予備走査速度は「プローブの最低走査速度あるいは使用頻度の高い走査速度の1/10程度の低速度」に設定される。このような低速度で走査領域をもれなく予備走査すると、予備走査のみで膨大な時間を必要とし、予備走査による「本走査時間の短縮」は意味をなさなくなってしまう。
上記の場合を例にとり、10μm四方の走査領域を予備走査することを考えてみると、カンチレバーの予備走査速度を0.001μm/秒に設定すると、1ラインの予備走査のみで1000秒(=17分弱)を要することになり、2ラインを予備走査するのみでも30分以上を要してしまう。従って、走査領域が10μm四方で予備走査に1時間弱程度をかけることができるとしても、予備走査を行いうるのは、走査領域の3ライン程度に過ぎず、この程度の走査では走査領域の起伏の十分な情報を得ることは難しく、本走査の際にプローブを高速走査した場合の「検査面とプローブの接触の恐れ」を完全に払拭することはできない。
特許第3231675号公報 特開2006−29831 特開2000−356580
この発明は上述した事情に鑑みなされたものであって、走査時間を有効に短縮できる光検査方法および光検査装置の実現を課題とする。
この発明の光検査方法は「光源からの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットを形成させる機能と、プローブ先端部の、近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する機能とを有する光プローブを用い、被検査体の検査面を光学的に検査する検査方法」であって、以下の如き特徴を有する(請求項1)。
即ち、近接場光スポットによる高解像度検査領域の検査に先立って、高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットにより高速で予備走査し、検査面を介した検査光を検出して高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得たのちに、プローブ先端部を検査面に近接させ、追従手段により検査面の表面形状に追従させつつ、高解像度検査情報を得るための本走査を行い、この本走査の際に、プローブ先端部と上記検査面との衝突を避けるために、表面凹凸形状情報に基づき「追従手段がプローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従能力」の範囲内で光プローブ先端部の走査速度を滑らかに変化させる。
補足すると、上記の如く、この発明の光検査方法で用いられる光プローブは、光源からの光を伝搬させて、近接場光スポットを形成する機能と、伝搬光スポットを形成する機能とを有する。即ち、同一の光プローブが近接場光スポットと伝搬光スポットとを形成する機能を有する。
「近接場光スポット」は、光プローブのプローブ先端部に形成される。近接場光はプローブ先端部に染み出すエバネセント波であり伝搬性ではなく、プローブ先端部に「雫」のような状態で留まっている。
「伝搬光スポット」は、光源からの光が光プローブにより伝搬され、光プローブ先端部から射出して集光したスポットである。この伝搬光スポットが「近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域」に形成されるとは、近接場光スポットと伝搬光スポットが、光プローブ先端領域において略同一直線上に形成されるが、伝搬光スポットは「近接場光スポットの形成位置を越えて光プローブ先端部からより離れた位置」に形成されること、換言すれば、伝搬光スポットは、近接場光スポットから十分に離れた「近接場光スポットと干渉しない非干渉領域」に形成されることを意味する。
予備走査は「近接場光スポットによる高解像度検査領域の検査」に先立って「高解像度検査領域を含む低解像度検査領域」を対象として行われる。低解像度検査領域は「高解像度検査領域を含む」から、低解像度検査領域と高解像度検査領域は「同一領域」でもよいし、高解像度検査領域が「低解像度検査領域の一部」であってもよい。
予備走査は高速で行われるが、検査面を介した検査光を検出して高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得る。
「検査面を介した検査光」は、検査面に照射された伝搬光スポットが検査面により光学的に影響され、検査面の光学的な情報を有する光である。
このように、予備走査は伝搬光スポットにより行われ、伝搬光スポットは近接場光スポットが形成されている光プローブ先端部から離れているから、予備走査を高速で行っても、光プローブ先端部と検査面とが接触する恐れは無く、十分な予備走査速度で低解像同検査領域を短時間内に予備走査することができる。このように予備走査の際には、光プローブ先端と検査面が離れているので、本走査を行う際には「プローブ先端部を検査面に近接させ」て、近接場光スポットによる検査面走査が可能となるようにする。
本走査の際には、プローブ先端部と検査面との衝突(接触)を避けるために、表面凹凸形状情報に基づき、光プローブ先端部の走査速度を変化させる。即ち、検査面の起伏の小さい部分では本走査の速度を大きくし、起伏の大きいところでは本走査の速度を小さくする。このとき、本走査の速度は「滑らか」に変化させ、光プローブに大きな慣性力が作用しないようにする。また本走査の速度をあまり大きくして「追従手段がプローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従能力の範囲」を超えると、起伏の大きいところへ差し掛かって低速化しても光プローブが起伏に追従できずに、検査面と接触する恐れがあるので、本走査の走査速度変化は「追従手段がプローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従能力の範囲内」で行う。
請求項1記載の光検査方法における本走査におけるプローブ先端部の走査速度の変化は、表面凹凸形状情報に基づき「走査線単位で行う」ようにしてもよいし(請求項2)、表面凹凸形状情報に基づき「走査線内で変化」させるようにしてもよい(請求項3)。
請求項2において「走査線単位で走査速度を変化させる」とは、検査面における起伏の大きい部分(本走査の走査速度を小さくすべき部分)が走査線上に存在する場合に、当該走査線での走査速度を「光プローブ先端部と検査面が衝突しない一定の走査速度」に設定することを意味する。
また請求項3において走査速度を「走査線内で変化させる」とは、検査面における起伏の大きい部分が走査線上に存在する場合に、起伏の近傍の部分では走査速度を低速度化するなどして、1走査線内で走査速度を変化させることを意味する。
請求項2における「走査線単位での走査速度変化」と、請求項3における「走査線内での変化」とは組合せてもよい。即ち、ある走査線では「走査線単位で走査速度を変化」させて設定し、別の走査線では「走査線上の位置に応じて走査速度を変化」させるようにしてもよい。
この発明の光検査装置は、光プローブと、走査手段と、追従手段と、検出手段と、情報取得手段と、走査速度制御手段とを有する(請求項4)。
「光プローブ」は、光源からの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットを形成させる機能と、プローブ先端部の、近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する機能とを有する。
「走査手段」は、被検査体の検査面の、近接場光スポットによる走査と、伝搬光スポットによる走査とを選択的に行う手段である。
「追従手段」は、近接場光スポットによる走査の際に、光プローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる手段である。
「検出手段」は、検査面を介した検査光を検出する手段である。
「情報取得手段」は、検出手段による検出結果に基づき、検査面の表面凹凸形状情報と高解像度検査情報を取得する手段である。
「走査速度制御手段」は、走査手段の走査速度を制御する手段である。
この光検出装置は、近接場光スポットによる高解像度検査領域の走査を行うに先立ち、高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットによる高速走査で予備的に走査して高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得、得られた表面凹凸形状情報に基づき、近接場光スポットによる高解像度検査の走査速度を、走査速度制御手段により追従手段による追従能力内で滑らかに変化させて高解像度検査情報を得るための本走査を行う。
走査速度の変化は走査線を単位として行ってもよいし、走査線内で変化させてもよい。
請求項4記載の光検査装置に用いられる「光プローブ」は、その先端形状として、伝搬光を射出させて伝搬光スポットを形成させるための「円錐面状の伝搬光射出面」と、この伝搬光射出面に囲繞され「伝搬光射出面より頂角の小さい尖った円錐面状の近接場光滲出面」とを有するものであることができる(請求項5)。この場合、光プローブの伝搬光射出面と近接場光滲出面とのうち、少なくとも近接場光滲出面に導電性薄膜を形成することができる(請求項6)。
請求項4または5または6記載の光検査装置における「検出手段」は、検査面による反射光を検査光として、光プローブを介して検出するように構成することができる(請求項7)。この請求項7記載の光検査装置においては、走査手段を「光プローブを検査面に直交する方向へ、検査面に対して相対的に変位させる変位手段を有し、予備走査の際、変位手段により光プローブを検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得する構成」とすることができる(請求項8)。
請求項4または5または6記載の光検査装置における「検出手段」は、被検査体を透過した光を検査光として検出するように構成することができる(請求項9)。
この請求項9記載の光検査装置においては、走査手段を「光プローブを検査面に直交する方向へ、検査面に対して相対的に変位させる変位手段を有し、予備走査の際、変位手段により光プローブを検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得する構成」とすることができる(請求項10)。
請求項8、10に記載の走査手段は「光プローブを検査面に直交する方向へ、検査面に対して相対的に変位させる」のであるから、光プローブを被検面に対して変位させてもよいし、被検査体を光プローブに対して変位させてもよく、被検査体と光プローブとを共に変位させ、これらの相対的な変位により両者の接近・離隔を行うようにしてもよい。
請求項4〜10の任意の1に記載の光検査装置における「追従手段」は、シアフォースを利用するものであることができる(請求項11)。
なお、予備走査は、高解像度検査領域の100%を「もれなく行う」のが理想であるが、実用上は、高解像度検査領域の30%(0.1mm幅を1μmの解像度で走査する場合であれば、もれなく走査するのに必要なライン数は100ラインであるが、そのうちの30ライン分を予備走査する)程度でも許容される。
請求項11記載の光検査装置において、追従手段は「水晶振動子を用いて光プローブを微小振動させるもの」であることもできるし(請求項12)、「水熱振動子を用いて光プローブを微小振動させるもの」であることもできる(請求項13)。
「水熱振動子」は、水熱合成法によって圧電膜を形成した振動子である。
請求項4〜13の任意の1に記載の光検査装置において、走査手段は「異なる応答特性の位置検出手段」を有することができ、走査速度制御手段は「走査条件に応じた応答特性の位置検出手段を選択できるもの」であることができる(請求項14)。
請求項1〜14の任意の1に記載の光検査装置において、走査手段は「伝搬光スポットによる予備的な走査の際に、伝搬光スポット径以下のピッチで走査を行うもの」であることが好ましい(請求項15)。
また、この明細書において「光検査」は、被検査体の検査面の「形状測定や光学物性の測定・検査」のみならず、伝搬光スポットや近接場光スポットによる「検査面の加工」をも含む概念である。従って、この発明の光検出装置は「近接場光顕微鏡」をも含むものである。
以上に説明したように、この発明による光検査方法・光検査装置では、伝搬光スポットによる予備走査を、光プローブ先端と検査面との衝突の恐れなしに高速で行うことができるので、低解像度検査領域の広範な領域を極めて短時間で予備走査でき、この予備走査で取得される検査面の表面凹凸形状情報に基づき近接場光スポットによる本走査の走査速度を変化させるので、本走査の時間を有効に短縮して検査光率を高めることができる。
以下、実施の形態を説明する。
図1は、光検査装置の実施の1形態を説明するための図である。
図1(a)において、符号10は光プローブ、符号LSは光源、符号12はハーフミラー、符号14はミラー、符号16は集光レンズ、符号18は水晶振動子、符号20は任意波形発生器、符号22、24は導振子、符号26は振幅検出器、符号28は微小制御部、符号30は検出手段、符号32は制御・演算部、符号34はステージ、符号OBは被検査体、符号SFは検査面をそれぞれ示している。
図の如く、X方向、Y方向、Z方向を定める。
被検査体OBはステージ34上に定置され、その上面が検査面SFとなって光プローブ10の先端部に近接対向させられる。
光源LSは半導体レーザであってレーザ光を放射する。放射されたレーザ光はハーフミラー12を透過し、ミラー14により反射され、集光レンズ16により光プローブ10の入射端面に集光させて入射される。光プローブ10に入射したレーザ光は光プローブを伝搬し、光プローブ10のプローブ先端部に近接場光スポットを形成し、近接場光スポット形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する。
図1(b)を参照して、近接場光スポットの形成状態を説明する。
光プローブ10は「光ファイバ」を加工することにより構成される。図1(b)において符号10Cは光ファイバの「コア」、符号10Dはコア10Cを囲繞する「クラッド」をそれぞれ示す。
光プローブ10をなす光ファイバの光射出側の端面には、伝搬光射出面10Aと、近接場光滲出面10Bが形成されている。伝搬光射出面10Aはコア10Cの中心軸を軸とする円錐面状に形成されている。近接場光滲出面10Bもまた、コア10Cの中心軸を軸とする円錐面状に形成されている。即ち、伝搬光射出面10Aと近接場光滲出面10Bとは「共軸の円錐面」である。近接場光滲出面10Bは、伝搬光射出面10Aよりも円錐面の頂角が小さく、そのため、伝搬光射出面10Aよりも尖った円錐面であり、伝搬光射出面に囲繞されている。
このような伝搬光射出面10A、近接場光滲出面10Bは、光ファイバ端部をエッチング等による先鋭化で形成できる。また、FIBや押し付け法で開口を形成することも考えられる。
また、これら伝搬光射出面10A、近接場光滲出面10Bの表面部分には、Au等による導電性薄膜TFが形成されている。導電性薄膜TFの厚さは「伝搬光の射出を妨げないような厚さ」である。なお、伝搬光射出面10Aの部分には、導電性薄膜TFに替えて、誘電体薄膜層構造による「反射防止膜」を形成してもよい。
図1(b)において、コア10Cを伝搬する伝搬光Lが近接場光滲出面10Bに入射すると、伝搬光Lはこの部分で全反射する。全反射の際に一部の光がエバネセント光として近接場光滲出面10Bから滲出する。滲出したエバネセント光は導電性薄膜TFの表面プラズモンとカップリングして近接場光滲出面10Bの尖った先端部(以下、「尖端部」と呼ぶ。)に近接場光スポットNFSを形成する。近接場光スポットNFSは表面プラズモンとカップリングしているため安定性がよい。近接場光スポットNFSは伝搬性の光ではないので、発生状況を目視で見ることはできない。即ち、近接場光スポットNSFは、上記尖端部の径と略同程度の距離内に存在する非伝搬光である。
図1(c)は、伝搬光スポットの形成状態を説明するための図である。
伝搬光Lが伝搬光射出面10Aに入射すると、伝搬光は導電性薄膜TFを透過して射出光LEXとして射出する。この射出の際、伝搬光射出面10Aの傾きのために、射出光はコア10Cの中心軸(伝搬光射出面の中心軸)の側へ屈折され、上記中心軸上で集光して伝搬光スポットSPを形成する。伝搬光射出面10Aをなす円錐面の頂角を160度程度に設定すると、伝搬光Lの伝搬光射出面10Aへの入射角は10度程度となり、伝搬光スポットSPの形成される位置は、近接場光滲出面10Bの先端部から数μm程度の位置となる。
一方、近接場光スポットNFSが形成されるのは、近接場光滲出面10Bの尖端部に接した高々100nm程度の領域である。従って、近接場光スポットNFSと伝搬光スポットSPとが互いに干渉しあうことはない。また、伝搬光スポットSPと上記「尖端部」との間隔:数μmは、被検査体OBの検査面SFの表面に存在する起伏の大きさに比して十分に大きい。従って、伝搬光スポットSPによる検査面の走査を行うときに、上記「尖端部」と検査面SFとが接触(衝突)することはない。
図1の例では、伝搬光射出面10A、近接場光滲出面10Bの表面部分には、Au等による導電性薄膜TFが形成されているが、この導電性薄膜TFは、例えば、波長:650nmの光を伝搬光Lとするとき良好な近接場光スポットNFSを発生させ、波長:533nmの光を伝搬光Lとするときは、明るい伝搬光スポットSPを形成する作用を持つ。この点を鑑みて、光源LSは、2種の波長:533nm、650nmのレーザ光を選択的に放射することができるようになっている。具体的には、これら波長を発光波長とする2種の半導体レーザをビーム合成手段と組合せて、各波長のレーザ光を選択的に同一光路上に放射できるようになっている。
ここで、伝搬光スポットSPによる予備走査を説明すると、図示されない入力手段(キーボード等)により被検査体OBの検査面SFの予備走査領域(低解像度検査領域)が制御・演算部32に入力され、制御・演算部32は入力情報により特定された予備走査領域の走査開始位置が光プローブ10先端部の位置に合致するように、ステージ34のX方向・Y方向の変位を制御する。
ついで、制御・演算部32はステージ34のZ方向の位置を制御して、伝搬光スポットSPが検査面SFに合致するようにする。このとき、光源LSから波長:533nmのレーザ光を放射させ、光プローブ10から射出した伝搬光の「検査面SFによる反射光」を戻り光として、光プローブ10に入射させ、集光レンズ16、ミラー14、ハーフミラー12を介して検出手段30に入射させる。
検出手段30は受光した戻り光に応じた受光信号を生成し、これを制御・演算手段32に入力させる。制御・演算手段34は入力する受光信号に応じて、ステージ34をZ方向に変位調整し、戻り光の光強度が最大(即ち、受光信号が最大)となる位置をZ方向の基準とする。この基準状態は伝搬光スポットSPが正しく検査面SF上に集光している状態である。この状態で、検査面SFを2次元的に走査する。この走査が予備走査である。
この予備走査の際、検査面に対して適当な密度でサンプリング位置が設定され、制御・演算手段32は、サンプリング位置ごとに、戻り光の光強度が最大となるように、ステージ34のZ方向の調整を行い、このときの調整量:ΔZをサンプリング位置と関連付けて制御・演算手段32に含まれるメモリに記憶する。
戻り光の強度が最大となるのは、上述の如く、伝搬光スポットが検査面SF上に集光している状態であるから、上記の如くして「サンプリング位置と関連付けて記憶されたΔZの集合」は、検査面SFをサンプリング位置でサンプリングした検査面SFの表面凹凸形状に対応する。このようにして検査面SFに関する「表面凹凸形状情報」が得られる。
このようにして低解像度検査領域の予備走査が行われる。
この予備走査の結果に基づき高解像度検査領域が決定され、近接場光スポットの本走査による高解像度検査が行われる。決定された高解像度検査領域は制御・演算手段32に入力され、制御・演算手段32はステージ34をX方向・Y方向に変位調整して、光プローブ10の先端部の位置が高解像度検査領域の「本走査開始位置」に合致するようにする。
この状態から、制御・演算手段32はステージ34により検査面SFが光プローブ10の先端部に近づくように変位させる。このとき、光源LSから波長:650nmのレーザ光を放射させ、光プローブ10の尖端部に近接場光スポットNFSを形成しておく。近接場光スポットNSF内に検査面SFが侵入すると近接場光は検査面SFに反射されて伝搬光に変換され、戻り光となって光プローブ10、集光レンズ16、ミラー14、ハーフミラー12を介して検出手段30に受光され、検出手段30の生成する受光信号は制御・演算手段32に入力される。
制御・演算手段32は、ステージ34のZ方向の位置を調整し、上記受光信号が最大となる位置をもって本走査の基準高さとする。
この状態から、本走査が開始される。
本走査に際しては、任意波形発生器20により振動を発生し、導振子22により水晶振動子18を共振させる。水晶振動子18は光プローブ10と一体化されており、光プローブ10はX方向に高周波で微小振動する。
光プローブ10の尖端部が検査面SFに近づくと、尖端部との間にシアフォースとよばれる力(原子間力の一種である。)が作用し、振動に対する抵抗力となり、振幅の減少や振動周波数の変化を生じる。これを導振子24により振幅検出器26でモニタし、微小制御部28により、上記「本走査の基準高さ」の状態における振幅が一定に保たれるように、ステージ34のZ方向の微小変位:Δzを制御すると、光プローブ先端部と検査面SFの間隔が「本走査の基準高さ」に保たれることになるので、このような状態で、本走査を行うことにより、プローブ先端部を検査面SFに近接させ、検査面SFの表面形状に追従させつつ、高解像度検査情報を得るための本走査を近接場光スポットNFSにより行うことができる。
この本走査は光源LSから波長:650nmのレーザ光を放射させつつ行い、本走査に伴う戻り光を検出手段30で検出し、検出された戻り光の強度や周波数スペクトルに応じ、例えば、検査面SFの表面形状や組成を測定することが可能となる。
即ち、本走査の際の「プローブ位置に対応する走査位置情報」と各「走査位置」での近接場散乱光情報の対応付けや解析を制御・演算部32を用いて統括的にコントロールすることで検査面のデータが得られるので、例えば、図示されないディスプレイ上における3次元的な表示等が可能である。
予備走査および本走査における走査速度の設定・制御は制御・演算部32により行う。
図2は、上に説明した低解像度検査と高解像度検査における検査領域設定のイメージ図である。図2(a)において、検査面SF上に「低解像度検査領域」が設定されて、この領域部分が伝搬光スポットにより高速で予備走査される。予備走査の結果に基づき、図2(b)に示すように、低解像度検査領域中の一部が高解像度検査領域として特定され、設定される。そして、この高解像度検査領域が近接場光スポットにより本走査されて高解像度検査が行われる。
なお、説明中の例では、伝搬光スポットによる予備走査は「解像度:1μm」で、これは伝搬光スポットSPのスポット径に相当し、予備走査は低解像度検査領域をもれなく、すなわち低解像度検査領域の100%を走査する。
また、近接場光スポットによる本走査は近接場光スポットNFSのスポット径と同程度の100nmである。
低解像度検査領域を仮に、0.1mm四方とし、これを1μmの解像度で100%予備走査するとしても、予備走査の際に光プローブの先端部と検査面と野衝突の恐れが無いので、予備走査は極めて高速で行うことができ、これを数秒で完了しても、検査面の表面凹凸形状情報の取得は十分に可能である。
近接場光スポットにより本走査が行われるときは、予備走査の結果として、高解像度領域における検査面の表面凹凸形状情報が得られている。
図3(a)において、四角い枠は「高解像度検査領域の一部」を拡大して示している。この領域が2本の走査線で走査されるものとし、これら走査線を走査線A、走査線Bとする。走査線A上の領域は目立った起伏が無く実質的に平坦であり、走査線B上の領域にはドット状の起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・があるものとする。
このような場合、走査線Aでは、本走査の走査速度を大きくしても、光プローブのプローブ部は、走査の際に検査面の表面形状に十分に追従できる。これに対し、走査線B上の領域にはドット状の起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・があるから、本走査の走査速度は、プローブ部が起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・に対して確実に追従できる大きさに設定しなければならない。従って、走査線A、Bの走査速度は図3(b)の如く、走査線Aにおいて大きく、走査線Bに対して小さくなる。
仮に、予備走査を行わないとすれば、検査面の表面形状が全く分からないので、光プローブ先端と検査面との衝突を避けるためには、例えば走査線Bに対する走査速度で高解像度検査領域の全体を本走査しなければならない。しかるに、予備走査により表面形状情報が得られている状態では、走査線単位で、走査速度を大きくしたり小さくしたりできるので、本走査に要する時間は大幅に短縮されることになり、予備走査に費やされる数秒とあわせても本走査の終了までに要する時間を数分〜十数分程度に抑えることが可能になる。
図4(a)において、四角い枠は「高解像度検査領域の一部」を拡大して示している。この領域が3本の走査線で走査されるものとし、これら走査線を走査線A、走査線B、走査線Cとする。走査線A上の領域は目立った起伏が無く実質的に平坦であり、走査線B上の領域にはドット状の起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・があり、走査線C上の領域には「エッジ部EGを段差部とする領域」があるものとする。エッジ部EGの両側は平坦であ
る。
このような場合、走査線Aでは、本走査の走査速度を大きくしても、光プローブのプローブ部は走査の際に検査面の表面形状に十分に追従できる。走査線B上の領域にはドット状の起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・があるから、本走査の走査速度は、プローブ部が起伏Dt1、Dt2、Dt3、・・に対して確実に追従できる大きさに設定しなければならない。従って、走査線A、Bの走査速度は、先に説明したように、図3(b)の如く、走査線Aにおいて大きく、走査線Bに対して小さくなる。
走査線C上の領域では、エッジ部EGを除く他の部分は平坦であるので、走査線C上の領域を区域1〜3に分け、図4(b)に示すように、平坦である区域1では走査速度を大きくし、エッジ部EGの近傍の区域2では走査速度を小さくし、エッジ部EGを超えた平坦な領域である区域3では再び走査速度を大きくする。このように、走査速度を1走査線のなかで変化させるようにすれば、走査線単位で走査速度を変化させる場合よりもさらに本走査の時間を短縮することができる。区域1と2、区域2と3との境界部で、走査速度をステップ的に変更してしまうと、速度プロファイルにオーバーシュートや共振が生じ、高精度に追従できない場合があるので、図4(b)に示す速度変化のように「滑らかに変化」させる。
図1に実施の形態を示した光検査装置は、光源LSからの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットNFSを形成する機能と、プローブ先端部の、近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットSPを形成する機能とを有する光プローブ10と、被検査体OBの検査面SFの、近接場光スポットNFSによる走査と、伝搬光スポットSPによる走査とを選択的に行う走査手段34と、近接場光スポットNFSによる走査の際に、光プローブ先端部を検査面SFの表面形状に追従させる追従手段18、20、22、24、26、28と、検査面SFを介した検査光を検出する検出手段30と、この検出手段30による検出結果に基づき、検査面SFの表面凹凸形状情報、高解像度検査情報を取得する情報取得手段32と、走査手段34の走査速度を制御する走査速度制御手段32とを有し、近接場光スポットNFSによる高解像度検査領域の走査を行うに先立ち、高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットSPによる高速走査で予備的に走査して、高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得、得られた表面凹凸形状情報に基づき、近接場光スポットNFSによる高解像度検査の走査速度を走査速度制御手段32により、追従手段18、20、22、24、26、28による追従能力内で滑らかに変化させて高解像度検査情報を得るための本走査を行うもの(請求項1)である。
また、光プローブ10は、その先端形状として、伝搬光を射出させて伝搬光スポットを形成するために円錐面状の伝搬光射出面10Aと、この伝搬光射出面10Aに囲繞され、伝搬光射出面より頂角の小さい尖った円錐面状の近接場光滲出面10Bとを有し(請求項5)、光プローブの伝搬光射出面10Aと近接場光滲出面10Bとに、導電性薄膜TFが形成されている(請求項6)。
また、検出手段30は、検査面SFによる反射光を検査光として、光プローブ10を介して検出する(請求項7)。
また、走査手段34は、光プローブ10を検査面SFに直交する方向へ、検査面SFに相対的に変位させるアクチュエータ(ステージのZ方向変位を行うアクチュエータで、微小制御部28により制御される。)を有し、予備走査の際、アクチュエータにより光プローブを検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得する(請求項8)。
また、追従手段は「シアフォースを利用するもの」である(請求項11)。
そして上記光検査装置により、光源LSからの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットNFSを形成する機能と、プローブ先端部の、近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットSPを形成する機能とを有する光プローブ10を用い、被検査体OBの検査面SFを光学的に検査する検査方法であって、近接場光スポットNFSによる高解像度検査領域の検査に先立って、高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットSPにより高速で予備走査し、検査面を介した検査光を検出して高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得たのちに、プローブ先端部を検査面SFに近接させ、追従手段18、20、22、24、26、28により検査面SFの表面形状に追従させつつ、高解像度検査情報を得るための本走査を行い、この本走査の際に、プローブ先端部と検査面SFとの衝突を避けるために、表面凹凸形状情報に基づき、追従手段がプローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従能力の範囲内で、光プローブ先端部の走査速度を滑らかに変化させる光検査方法(請求項1)が実施される。
また、図3により説明した光検査方法では、本走査におけるプローブ先端部の走査速度が、表面凹凸形状情報に基づき走査線単位で変化させられ(請求項2)、図4により説明した光検査方法では、本走査におけるプローブ先端部の走査速度を、表面凹凸形状情報に基づき走査線内で変化させる(請求項3)。
図5は、請求項9、10記載の光検査装置の実施の1形態を示している。
繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては、図1におけると同一
の符号を付した。
この実施の形態では、被検査体OBは光透過性であり、ステージ34Aは「被検査体OBを支持する部分」が開放しており、検出手段30がステージ34Aの下方に配設され、被検査体OBを透過した光を検査光として検出する(請求項9)。また、走査手段34Aは、光プローブ10を検査面SFに直交する方向へ、検査面SFに相対的に変位させるアクチュエータ(微小制御部28により制御される)を有し、予備走査の際、アクチュエータにより光プローブ10を検査面SFに直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面SFの表面凹凸形状情報を取得する(請求項10)。
図6は、本走査における走査速度決定の1例を説明するための図である。
図中、符号Gで示す部分は「追従手段の開ループ特性の、周波数に対するゲイン」を示している。符号F0で示す曲線は、予備走査で得られた高解像度検査領域の表面形状の周波数分布であり、これは、本走査の「ある1本の走査線における周波数分布」を、本走査における基準的な走査速度:V0について表したものである。このような「周波数分布」も、被検面の凹凸の状態を表すものであるから「表面凹凸形状情報」の1種であり、本走査における全走査線につき演算算出される。
周波数分布は、本走査の速度を基準の走査速度:V0よりも速い走査速度:V1(>V0)に設定すると、曲線F1のように「周波数分布F0と相似的」に高周波数側へ伸長し、本走査の速度を基準の走査速度:V0よりも遅い走査速度:V2(<V0)に設定すると、曲線F2のように「周波数分布F0と相似的」に低周波数側へ圧縮される。
このような特性に基づき、どの周波数帯域でも「周波数分布がゲインGを超えない範囲で最大の走査速度」を設定すれば、個々の走査線単位で、走査線上の起伏に応じて最大の走査速度で本走査を実行でき、本走査に要する時間を有効に短縮することができる。
即ち、請求項2の検査方法を実施する場合であれば、予備走査の結果から、上記の周波数分布を本走査における走査線ごとに制御・演算手段32により算出し、さらに、全走査線に対し、周波数分布とゲインGとの関係に応じて上記「どの周波数帯域でも、周波数分布がゲインGを超えない範囲での最大の走査速度」を、制御・演算手段32により走査線ごとに算出して決定し、このように決定された走査線ごとの走査速度に各走査線の走査速度を設定しつつ本走査を行えばよい。
若干付言すると、上に説明した実施の形態において、予備走査の際「検査面の表面凹凸形状情報」を取得するのに、変位手段により光プローブを検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得しているが、これは「共焦点顕微鏡」において行われているのと同じである。
被検査体を透過した検査光を検出する場合、被検査体の透過率が予め分かっている場合には、検査面直交方向へ光プローブと検査面との相対的な変位を行わなくても、検出される検査光の強度から、検査面の凹凸形状を推定して「表面凹凸形状情報」を取得することができる。
検査面の表面凹凸形状情報を取得する別の方法として「光の干渉」を利用する方法が可能である。即ち、図1のような実施の形態で、伝搬光射出面10Aで反射されて光プローブ内を戻る光と、検査面SFで反射されて光プローブ10内を戻る戻り光とが、検出手段30の受光面上で干渉し合う。このとき、光プローブ10と検査面SFとの「Z方向の相対的な変位」を行わずに予備走査を行うと、伝搬光射出面と検査面との距離は、検査面の凹凸形状に応じて変化するので干渉状態が変化し、検出光強度が変化するのでこれを利用して表面凹凸形状を得ることができる。
上に説明した実施の形態では、光プローブとして「先端形状として、伝搬光を射出させて伝搬光スポットを形成するために円錐面状の伝搬光射出面と、この伝搬光射出面に囲繞され、伝搬光射出面より頂角の小さい尖った円錐面状の近接場光滲出面とを有し、これら伝搬光射出面と近接場光滲出面とに導電性薄膜が形成されている」ものを用いたが、光プローブに必要とされる条件は「光源からの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットを形成する機能と、プローブ先端部の近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する機能とを有する」ことであるので、この条件を満足するものであれば、適宜、光プローブとして使用することができる。
上に、図1、図5を参照して実施の形態を説明した光検査装置においては、追従手段として「水晶振動子18を用いて光プローブ10をX方向に微小振動させるもの」を用いた(請求項12)が、光プローブ10を微小振動させるのに「水熱振動子」を用いることもできる(請求項13)。
水熱振動子は「水熱合成法によって圧電膜を形成した振動子」であり、これを用いて光プローブを微小振動させると、水晶振動子18を用いる場合よりも「さらに高い周波数」で光プローブ10を振動させることも可能である。
図8に、水熱振動子を用いて光プローブを微小振動させる場合の実施の形態を特徴部分のみ示す。
符号19で示す水熱振動子は、光プローブ10を「長手方向の2箇所で挟む」ようにして挟持し、挟持部は光プローブ10の側面部に接着固定されている。符号19Bは挟持部を示す。水熱振動子19の本体部には、導振子22、24が一体化され、図1の実施の形態と同様、任意波形発生器(図8に図示されず)により振動を発生し、導振子22により導振して水熱振動子19を共振させる。この振動において、水熱振動子19は、図8に符号19Aで示す部分(水熱振動子19の本体側から挟持部19Bへ向かって先細りに伸びた部分)を節として、挟持部19BがZ方向(光プローブ10の光伝搬方向)へ振動し、挟持した光プローブ10をZ方向へ振動させる。
光プローブ10は、長手方向の2箇所を水熱振動子19により挟持され、挟持部は接着固定されているので、水熱振動子19の振動により、光プローブ10は長手方向へ伸縮する。伸縮の振幅はnmオーダーの微小量であるので、伸縮が光プローブ10の特性に影響することはない。
水熱振動子の共振周波数は、現在「300kHz〜1MHz」まで確認されており、水晶振動子よりも周波数の高い振動特性を持ち、基板形状の自由度も高いのでV溝等「光プローブを固定しやすい形状」とすることもできる。この実施の形態における、図8に示す部分以外は図1の実施の形態の構成と同じである。勿論、水晶振動子や水熱振動子以外の振動子を用いて、光プローブを微小振動させてもよい。
また、「Z方向の位置決めをするアクチュエータの帯域を高める」ことにより、光プローブ先端部を検査面の表面凹凸形状に「より高速に追従させる制御」が可能となり、検査時間を短縮できる。
例えば、図7(a)に示すように、Z軸方向に変位する2つのアクチュエータであるZステージ36A、36Bを、ベース37をZ方向に挟むように対向させて配置する。
このような構成においてZステージ36A、36Bを「同位相で駆動」すると、ベース37に作用する力が相殺されて剛性の高い構造になることが知られている。
さらに図7(b)に示すように、Zステージ36A、36Bとして「中空円筒PZT」を用い、水晶振動子18と光プローブ10を、Zステージ36Bの中空円筒PZTの内部空間に入れ込むことにより「共振帯域を高めつつ、コンパクトな装置構造とする」ことができる。この場合、Zステージ36Aの中空円筒PZTの内部にカウンタウエイト36A1を入れ込むことで「負荷バランスも均等に保つ」ことができる。Zステージ36Bの中空円筒PZTの内部空間には、図8に示した「水熱振動子19と、これに保持された光プローブ10」を入れ込んでもよい。
図7の実施の形態では、被検査体OBを載置するスケール35は「XYステージ」であり、XY面内で2次元的に被検査体OBを変位させて走査を行う。
図7の実施の形態は、特徴部分以外を図5の実施の形態のように変形してもよい。
ところで、ステージ位置検出のスケールの分解能と応答周波数は概ね反比例の関係にあるため、高解像度検査を前提として「高分解能のスケール」を使用すると、応答周波数の制限のため測定に多大な時間を要してしまうこともあるので、測定条件に応じてスケールの分解能を切り替える構成とすることが考えられる。
例えば、分解能:5nmで応答周波数:20kHzのスケールを用いた場合、走査速度は100μm/sec以下に制限されてしまう。走査を行う検査領域が10μm四方程度であれば、このような走査速度でも問題ないが、低解像度検査領域として1mm四方を、1μmの解像度で測定する場合には(1000/100)×(1000/1)=10000secもの時間を要してしまう。
このように「低解像度検査領域として1mm四方を、1μmの解像度で予備走査する場合」には、分解能:100nm・応答周波数:100kHzのスケールを用いれば「10mm/sec程度」の走査速度が可能となり、予備走査に必要な時間を(1/10)[sec/line]×(1000/1)[line]=100secと大幅に短縮できる。
このように、走査手段が「異なる応答特性の位置検出手段(スケール)」を有するようにし、走査速度制御手段により「走査条件に応じた応答特性の位置検出手段を選択」できるようにすることにより、より効率的に検査を実行できる(請求項14)。
図9は、この場合の実施の1形態を特徴部分のみ示している。
ステージ位置検出のスケール91から出力される「sin波信号」をアンプ92で増幅して分岐し、「分解能および応答周波数の異」なる逓倍回路93、94へ入力させ、必要に応じて使用する逓倍回路をスイッチS1、S2により切り替えることのできる構成とすることで、伝搬光スポットによる低解像度検査領域の予備走査(分解能が低く、応答周波数が高い応答特性に応じた逓倍回路を選択する)を短時間で行うことと、近接場光スポットによる高分解能検査領域の良好な本走査(分解能が高く、応答周波数の低い逓倍回路を選択し、走査速度を落とす)とを実現することができる。
また、低解像度検査領域の予備走査で「精度良く表面凹凸形状の情報」を取得したい場合には「光プローブから照射される伝搬光スポットよりも狭い間隔で、走査とデータ取得とを行えばよい。即ち、走査手段による伝搬光スポットによる予備的な走査の際に「伝搬光スポット径以下のピッチで走査を行う」ようにすればよい(請求項15)。
図10(a)に示すように、検査面上に「伝搬光スポットSPの径より小さい」ドットDta、Dtbがある場合を考えると、「伝搬光スポットSPの径と同程度のピッチ」で予備走査を行って得られるイメージは同図(b)のようになる。
これに対し、伝搬光スポットSPの径以下のピッチで予備走査を行って表面凹凸形状の情報を取得すれば、図10(c)のように「より精細なイメージ」が得られ、ドットDta、Dtbの位置を凡そ判別できる。
検査領域が広い場合には上述のように「スケールの応答性能による制限」で走査時間が多大になってしまうが、低分解能検査領域がある程度特定されていて走査範囲が狭い場合であれば検査時間への影響も少ない。
例えば、走査する領域が30μm四方である場合、分解能:5nm、応答周波数:20kHzの高分解能スケールを用いて、0.1μmピッチで光プローブ先端部を走査するとしても、予備走査に要する時間は(30/100)×(30/0.1)=90sec程度で済み、得られるイメージは精細なものとなる。
このようにして予備走査を行うと得られる情報数が増えるため「ノイズに対する耐性」も強くなる。すなわち、図11(a)に示すような「凹凸のない検査面」の低分解能検査の際に電気的なショットノイズが混入した場合、伝搬光スポットの径程度のピッチで情報を取得すると、図11(b)のような結果となる。
一方、情報取得のピッチを狭めれば図11(c)に示す如き結果となり、「高解像度検査領域における本走査の走査速度の最適化効率」が高まる。
検査面の広さと被検査体の形状によって、低解像度検査を以下の2段階にしてもよい。
すなわち、まず「伝搬光スポットの径程度のピッチ」で検査面を走査し、伝搬光スポットにより検査情報を取得する。得られる結果に基づき検査領域を絞り込み、「伝搬光スポットの径以下のピッチ」で絞り込まれた検査面領域を走査し、伝搬光スポットにより検査情報を取得する方法である。
光検査装置の実施の1形態を説明するための図である。 検査面と低解像度検査領域と高解像度検査領域の関係を説明するための図である。 請求項2記載の検査方法を説明するための図である。 請求項3記載の検査方法を説明するための図である。 光検査装置の実施の別形態を説明するための図である。 本走査における走査速度決定の1例を説明するための図である。 光検査装置の実施の他の形態を説明するための図である。 追従手段として、水熱振動子を用いる場合を説明するための図である。 請求項14記載の発明の特徴部分を説明するための図である。 請求項15記載の発明の効果を説明するための図である。 請求項15記載の発明の効果を説明するための図である。
符号の説明
OB 被検査体
SF 検査面
LS 光源
10 光プローブ
18 水晶振動子
L 伝搬光
10A 伝搬光射出面
10B 近接場光滲出面
10C コア
10D クラッド
NSF 近接場光スポット
SP 伝搬光スポット

Claims (15)

  1. 光源からの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットを形成する機能と、プローブ先端部の、上記近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する機能とを有する光プローブを用い、被検査体の検査面を光学的に検査する検査方法であって、
    近接場光スポットによる高解像度検査領域の検査に先立って、上記高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットにより高速で予備走査し、検査面を介した検査光を検出して上記高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得たのちに、プローブ先端部を検査面に近接させ、追従手段により上記検査面の表面形状に追従させつつ、高解像度検査情報を得るための本走査を行い、
    この本走査の際に、上記プローブ先端部と上記検査面との衝突を避けるために、上記表面凹凸形状情報に基づき、上記追従手段がプローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従能力の範囲内で、光プローブ先端部の走査速度を滑らかに変化させることを特徴とする光検査方法。
  2. 請求項1記載の光検査方法において、
    本走査におけるプローブ先端部の走査速度を、表面凹凸形状情報に基づき走査線単位で変化させることを特徴とする光検査方法。
  3. 請求項1または2記載の光検査方法において、
    本走査におけるプローブ先端部の走査速度を、表面凹凸形状情報に基づき走査線内で変化させることを特徴とする光検査方法。
  4. 光源からの光を伝搬させ、プローブ先端部に近接場光スポットを形成する機能と、プローブ先端部の、上記近接場光スポットの形成位置を越えた非干渉領域に伝搬光スポットを形成する機能とを有する光プローブと、
    被検査体の検査面の、上記近接場光スポットによる走査と、伝搬光スポットによる走査とを選択的に行う走査手段と、
    上記近接場光スポットによる走査の際に、光プローブ先端部を検査面の表面形状に追従させる追従手段と、
    上記検査面を介した検査光を検出する検出手段と、
    この検出手段による検出結果に基づき、上記検査面の表面凹凸形状情報、高解像度検査情報を取得する情報取得手段と、
    上記走査手段の走査速度を制御する走査速度制御手段とを有し、
    近接場光スポットによる高解像度検査領域の走査を行うに先立ち、上記高解像度検査領域を含む低解像度検査領域を伝搬光スポットによる高速走査で予備的に走査して、上記高解像度検査領域の表面凹凸形状情報を得、
    得られた表面凹凸形状情報に基づき、近接場光スポットによる高解像度検査の走査速度を上記走査速度制御手段により、上記追従手段による追従能力内で滑らかに変化させて高解像度検査情報を得るための本走査を行うことを特徴とする光検査装置。
  5. 請求項4記載の光検査装置において、
    光プローブが、その先端形状として、伝搬光を射出させて伝搬光スポットを形成するための円錐面状の伝搬光射出面と、
    この伝搬光射出面に囲繞され、伝搬光射出面より頂角の小さい尖った円錐面状の近接場光滲出面とを有することを特徴とする光検査装置。
  6. 請求項5記載の光検査装置において、
    光プローブの伝搬光射出面と近接場光滲出面とのうち、少なくとも近接場光滲出面に導電性薄膜が形成されていることを特徴とする光検査装置。
  7. 請求項4または5または6記載の光検査装置において、
    検出手段が、検査面による反射光を検査光として、光プローブを介して検出することを特徴とする光検査装置。
  8. 請求項7記載の光検査装置において、
    走査手段は、光プローブを検査面に直交する方向へ、上記検査面に相対的に変位させる変位手段を有し、予備走査の際、上記変位手段により上記光プローブを上記検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得することを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項4または5または6記載の光検査装置において、
    検出手段が、被検査体を透過した光を検査光として検出することを特徴とする光検査装置。
  10. 請求項9記載の光検査装置において、
    走査手段は、光プローブを検査面に直交する方向へ、上記検査面に相対的に変位させる変位手段を有し、予備走査の際、上記変位手段により上記光プローブを上記検査面に直交する方向へ相対的に変位させ、検査光の強度が最大となる位置を検出することにより、検査面の表面凹凸形状を取得することを特徴とする光検査装置。
  11. 請求項4〜10の任意の1に記載の光検査装置において、
    追従手段がシアフォースを利用するものであることを特徴とする光検査装置。
  12. 請求項11記載の光検査装置において、
    追従手段が、水晶振動子を用いて光プローブを微小振動させるものであることを特徴とする光検査装置。
  13. 請求項11記載の光検査装置において、
    追従手段が、水熱振動子を用いて光プローブを微小振動させるものであることを特徴とする光検査装置。
  14. 請求項4〜13の任意の1に記載の光検査装置において、
    走査手段が、異なる応答特性の位置検出手段を有し、
    走査速度制御手段が、走査条件に応じた応答特性の位置検出手段を選択できるものであることを特徴とする光検査装置。
  15. 請求項4〜14の任意の1に記載の光検査装置において、
    走査手段が、伝搬光スポットによる予備的な走査の際に、伝搬光スポット径以下のピッチで走査を行うものであることを特徴とする光検査装置。
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