JP2000081383A - 散乱型近接場顕微鏡 - Google Patents

散乱型近接場顕微鏡

Info

Publication number
JP2000081383A
JP2000081383A JP10267418A JP26741898A JP2000081383A JP 2000081383 A JP2000081383 A JP 2000081383A JP 10267418 A JP10267418 A JP 10267418A JP 26741898 A JP26741898 A JP 26741898A JP 2000081383 A JP2000081383 A JP 2000081383A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
probe
sample
tip
field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10267418A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4585053B2 (ja
Inventor
Norihiko Hayasawa
紀彦 早澤
Koji Inoue
康志 井上
Satoshi Kawada
聡 河田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP26741898A priority Critical patent/JP4585053B2/ja
Publication of JP2000081383A publication Critical patent/JP2000081383A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4585053B2 publication Critical patent/JP4585053B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Microscoopes, Condenser (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】先端が金属のプローブを用いる散乱型近接場顕
微鏡に開口数が1以上の対物レンズを用いるとき、プロ
ーブ先端以外で反射ないし散乱されるノイズ光を抑圧す
ることを目的とする。 【解決手段】上記対物レンズにより形成される集光スポ
ットを、開口数が1以上の光束のみにより形成する手段
を設ける。この光束形成手段としては、光軸上に中心を
有する円形の遮光体、またはアキシコン光学素子を用い
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は近接場顕微鏡、詳し
くは、プローブ先端の金属により近接場を伝播光に変
え、その散乱された伝播光に基づいて試料の画像化を行
える、特に蛍光試料の測定に適した散乱型近接場顕微鏡
に関する。
【0002】
【従来の技術】近接場顕微鏡は、使用するプローブの形
式によって2種類に分かれる。一つは、中実の誘電体ま
たは金属でなり先端先鋭なプローブを用いるもので、も
う一つはファイバープローブと称される光ファイバーを
利用したものである。
【0003】後者のファイバープローブは、一般的に、
光ファイバーを先端径を100nm程度まで先鋭化し、
例えば蛍光測定では、ファイバー中に励起光を導波さ
せ、先鋭化されたプローブ先端からの射出光による近接
場を蛍光測定における微小な励起光源として利用しよう
とするものである。しかし、光ファイバーを用いるので
導波においては光のもれがあり、プローブ先端以外から
の光のもれを防ぐために、先端から延びるテーパ部に対
し必ず金属の皮膜がコーティングされている。このコー
ティング用の金属種は、表皮深さ(skin dept
h)が最も浅いものが選ばれ、主にアルミニウムが用い
られるが、このアルミニウムでさえ表皮深さは可視光に
対し20nm程度あり、ファイバープローブの開口径は
実質的に40nm以上になる。また、このプローブの先
端ではコーティング金属に沿って広がる電場のために、
スポット径は100nm程度まで大きくなる。実際、金
属をコーティングした光ファイバープローブの解析につ
いて、Novotnyらが2次元モデルを用いて行った
報告例がある(J.Opt.Soc.Am.A,11,
pp.1768−1779.)。この報告では、コーティ
ング金属中にしみ出す電場分布と、金属をコーティング
した光導波路の先端で広がる電場分布とが図示されてお
り、アルミニウムをコーティングした開口50nmのプ
ローブを用いた場合、分解は開口の2倍の100nm程
度であると結論されている。このように回折限界を打破
する光学顕微鏡である近接場顕微鏡ではあるが、ファイ
バープローブを用いる限り、明らかに分解能の限界が存
在する。
【0004】これに対し、アパーチャレスプローブとも
称される、前者の誘電体または金属製プローブを用いる
近接場顕微鏡では、基本的に、上記のような分解能の限
界は存在しない。この顕微鏡においては、照明光を外部
光学系により試料に照射し、プローブの先端を試料に生
起した近接場領域へ挿入することにより近接場光(局在
した伝播しない光の場、ニアフィールド(near−f
ield)と称される)を散乱させその散乱光を検出し
て、回折限界を超えた分解能で光学特性像を得るもので
あり、このアパーチャレス型プローブを用いたニアフィ
ールド・スキャニング・オプティカル・マイクロスコピ
ィ、NSOM(Near−field Scannin
g Optical Microscopy)の分解能
はプローブの先端径程度であるので、上記のファイバー
プローブのような分解能の明確な限界はないといえる。
強いて限界を求めるならば、プローブ先端の加工精度の
限界に帰着するが、現在の技術(超精密なフォトリソグ
ラフィ技術を含む)でも先端の直径が10nmの精度は
充分に可能であり、場合によってはサブナノメートルも
可能となっているから、これを光学的にみるならば分解
能の限界はないのも同然といえる。
【0005】このような分解能の有利さがある反面、こ
のアパーチャレス型プローブを用いるNSOMにも問題
点はあり、一つには、プローブの先端以外で散乱、反射
される光があり、すなわちプローブ先端へ至るプローブ
テーパ部による近接場光の散乱、プローブテーパ部やシ
ャフト部における散乱光の反射や照明光の反射や散乱が
あり、これらのノイズ光をどのようにしてカットするか
という問題である。
【0006】もう一つは、アパーチャレス型プローブ
は、ファイバープローブのような微小開口をもたないの
で、原理上、近接場からの散乱光(極めて微弱)を外部光
学系によって集光しなければならない問題である(な
お、アパーチャ型プローブを用いるものでも、近接場光
を光ファイバーで導光し難いときには外部光学系により
集光する)。
【0007】従来、アパーチャレス型プローブを用いた
NSOMは主に試料の表面形状(微小な凹凸)の観察に用
いられており、幸いにも前者の問題は、プローブを軸線
方向に微振動させこの振動と同期するように散乱光を検
出(ロックイン検出)することにより信号光のみ検出する
ことで解決され、また、後者の問題も例えばNA(開口
数)の大きな長作動対物レンズを用いたり、カセグレン
対物鏡を用いることによって解決されてきた。
【0008】ところで、ファイバープローブを用いたN
SOMにおいては、光ファイバーによる導波、近接場の
形成、そして比較的に近接場光の導光態様が容易なた
め、近時さかんにこのNSOMを分光学的に利用する試
みが多い。典型的には、蛍光試料の測定、例えば単一分
子からの蛍光測定であり、従来のマクロな測定(多数の
分子において観察される蛍光挙動から得られる分子物性
に関する情報、特に分子の配向方向など)では得られな
かった新規な情報を探究するものであり、単一分子の配
向方向の決定や単一分子の蛍光寿命の測定、単一分子内
のエネルギ移動の観測のほか、単一分子の観測に限ら
ず、多くの物質についてその微小領域における分光特性
の新たな知見が得られようとしている。
【0009】ところが、上記のように分解能の点で顕著
に有利であるアパーチャレスプローブのNSOMでは、
外部光学系による試料の照明、及び外部光学系による近
接場・散乱光の集光を行うため、観測系としては複雑化
し、このNSOMは、従来より、分光学的利用には不適
であるとされてきた。そして、何よりも問題は、例えば
アパーチャレスプローブの先端を蛍光の微小励起光源に
適用しようとするとき、その光源の輝度(近接場の散乱
による光源輝度)が蛍光を励起できる程の強度を有さな
いという点にあった。
【0010】ところが、近時、金属プローブにおいてそ
の先端で生じる局所的な電場増強効果を用いることによ
り、蛍光を充分に励起できるという提案がなされ(古
川、河田、近接場光学研究会第4回予稿集、7−12
(1995))、この提案に基づき、本発明者らは先に、
金属プローブを用いた蛍光測定用NSOM装置を試作
し、蛍光測定を行った。この試作に係るNSOM装置の
要部、蛍光励起部の構成を図1に示す。
【0011】図1において、1は対物レンズ2、オイル
3、カバーガラス4からなる油浸対物レンズであり、開
口数(NA)は1.4である。カバーガラス4上に蛍光試
料5を載置し、蛍光試料5の下方から波長488nmの
アルゴンレーザ平行光6(直線偏光している)を照射し、
油浸対物レンズ1により集光し(集光スポットは蛍光試
料5の上面に形成)、集光スポットの中心、光軸上に先
端8がくるようにNSOMの金属プローブ7を制御位置
決める。なお、NAの大きな対物レンズ1を用いたの
は、基本的に、集光スポットを絞り込むためであるが、
反面、極めて小径の集光スポットとなったため、プロー
ブの位置合わせ、特にプローブ先端の位置決めは極めて
困難なものとなった。
【0012】上記集光スポットにより、蛍光試料5の上
面空間には近接場が生起し、金属プローブ7の先端8が
この近接場に入ると、先端8は電場増強効果により近接
場光を伝播光として強く散乱し、先端8は径が50nm
程度であるのでこの先端8が極微小な光源となる。そし
て、この先端8からの散乱光が、先端8直下の蛍光試料
5の微小領域の蛍光物質の励起光となり、蛍光を励起す
る。励起された蛍光は(言うまでもなく、極めて微弱で
ある)、同じ油浸対物レンズ1を通して下方へ集光9さ
れ、図示しないフィルタを通して励起光をカットした上
でフォトンカウンティング法により蛍光を検出するよう
にしている。
【0013】尚、図1に要部を示したNSOM装置にお
いて、近接場を生起させるために、常用されるプリズム
ではなく、開口数(NA)が1以上と大きい対物レンズ
(本例では1.4)を使用しているのは、近接場生起のた
めの集光スポットを極小径に絞り込み(原理的にはλ/
2まで可能、λはレーザ光源の波長)、可能な限りノイ
ズ光の発生を抑制するとともに、電場増強効果の効率を
高め、同時に励起蛍光の集光効率を最大に高めるためで
ある。
【0014】ところで、図1の構成において、図2に図
解するように、全反射する光のほかに、試料5の表面を
透過する透過光10が存在する。そして、この透過光1
0は、プローブ7の先端8以外のプローブテーパ部7t
およびシャフト部7sにおいて、反射ないし散乱する。
この反射光ないし散乱光は、蛍光試料5に入射すると、
試料中の蛍光物質を励起する。こうして励起された蛍光
は、プローブ先端8以外の励起光により励起されること
から、バックグラウンドの雑音成分であり、蛍光検出の
SN比を低下させる。また、NSOMにおける画像化の
分解能を相当程度低下させる問題があった。なお、最終
的な目標は、プローブ先端8の直下にだけある表層の蛍
光試料のみを励起してその励起蛍光を検出することであ
り、また、画像化の分解能はプローブ先端径に依存する
のでその径にのみ限界を求めるということである。又、
上述では、試料を蛍光試料としてプローブ先端を極微小
光源として蛍光物質を励起することを説明したが、蛍光
励起は一例であり、任意の物質の試料に対し、屈折率分
布や吸収分布を測定するための金属プローブ先端による
極微小光源の形成に係ることが本発明の背景の趣旨であ
る。
【0015】それゆえに、本発明は、上記の問題を解決
することを課題とし、金属プローブの先端のみを近接場
でつくられる極微小光源となしうるようにすることを基
本的な目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、図3に示されるように、対物レンズ1に
よって形成される集光スポットを開口数が1以上の光束
11のみにより形成する手段を設け、開口数が1未満の
光束を集光スポット形成に関与させないようにしたこと
を基本的な特徴としている。開口数が1以上の光束11
は、カバーガラス4または試料5と、空気との界面で全
反射し、試料5の表面から気中へ透過する光をなくすこ
とができる。従ってプローブテーパ部、シャフト部にお
ける光の反射、散乱はない。基本的に、試料5上面に生
起する近接場に挿入されるプローブ先端のみで散乱され
た伝播光が光源光となる。かつ、開口数が1未満の光束
成分に比べて1以上の光束成分がより多くのP偏光成分
を有しており、電場増強効果にはこのP偏光成分が効力
をもつことから、電場増強の効率を高めることができ、
このプローブ先端光源の強度(輝度)を増大させることが
できる。
【0017】上記の集光スポットを開口数が1以上の光
束のみにより形成する手段は、具体的には、照明光源か
ら対物レンズに至る光路の光軸上に設けられる円形の遮
光体、又は、光軸上に設けられるアキシコン光学素子で
ある。アキシコン光学素子には、アキシコンプリズム、
ないしアキシコンレンズと、アキシコンゾーンプレート
とを含む。アキシコン光学素子を用いる場合、遮光体に
比べて、光のエネルギ損失が小さい、輪帯状の照明の幅
が狭いなどの利点がある。
【0018】前者の遮光体は、コストもかけず簡易に構
成できる利点がある。例えば、薄いカバーガラスに円形
の黒塗りの紙を貼り付けたものを用いることができる。
この遮光体は、光路中へ進退自在に設けるのが好まし
い。退避させたとき、集光スポットの輝度は高くなるか
ら、プローブ先端の精密に制御された位置決めが容易化
する。このことは、開口数の大きい対物レンズを使って
集光スポットを形成していることから、集光スポット径
は極めて小さく(250nm〜)、プローブの位置決めの
困難さを軽減する意味でもきわめて有用である。
【0019】開口数が1以上の対物レンズによって形成
される集光スポットを開口数が1以上の光束のみにより
形成する手段を設けた散乱型近接場顕微鏡は、蛍光測定
に利用できるほか、屈折率分布の測定や吸収率分布測
定、また分光光源を用いると分光計測にも用いることが
できる。つまり、通常一般の光学顕微鏡により行えるこ
とはすべて実行可能であり、先に挙げた蛍光測定に限定
されるべきでない。
【0020】尤も、蛍光測定に利用するとき、プローブ
先端は電場増強効果により、強度の大きい極微小励起光
源となり、かつプローブ先端の直下以外の箇所で励起さ
れうる蛍光は大幅に低減されるから、バックグラウンド
蛍光は著しく低減する。即ち、信号としての蛍光(S)は
増大するとともに、バックグラウンド(N)は低減される
から、SN比は大きく向上する。
【0021】なお、蛍光測定において、さらに、二光子
励起吸収を用いると、集光スポット形成のために蛍光試
料を透過させた部分(試料中の部分)において蛍光の励起
をなくすることができ、ノイズとなる蛍光はより低減す
るので、SN比はさらに向上できる。また、二光子励起
吸収を用いれば、蛍光試料の褪色も大幅に低減すること
ができる。
【0022】本発明に係る散乱型近接場顕微鏡に適用さ
れるプローブは、中実の金属からなるプローブが好まし
いが、先端部にのみ金属を存在させた誘電体であっても
よい。つまり、先端部に皮膜状に金属を設けたものであ
る。また、別の態様では、金属プローブに先端部のみ別
の金属を蒸着等により設けたものでもよい。さらに、原
子間力顕微鏡(AFM)の探針には、AFM用カレンチレ
バーが用いられているが、このカレンチレバーの先端ま
たは先端部に金属をコーティングしたものをこの金属プ
ローブNSOMの金属プローブとして用いることができ
る。なお、AFM用カレンチレバーは、通常、シリコン
(Si)、酸化シリコン(SiO2)、シリコンナイトライ
ド(Si34)を材質とする。金属プローブにいう金属と
は、種類において、特性として空気中で酸化しにくく、
光源との関係で吸収波長をもたず、電場増強効果の大き
いものが望まれるが、すべての特性を満たす金属種は見
当たらず、目的または必要に応じて、タングステン、プ
ラチナイリジウム、金、銀、アルミニウム、ステンレ
ス、インコネルなどが適用される。尚、上記のAFMと
関連づけて、金属プローブにおいて、現在サーマルイメ
ージング用のAFMカレンチレバーが存在し、このカレ
ンチレバー(プローブ)の先端は熱電対を形成しており、
先端部は金属であり、これを利用しこのAFMサーマル
イメージング用カレンチレバーを本発明の金属プローブ
に適用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面に基づいて説明する。本実施の形態は、中実の金属プ
ローブを用いた散乱型近接場顕微鏡であり、原子間力顕
微鏡(AFM)のカレンチレバーを利用した(先端に金属
をコーティングしてある)実施の形態については後述す
る。
【0024】図4に全体の主要構成を、蛍光試料測定の
場合を例にして示す。PZTを用いた高精度XYステー
ジ21上に、蛍光試料22を設けたカバーガラス23を
載置・固定し、蛍光試料22の上方に金属プローブ24
を設定する。油浸対物レンズ25はXYステージ21の
中央の筒状空間に位置し、試料照明光学系30と蛍光検
出光学系40とに共用される。金属プローブ24は、パ
ーソナルコンピュータ50の一部機能を利用した距離制
御系60により、プローブ先端と蛍光試料22の表面と
の間の距離が制御される(この距離を以下、プローブ−
サンプル間距離という)。
【0025】試料照明光学系30は、照明光源としての
レーザ31、NDフイルタ(ニュートラルデンシティフ
ィルタ)32、ビームエクスパンダ33、遮光プレート
34、ダイクロイックミラー35、油浸対物レンズ25
を備えて形成される。遮光プレート34は、ビームエク
スパンダ33により拡大された平行光束の中央部を円形
に遮断する。この円形の遮断マスク34mの大きさは、
平行光束が入射される対物レンズ25において、開口数
(NA)がNA<1に対応した部分の全部に相当する。す
なわち、遮断マスク34mの半径はちょうど、対物レン
ズ25におけるNA=1に相当する大きさである。この
遮光プレート34を通過した光束は、輪帯光束となり、
ダイクロイックミラー35で直角に反射され、NAが
1.4の油浸対物レンズ25に入射する。油浸対物レン
ズ25は、図3に示したように、NAが1以上の輪帯光
束を収束し、光軸上に極小径の集光スポットを形成す
る。集光スポットは、通常は油浸対物レンズ25のカバ
ーガラスの上面に形成されるが、測定時には試料22が
空気と接する界面に形成される。いずれの場合も、集光
スポットはNA≧1だけの光束により形成されるので、
それぞれの界面で全反射し、カバーガラスあるいは試料
22を通過して気中に拡散してゆく透過光はない。な
お、レーザ31には、アルゴンレーザ(出力4mW、波
長488nm)を用い、ダイクロイックミラー35のカ
ットオフは510nmである。NDフイルタ32は、出
力レーザ光の強度を変え、光学系の調整等に利用する。
また、前記遮光プレート34は、アームを取り付けて、
光路に進退自在に設定できるようにしている。退避させ
ると、集光スポットの輝度が大きくなり、金属プローブ
24を位置決めしようとするとき、この位置決めが容易
化する。
【0026】蛍光検出光学系40は、NAが1.4の油
浸対物レンズ25、ダイクロイックミラー35、干渉フ
イルタ41、ビームスプリッタ42、結像レンズ43,
44、イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ4
5、マルチモード光ファイバ46、光電子増倍管47を
内蔵するフォトカウンティング装置48を含んで形成さ
れる。もっとも、結像レンズ44からCCDカメラ45
へ至る光路は、測定の開始前に蛍光検出光学系40を調
整するために用いられ、CCDカメラ45が出力するビ
デオ信号は、図示しないモニタ装置に入力される。
【0027】倍率が100倍の対物レンズ25は、その
NAの1.4全部を使って蛍光を集光するので、集光効
率が高い。そして、ダイクロイックミラー35により基
本的に励起光はカットされ、次段の干渉フィルタ41
は、特性が550nmでFWHMが12.5nmであ
り、ダイクロイックミラー35により完全にはカットさ
れなかった励起光と、後述するシェアフォース検出用の
半導体レーザ光をカットして、蛍光のみを通過させる。
通過した蛍光は、ビームスプリッタ42により分割さ
れ、イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ45の
イメージインテンシファイヤの受光面と共役な位置にコ
アの端面を合わせたマルチモード光ファイバ46(コア
径は400μm、開口数は0.2)によって導波される。
なお、結像レンズ43,44ともに焦点距離は80mm
である。マルチモード光ファイバ46により導波された
蛍光は光電子増倍管47((株)浜松ホトニクス社製、R
2949、感度ピーク波長400nm(約73mA/
W)、550nmでは約56mA/W)により光電増幅し
たうえでフォトカウンティング装置48((株)ユニソク
製)により積分時間65msでカウントし、このカウン
ト値はデータとしてパーソナルコンピュータ50に送信
し、メモリに記憶する。
【0028】次に、距離制御系60を説明する。この系
60は、シェアフォースと称される、プローブを試料の
近接場領域(約30nm以内)に近づけた場合に働く力を
検出し距離制御を行うものであり、ファイバープローブ
を用いたNSOMでは常用されている手法で、プローブ
をその共振状態で微小振動させ、シェアフォースによる
振幅の変化を光を用いて検出するというものである。も
っとも、ファイバープローブ型NSOMでは常用されて
いるものの、本例のような、金属プローブ型NSOMで
これを用いたのは本願発明者の一人である河田が最初で
ある(特開平9−281122号公報)。また、シェアフ
ォース制御は、光を用いる手法のほか、光を用いない手
法があり、本例では光を用いる手法を採用している。
【0029】距離制御系60は、金属プローブ24の上
端部に係合させ金属プローブ24を試料表面に沿うよう
に上下方向すなわちZ方向に微動させるZ方向ピエゾス
テージ61PS(Queensgate社製、DPT/
AX100、精度1.5nm)と、このZ方向ピエゾステ
ージ61PSにフィードバックをかける手段としての半
導体レーザ61、レンズ62,63、2分割フォトディ
テクタ64、差動アンプ65、ロックインアンプ66、
発振器67、およびZ方向ピエゾステージ61PSに結
合し金属プローブ24の上端部側面に固定したバイモル
フピエゾ68とから構成される。
【0030】発振器(〜8kHz)の発振信号をバイモル
フピエゾ68に与えるとともに、ロックインアンプ66
に入力する。発振信号を与えられたバイモルフピエゾ6
8は屈曲振動し、金属プローブ24を光軸と直交する方
向に共振周波数で微小振動させる。他方、金属プローブ
24の軸線すなわちZ方向と直交する方向に光軸を設定
しこの光軸上に配設した半導体レーザ61(波長670
nm)の射出光をレンズ62によって金属プローブ24
のシャフト部に集光し、その影をレンズ63により2分
割フォトディテクタ64の分割中心に投影結像する。2
分割フォトディテクタ64の各フォトディテクタからの
信号出力を入力とする差動アンプ65により両信号を差
動増幅し、発振器67からの共振周波数の入力によりロ
ックインアンプ66においてロックイン検出することに
より金属プローブ24の振幅とする。そして、この振幅
信号をコンピュータ50に設けたインターフェイスAD
ボード(AZT−3503)を用いてコンピュータ50に
取り込み、モニタし、シェアフォースによる振幅の変化
を検出し、一定振幅になるようにZ方向ピエゾステージ
61PSにフィードバックをかける。測定に用いた金属
プローブのフォースカーブ特性によれば、プローブ−サ
ンプル間距離が30nm程度になるとシェアフォースに
より振幅が急峻に落ち込むことが判り、したがってこの
落ち込む点から定距離下方の点を零点すなわち試料表面
とみなし、プローブ−サンプル間距離の基準としてい
る。なお、試料22の走査制御はコンピュータ50の制
御下に行われ、シェアフォースによる振幅の変化を検出
して、一定振幅となるようにZ方向ピエゾステージ61
PSにフィードバックをかけ、試料22を載置したXY
ステージを走査駆動し、イメージングを行うようにして
いる。
【0031】上記の距離制御系60は、半導体レーザ6
1を用い金属プローブ24の投影像を検出して行う光を
用いたシェアフォースフィードバック法であったが、こ
の手法に代えて、光を用いないシェアフォースフィード
バック法を用いることが可能である。光を用いないシェ
アフォースフィードバック法には、シェアフォースの検
出にピエゾ素子を用いる方法と、チューニングフォーク
を用いる方法とがある。前者の方法を簡単に説明する
と、シェアフォース検出用のピエゾ素子とプローブとを
一体に設けプローブを自励させ簡単な電子回路処理のみ
でフィードバックをかけるというものである。そして、
光を用いる両手法を通じて、フィードバックのセンサ部
がプローブに固定されるため、系としてコンパクトかつ
堅牢なものとなり、そしてプローブを自由に移動させる
ことができるという利点をもつ。この点、金属プローブ
を用いるNSOMでは外部照明による集光スポット上に
プローブを設定調整する必要があり、プローブを頻繁に
移動する。上記実施の態様で示したような光を用いた方
法では、このプローブの移動によりシェアフォース検出
用の光学系がずれるため、プローブを移動させる毎にこ
の光学系を調整し直す繁雑さを伴う。光を用いない方法
は、この繁雑さを解消する。また、光を用いる方法では
一般的に波長670nm程度の半導体レーザが用いられ
るため、この光(ノイズ光)をカットするためのフィルタ
を設ける必要があり、検出対象によっては、フィルタ波
長の選択も問題であり、とりわけ蛍光、しかも微弱な蛍
光を検出するような場合には非常に不利である。近接場
顕微鏡を用いた極微小領域の蛍光測定では、検出される
蛍光はきわめて微弱であるから、光を用いない方法はこ
の点において特に有用である。尚、プローブの位置決め
の困難さや、距離制御の問題を一挙に解決するAFMカ
レンチレバー型NSOMについては後述する。
【0032】金属プローブ24には、中実のプラチナイ
リジウム(PtIr)製のものを用いた。先端は、機械研磨
により形成した。用いた金属プローブ24の走査電子顕
微鏡像を図5(A)(B)に示す。図5(A)は先端部の全体
像(140倍)を示し、同図(B)は先端の拡大像(400
00倍)である。同図(B)から分かるように、先端径は
約50nmである。
【0033】蛍光測定に際しては、事前に各光学系の調
整を行う。また、調整の前には、金属プローブ24を集
光スポットに位置決める難作業がある。この作業は、手
動では到底不可能で、コンピュータ制御によりはじめて
可能である。
【0034】まず、金属プローブ24の位置決めについ
て、図6に図解するように、Z方向ピエゾステージ61
PSに位置決め用のXYZステージ71を取り付け、長
作動対物レンズ72(NAは0.35、倍率20倍)を設
定するとともに、CCDカメラ73及び第1のモニタ7
4を用い、長作動対物レンズ72とは反対側からファイ
バ光源75により金属プローブ24の先端部を照明し、
CCDカメラ73によりその映像を第1のモニタ74に
よって観察する。長作動対物レンズ72のフォーカスポ
イントは、予め、集光スポット(図4の装置における光
源31は作動している)に合致させておく。図示のよう
に、ファイバ光源75により、プローブの先端部を照明
し、XYZステージ71を用いてプローブ先端をフォー
カスポイント近く(Z方向10μm以内)まで移動させ
る。第1のモニタ74には、モニタ画面中に示されるよ
うに、プローブ先端の実像76とプローブ先端の影77
とが集光スポット78を挟んで向かい合う形となるよう
に調整する。
【0035】次に、シェアフォース検出用の半導体レー
ザ61(図4参照)を金属プローブ24に集光し、その影
を2分割ホトディテクタ64を介して検出し、Z方向の
粗位置決めの調整を行う。
【0036】シェアフォース検出用光学系が調整できる
と、プローブの振幅をオシロスコープで確認しながら、
イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ45からの
映像を第2のモニタ81で観察しながら、XYZステー
ジ71を微動させ、第2のモニタ81画面中の蛍光スポ
ット82の上にプローブの先端を移動させる。なお、8
3はファイバ光源75の投射光により映じたプローブ先
端部の影である。移動は、このプローブ先端部の影によ
り把握する。移動においては、特に、Z方向について
は、Z方向ピエゾステージ61PSを併用して、金属プ
ローブ24の先端が試料22に接触させないようにす
る。また、先端がある程度まで近づいた場合には、Z方
向ステージ61PSのみを用いるようにする。尚、図6
中、対物レンズ25から結像レンズ44に至る光路は簡
略化して示している。また、試料走査用のXYステージ
21は光学系の調整には使用されず、ホームポジション
に固定したままにされ、その位置でカバーガラス23な
いし蛍光試料22が所定位置に載置・固定される。
【0037】なお、蛍光試料22は、この実施の態様に
おいては、ローダミンを溶解させたポリビニールアルコ
ール膜(厚さ約35nm)としている。具体的には、ロー
ダミン6Gを1wt%のポリビニールアルコール溶液に
溶かし、カバーガラス上で回転数1600rpmでスピ
ンコーティングし、ポリビニールアルコールのガラス転
移温度(Tg)が65〜80℃程度であることから、オー
ブンにおいて90℃で加熱・乾燥させて作成したもので
ある。
【0038】蛍光試料22を対象とした蛍光強度の測
定、すなわち蛍光強度の距離依存性の測定は、図4にお
れるパーソナルコンピュータ50による制御下、Z方向
ピエゾステージ61PSを動作させ、金属プローブ24
の先端を蛍光試料22表面に近づけてゆき、フォトカウ
ンティング装置48のカウント値を蛍光強度の測定値と
した。なお、金属プローブ24を停止させる点は、シェ
アフォース振幅が約半分になる地点とし、その点をプロ
ーブ−サンプル間距離の零点と規定した。なお、蛍光強
度(あるいは別の対象では単に強度)の距離依存性の測定
は、プローブを近づけてゆく場合と、停止させてから、
停止点から遠ざけてゆく場合の2通りについて測定でき
るが、いずれか一方の測定でよい。両方をすると、得ら
れたデータの確証性が相互に高められる。
【0039】図4の構成において、遮光プレート34の
作用を検証した。用いた遮光プレート34について具体
的には、対物レンズ25の入射側の開口径が5.6mm
であり、NAが1.0に対応する径は4.00mmである
ので、カバーガラスに直径が4.00mmの黒塗りの紙
を貼付したものとした。試料としてはカバーガラスのみ
で、カバーガラスの上面に集光スポットを形成し、カバ
ーガラスの上面に近接場を生起させる。対照のため、遮
光プレート34を光路に入れた場合と、光路から退避さ
せた場合とについて、励起光強度(アルゴンレーザ光の
強度)のプローブ−サンプル間距離依存性を測定した。
なお、測定に際しては、干渉フィルタ41は光路から除
去し、金属プローブ24の先端を試料(カバーガラス)に
近づけていったときのデータを採取している。
【0040】図7に遮光プレート34を光路から退避さ
せたときの測定結果を示す。同図から明らかなように、
試料(カバーガラス)を通過してきた光のプローブによる
反射、散乱のため、プローブが試料に近づくに従い、試
料表面での励起光強度が増大してゆくことが分かる。
【0041】他方、遮光プレート34を光路に挿入した
場合の測定結果を図8に示す。同図の、強度が3900
の平担部に示されるように、この場合、試料を透過して
くる成分がないため、プローブを試料に近づけても、励
起光強度の増加がみられず、逆にプローブ−サンプル間
距離が300nm近辺になったところから強度が急峻し
ている。これは、NAが1以上の光束が全反射により形
成した近接場をプローブが散乱しているため、その散乱
光が試料から検出系とは反対側の空気中へ散逸してしま
うことによる。したがって、この図7と図8の測定結果
から、透過光成分(図2の参照符号10で示される光束)
は完全に除去できていると結論できる。
【0042】上記の検証の結論を踏まえて、蛍光試料の
測定を行った。試料22は、上述したルーダミン6Gを
溶解させたポリビニールアルコール膜である。遮光プレ
ート34を光路に挿入し、干渉フィルタ41を設定して
蛍光強度のプローブ−サンプル間距離依存性を測定し
た。
【0043】図9は測定結果を示し、プローブを接近さ
せた場合である。同図から分かるように、プローブ−サ
ンプル間距離が約80nm近辺のところで、蛍光強度が
急峻に増大している。このことから、この強度の急な増
大は、金属プローブ先端における電場増強効果によるも
のと考えられる。そして、この増強効果は先述のように
プローブ24の先端径に大きく依存していると考えられ
る。プローブ24の先端径は50nmであることから、
図9の結果より、バックグラウンドカウントを2000
として、増強後のカウント値は2900であるから、強
度としては1.45倍になっており、図10(遮光プレ
ート34を用いなかったときの測定例、プローブを接近
させた場合)の測定結果と比較して、SN比は効果的に
向上していることがわかる。
【0044】測定結果の図9において、バックグラウン
ド蛍光はなお、2000程度存在する。この原因として
は、二つ考えられ、一つは、図11に集光スポットSP
とプローブ先端24tとの模式的平面図で示すように
(集光スポットSPは直径が300nmとし、プローブ
先端24tは径が50nmであり、装置の上方から見た
として(先端は下方から)それぞれが光点としてみえ
る)、プローブ先端24tに対し、集光スポットSPは
相当に広域であることから、プローブ先端24tとは無
関係に励起された蛍光が多く検出されたものと考えられ
る。集光スポットSP上には、近接場が生起しているの
で、プローブ先端24t以外のプローブテーパ部が近接
場を散乱させたものと考えられる。
【0045】もう一つは、図12(A)に図解するよう
に、対物レンズ25により集光される光束25fは蛍光
試料22を透過しかつ全反射して入射側へ戻るので(な
お、光束25fは蛍光試料22の表面では全反射し表面
から気中には出ない)、この薄膜中で励起された蛍光も
バックグラウンド蛍光としてこれに含まれると考えられ
る。
【0046】図12(B)は、先述した、理想的な蛍光励
起の態様を図解している。金属プローブ24の先端24
tの径直下の蛍光試料22の表層部22sのみの励起蛍
光を検出することが(蛍光測定については)最終的な目標
であり、本発明は、この目標に大きく近づける一つの手
段を提供する。
【0047】上記のように、バックグラウンド蛍光の原
因は、考察されているので、改善策も既に検討し、実際
にこの改善策を実行している。改善策の具体例は三つあ
る。
【0048】第一は、図11の説明と関連して、プロー
ブ先端以外からの散乱光を無くすため、金属プローブの
先端以外の金属面に散乱防止膜を形成し、近接場との相
互作用をプローブ先端にのみ限るようにしたことであ
る。具体的には、カーボン皮膜をコーティングした。簡
単には、液化ブタンガスの燃焼によりプローブ先端部に
カーボンを一様に所望の厚さで被覆することができ、先
端は機械的、あるいは化学処理によって先端のみ金属を
露出させるようにした。検証には、2本の同材質の金属
プローブを用い、散乱防止処理を施したものと、施さな
いものとを用い、励起光の蛍光試料表面上での強度分布
をXY面で測定した。なお、干渉フィルタ41(図4参
照)は、波長475nm(FWHM:12.5nm)と代
替している。結果は、対物レンズにより形成される集光
スポットが散乱防止処理を施したものでは狭い範囲に局
在しているのに対し、施さないものではこれが大きく拡
がることが観察された。したがって、この散乱防止膜を
施した金属プローブはSN比をさらに向上させる有用な
ものであることがわかった。
【0049】バックグラウンド蛍光を低減する他の方法
は、蛍光検出光学系40にピンホールを適用することに
より、この光学系40を共焦点光学系とすることであ
る。共焦点光学系にすると、光軸に直交する断面のみの
光を検出でき、基本的に雑音光はすべて遮断されること
となる。なお、図4に示した、実施の態様では、蛍光の
検出には、コア径400μmのマルチモード光ファイバ
46により蛍光を導光させ、フォトカウンティング48
により検出しているため、開口数1.4の対物レンズ2
5、焦点距離80mmのレンズ43では、蛍光検出光学
系は約30倍の拡大光学系を形成しており、試料面にお
いては10μmの広い領域を観測していることになるの
で、ピンホールの適用にあたっては、径が20μm以下
に設定することとなる。
【0050】第三の方法は、二光子吸収を利用すること
である。二光子吸収とは、一般に、物質が同時に2個の
フォトンを吸収し、基底状態から1個のフォトンの倍の
遷移エネルギの電子状態へと遷移することをいい、蛍光
分子の励起にこの二光子過程を用いる。具体的な構成
は、光源のレーザに、連続発振のレーザを適用してもよ
いが、(フェトム秒からピコ秒の)パルスレーザを用い、
励起を高効率で行う。発振波長は長波長の、700〜1
200nmのものを使う。典型的には、Ti:サファイ
ア結晶をAr+レーザや半導体レーザで励起するモード
ロックTi:サファイアレーザでよい。一例の仕様とし
て、繰り返し周波数78MHz、パルス幅120〜15
0fs、発振波長700〜900nm(キャビティミラ
ーの選択により決める)、平均出力が100mWのもの
である。
【0051】図4の構成において、二光子吸収励起に適
切なレーザ光源を使用し、二光子過程を用いると、二光
子励起の2乗特性により、分解能の向上と共に、SN比
の大幅な向上が実現できる。すなわち、二光子励起は、
励起光の強度の2乗に比例して蛍光分子を励起させるの
で、電場増強効果(近接場に挿入したプローブ先端付近
で生じた光の作る電磁場と金属中の自由電子の運動によ
る電磁場とが共鳴し、金属表面に生起した光に比べて数
十倍強い電磁場が形成される)によりプローブ先端以外
で生じた散乱光は蛍光分子の励起にはあずからず(電場
強度比に大差があるため)、強く局在した電場のあるプ
ローブ先端の直下で散乱された光のみが蛍光分子を励起
し発光させることができる。これはちょうど、理想的な
励起として示した図12(B)の状態に相当し、金属プロ
ーブ先端径の直下の領域22sのみを励起して蛍光発光
させるものである。また、二光子励起の2乗特性によ
り、図12(A)に示した、蛍光試料22中の集光光束2
5fによって蛍光が励起されることはほとんどなく、こ
こにおける雑音成分となる蛍光と、上記のプローブ先端
以外に係る雑音成分となる蛍光とが基本的になくなるこ
とから、SN比は大幅に向上する。従来の顕微鏡では、
励起波長が2倍になると集光スポットサイズが大きくな
るため、2乗特性を有していても、空間分解能は低下す
るが、金属プローブを用いたNSOMではこの反対であ
る。つまり、プローブ先端の局在場の拡がりが、プロー
ブ先端形状、径に依存して入射光の波長に何ら影響され
ないからである。そしてイメージングの分解能は、図1
2(B)に図解したように、ほぼ先端径に近いものとな
る。
【0052】なお、蛍光試料においては、測定におい
て、蛍光の退色という問題があるが、二光子吸収を利用
すると、この退色の問題はほとんど発生しない。また、
蛍光以外で、例えば光による高密度記録で二光子吸収を
用いると、ミクロな加工領域の周りでの熱の発生および
それに伴う体積膨張・変形等を避けることが可能であ
る。 二光子吸収を用いるとき、バツクグラウンド蛍光
低減のために適用する上述した2つの方法、散乱防止膜
の形成、および共焦点光学系の構築は、いずれもが必要
とされなくなる。
【0053】次に、本発明の応用例を説明する。図13
に、光記録材料に対する、光学読取りおよび/または書
込み装置の基本光学系を示す。レーザ光源91、レンズ
92,93でなるビームエクスパンダ、ダイクロイック
ミラー94、NAが1.2〜1.5の対物レンズ95、先
端径が数nm〜100nmのNSOM用金属プローブ9
6、集光レンズ97、高感度の光検出器98、及び光軸
上に中心を有する円形の遮光プレート99によって構成
される。遮光プレート99により、対物レンズ95に入
射する光束のうち、NA<1の光束がカットされる。光
記録材料90の表面を透過する光はなく、入射された光
は光記録材料90の表面において全反射する。全反射に
より、光記録材料90の表面に近接場が形成され、金属
プローブ96をこの近接場に挿入することにより、近接
場光は散乱され金属プローブ96先端が極微小光源とな
る。この極微小光源を用いて、光記録材料への情報の書
き込みおよび/または読出しを行う。読出しは、対物レ
ンズ95により集光した光を集光レンズ97により光検
出器98に集光して検出する。
【0054】光記録材料90には、各種の記録形態があ
るが、例えば相変化材料を用いるとき、この材料には熱
により書き込みを行うが、熱で書き込みを行う場合は、
上記した二光子吸収を用いる必要は特にない。もっと
も、100nm以下の高密度記録を実現するときには、
利用するのが好ましい。なお、光記録材料がフォトクロ
ミック材料では、二光子吸収を用いる必要がある。
【0055】次に、本発明の他の実施の形態による散乱
型近接場顕微鏡について、その背景、課題を上述と重複
する記載を含めて、詳細に説明する。
【0056】背景は次のとおりである。すなわち、近接
場顕微鏡は、試料に光を照射したときに、試料の極近傍
に発生する光の近接場を、散乱により伝播光に変換し、
それを検出する顕微鏡である。近接場光の発生のさせ方
は、光の波長より小さい微小開口から光をしみ出させ、
そのしみ出し光により試料を照明したり、あるいは誘電
体内部で光を全反射させ、屈折率が低い方の界面に生じ
る近接場を使い、試料を照明したりするのが一般的であ
った。また、試料を伝播光により直接照明する方法も提
案されている。図15に、この方式を使った従来の装置
構成の概略を示す。試料を伝播光201により照明する
と、試料202表面に発生する近接場光203を探針2
04により散乱しその散乱光205をレンズ206で集
め、検出器207により検出する方式も提案されてい
る。この方式の場合、近接場の散乱光と、照明光が試料
表面により散乱された伝播光を分離しなければならない
が、幸い近接場光の散乱は探針と試料の距離変化に敏感
であるため、探針を振動子208により微振動させ、そ
の周波数成分の散乱光のみを検出することにより、近接
場の散乱光のみを検出することができる。探針を微振動
させることは、探針と試料との距離の制御にも使われて
いる。つまり、探針を横方向に微振動させ試料に接近さ
せるとファンデルワールス力によるダンピングがかか
り、探針の振幅209が減少する。この振幅変化を検出
することにより、探針と試料の距離の変化を測定し、そ
れを一定に保つように試料を3軸アクチュエータ210
で駆動しながら近接場光の観察ができる。
【0057】課題は次のとおりである。すなわち、前記
の微小開口を使った近接場検出は、微小開口の作製が難
しく、高い分解能を得るには至っていない。それに比べ
探針を使う方法は、探針先端のみにより近接場を散乱す
るため、鋭い探針を使うことにより容易に高分解能化で
きる。しかし、探針を横方向に微振動させる距離検出の
方法(シェアフォース法)は広く実用されているものの原
理にいまひとつ明確でない点があって、安定性も比較的
に低いと考えられる。また、探針を使う検出法では、照
明光201を斜めから照射するのが一般的であるが、探
針を持ち上げて試料から少し離れた近接場光を観察する
場合、斜めに照明されているので、探針の位置と試料上
の照明光の位置が横方向にずれてしまうという問題もあ
った。また、伝播光の照明光と探針との相互作用に寄与
する電場振動は、その振動面が入射面内にある成分(P
波)である。しかし図15に示す従来の方法では、照明
光の入射角には物理的な制限があるので、電場振動のP
波成分を充分大きくできない。図16(A)には従来の方
法でのP波成分を含むフォトン301と、そのフォトン
による探針近傍でのP成分の電場振動302を示す。照
明光の電場振動のP成分を多くするためには照明光を浅
い角度にて照明するのが理想であるが、照明スポット形
状が楕円となり、探針近傍でのフォトン密度が低下して
しまい難しかった。次に示す実施の形態は、上の事情に
鑑みてなされたもので、探針と試料の距離制御は原子間
力顕微鏡の原理を用いて行えるようにする。また散乱効
率を高めるため、探針表面には金属がコートされてい
る。また照明光のP成分を効率的に高める照明法を提供
することを目的とする。さらに上記手法を市販の原子間
力顕微鏡を使い実現する方法を提供する。
【0058】そこで、本発明の他の実施の形態は下記の
通りである。図14は、本実施の態様に係る近接場顕微
鏡の一実施例の概念図である。倒立顕微鏡101のステ
ージ102の上に試料を固定したカバーガラス103と
原子間力顕微鏡104があり、原子間力顕微鏡104の
探針105が試料の表面近傍に配置されている。試料の
照明方法の第1として、レーザー106から出た光を、
対物レンズ107の開口数1以下の光をカットするビー
ムストップ108により遮断する。その照明光109は
ハーフミラー110により上に反射され、対物レンズ1
07により試料周辺に集光される。ここで対物レンズは
油浸レンズを使ってあるため、開口数1以上の光は試料
が固定してあるガラス103の表面で全反射する。この
全反射により生ずる近接場光により試料を照明する。そ
の近接場光は試料を照明し、それにより生じた近接場光
は原子間力顕微鏡の探針105により散乱される。この
探針105にはあらかじめ金が約20nm蒸着されてい
る。金は散乱効率が高く、しかも酸化しにくいため、高
い散乱効率を長時間維持できる。散乱は探針形状と試料
との相互作用によりさまざまな方向に起こる。この散乱
光を試料の真下にある開口率の大きい対物レンズ107
により集光すると、高い効率で散乱光を検出できる。対
物レンズ107により集められた散乱光はハーフミラー
110を透過し倒立顕微鏡のサイドポート111へと導
かれる。図では便宜上サイドポート111を紙面に平行
な面内に書いてある。サイドポート111に入射した散
乱光は楕円のミラーがパターニングされたミラー112
により開口数1以上の成分113と1以下の成分114
に分けられる。それぞれの散乱光成分113,114は
レンズ115,116にて集光され、アバランシェフォ
トダイオード117,118に入射する。一方、近接場
の散乱光は上方にも散乱される。その散乱光119を検
出するため、顕微鏡のステージ102上にはもう一つの
対物レンズ120が位置調整されて固定されている。上
方に散乱された散乱光119の一部をこの対物レンズ1
20にて集光し、アバランシェフォトダイオード121
に入射させている。
【0059】さて、この方式の利点を説明すると、ま
ず、落射照明に開口数1以下をカットするビームストッ
プ108を設けることにより、照明光109は試料が固
定されているカバーガラス103の表面で全反射する。
この全反射する照明光は光軸に対して軸対称であるた
め、探針を持ち上げて試料から少し離れた場所の近接場
光を検出する際にも、探針と照明光の位置関係が変わら
ず、照明スポットと探針との位置ずれが起こらない。ま
た図16(B)に示すように、照明光のフォトン303,
304はあらゆる方向から浅い角度にて試料を照明する
ため、以前の方法(図16(A))と比べ試料近傍にてP波
の電場振動305が大きくなる。また、以前の方法で
は、浅い角度にて照明を行うと、スポットが楕円形に大
きくなり、探針近傍を効果的に照明できなかったが、本
実施の態様では、より浅い角度から照明できるような光
学系においては、対物レンズの開口数が大きくなり、そ
の分照明のスポット径を小さくすることができる。ま
た、探針105にて散乱された散乱光は開口率の大きい
対物レンズ107にて集光されるため、近接場の検出効
率が高い。また、集光された散乱光を楕円形のミラー1
12にて開口数が1以上と1以下に分けて検出する利点
として、まず開口数が1以下の散乱光114の検出で
は、照明光109の試料面からの反射光が検出器に入ら
ず、バックグランドノイズのない散乱光のみを検出でき
るため、S/N比を向上させることができる。
【0060】散乱光は上側にも伝播する。その伝播光を
第2の対物レンズ120で集光することにより、より多
くの近接場の情報を集めることができる。ここで下から
の落射照明は全反射するようになっているため、試料を
透過して上に出られない。そのため、この第2の対物レ
ンズ120に強い照明光が入射することはなく、近接場
の散乱光のみを効果的に検出できる。できる限りあらゆ
る方向の散乱光を集光できるように、対物レンズの位置
は可変できるようにしてある。近接場光を散乱する探針
105は、原子間力顕微鏡104により駆動されるた
め、探針を横振動させる方式に比べ、探針、試料間距離
をより正確に保ちながら測定が可能である。レーザー照
明106と、検出器であるアバランシェフォトダイオー
ド117,118の位置は固定であるため、近接場光を
うまく検出できる点は、レーザーの発光点と共役な点と
なる。近接場の観察においては、探針と試料を相対的に
走査しなければならない。ここで、探針を走査すると、
探針が近接場を検出できる点から外れてしまう可能性が
ある。そのため、倒立顕微鏡のステージには試料駆動用
のステージ122が別途設けられている。また原子間力
顕微鏡の探針を近接場検出の理想的な点に配置できるよ
う、原子間力顕微鏡はモータステージ123上に載せら
れており、位置を自由に動かすことができる。
【0061】さて、前記近接場の検出方法は、試料が透
明な場合のみ適用できたが、試料が不透明な場合には試
料の上側から照明しなければならない。また同様に近接
場の散乱光も試料の上側で検出しなければならない。そ
のための光学系を次に説明する。
【0062】倒立顕微鏡には普通、透過照明124と呼
ばれる照明装置が試料の真上に設けられていて、照明装
置124は支柱125により支えられている。透過照明
のランプハウス126から出た照明光127はミラー1
28らより下に向きを変え、適宜光学系129を透過
後、コンデンサーレンズ130により試料面に集光され
る。この通常の照明は、ランプ自身が大きさをもつた
め、探針先端を効率的に照明できるほどには小さく集光
できない。そのため、別途半導体レーザー131を設け
照明とする。半導体レーザー131からの光はレンズ1
32により平行光に変換され、ハーフミラー133によ
り下に反射され、コンデンサーレンズ130により探針
近傍に集光され、試料を照明する。それにより生じた近
接場光は探針105により散乱される。その散乱光を効
率的に集めるために、試料直上に配置されているコンデ
ンサーレンズ130を使い散乱光を集光する。その散乱
光はハーフミラー133を透過後2枚目のハーフミラー
134にて反射され、レンズ135により集光される。
その光の一部はハーフミラー136により上に反射され
CCD137に入射する。このCCD137により、カ
レンチレバー105と試料の像が観察できるため、カレ
ンチレバー105と試料をあらかじめ位置あわせでき
る。一方ハーフミラー136を透過した散乱光はピンホ
ール138を通過し、再びレンズ139により集光され
アバランシェフォトダイオード140に入射する。この
ピンホール138を通す利点を説明すると、この方式で
は、コンデンサーレンズには近接場の散乱光のほかに、
レーザーの照明光も試料面から反射して入射する。その
ため、微弱な近接場の散乱光が強いレーザーの照明の反
射光に埋もれてしまう可能性がある。そのため、ピンホ
ール138を介し、探針先端付近からの光のみを検出器
140に入射させている。このレーザー照明と検出系は
一体のユニット141となって、照準装置142を介し
て支柱125に固定されている。照準装置142を上下
に動かすことによりコンデンサーレンズ130のフォー
カスを調整できる。また、このレーザー照明系が前記の
透過照明127を遮らないため、透過照明による広い領
域の照明も可能であり、試料の位置決め等が簡単に行え
る。また、開口数の大きいコンデンサーレンズを使うこ
とができるので、近接場の散乱光の集光効率を高くする
ことができる。上記上側からのレーザー照明を行いなが
ら、ステージ上に設けた対物レンズ120によっても同
時に近接場の散乱光を検出できるのは言うまでもない。
【0063】この他の実施の態様の効果ないし利点は次
の通りである。すなわち、この近接場顕微鏡では、既存
の倒立顕微鏡と原子間力顕微鏡を使い、簡便に装置を構
成できる。また、落射照明による全反射照明は光軸に対
し軸対称であるため、探針を持ち上げても、探針と照明
光との位置関係が変わらず、直接照明では問題であった
照明スポットと探針の位置ずれが起こらない。また、照
明光はあらゆる方向から浅い角度にて試料を照明するた
め探針付近にP波成分を多く発生させ、探針と試料との
相互作用を強めることができる。また、浅い角度にて試
料を照明いるために、開口数の大きな対物レンズ使う
と、照明のスポットをより絞ることができ、探針近傍を
効率よく照明できる。またその相互作用で発生する近接
場の散乱光を試料の真下にある、開口数の大きな対物レ
ンズを使い集光するため、近接場光の検出効率を高める
ことができる。さらに、その集光された散乱光を開口数
が1以上と1以下に分けて検出することにより、開口数
が1以下の散乱光の検出では、照明光が検出器に入ら
ず、バックグウンドノイズを少なくすることができ、S
/N比を向上させることができる。上側に伝播した散乱
光は第2の対物レンズで集光することにより、さらに多
くの近接場の情報を集めることができる。近接場光を散
乱する探針は、原子間力顕微鏡により駆動されるため、
探針、試料間距離を正確に保ちながら測定が可能であ
る。探針は金属がコートしてあり散乱効率も高い。不透
明な試料に対しても、開口数の大きなコンデンサーレン
ズを使い、高い効率で近接場光を検出できる。試料が不
透明な場合には、透過照明のユニットを効果的に利用
し、試料を上側から照明し、近接場の散乱光も試料の上
側で検出できる。この場合も、開口数の大きいコンデン
サーレンズを使い、試料を等方的に浅い角度にて照明で
き、上側に散乱された近接場光を効率よく集められる。
光学系にピンホールを使うことによりS/N比を上げる
ことができる。
【0064】以上の他の実施の態様の構成の特徴を要約
すると次の通りである。すなわち、倒立顕微鏡の落射照
明装置の開口絞り部に対物レンズの開口数が1以下の光
をカットするビームストップを設け、照明光が試料基板
内にて全反射し、基板表面に近接場を発生させることを
基本的な特徴とする近接場顕微鏡である。そして前記近
接場光を原子間力顕微鏡用カレンチレバーに金属をコー
トした探針により散乱することを第2の特徴とし、ま
た、前記探針により散乱された光を対物レンズにて再び
集光することを第3の特徴としている。
【0065】なお、上記他の実施の形態においては、A
FM用のカレンチレバーに金属をコーティングした探針
を用いたが、この探針に代えて、APPLIED PH
YSICS LETTERS VOLUME72,NU
MBER22,2900−2902(1 JUNE 1
998)に記載されるような、サーマルイメージング用
のカレンチレバーを用いてもよい。このサーマルイメー
ジング用のカレンチレバーは、その先鋭な先端が熱電対
を形成しており、熱電対は2種の金属の接合により形成
(上記文献では、金とパラジウムで形成)されるから、こ
の金属を利用するものであり、常用されるAFM用カレ
ンチレバーに金属化のための処理を施さずに済むという
利点がある。
【0066】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、先端が
金属のプローブを用いる近接場顕微鏡が備える開口数が
1以上の対物レンズによって形成される試料照明用の集
光スポットを開口数が1以上の光束のみにより形成する
手段を設けたので、プローブの先端以外で反射ないし散
乱される伝播光が低減し、迷光及びバックグラウンド成
分は大幅に低減でき、信号検出のSN比が向上するとと
もに、画像化の分解能も併せて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のNSOM装置の要部構成図である。
【図2】図1の装置における問題点を図解した説明図で
ある。
【図3】本発明に係るNSOM装置の要部構成・説明図
である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す全体構成図であ
る。
【図5】適用した金属プローブの先端部を示し、(A)は
倍率が14倍の、図面に代わる電子顕微鏡写真、(B)は
倍率が40000倍の、図面に代わる電子顕微鏡写真で
ある。
【図6】距離制御システムを使うプローブ先端の位置決
め調整過程の説明図である。
【図7】遮光プレート34の作用を検証するための対比
データを示すグラフである。
【図8】遮光プレート34の作用効果を示すグラフであ
る。
【図9】本発明の一実施の形態を蛍光測定に適用したと
きプローブ−サンプル間距離依存性を示すグラフであ
る。
【図10】遮光プレート34を用いない場合の蛍光測定
におけるプローブ−サンプル間距離依存性を示すグラフ
である。
【図11】集光スポットとプローブ先端の大きさを平面
的に対比させた光点の模式図である。
【図12】プローブ先端に対する蛍光励起の態様を模式
的に説明し、(A)は蛍光試料中におけるもの、(B)は目
標とする理想的な蛍光励起の態様を示す。
【図13】本発明の応用例を示し、光記録材料に対する
高密度・光学読取りおよび/または書込み装置の基本構
成図である。
【図14】本発明の他の実施の形態を示し、プローブに
AFM(原子間力顕微鏡)のカレンチレバーを用いたNS
OM装置の概略構成図である。
【図15】AFM用カレンチレバーを利用するに至る背景
を説明するための模式図である。
【図16】(A)(B)ともさらにAFM用カレンチレバー
を利用するに至る背景を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1、25、107……開口数が1以上の対物レンズ 7、24……金属プローブ 11……開口数(NA)が1以上の光束 34、108……遮光プレートないしビームストップ 105……先端部に金属コートしたAFM用カレンチレ
バー
フロントページの続き Fターム(参考) 2G043 AA01 CA03 CA07 DA02 DA06 EA01 FA02 GA02 GA07 GB01 GB02 GB17 GB19 HA01 HA05 HA09 HA15 JA03 KA02 KA05 KA09 LA02 LA03 MA01 NA13 2H052 AA00 AA07 AA08 AA09 AB02 AB14 AB24 AC04 AC05 AC14 AC15 AC17 AC26 AC29 AC33 AC34 AD19 AD20 AD34 AF01 AF06 AF11 AF14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口数が1以上の対物レンズによって形
    成される試料照明用の集光スポットに基づいて生起され
    る近接場に少なくとも先端部が金属のプローブを挿入し
    て該プローブの先端で散乱された伝播光に基づいて前記
    試料に係る画像化を行える散乱型近接場顕微鏡におい
    て、 前記集光スポットを開口数が1以上の光束のみにより形
    成する手段を設けたことを特徴とする散乱型近接場顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】 前記手段は、前記試料の照明光源から前
    記対物レンズに至る光路の光軸上に設けた円形の遮光体
    である請求項1記載の散乱型近接場顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記手段は、アキシコン光学素子である
    請求項1記載の散乱型近接場顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記試料は蛍光物質を含む薄膜状試料で
    あり、前記プローブの先端を前記蛍光試料の励起光源と
    し、励起により発生した蛍光を前記対物レンズにより集
    光する構成である、請求項1ないし請求項3に記載の散
    乱型近接場顕微鏡。
JP26741898A 1998-09-05 1998-09-05 散乱型近接場顕微鏡 Expired - Lifetime JP4585053B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26741898A JP4585053B2 (ja) 1998-09-05 1998-09-05 散乱型近接場顕微鏡

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26741898A JP4585053B2 (ja) 1998-09-05 1998-09-05 散乱型近接場顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000081383A true JP2000081383A (ja) 2000-03-21
JP4585053B2 JP4585053B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=17444583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26741898A Expired - Lifetime JP4585053B2 (ja) 1998-09-05 1998-09-05 散乱型近接場顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4585053B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005121374A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Sii Nanotechnology Inc 近接場光学顕微鏡
JP2008510962A (ja) * 2004-08-17 2008-04-10 イムニベスト・コーポレイション 循環する希少細胞の分析用の画像診断機器
JP2009156602A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Institute Of Physical & Chemical Research チップ増強ラマンプローブ及びその製造方法
JP2013057689A (ja) * 2012-12-25 2013-03-28 Nano Photon Kk 分光測定方法、散乱型近接場顕微鏡、及びチップ増強ラマンプローブの製造方法
US9915815B2 (en) 2013-10-22 2018-03-13 Hamamatsu Photonics K.K. Total internal reflection light illumination device
CN111595787A (zh) * 2020-06-08 2020-08-28 河北大学 基于光声谐振探测的太赫兹气体检测系统及方法
CN113728222A (zh) * 2019-03-21 2021-11-30 牛津大学科技创新有限公司 散射显微镜检查

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005121374A (ja) * 2003-10-14 2005-05-12 Sii Nanotechnology Inc 近接場光学顕微鏡
JP4500033B2 (ja) * 2003-10-14 2010-07-14 エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 近接場光学顕微鏡
JP2008510962A (ja) * 2004-08-17 2008-04-10 イムニベスト・コーポレイション 循環する希少細胞の分析用の画像診断機器
JP2009156602A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Institute Of Physical & Chemical Research チップ増強ラマンプローブ及びその製造方法
JP2013057689A (ja) * 2012-12-25 2013-03-28 Nano Photon Kk 分光測定方法、散乱型近接場顕微鏡、及びチップ増強ラマンプローブの製造方法
US9915815B2 (en) 2013-10-22 2018-03-13 Hamamatsu Photonics K.K. Total internal reflection light illumination device
CN113728222A (zh) * 2019-03-21 2021-11-30 牛津大学科技创新有限公司 散射显微镜检查
CN113728222B (zh) * 2019-03-21 2024-04-16 牛津大学科技创新有限公司 散射显微镜检查
CN111595787A (zh) * 2020-06-08 2020-08-28 河北大学 基于光声谐振探测的太赫兹气体检测系统及方法
CN111595787B (zh) * 2020-06-08 2023-01-06 河北大学 基于光声谐振探测的太赫兹气体检测系统及方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4585053B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5894122A (en) Scanning near field optical microscope
JP5216509B2 (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
US8695110B2 (en) Scanning probe microscope and sample observing method using the same
JP2010197208A (ja) 走査プローブ顕微鏡およびこれを用いた試料の観察方法
JP4585053B2 (ja) 散乱型近接場顕微鏡
JP3047030B2 (ja) 走査型近視野原子間力顕微鏡
JP4498081B2 (ja) 散乱型近接場顕微鏡およびその測定方法
JP3021872B2 (ja) カンチレバー、原子間力顕微鏡
JP3825568B2 (ja) 近接場光顕微鏡用プローブとその製造方法および走査型近接場光顕微鏡
JP2007192742A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH10267945A (ja) 走査型光顕微鏡
JP4202076B2 (ja) 散乱型近接場顕微鏡
JP4361221B2 (ja) 走査型近接場顕微鏡におけるイルミネーション反射モードの測定方法
JP2002310881A (ja) 走査型近接場顕微鏡
JP4448534B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH0954099A (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JPH09210906A (ja) 近接場顕微鏡
JP4064856B2 (ja) 走査型プローブ顕微鏡
JP3205455B2 (ja) 原子間力検出機構および原子間力検出型走査型近視野顕微鏡
JP2000146802A (ja) 近接場光学顕微鏡
JP2006250623A (ja) 光検出装置及び光検出方法
JP3669466B2 (ja) 熱分光測定装置
JP4500033B2 (ja) 近接場光学顕微鏡
JPH04136743A (ja) 光音響信号検出方法及び装置
JPH08220113A (ja) 走査型近接場光学顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050726

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20050822

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050822

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070717

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070913

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080507

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100507

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130910

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term