JP4585053B2 - 散乱型近接場顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は近接場顕微鏡、詳しくは、プローブ先端の金属により近接場を伝播光に変え、その散乱された伝播光に基づいて試料の画像化を行える、特に蛍光試料の測定に適した散乱型近接場顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
近接場顕微鏡は、使用するプローブの形式によって2種類に分かれる。一つは、中実の誘電体または金属でなり先端先鋭なプローブを用いるもので、もう一つはファイバープローブと称される光ファイバーを利用したものである。
【0003】
後者のファイバープローブは、一般的に、光ファイバーを先端径を100nm程度まで先鋭化し、例えば蛍光測定では、ファイバー中に励起光を導波させ、先鋭化されたプローブ先端からの射出光による近接場を蛍光測定における微小な励起光源として利用しようとするものである。しかし、光ファイバーを用いるので導波においては光のもれがあり、プローブ先端以外からの光のもれを防ぐために、先端から延びるテーパ部に対し必ず金属の皮膜がコーティングされている。このコーティング用の金属種は、表皮深さ(skin depth)が最も浅いものが選ばれ、主にアルミニウムが用いられるが、このアルミニウムでさえ表皮深さは可視光に対し20nm程度あり、ファイバープローブの開口径は実質的に40nm以上になる。また、このプローブの先端ではコーティング金属に沿って広がる電場のために、スポット径は100nm程度まで大きくなる。実際、金属をコーティングした光ファイバープローブの解析について、Novotnyらが2次元モデルを用いて行った報告例がある(J.Opt.Soc.Am.A,11,pp.1768−1779.)。この報告では、コーティング金属中にしみ出す電場分布と、金属をコーティングした光導波路の先端で広がる電場分布とが図示されており、アルミニウムをコーティングした開口50nmのプローブを用いた場合、分解は開口の2倍の100nm程度であると結論されている。このように回折限界を打破する光学顕微鏡である近接場顕微鏡ではあるが、ファイバープローブを用いる限り、明らかに分解能の限界が存在する。
【0004】
これに対し、アパーチャレスプローブとも称される、前者の誘電体または金属製プローブを用いる近接場顕微鏡では、基本的に、上記のような分解能の限界は存在しない。この顕微鏡においては、照明光を外部光学系により試料に照射し、プローブの先端を試料に生起した近接場領域へ挿入することにより近接場光(局在した伝播しない光の場、ニアフィールド(near−field)と称される)を散乱させその散乱光を検出して、回折限界を超えた分解能で光学特性像を得るものであり、このアパーチャレス型プローブを用いたニアフィールド・スキャニング・オプティカル・マイクロスコピィ、NSOM(Near−field Scanning Optical Microscopy)の分解能はプローブの先端径程度であるので、上記のファイバープローブのような分解能の明確な限界はないといえる。強いて限界を求めるならば、プローブ先端の加工精度の限界に帰着するが、現在の技術(超精密なフォトリソグラフィ技術を含む)でも先端の直径が10nmの精度は充分に可能であり、場合によってはサブナノメートルも可能となっているから、これを光学的にみるならば分解能の限界はないのも同然といえる。
【0005】
このような分解能の有利さがある反面、このアパーチャレス型プローブを用いるNSOMにも問題点はあり、一つには、プローブの先端以外で散乱、反射される光があり、すなわちプローブ先端へ至るプローブテーパ部による近接場光の散乱、プローブテーパ部やシャフト部における散乱光の反射や照明光の反射や散乱があり、これらのノイズ光をどのようにしてカットするかという問題である。
【0006】
もう一つは、アパーチャレス型プローブは、ファイバープローブのような微小開口をもたないので、原理上、近接場からの散乱光(極めて微弱)を外部光学系によって集光しなければならない問題である(なお、アパーチャ型プローブを用いるものでも、近接場光を光ファイバーで導光し難いときには外部光学系により集光する)。
【0007】
従来、アパーチャレス型プローブを用いたNSOMは主に試料の表面形状(微小な凹凸)の観察に用いられており、幸いにも前者の問題は、プローブを軸線方向に微振動させこの振動と同期するように散乱光を検出(ロックイン検出)することにより信号光のみ検出することで解決され、また、後者の問題も例えばNA(開口数)の大きな長作動対物レンズを用いたり、カセグレン対物鏡を用いることによって解決されてきた。
【0008】
ところで、ファイバープローブを用いたNSOMにおいては、光ファイバーによる導波、近接場の形成、そして比較的に近接場光の導光態様が容易なため、近時さかんにこのNSOMを分光学的に利用する試みが多い。典型的には、蛍光試料の測定、例えば単一分子からの蛍光測定であり、従来のマクロな測定(多数の分子において観察される蛍光挙動から得られる分子物性に関する情報、特に分子の配向方向など)では得られなかった新規な情報を探究するものであり、単一分子の配向方向の決定や単一分子の蛍光寿命の測定、単一分子内のエネルギ移動の観測のほか、単一分子の観測に限らず、多くの物質についてその微小領域における分光特性の新たな知見が得られようとしている。
【0009】
ところが、上記のように分解能の点で顕著に有利であるアパーチャレスプローブのNSOMでは、外部光学系による試料の照明、及び外部光学系による近接場・散乱光の集光を行うため、観測系としては複雑化し、このNSOMは、従来より、分光学的利用には不適であるとされてきた。そして、何よりも問題は、例えばアパーチャレスプローブの先端を蛍光の微小励起光源に適用しようとするとき、その光源の輝度(近接場の散乱による光源輝度)が蛍光を励起できる程の強度を有さないという点にあった。
【0010】
ところが、近時、金属プローブにおいてその先端で生じる局所的な電場増強効果を用いることにより、蛍光を充分に励起できるという提案がなされ(古川、河田、近接場光学研究会第4回予稿集、7−12(1995))、この提案に基づき、本発明者らは先に、金属プローブを用いた蛍光測定用NSOM装置を試作し、蛍光測定を行った。この試作に係るNSOM装置の要部、蛍光励起部の構成を図1に示す。
【0011】
図1において、1は対物レンズ2、オイル3、カバーガラス4からなる油浸対物レンズであり、開口数(NA)は1.4である。カバーガラス4上に蛍光試料5を載置し、蛍光試料5の下方から波長488nmのアルゴンレーザ平行光6(直線偏光している)を照射し、油浸対物レンズ1により集光し(集光スポットは蛍光試料5の上面に形成)、集光スポットの中心、光軸上に先端8がくるようにNSOMの金属プローブ7を制御位置決める。なお、NAの大きな対物レンズ1を用いたのは、基本的に、集光スポットを絞り込むためであるが、反面、極めて小径の集光スポットとなったため、プローブの位置合わせ、特にプローブ先端の位置決めは極めて困難なものとなった。
【0012】
上記集光スポットにより、蛍光試料5の上面空間には近接場が生起し、金属プローブ7の先端8がこの近接場に入ると、先端8は電場増強効果により近接場光を伝播光として強く散乱し、先端8は径が50nm程度であるのでこの先端8が極微小な光源となる。そして、この先端8からの散乱光が、先端8直下の蛍光試料5の微小領域の蛍光物質の励起光となり、蛍光を励起する。励起された蛍光は(言うまでもなく、極めて微弱である)、同じ油浸対物レンズ1を通して下方へ集光9され、図示しないフィルタを通して励起光をカットした上でフォトンカウンティング法により蛍光を検出するようにしている。
【0013】
尚、図1に要部を示したNSOM装置において、近接場を生起させるために、常用されるプリズムではなく、開口数(NA)が1以上と大きい対物レンズ(本例では1.4)を使用しているのは、近接場生起のための集光スポットを極小径に絞り込み(原理的にはλ/2まで可能、λはレーザ光源の波長)、可能な限りノイズ光の発生を抑制するとともに、電場増強効果の効率を高め、同時に励起蛍光の集光効率を最大に高めるためである。
【0014】
ところで、図1の構成において、図2に図解するように、全反射する光のほかに、試料5の表面を透過する透過光10が存在する。そして、この透過光10は、プローブ7の先端8以外のプローブテーパ部7tおよびシャフト部7sにおいて、反射ないし散乱する。この反射光ないし散乱光は、蛍光試料5に入射すると、試料中の蛍光物質を励起する。こうして励起された蛍光は、プローブ先端8以外の励起光により励起されることから、バックグラウンドの雑音成分であり、蛍光検出のSN比を低下させる。また、NSOMにおける画像化の分解能を相当程度低下させる問題があった。なお、最終的な目標は、プローブ先端8の直下にだけある表層の蛍光試料のみを励起してその励起蛍光を検出することであり、また、画像化の分解能はプローブ先端径に依存するのでその径にのみ限界を求めるということである。又、上述では、試料を蛍光試料としてプローブ先端を極微小光源として蛍光物質を励起することを説明したが、蛍光励起は一例であり、任意の物質の試料に対し、屈折率分布や吸収分布を測定するための金属プローブ先端による極微小光源の形成に係ることが本発明の背景の趣旨である。
【0015】
それゆえに、本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、金属プローブの先端のみを近接場でつくられる極微小光源となしうるようにすることを基本的な目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、図3に示されるように、対物レンズ1によって形成される集光スポットを開口数が1以上の光束11のみにより形成する手段を設け、開口数が1未満の光束を集光スポット形成に関与させないようにしたことを基本的な特徴としている。
開口数が1以上の光束11は、カバーガラス4または試料5と、空気との界面で全反射し、試料5の表面から気中へ透過する光をなくすことができる。従ってプローブテーパ部、シャフト部における光の反射、散乱はない。基本的に、試料5上面に生起する近接場に挿入されるプローブ先端のみで散乱された伝播光が光源光となる。
かつ、開口数が1未満の光束成分に比べて1以上の光束成分がより多くのP偏光成分を有しており、電場増強効果にはこのP偏光成分が効力をもつことから、電場増強の効率を高めることができ、このプローブ先端光源の強度(輝度)を増大させることができる。
【0017】
上記の集光スポットを開口数が1以上の光束のみにより形成する手段は、具体的には、照明光源から対物レンズに至る光路の光軸上に設けられる円形の遮光体、又は、光軸上に設けられるアキシコン光学素子である。アキシコン光学素子には、アキシコンプリズム、ないしアキシコンレンズと、アキシコンゾーンプレートとを含む。アキシコン光学素子を用いる場合、遮光体に比べて、光のエネルギ損失が小さい、輪帯状の照明の幅が狭いなどの利点がある。
【0018】
前者の遮光体は、コストもかけず簡易に構成することができる利点がある。例えば、薄いカバーガラスに円形の黒塗りの紙を貼り付けたものを用いることができる。この遮光体は、光路中へ進退自在に設けることが重要である。退避させたとき、集光スポットの輝度は高くなるから、プローブ先端の精密に制御された位置決めが容易化する。このことは、開口数の大きい対物レンズを使って集光スポットを形成していることから、集光スポット径は極めて小さく(250nm〜)、プローブの位置決めの困難さを軽減する意味でもきわめて有用である。
【0019】
開口数が1以上の対物レンズによって形成される集光スポットを開口数が1以上の光束のみにより形成する手段を設けた散乱型近接場顕微鏡は、蛍光測定に利用できるほか、屈折率分布の測定や吸収率分布測定、また分光光源を用いると分光計測にも用いることができる。つまり、通常一般の光学顕微鏡により行えることはすべて実行可能であり、先に挙げた蛍光測定に限定されるべきでない。
【0020】
尤も、蛍光測定に利用するとき、プローブ先端は電場増強効果により、強度の大きい極微小励起光源となり、かつプローブ先端の直下以外の箇所で励起されうる蛍光は大幅に低減されるから、バックグラウンド蛍光は著しく低減する。即ち、信号としての蛍光(S)は増大するとともに、バックグラウンド(N)は低減されるから、SN比は大きく向上する。
【0021】
なお、蛍光測定において、さらに、二光子励起吸収を用いると、集光スポット形成のために蛍光試料を透過させた部分(試料中の部分)において蛍光の励起をなくすることができ、ノイズとなる蛍光はより低減するので、SN比はさらに向上できる。また、二光子励起吸収を用いれば、蛍光試料の褪色も大幅に低減することができる。
【0022】
本発明に係る散乱型近接場顕微鏡に適用されるプローブは、中実の金属からなるプローブが好ましいが、先端部にのみ金属を存在させた誘電体であってもよい。つまり、先端部に皮膜状に金属を設けたものである。また、別の態様では、金属プローブに先端部のみ別の金属を蒸着等により設けたものでもよい。さらに、原子間力顕微鏡(AFM)の探針には、AFM用カレンチレバーが用いられているが、このカレンチレバーの先端または先端部に金属をコーティングしたものをこの金属プローブNSOMの金属プローブとして用いることができる。なお、AFM用カレンチレバーは、通常、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2)、シリコンナイトライド(Si3N4)を材質とする。金属プローブにいう金属とは、種類において、特性として空気中で酸化しにくく、光源との関係で吸収波長をもたず、電場増強効果の大きいものが望まれるが、すべての特性を満たす金属種は見当たらず、目的または必要に応じて、タングステン、プラチナイリジウム、金、銀、アルミニウム、ステンレス、インコネルなどが適用される。尚、上記のAFMと関連づけて、金属プローブにおいて、現在サーマルイメージング用のAFMカレンチレバーが存在し、このカレンチレバー(プローブ)の先端は熱電対を形成しており、先端部は金属であり、これを利用しこのAFMサーマルイメージング用カレンチレバーを本発明の金属プローブに適用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施の形態は、中実の金属プローブを用いた散乱型近接場顕微鏡であり、原子間力顕微鏡(AFM)のカレンチレバーを利用した(先端に金属をコーティングしてある)実施の形態については後述する。
【0024】
図4に全体の主要構成を、蛍光試料測定の場合を例にして示す。
PZTを用いた高精度XYステージ21上に、蛍光試料22を設けたカバーガラス23を載置・固定し、蛍光試料22の上方に金属プローブ24を設定する。油浸対物レンズ25はXYステージ21の中央の筒状空間に位置し、試料照明光学系30と蛍光検出光学系40とに共用される。金属プローブ24は、パーソナルコンピュータ50の一部機能を利用した距離制御系60により、プローブ先端と蛍光試料22の表面との間の距離が制御される(この距離を以下、プローブ−サンプル間距離という)。
【0025】
試料照明光学系30は、照明光源としてのレーザ31、NDフイルタ(ニュートラルデンシティフィルタ)32、ビームエクスパンダ33、遮光プレート34、ダイクロイックミラー35、油浸対物レンズ25を備えて形成される。遮光プレート34は、ビームエクスパンダ33により拡大された平行光束の中央部を円形に遮断する。この円形の遮断マスク34mの大きさは、平行光束が入射される対物レンズ25において、開口数(NA)がNA<1に対応した部分の全部に相当する。すなわち、遮断マスク34mの半径はちょうど、対物レンズ25におけるNA=1に相当する大きさである。この遮光プレート34を通過した光束は、輪帯光束となり、ダイクロイックミラー35で直角に反射され、NAが1.4の油浸対物レンズ25に入射する。油浸対物レンズ25は、図3に示したように、NAが1以上の輪帯光束を収束し、光軸上に極小径の集光スポットを形成する。集光スポットは、通常は油浸対物レンズ25のカバーガラスの上面に形成されるが、測定時には試料22が空気と接する界面に形成される。いずれの場合も、集光スポットはNA≧1だけの光束により形成されるので、それぞれの界面で全反射し、カバーガラスあるいは試料22を通過して気中に拡散してゆく透過光はない。なお、レーザ31には、アルゴンレーザ(出力4mW、波長488nm)を用い、ダイクロイックミラー35のカットオフは510nmである。NDフイルタ32は、出力レーザ光の強度を変え、光学系の調整等に利用する。また、前記遮光プレート34は、アームを取り付けて、光路に進退自在に設定できるようにしている。退避させると、集光スポットの輝度が大きくなり、金属プローブ24を位置決めしようとするとき、この位置決めが容易化する。
【0026】
蛍光検出光学系40は、NAが1.4の油浸対物レンズ25、ダイクロイックミラー35、干渉フイルタ41、ビームスプリッタ42、結像レンズ43,44、イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ45、マルチモード光ファイバ46、光電子増倍管47を内蔵するフォトカウンティング装置48を含んで形成される。もっとも、結像レンズ44からCCDカメラ45へ至る光路は、測定の開始前に蛍光検出光学系40を調整するために用いられ、CCDカメラ45が出力するビデオ信号は、図示しないモニタ装置に入力される。
【0027】
倍率が100倍の対物レンズ25は、そのNAの1.4全部を使って蛍光を集光するので、集光効率が高い。そして、ダイクロイックミラー35により基本的に励起光はカットされ、次段の干渉フィルタ41は、特性が550nmでFWHMが12.5nmであり、ダイクロイックミラー35により完全にはカットされなかった励起光と、後述するシェアフォース検出用の半導体レーザ光をカットして、蛍光のみを通過させる。通過した蛍光は、ビームスプリッタ42により分割され、イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ45のイメージインテンシファイヤの受光面と共役な位置にコアの端面を合わせたマルチモード光ファイバ46(コア径は400μm、開口数は0.2)によって導波される。なお、結像レンズ43,44ともに焦点距離は80mmである。マルチモード光ファイバ46により導波された蛍光は光電子増倍管47((株)浜松ホトニクス社製、R2949、感度ピーク波長400nm(約73mA/W)、550nmでは約56mA/W)により光電増幅したうえでフォトカウンティング装置48((株)ユニソク製)により積分時間65msでカウントし、このカウント値はデータとしてパーソナルコンピュータ50に送信し、メモリに記憶する。
【0028】
次に、距離制御系60を説明する。この系60は、シェアフォースと称される、プローブを試料の近接場領域(約30nm以内)に近づけた場合に働く力を検出し距離制御を行うものであり、ファイバープローブを用いたNSOMでは常用されている手法で、プローブをその共振状態で微小振動させ、シェアフォースによる振幅の変化を光を用いて検出するというものである。もっとも、ファイバープローブ型NSOMでは常用されているものの、本例のような、金属プローブ型NSOMでこれを用いたのは本願発明者の一人である河田が最初である(特開平9−281122号公報)。また、シェアフォース制御は、光を用いる手法のほか、光を用いない手法があり、本例では光を用いる手法を採用している。
【0029】
距離制御系60は、金属プローブ24の上端部に係合させ金属プローブ24を試料表面に沿うように上下方向すなわちZ方向に微動させるZ方向ピエゾステージ61PS(Queensgate社製、DPT/AX100、精度1.5nm)と、このZ方向ピエゾステージ61PSにフィードバックをかける手段としての半導体レーザ61、レンズ62,63、2分割フォトディテクタ64、差動アンプ65、ロックインアンプ66、発振器67、およびZ方向ピエゾステージ61PSに結合し金属プローブ24の上端部側面に固定したバイモルフピエゾ68とから構成される。
【0030】
発振器(〜8kHz)の発振信号をバイモルフピエゾ68に与えるとともに、ロックインアンプ66に入力する。発振信号を与えられたバイモルフピエゾ68は屈曲振動し、金属プローブ24を光軸と直交する方向に共振周波数で微小振動させる。他方、金属プローブ24の軸線すなわちZ方向と直交する方向に光軸を設定しこの光軸上に配設した半導体レーザ61(波長670nm)の射出光をレンズ62によって金属プローブ24のシャフト部に集光し、その影をレンズ63により2分割フォトディテクタ64の分割中心に投影結像する。2分割フォトディテクタ64の各フォトディテクタからの信号出力を入力とする差動アンプ65により両信号を差動増幅し、発振器67からの共振周波数の入力によりロックインアンプ66においてロックイン検出することにより金属プローブ24の振幅とする。そして、この振幅信号をコンピュータ50に設けたインターフェイスADボード(AZT−3503)を用いてコンピュータ50に取り込み、モニタし、シェアフォースによる振幅の変化を検出し、一定振幅になるようにZ方向ピエゾステージ61PSにフィードバックをかける。測定に用いた金属プローブのフォースカーブ特性によれば、プローブ−サンプル間距離が30nm程度になるとシェアフォースにより振幅が急峻に落ち込むことが判り、したがってこの落ち込む点から定距離下方の点を零点すなわち試料表面とみなし、プローブ−サンプル間距離の基準としている。なお、試料22の走査制御はコンピュータ50の制御下に行われ、シェアフォースによる振幅の変化を検出して、一定振幅となるようにZ方向ピエゾステージ61PSにフィードバックをかけ、試料22を載置したXYステージを走査駆動し、イメージングを行うようにしている。
【0031】
上記の距離制御系60は、半導体レーザ61を用い金属プローブ24の投影像を検出して行う光を用いたシェアフォースフィードバック法であったが、この手法に代えて、光を用いないシェアフォースフィードバック法を用いることが可能である。光を用いないシェアフォースフィードバック法には、シェアフォースの検出にピエゾ素子を用いる方法と、チューニングフォークを用いる方法とがある。前者の方法を簡単に説明すると、シェアフォース検出用のピエゾ素子とプローブとを一体に設けプローブを自励させ簡単な電子回路処理のみでフィードバックをかけるというものである。そして、光を用いる両手法を通じて、フィードバックのセンサ部がプローブに固定されるため、系としてコンパクトかつ堅牢なものとなり、そしてプローブを自由に移動させることができるという利点をもつ。この点、金属プローブを用いるNSOMでは外部照明による集光スポット上にプローブを設定調整する必要があり、プローブを頻繁に移動する。上記実施の態様で示したような光を用いた方法では、このプローブの移動によりシェアフォース検出用の光学系がずれるため、プローブを移動させる毎にこの光学系を調整し直す繁雑さを伴う。光を用いない方法は、この繁雑さを解消する。また、光を用いる方法では一般的に波長670nm程度の半導体レーザが用いられるため、この光(ノイズ光)をカットするためのフィルタを設ける必要があり、検出対象によっては、フィルタ波長の選択も問題であり、とりわけ蛍光、しかも微弱な蛍光を検出するような場合には非常に不利である。近接場顕微鏡を用いた極微小領域の蛍光測定では、検出される蛍光はきわめて微弱であるから、光を用いない方法はこの点において特に有用である。尚、プローブの位置決めの困難さや、距離制御の問題を一挙に解決するAFMカレンチレバー型NSOMについては後述する。
【0032】
金属プローブ24には、中実のプラチナイリジウム(PtIr)製のものを用いた。先端は、機械研磨により形成した。用いた金属プローブ24の走査電子顕微鏡像を図5(A)(B)に示す。図5(A)は先端部の全体像(140倍)を示し、同図(B)は先端の拡大像(40000倍)である。同図(B)から分かるように、先端径は約50nmである。
【0033】
蛍光測定に際しては、事前に各光学系の調整を行う。また、調整の前には、金属プローブ24を集光スポットに位置決める難作業がある。この作業は、手動では到底不可能で、コンピュータ制御によりはじめて可能である。
【0034】
まず、金属プローブ24の位置決めについて、図6に図解するように、Z方向ピエゾステージ61PSに位置決め用のXYZステージ71を取り付け、長作動対物レンズ72(NAは0.35、倍率20倍)を設定するとともに、CCDカメラ73及び第1のモニタ74を用い、長作動対物レンズ72とは反対側からファイバ光源75により金属プローブ24の先端部を照明し、CCDカメラ73によりその映像を第1のモニタ74によって観察する。長作動対物レンズ72のフォーカスポイントは、予め、集光スポット(図4の装置における光源31は作動している)に合致させておく。図示のように、ファイバ光源75により、プローブの先端部を照明し、XYZステージ71を用いてプローブ先端をフォーカスポイント近く(Z方向10μm以内)まで移動させる。第1のモニタ74には、モニタ画面中に示されるように、プローブ先端の実像76とプローブ先端の影77とが集光スポット78を挟んで向かい合う形となるように調整する。
【0035】
次に、シェアフォース検出用の半導体レーザ61(図4参照)を金属プローブ24に集光し、その影を2分割ホトディテクタ64を介して検出し、Z方向の粗位置決めの調整を行う。
【0036】
シェアフォース検出用光学系が調整できると、プローブの振幅をオシロスコープで確認しながら、イメージインテンシファイヤ付CCDカメラ45からの映像を第2のモニタ81で観察しながら、XYZステージ71を微動させ、第2のモニタ81画面中の蛍光スポット82の上にプローブの先端を移動させる。なお、83はファイバ光源75の投射光により映じたプローブ先端部の影である。移動は、このプローブ先端部の影により把握する。移動においては、特に、Z方向については、Z方向ピエゾステージ61PSを併用して、金属プローブ24の先端が試料22に接触させないようにする。また、先端がある程度まで近づいた場合には、Z方向ステージ61PSのみを用いるようにする。尚、図6中、対物レンズ25から結像レンズ44に至る光路は簡略化して示している。また、試料走査用のXYステージ21は光学系の調整には使用されず、ホームポジションに固定したままにされ、その位置でカバーガラス23ないし蛍光試料22が所定位置に載置・固定される。
【0037】
なお、蛍光試料22は、この実施の態様においては、ローダミンを溶解させたポリビニールアルコール膜(厚さ約35nm)としている。具体的には、ローダミン6Gを1wt%のポリビニールアルコール溶液に溶かし、カバーガラス上で回転数1600rpmでスピンコーティングし、ポリビニールアルコールのガラス転移温度(Tg)が65〜80℃程度であることから、オーブンにおいて90℃で加熱・乾燥させて作成したものである。
【0038】
蛍光試料22を対象とした蛍光強度の測定、すなわち蛍光強度の距離依存性の測定は、図4におれるパーソナルコンピュータ50による制御下、Z方向ピエゾステージ61PSを動作させ、金属プローブ24の先端を蛍光試料22表面に近づけてゆき、フォトカウンティング装置48のカウント値を蛍光強度の測定値とした。なお、金属プローブ24を停止させる点は、シェアフォース振幅が約半分になる地点とし、その点をプローブ−サンプル間距離の零点と規定した。なお、蛍光強度(あるいは別の対象では単に強度)の距離依存性の測定は、プローブを近づけてゆく場合と、停止させてから、停止点から遠ざけてゆく場合の2通りについて測定できるが、いずれか一方の測定でよい。両方をすると、得られたデータの確証性が相互に高められる。
【0039】
図4の構成において、遮光プレート34の作用を検証した。用いた遮光プレート34について具体的には、対物レンズ25の入射側の開口径が5.6mmであり、NAが1.0に対応する径は4.00mmであるので、カバーガラスに直径が4.00mmの黒塗りの紙を貼付したものとした。試料としてはカバーガラスのみで、カバーガラスの上面に集光スポットを形成し、カバーガラスの上面に近接場を生起させる。対照のため、遮光プレート34を光路に入れた場合と、光路から退避させた場合とについて、励起光強度(アルゴンレーザ光の強度)のプローブ−サンプル間距離依存性を測定した。なお、測定に際しては、干渉フィルタ41は光路から除去し、金属プローブ24の先端を試料(カバーガラス)に近づけていったときのデータを採取している。
【0040】
図7に遮光プレート34を光路から退避させたときの測定結果を示す。同図から明らかなように、試料(カバーガラス)を通過してきた光のプローブによる反射、散乱のため、プローブが試料に近づくに従い、試料表面での励起光強度が増大してゆくことが分かる。
【0041】
他方、遮光プレート34を光路に挿入した場合の測定結果を図8に示す。同図の、強度が3900の平担部に示されるように、この場合、試料を透過してくる成分がないため、プローブを試料に近づけても、励起光強度の増加がみられず、逆にプローブ−サンプル間距離が300nm近辺になったところから強度が急峻している。これは、NAが1以上の光束が全反射により形成した近接場をプローブが散乱しているため、その散乱光が試料から検出系とは反対側の空気中へ散逸してしまうことによる。したがって、この図7と図8の測定結果から、透過光成分(図2の参照符号10で示される光束)は完全に除去できていると結論できる。
【0042】
上記の検証の結論を踏まえて、蛍光試料の測定を行った。試料22は、上述したルーダミン6Gを溶解させたポリビニールアルコール膜である。遮光プレート34を光路に挿入し、干渉フィルタ41を設定して蛍光強度のプローブ−サンプル間距離依存性を測定した。
【0043】
図9は測定結果を示し、プローブを接近させた場合である。同図から分かるように、プローブ−サンプル間距離が約80nm近辺のところで、蛍光強度が急峻に増大している。このことから、この強度の急な増大は、金属プローブ先端における電場増強効果によるものと考えられる。そして、この増強効果は先述のようにプローブ24の先端径に大きく依存していると考えられる。プローブ24の先端径は50nmであることから、図9の結果より、バックグラウンドカウントを2000として、増強後のカウント値は2900であるから、強度としては1.45倍になっており、図10(遮光プレート34を用いなかったときの測定例、プローブを接近させた場合)の測定結果と比較して、SN比は効果的に向上していることがわかる。
【0044】
測定結果の図9において、バックグラウンド蛍光はなお、2000程度存在する。この原因としては、二つ考えられ、一つは、図11に集光スポットSPとプローブ先端24tとの模式的平面図で示すように(集光スポットSPは直径が300nmとし、プローブ先端24tは径が50nmであり、装置の上方から見たとして(先端は下方から)それぞれが光点としてみえる)、プローブ先端24tに対し、集光スポットSPは相当に広域であることから、プローブ先端24tとは無関係に励起された蛍光が多く検出されたものと考えられる。集光スポットSP上には、近接場が生起しているので、プローブ先端24t以外のプローブテーパ部が近接場を散乱させたものと考えられる。
【0045】
もう一つは、図12(A)に図解するように、対物レンズ25により集光される光束25fは蛍光試料22を透過しかつ全反射して入射側へ戻るので(なお、光束25fは蛍光試料22の表面では全反射し表面から気中には出ない)、この薄膜中で励起された蛍光もバックグラウンド蛍光としてこれに含まれると考えられる。
【0046】
図12(B)は、先述した、理想的な蛍光励起の態様を図解している。金属プローブ24の先端24tの径直下の蛍光試料22の表層部22sのみの励起蛍光を検出することが(蛍光測定については)最終的な目標であり、本発明は、この目標に大きく近づける一つの手段を提供する。
【0047】
上記のように、バックグラウンド蛍光の原因は、考察されているので、改善策も既に検討し、実際にこの改善策を実行している。改善策の具体例は三つある。
【0048】
第一は、図11の説明と関連して、プローブ先端以外からの散乱光を無くすため、金属プローブの先端以外の金属面に散乱防止膜を形成し、近接場との相互作用をプローブ先端にのみ限るようにしたことである。具体的には、カーボン皮膜をコーティングした。簡単には、液化ブタンガスの燃焼によりプローブ先端部にカーボンを一様に所望の厚さで被覆することができ、先端は機械的、あるいは化学処理によって先端のみ金属を露出させるようにした。検証には、2本の同材質の金属プローブを用い、散乱防止処理を施したものと、施さないものとを用い、励起光の蛍光試料表面上での強度分布をXY面で測定した。なお、干渉フィルタ41(図4参照)は、波長475nm(FWHM:12.5nm)と代替している。結果は、対物レンズにより形成される集光スポットが散乱防止処理を施したものでは狭い範囲に局在しているのに対し、施さないものではこれが大きく拡がることが観察された。したがって、この散乱防止膜を施した金属プローブはSN比をさらに向上させる有用なものであることがわかった。
【0049】
バックグラウンド蛍光を低減する他の方法は、蛍光検出光学系40にピンホールを適用することにより、この光学系40を共焦点光学系とすることである。共焦点光学系にすると、光軸に直交する断面のみの光を検出でき、基本的に雑音光はすべて遮断されることとなる。なお、図4に示した、実施の態様では、蛍光の検出には、コア径400μmのマルチモード光ファイバ46により蛍光を導光させ、フォトカウンティング48により検出しているため、開口数1.4の対物レンズ25、焦点距離80mmのレンズ43では、蛍光検出光学系は約30倍の拡大光学系を形成しており、試料面においては10μmの広い領域を観測していることになるので、ピンホールの適用にあたっては、径が20μm以下に設定することとなる。
【0050】
第三の方法は、二光子吸収を利用することである。二光子吸収とは、一般に、物質が同時に2個のフォトンを吸収し、基底状態から1個のフォトンの倍の遷移エネルギの電子状態へと遷移することをいい、蛍光分子の励起にこの二光子過程を用いる。具体的な構成は、光源のレーザに、連続発振のレーザを適用してもよいが、(フェトム秒からピコ秒の)パルスレーザを用い、励起を高効率で行う。発振波長は長波長の、700〜1200nmのものを使う。典型的には、Ti:サファイア結晶をAr+レーザや半導体レーザで励起するモードロックTi:サファイアレーザでよい。一例の仕様として、繰り返し周波数78MHz、パルス幅120〜150fs、発振波長700〜900nm(キャビティミラーの選択により決める)、平均出力が100mWのものである。
【0051】
図4の構成において、二光子吸収励起に適切なレーザ光源を使用し、二光子過程を用いると、二光子励起の2乗特性により、分解能の向上と共に、SN比の大幅な向上が実現できる。すなわち、二光子励起は、励起光の強度の2乗に比例して蛍光分子を励起させるので、電場増強効果(近接場に挿入したプローブ先端付近で生じた光の作る電磁場と金属中の自由電子の運動による電磁場とが共鳴し、金属表面に生起した光に比べて数十倍強い電磁場が形成される)によりプローブ先端以外で生じた散乱光は蛍光分子の励起にはあずからず(電場強度比に大差があるため)、強く局在した電場のあるプローブ先端の直下で散乱された光のみが蛍光分子を励起し発光させることができる。これはちょうど、理想的な励起として示した図12(B)の状態に相当し、金属プローブ先端径の直下の領域22sのみを励起して蛍光発光させるものである。また、二光子励起の2乗特性により、図12(A)に示した、蛍光試料22中の集光光束25fによって蛍光が励起されることはほとんどなく、ここにおける雑音成分となる蛍光と、上記のプローブ先端以外に係る雑音成分となる蛍光とが基本的になくなることから、SN比は大幅に向上する。従来の顕微鏡では、励起波長が2倍になると集光スポットサイズが大きくなるため、2乗特性を有していても、空間分解能は低下するが、金属プローブを用いたNSOMではこの反対である。つまり、プローブ先端の局在場の拡がりが、プローブ先端形状、径に依存して入射光の波長に何ら影響されないからである。そしてイメージングの分解能は、図12(B)に図解したように、ほぼ先端径に近いものとなる。
【0052】
なお、蛍光試料においては、測定において、蛍光の退色という問題があるが、二光子吸収を利用すると、この退色の問題はほとんど発生しない。また、蛍光以外で、例えば光による高密度記録で二光子吸収を用いると、ミクロな加工領域の周りでの熱の発生およびそれに伴う体積膨張・変形等を避けることが可能である。 二光子吸収を用いるとき、バツクグラウンド蛍光低減のために適用する上述した2つの方法、散乱防止膜の形成、および共焦点光学系の構築は、いずれもが必要とされなくなる。
【0053】
次に、本発明の応用例を説明する。
図13に、光記録材料に対する、光学読取りおよび/または書込み装置の基本光学系を示す。レーザ光源91、レンズ92,93でなるビームエクスパンダ、ダイクロイックミラー94、NAが1.2〜1.5の対物レンズ95、先端径が数nm〜100nmのNSOM用金属プローブ96、集光レンズ97、高感度の光検出器98、及び光軸上に中心を有する円形の遮光プレート99によって構成される。遮光プレート99により、対物レンズ95に入射する光束のうち、NA<1の光束がカットされる。光記録材料90の表面を透過する光はなく、入射された光は光記録材料90の表面において全反射する。全反射により、光記録材料90の表面に近接場が形成され、金属プローブ96をこの近接場に挿入することにより、近接場光は散乱され金属プローブ96先端が極微小光源となる。この極微小光源を用いて、光記録材料への情報の書き込みおよび/または読出しを行う。読出しは、対物レンズ95により集光した光を集光レンズ97により光検出器98に集光して検出する。
【0054】
光記録材料90には、各種の記録形態があるが、例えば相変化材料を用いるとき、この材料には熱により書き込みを行うが、熱で書き込みを行う場合は、上記した二光子吸収を用いる必要は特にない。もっとも、100nm以下の高密度記録を実現するときには、利用するのが好ましい。なお、光記録材料がフォトクロミック材料では、二光子吸収を用いる必要がある。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態による散乱型近接場顕微鏡について、その背景、課題を上述と重複する記載を含めて、詳細に説明する。
【0056】
背景は次のとおりである。すなわち、近接場顕微鏡は、試料に光を照射したときに、試料の極近傍に発生する光の近接場を、散乱により伝播光に変換し、それを検出する顕微鏡である。近接場光の発生のさせ方は、光の波長より小さい微小開口から光をしみ出させ、そのしみ出し光により試料を照明したり、あるいは誘電体内部で光を全反射させ、屈折率が低い方の界面に生じる近接場を使い、試料を照明したりするのが一般的であった。また、試料を伝播光により直接照明する方法も提案されている。図15に、この方式を使った従来の装置構成の概略を示す。試料を伝播光201により照明すると、試料202表面に発生する近接場光203を探針204により散乱しその散乱光205をレンズ206で集め、検出器207により検出する方式も提案されている。この方式の場合、近接場の散乱光と、照明光が試料表面により散乱された伝播光を分離しなければならないが、幸い近接場光の散乱は探針と試料の距離変化に敏感であるため、探針を振動子208により微振動させ、その周波数成分の散乱光のみを検出することにより、近接場の散乱光のみを検出することができる。探針を微振動させることは、探針と試料との距離の制御にも使われている。つまり、探針を横方向に微振動させ試料に接近させるとファンデルワールス力によるダンピングがかかり、探針の振幅209が減少する。この振幅変化を検出することにより、探針と試料の距離の変化を測定し、それを一定に保つように試料を3軸アクチュエータ210で駆動しながら近接場光の観察ができる。
【0057】
課題は次のとおりである。すなわち、前記の微小開口を使った近接場検出は、微小開口の作製が難しく、高い分解能を得るには至っていない。それに比べ探針を使う方法は、探針先端のみにより近接場を散乱するため、鋭い探針を使うことにより容易に高分解能化できる。しかし、探針を横方向に微振動させる距離検出の方法(シェアフォース法)は広く実用されているものの原理にいまひとつ明確でない点があって、安定性も比較的に低いと考えられる。また、探針を使う検出法では、照明光201を斜めから照射するのが一般的であるが、探針を持ち上げて試料から少し離れた近接場光を観察する場合、斜めに照明されているので、探針の位置と試料上の照明光の位置が横方向にずれてしまうという問題もあった。また、伝播光の照明光と探針との相互作用に寄与する電場振動は、その振動面が入射面内にある成分(P波)である。しかし図15に示す従来の方法では、照明光の入射角には物理的な制限があるので、電場振動のP波成分を充分大きくできない。図16(A)には従来の方法でのP波成分を含むフォトン301と、そのフォトンによる探針近傍でのP成分の電場振動302を示す。照明光の電場振動のP成分を多くするためには照明光を浅い角度にて照明するのが理想であるが、照明スポット形状が楕円となり、探針近傍でのフォトン密度が低下してしまい難しかった。次に示す実施の形態は、上の事情に鑑みてなされたもので、探針と試料の距離制御は原子間力顕微鏡の原理を用いて行えるようにする。また散乱効率を高めるため、探針表面には金属がコートされている。また照明光のP成分を効率的に高める照明法を提供することを目的とする。さらに上記手法を市販の原子間力顕微鏡を使い実現する方法を提供する。
【0058】
そこで、本発明の他の実施の形態は下記の通りである。図14は、本実施の態様に係る近接場顕微鏡の一実施例の概念図である。倒立顕微鏡101のステージ102の上に試料を固定したカバーガラス103と原子間力顕微鏡104があり、原子間力顕微鏡104の探針105が試料の表面近傍に配置されている。試料の照明方法の第1として、レーザー106から出た光を、対物レンズ107の開口数1以下の光をカットするビームストップ108により遮断する。その照明光109はハーフミラー110により上に反射され、対物レンズ107により試料周辺に集光される。ここで対物レンズは油浸レンズを使ってあるため、開口数1以上の光は試料が固定してあるガラス103の表面で全反射する。この全反射により生ずる近接場光により試料を照明する。その近接場光は試料を照明し、それにより生じた近接場光は原子間力顕微鏡の探針105により散乱される。この探針105にはあらかじめ金が約20nm蒸着されている。金は散乱効率が高く、しかも酸化しにくいため、高い散乱効率を長時間維持できる。散乱は探針形状と試料との相互作用によりさまざまな方向に起こる。この散乱光を試料の真下にある開口率の大きい対物レンズ107により集光すると、高い効率で散乱光を検出できる。対物レンズ107により集められた散乱光はハーフミラー110を透過し倒立顕微鏡のサイドポート111へと導かれる。図では便宜上サイドポート111を紙面に平行な面内に書いてある。サイドポート111に入射した散乱光は楕円のミラーがパターニングされたミラー112により開口数1以上の成分113と1以下の成分114に分けられる。それぞれの散乱光成分113,114はレンズ115,116にて集光され、アバランシェフォトダイオード117,118に入射する。一方、近接場の散乱光は上方にも散乱される。その散乱光119を検出するため、顕微鏡のステージ102上にはもう一つの対物レンズ120が位置調整されて固定されている。上方に散乱された散乱光119の一部をこの対物レンズ120にて集光し、アバランシェフォトダイオード121に入射させている。
【0059】
さて、この方式の利点を説明すると、まず、落射照明に開口数1以下をカットするビームストップ108を設けることにより、照明光109は試料が固定されているカバーガラス103の表面で全反射する。この全反射する照明光は光軸に対して軸対称であるため、探針を持ち上げて試料から少し離れた場所の近接場光を検出する際にも、探針と照明光の位置関係が変わらず、照明スポットと探針との位置ずれが起こらない。また図16(B)に示すように、照明光のフォトン303,304はあらゆる方向から浅い角度にて試料を照明するため、以前の方法(図16(A))と比べ試料近傍にてP波の電場振動305が大きくなる。また、以前の方法では、浅い角度にて照明を行うと、スポットが楕円形に大きくなり、探針近傍を効果的に照明できなかったが、本実施の態様では、より浅い角度から照明できるような光学系においては、対物レンズの開口数が大きくなり、その分照明のスポット径を小さくすることができる。また、探針105にて散乱された散乱光は開口率の大きい対物レンズ107にて集光されるため、近接場の検出効率が高い。また、集光された散乱光を楕円形のミラー112にて開口数が1以上と1以下に分けて検出する利点として、まず開口数が1以下の散乱光114の検出では、照明光109の試料面からの反射光が検出器に入らず、バックグランドノイズのない散乱光のみを検出できるため、S/N比を向上させることができる。
【0060】
散乱光は上側にも伝播する。その伝播光を第2の対物レンズ120で集光することにより、より多くの近接場の情報を集めることができる。ここで下からの落射照明は全反射するようになっているため、試料を透過して上に出られない。そのため、この第2の対物レンズ120に強い照明光が入射することはなく、近接場の散乱光のみを効果的に検出できる。できる限りあらゆる方向の散乱光を集光できるように、対物レンズの位置は可変できるようにしてある。近接場光を散乱する探針105は、原子間力顕微鏡104により駆動されるため、探針を横振動させる方式に比べ、探針、試料間距離をより正確に保ちながら測定が可能である。レーザー照明106と、検出器であるアバランシェフォトダイオード117,118の位置は固定であるため、近接場光をうまく検出できる点は、レーザーの発光点と共役な点となる。近接場の観察においては、探針と試料を相対的に走査しなければならない。ここで、探針を走査すると、探針が近接場を検出できる点から外れてしまう可能性がある。そのため、倒立顕微鏡のステージには試料駆動用のステージ122が別途設けられている。また原子間力顕微鏡の探針を近接場検出の理想的な点に配置できるよう、原子間力顕微鏡はモータステージ123上に載せられており、位置を自由に動かすことができる。
【0061】
さて、前記近接場の検出方法は、試料が透明な場合のみ適用できたが、試料が不透明な場合には試料の上側から照明しなければならない。また同様に近接場の散乱光も試料の上側で検出しなければならない。そのための光学系を次に説明する。
【0062】
倒立顕微鏡には普通、透過照明124と呼ばれる照明装置が試料の真上に設けられていて、照明装置124は支柱125により支えられている。透過照明のランプハウス126から出た照明光127はミラー128らより下に向きを変え、適宜光学系129を透過後、コンデンサーレンズ130により試料面に集光される。この通常の照明は、ランプ自身が大きさをもつため、探針先端を効率的に照明できるほどには小さく集光できない。そのため、別途半導体レーザー131を設け照明とする。半導体レーザー131からの光はレンズ132により平行光に変換され、ハーフミラー133により下に反射され、コンデンサーレンズ130により探針近傍に集光され、試料を照明する。それにより生じた近接場光は探針105により散乱される。その散乱光を効率的に集めるために、試料直上に配置されているコンデンサーレンズ130を使い散乱光を集光する。その散乱光はハーフミラー133を透過後2枚目のハーフミラー134にて反射され、レンズ135により集光される。その光の一部はハーフミラー136により上に反射されCCD137に入射する。このCCD137により、カレンチレバー105と試料の像が観察できるため、カレンチレバー105と試料をあらかじめ位置あわせできる。一方ハーフミラー136を透過した散乱光はピンホール138を通過し、再びレンズ139により集光されアバランシェフォトダイオード140に入射する。このピンホール138を通す利点を説明すると、この方式では、コンデンサーレンズには近接場の散乱光のほかに、レーザーの照明光も試料面から反射して入射する。そのため、微弱な近接場の散乱光が強いレーザーの照明の反射光に埋もれてしまう可能性がある。そのため、ピンホール138を介し、探針先端付近からの光のみを検出器140に入射させている。このレーザー照明と検出系は一体のユニット141となって、照準装置142を介して支柱125に固定されている。照準装置142を上下に動かすことによりコンデンサーレンズ130のフォーカスを調整できる。また、このレーザー照明系が前記の透過照明127を遮らないため、透過照明による広い領域の照明も可能であり、試料の位置決め等が簡単に行える。また、開口数の大きいコンデンサーレンズを使うことができるので、近接場の散乱光の集光効率を高くすることができる。上記上側からのレーザー照明を行いながら、ステージ上に設けた対物レンズ120によっても同時に近接場の散乱光を検出できるのは言うまでもない。
【0063】
この他の実施の態様の効果ないし利点は次の通りである。すなわち、この近接場顕微鏡では、既存の倒立顕微鏡と原子間力顕微鏡を使い、簡便に装置を構成できる。また、落射照明による全反射照明は光軸に対し軸対称であるため、探針を持ち上げても、探針と照明光との位置関係が変わらず、直接照明では問題であった照明スポットと探針の位置ずれが起こらない。また、照明光はあらゆる方向から浅い角度にて試料を照明するため探針付近にP波成分を多く発生させ、探針と試料との相互作用を強めることができる。また、浅い角度にて試料を照明いるために、開口数の大きな対物レンズ使うと、照明のスポットをより絞ることができ、探針近傍を効率よく照明できる。またその相互作用で発生する近接場の散乱光を試料の真下にある、開口数の大きな対物レンズを使い集光するため、近接場光の検出効率を高めることができる。さらに、その集光された散乱光を開口数が1以上と1以下に分けて検出することにより、開口数が1以下の散乱光の検出では、照明光が検出器に入らず、バックグウンドノイズを少なくすることができ、S/N比を向上させることができる。上側に伝播した散乱光は第2の対物レンズで集光することにより、さらに多くの近接場の情報を集めることができる。近接場光を散乱する探針は、原子間力顕微鏡により駆動されるため、探針、試料間距離を正確に保ちながら測定が可能である。探針は金属がコートしてあり散乱効率も高い。不透明な試料に対しても、開口数の大きなコンデンサーレンズを使い、高い効率で近接場光を検出できる。試料が不透明な場合には、透過照明のユニットを効果的に利用し、試料を上側から照明し、近接場の散乱光も試料の上側で検出できる。この場合も、開口数の大きいコンデンサーレンズを使い、試料を等方的に浅い角度にて照明でき、上側に散乱された近接場光を効率よく集められる。光学系にピンホールを使うことによりS/N比を上げることができる。
【0064】
以上の他の実施の態様の構成の特徴を要約すると次の通りである。すなわち、倒立顕微鏡の落射照明装置の開口絞り部に対物レンズの開口数が1以下の光をカットするビームストップを設け、照明光が試料基板内にて全反射し、基板表面に近接場を発生させることを基本的な特徴とする近接場顕微鏡である。そして前記近接場光を原子間力顕微鏡用カレンチレバーに金属をコートした探針により散乱することを第2の特徴とし、また、前記探針により散乱された光を対物レンズにて再び集光することを第3の特徴としている。
【0065】
なお、上記他の実施の形態においては、AFM用のカレンチレバーに金属をコーティングした探針を用いたが、この探針に代えて、APPLIED PHYSICS LETTERS VOLUME72,NUMBER22,2900−2902(1 JUNE 1998)に記載されるような、サーマルイメージング用のカレンチレバーを用いてもよい。このサーマルイメージング用のカレンチレバーは、その先鋭な先端が熱電対を形成しており、熱電対は2種の金属の接合により形成(上記文献では、金とパラジウムで形成)されるから、この金属を利用するものであり、常用されるAFM用カレンチレバーに金属化のための処理を施さずに済むという利点がある。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、先端が金属のプローブを用いる近接場顕微鏡が備える開口数が1以上の対物レンズによって形成される試料照明用の集光スポットを開口数が1以上の光束のみにより形成する手段を設けたので、プローブの先端以外で反射ないし散乱される伝播光が低減し、迷光及びバックグラウンド成分は大幅に低減でき、信号検出のSN比が向上するとともに、画像化の分解能も併せて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のNSOM装置の要部構成図である。
【図2】図1の装置における問題点を図解した説明図である。
【図3】本発明に係るNSOM装置の要部構成・説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示す全体構成図である。
【図5】適用した金属プローブの先端部を示し、(A)は倍率が14倍の、図面に代わる電子顕微鏡写真、(B)は倍率が40000倍の、図面に代わる電子顕微鏡写真である。
【図6】距離制御システムを使うプローブ先端の位置決め調整過程の説明図である。
【図7】遮光プレート34の作用を検証するための対比データを示すグラフである。
【図8】遮光プレート34の作用効果を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施の形態を蛍光測定に適用したときプローブ−サンプル間距離依存性を示すグラフである。
【図10】遮光プレート34を用いない場合の蛍光測定におけるプローブ−サンプル間距離依存性を示すグラフである。
【図11】集光スポットとプローブ先端の大きさを平面的に対比させた光点の模式図である。
【図12】プローブ先端に対する蛍光励起の態様を模式的に説明し、(A)は蛍光試料中におけるもの、(B)は目標とする理想的な蛍光励起の態様を示す。
【図13】本発明の応用例を示し、光記録材料に対する高密度・光学読取りおよび/または書込み装置の基本構成図である。
【図14】本発明の他の実施の形態を示し、プローブにAFM(原子間力顕微鏡)のカレンチレバーを用いたNSOM装置の概略構成図である。
【図15】AFM用カレンチレバーを利用するに至る背景を説明するための模式図である。
【図16】(A)(B)ともさらにAFM用カレンチレバーを利用するに至る背景を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1、25、107……開口数が1以上の対物レンズ
7、24……金属プローブ
11……開口数(NA)が1以上の光束
34、108……遮光プレートないしビームストップ
105……先端部に金属コートしたAFM用カレンチレバー
Claims (4)
- 開口数が1以上の対物レンズによって形成される試料照明用の集光スポットに基づいて生起される近接場に少なくとも先端部が金属のプローブを挿入して該プローブの先端で散乱された伝播光に基づいて前記試料に係る画像化を行える散乱型近接場顕微鏡において、
前記集光スポットを形成する光束を開口数が1以上の輪帯光束のみに制限する手段を、光路中へ進退自在に設けた、ことを特徴とする散乱型近接場顕微鏡。 - 前記手段は、前記試料の照明光源から前記対物レンズに至る光路の光軸上に設けた円形の遮光体である請求項1記載の散乱型近接場顕微鏡。
- 前記手段は、アキシコン光学素子である請求項1記載の散乱型近接場顕微鏡。
- 前記試料は蛍光物質を含む薄膜状試料であり、前記プローブの先端を前記蛍光試料の励起光源とし、励起により発生した蛍光を前記対物レンズにより集光する構成である、請求項1ないし請求項3に記載の散乱型近接場顕微鏡。
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