本発明の共重合体は、良好な耐候性・耐水性を与えることができる水性塗料用添加剤として使用可能な共重合体であり、具体的には、下記の一般式(1)で表されるユニットA及び下記の一般式(2)で表されるユニットBを必須の構成ユニットとして含有する共重合体である:
(式中、R
1及びR
4は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R
1〜R
3の基の2つ以上が水素原子である場合は除く。)
(式中、R
5は、水素原子又はメチル基を表し、R
6は、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水素原子、酸素ラジカル及び水酸基からなる群から選択される基を表す。)
上記一般式(1)のR1及びR4は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表わすが、原料が手に入りやすいことから、R4は水素原子であることが好ましい。また、一般式(1)のR2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられる。
これらの中でも、原料が手に入りやすいことから、後述する本発明の共重合体の必須の原料モノマーとして挙げる一般式(4)で表される化合物由来の基、すなわち、当該化合物に対応する基であることが好ましい。
更に、一般式(1)のR2及びR3は、良好な耐候性向上効果が得られることから、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。加えて、より良好な耐候性向上効果が得られることから、R1〜R3の基中の炭素数の合計が1〜20であることが好ましく、R1〜R3の基中の炭素数の合計が4〜15であることがより好ましく、R1〜R3の基中の炭素数の合計が6〜9であることが更により好ましい。但し、R1〜R3の基の2つ以上が水素原子である場合は除く(例えば、R1が水素原子である場合は、R2及びR3はいずれも炭素数1〜20の炭化水素基となり、R2及びR3のいずれかが水素原子の場合は、その他方は炭素数1〜20の炭化水素基、R1はメチル基となる)。
次に、上記一般式(2)のR5は水素原子又はメチル基を表わすが、本発明の効果が得られやすいことからメチル基が好ましい。また、一般式(2)のR6は、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水素原子、酸素ラジカル及び水酸基からなる群から選択される基を表す。酸素原子を含有しない炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられる。
また、酸素原子を含有する炭素数1〜20の炭化水素基としては、酸素原子が、上記炭化水素基の炭素原子を置換して当該炭化水素基内の1箇所または2箇所以上に導入された基を指し、具体的にはエーテル基等を指す。
更に、炭素数1〜20のアルコキシ基とは、−OR’で表される基を表し、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R’としては、上記列挙した酸素原子を含有しない炭素数1〜20の炭化水素基と同じものが挙げられる。
これらの中でも、原料が手に入りやすいことから、後述する本発明の共重合体の必須の原料モノマーとして挙げる一般式(5)で表される化合物由来の基、すなわち、当該化合物に対応する基であることが好ましい。更に、良好な耐候性向上効果が得られることから、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であることが更により好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜4の炭化水素基であることが尚更に好ましく、水素原子、メチル基であることが最も好ましい。
本発明の共重合体は、一般式(1)で表されるユニットA及び一般式(2)で表されるユニットBを必須の構成ユニットとしていれば、一般式(1)のR1〜R4が異なるユニットAを2種以上含有してもよく、一般式(2)のR5及びR6が異なるユニットBを2種以上含有してもよいが、本発明の効果が得られやすいことから、1種のユニットAと1種のユニットBを含有している共重合体であることが好ましい。
上記のユニットAとユニットBを必須の構成ユニットとする本発明の共重合体は、本発明の効果が得られやすいことから、ユニットA及びユニットBを合計で50質量%以上含有する共重合体であることが好ましく、80質量%以上含有する共重合体であることがより好ましく、90質量%以上含有する共重合体であることが更により好ましい。尚、本発明の共重合体は、ユニットA及びユニットBから本質的になることが好ましく、最も好ましくは、共重合体がユニットA及びユニットBのみから構成される。ここで、「本質的になる」とは、共重合体が主にユニットA及びユニットBから構成され、ユニットA及びユニットB以外のユニットを1質量%以下の量で含むことをいう。共重合体の重合形態は特に規定されるものではなく、ユニットAを形成する原料モノマーと、ユニットBを形成する原料モノマーがブロック共重合であってもよく、ランダム共重合であってもよく、交互共重合或いはグラフト共重合のいずれであってもよい。
本発明の共重合体中のユニットAとユニットBの構成比は、本発明の効果を奏する限り特に制限されないが、より良好な耐候性と耐水性を与える共重合体が得られることから、ユニットA/ユニットB=50/50〜90/10(質量比)であることが好ましく、50/50〜65/35(質量比)であることがより好ましい。ユニットAの割合がユニットA/ユニットB=90/10(質量比)より多くなると良好な耐候性が得られない場合があり、ユニットBの割合がユニットA/ユニットB=50/50(質量比)より多くなると、ユニットBを形成する原料モノマーが高価であることからコストパフォーマンスが悪くなる場合があり、更に耐候性向上効果が頭打ちとなり、共重合体中のユニットBの構成比に見合った本発明の効果が得られない場合がある。
なお、本発明の共重合体は、ユニットA及びユニットB以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、更に、下記の一般式(3)で表されるユニットC[但し、一般式(2)で表されるユニットBは除く]を構成ユニットとして含有することもできる:
(式中、R
7は、水素原子又はメチル基を表し、R
8は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種または2種以上の置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
ここで、一般式(3)のR7は、水素原子又はメチル基を表すが、本発明の効果を阻害せず、良好な耐候性向上効果を持つ共重合体が得られることから、メチル基が好ましい。また、一般式(3)のR8は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種または2種以上の置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭素数1〜20の炭化水素基が置換基を有さない場合、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられ、また、炭素数1〜20の炭化水素基が置換基を有する場合は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子から選択される置換基によって、上記の炭化水素基の1箇所または2箇所以上の水素原子を置換したものであればよく、当該炭化水素基の炭素原子を置換して当該炭化水素基内の1箇所または2箇所以上に導入される形であってもよいが、どの形であっても基中の全炭素数が1〜20であればよい。
これらの中でも、原料が手に入りやすいことから、後述する本発明の共重合体の原料モノマーとして挙げる一般式(6)で表される化合物由来の基、すなわち、当該化合物に対応する基であることが好ましい。更に、本発明の効果を阻害せず、良好な耐候性を示す共重合体が得られることから、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基、及び水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、グリシジル基から選択される置換基を有する炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基及び水酸基を有する炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基であることが更により好ましく、置換基を有しない炭素数4〜12の炭化水素基であることが尚更に好ましい。
上述のように、本発明の共重合体は、一般式(1)で表されるユニットA及び一般式(2)で表されるユニットBとは別に、一般式(3)で表されるユニットCを含有することができ、ここで、一般式(3)におけるR7及びR8が異なる2種以上のユニットCを含有することもできる。しかしながら、本発明の共重合体がユニットCを含む場合、本発明の効果が得られやすいことから、1種のユニットCを含有している共重合体であることが好ましい。
なお、本発明の共重合体がユニットCを含む場合、その含有量は例えば共重合体に50質量%未満であることができ、また、20質量%未満であることができ、更に、10質量%未満であることができ、また、1質量%未満であることもできる。ユニットCを含有する共重合体の重合形態は特に規定されるものではなく、ユニットAを形成する原料モノマーと、ユニットBを形成する原料モノマーと、ユニットCを形成する原料モノマーそれぞれがブロック共重合であってもよく、ランダム共重合であってもよく、交互共重合或いはグラフト共重合のいずれであってもよい。
本発明の共重合体がユニットCを含有する場合には、共重合体中のユニットAとユニットBに対するユニットCの構成比は、本発明の効果を奏する限り特に制限されないが、より良好な耐候性と耐水性を与える共重合体が得られることから、(ユニットA+ユニットB)/ユニットC=50/50〜99/1(質量比)であることが好ましく、60/40〜99/1(質量比)であることがより好ましく、90/10〜99/1(質量比)であることが更により好ましい。ユニットCの割合が(ユニットA+ユニットB)/ユニットC=50/50(質量比)より多くなると良好な耐候性向上効果が得られない場合がある。尚、ユニットAとユニットBの構成比は、前述した構成比を保ちつつ、ユニットCを上記の構成比で含んでいる共重合体であることが好ましい。
本発明の共重合体の原料モノマーは、特に規定されないが、調達が容易であり、製造が容易であることから、下記の一般式(4)で表される化合物及び下記の一般式(5)で表される化合物を必須の原料モノマーとして使用することが好ましい:
(式中、R
1及びR
4は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。但し、R
1〜R
3の基の2つ以上が水素原子である場合は除く。)
(式中、R
5は、水素原子又はメチル基を表し、R
6は、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水素原子、酸素ラジカル及び水酸基からなる群から選択される基を表す。)
ここで、一般式(4)のR1及びR4は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基を表すが、原料が手に入りやすいことから、R4は、水素原子であることが好ましい。また、一般式(4)のR2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられる。
これらの中でも、一般式(4)のR2及びR3は、良好な耐候性向上効果が得られることから、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜10の飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。更に、より良好な耐候性向上効果が得られることから、R1〜R3の基中の炭素数の合計が1〜20であることが好ましく、R1〜R3の基中の炭素数の合計が4〜15であることがより好ましく、R1〜R3の基中の炭素数の合計が6〜9であることが更により好ましい。但し、R1〜R3の基の2つ以上が水素原子である場合は除く(例えば、R1が水素原子である場合は、R2及びR3はいずれも炭素数1〜20の炭化水素基となり、R2及びR3のいずれかが水素原子の場合は、その他方は炭素数1〜20の炭化水素基、R1はメチル基となる)。一般式(4)で表される化合物は、1種を原料モノマーとして用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、本発明の効果を得られやすいことから1種を原料モノマーとして用いる方が好ましい。
次に、一般式(5)のR5は水素原子又はメチル基を表すが、本発明の効果が得られやすいことから、メチル基が好ましい。また、一般式(5)のR6は、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水素原子、酸素ラジカル、水酸基の群から選択される基を表す。酸素原子を含有しない炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられる。
また、酸素原子を含有する炭素数1〜20の炭化水素基としては、酸素原子が、上記炭化水素基の炭素原子を置換して当該炭化水素基内の1箇所または2箇所以上に導入された基を指し、具体的にはエーテル基等を指す。炭素数1〜20のアルコキシ基とは、−OR’で表される基を表し、R’は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R’としては、上記列挙した酸素原子を含有しない炭素数1〜20の炭化水素基と同じものが挙げられる。
これらの中でも、良好な耐候性向上効果が得られることから、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基であることがより好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であることが更により好ましく、水素原子、酸素原子を含有してもよい炭素数1〜4の炭化水素基であることが尚更に好ましく、水素原子、メチル基であることが最も好ましい。一般式(5)で表される化合物は、1種を原料モノマーとして用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、本発明の効果を得られやすいことから1種を原料モノマーとして用いる方が好ましい。
本発明の共重合体の必須の原料モノマーである一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物は、任意の割合で使用すればよいが、良好な耐候性と耐水性を与える共重合体が得られることから、[一般式(4)で表される化合物]/[一般式(5)で表される化合物]=50/50〜90/10(質量比)の割合で反応させることが好ましく、50/50〜65/35(質量比)の割合で反応させることがより好ましい。一般式(4)で表される化合物の割合が[一般式(4)で表される化合物]/[一般式(5)で表される化合物]=90/10(質量比)より多くなると良好な耐候性が得られない場合があり、一般式(5)で表される化合物の割合が[一般式(4)で表される化合物]/[一般式(5)で表される化合物]=50/50(質量比)より多くなると、一般式(5)で表される化合物が高価であることからコストパフォーマンスが悪くなる場合があり、更に耐候性向上効果が頭打ちとなり、一般式(5)で表される化合物の使用量に見合った本発明の効果が得られない場合がある。
本発明の共重合体は、上記の一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物を原料モノマーとし反応させることで得ることができるが、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物のみを原料モノマーとして製造してもよいし、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物だけでなく、更にその他の原料モノマーとして重合性を持つモノマーを共に重合させたものであってもよい。その他の原料モノマーとして使用可能な重合性を持つモノマーとしては、一般的な重合性を持つモノマーとして知られている化合物であればいずれでもよく、例えば、下記の一般式(6)で表される化合物[但し、一般式(5)で表される化合物は除く]を原料モノマーとして使用することができる:
(式中、R
7は、水素原子又はメチル基を表し、R
8は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種または2種以上の置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)
ここで、一般式(6)のR7は、水素原子又はメチル基を表すが、本発明の効果を阻害せず、良好な耐候性の共重合体が得られることから、メチル基が好ましい。また、一般式(6)のR8は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される1種または2種以上の置換基を有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。炭素数1〜20の炭化水素基が置換基を有さない場合、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、分岐鎖ペンチル基、第2級ペンチル基、第3級ペンチル基、n−ヘキシル基、分岐鎖ヘキシル基、第2級ヘキシル基、第3級ヘキシル基、n−ヘプチル基、分岐鎖ヘプチル基、第2級ヘプチル基、第3級ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、分岐鎖オクチル基、第2級オクチル基、第3級オクチル基、n−ノニル基、分岐鎖ノニル基、第2級ノニル基、第3級ノニル基、n−デシル基、分岐鎖デシル基、第2級デシル基、第3級デシル基、n−ウンデシル基、分岐鎖ウンデシル基、第2級ウンデシル基、第3級ウンデシル基、n−ドデシル基、分岐鎖ドデシル基、第2級ドデシル基、第3級ドデシル基、n−トリデシル基、分岐鎖トリデシル基、第2級トリデシル基、第3級トリデシル基、n−テトラデシル基、分岐鎖テトラデシル基、第2級テトラデシル基、第3級テトラデシル基、n−ペンタデシル基、分岐鎖ペンタデシル基、第2級ペンタデシル基、第3級ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、分岐鎖ヘキサデシル基、第2級ヘキサデシル基、第3級ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、分岐鎖ヘプタデシル基、第2級ヘプタデシル基、第3級ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、分岐鎖オクタデシル基、第2級オクタデシル基、第3級オクタデシル基、n−ノナデシル基、分岐鎖ノナデシル基、第2級ノナデシル基、第3級ノナデシル基、n−イコシル基、分岐鎖イコシル基、第2級イコシル基、第3級イコシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、1−オクテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、1−デセニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、1−ドデセニル基、4−ドデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、1−オクタデセニル基、2−エチル−1−オクタデセニル基、17−オクタデセニル基、18−ノナデセニル基、19−イコセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、メチルシクロオクチル基、4,4,6,6−テトラメチルシクロヘキシル基、1,3−ジブチルシクロヘキシル基、ノルボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダマンチル基、1−シクロブテニル基、1−シクロペンテニル基、3−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基、3−シクロヘキセニル基、3−シクロヘプテニル基、4−シクロオクテニル基、2−メチル−3−シクロヘキセニル基、3,4−ジメチル−3−シクロヘキセニル等の脂環族炭化水素基等が挙げられ、また、炭素数1〜20の炭化水素基が置換基を有する場合は、水酸基、アルコキシ基、グリシジル基、ニトロ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子からなる群から選択される置換基によって、上記の炭化水素基の1箇所または2箇所以上の水素原子を置換したものであればよく、当該炭化水素基の炭素原子を置換して当該炭化水素基内の1箇所または2箇所以上に導入される形であってもよいが、どの形であっても基中の全炭素数が1〜20であればよい。
これらの中でも、本発明の効果を阻害せず、良好な耐候性を示す共重合体が得られることから、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基及び水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、グリシジル基から選択される置換基を有する炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基及び水酸基を有する炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、置換基を有しない炭素数1〜20の炭化水素基であることが更により好ましく、置換基を有しない炭素数4〜12の炭化水素基であることが尚更に好ましい。
一般式(6)で表される化合物は、公知物質であることから、公知の方法で製造されたものであればよく、一部市販品として購入することも可能である。一般式(6)で表される化合物としては、一般式(5)で表される化合物以外のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ウンデシル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸n−トリデシル、アクリル酸n−テトラデシル、アクリル酸n−ペンタデシル、アクリル酸n−ヘキサデシル、アクリル酸n−ヘプタデシル、アクリル酸n−オクタデシル、アクリル酸n−ノナデシル、アクリル酸n−エイコシル等のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸4−メチルシクロヘキシルメチル、アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸シクロヘキシルメチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸オキソシクロへキシルメチル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基含有アクリル酸エステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノアクリレート等の水酸基含有アクリル酸エステル;アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸2−カルボキシプロピル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、アクリル酸4−カルボキシブチル等のカルボキシル基含有アクリル酸エステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸2−オクトキシエチル、アクリル酸2−ラウロキシエチル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸3−メトキシブチル、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート等のアルコキシ基含有アクリル酸エステル;アクリル酸グリシジル、アクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有アクリル酸エステル等が挙げられ、これら以外のその他のアクリル酸エステルとしては、アクリル酸N,N′−ジメチルアミノエチル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸テトラフルオロプロピル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。中でも、耐候性向上効果が高いことから、アクリル酸アルキルエステル、脂環式炭化水素基含有アクリル酸エステル、水酸基含有アクリル酸エステル、カルボキシル基含有アクリル酸エステル、アルコキシ基含有アクリル酸エステル、グリシジル基含有アクリル酸エステルであることが好ましく、アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有アクリル酸エステル、アルコキシ基含有アクリル酸エステル、グリシジル基含有アクリル酸エステルであることがより好ましく、アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有アクリル酸エステルであることが更により好ましく、アクリル酸アルキルエステルであることが尚更に好ましい。
また、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物と共に一般式(6)で表されるアクリル酸エステルを本発明の共重合体の原料モノマーとして使用する場合には、上記のアクリル酸エステルの1種を原料モノマーとして用いてもよく、2種以上を用いてもよい。メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ウンデシル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸n−トリデシル、メタクリル酸n−テトラデシル、メタクリル酸n−ペンタデシル、メタクリル酸n−ヘキサデシル、メタクリル酸n−ヘプタデシル、メタクリル酸n−オクタデシル、メタクリル酸n−ノナデシル、メタクリル酸n−エイコシル等のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸4−メチルシクロヘキシルメチル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸シクロヘキシルメチル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸オキソシクロへキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸イソボルニル等の脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート等の水酸基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸2−カルボキシプロピル、メタクリル酸3−カルボキシプロピル、メタクリル酸4−カルボキシブチル等のカルボキシル基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリル酸2−オクトキシエチル、メタクリル酸2−ラウロキシエチル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸3−エトキシプロピル、メタクリル酸3−メトキシブチル、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、オクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート等のアルコキシ基含有メタクリル酸エステル;メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル等のグリシジル基含有メタクリル酸エステル等が挙げられ、これら以外のその他のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸N,N′−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
これらの中でも、メタクリル酸アルキルエステル、脂環式炭化水素基含有メタクリル酸エステル、水酸基含有メタクリル酸エステル、カルボキシル基含有メタクリル酸エステル、アルコキシ基含有メタクリル酸エステル、グリシジル基含有メタクリル酸エステルであることが好ましく、メタクリル酸アルキルエステル、水酸基含有メタクリル酸エステル、アルコキシ基含有メタクリル酸エステル、グリシジル基含有メタクリル酸エステルであることがより好ましく、メタクリル酸アルキルエステル、水酸基含有メタクリル酸エステルであることが更により好ましく、メタクリル酸アルキルエステルであることが尚更に好ましい。また、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物と共にメタクリル酸エステルを本発明の共重合体の原料モノマーとして使用する場合は、上記に記載したメタクリル酸エステル1種を原料モノマーとして用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
原料モノマーとして一般式(6)で表される化合物を一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物と共に重合させる場合、上記に列挙した1種または2種以上のアクリル酸エステル、1種または2種以上のメタクリル酸エステル、1種または2種以上のアクリル酸エステルと1種または2種以上のメタクリル酸エステルからなる群から選択されるいずれかを原料モノマーとして使用することができ、例えば、1種または2種以上のメタクリル酸エステルを使用することが好ましい。
原料モノマーとして、一般式(6)で表される化合物を、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物と共に重合させる場合には、一般式(6)で表される化合物は任意の割合で使用すればよく、例えば、{[一般式(4)で表される化合物]と[一般式(5)で表される化合物]の合計量}/[一般式(6)で表される化合物]=50/50〜99/1(質量比)の割合で反応させることができ、また、60/40〜99/1(質量比)の割合で反応させることができ、更に、90/10〜99/1(質量比)の割合で反応させることができる。尚、[一般式(4)で表される化合物]と[一般式(5)で表される化合物]の使用割合を上述の如く保ちつつ、一般式(6)で表される化合物を上記の割合で使用して反応させることができる。
一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物を原料モノマーとして本発明の共重合体を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で製造すればよいが、粒子の粒子径を制御でき、且つ粒度分布の狭い共重合体を得ることができることから乳化重合法によって製造することが好ましい。乳化重合法では、重合条件によって小さな粒子から大きな粒子まで容易に製造することができ、具体的には体積平均粒子径が10〜350nmのものであれば自由に製造することができる。中でも、塗料に配合した際に、本発明の共重合体の分散性が良好であることから、体積平均粒子径が80〜250nmのものであることが好ましく、体積平均粒子径が100〜200nmのものであることがより好ましく、110〜170nmのものであることが更により好ましい。尚、乳化重合法によって得られた本発明の共重合体の体積平均粒子径は、動的光散乱法にて粒度分布を測定する方法が一般的であり、本発明においても、粒度分布計を用いて測定することができる。
本発明の共重合体を乳化重合法にて製造する際、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物は、反応時、全量を混合し反応させてもよく、各原料モノマーを反応の進行に応じて分割して加え反応させてもよい。また、その他の原料モノマーとして、例えば一般式(6)で表される化合物等を使用する場合には、これらも一般式(4)及び(5)で表される各原料モノマーと一緒に、全量を混合し反応させてもよく、各原料モノマーを反応の進行に応じて分割して加えて反応させることもできる。
乳化重合法によって本発明の共重合体を得る方法としては、乳化重合法として知られている公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、例えば、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物等の原料モノマーを水と界面活性剤(乳化剤)で乳化して重合開始剤を使用し重合すればよい。原料モノマーの種類や濃度、反応温度、乳化剤濃度、開始剤濃度等の条件によって得られる共重合体の粒子の大きさや粒度分布が決定するので、粒子の大きさに指定がある場合にはこれらの条件を適宜調整して乳化重合を行うことができる。
乳化重合法に使用できる乳化剤は、公知の界面活性剤であればいずれも使用することができ、例えば、非重合性アニオン界面活性剤、非重合性ノニオン界面活性剤、非重合性カチオン界面活性剤、非重合性両性界面活性剤及び重合(反応)性界面活性剤が挙げられる。
非重合性アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、二級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキル硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、グリセライド硫酸エステル塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N −アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシル化ペプチド、アシルオキシエタンスルホン酸塩、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム、N−パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン、カゼインナトリウム、トリアジン化合物及びアルキルまたはアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等の1種または2種以上の混合物が挙げられる。
非重合性ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリグリセリン脂肪酸類、脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ソルビット脂肪酸エステル類又はそのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド、脂肪酸モノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸−N−メチルモノエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸ジエタノールアミド又はそのエチレンオキサイド付加物、テトラポリオキシエチレンテトラポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合物類(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキル(ポリ)グリセリンエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンダイズステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンフィトステロール(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリチル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい)、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸、イソステアリン酸ポリオキシエチレン−60グリセリル、オリゴコハク酸ポリオキシエチレン−3−ポリオキシプロピレン−20、オレス−20、セテス−20、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸メチルエステルエトキシレート、N−長鎖アルキルジメチルアミンオキサイド及びプルロニック型類等が挙げられる。
非重合性カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、エーテル基或いはエステル基或いはアミド基を含有するモノ或いはジ或いはトリアルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)ピリジニウム塩、アルキル(アルケニル)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル) イソキノリニウム塩、ジアルキル(アルケニル)モルホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル) アミン、アルキル(アルケニル)アミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
非重合性両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤、ホスホベタイン系界面活性剤、アミドアミノ酸系界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
分子内に二重結合を有する重合(反応)性界面活性剤としては、例えば、特公昭49−46291号公報、特開昭58−203960号公報、特開昭61−222530号公報、特開昭62−100502号公報、特開昭62−104802号公報、特開昭62−11534号公報、特開昭63−23725号公報、特開昭63−91130号公報、特開昭63−319035号公報、特開平04−256429号公報、特開平04−50202号公報、特開平04−50204号公報、特開平06−239908号公報、特開平08−041113号公報、特開平09−031113号公報、特開平10−120712号公報、特開2002−265505号公報、特開2002−275115号公報、特開2002−301353号公報、特開2003−128709号公報等に記載されたものが挙げられ、これらの技術内容は、適宜取り込まれ本明細書の一部とする。
上記列挙した乳化重合法に使用できる乳化剤の中でも、良好な耐候性向上効果と耐水性を持つ共重合体が得られることから、分子内に二重結合を有する重合(反応)性界面活性剤を使用することが好ましく、中でも、本発明の共重合体を乳化重合法にて製造するのに適していることから、下記の一般式(7)で表される反応性界面活性剤を使用することが好ましい:
(式中、R
9は、炭素数6〜30の炭化水素基を表し、Xは、−CH
2−O−又は−CO−O−を表し、Zは、−(A−O)
n−H又は−(A−O)
p−Yを表し、Aは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、nは、1〜100の数を表し、pは、0〜100の数を表し、Yは、−SO
3M、−PO
3M
2又は−PO
3MHを表し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウムを表す。)
一般式(7)において、R9は、炭素数6〜30の炭化水素基を表し、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ドコシル基、テトラコシル基及びトリアコンチル基(これらの基は直鎖であっても分岐であってもよく、第1級であっても第2級であっても第3級であってもよい)等の飽和脂肪族炭化水素基;ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ドコセニル基、テトラコセニル基及びトリアコンテニル基(これらの基は直鎖であっても分岐であってもよく、第1級であっても第2級であっても第3級であってもよい)等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、ジノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の芳香族炭化水素基;シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロオクチル基等の脂環族炭化水素基等が挙げられる。
Xは、−CH2−O−又は−CO−O−を表す。Zは、−(A−O)n−H又は−(A−O)p−Yを表す。Aは、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、例えば、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基が挙げられる。nは、1〜100の数を表し、pは、0〜100の数を表す。Yは、−SO3M、−PO3M2又は−PO3MHを表し、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子(但し、アルカリ土類金属原子は1/2)、アンモニウムを表す。
乳化剤の使用量は、通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、耐水性が良好となることから、原料モノマーに対して、0.1〜20質量%使用することが好ましく、0.2〜10質量%使用することがより好ましく、0.5〜8質量%使用することが更により好ましい。
乳化重合を行う際に使用する重合開始剤は、一般的にラジカル重合開始剤として使用されているものであればいずれでもよく、具体的には、硫酸第一鉄;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム等の重亜硫酸塩;亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩;過酸化ベンゾイル、ラウリルペルオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’− アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’− アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’− アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)およびその塩類2,2’− アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]およびその塩類等のアゾ化合物等が用いられる。これらの重合開始剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記の重合開始剤使用量は、通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、反応を制御しやすいことから、本発明の共重合体の原料モノマーに対して、0.01〜10質量%使用することが好ましく、0.05〜5質量%使用することがより好ましく、0.2〜2質量%使用することが更により好ましい。
本発明の共重合体は、様々な用途で使用可能であるが、耐候性向上効果が良好に得られる塗料用添加剤として使用することが好ましい。塗料用添加剤として使用する際、塗膜の耐候性向上効果がよりよくなることから架橋構造を持たない共重合体若しくは架橋構造が少ない共重合体である方が好ましい。一般的な重合反応では、共重合体の架橋構造を制御するために、連鎖移動剤が使用される場合がある。しかしながら、本発明の共重合体は、一般式(4)で表される化合物の立体障害が大きいため、当該化合物を原料モノマーとして使用することにより、本発明の効果が十分に得られる低架橋構造の共重合体を得ることができるため、連鎖移動剤は不要である。
尚、本発明の共重合体の重量平均分子量は、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に規定されず、一般式(4)で表される化合物と下記の一般式(5)で表される化合物を原料モノマーとし得られる共重合体であれば本発明の効果を示す。
本発明の共重合体の具体的な乳化重合法による製造方法としては、例えば、窒素雰囲気下、まず、一般式(4)で表される化合物及び一般式(5)で表される化合物等の共重合性を持つ原料モノマーのそれぞれ20分の1量〜2分の1量(その他の原料モノマーを使用する場合はその他の各原料モノマーのそれぞれ20分の1量〜2分の1量も含む)と、使用する水の5分の1量〜全量と、使用する乳化剤の30分の1量〜5分の1量と、重合開始剤の20分の1量〜2分の1量を反応系中に仕込み、撹拌しながら60〜80℃に昇温し、10〜30分反応させる。その後、残りの共重合性を持つ原料モノマー、水、乳化剤及び重合開始剤の全量を滴下ロートに仕込み、1〜6時間かけて60〜80℃の系中に滴下する。滴下完了後、60〜80℃で1〜6時間熟成反応を行い、固形分10〜80%の本発明の共重合体の水分散物を得る。
また、本発明の共重合体は、乳化重合法でなくても一般的なラジカル重合法であれば製造でき、例えば、共重合性を持つ原料モノマーを溶媒存在下、重合開始剤と共に反応させることにより得ることが出来る。溶媒は、使用しても使用しなくても本発明の共重合体を製造することは可能であるが、溶媒を使用しないと系全体が高粘度になり、反応が系内で局在的に進んで不均一な反応となる場合があるため、反応を均一的に進めるためにも溶媒の使用は好ましく、溶媒を使用すると、最終生成物の粘度が下がるので取扱いが容易にもなる。尚、得られた溶媒分散物は、用途に応じてそのまま製品とすることもできる。
尚、上記のような方法で、溶媒を使用し製造すると、本発明の共重合体は溶媒中に溶解した状態で得られるため、水分散物とする場合は、まず溶媒を除去して100%品とし、その後、得られた共重合体を水に分散剤を用いて分散させて得る。ここで使用可能な分散剤は、前述した乳化重合法で使用可能な乳化剤と同じものが挙げられる。尚、溶媒の除去は公知の方法であればいずれの方法を使用してもよく、例えば、減圧蒸留、加温しての乾燥、スプレードライ、或いはこれらの方法の組み合わせ等が挙げられる。また、反応時に使用した溶媒ではない別の溶媒に希釈し製品とする場合、溶媒を除去して100%品とし、その後、得られた共重合体に希釈溶媒を添加し、製品としてもよいが、得られる共重合体の粘度が高すぎて、反応で用いた溶媒を完全に飛ばすことが困難となる場合があるため、反応終了後に、反応で用いた溶媒と違う希釈用溶媒を先に添加し、沸点の差を利用して溶媒置換し製品とする方が好ましい。
上記の反応・若しくは希釈時に使用できる溶媒としては、ラジカル重合に使用される溶媒であればいずれでもよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチル分岐ブチルケトンミリスチン酸分岐プロピル、トリグリセライド類等のエステル系溶媒;各種シリコーン油等が挙げられる。また、上記の反応時に使用できる重合開始剤としては、上記乳化重合法で使用可能な重合開始剤として列挙したものと同様のものが使用可能である。
本発明の共重合体は、様々な用途で使用可能であり、耐候性向上効果が良好に得られる塗料用添加剤として使用することが好ましく、水性塗料にも油性塗料にも使用することができるが、中でも、良好な耐候性向上効果と耐水性が得られることから、水性塗料用添加剤として使用することが好ましく、その際、取り扱いが容易になることから、固形分10〜80%になるよう本発明の共重合体を水に分散させた水性塗料用添加剤組成物の形態で使用することが好ましく、固形分20〜50%になるよう本発明の共重合体を水に分散させた水性塗料用添加剤組成物の形態で使用することがより好ましい。よって、前述した乳化重合法を用いて製造すれば、固形分も自由に設定でき、得られる水分散物をそのまま水性塗料用添加剤組成物として使用できる。
本発明の水性塗料用添加剤を使用可能な水性塗料は、水に溶解する樹脂を用いて塗料化された溶解形の水性塗料であってもよく、難水溶性である多種多様な樹脂を水中に分散させ塗料化した水分散形の水性塗料であってもよい。これら水性塗料用の樹脂としては、塗料用として使用されている樹脂であれば特に制限されず、例えば、酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ニトリルブタジエン樹脂、石油樹脂、ロジン、セラック、アマニ油、ボイル油、大豆油、ひまし油、アセチルセルロース及び硝化綿等が挙げられ、これら樹脂は1種又は2種以上を使用してもよい。本発明の塗料用添加剤は、これらの中でも、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂のいずれかを主要樹脂として使用している塗料に使用することが、本発明の効果が得られ易いことから好ましく、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂のいずれかを主要樹脂として使用している塗料に使用することがより好ましく、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂のいずれかを主要樹脂として使用している塗料に使用することが更により好ましい。ここで、本明細書にて主要樹脂とは、塗料中で最も多く使用されている樹脂を差し、例えば、樹脂成分として、ウレタン樹脂を40質量%、アクリル樹脂を60質量%使用した塗料であった場合、主要樹脂はアクリル樹脂となる。
本発明の共重合体を塗料に含有させる場合、その調製方法は特に制限されないが、塗料用樹脂に本発明の共重合体をあらかじめ含有させ均一分散させたものを水や溶媒に溶解若しくは分散させることで配合してもよく、本発明の共重合体を各種添加剤や塗料用樹脂と共に、塗料を製造する際に一緒に含有させてもよく、本発明の共重合体を本発明品以外の各種添加剤や塗料用樹脂から製造された塗料に後から含有させてもよい。また、塗料には、一液型塗料と二液型塗料の2つのタイプがあるが、一液型塗料である場合は、上記に記載した方法のどれかで本発明の共重合体を塗料に配合すればよく、二つの液を混ぜて使用する二液型塗料である場合は、塗料用樹脂が含まれている主剤の方に本発明の共重合体を含有させることが好ましい。本発明の共重合体の塗料への分散が不十分な場合には、本発明の効果を十分に発揮できない場合がある。尚、本発明の共重合体は、水性塗料用添加剤として使用することが本発明の効果が得られやすく好ましいため、水性塗料の主体である一液型塗料で使用することが好ましい。
水性塗料中の本発明の水性塗料用添加剤の含有量は、所望の効果を奏する限り特に限定されない。しかしながら、通常、本発明の水性塗料用添加剤は、水性塗料100質量部に対して、0.1〜5.0質量部含有する。中でも、添加量に見合った効果が得られやすいことから、0.5〜3.0質量部含有することが好ましく、0.5〜1.0質量部含有することがより好ましい。当該含有量が0.1質量部未満である場合には、十分な耐候性効果を示す水性塗料が得られない場合があり、5質量部を超える場合には、含有量に見合った効果が得られない場合がある。
一般的に塗料とは、塗料用樹脂、添加剤、水若しくは溶剤、顔料から成る組成物を指し、用途によって配合する添加剤や量は適宜変わってくる。本発明の水性塗料用添加剤を含有する水性塗料組成物は、本発明の水性塗料用添加剤以外に、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、各種顔料、可塑剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤(粘性調整剤)、レベリング剤、分散剤、沈降防止剤、耐熱性向上剤、皮張り防止剤、スリップ剤、乾燥剤、たれ防止剤、艶消し剤、光安定剤、酸化防止剤、非反応性紫外線吸収剤等を配合することができる。
本発明の共重合体を、水性塗料用添加剤として使用する場合、建築用塗料、自動車や鉄道等の車両用塗料、船舶用塗料、構造物用塗料、電気機械用塗料、金属製品用塗料、ガーデニング用品用塗料、家具用塗料、皮革用塗料、模型用塗料等多様な塗料用途で使用可能であるが、本発明の効果である耐候性や耐水性が頻繁に求められることから、建築用塗料及び自動車や鉄道等の車両用塗料用の添加剤として使用することが好ましい。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させることができることを理解されたい。尚、以下の実施例等において、「%」は特に記載が無い限り質量基準である。
共重合体の製造に使用した原料モノマーは以下の通りである。
<一般式(4)で表される化合物>
化合物A−1:一般式(4)において、R1=CH3、R4=Hであり、R2及びR3は飽 和脂肪族炭化水素基であって、R2及びR3の炭素数の和が7である
(VeoVaTM10:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
化合物A−2:一般式(4)において、R1=CH3、R4=Hであり、R2及びR3は飽 和脂肪族炭化水素基であって、R2及びR3の炭素数の和が6である
(VeoVaTM9:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
化合物A−3:一般式(4)において、R1=H、R2=C4H9、R3=C2H5、R4= H
(VeoVaTMEH:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
<一般式(5)で表される化合物>
化合物B−1:一般式(5)において、R5=CH3、R6=CH3
化合物B−2:一般式(5)において、R5=CH3、R6=H
<一般式(6)で表される化合物:アクリル酸エステル>
化合物C−1:一般式(6)において、R7=H、R8=C4H9(ブチルアクリレート)
化合物C−2:一般式(6)において、R7=H、R8=C12H25(ラウリルアクリレ ート)
<一般式(6)で表される化合物:メタクリル酸エステル>
化合物D−1:一般式(6)において、R7=CH3、R8=C4H9(ブチルメタクリレ ート)
化合物D−2:一般式(6)において、R7=CH3、R8=C12H25(ラウリルメタク リレート)
化合物D−3:一般式(6)において、R7=CH3、R8=C6H11(シクロヘキシル メタクリレート)
また、使用した乳化剤、開始剤、連鎖移動剤は以下の通りである。
<乳化剤>
製品名:アデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)
(反応性乳化剤:エーテルサルフェート型アンモニウム塩)
<重合開始剤>
製品名:V−50(和光純薬工業株式会社製)
[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩]
<連鎖移動剤>
1−デカンチオール
共重合体水分散物の製造:
上記原料を用い、共重合体水分散物No.1〜23を製造した。なお、共重合体水分散物No.1〜13が本発明品であり、No.14〜23が比較品である。共重合体水分散物No.1〜23の製造に使用した原料の種類、仕込み量(g)を表1及び表2に示す。
共重合体水分散物No.1の製造手順:
窒素雰囲気下、200ml反応フラスコに、A−1を1.60g(全量の10分の1量)、B−1を1.60g(全量の10分の1量)、水を49.5g(全量の4分の3量)、乳化剤を0.09g(全量の20分の1量)、重合開始剤を0.03g(全量の10分の1量)反応系中に仕込み、撹拌しながら70〜75℃に昇温し、15分反応を行った。その後、滴下ロートに残りの全原料、A−1を14.37g、B−1を14.37g、水を16.5g、乳化剤を1.684g、重合開始剤を0.29g仕込み、3時間かけて70〜75℃の系中に滴下した。滴下完了後、70〜75℃で2時間熟成反応を行い、固形分34%の本発明の共重合体水分散物No.1を得た。
また、共重合体水分散物No.2〜23についても、原料の種類が変わったこと以外は上記共重合体水分散物No.1と同様の方法で製造した。但し、共重合体水分散物No.20及び共重合体水分散物No.22に関しては、連鎖移動剤として1−デカンチオールを使用し製造した。
得られた共重合体水分散物の固形分含量並びに共重合体の体積平均粒子径を表1及び表2に併記する。尚、体積平均粒子径は大塚電子株式会社製のゼータ電位・粒径測定システムELSZ−1000ZSを用いて測定した値である。
塗膜の評価I:耐候性の評価
共重合体水分散物No.1〜No.23を水性塗料用添加剤として使用した場合の耐候性に関して調査した。
評価用塗膜の作製
共重合体水分散物No.1〜No.23を市販品の水性塗料であるアクアグロス(関西ペイント社製)100質量部に対し1.5質量部含有させた水性塗料組成物No.1’〜No.23’、 3.0質量部含有させた水性塗料組成物No.1’’〜No.23’’及び共重合体水分散物未添加のアクアグロス(関西ペイント社製)を使用し、各塗膜を作製した。各塗膜は、専用の254μmベーカーフィルムアプリケーターにて基材(材質:ステンレス)に塗布し、室温にて4日間養生した後、評価膜とした。水性塗料組成物No.1’〜No.23’を使用し作製した塗膜を塗膜1’〜23’、水性塗料組成物No.1’’〜No.23’’を使用し作製した塗膜を塗膜1’’〜23’’とし、ブランクとして共重合体水分散物未添加のアクアグロス(関西ペイント社製)を使用し作製した塗膜24も同時に評価した。
評価方法
試験機QUV/spray(Q−Lab社製)にて、上記塗膜の60°グロスを測定し、耐候性を評価した。測定条件は以下の通りである。この値は、塗膜の光沢度(物の表面に当たった光が正反射した結果、人が目で物を見る際そのモノの明るさや、表面に映り込む他の物の像が見える程度)を示した数値であり、数値が高い程、より耐候性の高い膜と言える。本評価においては、60°グロス測定前の各塗膜の60°グロスを測定し、その値を評価終了後どのくらい保持しているかを示す60°グロス保持率(%)にて評価した。尚、本評価は、一般式(5)で表される化合物(化合物B−1及び2)の共重合体中の配合割合によって、その値が変わってくることから、評価結果の比較は、これら化合物の共重合体中の配合割合が同じもの同士で行うこととした。具体的には、[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表される化合物]=50/50(質量比)、65/35(質量比)、90/10(質量比)の割合で配合して得られた共重合体水分散物同士で比較した。
測定条件
50℃×240min condensation
60℃×240min UV exposure
サイクル(ISO 11507)
測定時間 1500時間
[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表される 化合物]=50/50(質量比)で配合して得られた共重合体の評価結果
共重合体水分散物を、市販品の水性塗料であるアクアグロス(関西ペイント社製)100質量部に対し、1.5質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜1’、4’、14’、17’、18’及び23’の評価結果を表3に、 3.0質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜1’’、4’’、14’’、17’’、18’’及び23’’の評価結果を表4に示した。
表3及び4に記載する結果から明らかなように、本発明品は、比較品に比べ良好な耐候性を示すことがわかった。水性塗料中の共重合体水分散物の含有量が増えると、耐候性も向上することがわかる。
[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表される 化合物]=65/35(質量比)で配合し得られた共重合体の評価結果
共重合体水分散物を、市販品の水性塗料であるアクアグロス(関西ペイント社製)100質量部に対し、1.5質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜2’、5’、7’、9’、15’、19’及び20’の評価結果を表5に、 3.0質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜2’’、5’’、7’’、9’’、15’’、19’’及び20’’の評価結果を表6に示した。
表5及び6に記載する結果から明らかなように、[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表される化合物]=50/50(質量比)で配合し得られた共重合体の評価結果と同様、本発明品は、比較品に比べ良好な耐候性を示すことがわかった。尚、本発明品に関しては、水性塗料中の共重合体水分散物の含有量が増えると、耐候性も向上することがわかる。
[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表され る化合物]=90/10(質量比)で配合し得られた共重合体の評価結果
共重合体水分散物を、市販品の水性塗料であるアクアグロス(関西ペイント社製)100質量部に対し、1.5質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜3’、6’、8’、10’、11’、12’、13’、16’、21’、22’の評価結果を表7に、 3.0質量部含有させた水性塗料組成物を使用し作製した塗膜3’’、6’’、8’’、10’’、11’’、12’’、13’’、16’’、21’’、22’’の評価結果を表8に示した。
表7及び8に記載する結果から明らかなよう、[一般式(5)で表される化合物以外の原料モノマー]/[一般式(5)で表される化合物]=50/50(質量比)、65/35(質量比)で配合し得られた共重合体の評価結果と同様、90/10(質量比)で配合し得られた共重合体の評価においても、本発明品は、比較品に比べ良好な耐候性を示すことがわかった。
塗膜の評価II:耐水性の評価
塗料に各種添加剤を添加した場合、これらの添加剤の影響により、塗膜の耐水性を悪化させることがあり、このような添加剤は水性塗料用添加剤として使用することができない。そこで、共重合体水分散物No.1〜No.23を水性塗料用添加剤として使用した場合に、塗膜の耐水性を悪化させるか、否か調査した。
評価用塗膜の作製
共重合体水分散物No.1〜No.23を、市販品の水性エマルジョンであるモビニール6520(日本合成化学工業社製)100質量部に対し1.5質量部含有させた水性塗料組成物No.1’’’〜No.23’’’及び共重合体水分散物未添加のモビニール6520(日本合成化学工業社製)を使用し、各塗膜を作製した。各塗膜は、専用の51μmベーカーフィルムアプリケーターにて基材(材質:ガラス)に塗布し、室温にて4日間養生した後、評価膜とした。水性塗料組成物No.1’’’〜No.23’’’を使用し作製した塗膜を塗膜1’’’〜 23’’’、共重合体水分散物未添加のアクアグロス(関西ペイント社製)モビニール6520(日本合成化学工業社製)を使用し作製した塗膜を塗膜24’’’とした。
評価方法
作製した塗膜を50℃の温水に浸し、2日間放置した。その後、温水から取り出し、塗膜の様子を目視により確認した。評価は、試験終了後の塗膜の後方に黒文字が書かれた紙を置き、その文字がどのくらい明瞭に見えるかを基準に評価した。試験終了後の塗膜が試験終了前と変わらず透明性を維持し黒文字がはっきり見えたものを◎、試験終了前と比べると塗膜に濁りが生じたが黒文字は見えたものを○、試験終了前と比べると塗膜に濁りが生じ黒文字が見えなくなったものを△、試験終了後の塗膜が基材から剥離若しくは破れたものを×として評価した。本発明品の評価結果を表9、比較品の評価結果を表10に示した。
表9及び10に記載する結果から明らかなように、本発明品は全て耐水性が良好な塗膜が得られていることがわかった。尚、比較品に関しても、共重合体製造時に連鎖移動剤を使用した共重合体水分散物No.20及びNo.22を用いて作製した塗膜以外は耐水性の悪化は見られなかった。