JP5189412B2 - ポリオレフィン樹脂用加工助剤、ポリオレフィン樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
さらに、本発明の成形体は、前記のポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、成形加工性に優れる。また、成形加工時の熱分解が抑制されるため、成形加工条件を広く設定することができる。
本発明の成形体は、ポリオレフィン樹脂が有する特性を損なうことがない。
尚、本発明においては、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを示す。
共重合体(A)は、耐熱性を向上させる目的で、単量体(a)を共重合することが必要である。
これらの単量体の中では、ポリオレフィン樹脂に対する分散性が優れることから、n−ブチルメタクリレート及びイソブチルメタクリレートが好ましく、イソブチルメタクリレートがより好ましい。
アルキルメタクリレートのアルキル基の炭素数が2以上であれば、ポリオレフィン樹脂との相溶性が向上し、成形加工時の溶融張力を向上させることができる。アルキルメタクリレートのアルキル基の炭素数が1である場合(即ち、メチルメタクリレートである場合)、ポリオレフィン樹脂との相溶性が得られず、成形加工時の溶融張力は向上しない。
共重合体(A)を形成する全単量体に対する単量体(a)の含有率が0.01質量%以上であれば、共重合体(A)の耐熱性が向上する。共重合体(A)を形成する全単量体に対する単量体(a)の含有率が50質量%以下であれば、共重合体(A)をポリオレフィン樹脂用加工助剤として用いた場合に、成形加工性が向上する。
共重合体(A)を形成する全単量体に対するアルキルメタクリレート(b)の含有率が50質量%以上であれば、共重合体(A)をポリオレフィン樹脂用加工助剤として用いた場合に、成形加工性が向上する。共重合体(A)を形成する全単量体に対するアルキルメタクリレート(b)の含有率が99.99質量%以下であれば、共重合体(A)の耐熱性が向上する。
その他の単量体(c)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、3−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリレート;メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート等のメタクリレートが挙げられる。
共重合体(A)を形成する全単量体(100質量%)に対するその他の単量体(c)の含有率は、20質量%以下が好ましい。
共重合体(A)を形成する全単量体に対するその他の単量体(c)の含有率が20質量%以下であれば、共重合体(A)をポリオレフィン樹脂用加工助剤として用いた場合に、成形加工性が向上する。
共重合体(A)の質量平均分子量の下限は、50万がより好ましく、100万がさらに好ましく、160万が特に好ましい。共重合体(A)の質量平均分子量の上限は、1500万がより好ましく、700万がさらに好ましい。
共重合体(A)の質量平均分子量が15万以上であれば、成形加工性が向上し、質量平均分子量が2000万以下であれば、ポリオレフィン樹脂への分散性が良好となる。
共重合体(A)のTgが40℃以上であれば、乳化重合法で共重合体(A)を製造した後に、粉体として回収することが容易となり、良好なハンドリング性が得られる。
Foxの式とは、以下に示すような、共重合体のTg(℃)と、共重合に用いる単量体を単独重合した場合のTg(℃)との関係式である。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
(式中、Wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iの単独重合体のTg(℃)を示す。)
アニオン性乳化剤としては、例えば、商品名「ニューコール560SF」、「同562SF」、「同707SF」、「同707SN」、「同714SF」、「同723SF」、「同740SF」、「同2308SF」、「同2320SN」、「同1305SN」、「同271A」、「同271NH」、「同210」、「同220」、「同RA331」、「同RA332」(以上、日本乳化剤(株)製)、
商品名「ラテムルB−118E」、「レベノールWZ」、「ネオペレックスG15」(以上、花王(株)製)、
商品名「ハイテノールN08」(第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
商品名「エレミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製)、
商品名「ラテムルS−120」、「同S−180」、「同S−180A」、「同PD−104」(以上、花王(株)製)、
商品名「アデカリアソープSR−10」、「同SE−10」(以上、(株)ADEKA製)、
商品名「アクアロンKH−05」、「同KH−10」、「同HS−10」(以上、第一工業製薬(株)製)等の反応性アニオン乳化剤、
商品名「アデカリアソープNE−10」、「同ER−10」、「同NE−20」、「同ER−20」、「同NE−30」、「同ER−30」、「同NE−40」、「同ER−40」(以上、(株)ADEKA製)、
商品名「アクアロンRN−10」、「同RN−20」、「同RN−30」、「同RN−50」(以上、第一工業製薬(株)製)等の反応性ノニオン性乳化剤が挙げられる。
これらの乳化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩化合物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;上記の過硫酸塩化合物又は有機過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。
これらの中では、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムが好ましい。
乳化重合で得られた共重合体(A)のラテックスを粉体化する方法としては、凝析法及びスプレードライ法が挙げられる。
ラテックス中での共重合体(A)の質量平均粒子径が50nm以上であれば、乳化重合で用いた乳化剤が共重合体(A)及びポリオレフィン樹脂に与える変色及び劣化等の影響を最小限に抑えることができる。ラテックス中での共重合体(A)の質量平均粒子径が250nm以下であれば、共重合体(A)の重合時の停止反応が起こりにくく、例えば質量平均分子量が160万以上の高分子量での分子量制御が容易である。
ポリオレフィン樹脂用加工助剤は、1種の共重合体(A)を含有してもよく、組成、分子量、粒子径等の異なる2種以上の共重合体(A)を併用してもよい。
また、共重合体(A)の他に、ポリオレフィン樹脂用加工助剤としての特性を損なわない範囲において、安定剤、滑剤、難燃剤等の各種添加剤を含有することができる。
商品名「ハイゼックス」((株)プライムポリマー製)、
商品名「ミネロン」、「ミネエース」、「ミネファン」(以上、三共ポリエチレン(株)製)、
商品名「エバフレックス」、「エルバロイAC」、「ニュクレル」(以上、三井デュポンポリケミカル(株)製)が挙げられる。
商品名「プライムポリプロ J105G」、「同J106G」、「同J106MG」、「同J108M」、「同BJS−MU」、「同J704LB」、「同J704MG」、「同J705MG」、「同J715M」、「同J717ZG」、「同111G」、「同B221WA」、「同J232WA」、「同B241」、「同F113G」、「同F109V」、「同F227D」、「同F219DA」、「同F329RA」(以上、(株)プライムポリマー製)が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、ポリオレフィン樹脂用加工助剤を0.5〜20質量部含有すること好ましく、1〜15質量部を含有することがより好ましい。
また、押出成形における吐出量、シート及びフィルム等の押出成形体の表面外観が改良され、押出成形の成形加工性も改良される。
充填剤の中では、炭酸カルシウム、タルクが好ましい。
充填剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜400質量部であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、充填剤の配合量が0.1質量部以上であれば、剛性の改良効果が十分に発現し、400質量部以下であれば、成形品の表面外観が低下しない。
難燃剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、50〜200質量部であることが好ましい。
発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜25質量部であることが好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂用加工助剤及びポリオレフィン樹脂の一部を混合してマスターバッチを作製した後、残部のポリオレフィン樹脂を配合する多段階の配合も可能である。
本発明の成形体としては、例えば、シート、フィルム、異型成形体、中空成形体、射出成形体、発泡成形体が挙げられる。
実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
また、以下に記載の方法により評価を行なった。
以下の方法により、共重合体(A)の質量平均分子量を測定した。
共重合体(A)のテトラヒドロフラン可溶分を試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名:HLC−8220、東ソー(株)製)、カラム(商品名:TSK−GEL SUPER HZM−M、東ソー(株)製)を用いて測定した。
質量平均分子量は、標準ポリスチレンによる検量線から求めた。
以下の方法により、共重合体(A)の質量平均粒子径を測定した。
共重合体(A)のラテックスを脱イオン水で希釈したものを試料として、粒度分布計(商品名:CHDF2000型、MATEC社製)を用いて測定した。
測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行なった。即ち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性:ほぼ中性、流速:1.4ml/分、圧力:約4000psi(2600KPa)、温度:35℃を保った状態で、ラテックスを濃度約3%に希釈した試料0.1mlを測定に用いた。
標準粒子径物質としては、粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
共重合体(A)の5%質量減少温度を、熱質量減少測定(TGA)により求めた。
共重合体(A)を、熱質量減少測定装置(商品名:TG/DTA220、セイコーインスツル(株)製)を用い、空気を200ml/分でフローしながら、30℃から400℃まで、5℃/分の昇温により、質量減少を測定し、以下の基準で判定した。
○:5%熱質量減少温度が、単独重合体に対して30℃以上向上
×:5%熱質量減少温度が、単独重合体に対して30℃未満向上
ポリオレフィン樹脂組成物について、成形加工性の指標として、溶融張力を以下の条件で評価した。
ポリオレフィン樹脂組成物を、キャピラリー式レオメーター(商品名:ツインキャピラリーレオメーター RH−7、ROSAND社製)を用いて、一定量(0.54cm3/分)で押出し、ストランドを一定速度(3m/分)で引き取った。ダイスのL/Dは16.0mm×φ1.0mm、温度は190℃とした。
○:溶融張力がポリプロピレン樹脂(加工助剤なし)よりも向上
×:ストランド切れのため、測定不可
温度計、窒素導入管、冷却管及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコに、脱イオン水300部、10%水酸化ナトリウム水溶液0.02部を投入し、次いで、イソブチルメタクリレート99.8部、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1部を添加して容器内を窒素で置換した。
次いで、内温を60℃まで昇温させて、過硫酸カリウム0.15部を添加した。その後、60℃で加熱撹拌を2時間継続して重合を終了し、共重合体(A−1)のラテックスを得た。
共重合体(A−1)の組成、質量平均分子量、ラテックス中での質量平均粒子径、5%質量減少温度を表1に示した。
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例1と同様にして、共重合体(A−2)〜(A−6)を得た。
共重合体(A−2)〜(A−6)の質量平均分子量、ラテックス中での質量平均粒子径、5%質量減少温度を表1に示した。尚、製造例3の共重合体(A−3)は高分子量化しており、クロマトグラム上に十分なピーク強度を認めることができなかったため、測定不可とした。
温度計、窒素導入管、冷却管及び撹拌装置を備えたセパラブルフラスコに、脱イオン水300部、イソブチルメタクリレート100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.1部を投入し、容器内を窒素で置換した。
次いで、内温を60℃まで昇温させて、過硫酸カリウム0.15部を添加した。その後、60℃で加熱撹拌を2時間継続して重合を終了し、共重合体(A’−1)のラテックスを得た。
共重合体(A’−1)の組成、質量平均分子量、ラテックス中での質量平均粒子径、5%質量減少温度を表1に示した。
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例7と同様にして、共重合体(A’−2)〜(A’−6)を得た。
共重合体(A’−2)〜(A’−6)の質量平均分子量、ラテックス中での質量平均粒子径、5%質量減少温度を表1に示した。
仕込み組成を表1に記載の割合に変更した以外は、製造例1と同様にして、共重合体(A’−7)を得た。
共重合体(A’−7)の質量平均分子量、ラテックス中での質量平均粒子径、5%質量減少温度を表1に示した。
表1に記載の割合で、ポリオレフィン樹脂用加工助剤とポリオレフィン樹脂を配合し、その後、単軸押出機(サーモプラスチクス(株)製)を用いて、バレル温度190℃、スクリュー回転数30rpmにて溶融混練し、ポリオレフィン樹脂組成物のペレットを得た。
ポリオレフィン樹脂用加工助剤として、製造例1〜13で得た、共重合体(A−1)〜(A’−7)を用いた。
ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン(商品名:ノバテックPP FY4、日本ポリプロ(株)製)を用いた。
溶融張力の測定結果を表1に示した。
ポリオレフィン樹脂用加工助剤を用いず、ポリオレフィン樹脂をそのまま用いて溶融張力を測定した。溶融張力の測定結果を表1に示した。
しかしながら、製造例1〜6の共重合体(A)をポリオレフィン樹脂用加工助剤として配合したポリオレフィン樹脂組成物(実施例1〜6)では、溶融張力の向上が認められたのに対して、製造例13の共重合体(A’)をポリオレフィン樹脂用加工助剤として配合したポリオレフィン樹脂組成物(比較例7)では、共重合体(A’)とポリオレフィン樹脂との相溶性が悪く、ストランド切れが発生し、溶融張力は測定できなかった。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、成形加工性に優れる。また、成形加工時の熱分解が抑制されるため、成形加工条件を広く設定することができるため、極めて有用である。
Claims (3)
- 下記一般式(I)で表される単量体(a)及びアルキル基の炭素数が2以上のアルキルメタクリレート(b)を重合して得られる、質量平均分子量50万〜2000万の共重合体(A)を含有するポリオレフィン樹脂用加工助剤。
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基、Xは酸素原子又はイミノ基、Yは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシル基、Zは水素原子又はシアノ基を示す。) - 請求項1記載のポリオレフィン樹脂用加工助剤及びポリオレフィン樹脂を含有するポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項2記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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