JP5221439B2 - 発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに発泡成形体 - Google Patents
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また、特許文献2には、電子線架橋によって長鎖分岐を生じさせたポリプロピレンを用いた発泡成形体が提案されている。しかしながら、ポリプロピレンを大量生産する場合に、プロピレンの架橋度の制御が困難となる。また、それに伴い、得られる発泡成形体の製造コストが向上する。
更に、特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂にポリテトラフルオロエチレンを含有する加工助剤を添加する方法が提案されている。しかしながら、環境上の観点から、脱ハロゲンが強く要求される用途においては適用できない。
また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)、アルキル基の炭素数が2〜6のアルキルメタクリレート(b1)単位を主成分とし、質量平均分子量が15万〜2,000万であり、アルキルメタクリレート系重合体(B)のラテックスを凝固法又はスプレードライ法により粉体化して得られるアルキルメタクリレート系重合体(B)及び発泡剤(C)を配合する、上記発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法である。
更に、本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)及びアルキルメタクリレート系重合体(B)を含むマスターバッチ(M)を製造した後、該マスターバッチ(M)にポリオレフィン系樹脂(A)及び発泡剤(C)を配合する、請求項1記載の発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法である。
これらのポリオレフィン系樹脂(A)の中でも、汎用性、生産性、製造コストの観点から、PP、HDPE、LDPE、LLDPE、エチレン−プロピレンランダム共重合体又はブロック共重合体が好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜6のアルキルメタクリレート(b1)としては、例えば、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−メチルブチルメタクリレート、3−メチルブチルメタクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アルキルメタクリレート(b1)のアルキル基の炭素数が2以上であると、ポリオレフィン系樹脂(A)中でのアルキルメタクリレート系重合体(B)の分散性が良好となり、発泡成形体の外観に優れ、アルキルメタクリレート(b1)のアルキル基の炭素数が6以下であると、アルキルメタクリレート系重合体(B)を粉体としたときの取り扱い性が良好となる。これらのアルキルメタクリレート(b1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのアルキルメタクリレート(b1)の中でも、ポリオレフィン系樹脂(A)中でのアルキルメタクリレート系重合体(B)の分散性の観点から、アルキル基の炭素数が4のアルキルメタクリレートであるn−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが好ましく、発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物の溶融強度の改善効果の観点から、n−ブチルメタクリレート及びi−ブチルメタクリレートがより好ましく、i−ブチルメタクリレートが更に好ましい。
アルキル基の炭素数が2〜6のアルキルメタクリレート(b1)の含有率が50質量%以上であると、ポリオレフィン系樹脂(A)中でのアルキルメタクリレート系重合体(B)の分散性が良好となり、発泡成形体の外観に優れる。
他の単量体(b2)の含有率が50質量%以下であると、ポリオレフィン系樹脂(A)中でのアルキルメタクリレート系重合体(B)の分散性が良好となり、発泡成形体の外観に優れる。
アルキルメタクリレート系重合体(B)の質量平均粒子径が50nm以上であると、乳化剤による発泡成形体の着色や機械強度低下の影響を抑制できる。また、アルキルメタクリレート系重合体(B)の質量平均粒子径が500nm以下であると、高分子量のアルキルメタクリレート系重合体(B)を得る際の分子量制御が容易となる。
また、アルキルメタクリレート系重合体(B)の質量平均分子量が2,000万以下であると、ポリオレフィン系樹脂(A)中でのアルキルメタクリレート系重合体(B)の分散性が良好となり、発泡成形体の外観に優れる。
無機発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、空気、窒素が挙げられる。
揮発性発泡剤としては、加熱下、気化して気泡の形成が可能な化合物が挙げられ、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロリド、エチルクロリド、メチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリリル、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。これらの発泡剤(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、発泡剤(C)として揮発性発泡剤を用いて密度0.01〜0.2g/cm3の発泡成形体を得るには、発泡剤(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜25質量部であることが好ましい。また、発泡剤(C)として無機発泡剤を用いて密度0.1〜0.8g/cm3の発泡成形体を得るには、発泡剤(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。更に、発泡剤(C)として分解型発泡剤を用いて密度0.1〜0.8g/cm3の発泡成形体を得るには、発泡剤(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。
安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜1.0質量部であることが好ましく、0.05〜0.5質量部であることがより好ましい。安定剤の含有量が0.01質量部以上であると、安定剤の配合効果が発現する。また、安定剤の含有量が1.0質量部以下であると、発泡成形体としての機能を損なわない。
滑剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましい。滑剤の含有量が0.1質量部以上であると、滑剤の配合効果が発現する。また、滑剤の含有量が2.0質量部以下であると、発泡成形体としての機能を損なわない。
充填剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることがより好ましい。充填剤の含有量が0.1質量部以上であると、充填剤の配合効果が発現する。また、充填剤の含有量が50質量部以下であると、発泡成形体としての機能を損なわない。但し、充填剤の多くは、気泡調整剤としての機能をも有するため、所望の気泡形成状態を損なわない範囲で、充填剤の添加量を選択することが必要となる。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
アルキルメタクリレート系重合体(B)の質量平均分子量を、アルキルメタクリレート系重合体(B)のテトラヒドロフラン可溶分を試料として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(機種名「HLC−8220」、東ソー(株)製)、カラム(商品名「TSK−GEL SUPER HZM−M」、東ソー(株)製)を用い、溶離液:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃の条件で、標準ポリスチレンによる検量線から質量平均分子量を求めた。
アルキルメタクリレート系重合体(B)の質量平均粒子径を、粒度分布計(機種名「CHDF2000型」、MATEC社製)を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。即ち、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性:ほぼ中性、流速:1.4ml/分、圧力:約4000psi(2600KPa)、温度:35℃の条件で、アルキルメタクリレート系重合体(B)のラテックスを濃度約3%に希釈した試料0.1mlを測定に用いた。標準粒子径物質としては、粒子径既知の単分散ポリスチレンを20〜800nmの範囲で合計12点用いた。
樹脂組成物の溶融張力を、キャピラリー式レオメーター(機種名「ツインキャピラリーレオメーター RH−7」、ROSAND社製)を用いて、一定量(0.54cm3/分)で押出し、ストランドを一定速度(4m/分)で引き取り測定した。ダイスはφ1.0mm、L/D=16.0のものを用い、測定温度は190℃とした。
樹脂組成物のMFRを、ASTM D1238に準じて測定した。荷重は2.16kgとし、測定温度は230℃とした。
発泡成形体の断面を目視により観察し、以下の基準で発泡セル状態を評価した。
○:発泡成形体の表面近傍と中心部のセルの大きさの比が2倍を超えない
×:発泡成形体の表面近傍と中心部のセルの大きさの比が2倍以上
発泡成形体の外観を目視により観察し、以下の基準で発泡成形体の外観を評価した。
○:発泡成形体の表面に破泡がなく、流れムラ模様がなく、平滑である
×:発泡成形体の表面に破泡があり、流れムラ模様があり、平滑でない
発泡成形体を長さ4cmに切り取り試験片を作製し、自動比重計(機種名「DENSIMETER−H」、(株)東洋精機製作所製)を用いて、発泡成形体の比重を測定した。尚、測定は3回行い、その平均値を発泡成形体の比重とした。
尚、比重が小さいほど、発泡成形体の発泡倍率が高いことを示す。
下記単量体混合物を、ホモミキサーを用いて10,000rpmで6分間攪拌し、乳化混合物を得た。
単量体混合物:
i−ブチルメタクリレート 100部
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 1部
脱イオン水 300部
温度計、窒素導入管、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、乳化混合物を投入し、容器内を窒素で置換した。次いで、内温を60℃まで昇温させて、過硫酸カリウム0.15部を加えた。その後、内温60℃で加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アルキルメタクリレート系重合体(B1)のラテックスを得た。得られたアルキルメタクリレート系重合体(B1)のラテックスを、酢酸カルシウム5部を含む熱水100部中に滴下してラテックスの凝固を行った。得られた凝固物を分離洗浄後、65℃で16時間乾燥して、アルキルメタクリレート系重合体(B1)を得た。
単量体成分、開始剤量、連鎖移動剤量を表1に記載のように変更したこと以外は、製造例1と同様にしてアルキルメタクリレート系重合体(B2)〜(B8)を得た。
尚、連鎖移動剤は、n−オクチルメルカプタンを用いた。
i−BMA:i−ブチルメタクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
MMA :メチルメタクリレート
製造例1で得られたアルキルメタクリレート系重合体(B1)25部及びポリプロピレン(商品名「ノバテックMA3」、日本ポリプロ(株)製)75部を配合してハンドブレンドした。
次いで、この配合物を二軸押出機(機種名「BT−30」、(株)プラスチック工学研究所製)を用いて、バレル温度180℃、スクリュー回転数150rpmの条件で溶融混練して、ペレット状に賦形し、マスターバッチ(M1)を得た。
ポリオレフィン系樹脂(A)としてポリプロピレン(商品名「ノバテックMA3」、日本ポリプロ(株)製)、アルキルメタクリレート系重合体(B)として製造例1〜9で得られた(B1)〜(B8)及び(M1)を用い、表2に示す割合で配合した。
その後、単軸押出機(サーモプラスチクス(株)製、スクリュー径φ25mm)を用いて、バレル温度190℃、スクリュー回転数35rpmの条件で溶融混練して、発泡剤を配合していない樹脂組成物を得た。
ポリオレフィン系樹脂(A)としてポリプロピレン(商品名「ノバテックMA3」、日本ポリプロ(株)製)、アルキルメタクリレート系重合体(B)として製造例1〜9で得られた(B1)〜(B8)及び(M1)、発泡剤(C)として炭酸水素ナトリウム(商品名「セルボンSC−K」、永和化成工業(株)製)を用い、表2に示す割合で配合した。
その後、丸型ダイス(内径5.0mm)を取り付けた単軸押出機(機種名「GM−30」、(株)ジー・エム・エンジニアリング製、スクリュー径φ30mm)を用いて、バレル温度180℃、スクリュー回転数20rpmの条件で溶融混練し、押出方向と平行に一定速度で引き取り、20cm引き取ったところで切断して、発泡成形体を得た。
Claims (4)
- ポリオレフィン系樹脂(A)、アルキル基の炭素数が2〜6のアルキルメタクリレート(b1)単位を主成分とし、質量平均分子量が50万〜2,000万であるアルキルメタクリレート系重合体(B)及び発泡剤(C)を含む発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1記載の発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物を成形して得られる発泡成形体。
- ポリオレフィン系樹脂(A)、
アルキル基の炭素数が2〜6のアルキルメタクリレート(b1)単位を主成分とし、質量平均分子量が15万〜2,000万であり、アルキルメタクリレート系重合体(B)のラテックスを凝固法又はスプレードライ法により粉体化して得られるアルキルメタクリレート系重合体(B)及び
発泡剤(C)を配合する、請求項1記載の発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法。 - ポリオレフィン系樹脂(A)及びアルキルメタクリレート系重合体(B)を含むマスターバッチ(M)を製造した後、該マスターバッチ(M)にポリオレフィン系樹脂(A)及び発泡剤(C)を配合する、請求項1記載の発泡成形用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法。
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