JP2018154678A - 結晶性樹脂組成物 - Google Patents

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達宏 平岡
Tatsuhiro Hiraoka
達宏 平岡
雅資 井川
Masashi Igawa
雅資 井川
英子 岡本
Hideko Okamoto
英子 岡本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い結晶性と成形加工性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】フッ化ビニリデン系樹脂(A)20〜60質量%及びアクリル系樹脂(B)を40〜80質量%、(A)と(B)の合計100質量部に対して、アクリル系加工助剤(C)を2〜20質量部含有する樹脂組成物。前記アクリル系樹脂(B)はマクロモノマー単位を含有することが好ましい。前記アクリル系加工助剤(C)の質量平均分子量は50万〜500万であることが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶性樹脂組成物に関する。
フッ素樹脂は、耐候性、難燃性、耐熱性、防汚性、平滑性、耐薬品性等の優れた特性を示し、屋外環境に晒される物品の材料として好まれる。
フッ化ビニリデン系樹脂、中でもポリフッ化ビニリデン(以下「PVDF」と記す。)は融点と分解温度の差が大きく、成形加工に適した熱可塑性樹脂である。しかし、PVDFの結晶は可視光の波長より大きいサイズまで成長しやすく、可視光の一部を散乱するために透明性が低くなる。そのため透明材料への適用が困難であった。
PVDFの性質を取り込んだ樹脂材料の開発は過去に報告例がある。例えば、特許文献1のように、フッ化ビニリデン系樹脂に相溶するドメインと非相溶なドメインを持つコポリマーとPVDFをブレンドすることで結晶性と高透明性を併せ持つ樹脂組成物が報告されている。しかしながら、この報告の樹脂組成物は流動性が高すぎるため、成形時の置換不足や、混練不足による成形不良が発生する虞があった。
国際公開第2015/146752号
本発明の目的は、高い結晶性と成形加工性を兼ね備えた樹脂組成物を提供することにある。
前記目的は、以下の本発明[1]〜[5]によって達成される。
[1] フッ化ビニリデン系樹脂(A)20〜60質量%及びアクリル系樹脂(B)を
40〜80質量%、(A)と(B)の合計100質量部に対して、アクリル系
加工助剤(C)を2〜20質量部含有する樹脂組成物。
[2] 前記アクリル系樹脂(B)がマクロモノマー単位を含有する、[1]に記載の
樹脂組成物。
[3] 前記アクリル系加工助剤(C)の質量平均分子量が50万〜500万である、
[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
[5] [1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなるフィルム。
本発明によれば、高い結晶性と成形加工性を兼ね備えた樹脂組成物が得られる。
<フッ化ビニリデン系樹脂(A)>
フッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、例えば、フッ化ビニリデン単位70質量%以上を含むコポリマー、又は、フッ化ビニリデンのホモポリマー(PVDF)が挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂(A)は、フッ化ビニリデン単位の含有率が高いほど結晶性が良好となり、好ましい。
以下「フッ化ビニリデン系樹脂(A)」を、単に「樹脂(A)」と記す場合もある。
樹脂(A)がコポリマーである場合の、フッ化ビニリデンと共重合させる単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン等の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン(パーフルオロアルケン)が挙げられる。
樹脂(A)の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合等、公知の重合方法が挙げられる。重合方法により、得られる樹脂の結晶化度や力学的性質が異なる。本発明では懸濁重合や乳化重合が力学強度の観点から好ましい。
樹脂(A)としては、融点と分解温度の差が大きく、成形加工に適することから、PVDFが好ましい。
また、本発明においては、樹脂(A)として、高い結晶融点を有するものが好ましい。尚、本発明において結晶融点は、JIS K7121、3.(2)に記載の方法に準拠して測定したときの結晶融解ピーク温度を意味する。
樹脂(A)の結晶融点は150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。また、結晶融点の上限は、PVDFの結晶融点に等しい170℃が好ましい。
樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)は、成形加工に適した溶融粘度を得るために10万〜100万が好ましく、15万〜80万がより好ましく、18万〜70万が更に好ましい。
樹脂(A)の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製のKynar720、Kynar710、Kynar740、Kynar760;(株)クレハ製のKF T#850;ソルベイスペシャリティポリマーズ(株)製のSolef1006、Solef1008、Solef1015、Solef6010、Solef6012、Solef6008が挙げられる。
樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<アクリル系樹脂(B)>
アクリル系樹脂(B)は、単量体単位として(メタ)アクリレートを含む重合体であり、フッ化ビニリデン系樹脂(A)との相溶性が良好な点から、特にメチルメタクリレート単位を含有する重合体が好ましい。
以下「アクリル系樹脂(B)」を、単に「樹脂(B)」と記す場合もある。
メチルメタクリレート以外の単量体単位としては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体を由来源とする単量体単位;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体を由来源とする単量体単位;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体を由来源とする単量体単位;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体を由来源とする単量体単位;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体を由来源とする単量体単位;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を由来源とする単量体単位;マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸単量体を由来源とする単量体単位が挙げられる。
これらの中で、高い透明性を得るためにアルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位が好ましい。
樹脂(B)は、上記の単量体単位の1種を含んでもよく2種以上を含んでもよい。
樹脂(B)は、単独で成形したときにミクロ相分離するものが好ましい。ミクロ相分離構造を有すれば、樹脂(A)とブレンドしたときに、樹脂(A)の結晶化がミクロ相分離構造近傍で進行する。
樹脂(B)の相分離構造は、ドメインサイズが小さいほど好ましい。樹脂(A)の結晶の微細化が起こりやすく、高い結晶性と高い透明性が簡便に両立し得る。更に、相のドメイン間の屈折率差による光学性能の低下も起こり難くなる。
各ドメインのサイズは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。ドメインサイズが500nm以下であれば、可視光域の波長が散乱し難く、高い透明性が得られる。各ドメインのサイズの下限は、20nm程度である。
ドメインのサイズとは、例えば海島構造の相分離構造の場合には、島部にあたる部分の最も長い直径を意味する。共連続構造の場合には、ドメインのサイズとは、相間距離(横幅)を意味する。ドメインサイズは、TEM観察等により測定する。
樹脂(B)単独の相分離構造は、海島構造でも共連続構造でもどちらでもよい。成形体の諸物性は、樹脂(A)と混合した後の相分離構造に左右される。
樹脂(B)がミクロ相分離構造を有するために、ブロック共重合体やグラフト共重合体のブロック鎖とすることや、それらの混合物とブレンドする等、公知の方法を用いることができる。
更にそれらを合成する方法としては、ATRP等のリビングラジカル重合やアニオン重合、マクロモノマーを用いた重合等があり、重合速度や工程数等の生産性の点から、マクロモノマーを用いた重合が好ましい。
共重合によって簡単に相分離構造が得られ、相分離構造を簡便に調整できる点で、樹脂(B)はマクロモノマー単位を含有することが好ましい。
樹脂(B)中のマクロモノマー単位の含有率は、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
マクロモノマーは、市販品を用いてもよく、公知の方法で単量体から製造してもよい。マクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法が挙げられる。
樹脂(B)が含有するマクロモノマー単位は、樹脂(A)との相溶性の点から、メチルメタクリレート単位を含有することが好ましい。
マクロモノマー単位中のメチルメタクリレート単位の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
樹脂(B)のMwは4万〜100万が好ましい。成形体としたときの力学強度を保つにはMwが高い方が好ましいが、高すぎると流動性が低下し、成形性の低下を招く。
力学強度と成形性を両立する観点から、Mwは5万〜75万がより好ましく、5万〜50万が更に好ましい。
<アクリル系加工助剤(C)>
アクリル系加工助剤(C)は、単量体単位として(メタ)アクリレートを含む重合体であり、樹脂の流動性を改善することで、成形加工性を向上させる配合剤のことである。フッ化ビニリデン系樹脂(A)および、アクリル系樹脂(B)との相溶性が良好な点から、特にメチルメタクリレート単位を含有する重合体が好ましい。
以下「アクリル系加工助剤(C)」を、単に「加工助剤(C)」と記す場合もある。
メチルメタクリレート以外の単量体単位としては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体を由来源とする単量体単位;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体を由来源とする単量体単位;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体を由来源とする単量体単位;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体を由来源とする単量体単位;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体を由来源とする単量体単位;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を由来源とする単量体単位;マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸単量体を由来源とする単量体単位が挙げられる。
これらの中で、高い透明性を得るために、樹脂(A)および、樹脂(B)との相溶性が良好な点から、アルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位が好ましい。
アクリル系加工助剤(C)は、上記の単量体単位の1種を含んでもよく2種以上を含んでもよい。
加工助剤(C)のMwは50万〜500万が好ましい。Mwが低いと流動性改善効果が小さくなり、高すぎると相溶しなくなる。より好ましくは100万〜500万である。
<樹脂組成物>
樹脂組成物中の樹脂(A)の含有率は20〜60質量%である。
樹脂(A)の含有率が20質量%以上であれば、樹脂(A)が結晶化しやすく、60質量%以下であれば、樹脂組成物を用いて成形した成形体は透明性に優れる。
また、結晶性と透明性が共に高い成形体の製造に用いる点で、樹脂(A)の含有率は30〜60質量%が好ましく、35〜55質量%がより好ましい。
樹脂組成物中の樹脂(B)の含有率は40〜80質量%である。この範囲であれば、樹脂(A)の結晶性を維持しつつ結晶サイズを抑制することができる。
樹脂(B)の含有率は40〜70質量%が好ましく、45〜65質量%がより好ましい。
樹脂組成物中の加工助剤(C)の含有量は、樹脂(A)と樹脂(B)の合計100質量部に対して、2〜20質量部である。この範囲であれば、流動性を改善しつつ相溶性を保つことができる。
加工助剤(C)の含有量は3〜15質量部が好ましく、4〜12質量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物を用いた成形体の光学性能や機械特性を損なわない範囲で、必要に応じて加工助剤(C)以外の添加剤を含有させることができる。添加剤の量は少ないほど好ましく、添加剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0〜20質量部が好ましく、0〜10質量部がより好ましく、0〜5質量部が更に好ましい。
添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐熱安定剤、合成シリカやシリコン樹脂粉末等のブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、帯電防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチレート系化合物、アクリロニトリル系化合物、金属錯塩系化合物、ヒンダードアミン系化合物;粒子径が0.01〜0.06μm程度の超微粒子酸化チタン、粒子径が0.01〜0.04μm程度の超微粒子酸化亜鉛等の無機系粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、例えば樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
紫外線吸収剤又は酸化防止剤として、例えば、重合体を構成する主鎖又は側鎖に、前記の紫外線吸収剤又は酸化防止剤を化学結合させた重合体型のものを使用することができる。
光安定剤としては、例えば、N−H型、N−CH型、N−アシル型、N−OR型等のヒンダードアミン系又はフェノール系の光安定剤が挙げられる。
<樹脂組成物の製造>
上記の必須成分及び任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で混練して樹脂組成物を調製するが、通常はペレット状にするのが好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
[評価方法]
実施例、比較例における各評価は、以下の方法により実施した。
(樹脂組成物の評価方法)
(1)分子量及び分子量分布
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を使用し、以下の条件にて測定した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)と2本のTSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw及びMnは、Polymer Laboratories製のポリメチルメタクリレート(ピークトップ分子量=141,500、55,600、10,290及び1,590の4種)を用いて作成した検量線から求めた。
(2)結晶融解エンタルピー
示差走査熱量測定装置((株)日立ハイテクサイエンス、商品名:DSC6200)を用いて、JIS K7121に則り、樹脂組成物の結晶融解エンタルピーを測定した。
サンプルはJIS K7121、3(2)にしたがって調製し、用いた。結晶融解エンタルピーは30℃から200℃まで10℃/分で昇温する2nd昇温過程にて観測される結晶融解ピークの面積より算出し、昇温中に結晶化ピークが見られる場合はその面積を差し引いた値を融解エンタルピーとした。
(3)メルトマスフローレート(MFR)
JIS K7210に則り、200℃に保ったシリンダへ試料を充填し、3分間保持した後、5.0kgの荷重をかけて押出される試料を採取、秤量することで求めた。
<製造例1>
[分散剤]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)60部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを利用してメチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤を得た。
<製造例2>
[マクロモノマー]
(コバルト錯体の合成)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものを濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、20℃において12時間真空乾燥し、茶褐色固体のコバルト錯体5.02g(7.93mmol、収率99%)を得た。
(マクロモノマーの合成)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(固形分10%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート95部、メチルアクリレート(三菱化学(株)製)5部、上記方法で製造したコバルト錯体0.0016部及び重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、商品名)0.1部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を充分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから4時間保持した後に95℃に昇温し1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で12時間乾燥して、マクロモノマーを得た。GPCで分析したところ、Mwは31,500、Mnは14,000であった。
<製造例3>
[コポリマー(1)]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び製造例1で製造した分散剤0.26部を混合して分散剤の水溶液を調製した。
冷却管付セパラブルフラスコに、製造例2で合成したマクロモノマー(以下「MM」とも記す。)40部、メチルメタクリレート(MMA)24部及びアクリル酸n−ブチル(三菱化学(株)製、BA)36部及びn−オクタンチオール(東京化成(株)製)0.1部を攪拌しながら50℃に加温し、原料シラップを得た。
原料シラップを40℃以下に冷却した後、原料シラップにAMBN(大塚化学(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、商品名)0.3部を溶解させ、シラップを得た。
次いで、シラップに分散剤の水溶液を加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌回転数を上げてシラップ分散液を得た。
シラップ分散液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまでセパラブルフラスコの外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、シラップ分散液が75℃になったところで、シラップ分散液を85℃に昇温し、30分保持して重合を完結させ、懸濁液を得た。
懸濁液を40℃以下に冷却した後に、懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥してコポリマー(1)を得た。
コポリマー(1)のMwは218,000、Mnは52,500、分子量分布(PDI)は4.2であった。結果を表1に示す。
<実施例1>
フッ化ビニリデン系樹脂(A)としてPVDF((株)クレハ製、商品名:KF−T#850)40部と、アクリル系樹脂(B)として製造例3で作製したコポリマー(1)60部、アクリル系加工助剤(C)として、メタブレンP−530A(三菱レイヨン(株)製、Mw:約300万)5部を60℃で一晩予備乾燥させた後、ドライブレンドして、φ30mm二軸混練押出機(Werner&Pfleiderer社製)により最高温度220℃で押出し、ペレット状の樹脂組成物を得た。樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例2>
アクリル系加工助剤(C)としてメタブレンP−530Aを10部用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例3,4>
アクリル系加工助剤(C)としてメタブレンP−531A(三菱レイヨン(株)製、Mw:約450万)を用い、表2に記載の配合量としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例5,6>
アクリル系加工助剤(C)としてメタブレンP−551A(三菱レイヨン(株)製、Mw:約150万)を用い、表2に記載の配合量としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<比較例1>
アクリル系加工助剤(C)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<比較例2〜4>
アクリル系加工助剤(C)の代わりにPMMA(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットVH001)を用い、表2に記載の配合量としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の樹脂組成物は高い結晶性と加工性を併せ持つ。
これに対して、加工助剤(C)の含まれていない比較例1では、流動性が高すぎるため、成形時不良の可能性がある。また、加工助剤(C)の代わりにPMMAを用いた比較例2〜4では、流動性は多少改善されるものの、結晶性が低下してしまう。
本発明の樹脂組成物からなる成形体は、光学シート材、食品フィルム・意匠用フィルム・農業用フィルム、印刷メディアフィルム、マーキングフィルム、オーバーレイフィルム、ラッピングフィルム等のフィルム材、自動車用内装材、自動車用外装材、医療用部材、建築用内装材、建築用外装材に好適である。

Claims (5)

  1. フッ化ビニリデン系樹脂(A)20〜60質量%及びアクリル系樹脂(B)を40〜80質量%、(A)と(B)の合計100質量部に対して、アクリル系加工助剤(C)を2〜20質量部含有する樹脂組成物。
  2. 前記アクリル系樹脂(B)がマクロモノマー単位を含有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記アクリル系加工助剤(C)の質量平均分子量が50万〜500万である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなるフィルム。
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