JP2018059010A - 結晶性樹脂組成物からなる艶消しフィルム - Google Patents

結晶性樹脂組成物からなる艶消しフィルム Download PDF

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Tatsuhiro Hiraoka
達宏 平岡
雅資 井川
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雅資 井川
英子 岡本
Hideko Okamoto
英子 岡本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、柔軟性と高い結晶性を備えた艶消しフィルムを提供することにある。
【解決手段】フッ化ビニリデン系樹脂(A)及びアクリル系樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなるフィルムであって、前記樹脂組成物は、結晶融解エンタルピーが10〜30J/gであり、前記フィルムは、JIS K7127に準拠してそれぞれ測定したMD方向とTD方向の引張降伏応力の比(MD/TD)が1.05〜2.00、且つ、少なくとも一方の面の表面の算術平均粗さが150nm以上である、艶消しフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、結晶性樹脂組成物からなる艶消しフィルムに関する。
フッ化ビニリデン系樹脂等のフッ素フィルムは、耐候性、耐溶剤性及び耐汚染性に優れているため、プラスチック、ガラス、スレート、ゴム、金属板、木板等の各種基材表面にラミネートされる保護フィルムとして広く使用されている。また、フッ素フィルムで表面が保護された基材は建築物の内装材、外装材、家具等の多くの用途で使用されている。しかしながら、近年、特に屋内で使用される壁紙やレザー家具等の基材についてはイメージの高級化が要望されるようになり、艶消しフィルムがラミネートされたものの使用が多くなっている。
例えば、特許文献1には、フッ素樹脂と非架橋のアクリル樹脂の溶解度パラメータの差を一定値以内にすることで、外観が良好で、且つ、きめの細かい艶消し性及び耐溶剤性に優れたフッ素艶消しフィルムについて報告されている。しかしながら、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の含有率が非常に高く、ほとんどがPVDFの結晶であるため柔軟性が不足している。
国際公開第2011/093300号
本発明の目的は、柔軟性と高い結晶性を備えた艶消しフィルムを提供することにある。
前記目的は、以下の本発明[1]〜[5]によって達成される。
[1] フッ化ビニリデン系樹脂(A)及びアクリル系樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなるフィルムであって、
前記樹脂組成物は、結晶融解エンタルピーが10〜30J/gであり、
前記フィルムは、JIS K7127に準拠してそれぞれ測定したMD方向とTD方向の引張降伏応力の比(MD/TD)が1.05〜2.00、且つ、少なくとも一方の面の表面の算術平均粗さが150nm以上である、艶消しフィルム。
[2] アクリル系樹脂(B)がマクロモノマー単位を含有する、[1]に記載の艶消しフィルム。
[3] ヘーズが3%以上である、[1]又は[2]に記載の艶消しフィルム。
[4] 前記算術平均粗さが175nm以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
[5] 前記算術平均粗さが200nm以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の艶消しフィルム。
本発明によれば、柔軟性と高い結晶性を備えた艶消しフィルムが得られる。
<フッ化ビニリデン系樹脂(A)>
フッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、例えば、フッ化ビニリデン単位70質量%以上を含むコポリマー、又は、フッ化ビニリデンのホモポリマー(PVDF)が挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂(A)は、フッ化ビニリデン単位の含有率が高いほど結晶性が良好となり、好ましい。
以下「フッ化ビニリデン系樹脂(A)」を、単に「樹脂(A)」と記す場合もある。
樹脂(A)がコポリマーである場合の、フッ化ビニリデンと共重合させる単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン等の炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のパーフルオロアルキレン(パーフルオロアルケン)が挙げられる。
樹脂(A)の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合等、公知の重合方法が挙げられる。重合方法により、得られる樹脂の結晶化度や力学的性質が異なる。本発明では懸濁重合や乳化重合が力学強度の観点から好ましい。
樹脂(A)としては、融点と分解温度の差が大きく、成形加工に適することから、PVDFが好ましい。
また、本発明においては、樹脂(A)として、高い結晶融点を有するものが好ましい。尚、本発明において結晶融点は、JIS K7121、3.(2)に記載の方法に準拠して測定したときの結晶融解ピーク温度を意味する。
樹脂(A)の結晶融点は150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。また、結晶融点の上限は、PVDFの結晶融点に等しい170℃が好ましい。
樹脂(A)の質量平均分子量は、成形加工に適した溶融粘度を得るために10万〜100万が好ましく、15万〜80万がより好ましく、18万〜70万が更に好ましい。
樹脂(A)の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製のKynar720、Kynar710、Kynar740、Kynar760;(株)クレハ製のKF T#850;ソルベイスペシャリティポリマーズ(株)製のSolef1006、Solef1008、Solef1015、Solef6010、Solef6012、Solef6008が挙げられる。
樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<アクリル系樹脂(B)>
アクリル系樹脂(B)は、単量体単位として(メタ)アクリレートを含む重合体であり、フッ化ビニリデン系樹脂(A)との相溶性が良好な点から、特にメチルメタクリレート単位を含有する重合体が好ましい。
以下「アクリル系樹脂(B)」を、単に「樹脂(B)」と記す場合もある。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
メチルメタクリレート以外の単量体単位としては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体を由来源とする単量体単位;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体を由来源とする単量体単位;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体を由来源とする単量体単位;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体を由来源とする単量体単位;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体を由来源とする単量体単位;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を由来源とする単量体単位;マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸単量体を由来源とする単量体単位が挙げられる。
これらの中で、高い透明性を得るためにアルキル(メタ)アクリレートを由来源とする単量体単位が好ましい。
アクリル系樹脂(B)は、他の単量体単位の1種を含んでもよく2種以上を含んでもよい。
樹脂(B)は、単独で成形したときにミクロ相分離するものが好ましい。ミクロ相分離構造を有すれば、樹脂(A)とブレンドしたときに、樹脂(A)の結晶化がミクロ相分離構造近傍で進行する。
樹脂(B)の相分離構造は、ドメインサイズが小さいほど好ましい。樹脂(A)の結晶の微細化が起こりやすく、高い結晶性と高い透明性が簡便に両立し得る。更に、相のドメイン間の屈折率差による光学性能の低下も起こり難くなる。
各ドメインのサイズは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。ドメインサイズが500nm以下であれば、可視光域の波長が散乱し難く、高い透明性が得られる。各ドメインのサイズの下限は、20nm程度である。
ドメインのサイズとは、例えば海島構造の相分離構造の場合には、島部にあたる部分の最も長い直径を意味する。共連続構造の場合には、ドメインのサイズとは、相間距離(横幅)を意味する。ドメインサイズは、TEM観察等により測定する。
樹脂(B)単独の相分離構造は、海島構造でも共連続構造でもどちらでもよい。成形体の諸物性は、樹脂(A)と混合した後の相分離構造に左右される。
樹脂(B)がミクロ相分離構造を有するために、ブロック共重合体やグラフト共重合体のブロック鎖とすることや、それらの混合物とブレンドする等、公知の方法を用いることができる。
更にそれらを合成する方法としては、ATRP等のリビングラジカル重合やアニオン重合、マクロモノマーを用いた重合等があり、重合速度や工程数等の生産性の点から、マクロモノマーを用いた重合が好ましい。
共重合によって簡単に相分離構造が得られ、相分離構造を簡便に調整できる点で、樹脂(B)はマクロモノマー単位を含有することが好ましい。
樹脂(B)中のマクロモノマー単位の含有率は、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
マクロモノマーは、市販品を用いてもよく、公知の方法で単量体から製造してもよい。マクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法が挙げられる。
樹脂(B)が含有するマクロモノマー単位は、樹脂(A)との相溶性の点から、メチルメタクリレート単位を含有することが好ましい。
マクロモノマー単位中のメチルメタクリレート単位の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
樹脂(B)の質量平均分子量は、4万〜100万が好ましい。成形体としたときの力学強度を保つには質量平均分子量が高い方が好ましいが、質量平均分子量が高すぎると流動性が低下し、成形性の低下を招く。力学強度と成形性を両立する観点から、5万〜75万がより好ましく、5万〜50万が更に好ましい。
<樹脂組成物>
樹脂組成物中の樹脂(A)の含有率が20質量%以上であれば、樹脂(A)が結晶化しやすい。また、樹脂(A)の含有率が60質量%以下であれば、樹脂組成物を用いて成形した成形体は透明性に優れる。
また、結晶性と透明性が共に高い成形体の製造に用いる点で、樹脂(A)の含有率は30〜60質量%がより好ましく、35〜55質量%が更に好ましい。
樹脂組成物中の樹脂(B)の含有率は、樹脂(A)の結晶性を維持しつつ結晶サイズを抑制するために、40〜80%質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、45〜65質量%が更に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物を用いた成形体の光学性能や機械特性を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を含有させることができる。添加剤の量は少ないほど好ましく、添加剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0〜20質量部が好ましく、0〜10質量部がより好ましく、0〜5質量部が更に好ましい。
添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、耐熱安定剤、合成シリカやシリコン樹脂粉末等のブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、帯電防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチレート系化合物、アクリロニトリル系化合物、金属錯塩系化合物、ヒンダードアミン系化合物;粒子径が0.01〜0.06μm程度の超微粒子酸化チタン、粒子径が0.01〜0.04μm程度の超微粒子酸化亜鉛等の無機系粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、例えば、樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
紫外線吸収剤又は酸化防止剤として、例えば、重合体を構成する主鎖又は側鎖に、前記の紫外線吸収剤又は酸化防止剤を化学結合させた重合体型のものを使用することができる。
光安定剤としては、例えば、N−H型、N−CH型、N−アシル型、N−OR型等のヒンダードアミン系又はフェノール系の光安定剤が挙げられる。
<結晶融解エンタルピー>
樹脂(A)の結晶性を取り込むために、本発明の樹脂組成物は、示差走査熱量計により測定した結晶融解エンタルピーが、10〜30J/gの範囲である。
結晶融解エンタルピーは樹脂組成物中の樹脂(A)の含有率に依存し、結晶サイズを抑制する効果を得るために樹脂(B)の含有率を増やすと、値が低下する。結晶量と結晶サイズ抑制の両立から、結晶融解エンタルピーは10〜30J/gがよい。
尚、本発明において結晶融解エンタルピーは、JIS K7121、3.(2)に準拠して測定したときの結晶融解エンタルピーを意味する。
<樹脂組成物の製造>
上記の必須成分及び任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で混練して樹脂組成物を調製するが、通常はペレット状にするのが好ましい。
<フィルム(成形体)>
本発明のフィルムは、前記樹脂組成物を成形したものである。前記樹脂組成物を溶融押出しし、製膜する方法が好ましい。一般に溶融押出しすると、樹脂の流れ方向(MD)と垂直方向(TD)に差が見られるため好ましい。プレス成形やキャスト成形では流れ方向が無いため、一般に異方性が見られない。溶融押出法としては、Tダイ法やインフレーション法等が挙げられるが、生産性の点からTダイ法が好ましい。溶融押出温度は、150〜230℃程度が好ましい。また、押出機としては、例えば、単軸押出機及び二軸押出機が挙げられる。
Tダイから押出された溶融押出物を、表面温度が30〜80℃、好ましくは35〜70℃、より好ましくは40〜60℃の少なくとも1本の冷却ロールに接触させて製膜する方法で製造される。
本発明において、冷却ロールとは冷媒を使用して表面の温度を調整することができるロールを意味する。Tダイから吐出された溶融押出物は冷却ロールに接触し、冷却ロールの表面温度まで冷却される。冷却ロールとしては、例えば、金属製の鏡面タッチロールや金属製のエンドレスベルトであってもよい。冷却ロールは1本用いても複数本使用してもよい。2本の冷却ロールで溶融押出物を挟持して製膜してもよい。
本発明の樹脂組成物は高い流動性を有するために、Tダイ法によってフィルムを製造する場合のTダイの設定温度は低くても高い加工性を有する。具体的には、180〜220℃が好ましい。
フィルムは、通常、厚さが薄いフィルムの方が透明性の高いものが得られやすく、厚いフィルムの方が機械強度の高いものが得られやすい。そのため、本発明のフィルムの厚さとしては20〜250μmが好ましく、25〜150μmがより好ましく、30〜100μmが更に好ましい。
本発明においては、Tダイ法にて厚さの制御は充分なされているため、鏡面ロールによるプレス工程は通さないことが好ましい。鏡面ロールを使用すると、ロール表面の傷や異物によりフィルム表面に微細な凹凸が発生する虞がある。
<引張降伏応力>
本発明のフィルムは、JIS K7127に準拠して、23℃で20mm/分の速度でそれぞれ測定したMD方向の引張降伏応力σy(MD)とTD方向の引張降伏応力σy(TD)に差があることが好ましい。MD(Machine Direction)はフィルム成形時の流れ方向を指し、TD(Transverse Direction)はMDと垂直方向を指す。
プレス成形やキャスト成形など、樹脂の流れ方向が無い場合は、互いに垂直な2方向の引張降伏応力の差とする。具体的には、σy(MD)/σy(TD)の値が1.05〜2.00が好ましい。この値が1より大きいと、一方向(MD)の引張降伏応力が上昇し、フィルムとしての耐久性がよくなる。この値が大きすぎると、他方向(TD)の強度が下がりすぎ、逆に耐久性が低下してしまう。より好ましくは1.05〜1.80であり、更に好ましくは1.05〜1.60である。
<表面の算術平均粗さ>
本発明においてフィルム表面の算術平均粗さは、フィルタ(ハイパスフィルタ)によって、断面曲線から長波長成分を遮断することによって得られる輪郭曲線(粗さ曲線)より求めることができる。これら断面曲線は、非接触3次元表面形状・粗さ測定器、原子間力顕微鏡、レーザー共焦点顕微鏡等を用いて測定することができる。また、この測定に好適な非接触3次元表面測定機として、ZYGO社製の製品であるNew Viewシリーズを挙げることができる。表面の算術平均粗さは、良好な艶消し性を有する意味で、150nm以上が好ましく、175nm以上がより好ましく、200nm以上が更に好ましい。
<ヘーズ>
フィルムのヘーズとしては、JIS K7136に準拠して測定した場合に、3%以上が好ましく、4.5%以上がより好ましく、6%以上が更に好ましい。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
実施例、比較例における各評価は、以下の方法により実施した。
(樹脂組成物の評価方法)
(1)分子量及び分子量分布
質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(PDI)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を使用し、以下の条件にて測定した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)と2本のTSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw及びMnは、Polymer Laboratories製のポリメチルメタクリレート(ピークトップ分子量=1,590、10,290、55,600及び141,500の4種)を用いて作成した検量線を使用して求めた。
(2)結晶融解エンタルピー
示差走査熱量測定装置((株)日立ハイテクサイエンス、商品名:DSC6200)を用いて、JIS K7121に準拠して、樹脂組成物の結晶融解エンタルピーを測定した。
サンプルはJIS K7121、3(2)に準拠して調製し、用いた。結晶融解エンタルピーは30℃から200℃まで10℃/分で昇温する2nd昇温過程にて観測される結晶融解ピークの面積より算出し、昇温中に結晶化ピークが見られる場合はその面積を差し引いた値を結晶融解エンタルピーとした。
(フィルムの評価方法)
(3)ヘーズ
ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、商品名:NDH2000)を用いて、JIS K7136に準拠してヘーズを測定した。
各フィルム3点ずつ測定し、その平均値を求めた。
(4)引張降伏応力
フィルムをMD、TD方向にそれぞれ打ち抜いた短冊型試験片を用いて、JIS K7127に準拠し、テンシロン万能試験機RTC−1250A(オリエンテック製)にて引張試験を行なった。室温23℃、速度20mm/分で引張試験を実施し、その時の応力歪み曲線から、引張降伏応力を求めた。
(5)算術平均粗さ(Ra)
フィルム表面の算術平均粗さは、非接触3次元走査型白色干渉法により求めた。測定面は、冷却ロールに接した面とし、異なる2箇所についてそれぞれ算術平均粗さを求め、その値を平均した。測定条件は以下のように設定した。
測定機器 :New−View6300(ZYGO社製)
解析ソフト:MetroProソフトウェア(ZYGO社製)
対物レンズ:2.5倍
中間レンズズーム:1倍
Filter:High Pass
測定視野 :2.81mm×2.11mm
カメラ解像度:320×240、200Hz
(6)艶消し性
フィルム表面を目視にて観察し、艶消し性がある場合は○、無い場合は×とした。
<製造例1>
[分散剤]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)60部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10部及びメチルメタクリレート12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。
その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを利用してメチルメタクリレートを0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。
反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤を得た。
<製造例2>
[マクロモノマー]
(コバルト錯体の合成)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものを濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、20℃において12時間真空乾燥し、茶褐色固体のコバルト錯体5.02g(7.93mmol、収率99%)を得た。
(マクロモノマーの合成)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(固形分10%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート95部、メチルアクリレート(三菱化学(株)製)5部、上記方法で製造したコバルト錯体0.0016部及び重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、商品名)0.1部を加え、水性分散液とした。
次いで、重合装置内を充分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから4時間保持した後に95℃に昇温し1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で12時間乾燥して、マクロモノマーを得た。GPCで分析したところ、Mwは31,500、Mnは14,000であった。
<製造例3>
[コポリマー(1)]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び製造例1で製造した分散剤0.26部を混合して分散剤の水溶液を調製した。
冷却管付セパラブルフラスコに、製造例2で合成したマクロモノマー(以下「MM」とも記す。)40部、メチルメタクリレート(MMA)24部及びアクリル酸n−ブチル(三菱化学(株)製、BA)36部及びn−オクタンチオール(東京化成(株)製)0.1部を攪拌しながら50℃に加温し、原料シラップを得た。
原料シラップを40℃以下に冷却した後、原料シラップにAMBN(大塚化学(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、商品名)0.3部を溶解させ、シラップを得た。
次いで、シラップに分散剤の水溶液を加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌回転数を上げてシラップ分散液を得た。
シラップ分散液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまでセパラブルフラスコの外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、シラップ分散液が75℃になったところで、シラップ分散液を85℃に昇温し、30分保持して重合を完結させ、懸濁液を得た。
懸濁液を40℃以下に冷却した後に、懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥してコポリマー(1)を得た。
コポリマー(1)のMwは218,000、Mnは52,500、分子量分布(PDI)は4.2であった。結果を表1に示す。
<製造例4>
[コポリマー(2)]
メチルメタクリレート30部及びアクリル酸n−ブチル30部を使用した以外は、製造例3と同様にしてコポリマー(2)を得た。
コポリマー(2)のMwは164,000、Mnは49,000、PDIは3.4であった。結果を表1に示す。
<製造例5>
[コポリマー(3)]
マクロモノマー30部、メチルメタクリレート42部及びアクリル酸n−ブチル28部を使用した以外は、製造例3と同様にしてコポリマー(3)を得た。
コポリマー(3)のMwは148,000、Mnは56,000、PDIは2.6であった。結果を表1に示す。
<実施例1>
フッ化ビニリデン系樹脂(A)としてPVDF((株)クレハ製、商品名:KF T#850)40部と、アクリル系樹脂(B)として製造例3で作製したコポリマー(1)60部を60℃で一晩予備乾燥させた後、ドライブレンドして、φ30mm二軸混練押出機(Werner&Pfleiderer社製)により最高温度220℃で押出し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
上記手法で得られた樹脂組成物を60℃で一晩予備乾燥させた後、300mm幅のTダイが搭載されたφ40mmのノンベントスクリュー型押出機((株)ムサシノキカイ)により押出温度180〜200℃、Tダイ温度200℃で、温度40℃の1本の冷却ロール上に押出し、厚さ50μmのフィルムを得た。樹脂組成物及びフィルムの評価結果を表2に示す。
<比較例1>
アクリル系樹脂(B)として製造例4で作製したコポリマー(2)60部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの各評価結果を表2に示す。
<比較例2>
アクリル系樹脂(B)として製造例5で作製したコポリマー(3)60部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物及びフィルムを得た。得られたフィルムの各評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明のフィルム(実施例1)は高い結晶性を示し、艶消し性に優れていると共に、MD方向に引張降伏応力が高く、一方向の耐久性に優れている。
これに対して、算術平均粗さの小さい比較例1,2では、艶消し性の低いフィルムが得られた。
本発明のフィルムは、光学シート材、食品フィルム・意匠用フィルム・農業用フィルム、印刷メディアフィルム、マーキングフィルム、ラッピングフィルム等のフィルム材、自動車用内装材、自動車用外装材、医療用部材、建築用内装材、建築用外装材に好適である。

Claims (5)

  1. フッ化ビニリデン系樹脂(A)及びアクリル系樹脂(B)を含有する樹脂組成物からなるフィルムであって、
    前記樹脂組成物は、結晶融解エンタルピーが10〜30J/gであり、
    前記フィルムは、JIS K7127に準拠してそれぞれ測定したMD方向とTD方向の引張降伏応力の比(MD/TD)が1.05〜2.00、且つ、少なくとも一方の面の表面の算術平均粗さが150nm以上である、艶消しフィルム。
  2. アクリル系樹脂(B)がマクロモノマー単位を含有する、請求項1に記載の艶消しフィルム。
  3. ヘーズが3%以上である、請求項1又は2に記載の艶消しフィルム。
  4. 前記算術平均粗さが175nm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
  5. 前記算術平均粗さが200nm以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の艶消しフィルム。
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