JP2019172788A - (メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体、及び、それから成るアクリル樹脂フィルム - Google Patents

(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体、及び、それから成るアクリル樹脂フィルム Download PDF

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瑞樹 穴吹
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保徳 河瀬
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Abstract

【課題】本発明の目的は、透明性や柔軟性等の性質を損なうことなく、耐燃焼性を向上したアクリル樹脂フィルムを得るための(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を提供することにある。【解決手段】リンを含有する単量体単位を含み、ゲル含有率が40〜75質量%である、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。好ましくは、リンを含有する単量体単位に由来するリン原子の含有率が、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に対して0.08〜2.6質量%である、前記(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性、透明性、柔軟性に優れたアクリル樹脂フィルムを得るための(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に関する。
従来、ガーデニング材、人工竹垣、波板等の屋外建装材や、窓枠、玄関扉、家電製品等の表面を保護し、また意匠性を付与する目的で、これらの部材の表面に、絵柄を印刷したポリ塩化ビニル樹脂からなる化粧シートをラミネートする方法が知られている。ポリ塩化ビニル樹脂には、熱成形性に優れ安価であるという利点がある。但し、耐候性に劣るという欠点があるので、特に屋外での使用にはあまり適していない。
そこで、ポリ塩化ビニル樹脂からなる化粧シートの表面にアクリル樹脂フィルムをラミネートし、その耐候性を改善した化粧シートが多く用いられるようになってきた。このような構成の化粧シートは、ヨーロッパ等の比較的低温で太陽光が弱い地域で広く使用されている。
しかしながら、アクリル樹脂フィルムがラミネートされた化粧シートはアクリル樹脂の耐燃焼性が不充分であり、火災の際の延焼が課題となっている。
アクリル樹脂の耐燃焼性を向上させる手法としては、難燃剤としてリン系、窒素系、ハロゲン系等の有機系難燃剤や、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤を、アクリル樹脂にブレンドする方法が一般的である(特許文献1及び2)。
しかしながら、難燃性を高めるために難燃剤を大量に添加すると、樹脂表面に難燃剤がブリードして透明性を損なったり、機械強度等の他の物性を著しく低下させるという問題がある。
また、ハロゲン系化合物を難燃剤として使用した場合は、難燃化の効果は比較的大きいが、火災発生時又は焼却処理時に、有害性又は腐食性の物質が発生するため、救出・消火活動又は処理作業を困難にし、又は環境汚染を引き起こす虞がある。
特許文献3では、フォスファゼン化合物を共重合させたゴムグラフト共重合体が開示されている。しかしながら、耐衝撃性の添加剤として組成が設計されており、フィルム用の樹脂としては適当ではなかった。
特開平5−170996号公報 特開平11−152341号公報 国際公開第2015/019945号
本発明は、透明性や柔軟性等の性質を損なうことなく、耐燃焼性を向上したアクリル樹脂フィルムを得るための(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、リンを含有する単量体(以下「リン含有単量体」という。)単位を、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に用いることによって、前記目的を達成することを見出した。
即ち、本発明は以下の[1]〜[9]の特徴を有する。
[1] リンを含有する単量体単位を含み、ゲル含有率が40〜75質量%である、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[2] リンを含有する単量体単位に由来するリン原子の含有率が、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に対して0.08〜2.6質量%である、[1]の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[3] 炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)単位、及び、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)単位からなる群から選ばれる1種以上の単量体単位と、架橋性単量体(a5)単位を含む弾性重合体(A)に、
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(b1)単位、及び、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(b2)単位を含むグラフト重合体(B)がグラフトした、
ゴム含有多段重合体からなる、[1]又は[2]の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[4] (メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のアセトン可溶分の重量平均分子量が30,000〜70,000である、[1]〜[3]のいずれかの(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[5] 下記条件で試験片を作成し、下記条件で発熱速度を測定したときの、発熱速度が180kW/m未満である、[1]〜[4]のいずれかの(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体;
<試験片の作成条件>
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体をTダイ法で製膜して、厚さ0.1mm、長さ50mm、幅50mmの試験片を作成する;
<発熱速度の測定条件>
ISO 5660−1(2002)コーンカロリーメータ法に準拠し、輻射電気ヒータから試験片表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱試験において、
キャリブレーションファクタが0.00425、且つ、厚さ2mmのワイヤーグリッドを使用した状態での試験数5回の平均値の発熱速度を測定する。
[6] 前記試験片のヘーズが5.0%未満である、[5]の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[7] 前記試験片を温度200℃、圧力5MPaで5分間加圧し、次いで圧力2MPaをかけながら5分間冷却して得られる成形体のヘーズが2.0%未満である、[5]又は[6]の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
[8] [1]〜[7]のいずれかの(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体から成る、アクリル樹脂フィルム。
[9] [8]のアクリル樹脂フィルムを基材に積層した、積層体。
本発明の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体から得られるアクリル樹脂フィルムは、透明性や柔軟性等の性質を損なわず、耐燃焼性に優れる。該アクリル樹脂フィルムは、耐燃焼性を要するラミネート分野において好適に用いることが可能である。
本発明の(メタ)アクリル系ゴムグラフト共重合体は、弾性重合体とグラフト重合体(グラフト部)から構成され、リン含有単量体単位を含む。リン含有単量体単位を導入することで、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の耐燃焼性を向上することができる。
本発明の(メタ)アクリル系ゴムグラフト共重合体は、リン含有単量体単位に由来するリン原子の含有率が、(メタ)アクリル系ゴムグラフト共重合体(100質量%)に対して、0.08〜2.6質量%であり、0.4〜1.72質量%が好ましい。
リン含有単量体単位は、後述する弾性重合体(A)及びグラフト重合体(B)の一方又は両方に含まれることが好ましく、フィルムに成形したときの物性や耐燃焼性の観点から、弾性重合体(A)に含まれることがより好ましい。
<弾性重合体A>
弾性重合体(A)の原料として用いる、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)(以下「単量体(a1)」ともいう。)は、アルキル基が直鎖状、分岐状の何れでもよい。
具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
中でも、ガラス転移温度(Tg)の低いアルキルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートがより好ましい。Tgが低ければ、弾性重合体(A)が良好な耐衝撃性を有し、かつ容易に成形できる。
弾性重合体(A)の原料として用いる、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)(以下「単量体(a2)」ともいう。)は、アルキル基が直鎖状、分岐状の何れでもよい。
具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
単量体(a1)と単量体(a2)は、何れか一方のみを用いてもよく、双方を組み合わせて用いてもよいが、弾性重合体(A)の原料として用いる単量体100質量%中、単量体(a1)の割合は50質量%以上が好ましい。
弾性重合体(A)中の、単量体(a1)単位/単量体(a2)単位の比率は、単量体(a1)単位と単量体(a2)単位の合計を100としたときに、50/50〜100/0が好ましい。
弾性重合体(A)を構成する単量体として、単量体(a1)、単量体(a2)の他に、耐燃焼性を高める観点からリン含有単量体(a3)(以下「単量体(a3)」ともいう。)、他の単官能単量体(a4)(以下「単量体(a4)」ともいう。)、架橋性単量体(a5)(以下「単量体(a5)」ともいう。)を用いることができる。
リン含有単量体(a3)としては、例えば(2−ヒドロキシエチル)アクリレートアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシルエチル)メタクリレートアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシプロピル)アクリレートアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシプロピル)メタクリレートアシッドホスフェート、(3−ヒドロキシプロピル)アクリレートアシッドホスフェート、(3−ヒドロキシプロピル)メタクリレートアシッドホスフェート、ジフェニル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジエチル(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホネート、ジエチル2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホネート、ジエチル1−メタクリロイルオキシエチルホスホネート、ジメチル3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホネート、ジメチル2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスホネート、ジメチル4−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホネート、ジメチル3−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホネート、ジメチル2−(メタ)アクリロイルオキシブチルホスホネートが挙げられる。
これらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記弾性重合体(A)にリン含有単量体(a3)を用いる場合、弾性重合体(A)中の単量体(a3)単位の含有率は、単量体(a1)〜(a3)単位の合計100質量%に対し、1〜90質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましい。
他の単官能単量体(a4)としては、例えば、炭素数9以上のアルキル基を有する高級アルキルアクリレート、低級アルコキシアクリレート、シアノエチルアクリレート等のアクリレート単量体、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、スチレン、アルキル置換スチレン、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
架橋性単量体(a5)は、架橋を形成して、弾性重合体(A)にゴム弾性を付与すると共に、グラフト重合体(B)との間に架橋を形成する成分である。単量体(a5)の中では架橋反応と共にグラフト交叉反応を生じる機能を有するグラフト交叉剤が好ましい。
このような機能を有するものとして、例えば、共重合性のα、β−不飽和カルボン酸;ジカルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステル;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートが挙げられる。この中では、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はフマル酸のアリルエステルが好ましく、中でも、アリルメタクリレートが優れた効果を奏する。
尚、単量体(a5)は、上述のようなグラフト交叉反応を生じる単量体に限定されるものではない。
例えば、耐熱性が厳しく要求される場合等、成形体の使用目的に応じて他の単量体を用いることができる。具体的には、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼンも使用できる。
このように単量体(a5)としては多様な単量体を選択し得るが、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の軟質性を発現するためには、アリルメタクリレート等のグラフト交叉剤の使用が好ましい。
弾性重合体(A)を構成するこれらの単量体の使用割合は、単量体(a1)〜(a5)の合計100質量%に対し、単量体(a1)〜(a3)の合計80〜99.99質量%、単量体(a4)0〜19.99質量%、単量体(a5)0.01〜5質量%が好ましい。
弾性重合体(A)のTgは、0℃以下が好ましく、−20℃以下がより好ましい。弾性重合体(A)のTgが0℃以下であれば、得られる成形体において耐衝撃性を有する。
Tgは、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)〕に記載されている値を用いてFOXの式から算出することができる。以下、TgはFOXの式から算出された値を意味する。
弾性重合体(A)は2段以上に分けて重合してもよい。その場合、組成の異なる単量体混合物を重合してもよい。2段以上に分けて重合することで、最終的に得られる(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の粒子径の制御が容易になる。
弾性重合体(A)は、乳化重合、懸濁重合等によって得ることができる。乳化重合による場合、乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることが好ましい。これらは公知のものを使用できる。
<グラフト重合体(B)>
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体は、以上説明した弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(b1)(以下「単量体(b1)」ともいう。)を含む単量体(b)を重合することにより得ることが好ましい。単量体(b)は重合によりグラフト重合体(B)を形成することができる。
単量体(b1)の具体例としては、先に説明した単量体(a2)の具体例と同じものが挙げられる。それらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
単量体(b)として、単量体(b1)以外の、他の単官能単量体(b2)(以下「単量体(b2)」ともいう。)、リン含有単量体(b3)(以下「単量体(b3)」ともいう。)を更に用いることもできる。
単量体(b2)の具体例としては、先に説明した単量体(a1)及び単量体(a4)の具体例と同じものが挙げられる。それらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
単量体(b3)の具体例としては、先に説明した単量体(a3)の具体例と同じものが挙げられる。それらは1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
単量体(b)100質量%中、単量体(b1)の量は70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましい。これにより、単量体(b)を重合して得られるグラフト重合体(B)のTgを適度に高くすることができる。
弾性重合体(A)にリン含有単量体(a3)単位を用いず、グラフト重合体(B)にリン含有単量体(b3)単位を用いる場合、単量体(b)としてリン含有単量体(b3)を用いることができる。
グラフト重合体(B)にリン含有単量体(b3)を用いる場合、グラフト重合体(B)中の単量体(b3)単位の含有率は、単量体(b1)〜(b3)単位の合計100質量%に対し、0〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
単量体(b)の重合反応は、弾性重合体(A)の重合反応終了後、得られた重合液をそのまま用いて、単量体(b)を添加して、引続き行なうことが好ましい。
単量体(b)を重合して得られるグラフト重合体(B)のTgは、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。グラフト重合体(B)のTgが50℃以上であれば、成形性に優れ、機械的強度を有する成形体を得ることができる。グラフト重合体(B)は2段以上に分けて重合してもよい。その場合、組成の異なる単量体混合物を重合してもよい。
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体は、更に中間部重合体(C)を有することができる。
中間部重合体(C)は、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(c1)(以下「単量体(c1)」ともいう。)と、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(c2)(以下「単量体(c2)」ともいう。)と、必要に応じて用いる、その他の単官能単量体(c3)と架橋性単量体(c4)を構成成分とすることが好ましい。
これらの単量体(c1)〜(c4)の具体例としては、それぞれ、先に説明した単量体(a1)、単量体(a2)、単量体(a4)、単量体(a5)の具体例と同じものが挙げられる。
これらの単量体の使用割合は、単量体(c1)〜(c4)の合計100質量%に対し、単量体(c1)10〜90質量%、単量体(c2)10〜90質量%、単量体(c3)0〜20質量%、単量体(c4)0〜10質量%が好ましい。
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体100質量%中における中間部重合体(C)の比率は、0〜35質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
中間部重合体(C)を有する場合、弾性重合体(A)/中間部重合体(C)/グラフト重合体(B)の比率は、50〜60質量%/5〜20質量%/20〜45質量%が好ましい。
中間部重合体(C)がない場合、弾性重合体(A)/グラフト重合体(B)の比率は、50〜70質量%/30〜50質量%が好ましい。
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体100質量%中における弾性重合体(A)の割合は、50質量%以上である。この割合が50質量%以上であれば、得られる成形体の機械強度や柔軟性がより向上し、クラックを抑制できる。また、成形体がフィルムである場合、成形時の破断を抑制できる。
更に、直接又は各種樹脂シートに積層した後に軟化温度以上に加熱し、三次元形状の各種樹脂成形体、木工製品又は金属成形体の表面に積層する場合、破断、クラック、白化が抑制され、意匠性の高い成形体が得られる。このような成形体は、常温での加工にも適する。
即ち、成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、この基材を窓枠等の各種部材の形状にするために常温曲げ加工する際に曲部でクラックが発生せず、このため剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐蝕することがない。
また、弾性重合体(A)の割合が70質量%以下であれば、得られる成形体は厚さ精度に優れ、また(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の流動性の低下によって成形時の生産性が低下することも防止できる。
<ゲル含有率>
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のゲル含有率は、40〜75質量%であり、45〜70質量%が好ましい。
ゲル含有率が40質量%以上であれば、得られる成形体の機械的強度が高く、取扱いが容易である。また、成形体がフィルムの場合には、各種樹脂成形体等の表面への積層が容易であり、白化が抑制され、意匠性にも優れる。ゲル含有率が75質量%以下であれば、流動性が高く、成形が容易となる。
ここで(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のゲル含有率は、下記式により算出して求めることができる。
ゲル含有率=(m/M)×100 (質量%)
式中、Mは所定量(抽出前質量ともいう。)の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を示し、mは該所定量の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のアセトン不溶分の質量(抽出後質量ともいう。)を示す。
具体的には、以下の方法による測定値を採用することができる。
(1)抽出前質量Mとして1gの(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体をアセトン50gに溶解したアセトン溶液を、70℃で6時間還流させる。
(2)得られた抽出液に対し、CRG SERIES((株)日立製作所製)を用いて、4℃において、14000rpm、30分間遠心分離を行なう。
(3)溶液をデカンテーションで除去し、残存した固体を得る。この固体に対し、還流、遠心分離、デカンテーションを再度繰り返す。
(4)得られた固体を50℃で24時間乾燥して得られたアセトン不溶分の質量を、抽出後質量mとして測定する。
(5)抽出前質量M及び抽出後質量mから上記式によりゲル含有率を算出する。
<アセトン可溶分の重量平均分子量>
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、30,000〜70,000であり、35,000〜60,000が好ましい。
Mwが30,000以上であれば、取扱いが容易で、機械的強度が高く、割れの発生が抑制された成形体を得ることができる。特に成形体がフィルムの場合には、直接又は樹脂シートに積層後、三次元形状の各種樹脂成形体、木工製品、又は金属成形体の表面に積層する際、破断や割れ、白化が抑制され、外観不良が生じるのを抑制することができる。またMwが70,000以下であれば、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の流動性が高く、溶融粘度を低く抑えることができ成形が容易となる。
ここでMwは、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のアセトン可溶分について、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した測定値である。具体的には、以下の方法による測定値を採用することができる。
(1)(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で6時間還流させてアセトン可溶分を抽出する。
(2)得られた抽出液を、CRG SERIES((株)日立製作所製)を用いて、4℃において、14000rpm、30分間遠心分離を行なう。
(3)アセトン不溶分をデカンテーションで除去し、真空乾燥機にて50℃で、24時間乾燥させて得られたアセトン可溶分について、以下の条件でGPC測定を行ない、標準ポリスチレンによる検量線からMwを求める。
装置:東ソー(株)製「HLC8220」
カラム:東ソー(製)「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」
(内径4.6mm×長さ15cm×2本、排除限界4×10(推定))
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
溶離液流量:0.35ml/分
測定温度:40℃
試料注入量 10μl(試料濃度0.1%)
アセトン可溶分のMwは、重合時に連鎖移動剤の量を適宜調整することによって調整できる。連鎖移動剤はグラフト重合体(B)の重合時に用いることが好ましい。
<チャー生成量>
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のチャー生成量は、2.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましい。2.0質量%以上であれば、成形体を燃焼させた時に酸素遮断効果が高くなり、耐燃焼性が向上する。
具体的には、以下の方法による測定値を採用することができる。
セイコーインスツルメンツ社 型式:TG/DTA6200モジュールを用いて昇温速度10℃/分、Air流量200mL/分の条件下で500℃まで昇温し、495℃における残渣をチャー生成量とし、以下の計算式により算出した。
チャー生成量=(z/Z)×100 (質量%)
式中、Zは所定量(測定前質量ともいう。)の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を示し、zは該所定量の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を495℃まで昇温した際の残渣(測定後質量ともいう。)を示す。
本発明の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体は、必要に応じて種々の配合剤を含有していてもよい。配合剤としては、例えば、安定剤、滑剤、可塑剤、耐衝撃助剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、熱可塑性重合体が挙げられる。また耐燃焼性を高めるために、難燃剤を用いてもよい。
難燃剤は、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体100質量部当たり、1〜25質量部を含むことができ、充分な難燃性を付与しつつ機械的特性や耐熱性の低下を抑える観点から、2〜10質量部が好ましい。
難燃剤としては、公知の難燃剤を用いることができる。
ラテックス状の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に、上記配合剤を添加し、配合剤と重合体の混合物を粉体として回収することができる。また、ラテックスから回収された粉体に配合剤を混合してもよい。また、溶融押出によって成形体を製造する場合は、成形機に付随する混練機に、ラテックスから回収された粉体と共に配合剤を供給してもよい。成形機に付随する混練機とは、例えば単軸押出機、二軸押出機である。
<成形体>
本発明の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を成形して得られる成形体は、フィルム、シート、三次元構造体等の何れの形状であってもよい。特にフィルム状の成形体が好ましい。このような成形体の用途としては、例えば、農業用ビニルハウス、マーキングフィルム、ポスター、壁紙、発泡シート、屋外用塩ビレザー、塩ビ鋼板の屋根材及びサイディング材等の外壁建材、自動車内外装、家具等の塗装代替、エレベーター内装、雨樋、床材、波板、化粧柱、照明、浴室や台所等の水周り部材の被膜材が挙げられる。
その他、断熱フィルム、液晶ディスプレイ等の偏光板に使用される偏光膜保護フィルム、視野角補償、位相差補償のための位相差板に使用される位相差フィルムにも使用できる。ここで「フィルム状の成形体」とは、シートも含むものとする。
本発明の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を、例えば、溶液流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形や、カレンダー成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、金型成形、圧縮成形等の方法により成形し、フィルム、シート、射出成形体、中空成形体等の各種成形体が得られる。
成形時の溶融温度は100〜250℃が好ましく、150〜200℃がより好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を製膜してフィルムとする場合は、カレンダー加工、もしくはTダイ法により製膜することが好ましい。そのフィルムの厚さは、0.01〜0.5mmが好ましく、0.02〜0.2mmがより好ましく、0.04〜0.2mmが更に好ましい。フィルムの厚さがこれら範囲内であると、フィルムが適度な剛性を有し、またラミネート性や二次加工性が良好になる。
本発明における「Tダイ法」とは、Tダイを用いたフィルムの製造方法を意味する。例えば、150mm幅のTダイを取付けた30mm口径のノンベントスクリュー型押出機(L/D=26)を用いてシリンダー温度180〜200℃、Tダイ温度200℃、冷却ロール温度80℃で厚さ0.05〜0.2mmのフィルムを成形する方法である。
アクリル樹脂フィルムの引張弾性率は500〜1500MPaが好ましく、600〜1400MPaがより好ましい。アクリル樹脂フィルムの引張弾性率が範囲内であると、フィルムが適度な剛性を有し、またラミネート性や二次加工性が良好になる。
<積層体>
アクリル樹脂フィルムはそのままで各種用途に使用しても、適宜基材に積層して使用してもよい。透明なアクリル樹脂フィルムを基材に積層すれば、クリア塗装の代替として用いることができ、基材の色調を生かすことができる。このように基材の色調を生かす用途においては、アクリル樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムに比べ、透明性、深み感や高級感の点で優れている。アクリル樹脂フィルムを積層する基材としては、各種樹脂や金属からなる成形体、木工製品等を挙げることができる。基材が樹脂である場合、アクリル樹脂フィルムと溶融接着可能な熱可塑性樹脂が好ましく、ABS樹脂、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂あるいはこれらを主成分とする樹脂を挙げることができる。これらのなかでは、接着性の点でABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂あるいはこれらの樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂等の溶融接着し難い樹脂からなる基材の場合には、適宜接着層を設けてからアクリル樹脂フィルムを積層してもよい。
基材が二次元形状であって、その基材が熱融着可能な材質である場合には、熱ラミネーション等の方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層することができる。熱融着が困難な材質の基材に対しては、接着剤を用いたり、アクリル樹脂フィルムの片面を粘着加工して積層すればよい。基材が三次元形状である場合には、予め所定の形状に加工したアクリル樹脂フィルムを射出成形用金型に挿入するインサート成形法、金型内で真空成形後、射出成形を行なうインモールド成形法等の成形方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層できる。
アクリル樹脂フィルムが、基材の保護を少なくとも目的の1つとして、基材に積層される場合には、アクリル樹脂フィルムには耐候性付与のために、紫外線吸収剤が添加されることが好ましい。
また、アクリル樹脂フィルムには光安定剤が添加されていることが好ましい。
アクリル樹脂フィルムの表面には、必要に応じて、各種機能付与のためのコーティング等の表面処理を施すことができる。機能付与のための表面処理としては、シルク印刷、インクジェットプリント等の印刷処理、金属調付与あるいは反射防止のための金属蒸着、スパッタリング、湿式メッキ処理、表面硬度向上のための表面硬化処理、汚れ防止のための撥水化処理あるいは光触媒層形成処理、塵付着防止、あるいは電磁波カットを目的とした帯電防止処理、反射防止層形成、防眩処理、艶消し処理等を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
以下において、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。略号は以下のものを示す。
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体また及びアクリル樹脂フィルムの評価は、以下の方法で行なった。
[平均粒子径測定]
SHIMADZU(株)型式:UV−1850島津紫外可視分光光度計を用いて、ラテックス状の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の吸光度測定を行ない、以下の式から粒子径を算出した。
粒子径=10^(LOG(吸光度)×0.4379−0.416)
[ガラス転位温度]
(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体中に含まれる第一弾性重合体(A1)、第二弾性重合体(A2)、グラフト重合体(B)のガラス転移温度(Tg)はポリマーハンドブック[Polymer HandBook(J.Brandrup,Interscience,1989)]に記載されているホモポリマーの値を用いてFOXの式から算出した。
[ゲル含有率]
上記方法により算出した。
[重量平均分子量]
上記方法により算出した。数平均分子量(Mn)も同時に算出した。
[引張弾性率及び引張破断伸度]
島津製作所(株)型式:AGS−X 精密万能試験機(オートグラフ)を用い、JIS K7127に準拠して引張弾性率及び引張伸度を測定した。厚さ0.01〜0.2mmのフィルムを長さ150mm×幅15mmに切断して試験片とし、25℃、初期つかみ間隔100mm、引張速度50mm/分の条件で測定を行なった。
[全光線透過率及びヘーズ]
日本電色工業(株)型式:NDH−4000(ヘーズメーター)を用いて、JIS K7361−1に準拠して全光線透過率を、JIS K7136に準拠してヘーズを測定した。
[発熱速度]
東洋精機(株)型式:C3 コーンカロリーメーターIIIを用いて、ISO5660−1(2002)に準拠し、測定高さ52mm、輻射熱50kW/mで発熱速度を測定した。
また、厚さ0.01〜0.2mmのフィルムを長さ50mm、幅50mmに切断して試験片とし、保持器フレームとアルミニウム箔で包装したサンプルの間に、厚さ2mmのワイヤーグリッドを挿入している。
以下、発熱速度の計算式を示す。試験回数5回の平均値を採用している。
HRR=q(t)/As
q(t)=CV×1.1048C×(ΔP/T)1/2×(X−X02)/(1+0.5X−1.5X02
HRR=発熱速度(kW/m
CV=コンバージョンファクタ≒13.1×10(kJ/kg)
C =キャリブレーションファクタ
T =差圧温度(K)
ΔP=差圧(Pa)
=Oベースライン
02=Oの読み
As=試料面積(m
[発熱速度/サンプル重量]
発熱速度(kW/m)を測定したサンプル重量(g)で割ることにより発熱速度/サンプル重量(kW/m・g)を算出した。
[低減率(発熱速度/サンプル重量)]
リン原子を含有しているアクリル樹脂フィルムと、同じ厚さのリン原子を含有していないアクリル樹脂フィルムを比較し、低減率を以下の計算式にて算出した。
低減率(発熱速度/サンプル重量)=100−(h/H)×100 (%)
式中、hは(メタ)アクリル系グラフト共重合体中にリン原子を含有しているアクリル樹脂フィルムの発熱速度/サンプル重量を示し、Hは(メタ)アクリル系グラフト共重合体中にリン原子を含有していないアクリル樹脂フィルムを示す。
[チャー生成量]
上記方法にて算出した。
[プレス]
庄司工業(株)プレス成形機を用いて、Tダイ法にて得た厚さ0.01〜0.2mmのフィルム状成形体を温度200℃、圧力5MPaで5分間加圧し、次いで圧力2MPaをかけながら5分間冷却し成形体を得た。
[実施例1]
[(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の作製]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器に、脱イオン水177.5部、ホウ酸0.36部、炭酸ナトリウム0.36部を仕込んだ後、室温にて撹拌混合し完全に溶解させた。次いで75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.003部からなる混合物を投入した。その後、撹拌しながらMMA0.3部、nBA3.5部、MR260 1部、BDMA0.2部、AMA0.05部の単量体成分及びCHP0.025部、RS610 0.8部を8分間に亘って重合容器内に滴下した。その後15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
続いて、MMA1.2部、nBA14.0部、MR260 4.0部、BDMA0.8部、AMA0.2部の単量体成分及びCHP0.0128部、RS610 0.3部を60分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(A2)の重合を完結した。
続いて、MMA0.5部、nBA19.5部、AMA0.15部の単量体成分及びCHP0.025部を90分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、中間部重合体(C)の重合を完結した。
続いて、MMA50.6部、nBA4.4部、nOM0.20の単量体成分及びtBH0.069部を120分間に亘って重合容器内に滴下した。その後30分間反応を継続させグラフト重合体(B)の重合を完結させ、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のラテックスを得た。平均粒子径は143nmであった。
得られた(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のラテックスを、酢酸カルシウム3部を含む80℃の熱水中に滴下してラテックスを凝析した。さらに95℃に昇温して5分間保持し、固化した。その後水洗して回収した後、75℃で乾燥し、アクリル系ゴム含有グラフト共重合体の粉体を得た。
アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のゲル含有率、Mw、Mn、チャー生成量を測定した。結果を表2に示す。
[実施例2〜3]
表2に記載の添加量としたこと以外は、実施例1と同様にして(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を得た。
[実施例4]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器に、脱イオン水177.5部、ホウ酸0.36部、炭酸ナトリウム0.36部を仕込んだ後、室温にて撹拌混合し完全に溶解させた。次いで75℃に昇温し、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.003部からなる混合物を投入した。その後、撹拌しながらMMA0.3部、nBA4.5部、BDMA0.2部、AMA0.05部の単量体成分及びCHP0.025部、RS610 0.8部を8分間に亘って重合容器内に滴下した。その後15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
続いて、MMA1.5部、nBA17.5部、MR260 5.0部、BDMA1.0部、AMA0.25部の単量体成分及びCHP0.016部、RS610 0.3部を90分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(A2)の重合を完結した。
続いて、MMA6.0部、nBA4.0部、AMA0.075部の単量体成分及びCHP0.0125部を45分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、中間部重合体(C)の重合を完結した。
続いて、MMA55.2部、nBA4.8部、nOM0.22の単量体成分及びtBH0.075部を140分間に亘って重合容器内に滴下した。その後30分間反応を継続させグラフト重合体(B)の重合を完結させ、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のラテックスを得た。平均粒子径は170nmであった。
これ以降は実施例1と同様に、操作した。
[実施例5〜8、比較例1]
表2に記載の添加量としたこと以外は、実施例4と同様にして(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体を得た。
[配合例1〜7、比較配合例1〜3]
得られた(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体100部、イルガノックス1076(BASFジャパン(株)製)0.1部を、ヘンシェルミキサーを用いて混合し、この粉体混合物を脱気式押出機(TEM−35:東芝機械(株)製)を用いてシリンダー温度60〜200℃、ダイ温度200℃で溶融混練してペレットを得た。
続いて、上記ペレットを80℃で一昼夜乾燥し、150mm幅のTダイを取付けた30mm口径のノンベントスクリュー型押し出し機(L/D=26)を用いてシリンダー温度60〜200℃、Tダイ温度200℃、冷却ロール温度80℃で厚さ0.05〜0.2mmのフィルムを成形、その特性を評価した。結果を表3に示す。
実施例に示す通り、本発明の(メタ)アクリル系ゴムグラフト共重合体を成形して得られるアクリル樹脂フィルムは、透明性、引張破断伸度が良好な値を示した。
膜厚が0.05mmである配合例6の発熱速度は76kW/mであった。同じ厚さである比較配合例1の発熱速度/サンプル重量(kW/m・g)と比較して、11.8%低減させることが可能であった。
これと同様に、同じ厚さの配合例と比較配合例の発熱速度/サンプル重量(kW/m・g)を比較したとき、配合例1〜5,7の、全フィルムの発熱速度/サンプル重量(kW/m・g)が低減した。
また、MR260の仕込み量を増やすことで、発熱速度/サンプル重量(kW/m・g)の低減率をより低減させることが可能である(配合例1〜3)。
本発明の(メタ)アクリル系ゴムグラフト共重合体を成形して得られるアクリル樹脂フィルムは、透明性や機械物性に優れ、さらには発熱速度が低いため、耐燃焼性が求められる農業用ビニルハウス、マーキングフィルム、ポスター、壁紙、発泡シート、屋外用塩ビレザー、塩ビ鋼板の屋根材及びサイディング材等の外壁建材、自動車内外装、家具等の塗装代替、エレベーター内装、雨樋、床材、波板、化粧柱、照明、浴室や台所等の水周り部材等の各種の表面膜に好適である。

Claims (9)

  1. リンを含有する単量体単位を含み、ゲル含有率が40〜75質量%である、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  2. リンを含有する単量体単位に由来するリン原子の含有率が、(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体に対して0.08〜2.6質量%である、請求項1に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  3. 炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)単位、及び、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)単位からなる群から選ばれる1種以上の単量体単位と、架橋性単量体(a5)単位を含む弾性重合体(A)に、
    炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(b1)単位、及び、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(b2)単位を含むグラフト重合体(B)がグラフトした、
    ゴム含有多段重合体からなる、請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  4. (メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体のアセトン可溶分の重量平均分子量が30,000〜70,000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  5. 下記条件で試験片を作成し、下記条件で発熱速度を測定したときの、発熱速度が180kW/m未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体;
    <試験片の作成条件>
    (メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体をTダイ法で製膜して、厚さ0.1mm、長さ50mm、幅50mmの試験片を作成する;
    <発熱速度の測定条件>
    ISO 5660−1(2002)コーンカロリーメータ法に準拠し、輻射電気ヒータから試験片表面に50kW/mの輻射熱を照射する発熱試験において、
    キャリブレーションファクタが0.00425、且つ、厚さ2mmのワイヤーグリッドを使用した状態での試験数5回の平均値の発熱速度を測定する。
  6. 前記試験片のヘーズが5.0%未満である、請求項5に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  7. 前記試験片を温度200℃、圧力5MPaで5分間加圧し、次いで圧力2MPaをかけながら5分間冷却して得られる成形体のヘーズが2.0%未満である、請求項5又は6に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系ゴム含有グラフト共重合体から成る、アクリル樹脂フィルム。
  9. 請求項8に記載のアクリル樹脂フィルムを基材に積層した、積層体。
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