JP2019189780A - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体において、十分な厚みを有していても透明性、耐衝撃性および耐溶剤性に優れた成形体を提供すること【解決手段】フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマーと、アクリル系樹脂と結晶核剤とを含み、コポリマーとアクリル系樹脂との合計量を100質量部とした場合の、コポリマーの含有量が80質量部以上99質量部以下、結晶核剤の含有量が0.01質量部以上5質量部以下であり、コポリマーがフッ化ビニリデン由来の構成単位とフッ素含有モノマー由来の構成単位とを含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は樹脂組成物および成形体に関する。
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ化ビニリデン系ポリマーの成形体は、白く曇ることがある。これは、成形時に生成する球晶のサイズが可視光線の波長よりも大きいと、当該成形体において光が散乱するためである。このため、一般に、このような球晶を有するフッ化ビニリデン系ポリマーの成形体のヘイズは高く、よって、このような成形体は不透明である。
フッ化ビニリデン系ポリマーの成形体のヘイズを低くする技術としては、フッ化ビニリデン系ポリマーにアクリル系樹脂を混合し、フッ化ビニリデン系ポリマーの結晶性を低下させる技術がある(例えば、特許文献1および2参照)。
国際公開2016/199829号明細書 国際公開2016/199830号明細書
しかしながら、アクリル系樹脂は、一般に、フッ化ビニリデン系ポリマーに比べて衝撃強度が著しく低く、耐溶剤性に劣る。このため、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体は、衝撃強度と耐溶剤性とが不十分となることがある。また、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂との樹脂組成物で構成された成形体は、アニール処理前には良好な透明性と耐衝撃性とを有していても、アニール処理により成形体中でフッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂との相分離が進行することがある。その結果、当該成形体の透明性および耐衝撃性の一方または両方がアニール処理によって著しく低下することがある。このように、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体には、実用上において、透明性、耐衝撃性、および耐溶剤性をいずれも十分に発現させる観点から検討の余地が残されている。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体において、十分な厚みを有していても透明性、耐衝撃性および耐溶剤性に優れた成形体を提供することである。
発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、樹脂組成物に結晶核剤を含有させることによって、透明性、耐衝撃性および耐溶剤性に優れる成形体が上記樹脂組成物から得られることを見出した。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマーと、アクリル系樹脂と、結晶核剤と、を含み、前記コポリマーと前記アクリル系樹脂との合計量を100質量部とした場合の、前記コポリマーの含有量が80質量部以上99質量部以下、前記結晶核剤の含有量が0.01質量部以上5質量部以下であり、前記コポリマーがフッ化ビニリデン由来の構成単位とフッ素含有モノマー由来の構成単位とを含む。
本発明の一態様によれば、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体において、十分な厚みを有していても透明性と耐衝撃性とに優れた成形体を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
〔樹脂組成物〕
本実施形態に係る樹脂組成物は、フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマー(以下、「フッ化ビニリデン系ポリマー」と記載する)と、アクリル系樹脂と、結晶核剤とを含む。樹脂組成物は扱いやすさおよび成形のしやすさなどの観点から、ペレットまたはフレークなどの形状に粒状化していることが好ましい。
(フッ化ビニリデン系ポリマー)
本実施形態におけるフッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマーである。ここで、「フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とする」とは、フッ化ビニリデン系ポリマーがフッ化ビニリデンに由来する構成単位を50質量%以上含有することを指すものとする。
本実施形態におけるフッ化ビニリデン系ポリマーは、フッ化ビニリデンに由来する構成単位の他に、フッ素含有モノマー由来の構成単位を含む。フッ素含有モノマー由来の構成単位は一種でもそれ以上でもよい。
フッ素含有モノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、およびテトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。中でも、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンが成形体の透明性の観点から好ましく、ヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
前記フッ化ビニリデン系ポリマーにおける前記フッ素含有モノマー由来の構成単位の含有率は、成形体の透明性の観点から、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましい。
また、上記含有率は、結晶性の観点から、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。フッ素含有モノマーの含有率が高くなると、フッ化ビニリデン系ポリマーの結晶性が低下する。フッ化ビニリデン系ポリマーの結晶性が低下することは、上記樹脂組成物から成形した成形体の物性の低下につながる。
フッ化ビニリデン系ポリマーは、本実施の形態の効果が得られる範囲において、フッ化ビニリデン由来の構成単位およびフッ素含有モノマー由来の構成単位以外の他の構成単位をさらに含んでいてもよい。このような他の構成単位は、一種でもそれ以上でもよく、その例には、エチレン、不飽和二塩基酸誘導体(例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル)、酢酸ビニルが含まれる。
フッ化ビニリデン系ポリマーの分子量は、上記樹脂組成物の所期の物性に基づいて適宜に決めることが可能である。フッ化ビニリデン系ポリマーの分子量は、インヘレント粘度で表すことができ、例えば0.8〜2.0dL/gの範囲から適宜に決めることができる。
フッ化ビニリデン系ポリマーのインヘレント粘度は、例えば成形加工性の観点から、0.8〜2.0dL/gであることが好ましい。インヘレント粘度は、公知の測定法、例えばJIS K7367−1で規定されている方法、に基づいて求めることが可能である。
フッ化ビニリデン系ポリマーは、公知の方法で製造することが可能であり、例えば溶液重合、乳化重合または懸濁重合により製造することが可能である。
(アクリル系樹脂)
本実施形態におけるアクリル系樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を主成分とするモノマーをラジカル重合して得られる樹脂およびその誘導体である。アクリル系樹脂は、本実施形態の効果が得られる範囲において、公知のアクリル系樹脂から適宜に選択することが可能である。
アクリル系樹脂は、単一の構成単位からなるホモポリマーであってもよいし、二種以上の構成単位を含むコポリマーであってもよい。アクリル系樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸の誘導体からなる群から選ばれる一以上のアクリル酸系モノマー由来の構成単位を有する樹脂であってよい。
上記構成単位となる(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどである。
上記構成単位となる(メタ)アクリル酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などである。
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、4万以上100万以下の範囲であることが好ましく、5万以上75万以下であることがより好ましく、6万以上50万以下であることがさらに好ましい。
アクリル系樹脂の重量平均分子量がこの範囲内にあることは、成形体の機械的強度と樹脂組成物の成形性とを十分に発現させる観点から好ましい。一般に、アクリル系樹脂の重量平均分子量が高いと機械的強度が向上し、アクリル系樹脂の重量平均分子量が低いと成形性が向上する。
アクリル酸系樹脂の重量平均分子量は、公知の測定法、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることが可能である。
(樹脂組成)
前記フッ化ビニリデン系ポリマーと前記アクリル系樹脂との合計量を100質量部とした場合の、前記フッ化ビニリデン系ポリマーの含有量は、少ないと耐衝撃性が不十分となることがあり、多いと透明性が不十分となることがある。
成形体の十分な耐衝撃性を実現する観点から、前記フッ化ビニリデン系ポリマーの含有量は、80質量部以上であり、85質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましい。また、成形体の十分な透明性を実現する観点から、99質量部以下であり、98質量部以下であることが好ましく、97質量部以下であることがさらに好ましい。
(結晶核剤)
本実施形態における結晶核剤は、結晶性樹脂の結晶を析出させる場合に、当該結晶性樹脂の結晶の形成における核とするために使用される成分である。
結晶核剤は、フッ化ビニリデン系樹脂の結晶核剤として好適に利用可能である化合物であることが好ましい。結晶核剤は、成形体の透明性を高める観点から、本実施形態に係る樹脂組成物の溶融成形時に融解し、分散性に優れることが好ましい。
具体的には、160℃〜250℃の融点を有する有機系または高分子系の結晶核剤が好ましい。なお、有機系または高分子系の結晶核剤の中でも、高分子化合物で構成されている高分子系の結晶核剤は、それ以外の有機系の化合物で構成されている結晶核剤に比べて好ましい。以下では、高分子系の結晶核剤について述べる。
高分子系の結晶核剤は、その融点が高すぎると、樹脂組成物の溶融成形時に結晶核剤が融解せず、分散が不十分になり、結晶核剤として好適に働かない。一方、融点が低すぎる高分子系の結晶核剤は、冷却時に結晶核剤として作用することができない。
一般的に高分子系の結晶核剤は分散性に劣るため、結晶核剤は、その融点が上記の範囲にあることに加えて、本実施形態に係る樹脂組成物との相溶性に優れる構造を部分的に有していることが好ましい。結晶核剤における、相溶性に優れる構造の含有量は、当該結晶核剤が、結晶核剤として作用し得る範囲において適宜に決めることができる。
本実施形態に係る樹脂組成物との相溶性に優れる構造とは(メタ)アクリル酸エステル由来の構造であり、より具体的には(メタ)アクリル酸メチル、および(メタ)アクリル酸エチル由来の構造などが挙げられる。
高分子系の結晶核剤における、相溶性に優れる構造以外の構造は、高分子系の結晶核剤が結晶性を有し、高分子系の結晶核剤の融点を160℃〜250℃の間とする観点から、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、またはテトラフルオロエチレン由来の構造であることが好ましい。
高分子系の結晶核剤は、相溶性に優れる構造のブロックとその他の構造のブロックとを含むブロック共重合体であることが好ましい。なお、高分子系の結晶核剤は、その融点が160℃〜250℃の範囲内であれば、上記ブロックの一部がランダムに結合していてもよい。
本実施形態における高分子系の結晶核剤は、その融点を160〜250℃に調整するために、結晶核剤として作用し得る範囲において、さらにその他のモノマーを含んでいてもよい。その他の成分としては、エチレン、プロピレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、(メタ)アクリル酸、および(メタ)アクリル酸の誘導体が挙げられる。
このような結晶核剤の例には、第四級アンモニウム塩、ソルビトール系化合物、アルキルメタアクリレートとフッ化ビニルとの共重合体紛体、およびアルキルメタアクリレートとクロロトリフルオロエチレンとの共重合体紛体が含まれる。
第四級アンモニウム塩としては、アルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩が好ましく、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩がより好ましい。ソルビトール系化合物としては、ゲルオールD(新日本理化株式会社製、「ゲルオール」は同社の登録商標)がより好ましい。「アルキルメタアクリレートとフッ化ビニルとの共重合体紛体」は、例えば、特公昭54−1586号公報に記載の樹脂紛体である。
結晶核剤は、一種でもそれ以上でもよく、本実施形態の効果が得られる範囲において、上記以外の他の結晶核剤を併用してもよい。他の結晶核剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン、高融点ナイロンなどの高融点ポリマーの粉末、タルク、シリカなどの無機質微粒子、金属酸化物、硫酸塩、リン酸塩、硅酸塩、蓚酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタンワックスエステル塩、テレフタル酸塩、およびカルボン酸塩などが挙げられる。
結晶核剤の配合量は、樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下である。結晶核剤の配合量が少ないと、成形体の透明性および耐衝撃性が不十分となることがあり、結晶核剤の配合量が多いと、成形体の透明性および耐衝撃性の向上効果が頭打ちになる。成形体の透明性および耐衝撃性を十分に高める観点から、結晶核剤の配合量は、0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく0.3質量部以上であることがさらに好ましい。また、結晶核剤の配合量は、例えば、成形体の透明性および耐衝撃性の向上効果に加えて生産性の観点から、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましい。
上記樹脂組成物における結晶核剤の配合量は、結晶核剤の種類に応じた通常の機器分析によって特定し、あるいは推定することが可能である。
(他の成分)
本実施形態に係る樹脂組成物は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分は、一種でもそれ以上でもよい。樹脂組成物における添加剤の含有量は、本実施の形態の効果と添加剤による効果との両方が得られる範囲において適宜に決めることが可能である。上記の他の成分の例には、添加剤および上述以外の重合体が含まれる。添加剤の例には、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、ブルーイング剤、および着色防止剤が含まれる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、少なくともフッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂と結晶核剤とを含有する十分均一な混合物が得られる範囲において、公知の方法、技術を利用して行うことが可能である。
例えば、前述した所定量のフッ化ビニリデン系ポリマー、アクリル系樹脂および結晶核剤を同方向二軸押出機に投入し、混練、押出すことによってペレット状の樹脂組成物を得ることができる。
あるいは、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂と結晶核剤との混合は、これらの成分が実質的に均一に混合される範囲において、乾燥状態での粉体混合であってもよいし、重合で得られたスラリー、ラテックス状または脱水後の湿潤状態のフッ化ビニリデン系ポリマーにアクリル系樹脂および結晶核剤を添加する湿潤状態での混合であってもよい。
この際、結晶核剤は、粉体状、溶液状あるいは分散液として添加してもよく、フッ化ビニリデン系ポリマーへの混合を助けるために、エタノールもしくは酢酸エチルなどの有機溶媒、界面活性剤または分散補助剤などを結晶核剤含有液へ添加してもよい。また、結晶核剤は、マスターバッチの形態で前述の樹脂へ添加してもよい。
樹脂組成物の材料を混合する装置としては、例えば、ヘンシェルブレンダー、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、リボン型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機およびレディゲミキサーなどが挙げられる。
押出機としては、例えば、一軸押出機、同方向二軸押出機および異方向二軸押出機などが挙げられる。
〔成形体〕
本実施形態に係る成形体は、上述の樹脂組成物から成形されており、十分な厚みを有していても透明性と耐衝撃性とに優れている。
(厚み)
本実施形態に係る成形体は、0.1mmを超える厚みを有することが好ましい。成形体の厚みが0.1mmを超える、とは、成形体の最も薄い部分の厚さが0.1mm超であることを意味する。成形体の形状は、後述の成形工程を実現可能な範囲において、適宜に決めることが可能である。成形体の厚みは、成形体の最も薄い部分における適当な複数個所の厚みの平均値であってよい。
本実施形態に係る成形体の厚みは、後述する成形体のヘイズの観点から決めることも可能である。透明性の観点によれば、ヘイズは低いほど好ましいため、例えば、成形体の厚みは、30%以下のヘイズを実現する観点から4mm以下であることが好ましく、20%以下のヘイズを実現する観点から3mm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る成形体は、その厚みが薄いほどそのヘイズが低くなる傾向を有する。よって、成形体の厚みは、ヘイズを十分に小さくする観点からは、薄いほど好ましいが、所期の用途に要する機械的強度などの他の特性から適宜に決めることが可能である。たとえば、成形体の厚みは、十分な機械的強度をさらに備える観点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることが好ましく、あるいは1mm以上であることが好ましい。
(ヘイズ)
本実施形態に係る成形体は、30%以下のヘイズを有する。成形体のヘイズは、成形体の透明性の観点から低いほど好ましく、例えば、成形体は25%以下のヘイズを有することがより好ましく、20%以下のヘイズを有することがより好ましい。なお、「成形体が、30%以下のヘイズを有する」とは、成形体の厚みが2mmのときのヘイズの値が高くても30%であることを意味する。
成形体のヘイズは、例えば、市販のヘイズメータなどの公知の方法によって測定することが可能である。成形体のヘイズは、例えば成形体における任意の部分で測定したヘイズの実測値であってもよいし、2mm超または2mm未満の厚さの部分のヘイズの実測値から2mm厚の部分のヘイズとして算出される算出値であってもよい。
成形体のヘイズは、例えば、樹脂組成物に含まれるアクリル系樹脂の含有量を多くすることによって低くすることが可能である。また、成形体のヘイズは、例えば、フッ化ビニリデン系ポリマーに含まれるフッ素含有モノマー由来の構成単位の比率を高くすることによって低くすることが可能である。
成形体のヘイズは、アニール処理前のものであっても、アニール処理後のものであってもよい。なお、本実施形態に係る成形体は、アニール処理を施した後のヘイズが、アニール処理前のヘイズの110%以下であることが、成形体の熱による透明性の変化を抑制する観点から好ましい。アニール処理前後のヘイズの変化量は、前述した所定量の範囲内で前述の各種材料の使用によって調整することが可能である。
アニール処理は、樹脂製の成形体の製造で通常行われるように、成形体の成形時に生じるゆがみを取り除くための熱処理である。アニール処理の条件は、上述の目的で成形体に有効な熱処理である範囲において適宜に決めることが可能である。
より具体的には、上記の「アニール処理後のヘイズ」における「アニール処理」は、常温の成形体をフッ化ビニリデン系ポリマーの融点未満の環境に1〜5時間放置(例えば、100℃で3時間放置)し、その後再び常温まで放冷する処理である。
(衝撃強度)
本実施形態に係る成形体は、透明性とともに十分な耐衝撃性を有することが好ましい。成形体のアイゾット衝撃強度は、成形体の用途において要求される透明性と耐衝撃性との両方とが得られる範囲であればよい。たとえば、成形体は、アニール処理後に10kJ/m以上のアイゾット衝撃強度を有することが好ましい。アニール処理は、ヘイズで説明したそれと同じである。
成形体のアイゾット衝撃強度は、成形体の耐衝撃性の観点から高いほど好ましく、アニール処理後のアイゾット衝撃強度で、15kJ/m以上であることがより好ましく、30kJ/m以上であることがさらに好ましい。
なお、成形体のアイゾット衝撃強度とは、成形体の厚みが3.2mmのときのアイゾット衝撃強度の値である。
成形体のアイゾット衝撃強度は、例えば、樹脂組成物に含まれるフッ化ビニリデンポリマーの含有量を多くすることによって高くすることが可能である。また、成形体のアイゾット衝撃強度は、例えば、フッ化ビニリデン系ポリマーに含まれるフッ素含有モノマー由来の構成単位の種類およびその比率を変更することによって調整することが可能である。また、成形体のアイゾット衝撃強度は、樹脂組成物に含まれるアクリル系樹脂を耐衝撃性に優れたアクリル系樹脂とすることで、高くすることも可能である。
また、アニール処理後の成形体のアイゾット衝撃強度は、アニール処理前のそれに対して30%以上であることが、成形体における熱による耐衝撃性の変化を抑制する観点から好ましい。アニール処理前後のアイゾット衝撃強度の変化量は、前述した所定量の範囲内で前述の各種材料の使用によって調整することが可能である。
(融解エンタルピー)
本実施形態に係る成形体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解エンタルピーが10J/g以上40J/g以下であることが好ましい。結晶融解エンタルピーをこの範囲内に有することは、前述の低いヘイズの実現のみならず、機械的強度などの他の特性を高める観点から好ましい。
成形体の結晶融解エンタルピーが低すぎると、フッ化ビニリデン系ポリマーの緻密さが低くなることがある。その結果、成形体の機械的強度、耐溶剤性およびガスバリア性などの特性が不十分となることがある。また、本実施の形態では、成形体の結晶融解エンタルピーが低すぎると、透明性も不十分となることがある。
成形体の結晶融解エンタルピーが高すぎると、成形体の緻密さが高くなり、脆くなることがあるので、耐衝撃性が不十分となることがあり、成形体の用途の観点から不適当となることがある。
成形体におけるヘイズと他の特性との両立の観点から、成形体の結晶融解エンタルピーは、10J/g以上であることが好ましく、15J/g以上であることがより好ましく、20J/g以上であることがさらに好ましい。また、前述の所期の用途に適する特性を発現させる観点から、成形体の結晶融解エンタルピーは、40J/g以下であることが好ましく、38J/g以下であることがより好ましく、35J/g以下であることがさらに好ましい。
成形体の結晶融解エンタルピーは、DSCによる公知の方法で求めることが可能である。また、成形体の結晶融解エンタルピーは、例えば、樹脂組成物に含まれるフッ化ビニリデン系ポリマーの含有量を多くすることによって高くすることが可能である。
成形体におけるアニール処理後の結晶融解エンタルピーは、アニール処理前における80%以上120%以下の範囲内であることが、成形体の十分な熱的安定性の観点から好ましい。
(融点)
本実施形態に係る成形体は、融点が130℃以上170℃以下であることが好ましい。融点をこの範囲内に有することは、成形体の低いヘイズの実現のみならず、機械的強度などの他の特性を高める観点から好ましい。
成形体の融点が低すぎると、成形体の機械的強度、耐溶剤性およびガスバリア性などの特性が不十分となることがある。
また、本実施の形態では、成形体の融点が低すぎると、透明性も不十分となることがある。成形体の融点が高すぎると、成形体の緻密さが高まり、脆くなることがあるので、耐衝撃性が不十分となり、成形体の用途の観点から不適当となることがある。
融点は、DSCなど公知の方法で測定することができる。
融点は、例えば、DSCにおける吸熱ピークの温度として求めることが可能である。より具体的には、融点は、DSCにおいて、30℃から230℃まで10℃/分で昇温を行った際に観測される結晶融解ピークにおけるピークトップの温度として求めることが可能である。
成形体におけるアニール処理後の融点は、アニール処理前後で実質的に変化しないことが成形体の十分な熱的安定性の観点から好ましく、より具体的には、アニール処理前における95%以上105%以下の範囲内であることが、成形体の十分な熱的安定性の観点から好ましく、変化しないことがさらに好ましい。
(任意成分)
本実施の形態の成形体は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の構成要素をさらに含んでいてもよい。
〔成形体の製造方法〕
本実施の形態に係る成形体は、通常のフッ化ビニリデン系樹脂の成形品の製造と同様に、射出成形またはプレス成形、カレンダー成形、押出成形、溶融紡糸などの公知の方法によって製造することができる。また、所望の成形体の形状に合わせてその製造方法を選択することができる。
成形体の製造に供される樹脂組成物の形態は、成形方法に適用可能であればよい。このような形態は、例えば粉末であるが、ペレットであってもよいし、フレークであってもよいし、粉末の圧縮成形品であってもよいし、型内に収容される成形品であってもよい。成形体の製造では、樹脂組成物が十分に溶融する温度に樹脂組成物を加熱して溶融させ、成形する。
(射出成形)
射出成形は、例えば、樹脂組成物を射出成形機に供給し、加熱によって溶融させ、金型に流し込み、射出して徐冷することで成形体を得る方法である。
(プレス成形)
プレス成形は、一般に、樹脂組成物を型内に収容し、圧縮成形機を用いて高温プレス(例えば、230℃で3分間、5MPaの圧力)した後、冷プレス(例えば、30℃で3分間)することで成形体を得る方法である。
プレス成形において用いられる型は、加熱加圧に使用可能であり、かつ溶融した樹脂組成物を成形すべき形状に保持可能な部材であればよい。このような型の例には、金属製の型、および、アルミニウム箔などの金属製のシート、が含まれる。
本実施の形態における成形体の形状がシート状である場合では、前述の十分密な充填の観点に加えて、成形体の均一な厚さと平滑な表面とを実現する観点から、溶融している樹脂組成物を加圧することが好ましい。すなわち、プレス成形では、プレス部材を加熱することにより樹脂組成物を溶融させつつプレス部材によってプレスしてシート状に成形することが好ましい。プレス部材は、前述の加熱加圧を実現可能な公知の部材であればよい。
冷プレスする圧力は、高温プレスの際と同様であっても異なっていても構わない。冷プレスの温度および時間は、適宜決定すればよい。例えば、温度は5℃以上40℃以下であり、時間は2分以上10分以下である。
(その他の工程)
成形体の製造方法は、本実施の形態の効果が得られる範囲において、他の工程をさらに含んでいてもよい。このような他の工程の例には、成形に先立って型を予熱する予熱工程、樹脂組成物の成形品を型内に作製する成形品作製工程、加熱加圧成形後の成形品を徐冷する徐冷工程、および、得られた成形体をアニール処理するアニール工程、が含まれる。
(成形体の形状)
上述の製造方法によって得られる成形体の形状は様々であり、特に限定されない。得られる成形体の形状としては、例えば、射出成形体、パイプ状、丸棒状、角棒状、シート状、フィルム状、および繊維状などを挙げることができる。
〔まとめ〕
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る樹脂組成物は、フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマーと、アクリル系樹脂と、結晶核剤と、を含み、前記コポリマーと前記アクリル系樹脂との合計量を100質量部とした場合の、前記コポリマーの含有量が80質量部以上99質量部以下、前記結晶核剤の含有量が0.01質量部以上5質量部以下であり、前記コポリマーがフッ化ビニリデン由来の構成単位とフッ素含有モノマー由来の構成単位とを含む。
この構成によれば、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体において、十分な厚みを有していても透明性と耐衝撃性とに優れた成形体を得ることができる。
本実施形態において、前記フッ素含有モノマーがヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群より選ばれる1つ以上の化合物であることは、成形体の透明性の観点からより一層効果的である。
本実施形態において、前記コポリマーにおける前記フッ素含有モノマー由来の構成単位の含有率が2質量%以上25質量%以下であることは、成形体の透明性、結晶性、衝撃強度および耐溶剤性などの観点からより一層効果的である。
本実施形態において、前記結晶核剤が160℃〜250℃の融点を有する有機系または高分子系の結晶核剤であることは、成形体の透明性を高める観点からより一層効果的である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る前述の樹脂組成物から成形した成形体であって、0.1mmを超える厚みと、30%以下のヘイズとを有する。
この構成によれば、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体において、十分な厚みを有していても透明性と耐衝撃性とに優れた成形体を得ることができる。
本実施形態において、アニール処理後の成形体の前記ヘイズが前記アニール処理前の前記ヘイズの110%以下であることは、成形体の熱による透明性の変化を抑制する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、アニール処理後の成形体のアイゾット衝撃強度が10kJ/m以上であることは、成形体の熱による耐衝撃性の変化を抑制する観点からより一層効果的である。
また、本実施形態において、示差走査熱量計で測定した成形体の融解エンタルピーが10J/g以上40J/g以下であることは、透明性以外の他の特性を高める観点からより一層効果的である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔実施例1、2〕
フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂の合計100質量部に対し、所定量の結晶核剤を添加し、同方向2軸押出機(東芝機械(株)製 TEM−26)により、シリンダー温度190℃で押出し、ペレット状のフッ化ビニリデン系樹脂組成物を得た。
フッ化ビニリデン系ポリマーには、フッ化ビニリデン由来の構造単位以外にヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来の構造単位を10質量%程度含有するフッ化ビニリデン共重合体(ポリマーA)を用いた。ポリマーAのインヘレント粘度は1.0dl/gである。
アクリル系樹脂には「スミペックスMG5」(住友化学株式会社製、「スミペックス」は同社の登録商標、以下「MG5」とも言う)を用いた。
なお、フッ化ビニリデン系ポリマーの使用量は95質量部であり、アクリル系樹脂の使用量は5質量部である。
結晶核剤には、アルキルメタアクリレートとフッ化ビニルとの共重合体紛体(「高分子系」とも言う)を用いた。高分子系は、例えば特公昭54−1586号公報に記載の成形物であり、高分子系の融点は、実測値で200℃である。結晶核剤の添加量は、フッ化ビニリデン系ポリマーとアクリル系樹脂の合計100質量部に対し、0.5質量部である。
得られたフッ化ビニリデン系樹脂組成物を射出成形機(東芝機械製 EC100N)に供給し、ヒータ温度230℃、金型温度30℃で射出成形を行い、厚さ2mmの成形体1および厚さ3.2mmの成形体2をそれぞれ作製した。
〔実施例3、4〕
フッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を90質量部、アクリル系樹脂の使用量を10質量部とした以外は実施例1、2と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製し、厚さ2mmの成形体3および厚さ3.2mmの成形体4をそれぞれ作製した。
〔実施例5、6〕
ポリマーAを、フッ化ビニリデン由来の構造単位以外にHFP由来の構造単位を5質量%程度含有するフッ化ビニリデン共重合体(ポリマーB)とし、かつフッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を85質量部、アクリル系樹脂の使用量を15質量部とした以外は実施例1、2と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製し、厚さ2mmの成形体5および厚さ3.2mmの成形体6をそれぞれ作製した。ポリマーBのインヘレント粘度は1.5dl/gである。
〔実施例7、8〕
結晶核剤の添加量を1.0質量部とした以外は実施例1と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製した。得られたフッ化ビニリデン系樹脂組成物をプレス成形にて成形した以外は実施例1、2と同様にして、厚さ2mmの成形体7および厚さ3.2mmの成形体8をそれぞれ作製した。プレス成形は、以下のように行った。
(プレス成形による成形体の製造)
十分量のフッ化ビニリデン系樹脂組成物をアルミ箔にはさみ、さらにステンレス鋼(SUS)板に挟んで圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所製、型式AYSR−5)を用いて230℃で3分間、5MPaの圧力でプレスした。次いで、プレス品をSUS板に挟んだまま直ちに30℃の冷プレスで3分間保持して冷却した。こうして、シート状の成形体を作製した。
〔実施例9、10〕
結晶核剤の添加量を3.0質量部とした以外は、実施例7、8と同様にして、厚さ2mmの成形体9および厚さ3.2mmの成形体10をそれぞれ作製した。
〔実施例11〕
ポリマーAを、フッ化ビニリデン由来の構造単位以外にクロロトリフルオロエチレン(CTFE)由来の構造単位を5%程度含有するフッ化ビニリデン共重合体(ポリマーC)とした以外は、実施例3と同様にして厚さ2mmの成形体11を作製した。ポリマーCのインヘレント粘度は1.0dl/gである。
〔実施例12〕
ポリマーAを、フッ化ビニリデン由来の構造単位以外にテトラフルオロエチレン(TFE)由来の構造単位を15%程度含有するフッ化ビニリデン共重合体(ポリマーD)とした以外は実施例3と同様にしてフッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製した。得られたフッ化ビニリデン系樹脂組成物を実施例7と同様にして、厚さ2mmの成形体12を作製した。ポリマーDのインヘレント粘度は1.4dl/gである。
〔実施例13〕
結晶核剤の種類をテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(「TBAHS」とも言う)とし、結晶核剤の添加量を1.0質量部とした以外は、実施例3と同様にしてフッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製した。TBAHSの融点は、実測値で172℃であった。得られたフッ化ビニリデン系樹脂組成物を実施例7と同様にして、厚さ2mmの成形体13を作製した。
〔比較例1〜4〕
結晶核剤を添加しなかったこと以外は、実施例1、2と同様にしてフッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製し、厚さ2mmの成形体14および厚さ3.2mmの成形体15をそれぞれ作製した。
また、結晶核剤を添加せず、かつフッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を85質量部、アクリル系樹脂の使用量を15質量部とした以外は実施例1、2と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製し、厚さ2mmの成形体16および厚さ3.2mmの成形体17をそれぞれ作製した。
〔比較例5、6〕
フッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を70質量部、アクリル系樹脂の使用量を30質量部とした以外は実施例1、2と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製し、厚さ2mmの成形体18および厚さ3.2mmの成形体19をそれぞれ作製した。
〔比較例7〕
ポリマーAをフッ化ビニリデンの単重合体(ポリマーE)とし、かつフッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を80質量部、アクリル系樹脂の使用量を20質量部とした以外は実施例1と同様にして、フッ化ビニリデン系樹脂組成物を作製した。
また、得られたフッ化ビニリデン系樹脂組成物を実施例7と同様にしてプレス成形し、厚さ2mmの成形体20を作製した。ポリマーEは、フッ化ビニリデンの単重合体であり、ポリマーEのインヘレント粘度は1.5dl/gである。
〔比較例8〕
アクリル系樹脂を加えず、フッ化ビニリデン系ポリマーの使用量を100質量部とし、結晶核剤の添加量を0.5質量部とした以外は、実施例7と同様にして、厚さ2mmの成形体21を作製した。
各樹脂組成物の組成、成形方法、および厚みを表1および2に示す。
Figure 2019189780
Figure 2019189780
〔評価〕
(ヘイズ)
厚さ2mmの成形体、すなわち成形体1、3、5、7、9、11〜14、16、18および20〜21のそれぞれについて、アニール処理を施し、アニール処理前後のヘイズ(%)を測定した。
アニール処理は、常温の成形体を100℃のオーブンで1時間放置し、その後、加熱された成形体を常温まで放冷する処理である。
成形体のヘイズは、ヘイズメータ「NDH4000」(日本電色工業株式会社製)を用いて、JIS K7136に基づいて測定した。結果を表3および4に示す。
(アイゾット衝撃強度試験)
厚さ3.2mmの成形体、すなわち成形体2、4、6、8、10、15、17および19のそれぞれについて、上記のアニール処理を施し、アニール処理前後のアイゾット衝撃強度(kJ/m)を測定した。
より詳しくは、ASTM D256−10に基づき、上島製作所製のアイゾット衝撃試験機を用いて、室温におけるアイゾット衝撃試験を行った。ノッチは機械加工とし、試験片は射出成形体を切削して63.5mm(長さ)×12.7mm(幅)×3.2mm(厚さ)、とした。任意の五つの試験片アイゾット衝撃強度の平均値をその成形体のアイゾット衝撃強度とした。結果を表3および4に示す。
(融点および結晶融解エンタルピー)
厚さ3.2mmの成形体、すなわち成形体2、4、6、8、10、11、15、17および19のそれぞれについて、上記のアニール処理を施し、アニール処理前後の成形体の融点および結晶融解エンタルピーを測定した。これらの測定には、示差走査熱量測定装置「DSC−1」(メトラー・トレド株式会社製)を用いた。30℃から230℃まで10℃/分で昇温を行って測定した。
成形体の融点(℃)は、昇温過程にて観察される結晶融解ピークにおけるピークトップの温度として求めた。結晶融解エンタルピーΔH(J/g)は、結晶融解ピークの面積より算出した。結果を表3および4に示す。
(耐溶剤性試験)
実施例2で得られた成形体2および比較例6で得られた成形体16について、耐溶剤性試験を行った。両成形体の試験片を23℃のトルエンに40日間浸漬し、浸漬前後の重量および重量変化率を測定した。結果を表3および4に示す。
Figure 2019189780
Figure 2019189780
表1〜4より明らかなように、実施例1〜13の成形体は、アニール処理前のヘイズが十分に低く、アニール処理後のヘイズがアニール処理前の110%以下であり、かつアイゾット衝撃強度がアニール処理前後のいずれにおいても十分に高かった。
なお、実施例1〜6のように結晶核剤の添加量を0.5質量部とし、成形方法を射出成形とした場合は、特に透明度が高く、かつ衝撃強度に優れた成形体が得られた。
一方、比較例1および3の成形体は、透明性が低い。これは、結晶核剤が添加されなかったため、と考えられる。
また、比較例5および6の成形体は、透明性は高いが、耐衝撃性が低い。これは、アクリル系樹脂の使用量が多いため、と考えられる。
比較例7の成形体は、透明性が低かった。これは、フッ化ビニリデン系ポリマーがホモポリマーであったため、と考えらえる。
また、比較例8の成形体も、その透明性が低かった。これは、アクリル系樹脂を含有していないため、と考えられる。
また、実施例2の成形体は、比較例6の成形体に対して高い耐溶剤性を有している。これは、アクリル系樹脂の量に対してフッ化ビニリデン系樹脂の量が十分に多いため、と考えられる。
また、実施例2と4、6、8、10および11の成形体は、その結晶融解エンタルピーが高い。実施例2と4との対比によれば、このような高い結晶融解エンタルピーは、アクリル系樹脂の含有量に起因していないと考えられる。よって、実施例では、結晶核剤の添加によって、透明性の向上とともに結晶性に対する何らかの作用が成形体にもたらされたと考えられる。
本発明は、透明性、衝撃強度および耐溶剤性に富む部材へ利用することができる。

Claims (8)

  1. フッ化ビニリデン由来の構成単位を主成分とするコポリマーと、アクリル系樹脂と、結晶核剤と、を含み、
    前記コポリマーと前記アクリル系樹脂との合計量を100質量部とした場合の、前記コポリマーの含有量が80質量部以上99質量部以下、前記結晶核剤の含有量が0.01質量部以上5質量部以下であり、
    前記コポリマーがフッ化ビニリデン由来の構成単位とフッ素含有モノマー由来の構成単位とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記フッ素含有モノマーがヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンからなる群より選ばれる1つ以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記コポリマーにおける前記フッ素含有モノマー由来の構成単位の含有率が2質量%以上25質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記結晶核剤が、160℃〜250℃の融点を有する有機系または高分子系の結晶核剤であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から成形した成形体であって、
    0.1mmを超える厚みと、30%以下のヘイズとを有することを特徴とする成形体。
  6. アニール処理後のヘイズが、アニール処理前のヘイズの110%以下であることを特徴とする請求項5に記載の成形体。
  7. アニール処理後のアイゾット衝撃強度が15kJ/m以上であることを特徴とする請求項5または6に記載の成形体。
  8. 示差走査熱量計で測定した融解エンタルピーが10J/g以上40J/g以下であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の成形体。
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