JP4843846B2 - 紫外線吸収剤を含有する水性塗料用組成物およびその製造方法 - Google Patents

紫外線吸収剤を含有する水性塗料用組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐候性の塗膜を形成できる水性塗料用組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2層、3層等の多層塗膜において、該塗膜のトップ層とその下層が紫外線により劣化することを防ぐために、紫外線吸収剤を用いることは公知である。トップ層にフッ素樹脂塗料を用いた場合、フッ素樹脂自体が紫外線に対し極めて安定なため、トップ層のフッ素樹脂を透過した紫外線が下層に対して影響するので、紫外線吸収剤の使用が特に重要となる。紫外線吸収剤は、その構造から、主に吸収する波長域が決まっており、適宜、選択して用いられる。
【0003】
近年、耐候性を短期間に評価する促進試験機として、メタルハライドランプを用いた試験機が多用されている。これらの試験機は、短期間に塗膜の劣化評価を行うという試験機の性格上、自然光では少量しか含まれていない360〜385nm付近の波長域に強い発光エネルギーを持つ光源が用いられるため、これらの評価でも良い性能を発揮するには、該波長域の紫外光を吸収する紫外線吸収剤の1種または2種以上を使用することが効果的である。
【0004】
特に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、該波長域の紫外線を効果的に吸収し、かつ、安定性も高く長期にわたって性能を保持するため、高耐候性の塗膜を与える塗料組成物には好ましく用いられる。例えば、特開平4−372668において、ベンゾトリアゾール系とシュウ酸アニリド系の2種類の吸収域の異なる紫外線吸収剤を硬化性樹脂に配合することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、環境保護の観点から、塗料中の有機溶媒を低減する検討が重ねられ、特開平3−37252に開示されているように、塗料用フッ素樹脂を水中に分散させたエマルションが提案されている。しかし、水系のエマルションに適した紫外線吸収剤が限られているため、紫外線吸収剤の分子中に親水性の側鎖を導入して水への親和性を向上させたり、30%以下の低濃度で水中に機械的に分散させているが、このようなエマルションからの塗膜は透明性が損なわれる。
【0006】
また、このような方法によれば、紫外線吸収剤を添加する際に、紫外線吸収剤の2倍以上の量の水が同時に加えられることになり、塗膜形成物質の濃度が低くなる、粘度が低下するなどが起こり、塗装性が損なわれる。さらに、直接エマルション中への添加が困難なために、造膜助剤に溶解して添加する方法が採用されることもあるが、環境保護の観点から有機溶剤である造膜助剤の使用量を増やせず、したがって紫外線吸収剤の添加量が限定され、充分な紫外線吸収能が得られない問題があった。
【0007】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、従来多く用いられていたベンゾフェノン系紫外線吸収剤等に比べて、360〜385nmの波長域の紫外線を効果的に吸収し、かつ安定性に優れている。したがって、長期にわたって下地の保護性を保持するためには、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が適している。しかし、水系塗料組成物にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を有効に添加できる方法は知られていない。特に、フッ素樹脂系の高耐候性水系塗料において、安定な組成物を与え、透明性が高く優れた紫外線吸収能を示すような、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加手段については全く知られていない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題点を解消するために鋭意検討を重ねた結果、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を、特定濃度の水分散液として添加することにより、透明性が良好で、長期にわたって安定で、かつ、紫外線を吸収して下地を保護できる水性塗料用組成物が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)塗膜形成樹脂(B)、および水を含有し、(A)が粒子径3μm以下に分散されており、かつ、(B)の100質量部に対して(A)の2質量部以上を含有する水性塗料用組成物であって、その組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下であることを特徴とする水性塗料用組成物を提供する。
また、本発明は、水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下である水性塗料用組成物を紫外線吸収剤および塗膜形成樹脂を含有させることよる製造方法であって、該塗膜形成樹脂の100質量部に対する該紫外線吸収剤2質量部以上であり、該紫外線吸収剤水分散液の形態であり、該水分散液が界面活性剤を含有、該水分散液中の該紫外線吸収剤粒子径3μm以下であり、該水分散液中の該紫外線吸収剤の濃度が質量基準で50〜90%であることを特徴とする水性塗料用組成物の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)としては、3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)としては、下記式1で表される化合物が好ましく用いられる。
【0011】
【化2】
Figure 0004843846
【0012】
上記式1において、R1はアルキル基、R3はアルキル基、R2はアルキレン基、nは0または1であり、R1とR3は同じであっても異なってもよい。好ましくは、R1が炭素数1〜8のアルキル基であり、R3が炭素数1〜12のアルキル基である。また、R2は炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。nは1が好ましい。特に、3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸イソオクチルが好ましく、該化合物はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としてチヌビン384(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)の商品名で市販されている。
【0013】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)は、塗膜形成樹脂(B)の100質量部に対して2質量部以上含有されていることが必要である。これより少ない場合は、通常用いられる10〜50μm程度の膜厚で下地を保護するために必要な紫外線吸収能が得られない。好ましい(A)の含有量は、(B)の100質量部に対して5〜20質量部である。
【0014】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)の粒子径は3μm以下であることが重要である。(A)の粒子径が3μmを超えると、形成された塗膜が曇ったり、白濁するなどの難点が認められる。好ましい(A)の粒子径は2μm以下である。
【0015】
本発明で規定しているヘーズ(曇価)は、JIS K7105に記載されているとおり、積分球式光線透過率測定装置を用いて、拡散透過率および全光線透過率を測定し、その比率によって表される。本発明においては、上記の水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下であることが重要である。実際の膜厚が15μmでない場合には、15μmに換算したときのヘーズが6以下であればよい。好ましくは、上記膜厚でのヘーズが、5以下、さらに好ましくは4以下である。
【0016】
通常市販されている、低濃度で紫外線吸収剤を分散した分散液を用いた場合、または、紫外線吸収剤を塗料化時に用いる造膜助剤に溶解して添加した場合には、上記膜厚でのヘーズが6より高い、濁った塗膜しか得られない。ヘーズを6以下にするには、紫外線吸収剤の添加量を減らすか、塗膜の膜厚を小さくする必要がある。しかし、このようにしてヘーズを下げて得られた塗膜は、本来の目的である紫外線遮蔽効果を充分維持することが困難であるため、長期の屋外曝露やメタルハライドランプを用いた促進耐候性試験機での曝露試験では、下層の劣化を防ぐには不充分であった。
【0017】
さらに、本発明の水性塗料用組成物には、上記以外の塗料用添加剤、例えば増粘剤、表面親水化剤、表面撥水剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、皮バリ防止剤、硬化剤などの1種または2種以上を混合してもよい。
【0018】
本発明の水性塗料用組成物は、顔料を含有しないクリヤ塗料組成物として使用することにより、本発明の特徴がより発揮できるが、顔料濃度が低く透明性のあるいわゆるカラークリヤ塗料組成物として使用しても効果を発揮できる。なお、本発明の水性塗料用組成物は、さらに顔料を配合していわゆるエナメル塗料組成物として使用してもよい。
【0019】
本発明の水性塗料用組成物は、下層が非フッ素系塗膜である場合のトップ層として塗布すると、優れた下地保護性という、本発明の特徴がより発揮できる。また、本発明の水性塗料用組成物は、下層がフッ素系塗膜である場合のトップ層として塗布することもでき、さらに、木、プラスチック等の有機基材、ガラス、コンクリート、金属等の無機基材等の種々の基材に、直接またはプライマーを介して塗布することもできる。
【0020】
本発明の水性塗料用組成物の塗装により得られる塗膜の厚さは、特に制限はないが、通常、5〜50μmであればよく、好ましくは10〜30μmである。
本発明の水性塗料用組成物は、通常の塗装方法、例えば、スプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、フローコーターによる塗装等により、塗装できる。
【0021】
本発明において使用される塗膜形成樹脂(B)としては、特に限定されないが、アクリル樹脂、含フッ素樹脂などが例示でき、本発明の目的とする、耐候性に優れた塗膜を得るために、アクリル樹脂または含フッ素樹脂が好ましい。特に、塗膜形成樹脂(B)が含フッ素樹脂を含有することが好ましい。
【0022】
含フッ素樹脂としては、フッ素成分を含有し、塗装可能な状態をとりうるものであれば特に限定されないが、フルオロオレフィン単独重合体、2種以上のフルオロオレフィンの共重合体、フルオロオレフィンとフッ素を含有しない単量体の共重合体などが挙げられ、フルオロオレフィンとフッ素を含有しない単量体の共重合体が好ましい。含フッ素樹脂としては、フルオロオレフィンに基づく重合単位(a)を必須成分として含む含フッ素重合体を含有することが特に望ましい。
【0023】
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン等の炭素数2〜3のフルオロオレフィン類、または炭素数4以上のフルオロオレフィン類が挙げられる。特に、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンが好ましい。これらのフルオロオレフィンは、1種または2種以上で使用できる。
【0024】
フルオロオレフィン単独重合体および2種以上のフルオロオレフィンの共重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体等が挙げられる。
フルオロオレフィンとフッ素を含有しない単量体との共重合体としては、前記のフルオロオレフィンと下記のフッ素を含有しない単量体を共重合させて得られる含フッ素共重合体が挙げられる。
【0025】
フッ素を含有しない単量体としては、ビニルエーテル、イソプロペニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル等のビニル系単量体が好ましく挙げられる。ビニルエーテルの具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ネオペンチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ナフチルビニルエーテル等の芳香族ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチル−4−ビニロキシメチルシクロヘキサン、3−クロロー2―ヒドロキシプロピルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類が挙げられる。
【0026】
イソプロペニルエーテルの具体例としては、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニルエーテル、シクロヘキシルイソプロペニルエーテル等のイソプロペニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルイソプロペニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルイソプロペニルエーテル、4−ヒドロキシブチルイソプロペニルエーテル、9−ヒドロキシノニルイソプロペニルエーテル、1−ヒドロキシメチル−4−イソプロペニルオキシメチルシクロヘキサン、3−ヒドロキシ−2−クロロプロピルイソプロペニルエーテル等のヒドロキシアルキルイソプロペニルエーテル類が挙げられる。
【0027】
カルボン酸ビニルエステルの具体例としては、分岐状のアルキル基を有するベオバ−10(商品名:シェル化学社製)、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のカルボン酸ビニル類が挙げられる。
【0028】
また、フッ素を含有しない他の共重合可能な単量体として、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類(ただし、フルオロオレフィンを除く。)、ギ酸アリル、酪酸アリル、安息香酸アリル、シクロヘキサンカルボン酸アリル、プロピオン酸アリル等のカルボン酸アリル類、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類等も挙げられる。
【0029】
これらのフッ素を含有しない単量体についても、1種または2種以上で使用できる。
例えば、テトラフルオロエチレン、エチレン、プロピレンを主成分とする共重合体、または、この共重合体にアクリル樹脂成分をシード重合等により複合化したもの等が、好ましく例示できる。
【0030】
本発明においては、含フッ素樹脂が、フルオロオレフィンに基づく重合単位(a)と、アルキルビニルエーテルに基づく重合単位(b)および/またはカルボン酸ビニルエステルに基づく重合単位(c)とを含む含フッ素共重合体を含有することが特に望ましい。
【0031】
フルオロオレフィンとフッ素を含有しない単量体との共重合体においては、全重合単位に対して、フルオロオレフィンに基づく重合単位(a)が20〜80モル%の割合で含まれていることが好ましい。
【0032】
塗膜形成樹脂(B)として、含フッ素樹脂とフッ素を含有しない樹脂を併用する場合には、(B)の総量に対して質量基準で含フッ素樹脂を30%以上含有することが好ましく、50%以上が特に好ましい。含フッ素樹脂があまりに少ないと耐候性等の特性を塗膜に与えられず好ましくない。
【0033】
本発明は、紫外線吸収剤および塗膜形成樹脂を含有する水性塗料用組成物を対象としており、ベースとなる水性塗料用組成物としては、通常はエマルション形態の組成物が採用される。エマルション形態の組成物は、塗膜形成樹脂を乳化重合で製造することにより、直接調製されてもよく、また、溶液重合などの別の方法で塗膜形成樹脂を製造した後に、この樹脂を用いてエマルション形態に調製されてもよい。例えば、比較的多量に界面活性剤を用いた乳化重合により塗膜形成樹脂のエマルションを製造したり、親水性マクロマーを併用してフルオロオレフィン、ビニルエーテルなどと共重合させて、界面活性剤を用いないで塗膜形成樹脂のエマルションを製造できる。
【0034】
本発明における塗膜形成樹脂のエマルションとしては、(a)フルオロオレフィンに基づく重合単位、(d)プロピレンに基づく重合単位、(e)エチレンに基づく重合単位および(f)これらと共重合可能なその他の単量体に基づく重合単位からなるフッ素系共重合体の水性分散液、または、このフッ素系共重合体に、(メタ)アクリル酸エステル等の非フッ素系単量体成分をシード重合することによって得られる、フッ素系非フッ素系複合エマルションも使用できる。
【0035】
ここで、フッ素系共重合体は各単量体に基づく重合単位(以下、その単量体名で示すこともある。)が次の組成割合で構成されるのが好ましい。
(a)フルオロオレフィン:20〜80モル%(特に40〜60モル%)、
(d)プロピレン :2〜70モル%(特に6〜35モル%)、
(e)エチレン :5〜70モル%(特に10〜35モル%)、
(f)その他 :0〜20モル%(特に1〜20モル%)。
【0036】
上記フッ素系共重合体において、フルオロオレフィンとしては、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロブチレン、ペンタフルオロブチレン等のフッ素原子を含む炭素数2〜4程度のフルオロオレフィン類が好ましく、特にパーフルオロオレフィンが好ましい。最も好ましくはテトラフルオロエチレンである。なお、フッ素原子とともに塩素原子等の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。
【0037】
また、上記フッ素系共重合体における共重合可能なその他の単量体としては、1−ブチレン、2−ブチレン、イソブチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキルビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、イソプロペニルエーテル、アリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
上記カルボン酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどが挙げられる。またアルキルビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。イソプロペニルエーテルとしては、メチルイソプロペニルエーテル、エチルイソプロペニルエーテル、プロピルイソプロペニルエーテル、ブチルイソプロペニルエーテル、シクロヘキシルイソプロペニルエーテルなどが挙げられる。アリルエーテルとしては、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテルなどが挙げられる。
【0039】
また、上記の単量体に基づく重合単位は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、エポキシ基、加水分解性シリル基、カルボニル基等の反応性基を含有していてもよい。
ここで、ヒドロキシル基含有単量体としては、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル[HBVE]などのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;などが例示される。
【0040】
一方、カルボン酸基を含有する重合単位は、カルボン酸基含有単量体を共重合する方法、ヒドロキシル基を有する重合体に二塩基酸無水物を反応せしめてカルボン酸基を形成する方法などにより導入できる。
【0041】
ここで、カルボン酸基含有単量体としては、ウンデシレン酸のような構造の有機酸の他にも、以下のようなものが例示される。
(1)CH2=CHOR4OCOR5COOM
(2)CH2=CHCH2OR6OCOR7COOM
上式中、R4、R6は炭素数2〜15の2価の炭化水素基、R5、R7は飽和または不飽和の直鎖状または環状の2価の炭化水素基、Mは水素原子、炭化水素基、アルカリ金属イオンまたは窒素原子含有基である。
【0042】
エポキシ基を含有する重合単位は、エポキシ基含有単量体を共重合することにより導入できる。エポキシ基含有単量体としては、グリシジルビニルエーテルなどのエポキシ基含有アルキルビニルエーテル類;グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有アルキルアリルエーテル類;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有アルキル(メタ)アクリレート類などが例示される。
加水分解性シリル基を含有する重合単位は、加水分解性シリル基含有単量体を共重合することにより導入できる。加水分解性シリル基含有単量体としては、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシランなどが例示される。
【0043】
上記フッ素系共重合体を含有する水性分散液は、フッ素系共重合体が水に分散されたものである。乳化剤としては、ノニオン性乳化剤やアニオン性乳化剤を単独でまたは併用して用いることができる。ノニオン性乳化剤としては、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーなどを例示しうる。アニオン性乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などを例示しうる。
【0044】
また、上記乳化剤は通常重合時に添加して使用されるが、重合後の水性分散液に同種の乳化剤および/または異種の乳化剤を添加して使用してもよい。
重合後の水性分散液に添加する乳化剤としては、上記の乳化剤の他にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジノニルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩、およびこれらとエチレングルコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコールとの組み合わせなどが例示される。これらジアルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩およびアルキレングルコールを添加すると上記水性分散液の機械的安定性・熱的安定性が改善される。
【0045】
また乳化物のpHを上昇させる目的で、pH調整剤を用いてもよい。pH調整剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、テトラホウ酸ナトリウムなどの無機塩基およびトリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどの有機塩基類などが例示される。
【0046】
さらに、上記フッ素系共重合体の分散液に、(メタ)アクリル酸エステル等のフッ素を含まない単量体をそのままでまたは水に分散させた状態で添加し、適宜重合開始剤を添加してシード重合を行って得られた複合エマルションを用いることもできる。フッ素を含まない単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく採用され、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸、ポリエーテル鎖を側鎖に有するメタクリレート等が好ましく採用される。
【0047】
本発明において、塗膜形成樹脂を含有する水性塗料用組成物としては、ゼッフルSE310(商品名:ダイキン工業社製、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレンの共重合体とアクリル重合体の複合体のエマルションを、固形分40質量%に調製したもの)、フルオネートFEM550(商品名:大日本インキ化学工業社製、クロロトリフルオロエチレン/カルボン酸ビニルエステルからなる共重合体のエマルションを、固形分40質量%に調製したもの)なども挙げられる。
【0048】
本発明においては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)などの特定濃度の水分散液を用いて、高耐候性の塗膜を形成できる水性塗料用組成物を効率的に製造できる。本発明の製造方法は、紫外線吸収剤および塗膜形成樹脂を含有する水性塗料用組成物の製造方法であって、該塗膜形成樹脂の100質量部に対して該紫外線吸収剤を2質量部以上含有すること、該紫外線吸収剤を水分散液の形態で使用すること、該水分散液が界面活性剤を含有すること、該水分散液が該紫外線吸収剤を粒子径3μm以下で含有すること、該水分散液中の該紫外線吸収剤の濃度が質量基準で50〜90%であること、かつ、該水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下であること、を特徴とする水性塗料用組成物の製造方法である。
本発明の上記製造方法は、特にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤に対して好適に適用できるが、その他の紫外線吸収剤に対しても適用できる。
【0049】
上記紫外線吸収剤の濃度が質量基準で50%未満では、水分散液が安定でなく、短時間のうちに紫外線吸収剤の分離を起こす。また、90%超では、塗膜形成樹脂の水性組成物に添加した際に、分散が困難であり、均一な組成物が得られないため、塗膜の白濁が起こりやすく、所定の膜厚で、ヘーズが6以下という透明性の高い塗膜が得られない。該水分散液中の該紫外線吸収剤の濃度は、質量基準で65〜75%が好ましい。
【0050】
紫外線吸収剤は、塗膜形成樹脂の100質量部に対して2質量部以上含有されていることが必要である。これより少ない場合は、通常用いられる10〜50μm程度の膜厚で下地を保護するために必要な紫外線吸収能が得られない。好ましい紫外線吸収剤の量は、塗膜形成樹脂の100質量部に対して5〜20質量部である。
【0051】
また、紫外線吸収剤の粒子径は3μm以下であることが重要である。紫外線吸収剤の粒子径が3μmを超えると、形成された塗膜が曇ったり、白濁するなどの難点が認められる。好ましい紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下である。
【0052】
さらに、上記の水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下であることが重要である。実際の膜厚が15μmでない場合には、15μmに換算したときのヘーズが6以下であればよい。好ましくは、上記膜厚でのヘーズが、5以下、さらに好ましくは4以下である。
【0053】
紫外線吸収剤を水分散液にする際には、界面活性剤を用いることが好ましい。使用される界面活性剤の種類としては、特に分散効果が顕著な例として挙げると、アニオン系界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜2質量部(水100質量部基準)、およびノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル1〜40質量部、好ましくは5〜30質量部(水100質量部基準)の2種類の界面活性剤を用いることが好ましい。なお、使用できる界面活性剤は、これらに限定されず、一般に入手できるものであればよい。
【0054】
これらの界面活性剤とイオン交換水を混合し、高速撹拌機を用いて、回転速度700〜1000rpmで撹拌中に、所定量の紫外線吸収剤を滴下し、15〜20分間撹拌し、一次分散液を得ることができる。さらに、該一次分散液をホモミキサーで回転速度4000〜6000rpmで1時間程度撹拌して、紫外線吸収剤の水分散液を得ることができる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。割合、部および%は、特に記載しないかぎり質量基準である。紫外線吸収剤の粒子径は光学顕微鏡(デジタルHDマイクロスコープVH−7000、キーエンス社製:商品名)によって観察、測定した。例1〜2は実施例に用いる紫外線吸収剤の水分散液の調製例であり、例3〜5はその比較例としての他の分散液の調製例である。例6〜7および例12〜14は水性塗料用組成物およびその製造方法の実施例であり、例8〜11はその比較例である。
【0056】
[例1]
イオン交換水100部、ラウリル硫酸ナトリウム1部、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(ニューコール1120、HLB:16.4、日本乳化剤社製:商品名)30部を均一に混合した液50gを高速撹拌機(ホモディスパーfmodel、特殊機化工業社製:商品名。以下の例も同じ。)を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製:商品名、有効成分95%)89gを滴下し、15分間撹拌し、一次分散液を得た。さらに、該分散液をホモミキサー(バイオミキサーABM型、ジェネレーターシャフトBM−4型、日本精機製作所製:商品名。以下の例も同じ。)を用いて、回転速度5000rpmで1時間撹拌混合して、紫外線吸収剤の水分散液1を得た。分散液1中の紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0057】
[例2]
イオン交換水100部、ラウリル硫酸ナトリウム1部、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(ニューコール1110、HLB:13.8、日本乳化剤社製、商品名)25部を均一に混合した液50gを高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2)73.7gを滴下し、15分間撹拌し、一次分散液を得た。さらに、該分散液をホモミキサーを用いて、回転速度5000rpmで1時間撹拌混合して、紫外線吸収剤の水分散液2を得た。分散液2中の紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0058】
[例3]
イオン交換水の100部およびラウリル硫酸ナトリウムの1部を均一に混合した液50gを高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2)115.5gを滴下し、15分間撹拌し、一次分散液を得た。さらに、該分散液をホモミキサーを用いて、回転速度5000rpmで1時間撹拌混合して、紫外線吸収剤の水分散液3を得た。分散液3中の紫外線吸収剤の粒子径は最大6μmであった。
【0059】
[例4]
イオン交換水100部、ラウリル硫酸ナトリウム1部、およびニューコール1120の30部を均一に混合した液50gを高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2)16.4gを滴下し、15分間撹拌し、一次分散液を得た。さらに、該分散液をホモミキサーを用いて、回転速度5000rpmで1時間撹拌混合して、紫外線吸収剤の水分散液4を得た。しかし、得られた分散液4は極めて不安定で、調製後数時間で、液分離を起こした。このため、分散液4中の紫外線吸収剤の粒子径は測定できなかった。
【0060】
[例5]
造膜助剤(CS−12、チッソ社製:商品名)100部およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2)50部を高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで15分間撹拌し、一次分散液(溶液)を得た。さらに、該分散液をホモミキサーを用いて、回転速度5000rpmで1時間撹拌混合して、紫外線吸収剤の分散液(溶液)5を得た。分散液5では紫外線吸収剤が造膜助剤中に溶解しているため、粒子は存在しなかった。
【0061】
[例6]
塗膜形成樹脂として、クロロトリフルオロエチレン/エチルビニルエーテル/シクロヘキシルビニルエーテル/シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルにエチレンオキシド鎖を有する化合物が、50/1/38.5/10/0.5モル%の割合で共重合した共重合体のエマルション(固形分50%、平均粒子径130nm。以下、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1という。)の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例1の紫外線吸収剤の水分散液1の7.14部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(A−1)を得た。水性塗料用組成物(A−1)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を8.7部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0062】
[例7]
塗膜形成樹脂として、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例2の紫外線吸収剤の水分散液2の7.7部を滴下し、15分間撹拌し、さらに、造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(A−2)を得た。水性塗料用組成物(A−2)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を8.7部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0063】
[例8]
塗膜形成樹脂として、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例3の紫外線吸収剤の水分散液3の7.14部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(B−1)を得た。水性塗料用組成物(B−1)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を9.5部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は最大5μmであった。
【0064】
[例9]
塗膜形成樹脂として、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例5の紫外線吸収剤の水分散液5の15部を滴下し、15分間撹拌し、混合して水性塗料用組成物(B−2)を得た。水性塗料用組成物(B−2)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を9.5部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は測定できなかった。
【0065】
[例10]
塗膜形成樹脂として、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チヌビン384−2)の5部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を加え、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(B−3)を得た。水性塗料用組成物(B−3)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を9.5部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は測定できなかった。
【0066】
[例11]
塗膜形成樹脂として、フルオロオレフィン系樹脂エマルション1の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(SanduvorPT21Disp.、クリアラントジャパン社製:商品名、有効成分25%)の20部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を加え、撹拌混合して水性塗料用組成物(B−4)を得た。水性塗料用組成物(B−4)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を10部含有していた。紫外線吸収剤は、粒子径4μm以上の大粒子を含有していた。
【0067】
[例12]
塗膜形成樹脂として、テトラフルオロエチレン/エチレン/プロピレン/ウンデシレン酸が、52/20/27/1モル%の割合で共重合した共重合体のエマルション80%に対し、tert−ブチルメタクリレート/グリシジルメタクリレートが、90/10モル%の割合で共重合した共重合体のエマルション20%をシード重合したエマルション(固形分40%、平均粒子径130nm以下)の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例1の紫外線吸収剤の水分散液1の5.71部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(A−3)を得た。水性塗料用組成物(A−3)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を8.7部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0068】
[例13]
塗膜形成樹脂として、ゼッフルSE310(商品名:ダイキン工業社製、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレンの共重合体とアクリル重合体の複合体のエマルションを、固形分40%に調製したもの)の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例1の紫外線吸収剤の水分散液1の5.71部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(A−4)を得た。水性塗料用組成物(A−4)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を8.7部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であった。
【0069】
[例14]
塗膜形成樹脂として、フルオネートFEM500(商品名:大日本インキ化学工業社製、クロロトリフルオロエチレン/カルボン酸ビニルエステルからなる共重合体のエマルションを、固形分40%に調製したもの)の100部を、高速撹拌機を用いて、回転速度800rpmで撹拌中に、例1の紫外線吸収剤の水分散液1の5.71部を滴下し、15分間撹拌し、さらに造膜助剤(CS−12)の10部を混合し、15分間撹拌して、水性塗料用組成物(A−5)を得た。水性塗料用組成物(A−5)は、塗膜形成樹脂の100部に対して紫外線吸収剤を8.7部含有していた。紫外線吸収剤の粒子径は2μm以下であり、例1の分散液1におけると同様であった。
【0070】
[評価方法および結果]
例6〜14で得た水性塗料用組成物を、なんら表面処理を施していないアルミニウム板に塗布し、設定温度80℃のオーブンで1時間加熱し、硬化塗膜を得た。これらの塗膜をアルミニウム板から剥がしてフィルム状とし、該フィルムのヘーズを測定した。その結果を表1、表2に示す。
【0071】
【表1】
Figure 0004843846
【0072】
【表2】
Figure 0004843846
【0073】
【発明の効果】
本発明の水性塗料用組成物を用いることにより、長期の屋外暴露、促進耐候性試験によっても劣化が少なく、下地を劣化から保護する性能を有する塗膜が得られる。
また、本発明の製造方法を用いることにより、安定な紫外線吸収剤の水分散液を用いて水性塗料用組成物を得ることができ、該水性塗料用組成物から、透明性が高く、下地保護性に優れた塗膜が得られる。

Claims (11)

  1. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)および塗膜形成樹脂(B)を含有する水性塗料用組成物であって、
    前記水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下であり、
    水性塗料用組成物における前記(A)の粒子径が3μm以下であり、
    前記(A)の含有割合が、(B)の100質量部に対して(A)の2質量部以上であり、
    前記(A)は、濃度50〜90質量%の水分散液として配合され
    前記水分散液が界面活性剤を含有することを特徴とする水性塗料用組成物。
  2. 前記(B)の100質量部に対して前記(A)を2〜20質量部含有する請求項に記載の水性塗料用組成物。
  3. 前記塗膜形成樹脂(B)が、エマルション形態である請求項1又は2に記載の水性塗料用組成物。
  4. 塗膜形成樹脂(B)が、含フッ素樹脂を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性塗料用組成物。
  5. 含フッ素樹脂が、フルオロオレフィンに基づく重合単位(a)と、アルキルビニルエーテルに基づく重合単位(b)および/またはカルボン酸ビニルエステルに基づく重合単位(c)とを含む含フッ素共重合体を含有する請求項に記載の水性塗料用組成物。
  6. 前記塗膜形成樹脂(B)における含フッ素樹脂の含有割合が、塗膜形成樹脂(B)の総量に対して質量基準で30%以上である請求項4又は5に記載の水性塗料用組成物。
  7. ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(A)が、下記式1で表される化合物である請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性塗料用組成物。ただし、下記式1において、R1はアルキル基、R3はアルキル基、R2はアルキレン基、nは0または1であり、R1とR3は同じであっても異なってもよい。
    Figure 0004843846
  8. 水性塗料用組成物から得られる塗膜の膜厚15μmでのヘーズが6以下である水性塗料用組成物を、紫外線吸収剤および塗膜形成樹脂を含有させることによって製造する製造方法であって、該塗膜形成樹脂の100質量部に対する該紫外線吸収剤が2質量部以上であり、該紫外線吸収剤が水分散液の形態であり、該水分散液が界面活性剤を含有し、該水分散液中の該紫外線吸収剤の粒子径が3μm以下であり、該水分散液中の該紫外線吸収剤の濃度が質量基準で50〜90%であり、前記紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを特徴とする水性塗料用組成物の製造方法。
  9. 前記塗膜形成樹脂の100質量部に対して、前記紫外線吸収剤を2〜20質量部含有する請求項に記載の水性塗料用組成物の製造方法。
  10. 前記塗膜形成樹脂(B)が、エマルション形態である請求項8又は9に記載の水性塗料用組成物の製造方法。
  11. 塗膜形成樹脂が、含フッ素樹脂を含有し、かつ塗膜形成樹脂における含フッ素樹脂の含有割合が、塗膜形成樹脂の総量に対して質量基準で30%以上である請求項8〜10のいずれか一項に記載の水性塗料用組成物の製造方法。
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