JP2009057391A - 塗料用含フッ素共重合体溶液および塗料 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗膜の硬度・耐汚染性を向上させると同時に、弱溶媒に対する溶解性をさらに向上させることは環境面で重要な課題である。
【解決手段】本発明は、フッ素原子を2以上含むフルオロオレフィンと前記フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとの共重合体であり、フルオロオレフィンに基づくフッ素の含有量が10質量%以上であり、二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が水酸基を含有し、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有し、水酸基価が43〜60の範囲にある含フッ素共重合体と弱溶剤を含有し、該含フッ素共重合体を73%〜90質量%含有する含フッ素共重合体溶液、および、前記含フッ素共重合体溶液と硬化剤とからなることを特徴とする塗料用組成物を提供するものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、フッ素原子を2以上含むフルオロオレフィンと前記フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとの共重合体であり、フルオロオレフィンに基づくフッ素の含有量が10質量%以上であり、二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が水酸基を含有し、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有し、水酸基価が43〜60の範囲にある含フッ素共重合体と弱溶剤を含有し、該含フッ素共重合体を73%〜90質量%含有する含フッ素共重合体溶液、および、前記含フッ素共重合体溶液と硬化剤とからなることを特徴とする塗料用組成物を提供するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、弱溶剤に対する高固形分塗料用含フッ素共重合体溶液および塗料用組成物に関する。
含フッ素樹脂を含む塗料は耐候性が高く、長期使用に耐えるなど多くの利点を有している。しかし、このような塗料は、トルエン、キシレン等のいわゆる強溶剤を含むため、経年変化した旧塗膜に該塗料を直接塗装すると、チヂミやふくれが生じたり、良好な密着性が得られない問題があった。一方、近年、硬化剤と、該硬化剤と架橋可能な樹脂を含有する溶液とを使用時に混合して用いる二液タイプの塗料が用いられている。二液タイプの塗料は、樹脂と硬化剤とが架橋して3次元の網目構造を構成するため、硬度が高く、耐汚染性に優れた塗膜が得られる。該二液タイプの塗料としては、樹脂中の水酸基の含有量(水酸基価)が多いほど、硬度の高い塗膜が得られる。
しかし、二液タイプの塗料に用いられる樹脂は、水酸基を有しているため極性が高く、弱溶剤には溶解しにくい。そのため、二液タイプの塗料には、通常、溶解力の強い強溶剤が用いられており、上記と同様、旧塗膜等を補修する際に旧塗膜を痛めるなどの問題を有していた。
このような問題に対し、特許文献1には強溶剤よりも溶解力の弱い弱溶剤を用いる弱溶剤型塗料が開示されている。しかし、従来の含フッ素共重合体は、二液タイプの塗料に用いるために水酸基価を高めると、弱溶剤に対する溶解性が低下し、塗装が困難になり、充分な硬度の塗膜を得ることが困難であった。そのため、例えば特許文献2には含フッ素共重合体中に、分岐状アルキル基と水酸基をある一定割合で含有させ、弱溶媒に対する溶解性を向上させた塗料用組成物が提案されている。
弱溶媒に対する樹脂の溶解性をさらに向上させ、溶媒量を減少させることは環境面で重要な課題となっており、本発明は弱溶媒に対する樹脂の溶解性向上により従来よりも高固形分で弱溶媒に溶解し、強固な塗膜を形成可能な塗料用含フッ素共重合体溶液を提供することである。
本発明は、フッ素原子を2以上含むフルオロオレフィンと前記フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとの共重合体であり、共重合対中のフッ素の含有量が10質量%以上であり、二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が水酸基を含有し、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有し、水酸基価が43〜60の範囲にある含フッ素共重合体と弱溶剤を含有し、該含フッ素共重合体を73〜90質量%含有する含フッ素共重合体溶液、および、前記含フッ素共重合体にシクロへキシルビニルエーテルを含有する前記含フッ素共重合体溶液、さらには、前記含フッ素共重合体溶液と硬化剤とからなり、該含フッ素共重合体溶液中の含フッ素共重合体の100質量部に対して、硬化剤の含有量が1〜100質量部であることを特徴とする塗料用組成物を提供するものである。
本発明の含フッ素共重合体の弱溶媒への溶解性向上により、弱溶媒に対しての高固形分化かつ強固な塗膜を形成可能な塗料用の含フッ素共重合体溶液であり、該含フッ素共重合体を含有する塗料は溶剤の大気放出量の抑制を可能にする。
フルオロオレフィンとしては、フッ素原子を2以上含むので耐候性が高い。フッ素原子数は3〜4がより好ましい。フッ素付加数が2以上であると、耐候性が充分であり好ましい。フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等を挙げることができ、特にテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンが好ましい。
フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとしては、フッ素を含有しないビニル系モノマーが好ましく使用される。該ビニル系モノマーとは、CH2=CH−で表される炭素−炭素二重結合を有する化合物である。該ビニル系モノマーとしては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を含有するアルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル等が挙げられる。
本発明におけるフルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーは、水酸基を含有する二重結合含有モノマー(以下、水酸基含有モノマーという)と、炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有するモノマー(以下、分岐アルキル基含有モノマーという。)の両方を含む。
本発明における二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が水酸基を含有する。水酸基含有モノマーの含有量が10モル%以上であると、硬度の高い塗膜を得るために充分な量の水酸基が含フッ素共重合体中に導入されるため好ましい。また、水酸基含有モノマーの含有量が30モル%以下であると、高固形分タイプにおいて該含フッ素共重合体溶液として充分な低粘度を維持できるため好ましいが、さらに好ましくは15%以下である。
水酸基含有モノマーの水酸基を持った側鎖の炭素数は、特に制限はないが、2〜10が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がとりわけ好ましい。水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)、ヒドロキシメチルビニルエーテル(HMVE)等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシエチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類などが挙げられる。共重合性に優れ、形成される塗膜の耐候性が良好であることから、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類が好ましい。なかでも、HEVEがより好ましい。
本発明における二重結合含有モノマーのうち、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐アルキル基を含有する。分岐アルキル基含有モノマーが20〜80モル%であることにより、上記の量の水酸基含有モノマーを用いても、溶剤に対する溶解性・低粘度化を確保できる。該分岐アルキル基含有モノマーを用いることにより、溶剤に対する溶解性を確保できる理由は明らかではないが、分岐アルキル基含有モノマーの分子構造と弱溶剤の分子構造とが類似しており、相溶性が高いためと推測される。
分岐アルキル基含有モノマーにおける分岐アルキル基の炭素数は、3以上であれば特に制限はなく、4〜15が好ましく、4〜10がより好ましい。
分岐アルキル基含有モノマーとしては、分岐アルキル基を含有するビニルエーテル類、アリルエーテル類または(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。分岐アルキル基としては、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基等が挙げられる。分岐アルキル基含有モノマーとしては、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)、tert−ブチルビニルエーテル(t−BuVE)等のビニルエーテル類が共重合性に優れるため好ましく、2−EHVEがより好ましい。該分岐アルキル基含有モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における二重結合含有モノマーは、少なくとも一部が水酸基と分岐状アルキル基を一つのモノマー分子中に有するものであってもよい。その場合は、一つのモノマーが水酸基含有モノマーと分岐状アルキル基含有モノマーの両方の機能を有する。また、このような場合であっても、含フッ素共重合体の水酸基価は43〜60mgKOH/gの範囲内にあればよい。
本発明においては、二重結合含有モノマーとして、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、水酸基含有モノマー、分岐アルキル基含有モノマー以外の他の二重結合含有モノマーを含有していてもよい。他の二重結合含有モノマーとしては、アルキル基を含有するモノマーが好ましく、該アルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられる。該アルキル基の炭素数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。特に、環状アルキル基を含有する二重結合含有モノマーを用いると、含フッ素共重合体のガラス転移温度(Tg)が上がり、塗膜の硬度がさらに高まるため好ましい。該環状アルキル基を含有する二重結合含有モノマーとしては、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル等の環状アルキルビニルエーテル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル類等が挙げられるが、シクロヘキシルビニルエーテルが好適である。該他の二重結合含有モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。二重結合含有モノマーの全量における他の二重結合含有モノマーの割合は、0〜70モル%であればよく、30〜60モル%がより好ましい。
含フッ素共重合体におけるフッ素の含有量は塗料の良好な耐候性を得るために、20質量%以上が好ましく、より好ましくは25質量%以上である。一方、含フッ素共重合体におけるフッ素の含有量は30質量%以下が好ましい。含フッ素共重合体におけるフッ素の含有量が30質量%を超えると含フッ素共重合体の弱溶媒への溶解性が不充分となるからである。
また、含フッ素共重合体におけるフルオロオレフィンに基づく重合単位と二重結合含有モノマーに基づく重合単位の割合は、フルオロオレフィンに基づく重合単位が30〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましく、二重結合含有モノマーに基づく重合単位が70〜30モル%であることが好ましく、60〜40モル%であることがより好ましい。フルオロオレフィンに基づく重合単位の割合が70モル%以下であると、含フッ素共重合体の弱溶剤への溶解性が充分となり、30モル%以上であると充分な耐候性が得られるため好ましい。
本発明における含フッ素共重合体は、硬化剤との反応性部位として水酸基を含有しており、含フッ素共重合体中の水酸基価は、水酸化カリウムの化学的反応当量に換算して、含フッ素共重合体の総固形分に対し、43〜60mgKOH/gが好ましく、45〜55mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が43mgKOH/g以上であると、硬度の高い塗膜を得ることができ、水酸基価が60mgKOH/g以下であると、塗料用含フッ素共重合体が高濃度において充分な溶解性および低粘度化が実現できるため好ましい。
本発明の塗料用含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンと、水酸基含有モノマーおよび分岐アルキル基含有モノマーを所定割合含む二重結合含有モノマーとの混合物に、重合媒体の存在下または非存在下で、重合開始剤または電離性放射線などの重合開始源を作用せしめて共重合反応を行うことによって製造できる。共重合反応における、フルオロオレフィンと二重結合含有モノマーとの使用量の割合は、上記の含フッ素共重合体におけるフルオロオレフィンに基づく重合単位と二重結合含有モノマーに基づく重合単位の割合と同じであることが好ましい。
重合媒体としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサノン、ソルベントナフサ、ミネラルターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等の脂肪族系溶剤、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、酢酸tert−ブチル、4−クロロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、モノクロロトルエン、3,4−ジクロロベンゾトリフルオリド等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカーボネートニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系開始剤;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、2,2−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレイト等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート類等の過酸化物系開始剤;等が挙げられる。
該含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンに基づくフッ素の含有量が、含フッ素共重合体の総質量に対して10質量%以上であり、20〜30質量%であることが好ましい。フッ素の含有量が10質量%以上であると、塗膜の耐候性が充分となり好ましい。
含フッ素共重合体は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される数平均分子量(Mn)が7000〜9000であることが好ましい。Mnが7000以上であると耐候性に優れ、Mnが9000以下であると高濃度において充分な溶解性および低粘度化が実現できるため好ましい。
また、含フッ素共重合体のガラス転移点(以下、Tgという。)は、25℃以上が好ましく、30〜40℃がより好ましい。Tgが25℃以上であると、高硬度の塗膜が得られるため好ましい。
本発明の塗料で用いる含フッ素共重合体は、カルボキシ基を含有することにより、例えば塗料として用いる際に顔料の分散性が向上する。含フッ素共重合体中のカルボキシ基の含有量は、水酸化カリウムの化学的反応当量に換算して、含フッ素共重合体の総固形分に対し、1〜5mgKOH/gが好ましく、2〜5mgKOH/gがより好ましい。
該カルボキシ基は、例えば、上述したフルオロオレフィンと二重結合含有モノマーとの重合反応後、含フッ素共重合体中の水酸基に多価カルボン酸またはその無水物を反応させることにより導入できる。また、カルボキシ基を有する二重結合含有モノマーの直接重合によっても導入できる。
本発明の含フッ素共重合体溶液は種々の弱溶剤を含有することが可能である。弱溶剤としては、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第3種有機溶剤とされている溶剤であり、下記イ)〜ハ)のいずれかに相当するものである。
イ)ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリットおよびミネラルターペンを含む)、
ロ)イ)選ばれた弱溶剤群の1種以上の混合物、
ハ)イ)と、イ)以外のものの混合物で、イ)を5質量%超含有するもの。
イ)ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリットおよびミネラルターペンを含む)、
ロ)イ)選ばれた弱溶剤群の1種以上の混合物、
ハ)イ)と、イ)以外のものの混合物で、イ)を5質量%超含有するもの。
本発明の含フッ素共重合体溶液は弱溶剤として上記のイ)〜ハ)から選ばれる第3種有機溶剤とされている弱溶剤を使用したものであり、強溶剤に相当する第2種有機溶剤を、全溶剤の5質量%を超えて含有しないものである。弱溶剤としては、引火点が室温以上であることから、ミネラルスピリットが好ましい。
本発明の含フッ素共重合体溶液は、本発明の塗料用含フッ素共重合体および弱溶剤のほか、塗膜の乾燥性を改善するために、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等を含有してもよく、塗膜の光沢、硬度、塗料の施工性を改良するために、アクリル酸またはそのエステルからなる重合体、ポリエステル等の塗料用樹脂を含有していてもよい。
本発明の含フッ素共重合体溶液は、含有する固形分の全量が溶剤に溶解していることが最も好ましいが、若干の不溶部があってもよい。塗料用組成物における溶剤の量は、含フッ素共重合体の溶解性、塗料として塗装する際の適度な粘度、塗装方法などを考慮して適宜決定される。
本発明の含フッ素共重合体溶液は、二液タイプの塗料として、使用前に硬化剤と混合されて用いられる。本発明の塗料は、本発明の塗料用組成物および硬化剤を含有する。
該硬化剤としては、含フッ素共重合体中の水酸基と架橋可能な硬化剤が好ましく、例えばイソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等の塗料用硬化剤が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の無黄変イソシアネート類が挙げられる。
ブロックイソシアネート系硬化剤としては、イソシアネート硬化剤のイソシアネート基をカプロラクタム、イソホロン、β−ジケトン等でブロックしたものが挙げられる。
メラミン系硬化剤としては、ブチル化メラミン等の低級アルコールによりエーテル化されたメラミン、エポキシ変性メラミン等が挙げられる。
本発明の塗料用組成物における硬化剤の含有量は、塗料用組成物中の含フッ素共重合体を含む樹脂成分の100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
硬化剤が1質量部以上であると、塗膜の耐溶剤性と硬度が充分であり、硬化剤が100質量部以下であると、加工性、耐衝撃性に優れるため好ましい。
本発明の塗料用組成物は、必要に応じて、他の機能性配合剤を含有することが好ましい。他の機能性配合剤としては、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤等が挙げられる。
着色顔料、染料としては、耐候性の良いカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエロー等の有機顔料、染料等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
硬化促進剤としては、イソシアネート系硬化剤用にジブチルスズジラウレート等、メラミン系硬化剤用にパラトルエンスルホン酸等の酸性触媒が挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(以上、アデカアーガス化学社製、商品名)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等が挙げられ、つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成できる。
本発明の塗料の製造は、本発明の塗料用組成物、硬化剤、必要に応じて添加される機能性配合剤を混合することにより行うことができる。
その混合順序は特に限定されず、本発明の塗料用組成物と添加剤を予め混合し、それに硬化剤を混合してもよく、本発明の塗料用組成物および硬化剤を混合し、次いで添加剤を混合してもよく、これらを同時に混合してもよい。
本発明の塗料を用いて塗装する方法としては、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコーター、フローコーター等の任意の方法を適用できる。
塗装される物品材質としては、コンクリート、自然石、ガラス等の無機物、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等の金属、プラスチック、ゴム、接着剤、木材等の有機物が挙げられる。特に、すでに形成された塗膜の表面への塗装に適する。また有機無機複合材であるFRP、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の塗装にも適する。
また塗装される物品としては、自動車、電車、航空機等の輸送用機器、橋梁部材、鉄塔などの土木部材、防水材シート、タンク、パイプ等の産業機材、ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメント、ポール等の建築部材、道路の中央分離帯、ガードレール、防音壁等の道路部材、通信機材、電気および電子部品等が挙げられる。
以下に発明をより詳細に説明するために実施例(例1は実施例、例2は比較例)を示す。本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
(含フッ素共重合体Aの製造)
内容積2000mLのステンレス製撹拌機付きオートクレーブに、組成がシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)の235g、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)の262gおよびヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)の99gである二重結合含有モノマー混合物、キシレンの670g、エタノールの189gおよび炭酸カリウムの9.5gを投入し、窒素により溶存酸素を除去する。
内容積2000mLのステンレス製撹拌機付きオートクレーブに、組成がシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)の235g、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)の262gおよびヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)の99gである二重結合含有モノマー混合物、キシレンの670g、エタノールの189gおよび炭酸カリウムの9.5gを投入し、窒素により溶存酸素を除去する。
その後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の505gをオートクレーブ中に導入して徐々に昇温し、65℃に達した後、tert−ブチルパーオキシピバレートの50%キシレン溶液の7.0gを7時間かけてオートクレーブ中に導入し、その後さらに15時間撹拌した後に反応を停止する。
得られた含フッ素共重合体のキシレン溶液をエバポレーションしながら不揮発分を60質量%にした後、水素添加無水フタル酸の5.8gを添加し、さらにトリエチルアミンの0.05gを添加した後、フラスコを徐々に昇温した。フラスコ内温度が70℃に達した後、その温度を2時間保持した。次いで減圧条件下にて乾燥処理を行うことにより、数平均分子量(Mn)が7100、水酸基価が50mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、Tgが26℃である含フッ素共重合体Aの固形分(不揮発分99質量%以上)を得る。
(含フッ素共重合体Bの製造)
含フッ素共重合体Aの製造において、二重結合含有モノマーの組成をCHVEの208g、エチルビニルエーテル(EVE)の186g、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の186gとした以外は含フッ素共重合体Aの製造と同様にして、Mnが7200、水酸基価が49mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、Tgが34℃である含フッ素共重合体Bの固形分(不揮発分99質量%以上)を得る。
含フッ素共重合体Aの製造において、二重結合含有モノマーの組成をCHVEの208g、エチルビニルエーテル(EVE)の186g、ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の186gとした以外は含フッ素共重合体Aの製造と同様にして、Mnが7200、水酸基価が49mgKOH/g、酸価が2mgKOH/g、Tgが34℃である含フッ素共重合体Bの固形分(不揮発分99質量%以上)を得る。
含フッ素共重合体Bは、炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有する二重結合含有モノマーを有しないため本発明に相当しない。
<例1〜2>
得られた含フッ素共重合体A、Bの固形分について、エトキシエチルプロピオネート(EEP)とミネラルスピリット(MS)に不揮発分が75%となるような比率で混合し、常温で3日間静置した後溶解状態を確認する。
得られた含フッ素共重合体A、Bの固形分について、エトキシエチルプロピオネート(EEP)とミネラルスピリット(MS)に不揮発分が75%となるような比率で混合し、常温で3日間静置した後溶解状態を確認する。
表1に、含フッ素共重合体A、Bのモノマー組成(モル%)、水酸基価、酸価、Mnおよび溶剤に対する溶解状態を示す。溶解状態については、○は完全溶解 △は一部溶け残りあり ×はほとんどまたはまったく溶けず の指標に従い目視判定する。
本発明の含フッ素共重合体溶液によれば、従来の含フッ素共重合体溶液を用いた塗料に比べて、溶剤の大気放出量の抑制および硬度の高い塗膜の形成を可能にする。
Claims (3)
- フッ素原子を2以上含むフルオロオレフィンと前記フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとの共重合体であり、共重合体中のフッ素の含有量が10質量%以上であり、二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が水酸基を含有し、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有し、水酸基価が43〜60mgKOH/gの範囲にある含フッ素共重合体と弱溶剤を含有し、該含フッ素共重合体を73〜90質量%含有する含フッ素共重合体溶液。
- 前記含フッ素共重合体にシクロへキシルビニルエーテルを含有する請求項1記載の含フッ素共重合体溶液。
- 請求項1または2に記載の含フッ素共重合体溶液と硬化剤とからなり、該含フッ素共重合体溶液中の含フッ素共重合体の100質量部に対して、硬化剤の含有量が1〜100質量部であることを特徴とする塗料用組成物。
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