JP3304788B2 - 含フッ素樹脂水性分散体 - Google Patents

含フッ素樹脂水性分散体

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JP3304788B2
JP3304788B2 JP29940596A JP29940596A JP3304788B2 JP 3304788 B2 JP3304788 B2 JP 3304788B2 JP 29940596 A JP29940596 A JP 29940596A JP 29940596 A JP29940596 A JP 29940596A JP 3304788 B2 JP3304788 B2 JP 3304788B2
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龍治 岩切
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収作用、
光安定化作用を有する含フッ素樹脂水性分散体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】住宅家屋、車両、自動車等の塗料分野に
おいては、従来から、有機溶剤等の公害発生源を使用し
ない水性分散体が種々提案されている。なかでも、含フ
ッ素樹脂を配合した塗料は、近年、自動車等のクリア塗
料としての用途が拡大しつつある。クリア塗料は、塗膜
の最外部に塗布されるため基本性能として優れた耐候性
が要求されるので、そのバインダーとして含フッ素樹脂
は好適なものとして注目されつつある。
【0003】しかしながら、クリア塗料は、本来、顔料
を全く含有させず又は極めて低濃度の顔料を含有させる
ことにより下地塗料の色を活かすことが多く、紫外線の
照射を受けた場合に、塗膜の界面剥離や下地塗料の変色
が生じる等の問題点があった。
【0004】このような問題点を解決するため、紫外線
吸収剤や光安定化剤を塗料に添加する方法が用いられて
いた。しかしながら、これらの物質は塗料中に単にブレ
ンドされているだけであるので、熱や水分の存在によっ
て塗布後の塗膜中から経時的に浸出することが多く、効
果が消失する問題点があった。更に、塗料を構成するバ
インダーとの相溶性が悪いため、添加量を増やすとクリ
ア塗膜が濁ったり、光沢が低下する等の基本的問題点が
あった。
【0005】特開平1−141903号公報には、反応
性の二重結合をウレタン結合を介して有するフッ素樹脂
に反応性光安定化剤を他のエチレン性不飽和結合を有す
る単量体と共重合させることにより、耐候性、塗料分散
性、初期光沢及び透明性に優れたグラフト共重合体を得
る方法が開示されている。しかしながら、当該製造方法
は溶剤中における実施例の開示しかなく水性媒体中で製
造することができるか否かが不明であり、また、水酸基
を有するフッ素樹脂にウレタン結合で反応性二重結合を
付加する必要があるために、反応プロセスが複雑になる
という欠点があった。
【0006】特開平3−215544号公報には、フッ
素含有重合性化合物と反応性光安定化剤とを含む重合性
成分を共重合させて得られる共重合体を被膜形成樹脂に
溶解混合した組成物により、低コストで、長期耐候性、
光沢性、耐溶剤性に優れた塗膜を取得できる旨が開示さ
れている。しかしながら、このものは、フッ素含有重合
性化合物と反応性光安定化剤とを共重合した後に、他の
被膜形成樹脂とブレンドするため、フッ素樹脂のフッ素
含有量を上げると著しく他の樹脂との相溶性が阻害さ
れ、その結果、フッ素樹脂の特徴である耐候性、耐薬品
性等が損なわれてしまうという欠点を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み、優れた紫外線吸収効果と光安定化効果を有し、
しかもその効果の持続性が良好な含フッ素樹脂水性分散
体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の含フッ素樹脂水
性分散体は、水性媒体中に分散されてなる樹脂からなる
含フッ素樹脂水性分散体であって、上記樹脂は、分子中
に、紫外線吸収部位及び光安定化部位のうち少なくとも
1つが共有結合により固定化されているものである。上
記含フッ素樹脂水性分散体は、含フッ素樹脂粒子の存在
下に、ラジカル重合性不飽和単量体を水性媒体中でシー
ド重合する際に、紫外線吸収部位を有する反応性単量体
及び光安定化部位を有する反応性単量体のうち少なくと
も1つを共重合することにより得られる。以下に本発明
を詳述する。
【0009】本発明の含フッ素樹脂水性分散体は、水性
媒体中に樹脂が分散されてなる基本構造を有する。上記
水性媒体としては特に限定されず、水に後に詳述する添
加剤や溶剤等を添加したもの等を挙げることができる。
【0010】上記水性媒体中に分散される樹脂は、大別
して、(1)フルオロオレフィンとこれと共重合可能な
単量体との共重合体からなる含フッ素樹脂、及び、
(2)フルオロオレフィンの重合体からなる樹脂とその
他の重合体とからなるフッ素系複合樹脂を挙げることが
できる。本明細書においては、上記(1)及び上記
(2)を、総称して「樹脂」という。
【0011】本発明に係る樹脂の一つは、(1)フルオ
ロオレフィンとこれと共重合可能な単量体との共重合体
からなる含フッ素樹脂である。上記フルオロオレフィン
としては特に限定されず、例えば、フッ化ビニル、ビニ
リデンフルオライド(VdF)、テトラフルオロエチレ
ン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTF
E)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフル
オロエチレン等の炭素数2〜4程度のフルオロオレフィ
ン等を挙げることができる。
【0012】上記フルオロオレフィンと共重合可能な単
量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブ
チレン等のオレフィン類;エチルビニルエーテル(EV
E)、シクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)、ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、ブチルビ
ニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエーテル等のビ
ニルエーテル類;ポリオキシエチレンアリルエーテル、
エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテ
ル、アリルアルコール、アリルエーテル等のアルケニル
類;酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸
ビニル、安息香酸ビニル、VEOVA9(シェル社
製)、VEOVA10(シェル社製)等のビニルエステ
ル類、無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等の
エチレン性不飽和カルボン酸類等を挙げることができ
る。
【0013】上記フルオロオレフィンとこれと共重合可
能な単量体との共重合体としては特に限定されず、例え
ば、CTFE/ビニルエーテル共重合体、CTFE/ビ
ニルエステル共重合体、TFE/ビニルエーテル共重合
体、TFE/ビニルエステル共重合体、TFE/エチレ
ン共重合体、TFE/プロピレン共重合体、CTFE/
エチレン共重合体、CTFE/プロピレン共重合体、C
TFE/エチレン/ビニルエーテル共重合体、CTFE
/エチレン/ビニルエステル共重合体、及びそれらの共
重合体を少量の共重合可能な単量体により変性したもの
等を挙げることができる。
【0014】上記含フッ素樹脂は、水性媒体中において
は、含フッ素樹脂粒子として存在する。本発明の含フッ
素樹脂水性分散体は、上記含フッ素樹脂を重合する際
に、紫外線吸収部位を有する反応性単量体及び光安定化
部位を有する反応性単量体のうち少なくとも1つを共重
合した共重合体が水性分散体中に分散されたものであ
る。本発明においては、上記紫外線吸収部位を有する反
応性単量体及び上記光安定化部位を有する反応性単量体
のうち、いずれか1つ又はその両方を用いるが、なかで
も、上記紫外線吸収部位を有する反応性単量体が必須成
分として用いられていることが好ましい。
【0015】上記含フッ素樹脂水性分散体は、例えば、
溶剤中等で上記(1)の樹脂を重合して得た後、乳化剤
の存在下、水中に分散し、溶剤を留去する相転換法、上
記(1)の樹脂の乳化重合を水性媒体中で行う方法等を
挙げることができが、溶剤の削減と工程の簡略化のため
には、水性媒体中で乳化重合を行う方法が好ましい。上
記乳化重合は、通常行われる乳化重合と同様の方法によ
り行うことができ、例えば、密閉容器中、水性媒体中
で、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によっ
てはキレート化剤、pH調整剤及び溶剤等の存在下、フ
ルオロオレフィン、フルオロオレフィンと共重合可能な
単量体等の単量体を10〜90℃の温度で0.5〜40
時間反応させることにより得ることができる。
【0016】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0017】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。また、上記界
面活性剤として、いわゆる反応性乳化剤等を用いること
ができ、更に、このような反応性乳化剤と上記乳化剤と
を併用することもできる。
【0018】上記乳化重合の際に用いる重合開始剤とし
ては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラジ
カルを10〜90℃の間で発生するものであれば特に限
定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いる
ことも可能である。このようなものとして、通常水溶性
の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤
としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット等
を挙げることができる。油溶性の重合開始剤としては、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、
過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチ
ロニトリル(AIBN)等を挙げることができる。上記
重合開始剤の使用量は、通常、ラジカル重合性不飽和単
量体100重量部あたり、0.05〜2.0重量部であ
る。
【0019】上記乳化重合の際に用いる連鎖移動剤とし
ては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン
化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−ド
デシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメ
ルカプタン類等を挙げることができる。上記連鎖移剤の
使用量は、通常、ラジカル重合性不飽和単量体100重
量部あたり、0〜5.0重量部である。
【0020】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安
全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重
量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケト
ン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチル
カルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、
酢酸ブチル等を挙げることができる。このような溶剤の
添加によって含フッ素樹脂粒子へのラジカル重合性不飽
和単量体の膨潤性が改良されることがある。
【0021】本発明に係る樹脂の他の一つは、(2)フ
ルオロオレフィンの重合体からなる樹脂とその他の重合
体とからなるフッ素系複合樹脂である。上記その他の重
合体としては特に限定されないが、例えば、ラジカル重
合性不飽和単量体からなる重合体が好ましい。上記フル
オロオレフィンの共重合体は、水性媒体中においては粒
子状で分散されており、上記ラジカル重合性不飽和単量
体によるフッ素系複合樹脂を形成するときには、いわゆ
るシード重合により重合される。本明細書においては、
「シード重合」とは、樹脂粒子の存在する水性媒体中に
おいて他の単量体と重合する反応を意味する。上記フッ
素系複合樹脂は、従って、上記シード重合後のシード重
合体を意味し、上記樹脂粒子は、シード重合におけるシ
ード粒子を意味する。
【0022】上記フルオロオレフィンの重合体としては
VdF系重合体が好ましく、例えば、VdF単独重合
体、VdF/TFE共重合体、VdF/HFP共重合
体、VdF/CTFE共重合体、VdF/TFE/CT
FE共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体等を挙
げることができる。
【0023】上記シード粒子を構成する重合体として
は、VdF系共重合体が好ましく、更にVdFを70モ
ル%以上含んでなる重合体が好ましい。VdFが70モ
ル%以上であると、シード粒子とラジカル重合性不飽和
単量体からなる重合体との相溶性がよくなり、エマルジ
ョンを乾燥させて成膜したフィルム(キャストフィル
ム)の透明性、機械的特性が向上するといった相溶性に
起因する優れた特性を得ることができる。
【0024】上記シード粒子の平均粒子径は、シード重
合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径と密接に関連して
おり、シード重合後のフッ素系複合樹脂の平均粒子径を
50〜300nmとするため、40〜290nmにする
ことが好ましい。
【0025】上記シード粒子を構成する重合体は、通常
の乳化重合法によって得ることができる。例えば、親水
性部位を有するフッ素系反応性乳化剤を水に対して0.
01〜1.0重量%、フッ素系乳化剤を0〜1.0重量
%それぞれ共存させて、フルオロオレフィンを含む単量
体混合物を乳化重合させることにより調製することがで
きる。
【0026】また、水に対して1.0重量%以下、好ま
しくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%
以下(下限は通常0.01重量%)のフッ素系界面活性
剤と水に対して0.001〜0.1重量%、好ましくは
0.01〜0.05重量%のノニオン性非フッ素系界面
活性剤との共存下にフルオロオレフィンを含む単量体混
合物を乳化重合させることにより調製することができ
る。これらの方法により得られた水性分散液は、平均粒
子径0.2μm以下のシード粒子を30〜50重量%の
高濃度で安定に含むことができる。
【0027】上記親水性部位を有するフッ素系反応性乳
化剤としては、例えば、CF2 =CF−(CF2 CF
X)n Y(式中、Xは、F又はCF3 、Yは、SO
3 M、COOM(Mは、水素原子、アミン、アンモニウ
ム又はアルカリ金属)、nは、整数を表す。)、CF2
=CF−O(CFX)n (式中、X、Y、nは前記と同
じ。)、CH2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )C
2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、nは、前記
と同じ。)、CF2 =CF−CF2 −O(CF(C
3 )CF2 O)n −CF(CF3 )Y(式中、Y、n
は、前記と同じ。)で表られる構造を有するもの等を挙
げることができが、水への溶解性と界面活性の点から、
nは0〜3の範囲にあるものが好ましい。より具体的に
は、CF2 =CF−CF2 −O(CF(CF3 )CF2
O)n −CF(CF3 )COOHの構造で、nが0〜2
のものが用いられる。
【0028】重合温度は、20〜120℃、好ましくは
30〜70℃である。重合温度が20℃より低いと概し
て生成ラテックスの安定性が低くなり、重合温度が12
0℃より高いと連鎖移動による重合速度の失速が起こる
傾向がある。重合は、重合体の種類にもよるが、通常、
1.0〜50kgf/cm2 (ゲージ圧)の加圧下に5
〜100時間加熱されて行われる。
【0029】上記シード粒子の乳化重合に用いられる上
記フッ素系乳化剤としては、構造中にフッ素原子を含み
界面活性能を有する化合物の1種又は2種以上の混合物
等を挙げることができる。例えば、X(CF2 n CO
OH(nは、6〜20の整数、Xは、F又は水素原子を
表す。)で表される酸及びそのアルカリ金属塩、アンモ
ニウム塩、アミン塩又は第四アンモニウム塩;Y(CH
2 CF2 m COOH(mは、6〜13の整数、Yは、
F又は塩素原子を表す。)で表される酸及びそのアルカ
リ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩又は第四アンモニ
ウム塩等を挙げることができる。より具体的には、パー
フルオロオクタン酸のアンモニウム塩、パーフルオロノ
ナン酸のアンモニウム塩等を挙げることができる。その
他、公知のフッ素系界面活性剤を使用することもでき
る。
【0030】シード粒子を得るときの乳化重合において
は、フッ素系界面活性剤の存在下少量のノニオン性非フ
ッ素系界面活性剤も用いることができ、その具体例とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシ
エチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げる
ことができる。
【0031】より具体的には、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル類としては、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオ
キシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン
オレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテ
ル等を挙げることができ、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル類としては、ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェ
ニルエーテル等を挙げることができ、ポリオキシエチレ
ンアルキルエステル類としては、モノラウリル酸ポリエ
チレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコ
ール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等を挙
げることができ、ソルビタンアルキルエステル類として
は、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モ
ノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノス
テアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイ
ン酸ポリオキシエチレンソルビタン等を挙げることがで
き、グリセリンエステル類としては、モノミリスチン酸
グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイ
ン酸グリセリル等を挙げることができる。
【0032】またこれらの誘導体としては、ポリオキシ
エチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキル
フェニル−ホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸塩等を挙げることができる。
特に好ましいものは、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル類及びポリオキシエチレンアルキルエステル類であ
って、HLB値が10〜18のものであり、具体的に
は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO:5〜
20。EOはエチレンオキシドユニット数を表す。)、
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(EO:6〜
10)である。
【0033】本発明に係る樹脂の(2)フルオロオレフ
ィンの共重合体からなる樹脂とその他の重合体とからな
るフッ素系複合樹脂におけるその他の重合体を構成する
ものとしては、上記したようにラジカル重合性不飽和単
量体からなる重合体を挙げることができる。上記ラジカ
ル重合性不飽和単量体としては特に限定されず、例え
ば、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキ
ルエステル、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリ
ル酸アルキルエステル、これらと共重合可能なエチレン
性不飽和単位を有する単量体等を挙げることができる。
【0034】上記アルキル基の炭素数が1〜18のアク
リル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等を挙げるこ
とができる。
【0035】上記アルキル基の炭素数が1〜18のメタ
クリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プ
ロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブ
チル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリ
ル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0036】また、耐溶剤性、耐水性向上の目的で、エ
チレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコ
ールジメタクリレート等の多官能性単量体を共重合する
こともできる。上記アクリル酸エステル、上記メタクリ
ル酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和単位を有
する単量体としては、下記(I)及び下記(II)等を
挙げることができる。
【0037】(I)反応性を有する官能基を持つ単量
体、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
無水イタコン酸、無水コハク酸、クロトン酸等のエチレ
ン性不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリル
アミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のアミ
ド化合物;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸
ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メ
タクリル酸ヒドロキシプロピル等の水酸基含有単量体;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエ
ポキシ基含有単量体;γ−トリメトキシシランメタクリ
レート、γ−トリエトキシシランメタクリレート等のシ
ラノール基含有単量体;アクロレイン等のアルデヒド基
含有単量体。
【0038】(II)その他ビニル化合物、例えば、エ
チレン、プロピレン、イソブチレン等のαオレフィン
類;エチルビニルエーテル(EVE)、シクロヘキシル
ビニルエーテル(CHVE)、ヒドロキシブチルビニル
エーテル(HBVE)、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、ポリオキ
シエチレンビニルエーテル等のビニルエーテル類;ポリ
オキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテ
ル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、アリルアルコー
ル、アリルエーテル等のアルケニル類;酢酸ビニル、乳
酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビ
ニル、VEOVA9、VEOVA10(シェル社製)等
のビニルエステル類;無水イタコン酸、無水コハク酸、
クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸類;スチレ
ン、αメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン
等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル等。
【0039】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体として、親水性部位を含む低分子量のポリマー
又はオリゴマーを分子中に含む化合物を用いることもで
きる。上記親水性部位とは、親水性基を有する部位又は
親水性の結合を有する部位、及び、これらの組み合せか
らなる部位を意味する。上記親水性基は、イオン性、非
イオン性、両性及びこれらの組合せのいずれであっても
よいが、非イオン性、アニオン性の親水性基が好まし
い。また、公知の反応性乳化剤であってもよい。
【0040】上記アクリル酸エステル、上記メタクリル
酸エステルと共重合可能なエチレン性不飽和結合を有す
る単量体、反応性乳化剤としては、例えば、ポリエチレ
ングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコー
ルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメ
タクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、
ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリ
エチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコ
ールアリルエーテル、メトキシポリエチレングリコール
アリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレ
ングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコ
ールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレー
ト、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアリルフェニルエーテ
ル硫酸塩、スチレンスルホン酸塩、アリルアルキルスル
ホン酸塩、ポリエチレングリコールメタクリレート硫酸
塩、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ビス(ポリオキ
シエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化硫
酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテルアクリル酸エステル、メタクリロイルオキシポリ
オキシアルキレン硫酸エステル塩、メタクリロイルオキ
シアルキレン硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンビニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンビニルエステル等を挙
げることができる。
【0041】本発明において、上記ラジカル重合性不飽
和単量体を含フッ素樹脂粒子の存在下にシード重合させ
ると、まず上記ラジカル重合性不飽和単量体の含フッ素
樹脂への膨潤が起こり、この時点で上記ラジカル重合性
不飽和単量体が均一溶解した含フッ素共重合体の水性分
散体の状態となる。その後、重合開始剤を添加すること
によって上記ラジカル重合性不飽和単量体が重合し、分
子鎖のからまりあった相溶体粒子が形成される。上記ラ
ジカル重合性不飽和単量体が多官能性である場合には、
相互侵入網目構造(IPN)を形成することもできる。
上記多官能性ラジカル重合性不飽和単量体としては、例
えば、モノグリコールジメタクリレート、ジグリコール
ジメタクリレート等を挙げることができる。
【0042】上記ラジカル重合性不飽和単量体のシード
重合は、公知の方法、例えば、含フッ素樹脂粒子の存在
下に反応系にラジカル重合性不飽和単量体の全量を一括
して仕込む方法、ラジカル重合性不飽和単量体の一部を
仕込み反応させた後、残りを連続又は分割して仕込む方
法、ラジカル重合性不飽和単量体の全量を連続して仕込
む方法等によって行うことができる。また、上記シード
重合の重合条件は、通常の乳化重合と同様であって、例
えば、含フッ素樹脂粒子を含む水性媒体中に、界面活性
剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によってはキレート
化剤、pH調整剤及び溶剤等を添加し、10〜90℃の
温度で0.5〜6時間反応を行うことにより重合するこ
とができる。
【0043】上記界面活性剤としては、アニオン性、ノ
ニオン性又はアニオン性−ノニオン性の組み合せを用い
ることができ、場合によっては両性界面活性剤を用いる
こともできる。上記アニオン性界面活性剤としては、例
えば、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン
酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム塩等の炭化水素系アニオン性界面活性剤のほか、フ
ルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルスルホ
ン酸塩、フルオロアルキル硫酸エステル等の含フッ素ア
ニオン性界面活性剤等を挙げることができる。
【0044】上記ノニオン性界面活性剤としては、例え
ば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエ
チレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル
類、グリセリンエステル類及びその誘導体等を挙げるこ
とができる。上記両性界面活性剤としては、例えば、ラ
ウリルベタイン等を挙げることができる。
【0045】また、上記界面活性剤として、ラジカル重
合性不飽和単量体と共重合可能な、いわゆる反応性乳化
剤等を用いることができ、更に、このような反応性乳化
剤と上記乳化剤とを併用することもできる。上記界面活
性剤の使用量は、通常、ラジカル重合性不飽和単量体1
00重量部あたり、0.05〜5.0重量部である。
【0046】上記シード重合の際に用いる重合開始剤と
しては、水性媒体中でフリーラジカル反応に供し得るラ
ジカルを20〜90℃の間で発生するものであれば特に
限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用い
ることも可能である。このようなものとして、通常水溶
性の重合開始剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元
剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ロンガリット
等を挙げることができる。油溶性の重合開始剤として
は、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IP
P)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイ
ソブチロニトリル(AIBN)等を挙げることができ
る。上記重合開始剤の使用量は、通常、ラジカル重合性
不飽和単量体100重量部あたり、0.05〜2.0重
量部である。
【0047】上記シード重合の際に用いる連鎖移動剤と
しては、例えば、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲ
ン化炭化水素;n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等の
メルカプタン類等を挙げることができる。上記連鎖移剤
の使用量は、通常、ラジカル重合性不飽和単量体100
重量部あたり、0〜5.0重量部である。
【0048】上記溶剤は、作業性、防災安全性、環境安
全性、製造安全性を損なわない範囲内、例えば、20重
量%以下の範囲で用いられ、例えば、メチルエチルケト
ン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、エチルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカ
ルビトール、ブチルカルビトール、ジオキサン、ブチル
カルビトールアセテート、テキサノール、酢酸エチル、
酢酸ブチル等を挙げることができる。このような溶剤の
添加によって含フッ素樹脂粒子へのラジカル重合性不飽
和単量体の膨潤性が改良されることがある。
【0049】本発明の含フッ素樹脂水性分散体は、樹脂
として上記(2)のシード重合体を用いる場合には、水
性媒体中において、上記含フッ素樹脂粒子の存在下に、
ラジカル重合性不飽和単量体をシード重合する際に、紫
外線吸収部位を有する反応性単量体及び光安定化部位を
有する反応性単量体のうち少なくとも1つを共重合する
ことにより得られる。本発明においては、上記紫外線吸
収部位を有する反応性単量体及び上記光安定化部位を有
する反応性単量体のうち、いずれか1つ又はその両方を
用いるが、なかでも、上記紫外線吸収部位を有する反応
性単量体が必須成分として用いられていることが好まし
い。
【0050】本発明の含フッ素樹脂粒子の水性分散液中
での粒子径は、50〜300nmが好ましい。より好ま
しくは、50〜200nmである。上記粒子径が50n
m未満であると、濃度が実用的範囲である30%以上に
おいて含フッ素樹脂水性分散液の粘度が著しく増大し、
塗料化の作業に支障を来す。上記粒子径が300nmを
超えると、得られる含フッ素樹脂水性分散体の沈降安定
性が悪くなり、同じ組成の樹脂構成であっても、含フッ
素樹脂水性分散体の最低成膜温度の上昇を招くこととな
り、またこのような含フッ素樹脂水性分散体から調製し
た水性塗料は、レべリング性が充分でなく、高光沢の塗
膜を得ることが困難となる。
【0051】また、本発明の含フッ素樹脂水性分散液の
固形分濃度は、30〜65重量%であることが好まし
く、より好ましくは、35〜50重量%である。
【0052】本発明で用いる紫外線吸収部位を有する反
応性単量体としては、例えば、べンゾトリアゾール型の
紫外線吸収部位を有するメタクリレートであるRUVA
93(大塚化学社製)、シアノアクリレート系等を挙げ
ることができ、更にそのほか、ベンゾフェノン系、ベン
ゾトリアゾール系、トリアジン系等の水酸基を含有する
公知の紫外線吸収剤と、メタクリル酸クロリド、アクリ
ル酸コロリド等の酸ハロゲン化物の反応により得られる
紫外線吸収剤のメタクリル酸エステル、アクリル酸エス
テル等を挙げることができる。上記紫外線吸収部位を有
する反応性単量体は、単独で用いても、2種以上を併用
してもよい。
【0053】本発明で用いる光安定化部位を有する反応
性単量体としては、例えば、アデカスタブLA82(旭
電化社製)、アデカスタブLA87(旭電化社製)等の
ほか、水酸基を有する光安定化剤とメタクリル酸、アク
リル酸とのエステル等を挙げることができる。上記光安
定化部位を有する反応性単量体は、単独で用いても、2
種以上を併用してもよい。
【0054】上記紫外線吸収部位を有する反応性単量
体、上記光安定化部位を有する反応性単量体の添加量
は、水性媒体中の樹脂固形分に対して0.1〜30重量
%が好ましい。0.1重量%未満であると、紫外線吸収
効果、光安定化効果を充分に発揮することができず、3
0重量%を超えると、得られる含フッ素樹脂水性分散体
を適用した塗料を用いてクリアーフィルムを作成した際
に、フィルムの透明性が失われ、また顔料分散塗膜の光
沢が低下する。
【0055】
【実施例】以下に本発明の合成例、実施例を掲げて本発
明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらのみに限定
されるものではない。 合成例1 内容量1lの攪拌機付耐圧反応容器に、脱イオン水50
0ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウム塩0.5
g、MYS40(日光ケミカルズ社製)0.05gを仕
込み、窒素圧入、脱気を繰返し、溶存空気を除去した
後、VdF/TFE/CTFEの74/14/12モル
%比の混合モノマーにて、60℃で10kgf/cm2
まで加圧した。次に、過硫酸アンモニウム0.2gを仕
込み、糟内圧力が10kgf/cm2 で一定となるよう
にVdF/TFE/CTFEの74/14/12モル%
比の混合モノマーを連続供給し、40時間反応を行った
後、槽内を常温、常圧に戻し反応の終了とした。
【0056】この水性分散体を5%炭酸水素ナトリウム
でpH6.5に調整した。得られた水性分散液は固形分
濃度40%、平均粒子径は120nmであった。なお、
固形分濃度は、150℃真空乾燥器中で1時間乾燥し、
乾燥後の重量を乾燥前の水性分散液重量に対する百分率
で表した。また、平均粒子径は、レーザー光散乱粒径測
定装置(大塚電子ELS−3000)にて測定したもの
であった。
【0057】実施例1 攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量200mlの四
つ口フラスコに、合成例1で得られた含フッ素樹脂水性
分散体100gを仕込み、これに反応性乳化剤エレミノ
ールJS2(三洋化成工業社製)1.5gを添加した。
攪拌下に水浴中で加湿し、槽温が80℃に達したところ
で、メタクリル酸メチル(MMA)15.5g、反応性
紫外線吸剤RUVA93(大塚化学社製)1.5g(対
樹脂3%)、メトキシポリエチレングリコールメタクリ
レートのRMA450M(日本乳化剤社製)1.7gの
混合物をJS2の0.5重量%水溶液10gで乳化した
エマルジョンを1時間かけて滴下した。直後に、過硫酸
アンモニウムの2重量%水溶液1mlを添加し反応を開
始した。反応開始後3時間後に、槽内温度を85℃に上
げ、1時間保持した後冷却し、アンモニア水でpH7に
調整した後に、300メッシュの金網で濾過して青白色
の含フッ素樹脂水性分散体を得た。固形分濃度は46
%、平均粒子径は160nmであった。
【0058】白塗膜特性評価:水10.0重量部、分散
剤としてSN5027(サンノプコ社製)5.3重量
部、消泡剤としてFS013B(ダウコーニング社製)
0.3重量部、エチレングリコール4.0重量部、28
%アンモニア水0.1重量部、酸化チタン タイペーク
CR97(石原産業社製)70.0重量部をサンドミル
で分散し、顔料ペーストを調整した。次に、実施例1で
作製した含フッ素樹脂水性分散体75.6重量部に28
%アンモニア水0.6重量部を添加し、その後顔料ペー
スト24.1重量部、アジピン酸ジエチル5.1重量
部、消泡剤としてFS013B(ダウコーニング社製)
0.1重量部、増粘剤としてアデカノールUH420の
10%水溶液を1.9重量部添加し、400rpmで1
時間攪拌し白塗料を得た。この塗料を化成処理アルミ板
上に6milのアプリケーターで伸展し室温で24時間
乾燥後、50℃で24時間乾燥し、試験塗板を得た。こ
れを用いて以下の試験を行った。
【0059】光沢:得られた組成物を、ガラス板上に、
アプリケーターを用いて、20μmの塗膜厚さになるよ
うに伸展し、室温で一週間乾燥後、光沢計(スガ試験器
社製)を用いて光沢を測定した。 促進耐候性:塗板を、アイスーパーUVテスター(岩崎
電気社製)中で1000時間促進肘侯性試験を行った後
の光沢を測定し、下式より光沢保持率を求めた。 光沢保持率(%)=〔(試験後光沢)/(初期光沢)〕
×100 クリアー塗膜透明性:上記白塗膜評価で、白顔料ペース
トを使用せずに、クリアー塗料組成物を得た。 このクリアー塗料を10milのドクターブレードでガ
ラス板上に伸展し、室温で24時間乾燥した後、500
nmの光線透過率を測定した。 ×:光線透過率が60%未満 △:光線透過率が60%以上、80%未満 ○:光線透過率が80%以上 結果を表1に示した。
【0060】下塗り保護性:水20.0重量部、分散剤
としてSN5027(サンノプコ社製)5.3重量部、
消泡剤としてFS013B(ダウコーニング社製)0.
3重量部、エチレングリコール4.0重量部、28%ア
ンモニア水0.1重量部、黄色顔料LLXLO(チタン
工業社製)60.0重量部をサンドミルで分散し、顔料
ペーストを調製した。次に、アクリルスチレンエマルシ
ョン モビニール1751(ヘキスト合成社製)75.
6重量部に28%アンモニア水0.6重量部を添加し、
その後顔料ペースト24.1重量部、アジピン酸ジエチ
ル5.1重量部、消泡剤としてFS013B(ダウコー
ニング社製)0.1重量部、増粘剤としてアデカノール
UG420の10%水溶液を1.9重量部添加し、40
0rpmで1時間攪拌し黄塗料を得た。
【0061】この塗料を化成処理アルミ板上に6mil
のアプリケーターで伸展し室温で24時間乾燥後、上で
得たクリアー塗料組成物を6milのアプリケーターで
伸展し室温で24時間乾燥後、50℃で24時聞乾燥し
た。この塗板を、アイスーパーUVテスター(岩崎電気
社製)中で1000時間促進耐侯性試験を行った後の色
差を測定した。結果を表1に示した。
【0062】実施例2〜5、比較例2 表1に示すように、反応性紫外線吸収剤、反応性光安定
剤を変えたこと以外は実施例1と同様にして表1の結果
を得た。
【0063】実施例6 200mlのステンレス製攪拌機付きオートクレーブ
に、表1に示した組成のシクロヘキシルビニルエーテル
(CHVE)20.0g、親水性部位を有するマクロモ
ノマー(PKA5003、日本油脂社製)4.5g、R
UVA93(大塚化学社製)2.5g、イオン交換水6
6.1g、パーフルオロオクタン酸アンモニウム(乳化
剤)0.35g、炭酸カリウム(K2 CO3 )0.35
g、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3 )0.02
g、過硫酸アンモニウム(開始剤)0.08gを仕込
み、氷で冷却して窒素ガスを3.5kg/cm2 になる
ように加圧し脱気した。この加圧脱気を2回繰り返した
後10mmHgまで脱気して溶存酸素を除去した後、ク
ロロトリフルオロエチレン(CTFE)38.0gを仕
込み、30℃で12時間反応を行い、合成例5の水性分
散液を得た。得られた水性分散体は、固形分濃度49
%、平均粒子径は176nmであった。また、得られた
水性分散体をキャストして得られたフィルムを、メタノ
ール還流下で3時間処理して未反応モノマーを洗浄した
後、フィルムの300nmの光線透過率より、樹脂中へ
のRUVA93の導入を確認した。この水性分散体を実
施例1と同様に評価して表1に示した。
【0064】比較例1、3〜4 RUVA93をMMAに変えたこと以外は実施例1と同
様にして、紫外線吸収剤も光安定化剤も樹脂中に含まな
い水性分散体を作製した)。これに、非反応性の紫外線
吸収剤等を表1に示す量添加し、塗料化時に配合して実
施例1と同様に試験を行った。結果を表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明は、上述の構成よりなり、優れた
紫外線吸収効果と光安定化効果を有し、しかもその効果
が持続するので、屋外耐候性を有する塗料に配合する含
フッ素樹脂水性分散体として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長門 大 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキ ン工業株式会社淀川製作所内 (56)参考文献 特開 平9−188847(JP,A) 特開 平10−10587(JP,A) 特開 平7−304954(JP,A) 特開 平3−215544(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/12 - 2720 C08F 2/44 C09D 127/12 - 127/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中に分散されてなる樹脂からな
    る含フッ素樹脂水性分散体であり、前記樹脂は、分子中
    に、光安定化部位が共有結合により固定化されているも
    のである含フッ素樹脂水性分散体であって、 含フッ素樹脂粒子の存在下に、ラジカル重合性不飽和単
    量体を水性媒体中でシード重合する際に、光安定化部位
    を有する反応性単量体を共重合することにより得られる
    ことを特徴とする含フッ素樹脂水性分散体。
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