JPH101587A - 紫外線吸収剤 - Google Patents

紫外線吸収剤

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JPH101587A
JPH101587A JP15220396A JP15220396A JPH101587A JP H101587 A JPH101587 A JP H101587A JP 15220396 A JP15220396 A JP 15220396A JP 15220396 A JP15220396 A JP 15220396A JP H101587 A JPH101587 A JP H101587A
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JP
Japan
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monomer
polymer
pva
ultraviolet
polymerization
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JP15220396A
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Inventor
Masato Nakamae
昌人 仲前
Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 分散剤がポリビニルアルコール系重合体
であり、分散質が紫外線吸収性単量体とエチレン性不飽
和単量体あるいはジエン系単量体との共重合体であり、
分散質100重量部当たりのポリビニルアルコール系重
合体の使用量が30〜200重量部である水性エマルジ
ョンからなる紫外線吸収剤。 【効果】 本発明の水性エマルジョン型高分子紫外線吸
収剤は、フィルム製品、プラスチック製品、ガラス製
品、包装材製品、塗装製品、あるいは繊維製品に含有あ
るいは塗布せしめた場合に、高い安定性を有すると共
に、これらの内部および表面に紫外線吸収層を形成し、
これら製品の光劣化を防いだり、これら製品を透過する
紫外線を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外線の有害性を防
止するために、フィルム製品、プラスチック製品、ガラ
ス製品、包装材製品、塗装製品あるいは繊維製品に含有
あるいは塗布することにより、これらの内部および表面
に紫外線吸収層を形成し、これらの製品の光劣化を防い
だり、これらの製品を透過する紫外線を防止することが
できる水性エマルジョン型高分子紫外線吸収剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、フィルム製品、プラスチック製
品、塗装製品等の光劣化を防ぐ方法およびこれらにより
保護、包装されたものの紫外線透過による光劣化を防ぐ
方法として、ベンゾトリアゾール類やヒドロキシベンゾ
フェノン類などの低分子の紫外線吸収剤を練り込んだ
り、これらの低分子の紫外線吸収剤をアクリル樹脂やウ
レタン樹脂などのバインダーと併用し目的とする基材に
塗布して皮膜化する方法が試みられている。このよう
な、低分子の紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メ
チルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジブチルフェニル)
−5−クロロベンゾトリアゾール等の2−ヒドロキシフ
ェニルベンゾトリアゾール類や、2,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4,4’,−テトラヒドロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ
ベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類が
広く用いられている。
【0003】しかしながら、従来の低分子の紫外線吸収
剤では、フィルム製品等に練り込む際に安定性や分散性
に問題があり、紫外線吸収性皮膜を形成させる場合には
効果の持続性が問題になったり、耐水性が悪く皮膜が剥
離したり紫外線吸収剤が流出するなどの問題があった。
また、従来の低分子の紫外線吸収剤は油溶性であり紫外
線吸収性皮膜を形成させる場合には、併用するバインダ
ーは溶剤系であることが必要なため、作業環境が悪く、
また、水系製品との併用ができないなどの問題があっ
た。
【0004】このような問題に対し、油溶性の紫外線吸
収剤を乳化剤を用いて水中に後乳化したエマルジョンあ
るいはサスペンジョンや、反応性乳化剤やその他の低分
子乳化剤の存在下で紫外線吸収性単量体とエチレン性不
飽和単量体を乳化共重合した高分子型エマルジョンが検
討されている(特開平6ー73368号等)。しかしな
がら、フィルム製品等に練り込む際に安定性や分散性が
不十分であることから紫外線吸収能が低下し、また、紫
外線吸収能の持続性(耐久性)に問題がある。一方、紫
外線吸収性皮膜を形成させる場合にも、効果の持続性が
十分とはいえない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術における欠点を克服し、耐久性、紫外線吸収
性、透明性等に優れ、しかも、水性製品との併用が可能
な水性エマルジョン型高分子紫外線吸収剤を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術における問題点を解決すべく鋭意検討した結果、分
散剤がポリビニルアルコール系重合体であり、分散質が
紫外線吸収性単量体とエチレン性不飽和単量体あるいは
ジエン系単量体との共重合体であり、分散質100重量
部当たりのポリビニルアルコール系重合体の使用量が3
0〜200重量部である水性エマルジョンからなる紫外
線吸収剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の分散質を構成する共重合体の原料である紫外線
吸収性単量体としては、紫外線吸収性を示す単量体であ
ればいずれも使用しうるが、好ましくは2−ヒドロキシ
ベンゾトリアゾール誘導体または2−ヒドロキシベンゾ
フェノン誘導体がビニル化合物の主鎖に側鎖として結合
したものが挙げられる。また、ビニル化合物の主鎖に側
鎖として結合するものとしては、2−ヒドロキシベンゾ
トリアゾール誘導体と2−ヒドロキシベンゾフェノン誘
導体とを併用することもできる。このように、紫外線吸
収特性の異なる2種以上の紫外線吸収性単量体を併用す
ることにより、紫外線吸収効果をいっそう改良すること
もできる。
【0008】2−ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体
がビニル化合物の主鎖に側鎖として結合した単量体の具
体例としては、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(メタ
クリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2
−[2’−ヒドロキシ−5’−(アクリロイルオキシ)
フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキ
シ−3’−t−ブチル−5’−(メタクリロイルオキ
シ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒド
ロキシ−3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシ)
フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキ
シ−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニ
ル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒ
ドロキシ−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェ
ニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−
5’−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾ
トリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−t−ブ
チル−5’−(メタクリロイルオキシエチル)フェニ
ル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−
3’−メチル−5’−(アクリロイルオキシエチル)フ
ェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ
ル−5’−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニ
ル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒ
ドロキシ−5’−(アクリロイルオキシブチル)フェニ
ル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキ
シ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキ
シカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール等
が挙げられる。
【0009】2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体がビ
ニル化合物の主鎖に側鎖として結合した単量体の具体例
としては、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アク
リロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−
アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノンなどが挙
げられる。
【0010】本発明の分散質を構成する共重合体の原料
であるエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プ
ロピレン、イソブテン等のオレフィン類、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等の
ハロゲン化オレフィン類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ピバリン酸
ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸、アクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、
アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アク
リル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸
オクタデシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル
酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタク
リル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、
メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等の
メタクリル酸エステル類、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸およびそのナトリウム塩のアクリルアミ
ド系単量体類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等のニトリル類、酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化
合物、スチレン、α−メチルスチレン、P−メチルスチ
レンスルホン酸およびそのナトリウム、カリウム塩等の
スチレン系単量体類、その他N−ビニルピロリドン等が
挙げられる。ジエン系単量体としては、ブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン等が挙げられる。紫外線吸収性
単量体と共重合する単量体としては、上記の一種あるい
は二種以上が組み合わせて使用される。
【0011】本発明の水性エマルジョン型紫外線吸収剤
の分散質は、上記の(a)紫外線吸収性単量体と(b)
エチレン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体との共
重合体である。(a)紫外線吸収性単量体と(b)それ
と共重合可能な単量体の構成比は、重量比で(a)/
(b)=1/99〜95/5の範囲が好ましく、5/9
5〜80/20がより好ましい。この範囲を越えて紫外
線吸収性単量体の比率が増加すると、水性エマルジョン
の安定性や皮膜特性が不十分となる場合があり、一方、
低下すると紫外線吸収性能の点で要求を満たせなくな
る。
【0012】本発明の水性エマルジョン型紫外線吸収剤
の分散剤としては、ポリビニルアルコール系重合体(以
下、PVAと略記する)が単独あるいは従来公知の各種
界面活性剤や水溶性高分子と併用して使用される。本発
明で用いられるPVA系重合体としては、水性エマルジ
ョンの重合安定性および水性エマルジョン型紫外線吸収
剤の特性等の点で、分子内にメルカプト基を有するもの
が好ましく、末端にメルカプト基を有するものが特に好
ましい。メルカプト基を有するPVA系重合体はPVA
分子の主鎖中にメルカプト基を有する重合体でも充分な
効果を有するが、この場合PVA自体の酸化によりジス
ルフィド結合を形成することにより不溶化する恐れがあ
るので、分子の片末端にのみメルカプト基を有するPV
A系重合体の方が不溶化の心配がなく取り扱い易く、特
に望ましい。このようなPVA分子の片末端にのみメル
カプト基を有するPVA系重合体は、チオール酸の存在
下にビニルエステル類単量体を主体とするビニル系単量
体を重合して得られたビニルエステル系重合体を常法に
よりけん化して得られるが、この製法については以下に
詳述する。
【0013】ここで使用するチオール酸は−COSH基
を有する有機チオール酸を包含する。例えば、チオール
酢酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオール
吉草酸等が挙げられるが、中でもチオール酢酸が分解性
もよく最も好ましい。またビニルエステル類単量体はラ
ジカル重合可能なものであれば使用できる。例えば、ギ
酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン
酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステ
アリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルお
よびバーサティック酸ビニル等が挙げられるが、中でも
本発明に好適なPVA系重合体を得る点から酢酸ビニル
が好ましい。
【0014】また本発明の主旨を損なわない範囲で、ビ
ニルエステルと共重合可能な単量体を共存させ、共重合
することも可能である。例えば、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリ
ル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸
n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブ
チル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデ
シル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル
類、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−
プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−
ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オ
クタデシル等のメタクリル酸エステル類、メチルビニル
エーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピル
ビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチ
ルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシ
ルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニ
ルエーテル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル
等のニトリル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、酢
酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物、フマール酸、
マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル
酸、無水トリメリット酸または無水イタコン酸等のカル
ボキシル基含有化合物およびそのエステル、エチレンス
ルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
のスルホン酸基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン
等のビニルシリル化合物、3−メタクリルアミドプロピ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、3−アクリルア
ミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のカ
チオン性基含有化合物、酢酸イソプロペニル等が挙げら
れる。
【0015】チオール酸の存在下での酢酸ビニルなどの
ビニルエステル類を主体とするビニル系モノマーの重合
は、ラジカル重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重
合法、懸濁重合法、乳化重合法などいずれの方法でも行
うことができるが、メタノールを溶媒とする溶液重合法
が工業的には最も有利である。重合中に存在させるチオ
ール酸の重合系への添加量、添加方法については特に制
限はなく、目的とするポリビニルエステル系重合体の物
性値によって適宜選択される。重合方法としては、回分
式、半連続式、連続式などの公知の方法が採用できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メト
キシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベン
ゾイル、過酸化カーボネートなどの公知のラジカル重合
開始剤が使用できるが、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリルなどのアゾ系開始剤が取り扱いやすく好まし
い。また放射線、電子線なども使用することができる。
重合温度は目的とする変性PVAの物性により決定され
るが、通常10〜90℃の範囲から選ばれる。その時に
使用される開始剤は重合温度に応じて適宜選択される。
所定時間重合した後、未重合のビニルエステル類を通常
の方法で除去することにより、片末端にチオール酸エス
テル基を有するポリビニルエステル系重合体が得られ
る。
【0016】このようにして得られたポリビニルエステ
ル系重合体は、常法によりけん化されるが、通常アルコ
ール系重合体溶液とりわけメタノール溶液中でけん化さ
れるのが好ましい。アルコール系重合体は無水物のみな
らず少量の含水系のものも目的に応じて用いられ、また
酢酸メチル、酢酸エチルなどの有機溶媒を任意に含有さ
せてもよい。けん化温度は通常10〜90℃の範囲から
選ばれる。けん化触媒としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、カリウ
ムメチラートなどのアルカリ性触媒が好ましく、該触媒
の使用量はけん化度の大小および水分量などにより適宜
決められるが、ビニルエステル単位に対し、モル比で
0.001以上、好ましくは0.002以上用いる。ア
ルカリ量が多くなりすぎると残存アルカリをポリマー中
より除去することが困難となり、ポリマーが着色するな
ど好ましくなく、モル比で0.2以下にするのが好まし
い。なお、ポリビニルエステル系重合体中にカルボキシ
ル基やそのエステル基などのアルカリ触媒と反応し、ア
ルカリを消費する成分が含有されている場合、その消費
量分を加えた量のアルカリ触媒を使用する。
【0017】上記のけん化反応により、片末端にチオー
ル酸エステル基を有するポリビニルエステル系重合体の
該片末端のチオール酸エステルと主鎖のビニルエステル
結合がけん化され、ポリマーの片末端はメルカプト基
に、主鎖はビニルアルコール系重合体になるが、主鎖の
ビニルエステル単位のけん化度は使用目的に応じて適宜
選択される。けん化反応後析出した重合体は、例えばメ
タノールなどで洗浄するなどの公知の方法で精製し、残
存アルカリ、酢酸のアルカリ金属塩などの不純物を除去
して乾燥することにより通常白色粉末として得ることが
できる。以上、本発明で使用される片末端にメルカプト
基を有するPVA系重合体の製造方法について述べた
が、このPVA系重合体の粘度平均重合度(以下、重合
度と略記する)は50〜8000であることが必要であ
り、100〜6000が好ましく、100〜5000が
より好ましい。PVA系重合体の重合度は、JIS−K
6726に準じ、再けん化後精製した該重合体につい
て、水中、30℃で測定した極限粘度[η]から次式に
より求めた粘度平均重合度(P)で表したものである。 P=([η]×103 /8.29)(1/0.62) 重合度が50未満の場合には、PVA系重合体の製造上
に問題がある。重合度が8000より大の場合には、メ
ルカプト基の含有効率が低下する。
【0018】上記のような方法で得られるPVA系重合
体を分散剤として用いて、紫外線吸収性単量体とエチレ
ン性不飽和単量体あるいはジエン系単量体の乳化共重合
を実施するにあたっては、水、分散剤および重合開始剤
の存在下に上記の単量体を一時または連続的に添加し
て、加熱、撹拌するような通常の乳化重合法がいずれも
実施し得るし、また単量体を予め分散剤水溶液と混合乳
化したものを連続的に添加する方法も実施し得る。
【0019】本発明の分散剤であるPVA系重合体の使
用量としては、PVA系重合体の重合度、けん化度、要
求されるエマルジョンの樹脂濃度によって多少異なる
が、通常分散質(単量体)100重量部当たり、30〜
200重量部、好ましくは50重量部より大で150重
量以下、より好ましくは55〜100重量部である。P
VA系重合体の使用量が分散質(単量体)100重量部
当たり、30重量部より少ない場合には、フィルムに練
り込む際の安定性、すなわち、水性エマルジョンの機械
的安定性や熱安定性が低下する。一方、PVA系重合体
の使用量が200重量部を超える場合には、水性エマル
ジョン型紫外線吸収剤皮膜の耐水性等が低下する。
【0020】本発明の水性エマルジョン型紫外線吸収剤
の分散剤は、メルカプト基を有するPVA系重合体の他
に従来公知のアニオン性、ノニオン性、カチオン性の界
面活性剤や水溶性高分子化合物を使用することができ
る。これらのメルカプト基を有するPVA系重合体以外
の分散剤の使用量は特に制限はないが、本発明の効果を
損なわない範囲で適宜使用される。
【0021】重合開始剤としては、特に制限はなく従来
公知の重合開始剤が使用できる。また、メルカプト基を
有するPVA系重合体のメルカプト基と臭素酸カリウ
ム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水
素、クメンハイドロパーオキサイドなどの水溶性酸化剤
によるレドックス系も可能であり、この中でも臭素酸カ
リウムは、通常の重合条件下では単独ではラジカルを発
生せず、PVA系重合体の片末端のメルカプト基とのレ
ドックス反応によってのみ分解し、ラジカルを発生する
ことから、PVA系重合体とブロック共重合体を有効に
生成し、その結果エマルジョンの安定化効果を大ならし
めるので特に好ましい。また、重合開始時に臭素酸カリ
ウムを用いた後、他の酸化剤を追加添加するといった方
法も可能である。
【0022】本発明におけるメルカプト基を有するPV
A系重合体からなる分散剤を用いて乳化共重合を行うに
際し、重合系が酸性であることが好ましい。これは、ラ
ジカル重合において極めて活性な反応性を示すメルカプ
ト基が、塩基性下においては、単量体の二重結合へイオ
ン的に付加し、消失する速度が大きく、そのため重合効
率が著しく低下するためであり、不飽和単量体の種類に
もよるが、すべての操作をpH6以下、好ましくはpH
5以下で実施することが好ましい。また、本発明におい
ては、メルカプト基を有するPVA系重合体からなる分
散剤の乳化重合系への添加方法は特に制限はなく、初期
に一括で添加する方法、該PVAを分割して添加する方
法や連続的に添加する方法等が挙げられる。上記の乳化
共重合によって得られたエマルジョン粒子の平均粒径
は、使用方法により適宜選択されるが、0.03〜2μ
mが好ましい。
【0023】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。なお、実施例中「部」および「%」は、特にこ
とわらない限り「重量部」および「重量%」をそれぞれ
意味する。
【0024】実施例1 還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素吹込口、撹拌機
を備えたガラス製容器に、片末端にメルカプト基を有す
るPVA(PVA−1:重合度550、鹸化度99.0
mol%)55部、アニオン性界面活性剤(三井サイテ
ック製、Aerosol OT−75)5部、イオン交
換水300部を仕込み加熱溶解し、希硫酸でpH4.0
に調節した。次いで150rpmで撹拌しながらスチレ
ン85部、紫外線吸収性単量体(大塚化学製、RUVA
−93、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオ
キシエチルフェニル)−2−ベンゾトリアゾール)15
部を仕込み、窒素置換を充分に行った後、70℃に昇温
した。その後、2%過硫酸カリウム水溶液10gを添加
して重合を開始した。5時間後、固形分濃度33.2
%、平均粒子径85nmの水性エマルジョン型紫外線吸
収剤が得られた。これを用いて以下の方法で、紫外線吸
収剤としての性能を評価した。水性エマルジョンの分散
質および分散剤を表1に、水性エマルジョンの固形分濃
度および紫外線吸収剤の評価結果を表2に示す。
【0025】(エマルジョン型紫外線吸収剤練り込みP
VAフィルムの作成)PVA(クラレ製PVA−EC)
の10%水溶液100部に上記水性エマルジョン型紫外
線吸収剤を20%に希釈したものを10部添加し、60
℃で充分撹拌した後、60℃で静置脱泡し、ガラス板上
に乾燥後の厚みが30μとなるように流延し、20℃、
65%RH下、2週間かけてキャスト製膜した。
【0026】(エマルジョン型紫外線吸収剤の練り込み
安定性の評価)PVA(クラレ製PVA−EC)の10
%水溶液100部に上記水性エマルジョン型紫外線吸収
剤を20%に希釈したものを10部添加し、アルミナセ
ラミックビーズを入れたサンドミルを用いて2000r
pmで10分間機械的撹拌を行った。撹拌前後の粒子径
の変化を測定した。
【0027】(エマルジョン型紫外線吸収剤塗布PVA
フィルムの作成)PVA(クラレ製PVA−EC)の1
0%水溶液をガラス板上に乾燥後の厚みが40μとなる
ように流延し、20℃、65%RH下、2週間かけてキ
ャスト製膜した。このフィルムに水性エマルジョン型紫
外線吸収剤10%およびPVA(クラレ製PVA−E
C)10%の水溶液を20μmのアプリケーターで塗布
し、20℃、65%RH下で3日間乾燥させた。
【0028】(エマルジョン型紫外線吸収剤の塗布安定
性)上記方法で作成したエマルジョン型紫外線吸収剤塗
布PVAフィルムの膜面を観察した。
【0029】(紫外線吸収性能の評価)上記方法で作成
したエマルジョン型紫外線吸収剤練り込んだもの、およ
び、塗布PVAフィルムの340nmの波長の透過率
(T%)を分光光度計にて測定した。
【0030】実施例2〜7、比較例1〜4 実施例1において、単量体組成、分散剤組成を表1のよ
うに変える以外は実施例1と同様にして水性エマルジョ
ン型紫外線吸収剤を得た。これらを用いて実施例1と同
様に評価した。水性エマルジョンの分散質および分散剤
を表1に、水性エマルジョンの固形分濃度および平均粒
子径ならびに紫外線吸収剤としての評価結果を表2に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】RUVA-93 : 2 −(2'-ヒドロキシ−5'- メタ
クリルオキシエチルフェニル) −2-ベンゾトリアゾール St : スチレン MMA : メタクリル酸メチル n-BA : アクリル酸n-ブチル Aerosol OT-75 : アニオン性界面活性剤(三井サイテッ
ク製) サンデットBL : アニオン性界面活性剤(三洋化成製) ノニポール200 : ノニオン性界面活性剤(三洋化成製) PVA-1 : 重合度 550, 鹸化度 99.0mol% ,片末端メル
カプト基変性 PVA-2 : 重合度 550, 鹸化度88.2mol%,片末端メルカ
プト基変性 PVA-3 : 重合度 1500 , 鹸化度 97.0mol% ,片末端メ
ルカプト基変性 PVA-4 : 重合度 300, 鹸化度88.0mol%,片末端メルカ
プト基変性
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】本発明の水性エマルジョン型高分子紫外
線吸収剤は、フィルム製品、プラスチック製品、ガラス
製品、包装材製品、塗装製品、あるいは繊維製品に含有
あるいは塗布せしめた場合に、高い安定性を有すると共
に、これらの内部および表面に紫外線吸収層を形成し、
これら製品の光劣化を防いだり、これら製品を透過する
紫外線を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 3/00 104 C09K 3/00 104C

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散剤がポリビニルアルコール系重合体
    であり、分散質が紫外線吸収性単量体とエチレン性不飽
    和単量体あるいはジエン系単量体との共重合体であり、
    分散質100重量部当たりのポリビニルアルコール系重
    合体の使用量が30〜200重量部である水性エマルジ
    ョンからなる紫外線吸収剤。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系重合体がメルカ
    プト基を有するポリビニルアルコール系重合体である請
    求項1記載の紫外線吸収剤。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系重合体が末端に
    メルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合体で
    ある請求項1記載の紫外線吸収剤。
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