JP2003171567A - 水性エマルジョン - Google Patents

水性エマルジョン

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JP2003171567A
JP2003171567A JP2001374761A JP2001374761A JP2003171567A JP 2003171567 A JP2003171567 A JP 2003171567A JP 2001374761 A JP2001374761 A JP 2001374761A JP 2001374761 A JP2001374761 A JP 2001374761A JP 2003171567 A JP2003171567 A JP 2003171567A
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emulsion
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film
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Yoshiki Kobi
良樹 向尾
Atsushi Naohara
敦 直原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合安定性、機械的安定性、凍結融解安定
性、顔料や無機充填剤などを混和した際等の分散安定性
および塗膜の透明性に優れた水性エマルジョンを提供す
る。 【解決手段】 (A)分子末端にメルカプト基を有する
ポリビニルアルコール系重合体、(B)界面活性剤およ
び(C)エチレン性不飽和単量体単位を主体とする、平
均粒子径0.3μm以下の重合体を含有することを特徴
とする水性エマルジョン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性エマルジョン
に関し、より詳しくは重合安定性、機械的安定性、凍結
融解安定性、顔料や無機充填剤などを混和する際などに
おける分散安定性および塗膜の透明性などに優れた水性
エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ラジカル重合可能なエチレン性不
飽和単量体を主体とする単量体を乳化重合する際、分散
安定剤として界面活性剤が単独で使用されてきた(ジャ
ーナルオブ アメリカン ケミカル ソサイアティ(J.
Am. Chem. Soc.)69巻 1428頁(1947年)等参照)。し
かしながら、このような方法で製造される水性エマルジ
ョンは、塗料、接着剤、紙加工材などの広範な用途にお
いて有用であるものの、界面活性剤を多量に使用するこ
とに起因する多くの問題点を有していた。これらの問題
点としては、例えば、(a)水性エマルジョンの放置安
定性、機械的安定性、凍結融解安定性、顔料や無機充填
剤などを混和する際の分散安定性等が不十分であるこ
と、(b)水性エマルジョンの粘度が低いため、接着剤
などの用途に供する場合には、何らかの方法で増粘する
必要があり、調製操作が煩雑であること、(c)水性エ
マルジョンのせん断速度の増加に対するみかけ粘度の変
化が大きく、高速塗工性が十分とはいえないこと、また
は(d)水性エマルジョンに含有されていた界面活性剤
が、塗膜などとした時に表面へ移行して接着阻害が粘接
着剤用途においてトラブルとなることが多いこと、など
を挙げることができる。
【0003】以上のように分散安定剤として界面活性剤
のみを用いる従来の乳化重合法の問題点に対し、これま
でも(1)反応性(共重合性)乳化剤を用いる方法(ジ
ャーナル ポリマー サイエンス ケミカル エディシ
ョン(J. Polymer Sci., Chem. Ed.)14巻 2089頁(197
6年)等参照)、(2)ソープフリー重合を行う方法
(ジャーナル ポリマー サイエンス ケミカル エデ
ィション(J. Polymer Sci., Chem. Ed.)14巻 2193頁
(1977年)等参照)、(3)水溶性高分子を乳化安定剤
として用いる方法(特開昭57−39241号公報等参
照)、など種々の工夫が提案されている。しかしなが
ら、上記(1)の場合は、粒子表面に乳化剤が化学的に
結びつき、安定性が向上したり、乳化剤の樹脂表面への
移行の問題がなくなるなどの効果が見られるものの、重
合させる単量体との反応性とも関連して、必ずしもすべ
てのエマルジョンに適用できるわけではなく、また適用
できる場合でも粘度の高いエマルジョンが得られないた
めエマルジョンを得た後さらに増粘などの操作を必要と
する場合がある。また、上記(2)の場合は、不飽和カ
ルボン酸やその塩、不飽和スルホン酸塩などの極性を有
する不飽和単量体を共重合したり、イオン性の開始剤切
片を与える過硫酸塩などを開始剤として用い、その極性
基でエマルジョンの安定化を図ろうとするものであり、
これより乳化剤の樹脂表面への移行の問題や乳化剤の存
在によるエマルジョンを用いて得た被膜の耐水性低下の
問題に対しては有効となる場合がある。しかしながら、
この方法により得られたエマルジョンの場合には安定
性、特に機械的安定性、凍結融解安定性などが一般に低
下する場合があり、また得られたエマルジョンの粘度も
上記(1)と同様に低いため、エマルジョンを得た後さ
らに増粘などの操作を必要とする場合がある。
【0004】一方、上記(3)の場合、酢酸ビニル系単
量体や塩化ビニル系単量体などの乳化重合において、水
溶性高分子化合物であるポリビニルアルコール(以下、
ポリビニルアルコールをPVAと略記することがある)
を分散安定剤として用いて得られたエマルジョンは、機
械的安定性、凍結融解安定性、顔料や無機充填剤などを
混和する際などにおける分散安定性に優れ、重合処方に
より所望の粘度のエマルジョンを得ることができるため
後で増粘する必要がなく、また表面への移行もPVAは
低分子界面活性剤に比べて小さいという特徴がある。そ
して、水溶性高分子化合物のなかでもPVAは、比較的
少ない使用量で上述の特徴を有するエマルジョンを与え
ることができる分散安定剤であるといえる。
【0005】しかしながら、PVAを分散安定剤として
用いる場合、PVAのグラフト反応がエマルジョンの安
定性に関係していると考えられており、適用できる単量
体はもっぱらラジカル反応性が大きい酢酸ビニルや塩化
ビニルに通常限られている。そしてラジカル反応性が小
さいスチレン系単量体、ブタジエンなどのジエン系単量
体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体などに対して
は、界面活性剤を主体としさらにPVAを併用する系が
採用され比較的安定なエマルジョンが得られるが、この
場合でもPVAのグラフト反応は起こりにくいため、P
VAは単にエマルジョン中の重合体粒子に物理的に吸着
している場合が多く、機械的安定性、凍結融解安定性、
顔料や無機充填剤などを混和する際等の分散安定性が十
分とはいいがたい状況であった。
【0006】以上のような理由から、スチレン系単量
体、ジエン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単
量体などに対してPVAを分散安定剤に用いて、化学的
吸着(例えばグラフト反応)によって安定化する方法が
考えられている。この点に関して、特公平3−2448
1号公報には、分散安定剤としてメルカプト基を有する
ポリビニルアルコール系重合体を用い、メルカプト基を
グラフトサイトとして、スチレン、ブタジエン、n−ブ
チルアクリレートなどからなる重合体粒子に化学的に吸
着させることにより安定化する方法が提案されている。
この方法は化学的にPVAがエマルジョン中の重合体粒
子に吸着されている割合が多いことから機械的安定性、
凍結融解安定性、顔料や無機充填剤などを混和する際等
の分散安定性を得ることが可能であり、重合処方により
所望の粘度を有するエマルジョンが得られ、また塗膜な
どとした後に樹脂表面への移行も少ないという特徴を有
している。しかしながら、この方法で得られるエマルジ
ョンの場合においては、分散安定剤としてメルカプト基
を有するポリビニルアルコール系重合体のみを使用する
ことにより該エマルジョンを構成する分散質の粒子径が
大きくなるため、紙のコーティング用バインダーや塗料
など水溶性高分子を添加混合した組成物を使用する用途
によっては、透明性や平滑性等に問題となる場合がある
ことが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかして本発明の目的
は、上記従来の技術における問題点を解消し、重合安定
性、機械的安定性、凍結融解安定性、顔料や無機充填剤
などを混和した際の分散安定性および皮膜の透明性など
の特性に優れた水性エマルジョンを提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、分子末端にメルカプ
ト基を有するポリビニルアルコール系重合体と共に界面
活性剤を分散安定剤として用いることで、メルカプト基
を有するポリビニルアルコール系重合体を分散質である
重合体の粒子に化学的に吸着させ、かつ該重合体の小粒
子径化を達成し、この水性エマルジョンが目的に適うも
のであることを見出した。本発明はかかる知見に基づい
て完成したものである。すなわち、本発明は、 1) (A)分子末端にメルカプト基を有するポリ
ビニルアルコール系重合体、(B)界面活性剤および
(C)エチレン性不飽和単量体単位を主体とする、粒子
径0.3μm以下の重合体を含有することを特徴とする
水性エマルジョンである。また、本発明は、 2) 該重合体(C)が、アクリル酸エステル系重
合体および/またはメタクリル酸エステル系重合体であ
ることを特徴とする上記1)に記載の水性エマルジョン
である。さらに、本発明は、 3) (A)分子末端にメルカプト基を有するポリ
ビニルアルコール系重合体と(B)界面活性剤との含有
割合(A:B)が、質量比で60:40〜99:1の範
囲であることを特徴とする上記1)または2)記載の水
性エマルジョンである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳し
く説明する。本発明の水性エマルジョンは、(A)分子
末端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重
合体、(B)界面活性剤および(C)エチレン性不飽和
単量体単位を主体とする、粒子径0.3μm以下の重合
体を含有することを特徴とし、分散安定剤として分子末
端にメルカプト基を有するポリビニルアルコール系重合
体(A)および界面活性剤(B)を、また分散質として
エチレン性不飽和単量体単位を主体とする重合体であっ
て、粒子径が0.3μm以下である重合体(C)をそれ
ぞれ含有し、分散媒として水を主体とするエマルジョン
である。
【0010】本発明の水性エマルジョンに含有される第
一の分散安定剤は、分子末端にメルカプト基を有するP
VA系重合体(A)である。該PVA系重合体は、分子
の主鎖中にメルカプト基を有する重合体でも分子末端に
メルカプト基を有するものであれば本発明の効果を有す
るが、この場合PVA系重合体自体の酸化によりジスル
フィド結合を形成して不溶化する恐れがあるので、分子
の末端、特に片末端にのみメルカプト基が結合したもの
が、不溶化の心配がなく取扱い上便利である。このよう
な分子の片末端にのみメルカプト基を有するPVA系重
合体は、様々な方法により製造することができるが、例
えば、チオール酸およびラジカル重合開始剤の存在下に
ビニルエステル類を主体とするビニルモノマーを添加・
重合して得たポリビニルエステル系重合体を常法により
けん化することによって得ることができる。この製造方
法において使用するチオール酸としては、特に制限はな
く、−COSH基を有する有機チオール酸をも包含す
る。該有機チオール酸の具体例としては、チオール酢
酸、チオールプロピオン酸、チオール酪酸、チオール吉
草酸等が挙げられるが、なかでもチオール酢酸が分解性
もよく好ましく用いられる。
【0011】また、ビニルエステル類としては、ラジカ
ル重合可能なビニルエステルであれば特に限定されず、
各種のものが使用できる。該ビニルエステル類の具体例
としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、バーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステ
アリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリル酸ビニ
ル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる
が、なかでも酢酸ビニルが重合性がよく好ましく用いら
れる。ビニルエステル類は単独でまたはこれらの混合物
として使用することもできるが、さらに共重合可能な他
のモノマーを共存させて共重合することもできる。共重
合可能な他のモノマーとしては、特に制限されず、例え
ば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸又はその塩
あるいはこれらのアルキルエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリル
アミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメ
チルプロピル)−アンモニウムクロリド、エチルビニル
エーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリド
ン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニ
リデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、
ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリ
ウム等が挙げられる。
【0012】チオール酸およびラジカル重合開始剤の存
在下、酢酸ビニル等のビニルエステル類を主体とするビ
ニルモノマーの上記重合は、塊状重合法、溶液重合法、
パール重合法、乳化重合法等いずれの方法でも行なうこ
とができるが、メタノールを溶媒とする溶液重合法を採
用することが工業的には有利である。重合中に存在させ
るチオール酸の重合系への添加量、添加方法には特に制
限はなく、目的とするポリビニルエステル系重合体の物
性値によって適宜決定することができる。また重合方式
としては、特に限定されず、例えば、回分式、半連続
式、連続式等公知の方法を採用することができる。
【0013】使用するラジカル重合開始剤としては、特
に制限はなく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化カーボネート等公
知のラジカル重合開始剤が使用できるが、2,2’−ア
ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤が取扱い易
く好ましい。また放射線、電子線等も使用することがで
きる。重合する際の温度は使用する開始剤の種類などに
より適切な温度を採用することが望ましいが、通常30
〜90℃の範囲から選ばれる。このようにして、所定時
間重合した後、未重合のビニルエステル類を通常の方法
で除去することにより、末端にチオール酸エステル基を
有するポリビニルエステル系重合体を得ることができ
る。
【0014】得られたポリビニルエステル系重合体は常
法によりけん化されるが、通常重合体をアルコール溶
液、とりわけメタノール溶液とするのが有利である。ア
ルコールは無水物のみならず少量の水を含むものも目的
に応じて用いられ、また酢酸メチル,酢酸エチル等の有
機溶媒を含有したものを用いてもよい。けん化する温度
は通常10〜70℃の範囲から選ばれる。また使用する
けん化触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート等のア
ルカリ性触媒が好ましく、該触媒の使用量はけん化度の
大小および水分量等により適宜決められるが、ビニルエ
ステル単位に対しモル比で通常0.001以上、好まし
くは0.002以上用いることが望ましい。
【0015】一方、アルカリの量が多くなりすぎると残
存アルカリを重合体中より除去することが困難となり、
重合体が着色する等好ましくない現象が起きる場合があ
るので、モル比で0.2以下にすることが望ましい。な
おポリビニルエステル系重合体中にカルボキシル基やそ
のエステル基等、アルカリ触媒と反応しアルカリを消費
する成分などが含有されている場合、その分量を加えた
量のアルカリ触媒を使用することが望ましい。このけん
化反応により、末端にチオール酸エステル基を有するポ
リビニルエステル系重合体における末端のチオール酸エ
ステルと主鎖のビニルエステル結合がけん化され、ポリ
マー末端はメルカプト基に、主鎖はビニルアルコールに
なるが、主鎖のビニルエステル単位のけん化度は使用目
的に応じて80〜95モル%の範囲で適宜選定すればよ
い。けん化反応後、析出した重合体は、例えばメタノー
ルで洗浄する等公知の方法で精製して、残存アルカリ、
酢酸のアルカリ金属塩等の不純物を除去し乾燥すること
により通常白色粉末として得ることができる。
【0016】本発明で使用される分子末端にメルカプト
基を有するPVA系重合体は、例えば上記のようにして
製造されるが、本発明に用いられるPVA系重合体の重
合度は通常200〜700の範囲で選定される。重合度
が200未満のものでは、エマルジョンの機械的安定性
が低下する傾向があり、一方700を超えるものでは、
重合安定性が低下して凝固物が増加する傾向にあるため
である。なお、このPVA系重合体の重合度は、該PV
A系重合体の30℃における水中での極限粘度数〔η〕
から、次式(1)により求めた粘度平均重合度(P)で
ある。
【0017】
【数1】 P=(〔η〕×103/7.51)(1/0.64) (1)
【0018】また、本発明に用いる分子末端にメルカプ
ト基を有するPVA系重合体としては、けん化度が通常
80〜95モル%のものである。けん化度が80モル%
未満の場合、または95モル%を超える場合には、いず
れも重合安定性が低下して凝固物が増加する傾向にあ
る。
【0019】また、本発明の水性エマルジョンに含有さ
れる第二の分散安定剤としては、界面活性剤が用いられ
る。該界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、ア
ニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン
性界面活性剤、両性界面活性剤、および界面活性を有す
る高分子化合物(高分子界面活性剤)が使用できる。該
アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルナフタ
レンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アル
キルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ナフタレンスル
ホン酸−ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられ、カ
チオン性界面活性剤としては、例えばアルキルアミン
塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジス
テアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの第四級
アンモニウム塩等が挙げられる。また、ノニオン性界面
活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンアルキルアミンなどが挙げられ、両性界面活性剤とし
ては、例えばアルキルベタイン、アミンオキシド、イミ
ダゾリウムベタインなどが挙げられる。高分子界面活性
剤としては、基本的には、分子中に親水基と疎水基を有
するものであればよく、例えば、各種カルボン酸型高分
子界面活性剤、オキシエチレン−オキシプロピレンブロ
ックポリマー(プルロニック型界面活性剤)、前記ポリ
ビニルアルコール系重合体(A)を除くポリビニルアル
コール系重合体、ヒドロキシエチルセルロースなどのセ
ルロース誘導体などが挙げられる。これらのうち、ジア
ルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテル
スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫
酸エステル塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロラ
イド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル、前記ポリビニル
アルコール系重合体(A)を除くポリビニルアルコール
系重合体、ヒドロキシエチルセルロース等が好ましく用
いられる。
【0020】本発明の水性エマルジョンにおける分散質
としては、エチレン性不飽和単量体単位を主体とする重
合体(C)からなり、平均粒子径が0.3μm以下の微
小粒子を含有する。このような単独重合体または共重合
体を構成するエチレン性不飽和単量体としては、特に限
定されず、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン
等のオレフィン類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビ
ニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン
類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バ
ーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、
α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸またはそ
のナトリウム塩、カリウム塩等のスチレン系単量体;ア
クリル酸メチル、アクリル酸エチルなどのアクリル酸エ
ステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルな
どのメタクリル酸エステル類;N−ビニルピロリドン等
が挙げられる。エチレン性不飽和単量体としては、これ
らを単独で用いることもできるし、これらの混合物で用
いることもできるが、これらと共重合可能な他の単量体
を少量成分(例えば0〜40質量%)として含有する混
合物として用いることもできる。共重合可能な他の単量
体としては、特に制限されないが、例えばブタジエン、
イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体などを
挙げることができる。
【0021】本発明の水性エマルジョンでは、分散質成
分(C)として含有される重合体粒子がアクリル酸エス
テル系重合体および/またはメタクリル酸エステル系重
合体からなる粒子であることが、耐候性、透明性および
柔軟性等の観点から好ましい。上記アクリル酸エステル
系重合体、メタクリル酸エステル系重合体またはこれら
の混合物を構成する単量体としては、特に制限されない
が、例えば炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリ
ル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アル
キルエステルであることが好ましく、これに共重合可能
な他単量体を少量成分(例えば0〜40質量%)として
含有したものであってもよい。該単量体の具体例として
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アク
リル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級
化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸お
よびそのナトリウム塩などが挙げられる。アクリル酸エ
ステル系重合体および/またはメタクリル酸エステル系
重合体を構成する単量体としては、炭素数1〜8のアル
キル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1
〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステ
ルあるいはこれらの混合物がより好ましい。
【0022】本発明の水性エマルジョンは、上述の如
く、分散安定剤成分としての(A)分子末端にメルカプ
ト基を有するポリビニルアルコール系重合体および
(B)界面活性剤と、分散質成分としての(C)エチレ
ン性不飽和単量体を主体とする、粒子径が0.3μm以
下の重合体とを少なくとも含有する水性エマルジョンで
あるが、重合時の安定性、得られるエマルジョンの機械
的安定性や化学的安定性等の観点から、該分散安定剤成
分の使用量は、分散質成分100質量部に対して1〜2
0質量部、好ましくは2〜10質量部の範囲で選定する
ことが好ましい。また、該分散安定剤成分における
(A)末端にメルカプト基を有するPVA系重合体と
(B)界面活性剤の含有割合については、分散質成分の
小粒子化、得られる塗膜のひび割れ性能や耐候性などの
観点から、成分(A)が主体となっていることが望まし
く、その質量比(成分(A):成分(B))が60:4
0〜99:1であることが好ましく、70:30〜9
9:1であることがより好ましく、70:30〜95:
5の範囲にあることがさらに好ましい。
【0023】本発明の水性エマルジョンを調製する方法
としては、特に制限されず種々の方法で調製することが
でき、例えば、(1)水、上記分子末端にメルカプト基
を有するPVA系重合体および界面活性剤からなる分散
安定剤および重合開始剤が混合された水系に、上記エチ
レン性不飽和単量体を主体とする単量体を、一時にまた
は連続的に添加して、加熱、攪拌下に乳化重合する方
法、(2)上記エチレン性不飽和単量体を主体とする単
量体を予め分散安定剤成分を含有した水溶液と混合・乳
化した後、これを重合開始剤が含有されている水溶液を
充填した重合系内に分割添加または連続的に添加して乳
化重合する方法、(3)アルコール・水混合溶媒などの
非水系溶媒中での分散重合による方法などを採用するこ
とができる。この際に用いる重合開始剤としては、特に
制限されず各種のものが使用できるが、例えばPVA系
重合体末端のメルカプト基と、臭素酸カリウム,過硫酸
カリウム,過硫酸アンモニウム,過酸化水素等の水溶性
酸化剤とからなるレドックス系重合開始剤も使用可能で
ある。この中でも過酸化水素は、通常の重合条件下では
単独ではラジカルを発生せず、PVA系重合体末端のメ
ルカプト基とのレドックス反応によってのみ分解し、ラ
ジカルを発生することから、PVA系重合体とのブロッ
ク共重合体を有効に生成し、これにより安定化効果を大
ならしめるので特に好ましい開始剤である。また重合開
始時に過酸化水素水を用いたのち、他の酸化剤を追加添
加するというように酸化剤の併用も可能である。
【0024】本発明の水性エマルジョンを製造する上
で、分子末端にメルカプト基を有するPVA系重合体お
よび界面活性剤よりなる分散安定剤を用いて乳化重合を
行うに際し、重合系が酸性であることが重要である。こ
れは、ラジカル重合において極めて活性な反応を示すメ
ルカプト基が塩基性下においては、モノマーの二重結合
へイオン的に付加、消失する速度が大きく、重合効率が
著しく低下する場合があるためであり、エチレン性不飽
和単量体の種類にもよるが、全ての重合操作をpH6以
下、好ましくはpH4以下、より好ましくはpH2〜
3.5で実施することが望ましい。得られた水性エマル
ジョンは、用途等により、中和処理して用いることもで
きるし、このまま用いることもできる。例えば、塗料用
途などに使用する場合には、アンモニアなどで中和して
pHが5〜7.5程度の範囲にpH調整することが好ま
しい。
【0025】上記の方法により得られる本発明の水性エ
マルジョン中に含まれる重合体粒子の平均粒子径は、
0.3μm以下であることが必要であり、0.15〜
0.25μmであることがより好ましい。重合体の平均
粒子径が0.3μmを超える場合には、本発明の水性エ
マルジョンを使用して皮膜形成時に乾燥皮膜の透明性が
低下するなどして好ましくない。本発明の水性エマルジ
ョンの分散媒としては、通常イオン交換水、蒸留水など
の水が用いられるが、アルコールなどの水溶性物質を含
んでいてもよい。分散媒の量は、特に限定されないが、
水性エマルジョンの使用形態などにより適宜調整するこ
とができる。また、本発明の水性エマルジョンには、本
発明の所期の効果を損なわない範囲内で使用用途によ
り、結合剤、保水剤などの各種の添加剤を含有していて
も差し支えない。
【0026】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および
「部」はそれぞれ「質量%」および「質量部」である。
【0027】また、実施例中の測定方法および諸物性の
評価方法を以下に示す。 (1)エマルジョンの濃度 エマルジョンを1g程度アルミパンに採取し、90℃で
水分の揮発による質量の減少がなくなるまで乾燥させ、
エマルジョンの濃度を次式により求めた。 エマルジョンの濃度(%)={(Ws−We)/(Wt
−We)}×100 Wt:アルミパンおよび採取したエマルジョンの質量
(g) Ws:乾燥後のアルミパンおよび残った固形分の質量
(g) We:アルミパンの質量(g) (2)エマルジョンおよび塗工液の粘度 エマルジョンまたは塗工液を容器に500g程度採取
し、25℃の恒温槽中でB型粘度計(B8H型:TOKIME
C社製)を用いて粘度を測定した。 (3)エマルジョン中の重合体粒子径 エマルジョンをセル(内寸法:10.5mm×10.5
mm×40.5mm高)中で基準散乱強度値が8000
〜12000の範囲になるような濃度に希釈して、動的
光散乱法粒径測定装置(Photal:OTSUKA ELECTRONICS社
製)を用いて平均粒子径を測定した。
【0028】(4)機械的安定性 マロン式機械的安定性測定装置を用いて、JIS K−
6828に準拠して、試料50g、荷重20kg、10
分間の条件で試験したのち、試験液を80メッシュの金
網でろ過し、金網上の凝固物の量を測定して、次式によ
り凝固率を求め、機械的安定性の指標とした。凝固率の
数値の少ないほうが安定性のよいことを示す。 凝固率(%)=[凝固物質量(乾燥後のもの:g)/
(50×エマルジョンの固形分濃度)]×100 (5)高温放置安定性 エマルジョン50gを密封容器に分けとり、温度60℃
の恒温槽に5日間放置後、3時間放冷し、外観の状態を
観察し、下記のように優、良、可、不可で評価した。 優:外観、粘度の変化のないもの 良:わずかに増粘傾向があるもの 可:流動性はあるが、増粘傾向が大きいもの 不可:凝固物が発生するもの (6)凍結融解安定性 エマルジョン50gを密封容器に分けとり、−15℃の
温度で16時間保持して凍結させたのち、30℃で1時
間融解後、外観の状態を観察し、上記(5)と同様に
優、良、可、不可で評価した。
【0029】(7)フィルムの透過度 分光光度計UV2100(島津製作所製)を用いて、P
ET基材上にインク受理層を設けた記録材の波長500
nmにおける透過率(%)を測定した。 (8)フィルムの光沢度 インクジェットプリンターPM2000C(セイコーエ
プソン(株)社製)を用いて、フィルムにブラック、イ
エロー、マジェンダ、シアンの各インクのベタ部分につ
いて、JIS Z−8714の方法(入射角60度の鏡
面光沢度)に従い、グロスメーター(日本電色工業社
製)で測定し、5回の測定値を平均した。
【0030】参考例1(分子末端にメルカプト基を有す
るPVA系重合体) 市販されている分子片末端にメルカプト基を有するPV
A系重合体である表1に示すPVA−1(PVA M−
205:クラレ社製)を用いると共に、特開昭59−1
87003号公報に記載された方法によって、表1に示
す分子片末端にメルカプト基を有するPVA−2および
PVA−3を合成し用いた。すなわち、PVA−2およ
びPVA−3は、特開昭59−187003号公報に記
載されたと同様の方法で、チオール酢酸の量を変えて重
合し、ポリ酢酸ビニルの濃度および水酸化ナトリウムと
酢酸ビニルとのモル比を変えてけん化することで、表1
に示す重合度、けん化度を有するものを合成した。
【0031】
【表1】
【0032】実施例1(水性エマルジョンの合成:EM
−1) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−1(重合度550、けん化度88モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびNL−450(ノニオン性界面活性剤:第
一工業製薬株式会社製)5.3gを仕込み、希硫酸でp
Hを2.8に調整した。次いで窒素を流し(以下、重合
中は窒素を流し続ける)、70℃に昇温しながら、10
0rpmで1時間攪拌を行った。次にメタクリル酸メチ
ル(以下、MMAと略記することがある)266.3
g、アクリル酸n−ブチル(以下、BAと略記すること
がある)266.33g、ドデシルメルカプタン2.7
gを一括で仕込んだ後、100rpmで20分間攪拌し
た。この後0.6%過酸化水素水溶液347gを2時間
かけて滴下し、重合を行うと共に、重合途中で徐々に2
80rpmまで攪拌回転数を上げていった。3時間で重
合率は99.5%となり、その後冷却した。生成したエ
マルジョンについてそのpHを7.4に調整後、100
メッシュの金網でろ過したが、凝固物は全く認められな
かった。得られたエマルジョンの粒子径は194nm
(0.194μm)、固形分濃度は34.7%、粘度は
117mPa・sec(ミリパスカル・秒)であった。
このエマルジョンの物性について評価した結果を表2に
示す。また、得られたエマルジョンを用いて、下記のよ
うにフィルムを作製し、得られたフィルムの評価を行
い、その測定結果を表3に示す。
【0033】(フィルムの作製・評価)表3に示される
組成になるように、PVA、水性エマルジョンおよび無
機微粒子を含有する固形分濃度17%の水溶液を調製
(固形分濃度8%のPVA水溶液350g、固形分濃度
34.7%の上記エマルジョン34.6g、固形分濃度
20%の無機物混合水溶液1000gおよび水27.1
65gを混合調製:以下の例においては同様に固形分濃
度が17%となるように調製)し、PETフィルム上に
流延して液膜を形成した。この液膜を熱風乾燥機にて1
00℃、3分間乾燥してフィルムを得た。得られたフィ
ルムを用いて評価を行った。
【0034】実施例2(水性エマルジョンの合成:EM
−2) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−1(重合度550、けん化度88モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびNL−450(界面活性剤)13.25g
を仕込み、希硫酸でpHを2.8に調整した。次いで窒
素を流し(以下、重合中は窒素を流し続ける)、70℃
に昇温しながら、100rpmで1時間攪拌を行った。
次にメタクリル酸メチル266.3g、アクリル酸n−
ブチル266.33g、ドデシルメルカプタン2.7g
を一括で仕込んだ後、100rpmで20分間攪拌し
た。この後に0.6%過酸化水素水溶液347gを2時
間かけて滴下し、重合を行うと共に、重合途中で徐々に
280rpmまで攪拌回転数を上げていった。3時間で
重合率は99.9%となり、その後冷却した。生成した
エマルジョンをpH7.1に調整後、100メッシュの
金網でろ過したが、凝固物は全く認められなかった。得
られたエマルジョンの粒子径は215nm(0.215
μm)、固形分濃度は34.8%、粘度は110mPa
・sec(ミリパスカル・秒)であった。このエマルジ
ョンの評価結果を表2に示す。また、得られたエマルジ
ョンを用いて、下記のようにフィルムを作製し、得られ
たフィルムの評価を行い、その測定結果を表3に示す。
【0035】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−2に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィルム
を用いて評価を行った。
【0036】実施例3(水性エマルジョンの合成:EM
−3) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−1(重合度550、けん化度88モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびNL−90(ノニオン性界面活性剤:第一
工業製薬株式会社製)2.7gを仕込み、希硫酸でpH
を2.6に調整した。次いで窒素を流し(以下、重合中
は窒素を流し続ける)、70℃に昇温しながら、100
rpmで1時間攪拌を行った。次にメタクリル酸メチル
213.06g、アクリル酸n−ブチル319.60
g、ドデシルメルカプタン2.7gを仕込んだ後、10
0rpmで20分間攪拌した。この後に0.6%過酸化
水素水溶液347gを2時間かけて滴下し、重合を行う
と共に、重合途中で徐々に280rpmまで攪拌回転数
を上げていった。3時間で重合率は98.9%となり、
その後冷却した。生成したエマルジョンをpH6.2に
調整後、100メッシュの金網でろ過したが、凝固物は
全く認められなかった。得られたエマルジョンの粒子径
は182nm(0.182μm)、固形分濃度は34.
5%、粘度は167mPa・sec(ミリパスカル・
秒)であった。また、得られたエマルジョンを用いて、
下記のようにフィルムを作製し、得られたフィルムの評
価を行い、その測定結果を表3に示す。
【0037】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−3に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィルム
を用いて評価を行った。
【0038】実施例4(水性エマルジョンの合成:EM
−4) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−2(重合度230、けん化度94モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびコータミン24P(カチオン性界面活性
剤:株式会社花王製)5.3gを仕込み、希硫酸でpH
を2.6に調整した。次いで窒素を流し(以下、重合中
は窒素を流し続ける)、70℃に昇温しながら、100
rpmで1時間攪拌を行った。次にスチレン234.4
g、アクリル酸n−ブチル298.3g、ドデシルメル
カプタン2.7gを仕込んだ後、100rpmで20分
間攪拌した。この後に0.6%過酸化水素水溶液347
gを2時間かけて滴下し、重合を行うと共に、重合途中
で徐々に280rpmまで攪拌回転数を上げていった。
3時間で重合率は99.4%となり、その後冷却した。
生成したエマルジョンをpH6.0に調整後、100メ
ッシュの金網でろ過したが、凝固物は全く認められなか
った。得られたエマルジョンの粒子径は246nm
(0.246μm)、固形分濃度は34.7%、粘度は
140mPa・sec(ミリパスカル・秒)であった。
また、得られたエマルジョンを用いて、下記のようにフ
ィルムを作製し、得られたフィルムの評価を行い、その
測定結果を表3に示す。
【0039】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−4に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィルム
を用いて評価を行った。
【0040】比較例1(水性エマルジョンの合成:EM
−5) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−3(重合度350、けん化度84モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびNL−450(界面活性剤)5.3gを仕
込み、希硫酸でpHを2.6に調整した。次いで窒素を
流し(以下、重合中は窒素を流し続ける)、70℃に昇
温しながら、100rpmで1時間攪拌を行った。次に
メタクリル酸メチル234.4g、2−エチルヘキシル
アクリレート(以下、2−EHAと略記することがあ
る)298.3gおよびドデシルメルカプタン2.7g
を仕込んだ後、100rpmで20分間攪拌した。この
後に0.6%過酸化水素水溶液347gを2時間かけて
滴下し、重合を行うと共に、重合途中で徐々に280r
pmまで攪拌回転数を上げていった。3時間で重合率は
98.0%となり、その後冷却した。生成したエマルジ
ョンをpH6.0に調整後、100メッシュの金網でろ
過したが、凝固物は全く認められなかった。得られたエ
マルジョンの粒子径は450nm(0.45μm)、固
形分濃度は34.7%、粘度は433mPa・sec
(ミリパスカル・秒)であった。また、得られたエマル
ジョンを用いて、下記のようにフィルムを作製し、得ら
れたフィルムの評価を行い、その測定結果を表3に示
す。
【0041】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−5に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィルム
を用いて評価を行った。
【0042】比較例2(水性エマルジョンの合成:EM
−6) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた1リットルガラス製重合容器に、窒素置換後、上記
参考例で得られたPVA−1(重合度500,けん化度
88モル%)の5.7%水溶液 189.5gを仕込
み、希硫酸でpHを3.0に調整した(以後、重合中は
窒素を流し続ける)。次いで140rpmで攪拌しなが
ら、メタクリル酸メチル48g、アクリル酸n−ブチル
48gおよびドデシルメルカプタン0.48gを仕込み
60℃に昇温した後、2.0%臭素酸カリウム10gを
添加し、重合を開始した。1時間で重合率85%となっ
たところで、メタクリル酸メチル72g、アクリル酸n
−ブチル72gおよびドデシルメルカプタン0.72g
を2時間かけて逐次添加し、その後、5%過硫酸アンモ
ニウム5gを添加して重合を完結させた。重合率は9
9.9%となり、生成したエマルジョンをpH5.5に
調整後、100メッシュの金網でろ過したが、凝固物は
全く認められなかった。得られたエマルジョンの粒子径
は960nm(0.96μm)、固形分濃度は50.2
%、粘度は1200mPa・secであった。また、得
られたエマルジョンを用いて、下記のようにフィルムを
作製し、得られたフィルムの評価を行い、その測定結果
を表3に示す。
【0043】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−6に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィルム
を用いて評価を行った。
【0044】比較例3(水性エマルジョンの合成:EM
−7) 実施例1において、PVA−1の代わりに無変性PVA
((株)クラレ製,商品名:PVA205、重合度50
0、けん化度88.2モル%)の4.3%水溶液を74
7.6g使用し、かつ界面活性剤を使用しなかったこと
以外は、実施例1と同様の方法で重合したが、30分
後、重合率15%の時点で数mm大の粗粒が発生し、重
合の継続が困難となった。
【0045】比較例4(水性エマルジョンの合成:EM
−8) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、イオン交換水72
5.6g、硫酸鉄(2)0.0032gおよびNL−4
50(界面活性剤)5.3gを仕込み、希硫酸でpHを
2.8に調整した。次いで窒素を流し(以下、重合中は
窒素を流し続ける)、70℃に昇温しながら、100r
pmで1時間攪拌を行った。次いで過硫酸アンモニウム
535mgを一括で仕込んだ後、100rpmで10分
間攪拌した。次にメタクリル酸メチル266.3g、ア
クリル酸n−ブチル266.33g、ドデシルメルカプ
タン2.7gを100分かけて滴下し、重合を行うと共
に、重合途中で徐々に200rpmまで攪拌回転数を上
げていった。4時間で重合率は99.9%となり、その
後冷却した。生成したエマルジョンをpH7.0に調整
後、100メッシュの金網でろ過したところ凝固物が認
められ、その凝固率は0.53%であった。得られたエ
マルジョンの粒子径は449nm(0.449μm)、
固形分濃度は33.9%、粘度は109mPa・sec
(ミリパスカル・秒)であった。また、得られたエマル
ジョンを用いて、下記のようにフィルムを作製し、得ら
れたフィルムの評価を行い、その測定結果を表3に示
す。
【0046】(フィルムの作製)水性エマルジョンをE
M−8に変更したこと以外は実施例1と同様にして塗工
液を調製したところ、酸化アルミCの凝集が発生したた
め、塗工が困難となった。
【0047】比較例5(水性エマルジョンの合成:EM
−9) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、窒素置換後、上記
参考例で得られたPVA−1(重合度500、けん化度
88モル%)の1.2%水溶液556.9gを仕込み、
希硫酸でpHを3.0に調整した(以後、重合中は窒素
を流し続ける)。次いで130rpmで攪拌しながら、
メタクリル酸メチル26.3g、アクリル酸n−ブチル
26.3gおよびドデシルメルカプタン0.26gを仕
込み70℃に昇温した後、0.5%過酸化水素水80g
を添加し、重合を開始した。1時間で重合率が99%と
なったところで、メタクリル酸メチル240g、アクリ
ル酸n−ブチル240g、ドデシルメルカプタン2.4
gおよびNL−90(界面活性剤)16.0gを2時間
かけて逐次添加し、それと同時に、5%PVA−1水溶
液187gと1%過硫酸アンモニウム267gを添加し
て重合を完結させた。また、重合を行うと共に、重合途
中で徐々に200rpmまで攪拌回転数を上げていっ
た。重合率は99.9%となり、生成したエマルジョン
をpH6.5に調整後、100メッシュの金網でろ過し
たが、凝固物は全く認められなかった。得られたエマル
ジョンの粒子径は794nm(0.794μm)、固形
分濃度は32.3%、粘度は867mPa・secであ
った。。このエマルジョンの評価結果を第2表に示す。
また、得られたエマルジョンを用いて、下記のようにフ
ィルムを作製し、得られたフィルムの評価を行い、その
測定結果を表3に示す。
【0048】(フィルムの調製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−9に変更したこと以外は実施例1と同様にし
て塗工液を調製したところ、PETフィルム上に流延し
て液膜を形成した。この液膜を熱風乾燥機にて100
℃、3分間乾燥したところ、塗膜の欠陥(ひび割れ)が
発生した。
【0049】比較例6(水性エマルジョンの合成:EM
−10) 還流冷却器、滴下ロート、温度計および窒素吹込口を備
えた2リットルガラス製重合容器に、上記参考例で得ら
れたPVA−1(重合度550、けん化度88モル%)
の4.3%水溶液747.6g、硫酸鉄(2)0.00
32gおよびNL−450(界面活性剤)0.22gを
仕込み、希硫酸でpHを2.8に調整した。次いで窒素
を流し(以下、重合中は窒素を流し続ける)、70℃に
昇温しながら、100rpmで1時間攪拌を行った。次
いでメタクリル酸メチル266.3g、アクリル酸n−
ブチル266.33g、ドデシルメルカプタン2.7g
を一括で仕込んだ後、100rpmで20分攪拌した。
次に0.6%過酸化水素水溶液347gを2時間かけて
滴下し、重合を行うと共に、重合途中で徐々に280r
pmまで攪拌回転数を上げていった。3時間で重合率は
99.5%となり、その後冷却した。生成したエマルジ
ョンをpH7.1に調整後、100メッシュの金網でろ
過したが、凝固物は全く認められなかった。得られたエ
マルジョンの粒子径は729nm(0.729μm)、
固形分濃度は35.9%、粘度は1830mPa・se
c(ミリパスカル・秒)であった。このエマルジョンの
評価結果を第2表に示す。また、得られたエマルジョン
を用いて、下記のようにフィルムを作製し、得られたフ
ィルムの評価を行い、その測定結果を表3に示す。
【0050】(フィルムの作製・評価)水性エマルジョ
ンをEM−10に変更したこと以外は実施例1と同様に
して塗工液を調製し、フィルムを得た。得られたフィル
ムを用いて評価を行った。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の水性エマルジョンは、重合安定性、機械的安定性、凍
結融解安定性、顔料や無機充填剤などを混和した際等の
分散安定性および塗膜の透明性において極めて優れたも
のである。このため本発明のエマルジョンはそのまま、
あるいは従来公知の各種添加剤などを配合して、各種用
途に使用される。例えば紙加工剤、無機物バインダー、
塗料、接着剤、繊維加工剤、セメント混和剤、モルタル
プライマー等に広範にかつ有効に利用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AB033 BB021 BB111 BB181 BC021 BC091 BC101 BD031 BD101 BD131 BD141 BE022 BE023 BF011 BF021 BG041 BG051 BG071 BG131 BJ001 CH023 ED036 EH046 EH056 EN026 EN136 ES006 EU116 EV256 FA081 FD313 FD316 GH01 HA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子末端にメルカプト基を有する
    ポリビニルアルコール系重合体、(B)界面活性剤およ
    び(C)エチレン性不飽和単量体単位を主体とする、平
    均粒子径0.3μm以下の重合体を含有することを特徴
    とする水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】 重合体(C)が、アクリル酸エステル系
    重合体および/またはメタクリル酸エステル系重合体で
    あることを特徴とする請求項1記載の水性エマルジョ
    ン。
  3. 【請求項3】 (A)分子末端にメルカプト基を有する
    ポリビニルアルコール系重合体と(B)界面活性剤との
    含有割合(A:B)が、質量比で60:40〜99:1
    の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の
    水性エマルジョン。
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