JP3255334B2 - 含フッ素樹脂水性分散液の製造方法 - Google Patents

含フッ素樹脂水性分散液の製造方法

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JP3255334B2
JP3255334B2 JP18021194A JP18021194A JP3255334B2 JP 3255334 B2 JP3255334 B2 JP 3255334B2 JP 18021194 A JP18021194 A JP 18021194A JP 18021194 A JP18021194 A JP 18021194A JP 3255334 B2 JP3255334 B2 JP 3255334B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は含フッ素樹脂の製造法に
関し、より詳しくは、塗料用に好適な含フッ素樹脂水性
分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フルオロオレフィンと他の炭化水
素系単量体を共重合させた重合体は溶剤に溶解できるう
え耐候性に優れるため広く塗料分野に応用されてきた。
例えばフルオロオレフィン、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニ
ルエステルおよび他の単量体から得られる共重合体(特
公平4-40365)は各種溶剤に可溶であり、且つ常温で硬化
可能であることから、建築分野向けを中心とした塗料と
して使用されている。また別のフルオロオレフィンを含
む重合体は、粉体を溶剤に分散したオルガノゾル塗料
(例えば、商品名HYLAR5000TM) として使用されている。
しかしながら、これらの塗料は有機溶剤を多量に含むた
めに火災の危険性、人体への有害性、大気汚染等の問題
がある。
【0003】また、事実上テトラフルオロエチレンやフ
ッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィンのみから得ら
れる重合体に基づく粉体塗料や水性ディスパージョン塗
料が知られているが、これらは有機溶剤含有量は少ない
か、または含まないものの、塗膜形成に際して約180℃
以上の温度での加熱処理が必要であり、実用に際して適
応範囲が限定されるといった不利がある。
【0004】これらの問題を解決すべく、フッ素樹脂を
造膜成分とする比較的低温での成膜が可能な水を媒体と
する塗料が求められている。塗料用に適したフッ素樹脂
は、通常、溶液重合法、懸濁重合法などの方法で製造さ
れ、それから水性分散液を調製するには、反応終了後の
反応液を分散剤を予め加えた水系媒体中に添加したり、
反応終了後の反応液から反応溶媒、反応開始剤、その他
の添加剤を除去して得た共重合体を機械的に微粒子化し
てそれを水系媒体に界面活性剤などの分散安定化剤とと
もに混合して調製されることが多いが、前者はそのまま
では相当量の有機溶剤を含み、また、後者では多くの工
程を踏むので経済的に困難が多く且つ技術的にも困難を
伴うなどの問題点を内包している。
【0005】それに対して、生成した含フッ素樹脂が微
粒子の分散した水性分散液の形で得られる乳化重合法は
水性塗料用樹脂の製造法として適した方法といえる。乳
化重合法で塗料用に適した含フッ素樹脂を製造する方法
については、フルオロオレフィン、アルキルビニルエー
テルおよびカルボン酸ビニルエステルから構成される共
重合体の水性分散液を乳化重合法で製造する技術が特開
昭61−261367号公報に開示され、同公報にはこ
のフルオロオレフィン共重合体水分散液が低温造膜性に
優れることが記載されている。また、特開平2−240
154号公報には、フルオロオレフィン、オレフィン、
ビニルエステルまたはビニルエーテル、共重合可能なエ
チレン性不飽和酸を乳化重合したフルオロオレフィン共
重合体水性分散体が記載されている。
【0006】ところが、乳化重合法においては単量体を
水性媒体中に乳化させるための乳化剤が必要となるが、
この様な乳化剤を除去することなく生成した水性分散液
をそのまま水性塗料組成物として使用する場合、その組
成物から形成された塗膜中には乳化剤が残存し、塗膜の
耐水性や耐候性を低下させる原因となる。従ってこれら
の塗膜は、従来の溶剤型塗料からの塗膜にくらべてその
性能が劣るといった問題点を有している。
【0007】そこで、それ自身他の共重合成分と反応性
を有するため重合完了時には水性媒体中に低分子量の乳
化剤としては存在しない、所謂「反応性乳化剤」を使用
することが提案されている。特開平2−240155号
公報には、フルオロオレフィン、オレフィン、ビニルエ
ステルまたはビニルエーテル、スルホン基及び/又はサ
ルフェート基並びにエチレン性不飽和基を同一分子中に
含む共重合可能な反応性乳化剤、共重合可能なエチレン
性不飽和酸を乳化重合したフルオロオレフィン共重合体
水性分散体が記載され、共重合可能なエチレン性不飽和
酸の例としてクロトン酸、イタコン酸などが例示されて
いる。
【0008】また、特開平3−33148号公報にも、
含フッ素ビニル単量体とビニルエステル類および/また
はビニルエーテル類とを主体とし、モノエチレン性不飽
和ジカルボン酸、内部架橋剤とを共重合可能な反応性乳
化剤の存在下に、乳化重合させて得られる含フッ素共重
合体水分散液が記載されている。ここで、反応性乳化剤
とは、とくにスルホン基及び/又はサルフェート基並び
にエチレン性不飽和基を同一分子内に併せ有する化合物
をいうとされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開平2−24015
4号、特開平3−33148号各公報などに記載される
反応性乳化剤の存在下重合反応を行なう方法では、重合
反応終了後に得られる水性分散液はその中には乳化剤が
存在しないにも拘わらず機械的安定性を有する上に、乳
化剤が存在しないため泡立ちが少なく、さらにこの水性
分散液から形成された塗膜の耐水性、接着性が優れると
いう効果が得られることが期待される。しかしながら、
反応性乳化剤は、各種のものが知られているとはいえ、
基本的に分子中に重合性二重結合とスルホン酸基などの
酸基を有する化合物であって、水性分散液を形成する共
重合体に共重合されるものと考えられるが、そのような
構造単位を含むことが塗料または塗膜の物性を支配する
ことも推測される。
【0010】すなわち、この様な反応性乳化剤を使用す
ることで反応終了後の乳化剤を無くすあるいは減少させ
ることはできるが、共重合体の選択範囲を大きく減じる
こととなりその応用範囲は限られざるを得ない。
【0011】そこで、本発明では、第一に塗料化し塗膜
を形成した場合には本来含フッ素樹脂塗膜が有する耐水
性、耐候性などの優れた物性を損なうことなく、第二に
含フッ素樹脂を製造する場合に、フルオロオレフィン、
脂肪酸ビニルエステルなどの多種類の単量体からなる混
合物の反応率、共重合性を維持し、第三に重合により得
られた反応液は好ましい粒子径の含フッ素樹脂分散水溶
液となり、その分散液または/およびその分散液から調
製される塗料は保存安定性に優れる含フッ素樹脂の製造
方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フルオロ
オレフィン、脂肪酸ビニルエステルおよび不飽和カルボ
ン酸を必須成分とする含フッ素樹脂水性分散液を製造す
る方法について検討したところ、各原料単量体の組成を
特定することで、乳化剤を用いること無く重合反応が進
行し、得られた反応液は機械的に安定な水性分散液とな
ることを見いだし、本発明に到達した。
【0013】すなわち、本発明はフルオロオレフィン、
脂肪酸ビニルエステルおよび不飽和カルボン酸の各構造
単位を必須成分とする含フッ素樹脂水性分散液を製造す
る方法であって、10〜70モル%のフルオロオレフィ
ン、30〜90モル%の脂肪酸ビニルエステルおよび
0.1〜20モル%の一般式 R−CH=CH−(CH2)n−COOH (1) (式中、Rは水素原子または酸素原子を含むこともある
有機基であり、nは3〜15の整数である。)で表され
る不飽和カルボン酸を水溶性開始剤の存在下水系媒体中
での攪拌により共重合させることよりなる塗料用に好適
な含フッ素樹脂の水性分散液の製造方法である。
【0014】重合反応終了時の反応液は、粒径の揃った
共重合体微粒子が水系媒体中に分散し、凝集物、沈降物
等のない均一な分散液であって、別に乳化剤を添加する
ことなく長時間このまま放置しても凝集、沈降等の起こ
らない保存安定性および機械的安定性に優れた水性分散
液であり、この水性分散液から各種の塗料用添加剤を混
合することにより得られる塗料組成物を調製するに当た
っても界面活性剤などの分散安定剤を添加することなく
あるいは少量の添加で安定化させることができるので、
この塗料から形成された塗膜は通常の水性分散液塗料が
有する欠点である耐候性、耐水性などの欠如という問題
点が現れないという特徴を示すものである。
【0015】通常の方法に従ってフルオロオレフィンと
脂肪酸ビニルエステルを水性媒体中で乳化重合させるに
は、単量体のミセルを形成するために乳化剤として金属
石鹸などを反応系に存在させなければならないが、一般
式(1)で表される不飽和カルボン酸を共重合成分とし
て含む場合には、他に乳化剤を加えることなく、フルオ
ロオレフィン、脂肪酸ビニルエステルなどの多種類の単
量体からなる混合物の共重合において反応率、共重合性
を維持することができることを見いだした。
【0016】本発明の方法で、敢えて乳化剤を添加する
ことなく不溶性の単量体混合物が良好な反応率、共重合
性を示すことは意外な現象であってその理由は明確では
ないが、一般式(1)で表される不飽和カルボン酸は、
それ自身フルオロオレフィンおよび脂肪酸ビニルエステ
ルを水系媒体中で分散安定化させる能力があり、その
上、他の共重合成分とともに共重合体に構成単位として
取り込まれた状態においては、特定の組成範囲において
生成した重合体粒子を水系媒体中で浮遊・分散させるこ
とができ、したがって、得られた分散液はことさら分散
剤などを添加することなく安定な含フッ素樹脂分散液と
なるという好ましい性質を呈するものと推測される。
【0017】また本発明の方法により含フッ素樹脂水性
分散液を製造する場合、従来用いられてきたアニオン
系、カチオン系、ノニオン系または両性界面活性剤など
からなる乳化剤を使用しなくても、またはそれらの乳化
剤の使用を極微量に抑えても好ましい粒子径の水性分散
液が得られ、さらにその水性分散液は分散安定性、機械
的安定性などの実用上要求される性能を発揮するという
効果が認められる。
【0018】本発明におけるフルオロオレフィンは、他
の成分と共重合可能な分子中に少なくとも1つ以上のフ
ッ素原子が含まれている単量体ならば特に限定されない
が、例えばクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニ
ル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラ
フルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等炭素原
子数が2〜6程度のフルオロオレフィンであるが、クロ
ロトリフルオロエチレンが最も好ましいものとして挙げ
られる。また本発明において、フルオロオレフィンは単
独または2種以上を併用して使用することができるが、
その場合にもクロロトリフルオロエチレンを少なくとも
一部に使用することが好ましい。
【0019】本発明の原料単量体混合物中のフルオロオ
レフィンの比率は10〜70モル%が好ましく、40〜
60モル%がより好ましい。10モル%より少ない場合
にはその条件で得られた水性分散液から形成された塗膜
の耐候性が不十分であり、一方70モル%より多い場合
には水性分散液の製造安定性および塗膜形成性が悪くな
るために好ましくない。また、40〜60モル%では反
応収率が充分高く、また、耐候性の良い塗膜性能を得る
ことができるので特に好ましい。
【0020】本発明における脂肪酸ビニルエステルは、
アルキル基とビニル基とがエステル結合を介して結合し
た化合物であり、特に限定されないが、例えば、酢酸ビ
ニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビ
ニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン
酸ビニル、ラウリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン
酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類
等が挙げられる。これら脂肪酸ビニルエステルは、単独
で用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0021】本発明の原料単量体混合物中の脂肪酸ビニ
ルエステルの比率は30〜90モル%が好ましく、比率
が30モル%より少ない場合はその条件で得られた水性
分散液の塗膜形成性に劣り、90モル%より多い場合に
は形成した塗膜の耐候性が劣るので好ましくない。
【0022】一般式(1)で表された不飽和カルボン酸
は、特に限定されないが、例えば、5-ヘキセン酸、5-ヘ
プテン酸、6-ヘプテン酸、7-オクテン酸、8-ノネン酸、
9-デセン酸、10-ウンデシレン酸、9-ウンデシレン酸、8
-ウンデシレン酸、7-ウンデシレン酸、6-ウンデシレン
酸、5-ウンデシレン酸、11-ドデシレン酸、10-ドデシレ
ン酸、9-ドデシレン酸、6-ドデシレン酸、5-ドデシレン
酸、17-オクタデシレン酸等が例示される。これらは2
種以上を併用することもできる。ここでnが3未満のと
きは分散液の分散安定性に劣り、15を超える場合には
重合反応性が低下するといった不具合を生じる。上記不
飽和カルボン酸のうち、特に好ましいものとしては、9
−デセン酸、10−ウンデシレン酸を挙げることができ
る。
【0023】本発明の原料単量体混合物中の不飽和カル
ボン酸の比率は0.1〜20モル%が好ましく、0.3
〜15モル%がより好ましく、0.5〜10モル%がさ
らに好ましい。比率が0.1モル%より少ない場合には
水性分散液の分散安定性に劣り、一方、20モル%より
多い場合にはその水性分散液から形成された塗膜の耐水
性を悪化させるので好ましくない。0.5〜10モル%
の場合には、塗料化する場合においても比較的他の添加
剤の種類および量を任意に調製できるので最も好まし
い。
【0024】本発明における含フッ素樹脂は、フルオロ
オレフィン、脂肪酸ビニルエステルおよび一般式(1)
で表される不飽和カルボン酸を必須単量体として共重合
させるが、その製造条件およびその物性を大きく変える
ことのない範囲において、必要に応じてその他の共重合
可能な単量体を1種または2種以上併用することができ
る。以下に非制限的に例示すると、それら単量体として
は、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、クロト
ン酸、4-ペンテン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコ
ン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和
カルボン酸、およびそれらのアルコール残基の炭素数が
1〜20のモノエステル類あるいはジエステル類、また無
水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無
水テトラハイドロフタル酸等の不飽和カルボン酸無水物
類もしくはその誘導体、酢酸アリル、プロピオン酸アリ
ル、酪酸アリル、イソ酪酸アリル、カプロン酸アリル、
カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、シクロヘキサン
カルボン酸アリル等のカルボン酸アリルエステル類、ヒ
ドロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモ
ノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエ
ーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル、
グリセリンモノアリルエーテル等の水酸基含有アリルエ
ーテル類、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレン
グリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコール
モノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニ
ルエーテル、グリセリンモノビニルエーテル等の水酸基
含有ビニルエーテル類、エチルビニルエーテル、プロピ
ルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類、メチルアリルエーテル、エチルアリ
ルエーテル、ブチルアリルエーテル等のアリルエーテル
類、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン等の
α-オレフィン類、ポリエチレンオキシド鎖、ポリプロ
ピレンオキシド鎖などの親水性側鎖を持つ不飽和エステ
ル類あるいは不飽和エーテル類、塩化ビニル、塩化ビニ
リデン等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、α-メ
チルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合
物、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリロイル化
合物、さらには10-ウンデシレン酸ナトリウム、11-ドデ
シレン酸ナトリウム等の、本発明にて必項成分となって
いる化合物をアルカリ物質で中和したものなどがある。
【0025】本発明に係る含フッ素樹脂はフルオロオレ
フィン、脂肪酸ビニルエステル、一般式(1)で表され
る不飽和カルボン酸、および必要に応じてその他のモノ
マーをラジカル重合することにより得られる。この際、
重合媒体としては、水または水と少量の有機溶剤のから
なる水性媒体を用いることができる。ここで有機溶剤と
しては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec
-ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、
ジエチレングリコール等の2価アルコール類、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ
等のエーテルアルコール類、キシレン、トルエン等の芳
香族または脂肪族炭化水素類、酢酸ブチル、酢酸エチル
等のエステル類などが例示される。またこれら有機溶剤
は単独または2種以上の混合液が使用できる。
【0026】本発明においては、重合反応の際の単量体
の反応性、共重合性を維持し併せて生成した分散液の安
定性を図る目的から、水系分散液製造時の媒体、および
得られた水系分散液のpHを弱酸性〜アルカリ性とするこ
とが重要である。従ってここではpH調節を目的として各
種のpH調節剤を用いることが好ましい。かかるpH調整剤
としては、無機塩基類、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カ
リウム、オルトリン酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリ
ウム、テトラホウ酸ナトリウム等、有機塩基類、例えば
トリエチルアミン、トリエタノールアミン、アンモニア
等が例示される。pH調節剤の添加量は、通常重合媒体ま
たは分散媒体100重量部当り0.005 〜5重量部程度である
が、pHは反応の初期から反応終了時に至る全期間を通じ
て5〜10に保つようにし、好ましくは6〜9、さらに
好ましくは7〜8とするのが良い。pHが10以上では脂肪
酸ビニルエステルあるいは他の単量体によっては生成物
がゲル化したり、また、pHが5 以下の酸性では水性分散
液が不安定になり沈降などが起こり好ましくない。
【0027】重合反応の開始は重合開始剤の添加により
行われる。かかる重合開始剤としては既知の水溶性開始
剤が好ましく採用される。この重合開始剤の例として
は、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム等、過酸化水素並びにこれら開始剤と亜硫酸ナトリ
ウム等の還元剤との組合せからなるレドックス開始剤が
あげられる。重合開始剤の添加量は、総単量体100重
量部に対して0.0001〜5重量部である。
【0028】また重合開始温度は、主に重合開始剤の種
類に応じて最適値が選定されるが、作業性、重合反応安
定性から0〜100℃、好ましくは30〜80℃が採用される。
本発明において分散液を製造する場合、分散安定剤は基
本的には必要とせず、可能な限り使用量を少量とするこ
とが好ましいが、重合時の共重合性の調節のために各種
分散安定剤を使用することも可能である。ここで分散安
定剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面
活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の周
知の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、メチルセル
ロース等の水溶性ポリマーが使用できる。これら分散安
定剤は単独または2種以上の組合せで使用してもよい。
【0029】ここで界面活性剤を使用する場合、添加量
が多いと塗膜の耐水性、耐候性が劣るため総単量体10
0重量部に対して10重量部以下の添加が好ましい。さら
に好ましくは5重量部以下である。また水溶性ポリマー
の添加量は、総単量体100重量部に対して0.01〜50重
量部程度使用できるが、添加量が多いと塗膜の耐水性の
低下を引き起こすため0.01〜20重量部程度の添加量が好
ましい。
【0030】本発明で得られた含フッ素樹脂水性分散液
は、そのままでも塗料としての使用が可能であるが、塗
料化に際しては濃度調整用の水や従来より各種目的のた
めに一般的に添加されている各種添加剤、すなわち可塑
剤、有機溶媒、pH調節剤、造膜助剤、分散剤、湿潤剤、
顔料、粘度調節剤、レベリング剤、凍結防止剤、防腐
剤、防カビ剤、消泡剤、紫外線吸収剤や酸化防止剤等の
安定剤などをそれぞれ1種または2種以上混合してもよ
い。
【0031】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの例に限定されるものではな
い。なお、以下の実施例中の「部」は別途注記しない限
り「重量部」を示すものである。
【0032】合成例(含フッ素樹脂水性分散液の製造) 合成例1 内容積1リットルのステンレス製撹拌機付きオートクレ
ーブ(耐圧50kg/cm2)に、酪酸ビニル12.3部、ベオバ−9
(シェル(株)製脂肪酸ビニルエステル)79.7部、カプロ
ン酸ビニル61.5部、10-ウンデシレン酸19.9部、イオン
交換水300部、過硫酸カリウム1.75部、炭酸ナトリウム1
0水和物2.69部を仕込だ。その後オートクレーブを氷水
にて冷却し、窒素ガスを5kg/cm2になるようにオートク
レーブを加圧後に大気圧に復圧する窒素置換操作を3回
繰返した後、約10mmHgまで脱気して溶存空気を除去し
た。さらにオートクレーブ内にクロロトリフルオロエチ
レンを126.0部導入した後に50℃で24時間反応を行い、
固形分48.6%の含フッ素樹脂水性分散液(1)を得た。 合成例2〜5 合成例1と同様の操作にて、表1に記載した単量体、副
資材組成にて合成を行い、同表記載の濃度の含フッ素樹
脂水性分散液(2)〜(5)を得た。
【0033】
【表1】
【0034】表中の略号の説明 CTFE:クロロトリフルオロエチレン VBu:酪酸ビニル V−9:ベオバ−9 VAc:酢酸ビニル VCp:カプロン酸ビニル Pr:プロピレン HBAE:ヒドロキシブチルアリルエーテル VAA:ビニル酢酸 PKA:ユニオックスPKA-5003(日本油脂(株)製ポリ
エチレンオキサイド鎖含有アリルエーテル) DA:9-デセン酸 UA:10-ウンデシレン酸 KPS:過硫酸カリウム APS:過硫酸アンモニウム Newcol 293:アニオン系乳化剤(日本乳化剤(株)製 有
効成分40%) Newcol 566:ノニオン系乳化剤(日本乳化剤(株)製) Na2CO3・10H2O:炭酸ナトリウム10水和物 応用例および比較応用例 合成例1〜5で得られた含フッ素樹脂水性分散液(1)〜
(5)を、固形分が50%となるように濃縮および/または希
釈操作により濃度調節を行った。さらに28%アンモニア
溶液を添加して分散液のpHが7となるように調整して
含フッ素樹脂水性塗料(塗料1〜5)とした。
【0035】それら含フッ素樹脂水性塗料中の分散粒子
の直径、分散安定性、また作成した塗膜の耐水性と耐候
性試験方法について以下に記す。さらに表2にそれら試
験結果について示す。
【0036】
【表2】
【0037】・分散液の粒子径測定 含フッ素樹脂水性分散液(1)〜(5)中の分散粒子の直径
を、粒子径測定装置(堀場製作所(株)製CAPA-700)を用
いて測定した。 ・塗料の保存安定性評価 応用例および比較応用例で得られたそれぞれの水性塗料
の分散状態を、50℃にて2週間保存後に目視にて観察
した。 ・塗料の機械的安定性評価 それぞれの水性塗料をディスパー(特殊機化工業(株)
製、TK-ホモディスパー)にて、 3000rpmで5分間撹拌処
理を行って塗料中の凝集物発生の有無を確認し、機械的
安定性を評価した。 ・成膜方法 それぞれの水性塗料をアルミ板上に塗布し、室温にて1
週間乾燥させて塗膜を得た。 ・塗膜の耐水性評価 塗膜を常温にて水に96時間浸漬した後に外観変化を目視
にて観察し、白化の有無を判定して耐水性を評価した。 ・塗膜の耐候性評価 塗膜をサンシャインウェザオメーターにて2000時間処理
を行い、未処理と処理された塗膜の光沢を日本電色工業
(株)製の光沢計にて測定し、次式にて光沢保持率を求
めて耐候性を評価した。
【0038】 1):○;ディスパー撹拌(3000rpm5min)後に凝集なし ×;ディスパー撹拌(3000rpm5min)後に凝集物発生 2):○;水浸漬96時間後の塗膜表面に目視にて白化等の
外観変化なし ×;水浸漬96時間後の塗膜表面に目視にて白化等の外観
変化あり 3):○;サンシャインウェザオメーター2000時間処理後
の光沢保持率が100〜80% ×;サンシャインウェザオメーター2000時間処理後の光
沢保持率が80%未満
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によりフルオロオレフィン
と脂肪酸ビニルエステルと特定の不飽和カルボン酸を単
量体必須成分として共重合した含フッ素樹脂水性分散液
は、それ自体保存安定性、機械的安定性に優れ、それか
ら調製された塗膜は耐水性、耐候性に優れることから各
種塗料のベースとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−17534(JP,A) 特開 平4−342707(JP,A) 特開 平4−311777(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 127/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10〜70モル%のフルオロオレフィ
    ン、30〜90モル%の脂肪酸ビニルエステルおよび
    0.1〜20モル%の一般式 R−CH=CH−(CH2n−COOH (式中、Rは水素原子または酸素原子を含むこともある
    有機基であり、nは3〜15の整数である。)で表され
    る不飽和カルボン酸を含みpH5〜10に保った水系溶
    媒中に水溶性重合開始剤を添加して乳化剤または反応性
    乳化剤を用いることなく重合反応を進行させて水系溶媒
    中でフルオロオレフィン、脂肪酸ビニルエステルおよび
    不飽和カルボン酸を単量体必須成分として共重合した重
    合粒子を生成させることを特徴とする共重合体微粒子が
    水系媒体中に分散した塗料用含フッ素樹脂水性分散液の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で得られた含フッ素
    樹脂水性分散液を濃縮および/または希釈操作により濃
    度を調節することを特徴とする含フッ素樹脂水性塗料の
    製造方法。
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