JP4564236B2 - 水性低汚染被覆材 - Google Patents
水性低汚染被覆材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4564236B2 JP4564236B2 JP2003068181A JP2003068181A JP4564236B2 JP 4564236 B2 JP4564236 B2 JP 4564236B2 JP 2003068181 A JP2003068181 A JP 2003068181A JP 2003068181 A JP2003068181 A JP 2003068181A JP 4564236 B2 JP4564236 B2 JP 4564236B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- acrylate
- radical polymerizable
- polymerizable monomer
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐汚染性、耐侯性、耐水性および各種素材に対する密着性に優れた水性低汚染被覆材に関するものであり、特に耐雨だれ汚染性に優れた水性低汚染被覆材に関するものである。本発明の水性低汚染被覆材は、セメントモルタル、スレート板、石膏ボード、押し出し成形板、発泡性コンクリート、金属、ガラス、磁器タイル、アスファルト、木材、防水ゴム材、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用することができ、特に建築物、土木構造物等の躯体保護に使用する水性被覆材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築物、土木構造物に使用する塗料(被覆材)分野においては、塗装作業者や周辺住民の健康および環境保護を考慮して、有機溶剤を溶媒とする溶剤系被覆材から、水を分散媒とする水性被覆材への変換が図られている。また、建物の美観を長期間保護するというユーザーのニーズに応えるために、耐候性と耐汚染性を兼ね備えた被覆材の開発が行われている。また、密着性の観点から多くの素材に対して適用できる被覆材の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許第2637574号公報(特許文献1)には、シクロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体とピペリジル基を有する耐紫外線エチレン性不飽和単量体との共重合体の水性樹脂分散液を使用した水性塗料が、優れた耐候性を示すことが記載されているが、耐汚染性の面ではまだ満足できるものではなく、また、ガラス板、金属等への密着性の面でもまだ満足できるものではない。
【0004】
また例えば、特開2000−109729号公報(特許文献2)では、金属原子含有ラジカル重合性単量体を共重合した水性樹脂エマルションを用いた水性防汚塗料が記載されているが、塗膜の溶出速度を制御するために主骨格として、メタクリル酸等の親水性の高いモノマーを使用しているため、耐侯性の面で満足できるものではなく、建築物、土木構造物等の躯体保護に使用することは困難である。
【0005】
【特許文献1】
特許第2637574号公報
【特許文献2】
特開2000−109729号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した通り、従来の水性被覆材は耐汚染性を十分に満足するに至っていない。さらに、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性を含めるとこれらのバランス化はより一層困難となっている。
【0007】
本発明者らは、耐汚染性、特に耐雨だれ汚染性のさらなる向上を目的として、降雨等による水が塗膜と汚染物質との界面に浸透、流入し、その水とともに汚染物質を洗い流す効果(ローリングアップ機能)に着目し、塗装被膜の親水化による優れた耐汚染性と、優れた耐水性、耐候性、各種素材に対する密着性を兼ね備えた水性低汚染被覆材を見出すために鋭意検討を行った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)と、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)と、その他のラジカル重合性単量体(c)と、を有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)を含む水性被覆材が、優れた耐汚染性、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性を示すことを見出した。さらにその他のラジカル重合性単量体(c)として特定のラジカル重合性単量体を使用することや、さらに特定の架橋システムを導入することにより、さらに優れた耐汚染性、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性を併せ持つことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)5〜70質量部と、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)0.1〜20質量部と、その他のラジカル重合性単量体(c)((a)、(b)、(c)の質量部の合計は100質量部)と、を有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)と、
2個以上のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(B)と、
を含有し、
前記その他のラジカル重合性単量体(c)が、カルボニル基含有ラジカル重合性単量体を含み、
前記有機ヒドラジン化合物(B)が、ヒダントイン骨格を有することを特徴とする水性低汚染被覆材である。
【0010】
前記その他のラジカル重合性単量体(c)が、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の水性低汚染被覆材は、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)と、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)と、その他のラジカル重合性単量体(c)と、を有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)を含有することが必要である。その他のラジカル重合性単量体は特に限定されないが、共重合体(A)は複数種の単量体を共重合して得たビニル系共重合体が好ましい。そして、高度な耐汚染性、耐候性、耐水性等の特性を発現する為には、この共重合体を形成する単量体組成物の共重合成分として、以下に説明するような特定のラジカル重合性単量体を用いることは特に好ましい態様である。また、後述する特定の架橋システムを導入することも特に好ましい態様である。
【0012】
本発明における共重合体(A)を形成する単量体組成物は、塗装被膜の耐候性、耐水性の点から、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)を含有することが必要である。
この含有量は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき、5〜70質量部の範囲内が好ましい。この含有量が5質量部以上であると、塗装被膜の耐水性および耐候性が向上し、70質量部以下であると、塗装被膜の可撓性を低下させることなく耐水性および耐侯性をさらに向上できる。より好ましい含有量は、10〜60質量部である。
【0013】
また、本発明における共重合体(A)を形成する単量体組成物は、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)を含有することが必要である。使用される金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)としては、2個の不飽和基を有する金属原子含有ラジカル重合性単量体(b1)および下記式(I)で表される金属原子含有ラジカル重合性単量体(b2)等が挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、Mは金属原子、R2は(メタ)アクリロイル残基を除く有機酸残基を示す。)
なお、「(メタ)アクリロイル」の表現は、アクリロイルあるいはメタクリロイルの意味であり、以後、類似の表現(例えば「(メタ)アクリレート」等)も含めて同様の意味を表すものとする。
【0016】
2個の不飽和基を有する金属原子含有ラジカル重合性単量体(b1)としては、例えば、ジアクリル酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、アクリル酸メタクリル酸マグネシウム、ジアクリル酸カルシウム、ジメタクリル酸カルシウム、アクリル酸メタクリル酸カルシウム、ジアクリル酸鉄、ジメタクリル酸鉄、アクリル酸メタクリル酸鉄、ジアクリル酸銅、ジメタクリル酸銅、アクリル酸メタクリル酸銅、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、アクリル酸メタクリル酸亜鉛、ジアクリル酸ジルコニウム、ジメタクリル酸ジルコニウム、アクリル酸メタクリル酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0017】
金属原子含有ラジカル重合性単量体(b2)は、上記の式(I)で表されるものである。上記の式(I)において、R1は水素原子またはメチル基、MはMg、Ca、Fe、Cu、Zn、Zr等の金属原子を表し、R2は(メタ)アクリロイル残基を除く有機酸残基を示す。R2となる有機酸残基としては、モノクロル酢酸、モノフルオロ酢酸、プロピオン酸、オクチル酸、バーサチック酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、クレソチン酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、安息香酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、キノリンカルボン酸、ニトロ安息香酸、ニトロナフタレンカルボン酸、プルビン酸等の一価の有機酸から誘導されるものが例示される。
【0018】
上記の式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、モノクロル酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸鉄(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸銅(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノクロル酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸鉄(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸銅(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プロピオン酸鉄(メタ)アクリレート、プロピオン酸銅(メタ)アクリレート、プロピオン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、オクチル酸マグネシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸カルシウム(メタ)アクリレート、オクチル酸鉄(メタ)アクリレート、オクチル酸銅(メタ)アクリレート、オクチル酸亜鉛(メタ)アクリレート、オクチル酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸マグネシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸カルシウム(メタ)アクリレート、バーサチック酸鉄(メタ)アクリレート、バーサチック酸銅(メタ)アクリレート、バーサチック酸亜鉛(メタ)アクリレート、バーサチック酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸カルシウム(メタ)アクリレート、イソステアリン酸鉄(メタ)アクリレート、イソステアリン酸銅(メタ)アクリレート、イソステアリン酸亜鉛(メタ)アクリレート、イソステアリン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、パルミチン酸鉄(メタ)アクリレート、パルミチン酸銅(メタ)アクリレート、パルミチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、パルミチン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸カルシウム(メタ)アクリレート、クレソチン酸鉄(メタ)アクリレート、クレソチン酸銅(メタ)アクリレート、クレソチン酸亜鉛(メタ)アクリレート、クレソチン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸鉄(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸マグネシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸カルシウム(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸鉄(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸銅(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸亜鉛(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、安息香酸鉄(メタ)アクリレート、安息香酸銅(メタ)アクリレート、安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、安息香酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸鉄(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸マグネシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸カルシウム(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸鉄(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸銅(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸亜鉛(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸鉄(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸銅(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸亜鉛(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸鉄(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸カルシウム(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸鉄(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸銅(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸亜鉛(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸ジルコニウム(メタ)アクリレート、プルビン酸マグネシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸カルシウム(メタ)アクリレート、プルビン酸鉄(メタ)アクリレートプルビン酸銅(メタ)アクリレート、プルビン酸亜鉛(メタ)アクリレート、プルビン酸ジルコニウム(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
これら金属原子含有ラジカル重合性単量体として用いることができる(b1)および(b2)は、1種または2種以上を必要に応じて適宜選択して使用することができるが、中でも、亜鉛原子含有重合性単量体が好ましい。
【0020】
金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき、0.1〜20質量部の範囲内で含有されていることが好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると塗装被膜の耐汚染性およびガラス、金属に対する密着性が向上し、20質量部以下であると塗装被膜の耐水性および耐候性を低下させることなく耐汚染性およびガラス、金属対する密着性をさらに向上することができる。より好ましい含有量は、0.3〜15質量部である。
【0021】
さらには、共重合体(A)が多段乳化重合法によって得られる異層構造エマルション粒子であって、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)を最外層のみに共重合した異層構造エマルション粒子が好ましい。これにより、重合安定性が向上し、耐汚染性、耐候性、耐水性、ガラス、金属に対する密着性がさらに向上する。このとき異層構造エマルション粒子の内層は、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、その他のラジカル重合性単量体(c)の中から選択される1種、または2種以上の共重合体である。このような異層構造エマルション粒子は、組成の異なる単量体組成物を何段階にも分けてフィード重合するマルチステージフィード重合や、単量体組成を連続的に変えるパワーフィード重合等により作製することができる。
【0022】
本発明において使用されるその他のラジカル重合性単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルアクリレート、p−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(3−)ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体;ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレンオキシド基含有(メタ)アクリレート;p−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシシクロアルキル(メタ)アクリレート;ラクトン変性ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体;2−アミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アミノプロピル(メタ)アクリレート、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有ラジカル重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のシリコン含有(メタ)アクリレート;2−(2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールや、1−(メタ)アクリロイル−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−アミノ−4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の耐紫外線基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等の他の(メタ)アクリレート;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルデヒド基またはケト基に基づくカルボニル基含有ラジカル重合性単量体;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル系単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロルー1,3―ブタジエン等の共役ジエン系単量体;(メタ)アクリル酸や、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸やそのハーフエステル等、2−(メタ)アクリロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸単量体;酢酸ビニル、塩化ビニル、エチレン、プロピオン酸ビニル等が挙げられるが、ラジカル重合可能なものであればこれらに限られるものではない。
【0023】
上記のその他のラジカル重合性単量体の中でも、下記に示す特定のラジカル重合性単量体を共重合することにより、より高度な耐汚染性、耐候性、耐水性等の特性を発現することができる。
【0024】
まず、本発明では水性低汚染被覆材の配合安定性や塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、および各種素材に対する密着性の点から、その他のラジカル重合性単量体(c)として、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体の少なくとも一方を含有することが好ましい。この含有量は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき、0.5〜20質量部の範囲内が好ましい。この含有量が0.5質量部以上であると水性低汚染被覆材の配合安定性や塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、および各種素材に対する密着性が向上し、20質量部以下であると、塗装被膜の耐水性および耐候性を低下させることなく水性ビニル系樹脂分散液の配合安定性や塗装被膜の耐汚染性、および各種素材に対する密着性をさらに向上することができる。より好ましい含有量は、1〜12質量部である。
【0025】
このヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、このポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体や、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端型ポリアルキレンオキシド基含有ラジカル重合性単量体が挙げられる。これらは必要に応じて1種、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0027】
また本発明では、塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、強度、耐溶剤性および各種素材に対する密着性の点から、その他のラジカル重合性単量体(c)として、カルボニル基含有ラジカル重合成単量体を含み、かつ水性低汚染被覆材中に、分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(B)を配合することがより好ましい。これは、塗装被膜の乾燥時に、水性ビニル系樹脂分散液の共重合体(A)中のカルボニル基と、水性ビニル系樹脂分散液に配合される有機ヒドラジン化合物のヒドラジノ基との間で架橋反応が進行し、さらに優れた塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、強度、耐溶剤性および各種素材に対する密着性が得られるためである。
【0028】
使用されるカルボニル基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルアルキルケトン等があり、好ましくは、炭素数4〜7個のビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、(メタ)アクリルオキシアルキルプロパナールの他、(メタ)アクリルアミド、ピバリンアルデヒド、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリルアクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、中でも、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトンが特に好ましい。これらは、必要に応じて1種類以上を適宜選択して使用することができる。
【0029】
水性ビニル系樹脂分散液に配合される分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(B)としては、例えば、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜15のジカルボン酸ヒドラジドおよび1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン、1−ヒドラジノカルボエチル−3−ヒドラジノカルボイソプロピル−5−(2−メチルメルカプトエチル)ヒダントイン等のヒダントイン骨格を有する有機ヒドラジン化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、塗装被膜の耐汚染性の点から、ヒダントイン骨格を有する有機ヒドラジン化合物が好ましく、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインが特に好ましい。
【0030】
また、それぞれの使用量としては、共重合体(A)を形成する単量体組成物中のカルボニル基含有ラジカル重合性単量体のカルボニル基のモル数を(P)、水性低汚染被覆材に配合されるの有機ヒドラジン化合物(B)のヒドラジノ基のモル数を(Q)としたとき、0.1<(P)/(Q)<10の範囲とすることが好ましく、0.8<(P)/(Q)<2の範囲とすることがより好ましい。これは、(P)/(Q)が0.1以下ではカルボニル基と架橋反応を起こさない有機ヒドラジン化合物が大過剰に存在するため耐水性が低下し、(P)/(Q)が10以上では、架橋度が低いために架橋の効果が得られないためである。
【0031】
カルボニル基含有ラジカル重合性単量体の使用量は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき0.3〜15質量部、好ましくは0.5〜12質量部であり、(P)/(Q)が好ましい範囲内で有機ヒドラジン化合物を配合する必要がある。その使用量が0.3質量部以上であると、塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、強度、耐溶剤性および各種素材に対する密着性が向上し、15質量部以下であると、重合安定性や塗装被膜の伸び性を損なうことなく優れた塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、強度、耐溶剤性および各種素材に対する密着性を発現することができる。
【0032】
また、水性低汚染被覆材の貯蔵安定性、顔料や添加物を入れ塗料化する際の配合安定性の点から、その他のラジカル重合性単量体(c)として、不飽和カルボン酸単量体を含有することが好ましい。この含有量は、水性ビニル系樹脂分散液の共重合体(A)の合計を100質量部とするとき、0.1〜10質量部の範囲内が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると水性ビニル系樹脂分散液の貯蔵安定性が向上し、本発明の水性被覆材に顔料を入れて着色した場合、凝集物が発生するような問題を回避することができる。また、この含有量が10質量部以下であると、塗装被膜の耐水性および耐候性を低下させることなく貯蔵安定性、配合安定性をさらに向上することができる。より好ましい含有量は、0.5〜8質量部である。
【0033】
この不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
また、塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、および各種素材に対する密着性の点から、その他ラジカル重合性単量体(c)として、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体を含有することが好ましい。この含有量は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき、0.1〜15質量部の範囲内が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると塗装被膜の耐汚染性、耐候性、耐水性、および各種素材に対する密着性が向上し、15質量部以下であると、塗装被膜の耐水性および耐候性を低下させることなく塗装被膜の耐汚染性、および各種素材に対する密着性をさらに向上することができる。より好ましい含有量は、0.5〜12質量部である。
【0035】
ここで、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体とは、これを有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)が水性低汚染被覆材に分散している時、室温で保管されている間は化学的に安定であって、塗装時の乾燥、加熱あるいはその他の外的要因によって側鎖官能基同士の反応を生じ、該側鎖基間に化学結合を生じるような官能基を有するラジカル重合性単量体を指す。この自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有ラジカル重合性単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミドのアルキロールまたはアルコキシアルキル化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0036】
また、塗装被膜の耐候性の点から、その他のラジカル重合性単量体(c)として、耐紫外線ラジカル重合性単量体を含有することが好ましい。この含有量は、共重合体(A)を形成する単量体組成物の共重合成分である前記(a)(b)(c)の合計を100質量部とするとき、0.1〜10質量部の範囲内が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であると塗装被膜の耐候性が向上し、10質量部以下であると、重合安定性を低下させることなく塗装被膜の耐候性をさらに向上することができる。より好ましい含有量は、0.5〜8質量部である。
【0037】
この耐紫外線ラジカル重合性単量体としては、代表的には、光安定化作用を有する(メタ)アクリレート、紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。これらは必要に応じて1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0038】
上述した好ましい6種のその他のラジカル重合性単量体、すなわち、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体、カルボニル基含有ラジカル重合性単量体、不飽和カルボン酸単量体、自己架橋性官能基含有ラジカル重合性単量体、耐紫外線ラジカル重合性単量体は、必要に応じて2種以上を併用することも好ましい。
【0039】
水性低汚染被覆材に含まれる共重合体(A)のガラス転移温度(Tg(℃))は特に制約を受けないが、塗装被膜の非粘着性および耐汚染性の点から、−30℃以上であることが好ましく、−20℃以上がより好ましい。また、温冷繰り返し試験や凍結融解試験等での耐クラック性の点から70℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。
【0040】
水性低汚染被覆材中の共重合体(A)は、上述したような適切な種類、適切な比でラジカル重合性単量体が配合された単量体組成物を、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法の公知の重合法により重合させて得ることができる。特に、乳化重合法によりエマルション形態の水性低汚染被覆材を得ることが、水性低汚染被覆材の貯蔵安定性、塗装被膜の硬度、耐水性、耐候性、耐汚染性等の諸物性の点から好ましい。乳化重合法によりエマルション形態の水性低汚染被覆材を得る為には、例えば、界面活性剤の存在下、ラジカル重合性単量体が配合された単量体組成物を重合系内に供給し、水溶性開始剤により重合を行わせる方法、また例えば、有機過酸化物とチオ硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤により重合を行わせる方法等の公知の方法を使用することができる。
【0041】
開始剤は一般的にラジカル重合に使用されるものが使用可能であり、その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物類や2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]およびその塩類、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}およびその塩類、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)およびその塩類、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]等の水溶性アゾ化合物、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物類等が挙げられる。これらの開始剤は単独でも使用できるほか、2種類以上の混合物としても使用できる。また、重合速度の促進、および70℃以下での低温の重合を望まれるときには、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利である。
【0042】
水性低汚染被覆材中の共重合体(A)の分子量を調整する場合には、分子量調整剤として、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤を用いることで、その調整が可能である。
【0043】
また、水性低汚染被覆材は、共重合体(A)100質量部に対し、界面活性剤を0.1〜10質量部含むことが好ましい。界面活性剤が0.1質量部以上存在することによって、水性低汚染被覆材の貯蔵安定性が向上し、界面活性剤存在下に乳化重合する場合には重合時の安定性も向上する。また、界面活性剤を10質量部以下とすることによって、耐水性を損なうことなく塗料化配合時の安定性、経時的安定性等を維持することができる。より好ましい含有量は、0.5〜8質量部である。
【0044】
この界面活性剤としては、従来より知られる各種のアニオン性、カチオン性、またはノニオン性の界面活性剤、さらには高分子乳化剤が挙げられる。また、界面活性剤成分中に不飽和結合を持つ、いわゆる反応性乳化剤も使用できる。なかでも塗装被膜の耐候性、耐水性の点から反応性乳化剤を使用することが好ましい。
【0045】
乳化重合法により得たエマルションは、重合後、塩基性化合物の添加により系のpHを中性領域〜弱アルカリ性、すなわちpH6.5〜10.0程度の範囲に調整することで系の安定性を高めることができる。この塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0046】
本発明の水性低汚染被覆材は、通常、固形分20〜80質量%の範囲で使用される。また、コーティング材料として高度な性能を発現させるために、各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤、造膜助剤等を含んでもよい。
さらに、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤と混合して使用してもよい。
【0047】
造膜助剤の具体例としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0048】
本発明の水性低汚染被覆材を用いて各種材料の表面に被膜を形成する為には、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法等の各種の塗装法を適宜選択して実施すればよい。また、本発明の水性低汚染被覆材は、室温乾燥または50〜180℃で加熱乾燥することで、十分に造膜した被膜を得ることができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において「部」は質量基準である。水性被覆材の物性試験については、下記配合組成で塗料を調整し、下記方法に従って試験を実施した。
【0050】
<白エナメル塗料の作製>
タイペークCR−97(商品名、石原産業(株)社製、塩素法酸化チタン)707g、アデカコール W−193(商品名、旭電化工業(株)社製、顔料分散剤)12g、サーフィノール DF−58(エア・プロダクツ(株)社製、消泡剤)25g、脱イオン水256gを十分に混合し、ガラスビーズを加えて高速分散機で30分間顔料分散を行い、次いでガラスビーズ等を300メッシュナイロン紗で濾別し、評価用ミルベースを得た(固形分は71質量%)。
【0051】
次に、水性被覆材100g(固形分45質量%基準)に対し、上記の評価用ミルベースを42.7g、キョウワノールM(商品名、協和発酵(株)社製、造膜助剤)を最低造膜温度が0℃となるように適量(例えば、実施例1の水性被覆材においては6g)、プロピレングリコールを3g、RHEOLATE350(商品名、RHEOX(株)社製、増粘剤)を0.5g、順に加え、十分に攪拌し、フォードカップ #4で測定した流出時間が30秒程度になるように脱イオン水を加えて粘度を調整した。その後、再度300メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、評価用白エナメル塗料を得た。
<クリヤー塗料の作製>
水性被覆材100g(固形分45質量%基準)に対し、キョウワノールM(商品名、協和発酵(株)社製、造膜助剤)を最低造膜温度が0℃となるように適量(例えば、実施例1の水性被覆材においては6g)、プロピレングリコールを3g、サーフィノール DF−58(エア・プロダクツ(株)社製、消泡剤)0.1g、RHEOLATE350(商品名、RHEOX(株)社製、増粘剤)を0.5g、順に加え、十分に攪拌し、フォードカップ #4で測定した流出時間が30秒程度になるように脱イオン水を加えて粘度を調整した。その後、300メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、評価用クリヤー塗料を得た。
【0052】
<耐汚染性の評価用試験板の作製>
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦300mm×横100mm、日本ルートサービス(株))に、評価用白エナメル塗料を乾燥膜厚が50μmになるようにスプレー塗装し、その後室温で3時間放置し、再度乾燥膜厚が50μmになるようにスプレー塗装して、室温で1週間放置したものを、耐汚染性評価用の塗板とした。
<耐候性の評価用試験板の作製>
リン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦150mm×横70mm、日本ルートサービス(株))に、評価用白エナメル塗料を乾燥膜厚が50μmになるようにスプレー塗装し、その後室温で3時間放置し、再度乾燥膜厚が50μmになるようにスプレー塗装して、室温で1週間放置したものを、耐候性評価用の塗板とした。
<金属板での耐水性および密着性の評価用試験板の作製>
脱脂処理した冷間圧延鋼板に、評価用クリヤー塗料を6ミルアプリケーターにて塗装し、室温で1週間放置したものを、金属板での耐水性および密着性の評価用の塗板とした。
<ガラス板での耐水性および密着性の評価用試験板の作製>
ガラス板に、評価用クリヤー塗料を6ミルアプリケーターにて塗装し、室温で1週間放置したものを、ガラス板での耐水性および密着性の評価用の塗板とした。
【0053】
<試験方法>
(1)耐汚染性
縦300mm×横100mmの試験板を上方から3分の1の長さのところで、内角が135度になるように折り曲げ、その試験板を名古屋市東区で南面に向かせ、面積が広い面(垂直面)を垂直にし、さらに面積の狭い面(上部面)が上部になるように設置し、2002年4月〜9月の6ヶ月間暴露したのち、上部面の塗膜の暴露前後での白さの差ΔLを色差計により測定し、垂直面は雨筋汚れの有無を目視にて評価した。
(上部面の塗膜の暴露前後での白さの差ΔL)
「◎」 :5.0未満。
「○」 :5.0以上、7.5未満。
「○△」:7.5以上、10.0未満。
「△」 :10.0以上、12.5未満。
「△×」:12.5以上、15.0未満。
「×」 :15.0以上。
(垂直面の雨筋汚れの有無)
「◎」 :雨筋汚染なし
「○」 :わずかに雨筋汚染が見られる
「×」 :明らかに雨筋汚染が見られる
(2)耐候性
試験板を70mm×50mmの大きさに切り取り、ダイプラ・メタルウエザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)社製)にこの試験板を入れ、試験サイクル:照射6時間/結露2時間、UV強度:65mW/cm2、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RHの条件で、600時間経過後の60゜グロスの保持率を耐候性の指標とし、以下の基準で判定した。
「◎」 :80%以上。
「○」 :70%以上、80%未満。
「○△」:60%以上、70%未満。
「△」 :50%以上、60%未満。
「△×」:40%以上、50%未満。
「×」 :40%未満。
【0054】
(3)金属板での耐水性および密着性
試験板を50℃の温水に96時間浸漬し、温水から取り出した直後の塗膜外観を目視判定し、さらに、室温で2時間放置し、乾燥させ、塗膜外観を目視判定した(耐水性評価)。その後、塗装被膜にカッタ−ナイフで2mm角の碁盤目を100個形成し、次いで粘着テープ剥離試験を同一箇所で3回行い、3回剥離試験を行った後に剥離しなかったマス目を数えた(密着性評価)。金属板での耐水性および密着性は、以下の基準で判定した。
・耐水性
「◎」 :取り出し直後、乾燥後ともに白化およびブリスターは認められない
「○」 :取り出し直後、白化が少し認められるが(ブリスターはなし)、乾燥後は完全に温水浸漬前のクリヤー塗膜に回復
「△」 :取り出し直後、乾燥後ともに少し白化が認められる
「×」 :下記どれか1項目でも該当するもの。
【0055】
(1) ブリスターの発生
(2) 乾燥後の白化が著しい
・密着性
「◎」:全く剥離なし
「○」:剥離しなかったマス目が90〜99個
「△」:剥離しなかったマス目が80〜89個
「×」:剥離しなかったマス目が79個以下
(4)ガラス板での耐水性および密着性
試験板を50℃の温水に24時間浸漬し、温水から取り出した直後の塗膜外観を目視判定し、さらに、室温で2時間放置し、乾燥させ、塗膜外観を目視判定した(耐水性評価)。その後、塗装被膜にカッタ−ナイフで2mm角の碁盤目を100個形成し、次いで粘着テープ剥離試験を同一箇所で3回行い、3回剥離試験を行った後に剥離しなかったマス目を数えた(密着性評価)。ガラス板での耐水性および密着性は、以下の基準で判定した。
「◎」 :取り出し直後、乾燥後ともに白化およびブリスターは認められない
「○」 :取り出し直後、白化が少し認められるが(ブリスターはなし)、乾燥後は完全に温水浸漬前のクリヤー塗膜に回復
「△」 :取り出し直後、乾燥後ともに少し白化が認められる
「×」 :下記どれか1項目でも該当するもの。
【0056】
(1) ブリスターの発生
(2) 乾燥後の白化が著しい
・密着性
「◎」:全く剥離なし
「○」:剥離しなかったマス目が90〜99個
「△」:剥離しなかったマス目が80〜89個
「×」:剥離しなかったマス目が79個以下
<参考例1〜6>
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに脱イオン水を70部仕込み、フラスコの内温を80℃に昇温した後、下記表1に示す組成のラジカル重合性単量体の混合物100部、脱イオン水50部および下記表1に示す界面活性剤(反応型アニオン性界面活性剤、旭電化(株)社製、商品名アデカリアソープ SE−10N)2部を予め乳化分散させたプレエマルション液と過硫酸アンモニウム5%水溶液3部とを、3時間かけて2系列滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してからさらに80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、28%アンモニア水溶液で中和して、水性被覆材を得た。この水性被覆材の固形分、粘度、pHを下記表1に示す。
【0057】
また、この水性被覆材を用いて塗料を調製し、耐汚染性、耐候性、金属板での耐水性および密着性、ガラス板での耐水性および密着性の試験を行った。その結果を下記表3に示す。
<参考例7および実施例1〜3>
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに脱イオン水を70部仕込み、フラスコの内温を80℃に昇温した後、下記表1に示す組成のラジカル重合性単量体の混合物100部、脱イオン水50部および下記表1に示す界面活性剤(反応型アニオン性界面活性剤、旭電化(株)社製、商品名アデカリアソープ SE−10N)2部を予め乳化分散させたプレエマルション液と過硫酸アンモニウム5%水溶液3部とを、3時間かけて2系列滴下した。この滴下中はフラスコの内温を80℃に保持し、滴下が終了してからさらに80℃で2時間保持し、その後室温まで冷却し、28%アンモニア水溶液で中和した。最後に下記表1に示す有機ヒドラジン化合物の20%水溶液(懸濁液)を添加して、水性被覆材を得た。この水性被覆材の固形分、粘度、pHを下記表1に示す。
【0058】
また、この水性被覆材を用いて塗料を調製し、耐汚染性、耐候性、金属板での耐水性および密着性、ガラス板での耐水性および密着性の試験を行った。その結果を下記表3に示す。
<比較例1〜4>
参考例1〜6と同様な方法で、下記表2に示す組成からなる水性被覆材を作製した。この水性被覆材の固形分、粘度、pHを下記表2に示す。
また、この水性被覆材を用いて塗料を調製し、耐汚染性、耐候性、金属板での耐水性および密着性、ガラス板での耐水性および密着性の試験を行った。その結果を下記表4に示す。
<比較例5>
参考例7と同様な方法で、下記表2に示す組成からなる水性被覆材を作製した。この水性被覆材の固形分、粘度、pHを下記表2に示す。
【0059】
また、この水性被覆材を用いて塗料を調製し、耐汚染性、耐候性、金属板での耐水性および密着性、ガラス板での耐水性および密着性の試験を行った。その結果を下記表4に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
* 参考例7、実施例1〜3、比較例5に記載の水性被覆材については、共重合体(A)を形成する単量体組成物中のカルボニル基含有ラジカル重合性単量体のカルボニル基のモル数を(P)、水性ビニル系樹脂分散液に配合されるの有機ヒドラジン化合物(B)のヒドラジノ基のモル数を(Q)としたとき、すべて(P)/(Q)=1.1である。
* 表1、2中の略号は、以下の化合物を示す。
・「t−BMA」:ターシャリーブチルメタクリレート
・「CHMA」:シクロヘキシルメタクリレート
・「(MAA)2Mg」:ジメタクリル酸マグネシウム
・「(MAA)2Zn」:ジメタクリル酸亜鉛
・「(AA)2Zn」:ジアクリル酸亜鉛
・「2−HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
・「ブレンマー70PEP350B」:ヒドロキシ(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノメタクリレート(商品名、日本油脂(株)社製)
・「DAAm」:ダイアセトンアクリルアミド
・「MAA」:メタクリル酸
・「GMA」:グリシジルメタクリレート
・「N−BMAAm」:N−ブトキシメチルアクリルアミド
・「アデカスタブLA−82」:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート(商品名、旭電化工業(株)社製)
・「RUVA−93」:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタアクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名、大塚化学(株)社製)
・「MMA」:メチルメタクリレート
・「n−BMA」:ノルマルブチルメタクリレート
・「2−EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート
・「n−BA」:ノルマルブチルアクリレート
・「ADH」:アジピン酸ジヒドラジド
・「VDH」:1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(商品名、アミキュアVDH、味の素ファインテクノ(株)社製)
・「アデカリアソープSE−10N」:反応型アニオン性界面活性剤(商品名、旭電化(株)社製)
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【0065】
表3から明らかなように、(a)成分が5〜70質量部、(b)成分が0.1〜20質量部、(c)成分が10〜94.9質量部である実施例および参考例の水性低汚染被覆材は、耐汚染性に優れ(上部面:○△以上、垂直面:○以上)、耐候性(○△以上)、耐水性、各種素材に対する密着性(金属、ガラスとも○以上)を兼ね備えている。これに対して、(a)成分および(b)成分を用いない比較例1、(a)成分を用いない比較例2、(a)成分が70質量部より多い比較例3、(b)成分が20質量部より多い比較例4、(b)成分を用いない比較例5の水性被覆材は、耐汚染性、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性のバランス化は困難である。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水性被覆材が、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)と、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)と、その他のラジカル重合性単量体(c)と、を有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)を含むことにより、優れた耐汚染性、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性を有する水性低汚染被覆材を提供できる。さらに、その他のラジカル重合性単量体(c)として特定のラジカル重合性単量体を用いることや、特定の架橋システムを導入することにより、さらに優れた耐汚染性、耐候性、耐水性、各種素材に対する密着性を発現することができる。
【0067】
本発明の水性低汚染被覆材は工業上極めて有用なものであり、具体的には、例えば、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、アスファルト、スレート、木材、ALC、サイディングボード、防水ゴム材、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げ等に使用することができ、主に建築物、土木構造物等の躯体保護に使用する水性被覆材として極めて有用である。
Claims (2)
- t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのいずれか一方、あるいはそれらの混合物(a)5〜70質量部と、金属原子含有ラジカル重合性単量体(b)0.1〜20質量部と、その他のラジカル重合性単量体(c)((a)、(b)、(c)の質量部の合計は100質量部)と、を有する単量体組成物を共重合した共重合体(A)と、
2個以上のヒドラジノ基を有する有機ヒドラジン化合物(B)と、
を含有し、
前記その他のラジカル重合性単量体(c)が、カルボニル基含有ラジカル重合性単量体を含み、
前記有機ヒドラジン化合物(B)が、ヒダントイン骨格を有することを特徴とする水性低汚染被覆材。 - 前記その他のラジカル重合性単量体(c)が、ヒドロキシル基含有ラジカル重合性単量体、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性単量体の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載の水性低汚染被覆材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068181A JP4564236B2 (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 水性低汚染被覆材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003068181A JP4564236B2 (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 水性低汚染被覆材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004277492A JP2004277492A (ja) | 2004-10-07 |
JP4564236B2 true JP4564236B2 (ja) | 2010-10-20 |
Family
ID=33285590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003068181A Expired - Lifetime JP4564236B2 (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 水性低汚染被覆材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4564236B2 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007169449A (ja) * | 2005-12-21 | 2007-07-05 | Nippon Paint Co Ltd | 水性硬化型防汚塗料組成物、防汚性塗膜、水中構造物及び水中摩擦低減方法 |
JP2006182955A (ja) * | 2004-12-28 | 2006-07-13 | Nippon Paint Co Ltd | 水性硬化型防汚塗料組成物、防汚性塗膜及び水中構造物 |
JP4627009B2 (ja) * | 2005-05-16 | 2011-02-09 | 株式会社日本触媒 | エマルションの製造方法 |
JP5207264B2 (ja) * | 2005-07-21 | 2013-06-12 | 三菱レイヨン株式会社 | 水性防汚塗料組成物及びその製造方法 |
JP2007153930A (ja) * | 2005-11-30 | 2007-06-21 | Sk Kaken Co Ltd | 水性塗料組成物 |
JP2008050473A (ja) * | 2006-08-24 | 2008-03-06 | Diatex Co Ltd | 水分散型防汚性樹脂組成物及び防汚性シート |
JP5534998B2 (ja) * | 2009-08-31 | 2014-07-02 | 関西ペイント株式会社 | 塗料組成物及び塗膜形成方法 |
JP6448342B2 (ja) * | 2014-12-12 | 2019-01-09 | 株式会社Adeka | 共重合体及びそれを用いた水性塗料組成物 |
JP6801253B2 (ja) * | 2015-06-26 | 2020-12-16 | 三菱ケミカル株式会社 | 防汚塗料組成物 |
JP7137375B2 (ja) * | 2017-07-05 | 2022-09-14 | 保土谷化学工業株式会社 | 水性組成物及びその硬化物、止水剤原料セット、止水剤、並びに漏水部からの漏水を止水する方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000119589A (ja) * | 1998-10-20 | 2000-04-25 | Nippon Paint Co Ltd | 水性塗料組成物および耐汚染性改善剤 |
JP2002338632A (ja) * | 2001-05-22 | 2002-11-27 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 金属含有共重合体および塗料 |
JP2003049123A (ja) * | 2001-08-07 | 2003-02-21 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 水性防汚塗料組成物 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068181A patent/JP4564236B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000119589A (ja) * | 1998-10-20 | 2000-04-25 | Nippon Paint Co Ltd | 水性塗料組成物および耐汚染性改善剤 |
JP2002338632A (ja) * | 2001-05-22 | 2002-11-27 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 金属含有共重合体および塗料 |
JP2003049123A (ja) * | 2001-08-07 | 2003-02-21 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 水性防汚塗料組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004277492A (ja) | 2004-10-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4005185B2 (ja) | 建築外装塗料用エマルション組成物および該エマルション組成物を用いた建築外装塗料組成物 | |
JP4564236B2 (ja) | 水性低汚染被覆材 | |
JP4522659B2 (ja) | 水性低汚染被覆材 | |
JP4947764B2 (ja) | 水性被覆材 | |
JP4829531B2 (ja) | 水性被覆材 | |
JP5379355B2 (ja) | 水性被覆材 | |
JP2001323209A (ja) | 水性被覆組成物 | |
JP4700167B2 (ja) | 合成樹脂エマルジョン、およびそれを用いた塗膜塗り替え用シーラー組成物 | |
JP2009144047A (ja) | 重合体エマルション及び水性被覆材 | |
JP5037911B2 (ja) | 耐候性向上材を含む水性塗料 | |
JP2005247922A (ja) | 水性被覆材 | |
JP2005029685A (ja) | 軟質下地保護用水性被覆材 | |
JP2007091915A (ja) | 水性被覆剤 | |
JP2022503878A (ja) | ポリアミン添加剤 | |
JP5336816B2 (ja) | 水性被覆材およびエマルションの製造方法 | |
JP4522656B2 (ja) | 水性低汚染被覆材 | |
JP2002302638A (ja) | 水性被覆材 | |
JP2007284559A (ja) | 水性被覆材 | |
JP2010138256A (ja) | エマルションの製造方法、及び水性被覆材 | |
JP6102972B2 (ja) | エマルションの製造方法、及び水性被覆材の製造方法 | |
JP5828216B2 (ja) | 水性被覆材 | |
JP2010059267A (ja) | 重合体エマルションの製造方法および水性塗料 | |
JPH10176122A (ja) | 水性被覆組成物 | |
JP3354906B2 (ja) | 水性被覆組成物 | |
JP3395075B2 (ja) | フッ素系樹脂用水性被覆組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060313 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090604 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090610 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090806 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100203 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100506 |
|
RD13 | Notification of appointment of power of sub attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433 Effective date: 20100611 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20100611 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20100701 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100721 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100730 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4564236 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806 Year of fee payment: 3 |
|
R371 | Transfer withdrawn |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |