JP4700167B2 - 合成樹脂エマルジョン、およびそれを用いた塗膜塗り替え用シーラー組成物 - Google Patents
合成樹脂エマルジョン、およびそれを用いた塗膜塗り替え用シーラー組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、塗膜、特に樹脂系旧塗膜の塗り替え用水系シーラー組成物の主成分として用いられる合成樹脂エマルジョンに関する。
【0002】
背景技術
一般的に、建築物の外装材としては、スレートや珪酸カルシウムなどの無機系材料が使用されており、通常これら外装材の表面には、美観や保護を目的としてさらに各種上塗り材を塗布して塗膜を形成させる。このような上塗り材としては、多くの場合、アクリル系樹脂塗料が使用されている。塗膜は経時的に汚れが付着し、また紫外線や雨などの要因によって劣化する。このため、このような汚れが付着し劣化した塗膜、すなわち旧塗膜を改修する必要が生ずる。
【0003】
旧塗膜の改修方法としては、旧塗膜を除去してから塗り替える方法、または旧塗膜上に新しい塗料を塗布する方法があり、後者の場合、一般的には、旧塗膜上にシーラーを塗工した後、水性の単層弾性塗料等の弾性塗料を塗布して仕上げることが多い。
【0004】
従来、塗り替え用に使用されるシーラーとしては、主として有機溶剤系シーラーが使用されており、通常の水系シーラーは水性の単層弾性塗料との付着性に問題があるため、本発明者等の知る限りでは、ほとんど使用されていなかった。しかしながら、有機溶剤系シーラーは、付着性には優れるものの、多量の有機溶剤を含むため、その使用は制限される傾向にある。
したがって、塗り替え用シーラーとしては、有機溶剤を含まない水系シーラーの使用が望ましく、多くの場合、塗り替え用水系シーラーとしては、塩素化ポリオレフィンを後乳化したものが使用されている。
【0005】
しかしながら、塩素化ポリオレフィンを後乳化したシーラーは、後乳化する際、塩素化ポリオレフィンを多量の有機溶剤により溶解させる必要があり、有機溶媒の使用を全く無くすことはできない。また、このようなシーラーは、塩素化ポリオレフィンの比重が大きいため、沈殿を生じ易く、貯蔵安定性に問題があることがある。さらに、このシーラーを製造するためには、塩素化ポリオレフィン樹脂と、多量の乳化剤とが必要であるために、通常の水系アクリルエマルジョンまたは水系スチレン/アクリルエマルジョンよりも原料コストが高くなる傾向がある。また、最近では、環境問題への関心の高まりから脱塩素化を望む傾向が強く、シーラーにおいて塩素を含む塩素化ポリオレフィンの使用を減らすまたは無くすことが望まれている。
【0006】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、特定の乳化剤を用いて特定の配合の単量体を共重合させることによって得られた、特定条件を満足するエマルジョンを用いて調製された水系シーラーが、有機溶剤を含有しないにもかかわらず、溶剤系シーラーと同等の優れた物性、例えば旧塗膜面への密着性を示すとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は、旧塗膜および上塗り塗膜との密着性に優れた水系シーラー組成物に使用される合成樹脂エマルジョンの提供をその目的としている。
【0007】
したがって、本発明の合成樹脂エマルジョンは、塗膜塗り替え用シーラー組成物の主成分として用いられる、水に合成樹脂粒子を分散させてなるものであって、
(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、アルキル基の炭素数が4以下であるものを、全(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して50重量%以上含む)、20〜99.5重量%、
(b)エチレン性不飽和カルボン酸、0.5〜10重量%、および
(c)前記(a)および(b)と共重合可能な単量体、0〜79.5重量%
を、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を用いて、共重合させることにより得られ、かつ、
そのガラス転移温度(Tg)が15〜50℃であって、分散している合成樹脂粒子の平均粒子径が0.01〜0.2μmであるものである。
本発明の別の態様によれば、本発明の塗膜塗り替え用シーラー組成物は、前記合成樹脂エマルジョンを含んでなるものである。
【0008】
【発明の具体的説明】
合成樹脂エマルジョン
本発明による合成樹脂エマルジョンは、旧塗膜塗り替え用シーラー組成物の主成分として用いられる。ここで、旧塗膜とは、建築物の外装材表面に塗布された各種樹脂系塗料により形成された塗膜であって、経時的に汚れが付着したり、または紫外線や雨等の影響により劣化した塗膜のことをいう。このとき、各種樹脂系塗料としては、樹脂系の塗料であれば溶剤系または水系を問わずいずれのものであってもよいが、具体例としては、例えばアクリル系樹脂塗料、アクリル/酢酸ビニル系樹脂塗料、アクリル/スチレン系樹脂塗料、塩化ビニル系樹脂塗料、アルキド系樹脂塗料、およびウレタン系樹脂塗料等が挙げられる。本発明においては、このうち、アクリル系樹脂塗料またはアクリル/酢酸ビニル系樹脂塗料が好ましい。
また、旧塗膜塗り替え用シーラー組成物とは、建築物の外装材の修飾または保護のために設けられる上塗り塗膜(もしくは外装塗装)と、外装材表面の旧塗膜との密着性の向上、および上塗り塗膜の外観の向上等を目的として、旧塗膜に塗布されるものを意味する。
上塗り材としては、水系または溶剤系のいずれものタイプのものであってもよく、具体的には例えば、単層弾性塗料、複層弾性塗料などの弾性塗料、アクリル系樹脂塗料、アクリル/スチレン系樹脂塗料、アクリル/シリコーン系樹脂塗料、シリコーン系樹脂塗料、アクリル/ウレタン系樹脂塗料、およびウレタン系樹脂塗料等が挙げられる。このうち、一般的に塗り替えに使われることが多い、単層弾性塗料が好ましいものとして挙げられる。
【0009】
前記したように、本発明による合成樹脂エマルジョンは、水に合成樹脂粒子を分散させてなるものであって、
(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、アルキル基の炭素数が4以下であるものを、全(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して50重量%以上含む)、20〜99.5重量%、
(b)エチレン性不飽和カルボン酸 0.5〜10重量%、および
(c)前記(a)および(b)と共重合可能な単量体 0〜79.5重量%
を、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を用いて、共重合させることにより得られるものである。そして、この合成樹脂エマルジョンのガラス転移温度(Tg)は15〜50℃であり、かつ、そこに分散している合成樹脂粒子の平均粒子径は0.01〜0.2μmである。
【0010】
本発明による合成樹脂エマルジョンは、各種樹脂系の劣化した旧塗膜への浸透性に優れ、塗り替え用上塗り材として用いられる単層弾性塗料や複層弾性塗料などの塗料との密着性、特に耐水密着性に優れる。このため、上塗り材とシーラーとの界面およびシーラーと旧塗膜との界面において、いわゆるフクレを生じたり、または上塗り塗膜が剥離したりすることもない。また、本発明による合成樹脂エマルジョンによれば、低沸点溶剤のような有機溶剤を含有することなく、溶剤系並みの旧塗膜への密着性を有する水系シーラー組成物を調製することができるので、現場における塗装の際に問題となっていた、大気汚染や悪臭の発生を防止することができる。さらに、本発明による合成樹脂エマルジョンによれば、塩素化ポリオレフィンの使用を避けるか、またはその使用量を減少させることができるので、従来型の水系シーラーの臭気を改善することができ、またシーラー組成物における塩素含量を減らすこともできる。
【0011】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩
本発明においては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を、共重合時に乳化剤として用いるか、または共重合後に添加することにより、本発明の合成樹脂エマルジョン中に含有させる。本発明においては、共重合時に乳化剤として用いて該合成樹脂エマルジョンに含有させることが好ましい。
【0012】
本発明において、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩は、下記式(I)で表される化合物である。
式(I):
【0013】
【化1】
【0014】
前記式中、Rはアルキル基を表し、XおよびYはそれぞれ、Na、K、NH3のような一価の陽イオンを表し、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、入手が容易であるという点からナトリウム(Na)が好ましい。したがって、本発明において乳化剤として使用されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩としては、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
本発明において使用されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩は、合成樹脂エマルジョンに耐アルカリ性を付与する効果もある。したがって、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の使用は、シーラーおよび上塗り材は無機基材由来のアルカリから保護できるとの利点が得られる点でも有利である。
【0016】
本発明において、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムは、商品名ペレックスSSL、ペレックスSSH(以上、花王株式会社製)、Dowfax2A1、ニューコール271A、またはニューコール271S(以上、日本乳化剤社製)などとして入手することができる。同様に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸アンモニウムは、例えば商品名ニューコール271NH(日本乳化剤社製)として入手することができる。
【0017】
アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の使用量は、全モノマーに対して、0.1〜20重量%用いることが好ましく、0.3〜10重量%用いることがより好ましい。アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の使用量が前記範囲内にあることは、シーラーとしての付着性および耐水性により優れる点から好ましい。
【0018】
さらに本発明においては乳化剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩に加えて、他の界面活性剤を併用することができる。
このような他の界面活性剤としては、通常の乳化重合に用いられるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、構造中にラジカル重合性不飽和結合を有するラジカル重合性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0019】
このようなアニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0020】
同様に、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型、ポリオキシエチレングリコール型またはポリオキシプロピレングリコール型等のものが挙げられる。
【0021】
ラジカル重合性界面活性剤としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性反応性界面活性剤などのものも挙げられる。ラジカル重合性界面活性剤の具体例としては、以下に示す化合物1)〜15)が挙げられる。
【0022】
【化2】
【0023】
【化3】
【0024】
【化4】
【0025】
このような他の界面活性剤の使用量としては、全モノマーに対して、0〜15重量%用いることが好ましく、0.1〜10重量%用いることがより好ましい。他の界面活性剤の使用量が前記範囲内にあることにより、重合時の凝集物の発生が抑えることができ、エマルジョンの耐水性の著しい低下も抑えることができる。
【0026】
(a) ( メタ ) アクリル酸アルキルエステル
本発明による合成樹脂エマルジョンは、モノマーとして少なくとも(メタ) アクリル酸アルキルエステルとエチレン性不飽和カルボン酸とこれらと共重合可能な単量体とを用い、これらを重合させることにより得られるものである。
【0027】
本発明において、このような重合用モノマーとして用いることができる(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。このような(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、そのアルキル基の炭素数が1〜12であるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。具体的には、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−,t−,iso−の各ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0028】
本発明においては、使用される(メタ) アクリル酸アルキルエステル全量の内の50重量%以上が、アルキル基の炭素数が4以下である(メタ) アクリル酸アルキルエステルであることが必要である。本発明の好ましい態様によれば、使用される(メタ) アクリル酸アルキルエステル全量に対して、アルキル基の炭素数が4以下である(メタ) アクリル酸アルキルエステルは、50重量%以上含まれることが好ましく、70重量%以上含まれることがさらに好ましい。
使用される(メタ) アクリル酸アルキルエステル全量の内の50重量%以上が、アルキル基の炭素数が4以下である(メタ) アクリル酸アルキルエステルであると、上塗り材である弾性塗材の樹脂組成に近似のものとなるので、本発明による合成樹脂エマルジョンを用いたシーラーと上塗り材との密着性が良好となり、有利である。またこの場合は、耐水密着性に優れる点でも有利である。
【0029】
炭素数が4以下であるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。したがって、アルキル基の炭素数が4以下である(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、およびエチルメタクリレートが好ましいものとして挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0030】
本発明においては、さらに、耐候性、皮膜の透明性、耐水性、および得られる皮膜のタフネスの点で、メチルメタクリレート、およびブチルアクリレートがより好ましい。
【0031】
(メタ) アクリル酸アルキルエステルの使用量としては、全モノマーに対して、通常、20〜99.5重量%用いられる。(メタ) アクリル酸アルキルエステルの使用量が、前記範囲内であることは、上塗り塗膜との層間剥離や種々の密着不良のが生ずることを防止できる点で好ましい。
【0032】
(b)エチレン性不飽和カルボン酸
本発明においてエマルジョン形成のために用いられるモノマーであるエチレン性不飽和カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。エチレン性不飽和カルボン酸を使用することにより、得られる合成樹脂エマルジョンをより安定化させることができる。
【0033】
本発明におけるエチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等のモノカルボン酸、およびジカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
これらの中では、入手の容易さ、共重合性、得られるエマルジョンの貯蔵安定性、シーラーとして用いた時の上塗り塗膜との密着性の良さ等の点で、アクリル酸、およびメタクリル酸が好ましい。
【0034】
エチレン性不飽和カルボン酸の使用量としては、全モノマーに対して、0.5〜10.0重量%用いることが好ましく、1.0〜6.0重量%用いるのがより好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸の使用量が前記範囲内にあることは、得られるエマルジョンの安定性の点で有利であり、また、シーラーとして塗布した場合の耐水性がより優れる点で好ましい。
【0035】
(c) ( メタ ) アクリル酸アルキルエステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体
本発明において用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ラジカル重合性不飽和結合を有するものが好ましい。
また前記の共重合可能な単量体としては、官能基含有単量体、および架橋性モノマー等も使用することができる。
官能基含有単量体としては、例えば、グリシジル基、ウレイド基、アセトアセトキシ基、アセトアセチル基、アミド基、アリル基、シリル基、ニトリル基、およびヒドロキシル基から選ばれる官能基を含有する単量体を使用することができる。このような単量体を使用することにより、エマルジョン中の官能基が旧塗膜と上塗り材に化学的に作用でき、これらとシーラーとの密着性および耐水密着性を向上させることができる。
【0036】
本発明において用いられる(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能な単量体としては、具体的には、例えば、エチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ベオバ(バーサチック酸ビニルエステル)等のビニルエステル類、ビニルホスフェート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、アセト酢酸アリル、2−ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリル酸アルコキシエチル、およびメタクリルアミドエチルエチレンウレアなどが挙げられる。
【0037】
さらには、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、エポキシアルコキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルジメトキシシラン等のエポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトアルコキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシランなども挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0038】
本発明において、共重合可能な単量体としては、スチレンを用いることが好ましい。スチレンを用いることは、得られるシーラーの耐水性および耐アルカリ性を向上させ、また合成樹脂エマルジョンのガラス転移温度を調整できる点で有利である。さらに、スチレンの使用はコスト削減の観点からも好ましい。
【0039】
また本発明において、共重合可能な単量体として官能基含有単量体を用いる場合には、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なお、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートは、アセトアセトキシ基を含有するアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートのことである。また、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートは前記したスチレンと併用して、共重合可能な単量体として使用することもできる。本発明においては、アセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、アセトアセトキシエチルメタクリレートがより好ましい。
【0040】
架橋性モノマーとしては、例えば、重合性不飽和基を2個以上有するモノマーが好適なものとして例示される。このような重合性不飽和基を2個以上有するモノマーとしては、例えば、ジビニル化合物、ジ(メタ)アクリレート化合物、トリ(メタ)アクリレート化合物、テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジアリル化合物、トリアリル化合物、テトラアリル化合物などが挙げられ、より具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリットトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルジシアヌレート、およびテトラアリルオキシエタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0041】
これら架橋性モノマーの使用は、得られる合成樹脂エマルジョンの耐水性、耐アルカリ性、耐薬品性等が向上するという利点を有するものの、架橋密度が高くなり、上塗り塗料との密着性が低下したり、長期的には架橋点が紫外線により劣化して急激に物性が低下する危険性があるので、その使用量は極力少なくすることが好ましい。
【0042】
本発明においては、このような共重合可能な単量体の使用量は、使用する共重合性の単量体の種類や他のモノマーの使用量等により適宜変更することが可能であるが、本発明においては0〜79.5重量%であり、0〜70重量%以下であることが好ましい。共重合可能な単量体として、グリシジル基、ウレイド基、アセトアセトキシ基、アセトアセチル基、アミド基、アリル基、シリル基、ニトリル基、およびヒドロキシル基から選ばれる官能基を含有する単量体を用いる場合には、その使用量は全モノマーに対して0.1〜10重量%であることが好ましく、0.3〜5.0重量%であることがより好ましい。前記官能基を含有する単量体の使用量が前記範囲内にあることは、シーラーと、旧塗膜および上塗塗材との密着性および耐水性の点から有利である。また、合成樹脂エマルジョンの安定性の観点からも優れている。
【0043】
本発明による合成樹脂エマルジョンにおいて用いることができるその他の補助成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。このような使用可能な成分としては、例えば、重合開始剤、造膜助剤、MFT調整剤、連鎖移動剤、表面張力低下剤、水性媒体、pH調整剤(もしくは中和剤)、増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、および防腐剤などの公知の添加剤が挙げられる。
【0044】
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム(APS)等の過硫酸塩、過酸化水素、ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、およびこれらと還元剤とを組み合わせたレドックス重合開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0045】
連鎖移動剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。連鎖移動剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、アセトフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド等の炭素数2〜8のカルボン酸類、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ノルマルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、チオグリセロール等のメルカプタン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0046】
旧塗膜の状態や種類によっては、シーラー塗装時にシーラーが旧塗膜にはじかれ、塗装困難な状態となる場合がある。このような場合にはシーラー組成物に使用する合成樹脂エマルジョンに表面張力低下剤を添加してもよい。
【0047】
表面張力低下剤としては、表面張力低下能を有するアルコール等の有機溶剤、表面張力低下能を有する界面活性剤、などが挙げられるが、臭気および安全性の観点から、前記表面張力低下能を有する界面活性剤が好ましい。表面張力低下能を有する界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン性フッ素系界面活性剤;例えば、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン性フッ素系界面活性剤;例えば、パーフルオロアルキルベタイン等の両性フッ素系界面活性剤;例えば、パーフルオロアルキルアミンオキシド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等のノニオン性フッ素系界面活性剤;例えば、ジオクチルスルホコハク酸塩等のアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルホスホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等のポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩およびその縮合物、アルキル硫酸エステル塩;例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0048】
最低造膜温度
本発明による合成樹脂エマルジョンは、その最低造膜温度(MFT)が0℃以下であることが好ましい。MFTは、MFT測定機(テスター産業株式会社製)を使用することにより測定することができる。ここで、最低造膜温度とは、乾燥の進行とともにエマルジョン中の水が揮発して、合成樹脂粒子が密に充填し、これらの粒子が融着および拡散して、連続皮膜を形成されるために必要な最低温度のことをいう。
【0049】
本発明による合成樹脂エマルジョンを用いたシーラー組成物は、通常、屋内外の建設現場で塗布される。MFTが0℃以下であると、通常の環境温度下で常に造膜させることができる点で有利である。
合成樹脂エマルジョンのMFTを調整するために、合成樹脂エマルジョンに、造膜助剤もしくはMFT調整剤としての高沸点溶剤を使用することができる。したがって、MFTを0℃以下にするために、造膜助剤を使用することができる。
【0050】
造膜助剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテルアルコールおよびエーテル系溶剤、エステルおよびエーテルエステル系溶剤等が挙げられる。
【0051】
具体的には、炭化水素系溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット、石油系混合溶剤等が挙げられ、アルコール系溶剤としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられ、また、エーテルアルコールおよびエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(セロソルブソルベント)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、プロピレングリコールn−ブチルエーテル(PnB)、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(DPnB)、エチレングリコールモノ2エチルヘキシルエーテル(EHG)等が挙げられる。さらに、エステルおよびエーテルエステル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0052】
本発明においては、エマルジョン粒子内に入り込みやすいこと、MFTの低下効果、添加後の安定性等の観点から、造膜助剤としては、テキサノール、EHG、またはDPnBなどが好ましく、テキサノールがより好ましい。
【0053】
ガラス転移温度
本発明による合成樹脂エマルジョンは、そのガラス転移温度(Tg)が、15〜50℃、好ましくは20〜45℃であることが好ましい。ここで、ガラス転移温度とは、合成樹脂エマルジョン中の合成樹脂粒子が堅くて脆いガラス状態から軟らかいゴム状態に相変化を起こす温度をいう。本発明におけるガラス転移温度は、下記のようなFOXの式を計算することにより求めることができる。
(FOXの式)
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wn/TgnW1+W2+W3+・・・+Wn=1
[式中、
1〜nは、正数を意味し、
W1、W2、W3、・・、Wnは、各モノマーの重量分率を意味し、
Tg1、Tg2、Tg3、・・、Tgnは各ホモポリマーのガラス転移点(絶対温度)を意味する。]
【0054】
ガラス転移温度が前記範囲内にあることは、シーラーと上塗り塗膜との密着性が優れる点で好ましい。またガラス転移温度がこのような温度範囲内にあることによってMFTを0℃以下にするための造膜助剤の使用量を減少させることができるので、合成樹脂エマルジョン中の造膜助剤含量を相対的に低下させることができ、その結果、合成樹脂エマルジョンの耐水性および安定性を向上させることができる。
一方、ガラス転移温度が15℃より低い場合には、MFTを0℃以下にするための造膜助剤使用量は少なくてすむものの、シーラーと上塗り塗膜との密着性が低下してしまうことがある。また、ガラス転移温度が50℃より高い場合には、MFTを0℃以下にするための造膜助剤の使用量が増加することとなるため、合成樹脂エマルジョンの安定性が低下することがあり、さらに、シーラー皮膜中に造膜助剤が過剰に残留するので該皮膜の耐水性が低下することがある。
【0055】
エマルジョンに分散している合成樹脂粒子の平均粒子径
本発明による合成樹脂エマルジョンに分散している合成樹脂粒子の平均粒子径は、0.01〜0.2μmであり、0.05〜0.15μmであることが好ましい。平均粒子径を上記範囲におくことで、乳化剤の使用量を少なくすることができ、また、合成樹脂エマルジョンに充分な耐水性を付与することができる。
【0056】
本発明においては、合成樹脂エマルジョンに分散している合成樹脂粒子の平均粒子径は、平均粒子径は一般的に光子相関法呼ばれている原理によって測定することができ、具体的には、例えばNICOMP MODEL 370 submicron particle sizer (Pacific Scientific社製)を用いて測定することができる。
【0057】
合成樹脂エマルジョンの製造方法
本発明による合成樹脂エマルジョンは、乳化剤であるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の存在下、モノマーとして、少なくとも(メタ) アクリル酸アルキルエステルと、エチレン性不飽和カルボン酸と、これらと共重合可能な単量体とを共重合させることにより製造することができる。
【0058】
重合の方法としては、特に制限はなく、例えば、重合缶に、水、乳化剤、モノマー全てを仕込み、昇温して、適宜重合開始剤を加えて重合を進行させるバッチ重合法、重合缶に、水、乳化剤を仕込み、昇温して、モノマーを滴下するモノマー滴下法、更には、滴下するモノマーを予め乳化剤と水とで乳化させた後、滴下する乳化モノマー滴下法、などが挙げられる。
【0059】
重合に用いるモノマーおよび補助成分としては、前記したように、前記のモノマーおよび/または補助成分から適宜選択することができる。また、重合の反応条件としては、特に制限はなく、共重合成分の種類、目的等に応じて適宜選択することができる。
【0060】
シーラー組成物
本発明によるシーラー組成物は、前記した本発明による合成樹脂エマルジョンを含んでなる。本発明によるシーラー組成物は、前記した合成樹脂エマルジョンを含んでなるものである限り、慣用の種々の成分を含むことができる。
【0061】
したがって、該シーラー組成物は、塩素化ポリオレフィン水性分散体をさらに含むことができる。このように本発明による合成樹脂エマルジョンと塩素化ポリオレフィン水性分散体とを含んでなるシーラー組成物は、非常に劣化した旧塗膜や、特殊な樹脂系の旧塗膜であっても、優れた密着性および耐水性を発揮することができる。また、このようにシーラー組成物において、合成樹脂エマルジョンと塩素化ポリオレフィン水性分散体とが有利に併用できるため、塩素化ポリオレフィン水性分散体を主成分とする従来の水系シーラーにおいて、本発明による合成樹脂エマルジョンを使用することによって、その臭気を低減させることができ、また製品コストを削減することもできる。
【0062】
また、本発明によるシーラー組成物は、さらに別の補助剤を含むことができる。このような補助剤としては、例えば、消泡剤、湿潤剤、凍結防止剤、防腐剤、粘度調整剤、分散剤、造膜助剤、可塑剤、顔料等の着色剤、石膏、セメント、および充填剤等が例示できる。これら補助剤の他に、さらに、乾燥性の向上や塗装性向上の目的で少量の溶剤を包含させてもよい。
これらの補助剤をシーラー組成物に配合するにあたっては、これら補助剤を予め配合しておいたもの(例えば顔料ペースト)を別途用意しておき、これを合成樹脂エマルジョンと混合させて配合してもよい。
【0063】
【実施例】
以下本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるれものではない。
【0064】
エマルジョンの調製
エマルジョン1
反応缶に、水422重量部、アニオン性界面活性剤(50%水溶液)6重量部、ノニオン性界面活性剤(80%水溶液)7重量部を仕込み(下仕込)、ここに、水400重量部、酢酸ナトリウム1.8重量部、Dowfax2A1(日本乳化剤社製、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(50%水溶液))11重量部、アニオン性界面活性剤11重量部、ノニオン性界面活性剤7重量部、メチルメタクリレート(モノマー(a))210重量部、ブチルアクリレート(モノマー(a))225重量部、80%アクリル酸(モノマー(b))28重量部、およびスチレン(モノマー(c))315重量部を乳化混合したもの(乳化モノマー)を滴下し、温度を80℃にコントロールし、重合開始剤として3%過硫酸カリウム87.5重量部を滴下して乳化重合させる。重合終了後冷却して、アンモニア水(10%アンモニア)によって中和し、さらに造膜助剤としてテキサノール196部をそこに添加した。次いで水を加えて不揮発分を約45%に調整したエマルジョン1を得た。得られたエマルジョンのガラス転移温度(Tg:計算値)は36℃であった。
【0065】
エマルジョン2〜11
表1に示した組成に従い、エマルジョン1の場合と同様にしてエマルジョン2〜11を調製した。なお、表1における値は全て重量部を表す。
【0066】
【表1】
【0067】
シーラー組成物の調製
シーラー組成物1〜13
表2に示した通りの配合でシーラー組成物1〜13を調製した。表2において、顔料ペーストは、表3に示した配合のものをサンドミルにかけて、分散させて混合することにより得られたものである。なお、表2および表3における値は全て重量部を表す。
【0068】
評価方法
試験体の作成
スレート板に市販の溶剤系アクリル/酢酸ビニル系塗料を塗工し、50℃で3日養生することによって熱劣化させて旧塗膜を作成した。次いで、その旧塗膜上に、固体で10〜12g/m2となるようにシーラー組成物1〜13をそれぞれを塗工し、室温で乾燥させた。次に、上塗り材として、市販の単層弾性塗材A、市販の単層弾性塗材B、市販の複層弾性塗材の主材Cを湿潤状態で1mm塗工し、これを室温で1週間乾燥させ、試験体を得た。
【0069】
耐水ブリスター性の評価
得られた試験体をそれぞれ水に3日浸漬させた後、水から取り出し、ブリスターの有無を確認して、耐ブリスター性を、いわゆるASTM D714に規定のブリスターサイズにしたがって、下記のように評価した。結果は、表2に示される通りであった。なお、耐ブリスター性の良好なものほど、シーラー組成物が旧塗膜および上塗り塗膜との密着性および耐水性に優れていることを示す。
A : ブリスターの大きさがサイズ6か、それより小さい
B : ブリスターの大きさがサイズ4である
C : ブリスターの大きさがサイズ2か、それより大きい、または層間剥離が発生している
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
Claims (8)
- 塗膜塗り替え用シーラー組成物の主成分として用いられる、水に合成樹脂粒子を分散させてなる合成樹脂エマルジョンであって、
(a)(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、アルキル基の炭素数が4以下であるものを、全(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して50重量%以上含む)、20〜99.5重量%、
(b)エチレン性不飽和カルボン酸、0.5〜10重量%、および
(c)前記(a)および(b)と共重合可能な単量体、0〜79.5重量%
を、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を用いて、共重合させることにより得られ、かつ、
そのガラス転移温度(Tg)が15〜50℃であって、分散している合成樹脂粒子の平均粒子径が0.01〜0.2μmである、合成樹脂エマルジョン。 - 最低造膜温度(MFT)が0℃以下である、請求項1に記載の合成樹脂エマルジョン。
- アルキル基の炭素数が4以下である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、およびエチルメタクリレートからなる群から選択されるものである、請求項1または2に記載の合成樹脂エマルジョン。
- 前記共重合可能な単量体として、グリシジル基、ウレイド基、アセトアセトキシ基、アセトアセチル基、アミド基、アリル基、シリル基、ニトリル基、およびヒドロキシル基から選択された官能基を有する単量体を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成樹脂エマルジョン。
- 前記官能基を有する単量体の使用量が、合成樹脂エマルジョン中の全モノマーに対して0.1〜10.0重量%である、請求項4に記載の合成樹脂エマルジョン。
- 前記官能基を有する単量体がアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである、請求項4または5に記載の合成樹脂エマルジョン。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成樹脂エマルジョンを含んでなる、塗膜塗り替え用シーラー組成物。
- 塩素化ポリオレフィン水性分散体をさらに含んでなる、請求項7に記載のシーラー組成物。
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