本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、前記したように、塗膜のひび割れの補修用シーラーに用いられるシーラー用樹脂組成物であり、エマルション粒子および無機充填材を含有し、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率が80〜95質量%であり、エマルション粒子の原料としてアセトアセトキシ基含有単量体を含有する単量体成分が用いられていることを特徴とする。本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、前記構成要件を有することから、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する。
本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、例えば、アセトアセトキシ基含有単量体を含有する単量体成分を乳化重合させ、得られたエマルション粒子を含有する樹脂エマルションおよび無機充填材を混合する際に、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率を80〜95質量%に調整することができる。
単量体成分に含有されるアセトアセトキシ基含有単量体としては、例えば、式(I):
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、X1およびX3は、それぞれ独立して酸素原子、硫黄原子または式:−N(R2)−で表わされる基(R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基)、pは0または1、X2は炭素数1〜12のアルキレン基または炭素数3〜12のシクロアルキレン基、Yは置換基を有していてもよいビニル基含有基を示す)
で表わされるアセトアセトキシ基含有単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
R1は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
X1およびX3は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子または式:−N(R2)−で表わされる基(R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基)であり、pは0または1である。なお、pが0のとき、X2とYとは直接結合する。
X2は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、炭素数1〜12のアルキレン基または炭素数3〜12のシクロアルキレン基、好ましくは炭素数1〜8のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。
Yは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、置換基を有していてもよいビニル基含有基である。置換基を有していてもよいビニル基含有基としては、例えば、式(II):
(式中、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルチオ基、R4は水素原子またはハロゲン原子、qは0または1を示す)
で表わされる基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
R3は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルキルチオ基である。R4は、水素原子またはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。なお、式(II)において、qが0のとき、−C(R3)基と(X3)p−基とは直接結合する。
式(I)で表わされるアセトアセトキシ基含有単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、式(III):
(式中、R5は水素原子またはメチル基、rは1〜4の整数を示す)
で表わされるアセトアセトキシ基含有単量体が好ましい。
アセトアセトキシ基含有単量体の具体例としては、例えば、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート、アセトアセトアミドエチル(メタ)アクリレート、アセト酢酸ビニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアセトアセトキシ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アセトアセトキシ基含有単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートおよびアリルアセトアセテートが好ましく、アセトアセトキシエチルメタクリレートおよびアリルアセトアセテートがより好ましく、伸び性をさらに向上させる観点から、アセトアセトキシエチルメタクリレートがさらに好ましい。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」または「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」または「メタクリロイル」を意味する。
樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子は、1段の乳化重合によって調製された単層の樹脂層を有するものであってもよく、多段の乳化重合によって調製された複数の樹脂層を有するものであってもよい。これらのなかでは、エマルション粒子は、複数の樹脂層を有することが、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から好ましい。なお、エマルション粒子が複数の樹脂層を有する場合、各樹脂層の境界は、必ずしも明確である必要がなく、隣接する樹脂層同士が互いに混ざり合っていてもよい。
エマルション粒子を構成する樹脂層の数は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは1〜5層、より好ましくは1〜3層、さらに好ましくは2または3層、さらに一層好ましくは3層である。
エマルション粒子が単層の樹脂層を有する場合、当該単層の樹脂層からなるエマルション粒子は、単量体成分Xを用い、単量体成分Xを乳化重合させることによって調製することができる。
エマルション粒子が単層の樹脂層を有する場合、単量体成分Xにおけるアセトアセトキシ基含有単量体の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
前記単量体成分Xには、アセトアセトキシ基含有単量体以外の他の単量体(以下、単に「他の単量体」という)を用いることができる。
他の単量体としては、例えば、窒素原子含有単量体、アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体、芳香族系単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、シラン基含有単量体、オキソ基含有単量体、フッ素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの他の単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、窒素原子含有単量体、アルキル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体および芳香族系単量体が好ましい。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの窒素原子含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの窒素原子含有単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、(メタ)アクリルアミド化合物および(メタ)アクリロニトリルが好ましく、(メタ)アクリルアミドおよびアクリロニトリルがより好ましく、アクリルアミドおよびアクリロニトリルがさらに好ましい。
単量体成分Xにおける窒素原子含有単量体の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
本発明においては、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、アセトアセトキシ基含有単量体と窒素原子含有単量体とを併用することが好ましい。このように、アセトアセトキシ基含有単量体と窒素原子含有単量体とを併用した場合には、両者併用による相乗効果により、さらに伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成することができる。
アセトアセトキシ基含有単量体と窒素原子含有単量体との質量比(アセトアセトキシ基含有単量体/窒素原子含有単量体)は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上、さらに好ましくは20/80以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下である。
また、単量体成分Xにおけるアセトアセトキシ基含有単量体および窒素原子含有単量体の合計含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは16質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、アルキル基の炭素数が4〜8であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が6〜8であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、2−エチルヘキシルアクリレートがさらに一層好ましい。
単量体成分Xにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのカルボキシル基含有単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
単量体成分Xにおけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体、アラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの芳香族系単量体のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、スチレン系単量体が好ましく、スチレンがより好ましい。
単量体成分Xにおける芳香族系単量体の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
シラン基含有単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのシラン基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
オキソ基含有単量体としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどの(ジ)エチレングリコール(メトキシ)(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキソ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2〜6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのフッ素原子含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのエポキシ基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
紫外線吸収性単量体としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの紫外線吸収性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−tert−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3’−tert−ブチルフェニル〕−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ〕プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕ブトキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
紫外線安定性単量体としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイル−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの紫外線安定性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分Xにおける他の単量体の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.7質量%以下、さらに好ましくは99.5質量%以下である。
エマルション粒子が複数の樹脂層を有する場合、当該エマルション粒子の最外層は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、単量体成分を乳化重合させた重合体で形成されていることが好ましい。この場合、最外層以外の層、例えば、エマルション粒子が2層の樹脂層で形成されている場合には内層、エマルション粒子が3層の樹脂層で形成されている場合には中間層および内層は、前記単量体成分に用いられる単量体と同様の種類の単量体を用いることができる。複数の樹脂層を有するエマルション粒子は、例えば、前記単量体成分を乳化重合させる場合と同様の重合方法および重合条件で単量体成分を多段乳化重合させることによって調製することができる。
エマルション粒子が内層と外層との2層の樹脂層を有する場合、内層および外層を有するエマルション粒子は、内層を形成する単量体成分を乳化重合させ、得られたエマルション粒子の存在下で外層を形成する単量体成分を乳化重合させることによって調製することができる。この場合、内層を形成する単量体成分は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、芳香族系単量体で構成されていることが好ましく、スチレンで構成されていることが好ましい。また、外層を形成する単量体成分は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、単量体成分Xであることが好ましい。
エマルション粒子が2層の樹脂層を有する場合、内層を構成している樹脂層と外層を構成している樹脂層との質量比(内層を構成している樹脂層/外層を構成している樹脂層)は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、さらに好ましくは15/85以上であり、造膜性および密着性を向上させる観点から、好ましくは30/70以下、より好ましくは25/75以下、さらに好ましくは20/80以下である。
エマルション粒子が内層と中間層と外層との3層の樹脂層を有する場合、内層と中間層と外層との3層の樹脂層を有するエマルション粒子は、内層を形成する単量体成分を乳化重合させ、得られたエマルション粒子の存在下で中間層を形成する単量体成分を乳化重合させ、得られたエマルション粒子の存在下で外層を形成する単量体成分を乳化重合させることによって調製することができる。この場合、内層を形成する単量体成分は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、芳香族系単量体で構成されていることが好ましく、スチレンで構成されていることが好ましい。中間層を形成する単量体成分は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、アセトアセトキシ基含有単量体0〜10質量%、アルキル(メタ)アクリレート60〜90質量%、芳香族系単量体1〜25質量%、カルボキシル基含有単量体0〜5質量%および窒素原子含有単量体1〜15質量%を含有することが好ましい。また、外層を形成する単量体成分は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、単量体成分Xであることが好ましい。
エマルション粒子が3層の樹脂層を有する場合、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、内層(第1層)を構成している樹脂層の含有率が10〜30質量%であり、内層と外層との間にある中間層(第2層)を構成している樹脂層の含有率が30〜50質量%であり、外層(第3層)を構成している樹脂層の含有率が30〜50質量%であることが好ましい。
エマルション粒子は、単量体成分を乳化重合させることによって調製することができる。単量体成分を乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下で単量体成分および重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分を水または水性媒体に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上の単量体を共重合成分とする重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
反応性乳化剤は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成するとともに、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物における無機充填材の含有率を高める観点から、好適に使用することができ、それらのなかでも環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10、アクアロンBC−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの反応性乳化剤は、いずれもそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分100質量部あたりの乳化剤の量は、重合安定性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応の単量体成分の残存量を低減させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分を反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部をフラスコ内に添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、pH緩衝剤、キレート剤、成膜助剤などの添加剤をフラスコ内に適量で添加してもよい。添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、単量体成分100質量部あたり、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
単量体成分を乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分を乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
単量体成分を乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜9時間程度である。
以上のようにして単量体成分を乳化重合させることにより、エマルション粒子が得られる。
エマルション粒子を構成している重合体は、架橋構造を有していてもよい。重合体の重量平均分子量は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは55万以上、特に好ましくは60万以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観点から、500万以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔東ソー(株)製、品番:HLC−8120GPC、カラム:TSKgel G−5000HXLとTSKgel GMHXL−Lとを直列に使用〕を用いて測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)を意味する。
単層の樹脂層を有するエマルション粒子において、当該樹脂層のガラス転移温度は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−65℃以上、さらに好ましくは−60℃以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
内層と外層との2層の樹脂層を有するエマルション粒子において、内層の樹脂層のガラス転移温度は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、造膜性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。また、外層の樹脂層のガラス転移温度は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−65℃以上、さらに好ましくは−60℃以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
内層と中間層と最外層との3層の樹脂層を有するエマルション粒子において、内層の樹脂層のガラス転移温度は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、造膜性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。中間層の樹脂層のガラス転移温度が、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上であり、造膜性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。また、外層の樹脂層のガラス転移温度は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−65℃以上、さらに好ましくは−60℃以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは−20℃以下、より好ましくは−25℃以下、さらに好ましくは−30℃以下である。
また、エマルション粒子全体のガラス転移温度は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−60℃以上、さらに好ましくは−50℃以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。
エマルション粒子を構成する樹脂層のエマルション粒子のガラス転移温度は、単量体成分に用いられる単量体の種類およびその量を調整することによって容易に調整することができる。
なお、本明細書において、エマルション粒子を構成する樹脂層のガラス転移温度は、当該重合体を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
本明細書においては、エマルション粒子を構成する樹脂層のガラス転移温度は、特に断りがない限り、前記フォックス(Fox)に基づいて求められたガラス転移温度を意味する。例えば、複数の樹脂層を有するエマルション粒子を構成する樹脂層全体のガラス転移温度は、多段乳化重合の際に用いられたすべての単量体成分における各単量体の質量分率とこれに対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度から求められたガラス転移温度を意味する。なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、単量体成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%以下である場合、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。単量体成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%を超える場合には、重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などによって求められる。
樹脂層のガラス転移温度は、単量体成分の組成を調整することにより、容易に調節することができる。エマルション粒子を構成する樹脂層のガラス転移温度を考慮して、当該エマルション粒子を構成する樹脂層の原料として用いられる単量体成分の組成を決定することができる。
重合体のガラス転移温度は、例えば、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃、アセトアセトキシエチルメタクリレートの単独重合体では18℃、アリルアセトアセテートの単独重合体では28.3℃、スチレンの単独重合体では100℃、アクリル酸の単独重合体では95℃、アクリロニトリルの単独重合体体では96℃、アクリルアミドの単独重合体では165℃、n−ブチルアクリレートの単独重合体では−56℃、n−ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランの単独重合体では70℃である。
なお、エマルション粒子が複数の樹脂層で構成されている場合、外層を構成している樹脂層の溶解パラメーター(以下、SP値ともいう)は、内層を構成している樹脂層のSP値よりも高いことが、塗膜の可撓性および造膜性を向上させる観点から好ましい。また、内層を構成している樹脂層のSP値と外層を構成している樹脂層とのSP値の差(絶対値)は、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から、大きいことが好ましい。
SP値は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義される値であり、2成分系溶液の溶解度の目安にもなっている。一般に、SP値が近い物質同士は互いに混ざりやすい傾向がある。したがって、SP値は、溶質と溶媒との混ざりやすさを判断する目安にもなっている。
エマルション粒子の平均粒子径は、エマルション粒子自体の機械的安定性を向上させる観点から、好ましくは100nm以上、より好ましくは150nm以上、さらに好ましくは200nm以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing Systems)社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
樹脂エマルションにおける不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
樹脂エマルションにおける不揮発分量は、樹脂エマルション1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔樹脂エマルションにおける不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔樹脂エマルション1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
また、前記樹脂エマルションの最低造膜温度は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは−20〜50℃である。樹脂エマルションの最低造膜温度は、例えば、エマルション粒子全体のガラス転移温度や最外層の樹脂層のガラス転移温度を調節することによって調整することができる。
なお、本明細書において、樹脂エマルションの最低造膜温度は、熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に樹脂エマルションを厚さが0.2mmとなるようにアプリケーターで塗工し、クラックが生じたときの温度を意味する。
本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物には、無機充填材が含有される。本発明においては、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率が80〜95質量%であり、エマルション粒子の原料としてアセトアセトキシ基含有単量体を含有する単量体成分が用いられている点に1つの大きな特徴がある。
本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、エマルション粒子の原料としてアセトアセトキシ基含有単量体を含有する単量体成分が用いられていることから、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率が80〜95質量%であるにもかかわらず、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成することができる。
無機充填材としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸アンモニウム塩などの炭酸塩、酸化亜鉛粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化ベリリウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、シリカ粒子、水酸化マグネシウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、珪酸カルシウム粒子、珪酸アルミニウム粒子、炭化珪素粒子、窒化硅素粒子、窒化硼素粒子、硫酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、ガラス粒子、カオリン、タルク、雲母粉末、金属粒子、カーボンブラックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの無機充填材のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、炭酸塩が好ましく、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩がより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムがさらに好ましく、炭酸カルシウムがさらに一層好ましい。
無機充填材における炭酸塩の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに一層好ましくは95質量%以上であり、その上限値は100質量%である。
無機充填材の形状としては、例えば、球状、繊維状、鱗片状、円錐状、破砕状、平面状、不定形状等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
無機充填材の平均粒子径は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
なお、無機充填材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法 粒度分布測定装置〔ベックマン・コールター社製、品番:LS13320〕を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
樹脂エマルションの不揮発分100質量部あたりの無機充填材の量は、塗膜強度を向上させるとともに経済性を高める観点から、好ましくは400質量部以上、より好ましくは500質量部以上、さらに好ましくは600質量部以上、さらに一層好ましくは700質量部以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは1900質量部以下である。
エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、80質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、95質量%以下、好ましくは94質量%以下、より好ましくは93質量%以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率は、式:
[エマルション粒子および無機充填材の合計固形分における無機充填材の含有率(質量%)]
=[(無機充填材)/(樹脂エマルションの固形分+無機充填材)]×100
に基づいて求められた値を意味する。
また、エマルション粒子および無機充填材の合計固形分におけるエマルション粒子の含有率は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、5質量%以上、好ましくは6質量%以上、より好ましくは7質量%以上であり、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、20質量%以下である。
本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、例えば、前記エマルション粒子を含有する樹脂エマルション、前記無機充填材、必要により架橋剤などを混合することにより、容易に調製することができる。これらの成分を混合する順序は、任意であり、例えば、これらの成分を一括して混合してもよい。
架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、チタネート系架橋剤、尿素系架橋剤、アルキルアルコール化尿素系架橋剤、ヒドラジン化合物、カルボジイミド化合物、ジルコニウム化合物、亜鉛化合物、チタニウム化合物、アルミニウム化合物などの多価金属化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。架橋剤の量は、当該架橋剤の種類、などに応じて適宜設定することが好ましい。
これらの架橋剤のなかでは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、オキサゾリン系架橋剤およびヒドラジン化合物が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)エタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,8−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、1,4−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、1,3−ビス(2−オキサゾリン−2−イル)ベンゼン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキサゾリン系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。オキサゾリン系架橋剤は、商業的に容易に入手することができるものであり、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスK−2010、エポクロスK−2020、エポクロスK−2030などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ヒドラジン化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、ジドラジド基を有する重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、本発明のひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物における不揮発分の含有量は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
本発明のシーラーは、前記ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を含有するものであり、当該ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物のみを含有するものであってもよく、さらに添加剤が配合されていてもよい。
添加剤としては、例えば、顔料などの着色剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、重合禁止剤、充填剤、カップリング剤、防錆剤、抗菌剤、金属不活性化剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防曇剤、防食剤、顔料分散剤、流動調整剤、過酸化物分解剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤、防藻剤、防カビ剤、難燃剤、スリップ剤、金属キレート剤、アンチブロッキング剤、耐熱安定剤、加工安定剤、分散剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、成膜助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
添加剤の量は、当該添加剤の種類によって異なるので一概には決定することができないことから、当該添加剤の種類に応じて適宜決定することが好ましい。
なお、本発明のシーラーにおける不揮発分の含有量は、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
以上のようにして得られる本発明のひび割れ補修用シーラーは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成することから、例えば、建築物の外壁を構成する外装用建材などを補修する際に好適に使用することができる。
前記外装用建材としては、例えば、金属製基材、樹脂製基材、無機質基材などが挙げられる。金属製基材としては、例えば、アルミニウム板、鉄板、アルミニウム亜鉛めっき鋼板、ステンレス鋼板、ブリキ板などが挙げられる。樹脂製基材としては、例えば、アクリル樹脂板、塩化ビニル樹脂板、ポリカーボネート板、ABS樹脂板、ポリエステル板、ポリエチレン板、ポリプロピレン板などが挙げられる。無機質基材としては、例えば、JIS A5422、JIS A5430などに記載されている窯業建材、ガラス基材などが挙げられる。窯業建材としては、例えば、瓦、外壁材などが挙げられる。窯業建材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料などを添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。建築物の外装を構成する無機質基材としては、例えば、モルタル板、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記外層用基材の表面に形成されている旧塗膜の原料として用いられる塗料としては、例えば、フッ素樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料などの一般的な溶剤系樹脂塗料、水系樹脂塗料などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
旧塗膜のなかでは、フッ素樹脂系塗料からなる旧塗膜は、表面極性が小さく、有機化合物との濡れ性、相互作用などに劣るため、一般に当該旧塗膜上に新たな塗膜を形成させて密着させることが困難であると考えられている。このことから、旧塗膜上に新たに形成された塗膜がフッ素樹脂系塗料からなる旧塗膜に対する密着性に優れるということは、当該新たに形成された塗膜は、フッ素樹脂系塗料のみならず、アクリル樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料などの一般的な塗料から形成されている旧塗膜に対する密着性にも優れるものと考えられる。
これに対して、本発明のひび割れ補修用シーラーは、密着させることが困難であると考えられているフッ素樹脂系塗料などの塗料からなる旧塗膜との密着性に優れており、さらに耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高いことから、フッ素樹脂系塗料のみならず、フッ素樹脂系塗料以外のアクリル樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料などの一般的な塗料から形成されている旧塗膜のひび割れなどを補修する際に好適に使用することができる。
なお、本発明のひび割れ補修用シーラーを1層のみで塗工してもよく、2層以上の塗膜が形成されるように重ね塗りすることによって塗工してもよい。2層以上の塗膜が形成されるように重ね塗りをする場合、その一部の塗膜のみを本発明のひび割れ補修用シーラーによって形成させてもよく、すべての塗膜を本発明のひび割れ補修用シーラーで形成させてもよい。
本発明のひび割れ補修用シーラーを用いて塗膜を形成させる方法としては、例えば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート、こて塗りなどによる塗装法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明のひび割れ補修用シーラーを用いて形成された塗膜は、例えば、常温で乾燥させてもよく、加熱することによって乾燥させてもよい。本発明のひび割れ補修用シーラーは、常温で乾燥させることができるので、旧塗膜に生じているひび割れなどを補修する現場における作業性を向上させることができる。
また、本発明のひび割れ補修用シーラーを用いて形成された塗膜の厚さは、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、通常、10〜1000μm程度であることが好ましい。
補修用下地塗料の基材に対する塗布量は、当該基材の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、モルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成する観点から、通常、不揮発分量で20〜1000g/m2程度であることが好ましい。
以上のようにしてモルタルなどの外壁材の表面上の旧塗膜を補修することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
製造例
脱イオン水367.9部、分散剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコスパース44C〕12.5部、炭酸カルシウム〔重質炭酸カルシウム、日東粉化工業(株)製、品番:NS#100〕500部、炭酸カルシウム〔重質炭酸カルシウム、日東粉化工業(株)製、品番:SS#80〕500部、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕5.0部および3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕60.0部を3000min-1にて30分間撹拌することによって熟成を行ない、100メッシュ(JISメッシュ、以下同様)の金網で濾過し、不揮発分量が70質量%である炭酸カルシウムペーストを得た。なお、炭酸カルシウムペーストにおける不揮発分量は、樹脂エマルションにおける不揮発分量と同様の方法で求めた。
実施例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート72.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン20.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pH〔(株)堀場製作所製、品番:F−23を用いて23℃で測定、以下同様〕を9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−40.8℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例2
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート60.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン32.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−25.3℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例3
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート46.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン46.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−4.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例4
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート57.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート5.0部、スチレン31.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−23.1℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例5
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート57.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート5.0部、スチレン34.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル1.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−23.0℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例6
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート5.0部、スチレン20.0部、アクリル酸3.0部およびアクリルアミド4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−36.6℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例7
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート60.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン36.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−25.3℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例8
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート60.0部、アリルアセトアセテート1.0部、スチレン32.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−25.3℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は220nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例9
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水6.9部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液4.0部およびスチレン20.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水30.1部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液12.0部、2−エチルヘキシルアクリレート70.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン2.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−38.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が90質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例10
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水6.9部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液4.0部およびスチレン20.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水30.1部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液12.0部、2−エチルヘキシルアクリレート66.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート5.0部、スチレン2.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.1℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が90質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例11
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水6.9部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液4.0部およびスチレン20.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水30.1部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液12.0部、2−エチルヘキシルアクリレート60.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン12.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル4.0部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−25.3℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が90質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例12
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水6.9部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液4.0部およびスチレン15.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水30.1部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液12.0部、2−エチルヘキシルアクリレート65.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン12.0部、アクリル酸3.0部、アクリロニトリル2.0部およびアクリルアミド2.0部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−31.6℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が92質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実施例13
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水39.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水6.9部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液4.0部およびスチレン20.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
その後、脱イオン水15.0部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液6.0部、2−エチルヘキシルアクリレート26.0部、スチレン11.5部、アクリル酸0.5部およびアクリロニトリル2.0部からなる2段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持した。
次に、脱イオン水15.0部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液6.0部、2−エチルヘキシルアクリレート26.0部、アセトアセトキシエチルメタクリレート1.0部、スチレン8.5部、アクリル酸2.5部およびアクリロニトリル2.0部からなる3段目のプレエマルション、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液2.9部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.0部を90分間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃の温度で60分間維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−13.8℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が92質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例1
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン27.0部、アクリル酸3.0部およびアクリロニトリル2.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例2
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン29.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が80質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例3
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン29.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が50質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例4
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン29.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた混合物に、不揮発分量が45質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例5
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン29.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が70質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
比較例6
滴下ロート、攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水43.0部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水32.6部、乳化剤としてアリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液16.0部、2−エチルヘキシルアクリレート68.0部、スチレン29.0部およびアクリル酸3.0部を仕込み、滴下用プレエマルションを調製した。
得られた滴下用プレエマルションのうち、単量体成分の総量の1質量%を前記フラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液1.4部をフラスコ内に添加し、乳化重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部、3.5%過硫酸アンモニウム水溶液8.6部および2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液6.0部を240分間かけてフラスコ内に滴下させた。滴下終了後、80℃の温度で120分間維持した。
その後、25%アンモニア水を添加し、pHを9.0に調整して乳化重合反応を終了した。得られた反応混合物を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分量が50質量%の樹脂エマルションを得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子全体のガラス転移温度は−35.4℃であった。エマルション粒子の平均粒子径は250nmであった。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部をホモディスパーにより1000min-1で分散させながら、造膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕をその造膜温度が0℃となるように前記樹脂エマルションに添加し、混合物を得た。
前記で得られた樹脂エマルションに含まれるエマルション粒子および炭酸カルシウムペーストの合計固形分における炭酸カルシウムペーストの固形分の含有率が98質量%となるように、製造例で得られた炭酸カルシウムペーストを前記で得られた混合物に添加し、さらに不揮発分量が60質量%となるように適量の希釈水および適量のシリコーン系消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777〕を添加した後、BM型粘度計〔東京計器(株)製〕で回転速度30min-1における25℃での粘度が15000mPa・sとなるように3%に希釈した増粘剤〔ダイセル化学工業(株)製、品番:SP−850〕を添加し、回転速度1000min-1で15分間攪拌することにより、ひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を得た。
実験例
各実施例または各比較例で得られたひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物の物性として、耐水性、伸び性、伸び強度および密着性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
〔耐水性〕
各実施例または各比較例で得られたひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物をフレキシブルボード〔日本テストパネル(株)製〕に乾燥後の厚さが0.5mmとなるように塗布し、温度が23℃で相対湿度が50%の雰囲気中で14日間静置することによって乾燥させ、試験板を得た。得られた試験板に形成された塗膜上にロート(直径:10cm)を載置し、両者の接触部をシリコーン系バスボンド〔コニシ(株)製〕でシールし、JIS K5400に規定の「ロート法」に準拠して24時間経過後の減水量を測定し、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
(評価基準)
50点:0.3mL/cm2未満
30点:0.3mL/cm2以上、0.5mL/cm2未満
10点:0.5mL/cm2以上、1.0mL/cm2未満
0点:1.0mL/cm2以上(不合格)
〔伸び性および伸び強度〕
金属製の板上に離型紙を敷き、その上に乾燥後の厚さが0.5mmとなるように、各実施例または各比較例で得られたひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を塗布し、温度が23℃で相対湿度が50%の雰囲気中で7日間静置することによって乾燥させた後、形成された塗膜を剥がし、剥がした塗膜の表と裏とを逆にして離型紙の上でさらに7日間静置することによって乾燥させ、試験片を得た。
次に、この試験片をJIS K6251の4.1に規定するダンベル状2号形に打ち抜き、離型紙を取り除くことにより、試験片を得た。得られた試験片を引張り試験機のチャック間距離が60mmとなるように取り付け、200mm/minの引張り速度で試験片が破断するまで引張り荷重を加える操作を行ない、破断時における試験片の伸び率および最大引張り荷重を求め、以下の評価基準に基づいて伸び性および伸び強度を評価した。
(1)伸び性の評価基準
50点:伸び率が50%以上
30点:伸び率が30%以上、50%未満
10点:伸び率が10%以上、30%未満
0点:伸び率が10%未満(不合格)
(2)伸び強度の評価基準
50点:最大引張り荷重が2.0N/mm2以上
30点:最大引張り荷重が1.5N/mm2以上、2.0N/mm2未満
10点:最大引張り荷重が1.0N/mm2以上、1.5N/mm2未満
0点:最大引張り荷重が1.0N/mm2未満(不合格)
〔密着性〕
JIS K5600−5−6に準拠して碁盤目試験を行なった。
(1)樹脂エマルションの調製
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に、脱イオン水796部を仕込んだ。滴下ロートに、脱イオン水417部、乳化剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンBC−10〕の25%水溶液60部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕60部、2−エチルヘキシルアクリレート270部、n−ブチルアクリレート100部、n−ブチルメタクリレート100部、メチルメタクリレート500部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン10部およびアクリル酸10部からなる滴下用プレエマルションを調製し、そのうち全単量体成分の総量の5%にあたる77部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら70℃まで昇温し、5%過硫酸アンモニウム水溶液10部を添加し、重合を開始した。その後、滴下用プレエマルションの残部と5%過硫酸アンモニウム水溶液30部と5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を240分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、フラスコの内容物を70℃で60分間維持し、25%アンモニア水を添加することによってpHを8に調整し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、樹脂エマルションを調製した。この樹脂エマルションにおける不揮発分の含有率は43%であり、樹脂エマルションに含まれているエマルション粒子を構成している樹脂のガラス転移温度は9℃であった。
(2)評価用塗料の調製
脱イオン水210部、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール60部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−95〕1000部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をホモディスパーで回転速度3000min-1にて60分間分散させることにより、白色ペーストを調製した。
次に、前記で得られた樹脂エマルション100部に成膜助剤としてブチルセロソルブ5部および2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート〔JNC(株)製、品番:CS−12〕5部を添加し、さらに水21.5部および25%アンモニア水0.5部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて30分間撹拌した後、前記で得られた白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計〔ブルックフィールド社製、品番:KU−1〕を用いて25℃で測定したときの粘度が61KUとなるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、評価用塗料を調製した。
(3)評価用試験片の作製
次に、フッ素樹脂系塗料が塗布された基材の塗膜を屋外に曝露することによって劣化させ、塗膜の表面にひび割れが発生した塗膜を旧塗膜として用い、当該塗膜上に、各実施例または各比較例で得られたひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物を乾燥後の厚さが500g/m2となるように塗布し、温度が23℃で相対湿度が50%の雰囲気中で2日間静置することによって乾燥させた後、さらに前記で得られた評価用塗料を乾燥後の厚さが100g/m2となるように塗布し、温度が23℃で相対湿度が50%の雰囲気中で2日間静置することによって乾燥させることにより、評価用試験片を得た。
(4)碁盤目試験
前記で得られた評価用試験片の塗膜に鋭利な刃物で2mm角の碁盤目状に25マス(縦:5マス、横:5マス)の切込みを入れた後、JIS Z1522に準拠して25mm幅のセロハン粘着テープを指で擦ることによって当該セロハン粘着テープを碁盤目状に密着させ、25℃の大気中にて5分間静置させた後、剥がした。作製した25マスのうち、剥離したマス目の数を数え、以下の評価基準に基づいて密着性を評価した。
(評価基準)
50点:マス目の剥離数が0個
40点:マス目の剥離数が1〜4個
30点:マス目の剥離数が5〜9個
20点:マス目の剥離数が10〜19個
0点:マス目の剥離数が20個以上(不合格)
〔総合評価〕
各試験項目における評価得点を合計することにより、総合評価(200点満点)を行なった。なお、物性評価において0点の評価が1つでもあるひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、不合格である。
表1に示された結果から、各実施例で得られたひび割れ補修用シーラー用樹脂組成物は、いずれも、耐水性に優れ、伸び性に優れるとともに伸び強度が高く、密着させることが困難であると考えられているフッ素樹脂系塗料からなる旧塗膜との密着性に優れた塗膜を形成することがわかる。