本発明の塗料用水性樹脂組成物は、前記したように、多層構造を有するエマルション粒子、水溶性ポリマーおよび架橋剤を含有する塗料用水性樹脂組成物であり、前記水溶性ポリマーが5万〜20万の重量平均分子量を有することを特徴とする。
エマルション粒子は、多層構造を有する。エマルション粒子が有する層構造の数は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、2層以上であることが好ましく、2層または3層であることがより好ましい。
以下においては、エマルション粒子が内層および外層を有するときの実施態様について説明するが、本発明は、かかる実施態様のみに限定されるものではなく、2層以上の層構造を有するものであってもよい。
内層を構成する重合体の原料として用いられる単量体成分(以下、単量体成分Aという)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環構造を有する単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有単量体、芳香族系単量体、カルボニル基含有単量体、ケイ素原子含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分Aには、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、アルキル(メタ)アクリレートおよび脂環構造を有する単量体が含有されていることが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜12、好ましくは1〜8であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体成分Aにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは10〜85質量%、より好ましくは15〜80質量%である。
脂環構造を有する単量体において、脂環構造は、好ましくは炭素数が4〜20のシクロアルキル基、より好ましくは炭素数が4〜10のシクロアルキル基である。脂環構造を有する単量体としては、例えば、シクロアルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。また、これらの単量体は、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル基、tert−ブチル基などのアルキル基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシル基、アシル基、スルホン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのシクロアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。シクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、4−メチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル基の炭素数が好ましくは4〜20、より好ましくは4〜10であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのシクロアルキルアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
脂環構造を有する単量体のなかでは、炭素数が4〜20のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が4〜10のシクロアルキル基を有するシクロアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
単量体成分Aにおける脂環構造を有する単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜55質量%である。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートのなかでは、被膜の耐水クラック性および長期親水性を向上させる観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびグリセリンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
単量体成分Aにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有脂肪族系単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分Aにおけるカルボキシル基含有単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。
芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−メチルスチレン、クロロスチレン、アラルキル(メタ)アクリレート、ビニルトルエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。アラルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、メチルベンジル(メタ)アクリレート、ナフチルメチル(メタ)アクリレートなどの炭素数が7〜18のアラルキル基を有するアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族系単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの芳香族系単量体のなかでは、スチレンが好ましい。
単量体成分Aにおける芳香族系単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
本発明において、カルボニル基含有単量体は、式:=C=Oで表わされる基を有する単量体であって、当該カルボニル基が有する2つの結合手のうちの一方の結合手に水素原子またはアルキル基が結合し、他方の結合手にビニル基などの重合性不飽和二重結合を末端に有する基が結合している単量体を意味する。カルボニル基含有単量体としては、例えば、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ケイ素原子含有単量体としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
フッ素原子含有単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が2〜6のフッ素原子含有アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
エポキシ基含有単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
紫外線吸収性単量体としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシメチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルアミノメチル−5’−tert−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチル−3’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5′−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル〕−5−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−5’−(β−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3’−tert−ブチルフェニル〕−4−tert−ブチル−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ〕プロポキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−4−〔2−(メタ)アクリロイルオキシ〕ブトキシベンゾフェノンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
紫外線安定性単量体としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイル−1−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの紫外線安定性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分Aを乳化重合させる方法としては、例えば、メタノールなどの低級アルコールなどの水溶性有機溶媒と水とを含む水性媒体、水などの媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下で単量体成分Aおよび重合開始剤を滴下させる方法、乳化剤および水を用いてあらかじめ乳化させておいた単量体成分Aを水または水性媒体に滴下させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法のみに限定されるものではない。なお、媒体の量は、得られる樹脂エマルションに含まれる不揮発分量を考慮して適宜設定すればよい。
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルマリン縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチルアクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上の単量体を共重合成分とする重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、前記乳化剤としては、被膜の耐水クラック性、耐水変形性、耐水白化性、耐候性および長期親水性を向上させる観点から、反応性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノールRS−30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、SR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープNE−10など)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
単量体成分A100質量部あたりの乳化剤の量は、単重合安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、被膜の耐透水性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2―ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)などのアゾ化合物;過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化アンモニウムなどの過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体成分A100質量部あたりの重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応の単量体成分Aの残存量を低減させる観点から、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、形成される被膜の耐透水性を向上させる観点から、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
重合開始剤の添加方法は、特に限定されない。その添加方法としては、例えば、一括仕込み、分割仕込み、連続滴下などが挙げられる。また、重合反応の終了時期を早める観点から、単量体成分Aを反応系内に添加する終了前またはその終了後に、重合開始剤の一部をフラスコ内に添加してもよい。
なお、重合開始剤の分解を促進するために、例えば、亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤、硫酸第一鉄などの遷移金属塩などの重合開始剤の分解剤を反応系内に適量で添加してもよい。
また、反応系内には、必要により、例えば、tert−ドデシルメルカプタンなどのチオール基を有する化合物などの連鎖移動剤、pH緩衝剤、キレート剤、造膜助剤などの添加剤をフラスコ内に添加してもよい。単量体成分A100質量部あたりの添加剤の量は、その種類によって異なるので一概には決定することができないが、通常、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
単量体成分Aを乳化重合させる際の雰囲気は、特に限定されないが、重合開始剤の効率を高める観点から、窒素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分Aを乳化重合させる際の重合温度は、特に限定がないが、通常、好ましくは50〜100℃、より好ましくは60〜95℃である。重合温度は、一定であってもよく、重合反応の途中で変化させてもよい。
単量体成分Aを乳化重合させる重合時間は、特に限定がなく、重合反応の進行状況に応じて適宜設定すればよいが、通常、2〜9時間程度である。
以上のようにして単量体成分Aを乳化重合させることにより、内層を構成するエマルション粒子が得られる。
前記エマルション粒子を構成している重合体は、架橋構造を有していてもよい。重合体の重量平均分子量は、被膜の耐透水性を向上させる観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは55万以上、さらに一層好ましくは60万以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観点から、500万以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー〔(株)日立ハイテクフィールディング製、品番:LaChrom L−7000、カラム:(株)東ソー製のTSKgel α−Mの2本を直列に使用〕を用いて測定された重量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)を意味する。
次に、単量体成分Aを乳化重合させた反応溶液中で、外層を構成する重合体の原料として用いられる単量体成分(以下、単量体成分Bという)を乳化重合させることにより、外層を形成することができる。
単量体成分Bを乳化重合させる際には、単量体成分Aを乳化重合させることによって得られる重合体の重合反応率が90%以上、好ましくは95%以上に到達した後、単量体成分Bを乳化重合させることが、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から好ましい。
単量体成分Aを重合させることによって内層を形成させた後、外層を形成させる前に、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、他の重合体からなる中間層が形成されていてもよい。したがって、本発明においては、単量体成分Aを乳化重合させて内層を形成した後、単量体成分Bを乳化重合させて外層を形成する前に、本発明の目的を阻害しない範囲内で他の層を形成してもよい。
本発明においては、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、単量体成分Bにカルボニル基含有単量体が含有されていることが好ましい。
カルボニル基含有単量体としては、単量体成分Aに用いられるカルボニル基含有単量体と同様のものを例示することができる。より具体的には、カルボニル基含有単量体としては、例えば、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カルボニル基含有単量体のなかでは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドが好ましく、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがより好ましく、アクリロレイン、メタクロレイン、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがさらに好ましく、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがさらに一層好ましい。
単量体成分Bにおけるカルボニル基含有単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
また、単量体成分Aと単量体成分Bとの合計単量体におけるカルボニル基含有単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
単量体成分Bにおけるカルボニル基含有単量体以外の単量体(以下、他の単量体Bという)としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、脂環構造を有する単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、芳香族系単量体、カルボキシル基含有単量体、ケイ素原子含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの単量体としては、単量体成分Aで例示したものと同様のものを例示することができる。
単量体成分Bにおける他の単量体Bの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは85質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
単量体成分Bは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、アルキル(メタ)アクリレートおよび脂環構造を有する単量体が含有されていることが好ましい。
単量体成分Bにおけるアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは35〜80質量%、より好ましくは40〜75質量%である。
単量体成分Bにおける脂環構造を有する単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
単量体成分Bにおける芳香族系単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜25質量%である。
単量体成分Bにおけるケイ素原子含有単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。
単量体成分Bにおける紫外線安定性単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜3質量%である。
単量体成分Bにおける水酸基含有(メタ)アクリレートの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは3〜25質量%である。
単量体成分Bを乳化重合させる方法および重合条件は、単量体Aを乳化重合させる方法および重合条件と同様であればよい。
以上のようにして単量体成分Bを乳化重合させることにより、外層を形成する重合体が内層の表面に形成されたエマルション粒子を得ることができる。なお、このエマルション粒子の外層の表面上には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、必要により、他の重合体からなる表面層がさらに形成されていてもよい。
単量体成分Bを乳化重合させることによって得られる重合体は、架橋構造を有していてもよい。重合体の重量平均分子量は、被膜の耐透水性を向上させる観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、さらに好ましくは55万以上、特に好ましくは60万以上である。重合体の重量平均分子量の上限値は、架橋構造を有する場合、その重量平均分子量を測定することが困難なため、特に限定されないが、架橋構造を有しない場合には、造膜性を向上させる観点から、500万以下であることが好ましい。
内層を構成している重合体および外層を構成している重合体のうちのいずれか一方のガラス転移温度は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
内層を構成している重合体および外層を構成している重合体のうちのいずれか一方のガラス転移温度は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは−70℃以上、より好ましくは−60℃以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは20℃以下、より好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−10℃以下、さらに一層好ましくは−20℃以下である。
また、エマルション粒子全体のガラス転移温度は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは−5℃以上、より好ましくは0℃以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下である。
なお、本明細書において、重合体のガラス転移温度は、当該重合体を構成する単量体成分に使用されている単量体の単独重合体のガラス転移温度を用いて、式(I):
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100 (I)
〔式中、Wmは重合体を構成する単量体成分における単量体mの含有率(質量%)、Tgmは単量体mの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
本明細書においては、エマルション粒子を構成する重合体のガラス転移温度は、特に断りがない限り、式(I)に基づいて求められたガラス転移温度を意味する。例えば、多層構造を有するエマルション粒子を構成する重合体全体のガラス転移温度は、多段乳化重合の際に用いられたすべての単量体成分における各単量体の質量分率とこれに対応する単量体の単独重合体のガラス転移温度から求められたガラス転移温度を意味する。なお、特殊単量体、多官能単量体などのようにガラス転移温度が不明の単量体については、単量体成分における当該ガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%以下である場合、ガラス転移温度が判明している単量体のみを用いてガラス転移温度が求められる。単量体成分におけるガラス転移温度が不明の単量体の合計量が質量分率で10質量%を超える場合には、重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)、示差熱量分析(DTA)、熱機械分析(TMA)などによって求められる。
重合体のガラス転移温度は、単量体成分の組成を調整することにより、容易に調節することができる。エマルション粒子を構成する重合体のガラス転移温度を考慮して、当該エマルション粒子を構成する重合体の原料として用いられる単量体成分の組成を決定することができる。
重合体のガラス転移温度は、例えば、2−エチルヘキシルアクリレートの単独重合体では−70℃、n−ブチルアクリレートの単独重合体では−56℃、n−ブチルメタクリレートの単独重合体では20℃、メチルメタクリレートの単独重合体では105℃、シクロヘキシルメタクリレートの単独重合体では83℃、tert−ブチルメタクリレートの単独重合体では107℃、スチレンの単独重合体では100℃、アクリル酸の単独重合体では95℃、メタクリル酸の単独重合体では130℃、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの単独重合体では55℃、ダイアセトンアクリルアミドの単独重合体では77℃、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの単独重合体では70℃、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンの単独重合体では約130℃、グリセリンモノメタクリレートの単独重合体では55℃である。
なお、外層を構成している重合体の溶解パラメーター(以下、SP値ともいう)は、内層を構成している重合体のSP値よりも高いことが、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から好ましい。また、内層を構成している重合体のSP値と外層を構成している重合体のSP値の差(絶対値)は、エマルション粒子内で層分離構造を形成させる観点から、大きいことが好ましい。
なお、SP値は、ヒルデブラント(Hildebrand)によって導入された正則溶液論により定義される値であり、2成分系溶液の溶解度の目安にもなっている。一般に、SP値が近い物質同士は互いに混ざりやすい傾向がある。したがって、SP値は、溶質と溶媒との混ざりやすさを判断する目安にもなっている。
内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との質量比(内層を構成している重合体/外層を構成している重合体)は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは10/90以上、より好ましくは15/85以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは60/40以下である。
また、エマルション粒子における内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは40質量%以上であり、内層を構成している重合体と外層を構成している重合体との合計含有量が多いほど好ましく、その上限値は100質量%である。
エマルション粒子の平均粒子径は、エマルション粒子自体の機械的安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、被膜の耐水性を向上させる観点から、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下である。
なお、本明細書において、エマルション粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定器〔パーティクル・サイジング・システムズ(Particle Sizing Systems)社製、商品名:NICOMP Model 380)を用いて測定された体積平均粒子径を意味する。
樹脂エマルションにおける不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
なお、樹脂エマルションにおける不揮発分量は、樹脂エマルション1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔樹脂エマルションにおける不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔樹脂エマルション1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
また、樹脂エマルションの最低造膜温度は、造膜性を向上させる観点から、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下である。本発明の樹脂エマルションの最低造膜温度は、例えば、エマルション粒子全体のガラス転移温度や外層のガラス転移温度を調節することによって調整することができる。
なお、本明細書において、樹脂エマルションの最低造膜温度は、熱勾配試験機の上に置いたガラス板上に樹脂エマルションを厚さが0.2mmとなるようにアプリケーターで塗工し、クラックが生じたときの温度を意味する。
以上のようにして得られるエマルション粒子を水性樹脂組成物に用いることにより、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた被膜を形成することができる。
本発明において、水溶性ポリマーの原料として用いられる単量体成分(以下、単量体成分Cという)には、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、カルボニル基含有単量体を含有することが好ましい。
このように、前記エマルション粒子とともに水溶性ポリマーが用いられているので、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得ることができる。
単量体成分Cに用いられるカルボニル基含有単量体としては、単量体成分Aに用いられるカルボニル基含有単量体と同様のものを例示することができる。より具体的には、カルボニル基含有単量体としては、例えば、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−アクリレートアセチルアセテート、2−(アセトアセトキシ)エチルアクリレート、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのカルボニル基含有単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カルボニル基含有単量体のなかでは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、ビニルエチルケトン、アクリルオキシアルキルプロペナール、メタクリルオキシアルキルプロペナール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドが好ましく、アクリロレイン、メタクロレイン、ホウミルスチロール、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがより好ましく、アクリロレイン、メタクロレイン、アセトニルアクリレート、アセトニルメタクリレート、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがさらに好ましく、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、ダイアセトンアクリルアミドおよびダイアセトンメタクリルアミドがさらに一層好ましい。
単量体成分Cにおけるカルボニル基含有単量体の含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
単量体成分Cにおけるカルボニル基含有単量体以外の単量体には、水溶性ポリマーを与える単量体が用いられる。水溶性ポリマーを与える単量体として、水溶性モノマーを用いることができる。
水溶性モノマーとしては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水溶性モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。水溶性モノマーのなかでは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、N−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムが好ましく、N−ビニルピロリドンがより好ましい。
単量体成分Cにおける水溶性モノマーの含有率は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、99質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは97質量%以下である。
なお、単量体成分Cには、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他のモノマーCが含まれていてもよい。他のモノマーCとしては、例えば、単量体成分Aに用いられるアルキル(メタ)アクリレート、脂環構造を有する単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、芳香族系単量体、ケイ素原子含有単量体、フッ素原子含有単量体、窒素原子含有単量体、エポキシ基含有単量体、紫外線吸収性単量体、紫外線安定性単量体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。単量体成分Cにおける他のモノマーCの含有率は、当該他のモノマーの種類などによって異なることから一概には決定することができないが、水溶性ポリマーの水溶性を維持する観点から、通常、10質量%以下であることが好ましい。
水溶性ポリマーは、カルボニル基含有単量体と水溶性モノマーと必要により他のモノマーCとのランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよく、あるいはグラフトコポリマーであってもよい。これらのなかでは、水溶性ポリマーは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、グラフトコポリマーであることが好ましい。
水溶性ポリマーは、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、沈殿重合法などの重合方法によって調製することができる。これらの重合方法のなかでは、溶液重合法が好ましく、溶媒として水を用いた溶液重合法がより好ましい。
水溶性ポリマーを溶液重合法によって調製する場合、溶媒が用いられる。溶媒としては、例えば、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、アミド、スルホキシド、炭化水素化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。好適な溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、トルエン、酢酸エチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、前記溶媒には、必要により、有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属水酸化物などが適量で含まれていてもよい。
水溶性ポリマーを調製する際の重合温度は、特に限定されないが、通常、好ましくは0〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。また、重合反応の際の圧力は、常圧であってもよく、減圧であってもよく、あるいは加圧であってもよい。重合反応の際の雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
単量体成分Cを重合させることによって水溶性ポリマーを調製する場合、および水溶性モノマーを含有する幹ポリマー用単量体成分を重合させた後、得られた幹ポリマーに単量体成分Cをグラフト共重合させることによって水溶性ポリマーを調製する場合のいずれの場合においても、重合の際に重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジtert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド;tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジtert−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどのパーオキシエステル;n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。重合に供させる単量体成分100質量部あたりの重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、0.01〜10質量部程度であることが好ましい。なお、重合開始剤は、重合反応の開始時に一括で仕込んでもよく、重合反応中に逐次添加してもよい。
前記重合開始剤は、適量の還元剤と併用することができる。還元剤としては、例えば、鉄(II)塩、亜ジチオン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アスコルビン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして単量体成分Cを重合させるか、または水溶性モノマーを含有する幹ポリマー用単量体成分を重合させた後、得られた幹ポリマーに単量体成分Cをグラフト共重合させることにより、水溶性ポリマーを調製することができる。
水溶性ポリマーの重量平均分子量は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、5万以上、より好ましくは6万以上、さらに好ましくは8万以上であり、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、20万以下、好ましくは19万以下、さらに好ましくは18万以下である。
エマルション粒子と水溶性ポリマーとの質量比〔エマルション粒子/水溶性ポリマー(不揮発分量)〕は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは60/40〜99/1であり、より好ましくは70/30〜99/1であり、さらに好ましくは75/25〜99/1であり、さらに一層好ましくは80/20〜98/2であり、特に好ましくは90/10〜97/3である。
なお、本発明の塗料用水性樹脂組成物には、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、架橋剤が含有される。
架橋剤は、カルボキシル基、ヒドラジド基、オキサゾリン基およびエポキシ基のうちの少なくとも1種を2個以上有する化合物であることが好ましく、ヒドラジド基を2つ以上有する化合物であることがより好ましい。
架橋剤としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜10のジカルボン酸ジヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなどの炭素数2〜4の脂肪族水溶性ジヒドラジン、オキサゾリン基含有水溶性架橋性ポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの架橋剤のなかでは、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジドなどの炭素数4〜6のジカルボン酸ジヒドラジドおよびオキサゾリン基含有水溶性架橋性ポリマーが好ましく、アジピン酸ジヒドラジドおよびオキサゾリン基含有水溶性架橋性ポリマーがより好ましい。
オキサゾリン基含有水溶性架橋性ポリマーは、商業的に容易に入手することができるものであり、その例として、エポクロス(登録商標)WS−300、エポクロス(登録商標)WS−500、エポクロス(登録商標)WS−700などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
エマルション粒子および水溶性樹脂と架橋剤との質量比〔エマルション粒子および水溶性樹脂/架橋剤(不揮発分量)〕は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れた塗料用水性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは80/20〜99.9/0.1、より好ましくは90/10〜99.7/0.3、さらに好ましくは92/8〜99.5/0.5、さらに一層好ましくは94/6〜99.3/0.7である。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、エマルション粒子と水溶性ポリマーと架橋剤を適量で混合することによって容易に調製することができる。エマルション粒子は、通常、当該エマルション粒子を調製したときに得られる樹脂エマルションの状態で用いることができる。
また、本発明の塗料用水性樹脂組成物には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、成膜助剤、消泡剤、pH緩衝剤、キレート剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、レベリング剤、分散剤、増粘剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、艶消剤、凍結防止剤、コロイダルシリカなどの添加剤が適量で含まれていてもよい。
本発明の塗料用水性樹脂組成物における不揮発分量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上であり、取り扱い性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。本発明の塗料用水性樹脂組成物における不揮発分量は、例えば、本発明の塗料用水性樹脂組成物における含水量を調整することによって調節することができる。
なお、本明細書において、水性樹脂組成物における不揮発分量は、水性樹脂組成物1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃の温度で1時間乾燥させ、得られた残渣を不揮発分とし、式:
〔水性樹脂組成物における不揮発分量(質量%)〕
=(〔残渣の質量〕÷〔水性樹脂組成物1g〕)×100
に基づいて求められた値を意味する。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、そのままの状態で、または前記添加剤を添加することにより、例えば、塗料などとして用いることができる。
本発明の塗料用水性樹脂組成物は、例えば、金属、ガラス、磁器、コンクリート、サイディングボード、樹脂などの素材からなる基材の表面仕上げに好適に使用することができる。本発明の塗料用水性樹脂組成物は、なかでも建築物の外装および窯業系建材のトップコートに好適に使用することができる。
窯業系建材としては、例えば、瓦、外壁材などが挙げられる。窯業系建材は、無機質硬化体の原料となる水硬性膠着材に無機充填剤、繊維質材料などを添加し、得られた混合物を成形し、得られた成形体を養生し、硬化させることによって得られる。建築物の外装を構成する無機質建材としては、例えば、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどが挙げられる。
このような建材の表面には、通常、所望の意匠を付与するために、上塗り剤(水性塗料)が塗布されている。本発明の塗料用水性樹脂組成物は、この上塗り剤(水性塗料)に好適に使用することができる。
なお、本発明の塗料用水性樹脂組成物には、本発明の目的が阻害されない範囲内で、他の樹脂成分およびエマルション粒子が含まれていてもよい。
本発明の塗料用水性樹脂組成物および当該塗料用水性樹脂組成物を含有する塗料は、それ単独で1層で塗工してもよく、2層以上に重ね塗りすることによって塗工してもよい。2層以上に重ね塗りすることによって塗工する場合、その一部の層のみが本発明の塗料用水性樹脂組成物によって形成されてもよく、全部の層が本発明の塗料用水性樹脂組成物で形成されてもよい。重ね塗りは、例えば、プライマー処理やシーラー処理などを施した被塗物に、第1層(例えば、下塗り層)用塗料を塗布して乾燥させた後、第2層(例えば、上塗り層)用塗料を上塗りし、乾燥させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる方法によって限定されるものではない。塗料を塗布する際には、例えば、スプレー、ローラー、ハケ、コテなどを用いることができる。
以上のようにして得られる本発明の塗料用水性樹脂組成物は、艶消し剤を使用しなくても被膜の艶消し性に優れ、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れていることから、例えば、建築物の外装や窯業系建材などの表面に塗装されるトップコートと呼ばれている上塗り剤(水性塗料)、なかでも特に上塗り用艶消し塗料に好適に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は「質量部」を意味する。
製造例A1
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水573部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、シクロヘキシルメタクリレート250部、スチレン100部、アクリル酸10部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、tert−ブチルメタクリレート15部およびメチルメタクリレート65部からなる1段目滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの74部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液10部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を80℃で60分間維持し、25%アンモニア水5部をフラスコ内に添加した。
引き続いて、脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート120部、ブチルアクリレート190部、シクロヘキシルメタクリレート140部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン10部、ヒドロキエチルメタクリレート5部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート10部、グリセリンモノメタクリレート10部およびダイアセトンアクリルアミド15部からなる2段目滴下用プレエマルションと過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を120分間にわたって均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間フラスコの内容物を維持し、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整し、重合反応を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュ(JISメッシュ、以下同じ)の金網で濾過することにより、不揮発分含量が49質量%である水性樹脂分散体を得られた。得られた水性樹脂分散体に含まれるエマルション粒子は、平均粒子径が150nmの2層構造を有し、内層のガラス転移温度は63℃、外層のガラス転移温度は−24℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は13.4℃であった。
製造例A2
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水573部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート290部、シクロヘキシルメタクリレート50部、スチレン50部、メチルメタクリレート75部、tert−ブチルメタクリレート15部、アクリル酸5部、メタクリル酸5部およびヒドロキシエチルメタクリレート10部からなる1段目滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの74部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液20部を添加し重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間フラスコの内容物を維持した。
引き続いて脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート100部、シクロヘキシルメタクリレート120部、スチレン100部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、ヒドロキエチルメタクリレート5部、ダイアセトンアクリルアミド30部、グリセリンモノメタクリレート10部およびメチルメタクリレート115部からなる2段目滴下用プレエマルションと過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を120分間にわたってフラスコ内に均−に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間フラスコの内容物を維持し、25%アンモニア水をフラスコ内に添加し、pHを9に調整することにより、重合反応を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分含量が49質量%である水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体に含まれるエマルション粒子は、平均粒子径が150nmの2層構造を有し、内層のガラス転移温度は−23℃、外層のガラス転移温度は40℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は5.0℃であった。
製造例A3
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水573部を仕込んだ。
滴下ロートに脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート50部、シクロヘキシルメタクリレート250部、スチレン100部、メチルメタクリレート65部、tert−ブチルメタクリレート15部、アクリル酸10部およびヒドロキシエチルメタクリレート10部からなる1段目滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの74部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液20部をフラスコ内に添加することにより、重合を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を120分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間フラスコの内容物を維持し、25%アンモニア水5部を添加した。
引き続いて、脱イオン水163部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液80部、2−エチルヘキシルアクリレート235部、ブチルアクリレート150部、シクロヘキシルメタクリレート35部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン10部、ヒドロキエチルメタクリレート5部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート10部、グリセリンモノメタクリレート10部およびダイアセトンアクリルアミド45部からなる2段目滴下用プレエマルションと過硫酸カリウムの5%水溶液10部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を120分間にわたってフラスコ内に均一に滴下した。滴下終了後、80℃で60分間フラスコの内容物を維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9に調整することにより、重合反応を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分含量が49質量%である水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体に含まれるエマルション粒子は、平均粒子径が150nmの2層構造を有し、内層のガラス転移温度は63℃、外層のガラス転移温度は−40℃であり、エマルション粒子全体のガラス転移温度は1.9℃であった。
製造例A4
滴下ロート、撹拌機、窒素ガス導入管、温度計および還流冷却管を備えたフラスコ内に脱イオン水573部を仕込んだ。
滴下ロ−トに脱イオン水326部、乳化剤〔(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10〕の25%水溶液160部、2−エチルヘキシルアクリレート385部、シクロヘキシルメタクリレート350部、スチレン150部、メチルメタクリレート55部、tert−ブチルメタクリレート15部、アクリル酸10部、ヒドロキシエチルメタクリレート5部およびダイアセトンアクリルアミド30部からなる1段目滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの74部をフラスコ内に添加し、ゆるやかに窒素ガスを吹き込みながら80℃まで昇温し、過硫酸カリウムの5%水溶液20部をフラスコ内に添加することにより、重合反応を開始した。
次に、滴下用プレエマルションの残部と過硫酸カリウムの5%水溶液20部と2.5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液20部を240分間にわたり均一にフラスコ内に滴下した。滴下終了後、80℃で120分間フラスコの内容物を維持し、25%アンモニア水を添加し、pHを9に調整することにより、重合反応を終了した。
得られた反応液を室温まで冷却した後、300メッシュの金網で濾過することにより、不揮発分含量が49質量%である水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体に含まれるエマルション粒子は、平均粒子径が150nmの1層構造を有し、エマルション粒子全体のガラス転移温度は4.8℃であった。
製造例B1
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水291部を仕込んだ。フラスコ内に窒素ガスを導入し、フラスコ内を窒素ガス雰囲気にした。重合容器内の内容物を室温下で撹拌しながら、0.02%硫酸銅水溶液1.7部をフラスコ内に添加した。
滴下ロートA内に脱イオン水186.6部およびN−ビニルピロリドン1053部を添加し、プレミックスを調製した。滴下ロートB内に脱イオン水81.5部および35%過酸化水素水10.6部を添加した。滴下ロートC内に脱イオン水70部および25%アンモニア水溶液1.7部を添加した。
滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCの各内容物をそれぞれ3時間かけて均一に重合容器内に滴下し、重合反応を開始した。重合容器内の温度が重合熱によって上昇した後、60℃の温度で3時間撹拌した。
次に、滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCをそれぞれ脱イオン水321.3部で洗浄し、得られた洗浄液を重合容器内に添加した。25%アンモニア水溶液2.2部および30%過酸化水素水溶液10部を重合容器内に添加した後、60℃の温度で1時間撹拌することにより、ポリマー溶液B1を得た。得られたポリマー溶液B1の不揮発分含量は50.0質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は100000であった。
製造側B2
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水582部を仕込んだ。重合容器内に窒素ガスを導入し、重合容器内を窒素ガス雰囲気にした。重合容器内の内容物を室温下で撹拌しながら0.02%硫酸銅水溶液1.7部を重合容器内に添加した。
滴下ロートAに脱イオン水186.6部およびN−ビニルピロリドン1053部を添加し、プレミックスを調製した。滴下ロートB内に脱イオン水81.5部および35%過酸化水素水14.2部を添加した。滴下ロートC内に脱イオン水70部および25%アンモニア水溶液2.2部を添加した。
滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCの各内容物をそれぞれ3時間かけて均一に重合容器内に滴下し、重合反応を開始した。重合容器内の温度が重合熱によって上昇した後、60℃の温度で3時間撹拌した。
次に、滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCをそれぞれ脱イオン水186.6部で洗浄し、得られた洗浄液を重合容器内に添加した。25%アンモニア水溶液2.2部および30%過酸化水素水溶液10部を重合容器内に添加した後、60℃の温度で1時間撹拌することにより、ポリマー溶液B2を得た。得られたポリマー溶液B2の不揮発分含量は50.0質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は50000であった。
製造例B3
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水750部を仕込んだ。重合容器内に窒素ガスを導入し、重合容器内を窒素ガス雰囲気にした。重合容器内の内容物を室温下で撹拌しながら0.02%硫酸銅水溶液1.7部を重合容器内に添加した。
滴下ロートA内に脱イオン水97部およびN−ビニルピロリドン1053部を添加し、プレミックスを調製した。滴下ロートB内に脱イオン水50部および35%過酸化水素水42.5部を添加した。滴下ロートC内に脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液6.7部を添加した。
滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCの各内容物をそれぞれ3時間かけて均一に重合容器内に滴下し、重合反応を開始した。重合容器内の温度が重合熱によって上昇した後、60℃の温度で3時間撹拌した。
次に、滴下ロートA、滴下ロートBおよび滴下ロートCをそれぞれ脱イオン水10部で洗浄し、得られた洗浄液を重合容器内に添加した。25%アンモニア水溶液2.2部および30%過酸化水素水溶液10部を重合容器内に添加した後、60℃の温度で1時間撹拌することにより、ポリマー溶液B3を得た。得られたポリマー溶液B1の不揮発分含量は50.0質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は10000であった。
製造例B4
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水100部、製造例B1で得られたポリマー溶液B1を900部の量で添加し、窒素ガスを重合容器内に導入し、重合容器内を窒素ガス雰囲気とした。
室温下で重合容器内の内容物を撹拌しながら85℃まで昇温し、内温が一定になったところでダイアセトンアクリルアミド100部、アクリル酸10部、脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液4.7部を混合した水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。併行して過硫酸アンモニウム1.5部を脱イオン水48.5部に溶解させた水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。その後、脱イオン水200部を重合容器内に添加し、85℃で1時間撹拌することにより、重合反応を終了した。得られたポリマー溶液の不揮発分含量20.1質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は180000であった。
製造例B5
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水20部および製造例B1で得られたポリマー溶液B1を900部の量で添加し、窒素ガスを重合容器内に導入し、重合容器内を窒素ガス雰囲気とした。
室温下で重合容器内の内容物を撹拌しながら85℃まで昇温し、内温が一定になったところでダイアセトンアクリルアミド100部、アクリル酸10部、脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液4.7部を混合した水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。併行して過硫酸アンモニウム1.5部を脱イオン水48.5部に溶解させた水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。その後、脱イオン水200部を重合容器内に添加し、85℃で1時間撹拌することにより、重合反応を終了した。得られたポリマー溶液の不揮発分含量25.1質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は100000であった。
製造例B6
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水100部、製造例B1で得られたポリマー溶液(BI)900部を添加し、窒素ガスを重合容器内に導入し窒素ガス雰囲気とした。
室温下で撹拌しながら、85℃まで昇温し、内温がー定になったところでダイアセトンアクリルアミド100部、アクリル酸10部、脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液4.7部を混合した水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。併行して過硫酸アンモニウム1.5部を脱イオン水48.5部に溶解させた水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。その後、脱イオン水100部を重合容器内に添加し、85℃で1時間撹拌することにより、重合反応を終了した。得られたポリマー溶液の不揮発分含量は30.2質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は70000であった。
製造例B7
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に脱イオン水100部および製造側B1で得られたポリマー溶液B1を900部の量で添加し、窒素ガスを重合容器内に導入し、窒素ガス雰囲気とした。
室温下で重合容器内の内容物を撹拌しながら85℃まで昇温し、内温が一定になったところでダイアセトンアクリルアミド100部、アクリル酸10部、脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液4.7部を混合した水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。併行して過硫酸アンモニウム1.5部を脱イオン水48.5部に溶解させた水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。その後、脱イオン水10部を重合容器内に添加し、85℃で1時間撹拌することにより、重合反応を終了した。得られたポリマー溶液の不揮発分含量は50.2質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は15000であった。
製造例B8
冷却管、窒素ガス導入ラインおよび温度計を設置した重合容器内に製造例B1で得られたポリマー溶液B1を900部の量で添加し、窒素ガスを重合容器内に導入し、窒素ガス雰囲気とした。
室温下で重合容器内の内容物を撹拌しながら85℃まで昇温し、内温が一定になったところでダイアセトンアクリルアミド100部、アクリル酸10部、脱イオン水50部および25%アンモニア水溶液4.7部を混合した水溶液をl20分間かけて重合容器内に添加した。併行して過硫酸アンモニウム1.5部を脱イオン水48.5部に溶解させた剤水溶液を120分間かけて重合容器内に添加した。その後、脱イオン水400部を重合容器内に添加し、85℃で1時間撹拌することにより、重合反応を終了した。得られたポリマー溶液の不揮発分含量15.1質量%であり、得られたポリマーの重量平均分子量は300000であった。
実施例1
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に製造例B4で得られた水溶性樹脂B4を両者の固形分の質量比(A1/B4)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤〔(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS−500〕5部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
実施例2
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に製造例B4で得られた水溶性樹脂B4を両者の固形分の質量比(A1/B4)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
実施例3
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に製造例B5で得られた水溶性樹脂B5を両者の固形分の質量比(A1/B5)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジビン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
実施例4
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に製造例B6で得られた水溶性樹脂B6を者の固形分の質量比(A1/B6)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
実施例5
製造例A2で得られた水性樹脂分散体A2に製造例B5で得られた水溶性樹脂B5を両者の固形分の質量比(A2/B5)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
実施例6
製造例A3で得られた水性樹脂分散体A3に製造例B5で得られた水溶性樹脂B5を両者の固形分の質量比(A3/B5)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
比較例1
製造例AIで得られた水性樹脂分散体A1に艶消し剤〔株)日本触媒製、商品名: エポスターMA1010〕を両者の固形分の質量比(A1/艶消し剤)が9/1となるように添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
比較例2
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に製造例B7で得られた水溶性樹脂B7を両者の固形分の質量比(A1/B7)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
比較例3
製造例A4で得られた水性樹脂分散体A4に製造例B5で得られた水溶性樹脂B5を両者の固形分の質量比(A4/B5)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加することにより、塗料用水性樹脂組成物を得た。
比較例4
製造例A1で得られた水性樹脂分散体A1に、製造例B8で得られた水溶性樹脂B8を両者の固形分の質量比(A1/B8)が9/1となるように添加し、得られた混合物100部に架橋剤として5%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加したところ、高増粘化したことから、以下の物性の評価に使用することができなかった。
次に、前記で得られた塗料用水性樹脂組成物の物性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
〔被膜の艶消し性〕
(1)評価用試料の調製
塗料用水性樹脂組成物100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブを等質量で混合することによって得られた混合溶液10部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて10分間撹拌した後、得られた混合物に消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が60KUになるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
(2)評価用被膜の作製および試験
スレート板〔日本テストパネル(株)製、縦:70mm、横:150mm、厚さ:6mm〕にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーで150g/m2の塗布量で均一に塗布し、23℃で1週間乾燥させることにより、被膜を形成させた。
次に、前記で得られた試料を10milアプリケーターでスレート板の被膜面上に塗布し、常温で1日間乾燥させた。試料が塗布された面の60゜鏡面光沢を光沢計〔日本電色工業(株)製、品番:VG2000〕で光沢を測定し、以下の評価基準に基づいて被膜の艶消し性を評価した。
(評価基準)
〇:光沢が40未満
△:光沢が40以上75未満
×:光沢が75以上または測定不可能
〔被膜の伸長性〕
(1)評価用試料の調製
塗料用水性樹脂組成物100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブを等質量で混合することによって得られた混合溶液10部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて10分間撹拌した後、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が60KUになるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
(2)評価用フィルムの作製および試験
ポリプロピレン製の樹脂板(縦:70mm、横:150mm、厚さ:2mm)に前記で得られた試料を20milアプリケーターで塗布し、室温で24時間乾燥させた後、形成された被膜(縦:1cm、横:7cm)を基材から剥離させ、0℃に調温した恒温槽内で3時間入れた後、引っ張り試験機〔(株)島津製作所製、商品名:オートグラフAGS−100D〕を用いて初期標線間距離50mm、引っ張り速度200mm/minの条件で引っ張り試験を行ない、被膜の伸張率を式:
[被膜の伸張率(%)]={[破断時の伸び−50mm]÷[50mm]}×100
に基づいて調べ、以下の評価基準に基づいて被膜の伸長性を評価した。
(評価基準)
○:被膜の伸張率が30%以上
△:被膜の伸張率が20%以上30%未満
×:被膜の伸張率が20%未満または測定不可能
〔増粘適性〕
(1)評価用試料の調整および試験
塗料用水性樹脂組成物100部に脱イオン水41部、成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブを等容量で混合することによって得られた混合溶液5部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて10分間撹拌した後、25%アンモニア水0.3部を添加し、消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.3部を添加し、増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕2.2部を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。BM粘度計〔東機産業(株)製、品番:TVB−10M〕を用い、前記で得られた試料の25℃における粘度を60rpmにて測定し、以下の評価基準に基づいて増粘適性を評価した。
(評価基準)
○:粘度が700mPa・s以上
△:粘度が400mPa・s以上700mPa・s未満
×:粘度が400mPa・s未満または測定不可能
〔耐候性〕
(1)評価用試料の調製
塗料用水性樹脂組成物100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブを等量で混合することによって得られた混合溶液10部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて10分間撹拌した後、白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(ブルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
なお、白色ペーストは、脱イオン水210部、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール60部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−95〕1000部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をホモディスパーで回転速度3000min-1にて60分間分散させることによって調製した。
(2)評価用被膜の作製および試験
スレート板〔日本テストパネル(株)製、縦:70mm、横:150mm、厚さ:6mm〕にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー〕をエアスプレーで150g/m2の塗布量で均一に塗布し、23℃で1週間乾燥させた。
次に、試料を10milアプリケーターでスレートの被膜上に塗布し、23℃にて1週間乾燥させた後、当該試料が塗布されたスレート板の側面および背面をアルミニウムテープでシールし、試料が塗布された面の60°鏡面光沢を光沢計〔日本電色工業(株)製、品番:VG2000〕で測定し、さらに以下の条件にて1000時間耐候性試験を行ない、前記光沢計で当該スレート板の塗装面の光沢を測定し、式:
[光沢保持率(%)]=〔[耐候性試験後の光沢]÷[耐候性試験前の光沢]〕×100
に基づいて光沢保持率を求め、以下の評価基準に基づいて耐候性を評価した。
(耐候性試験の試験条件)
・試験機:メタルウェザー〔ダイプラ・ウィンテス(株)製、品番:KU−R4〕
・照射:気温65℃で相対湿度50%の雰囲気中で4時間照射(照射強度:80mW/cm2)
・湿潤:気温35℃で相対湿度98%の雰囲気中で4時間暴露
・シャワー:湿潤前後に各30秒間シャワー
(評価基準)
○:光沢保持率が80%以上
△:光沢保持率が60%以上80%未満
×:光沢保持率が60%未満または測定不可能
〔長期親水性〕
(1)評価用試料の調製
塗料用水性樹脂組成物100部に成膜助剤として2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールイソブチレート〔チッソ(株)製、品番:CS−12〕とブチルセロソルブを等質量で混合することによって得られた混合溶液10部を添加し、ホモディスパーで回転速度1500min-1にて10分間撹拌した後、白色ペースト30部および消泡剤〔サンノプコ(株)製、商品名:ノプコ8034L〕0.5部を添加し、クレーブス単位粘度計(プルックフィールド社製、品番:KU−1)を用いて25℃で測定したときの粘度が80KUとなるように増粘剤〔(株)日本触媒製、商品名:アクリセットWR−503A〕を添加し、その状態で30分間撹拌することにより、試料を調製した。
なお、白色ペーストは、脱イオン水210部、分散剤〔花王(株)製、商品名:デモールEP〕60部、分散剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:ディスコートN−14〕50部、湿潤剤〔花王(株)製、商品名:エマルゲンLS−106〕10部、プロピレングリコール60部、酸化チタン〔石原産業(株)製、品番:CR−95〕1000部およびガラスビーズ(直径:1mm)200部をホモディスパーで回転速度3000min-1にて60分間分散させることによって調製した。
(2)評価用被膜の作製および試験
スレート板〔日本テストパネル(株)製、縦:70mm、横:150mm、厚さ:6mm〕にシーラー〔エスケー化研(株)製、商品名:EXシーラー]をエアスプレーで150g/m2の塗布量で均一に塗布し、23℃で1週間乾燥させた。
次に、前記で得られた試料を10mi1アプリケーターでスレート板の被膜上に塗布し、23℃にて1週間乾燥させた。
(試験方法)
試験板にシャワーで60秒間散水した後、室温で1日間乾燥させる一連の操作を1サイクルとして5サイクル試験を行ない、被膜表面の水との接触角を接触角計〔協和界面科学(株)製、品番:CA−X〕で測定し、以下の評価基準に基づいて長期親水性を評価した。
(評価基準)
○:水との接触角が50°未満
△:水との接触角が50°以上65°未満
×:水との接触角が65°以上または測定不可能
〔総合評価〕
前記各物性の評価において、○の評価を20点、△の評価を10点、×の評価を0点とし、各得点を合計することにより、総合得点を求めた。なお、×の評価が1つでもあるものは、不合格である。
表1に示された結果から、各実施例で得られた塗料用水性樹脂組成物は、各比較例で得られた塗料用水性樹脂組成物と対比して、被膜の艶消し性、被膜の伸長性、増粘適性、耐候性および長期親水性に総合的に優れていることから、例えば、上塗り用艶消し塗料などに好適に使用することができることがわかる。